JP4098199B2 - 錘の切り放し装置、錘の落下装置及び錘の落下方法 - Google Patents
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Description
この技術としては、たとえば重量のある錘aにより杭頭を打撃し、その際に生じる衝撃波を計測、分析して、杭の支持力を推定、あるいは確認する動的載荷試験や、軟弱地盤に錘aを落下させて地盤改良を行う動圧密工法などがある。
これらの技術においては、錘aを吊り上げて自由落下させるために、一般的にクレーンbが利用されている(図5)。
クレーンbは、装備するウインチdのドラムから引き出されたワイヤロープcを周知の手段でブームの上端にあるトップシーブへと索取りして、トップシーブから垂れ下げる構成であり、錘aを自由落下させる場合、ワイヤロープcの端部に錘aを掛止し、ウインチdを巻上げて錘aを地上高く吊り上げた後、ウインチdの拘束を一気に解放する方法によって行っていた。そして、この諸作業は必要に応じて繰り返し行われ、所要のデータ、地盤などを得ていた。
<1>錘が地表面へ衝突した時に、落下による慣性力、ウインチドラムの慣性力などによって、ワイヤロープの空繰り出しやウインチドラムの空転が生じることがある。この結果、ワイヤロープがウインチに乱巻きされたり、ワイヤロープ自体が縺れることによって錘がうまく自由落下しないという問題が生じていた。
この作動を反復して行う場合には、それだけ危険の発生する可能性は高くなり、またこのような自体になれば作業はストップするため後工程の作業にも影響を及ぼし、さらには自由落下がうまくいかないことによって、クレーンの装置各部に無理な負荷がかかり故障の原因にも繋がっていた。
<2>使用する錘の重量が大きければ大きいほど、巻上げに必要なクレーンに大きな揚重能力が必要となり、大型のクレーンが必要になる。
<1>本発明は、錘を所定の位置まで吊上げるのに、一定の姿勢が保持可能な剛性を有する棒体を利用するため、ワイヤロープのように絡まって錘が自由落下しないという問題は起こり難く、またこの作動を繰り返し行っても、かかる問題は生じないため、安定した作業を行うことができる。
殊に、故障も生じ難い。
<2>本発明は、錘の重量が増しても機材が過度に大型化する必要はない。そのため、転用にも優れている。
図1に本発明の落下装置10の一例を示す。
本発明の落下装置10は、錘Gを吊上げて自由落下させる装置であって、錘Gと、錘Gを懸吊すると共に錘Gの吊下げ状態を解放自在に構成する切り放し装置20と、切り放し装置20から鉛直方向に立ち上げた棒体30と、棒体30に一定の間隔をおいて配置する複数の掛止部材40、40・・と、この掛止部材40に掛止させつつ棒体30を通じて切り放し装置20を上方へ移動させる吊上げ機構50とから構成している。
本例では錘Gの上部に、先端部に懸吊部22を取りつけた懸吊棒23を鉛直方向に配置しておき、この懸吊部22を切り放し装置20に備える落下手段21で掛止して懸吊する形態とする。
なお、本例では懸吊部22の形状を、円筒と半球との組み合わせからなる形態とするが、この形態に必ずしも限定されるものではない。
以下、各部材について詳述する。
切り放し装置20は、錘Gを吊下げると共に、この吊下げ状態を自在に解放して錘Gを落下可能に構成する装置である。
切り放し装置20は、たとえば錘Gの掛止および解放を自在に構成する落下手段21と、この落下手段21を内部に配置せしめ、後述する棒体30を上部に配置する外殻24とより構成することができる(図1)。外殻24には、たとえばコ字型の構造体を使用することができ、この場合構造体の開口部を下方に向けて、この間に錘Gを配置して懸吊する。
クランプ211、211には、たとえば懸吊棒23の周囲を囲み、懸吊棒23の軸方向に二分割したものが使用できる。この場合には、各クランプ211、211にそれぞれ一基づつの移動部212、212を配置した落下手段211が採用できる。
クランプ211の分割数や形状は、懸吊部22を掛止して錘Gを落下させなければ特に限定されるものではなく、たとえば先述したようにクランプ211を二分割する構成では、クランプ211、211の合わせ面に一定の隙間を設けても良い。
このようにクランプ211に凹部を形成する場合には、凹面を縁取る隅部を面取りして、より引っ掛かる部分を取り除くと共にクランプ211の欠損を防止するのが好ましい。
弾性体25は、対峙するクランプ211、211の合わせ面にそれぞれ有底孔213、213を設けて、ここに弾性体25を縮めた状態で配置する。
弾性体25は、縣吊部23を中心とした両側に配置するのが好ましい。
棒体30は、下端に切り放し装置20を配置し、切り放し装置20の吊上げに用いる棒材である(図1)。棒体30は少なくとも切り放し装置20およびそれに配置する錘Gを吊上げるのに充分な耐力を備えた構造とし、棒体30の長さは少なくとも地上に配置した切り放し装置20から空中に位置する吊上げ機構50までの距離以上とする。
なお、棒体30の形状は特に限定されるものではなく、たとえば丸形、正六角形、正方形および長方形などが使用できるが、円形を呈するものがより好ましい。
また、棒体30と切り放し装置20との接続は、直接取り合うほか、シャックルなど公知の掛止具を介して連結しても良い。
なお、棒体30は切り放し装置20の吊上げ時のみならず、錘Gを落下させた後の切り放し装置20の降下時にも利用できる。
掛止部材40は、棒体30に一定の間隔をおいて配置される部材であって、棒体30およびその下方に配置する切り放し装置20を吊上げる際の引掛け部として用いられる(図1)。
掛止部材40は、吊上げ機構50に備える掛止手段51で掛止できる形状であれば特に制限を受けるものではない。掛止部材40には、たとえば外形がテーパ状を呈する公知のナットが使用できる。かかる掛止部材40を用いる場合、掛止部材40の拡底側を棒体30の下方、すなわち切り放し装置20に向けて配置するのが好ましい。これによって、掛止手段51と掛止部材40との接触面積は大きくなり、それだけ掛止作業および盛り替え時に高い安全性を確保することができる。また上方が尖端形状であるため、掛止部材40が掛止手段51、51の間を上方に通過し易く、また尖端部が掛止手段40を通過しさえすれば、万一両者の位置がずれていたとしても、棒体30が掛止手段51によってセンターに位置決めするように案内されながら通過できる。
吊上げ機構50は、棒体30に配置した掛止部材40を順次掛止しつつ、棒体30を介して切り放し装置20を上方へ移動させるものである。
吊上げ機構50は、たとえば内部に棒体30、掛止部材40を挿通可能な中空孔を有する内筒52と、内筒52を棒体30に沿って上方へスライドさせる外筒53と、内筒52の上端側および外筒53の下端側に配置する掛止部材40を掛止、解放自在に構成する二基の掛止手段51U、51Dとから構成することができる。この内筒52と外筒53には、公知のセンターホールジャッキを使用することができる。
内筒52の移動には、たとえば外筒53からオイルを送り込んで、内筒52を上部へ押し上げる機構が採用できる。
なお、上記した吊上げ機構50は外筒53を固定して内筒52を上方へ移動させる形態であるが、反対に内筒52を固定しておき、外筒53を上方に移動させる構成とできることは勿論である。
掛着部511は、掛止部材40を掛止可能な形状であれば、特に制限を受けないが、本形態では棒体30の周方向に沿って二分割し、両掛着部511、511の間に棒体30が挿通できる溝を形成した部材を使用する。棒体30に断面円形の鋼材を使用する場合、掛着部511に設ける溝の形状も同じく丸形に形成する。このとき、両掛着部511、511の合わせ面には、隙間が生じるように形成するのが好ましい。
錘Gの上部に、先端部に懸吊部22を配置した懸吊棒23を鉛直方向に取りつける。
懸吊棒23の上部に切り放し装置20を被せて、懸吊部22を落下手段21で掛止する。
センターホールジャッキの外筒53および外筒53の下側に位置する掛止手段51Dは、上下に移動しないように支柱などに固定し、内筒52は上方へ向けて上方の掛止手段51Uと共に移動可能なようにセットする。
なお、落下装置10をセットする際には、掛止手段51Uの上方へ棒体30が突出するようにする。これによって、錘Gが現状の位置より沈下した場合でも、センターホールジャッキから棒体30が外れることなく、繰り返し錘Gを掛止して落下作業を行うことができる。
センターホールジャッキの上部側に位置する掛止手段51Uの可動部512Uを伸張して、掛着部511Uを棒体30に向けて移動させる。掛止部材40は、掛着部511Uに当たらないように配置しておく。
掛着部511Uを掛止部材40の下部に移動せしめ、掛止部材40に掛止する。このとき、掛着部511Uは必ずしも棒体30および掛止部材40に当接している必要はなく、内筒52の上方への移動に伴って掛着部511Uが掛止部材40に当接し、掛止部材40に引っ掛かる位置にあればよい。
次に、センターホールジャッキの内筒52を所要の方法によって、上方すなわち地表面から離れる方向へ移動させる。内筒52の移動に伴い、掛止部材40および棒体30を介して下端に連結された切り放し装置20および錘Gが地表面から離れる。
内筒52を所定の位置までスライドさせた後、停止する。
次に、センターホールジャッキの下端に位置する掛止手段51Dで、他の掛止部材40を掛止する。
下端の掛止手段51Dで掛止部材40を掛止した後、上部側の掛止手段51Uは可動部512Uを縮めて掛止状態を解放する。
これによって、棒体30の支持が上部から下部の掛止手段(51U→51D)へと盛り替えられる。
その後、上方へスライドした状態にある内筒52を外筒53内へ収納し、上部の掛止手段51Uを元の位置へ戻す。
そして、今度は前の工程(図3(a)の工程)で掛止した掛止部材40より下方に位置する掛止部材40を掛止する。
その後、下部掛止手段51Dを解放状態にすれば、最初の行程から切り放し装置20と錘Gが、内筒52のスライド量だけ上方へ吊上げられた状態となる。
上記行程を繰り返し行い、切り放し手段20および錘Gを所定の高さまで上昇させる。
所定の高さまで錘Gを位置させた後、錘Gを掛止する落下手段21を短縮させる。移動部212の短縮に伴いクランプ211が懸吊棒23から離間するように移動し、懸吊部22がクランプ211から外れて、錘Gが落下する。
本例では、従来のようにクレーンを用いるが、錘Gの落下に伴いワイヤーが繰り出されることはないので、乱巻きするなどの危険はない。
20・・・切り放し装置
21・・・落下手段
211・・クランプ
212・・移動部
213・・接触部
22・・・懸吊部
23・・・懸吊棒
24・・・外殻
30・・・棒体
40・・・掛止手段
50・・・吊上げ機構
G・・・・錘
Claims (7)
- 吊下げた錘を解放して、落下自在に構成する錘の切り放し装置であって、
錘の上部に鉛直方向に配置した懸吊棒と、
前記懸吊棒より突設する下方に向けて先細に形成された懸吊部と、
前記懸吊部を掛止する複数のクランプと前記クランプを前記懸吊棒に向けて移動させる移動部とからなる落下手段と、
前記落下手段を配置する外殻と、から構成しており、
前記懸吊部を掛止した前記クランプを、前記懸吊棒から離間させる方向に移動させることによって、掛止状態を解放して錘を落下させることを特徴とした、
錘の切り放し装置。 - 請求項1に記載する錘の切り放し装置において、
前記落下手段のクランプを、前記懸吊棒の軸方向に沿って二分割したことを特徴とする、
錘の切り放し装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の錘の切り放し装置において、
前記落下手段のクランプ間に弾性体を介在させたことを特徴とする、
錘の切り放し装置。 - 錘を吊上げて自由落下させる錘の落下装置において、
錘と、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の錘の切り放し装置と、
前記切り放し装置より鉛直方向に立ち上げた棒体と、
前記棒体に一定の間隔をおいて配置する掛止部材と、
前記掛止部材に掛止させつつ前記棒体を通じて前記切り放し装置を上方へ移動せしめる吊上げ機構と、から構成していることを特徴とする、
錘の落下装置。 - 請求項4に記載の錘の落下装置において、
前記吊上げ機構は、前記棒体を内部に挿通する内筒と、
前記内筒を嵌合配置し、前記内筒若しくは自体を軸方向に沿って上方へ移動せしめる外筒と、
上方に向けて移動する何れかの筒の上端側および移動しない筒の下端側に配置して、前記棒体に配置した前記掛止部材を掛止および解放自在に構成する掛止手段と、から構成していることを特徴とする、
錘の落下装置。 - 請求項4に記載する錘の落下装置を使用し、錘を吊上げて自由落下させる錘の落下方法において、
前記錘を前記切り放し装置で掛止し、
前記吊上げ機構にて、前記掛止部材を掛止しつつ前記棒体を通じて前記切り放し装置を上方へ移動させ、
所要の高さに前記切り放し装置を位置させた後、前記切り放し装置を解放して前記錘を落下させることを特徴とした、
錘の落下方法。 - 請求項5に記載する錘の落下装置を使用し、錘を吊上げて自由落下させる錘の落下方法において、
前記錘の上部に設けた懸吊部を前記落下手段で掛止し、
前記吊上げ機構の上方側に備える掛止手段で掛止部材を掛止すると共に、下方側の掛止手段を解放状態とする工程と、
前工程で作動させた掛止手段を備える筒を上方に向けてスライド伸張させて、前記切り放し装置を引き上げる工程と、
下方の掛止手段で掛止部材を掛止し、上方に位置する掛止部材の掛止を解放する工程と、
移動させた前記筒を移動しない筒側に引き戻す工程と、を繰り返し行い、
所要の高さに前記切り放し装置を位置させた後、前記懸吊部の掛止を解放して前記錘を落下させることを特徴とした、
錘の落下方法。
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