JP4097453B2 - 生体の電気信号測定用電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体の電気信号測定用電極に関し、詳しくはその構造と使用方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
東洋医学の分野では、人体の全身に張り巡らされた経絡という系統の存在が認知されており、臓器や運動器の状態は経絡に密接に関連しているものと考えられている。そして、臓器や運動器の疾患は、経絡の異常として現れるものとされ、異常状態にある経絡のツボを見つけだして、そこに針、熱、電気等による刺激を与えることによって、臓器や運動器の疾患を間接的に治療することが行われている。
【0003】
しかしながら、人体には無数のツボがあるため、異常状態にあるツボを見つけだすことは難しい。このため、上記のような東洋医学的治療を補助するための機械として、ツボに電極を当てて電圧を印加し、そのときの応答電流を計測して電気抵抗等の生体の電気的特性値を測定する装置が実用化されている。経絡に異常があると電気的特性値が変化することが経験的に知られており、上記装置はこの経験則に基づいて開発されている。
【0004】
この種の装置に用いられる電極は、かつては、心電図の計測に用いられるような導電性のカラヤゴムに銀薄膜を貼り付けたものが用いられていた。しかしながら、この構造の電極では、カラヤゴムの粘性が不十分なため端がめくり上がり、接触面積が一定にならず、また、カラヤゴムの乾燥により塩素イオン濃度が変化して分極電圧が変動するため、高い測定精度を得ることができなかった。そこで、近年では、上記のような不具合を解消すべく、以下のような構造を有する電極が提案されている。
【0005】
まず、実開平5−74502号広報に開示された電極は、表面が絶縁性で内部に電解質溶液のリザーバを形成された筒体の先端部に、筒状の導電金属を取り付け、さらに、導電金属の内部に、毛細管現象によりリザーバから電解質溶液を染みださせるフェルトを嵌めた構造になっている。このような構造の電極によれば、施術者が筒体を持ってフェルトをツボに当てることで一定の接触面積を保つことができ、また、フェルトは絶えずリザーバ内の電解質溶液によって湿潤させられるので、使用中に乾燥して測定精度が低下することも避けられる。さらに、この電極によれば、リザーバ内の電解質溶液が消耗するまでに長期に渡り繰り返し使用することができる。
【0006】
また、特開平10−71183号公報に開示された電極は、絶縁性の測定棒本体の先端部に筒状の保持体を取り付け、この保持体内にスプリングによって付勢された接触部を摺動自在に保持した構造になっている。また、接触部の先端部には凹部が設けられて水分を含ませた脱脂綿が入れられている。このような構造の電極によれば、スプリングの付勢力によって接触部とツボとの接触圧を一定に保つことができ、また、脱脂綿の水分によって接触部と皮膚との通電性も確保することができる。
【0007】
ところで、人体の皮膚は、血液が流れている真皮の表面を角質層で覆われた構造になっているが、この角質層に電気を流したときの導電率は角質層の乾燥度によって変化し、乾燥度が高いほど導電率が低くなる(電気抵抗が大きくなる)。角質層の乾燥度には個人差があり、また、同一人であっても気温や湿度或いは体調等によって乾燥度は必ずしも一定であるとは限らない。したがって、角質層の導電率には基本的にばらつきがあると考えてよい。
【0008】
ところが、このような角質層の導電率のばらつきは、測定時の応答電流の波形に大きく影響する。すなわち、図4に示すように応答電流の波形の高さは角質層の乾燥度、すなわち導電率に依存しており、角質層が乾燥して導電率が小さくなるほど波高は低くなる。したがって、測定時の角質層の乾燥度が一定でなく導電率にばらつきがあると、応答電流の波形にもばらつきが生じてしまう。診断に用いる電気的特性値は応答電流の波形における所定の特徴部分を測定することで得られるが、角質層の導電率のばらつきが大きい場合には、応答電流から所望の電気的特性値を正確に測定することは難しくなる。
【0009】
電極により電気的特性値を測定する上では上記のような課題があるが、上記各公報に開示された従来電極のように、水分を含んだフェルトや脱脂綿を皮膚に接触させながら測定する場合には、測定精度の向上の点において次のような効果が期待できる。すなわち、水分を含んだフェルトや脱脂綿を皮膚に接触させることで皮膚に水分を与えることができるので、角質層の乾燥の個人差を取り除いて乾燥度のばらつきに伴う測定結果のばらつきを抑制することができると考えられるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように皮膚に水分を与えることで角質層の乾燥を緩和することができるとしても、乾燥度に応じた量の水分を与えることができなけば結局は乾燥度のばらつきは解消されないままであり、高い精度の測定結果を得ることができない。この場合、角質層が飽和状態になるまで水分を与えることができれば、角質層の導電率を略一定にすることができるものと考えられるが、単に、角質層が飽和状態になるまで皮膚に電極を当ててから測定するよう施術者に求めるだけでは、常に高い精度の測定結果を得られる保証はない。したがって、電極側での工夫によって、施術者の意識に関係なく、角質層の乾燥度によることなく高い測定精度で電気的特性値を測定できるようにしたい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、角質層の乾燥度によることなく高い測定精度で電気的特性値を測定できるようにした電気的特性値測定用電極を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究した結果、少なくとも3秒間、皮膚に水分を与えることで、角質層の乾燥度の個人差をとりのぞき角質層の導電率を略一定にすることができることを見出し、以下の電気的特性値測定用電極を発明するに至った。
本発明の電気的特性値測定用電極は、グリップの先端部に導電金属が設けられるとともに、この導電金属に接触した状態で電解質溶液によって湿潤された多孔質フィルタが設けられた構成であり、測定時には導電金属と多孔質フィルタ、或いは多孔質フィルタのみが皮膚への接触部となる。導電金属には電圧発生回路がケーブル線で接続されており、この電圧発生回路から導電金属へ電圧を印加させるためのトリガ信号を出力する測定開始スイッチと電圧発生回路との間には、測定開始スイッチからトリガ信号が出力されてから、電圧発生回路から導電金属に電圧が印加されるまでの間に少なくとも3秒の遅れを発生させるディレイ回路が設けられている。
【0013】
通常、施術者は、測定時には電極の接触部をツボに当ててから測定開始スイッチを押すので、上記のような構成によれば、施術者の意識に関係なく、電解質溶液によって湿潤された多孔質フィルタが少なくとも3秒間皮膚に押し当てられてから電圧が印加されることになる。したがって、本発明の電気的特性値測定用電極によれば、測定開始前に十分な水分を角質層に与えることができるので、角質層の乾燥度の個人差をとりのぞき角質層の導電率を略一定にすることができ、高い測定精度で電気的特性値を測定することが可能になる。
【0014】
さらに、本発明の電気的特性値測定用電極は、電圧発生回路が、測定に先立ち、上記多孔質フィルタが通電可能状態にされて測定開始スイッチが操作されると、導電金属に予備パルス電圧を印加することが好ましい。このような予備処理により、導電金属近傍を含む電解質溶液の帯電などの電気的条件を一定にすることができ、測定初期における応答電流の波形のばらつきを抑えて安定した測定結果を得ることができる。
【0015】
ところで、今日、医療の分野においては、医療用具の衛生に対する社会的な関心の高まりに応じて、注射器やメス等の患者の体液に触れる医療用具は勿論のこと、皮膚に触れるだけのものについても使い捨てのものが多く採用されている。上記関心は東洋医学の分野においても例外ではなく、患者は、なるべくなら新しい医療用具で診断や施術をしてもらうことを望んでいる。
【0016】
このような社会的状況において上記の各公報に開示された従来電極について考えた場合、いずれの電極も、上記のような社会的な要望に応えることができる構造にはなっていない。例えば、実開平5−74502号広報に開示された電極は、そもそも長期に渡り繰り返し使用可能にすることを前提に考案されている。なお、公報中には、筒体の先端部にフェルトの挿入状態の形状に対応したメッシュ状のソケットやストッパを付加することで、フェルトを導電金属から着脱自在にすることが開示されているものの、この構造では皮膚とリザーバ内の電解質溶液とがフェルトを介して導通状態になってしまうため、仮にフェルトを使い捨てにしたとしても衛生的には完全とはいえない。
【0017】
また、特開平10−71183号公報に開示された電極では、先端部の脱脂綿は使い捨てにすることはできるものの、患者の皮膚に直接接触する接触部自体はそのまま使用されることになる。したがって、この電極を常に衛生的に使用するためには、使用のたびに電極を消毒液で消毒する等の処理が必要になってしまう。また、その場合、消毒液が付着していると皮膚と接触部との間の分極電圧が変化する虞があるため、消毒液を完全に乾かす等の処理も必要になってしまう。この点に関しては、導電金属が皮膚に接触することになる実開平5−74502号広報に開示された電極についても同様である。
【0018】
この場合には、以下の構造の電気的特性値測定用電極(第2の電気的特性値測定用電極)を採用すればよい。この第2の電気的特性値測定用電極は、ケーブル線の一端部を収容するグリップの先端部に絶縁性の筒状ホルダが設けられ、このホルダの奥にケーブル線の一端部が接続された導電金属が固定されるとともに、ホルダの開口側に電解質溶液によって湿潤された状態の多孔質フィルタが嵌め込まれている。フィルタはホルダに対して着脱自在であるとともに、後端部が導電金属に当接した状態で先端部がホルダから突出するように形成されている。この電気的特性値測定用電極では多孔質フィルタの先端部が皮膚への接触部になり、グリップを持って多孔質フィルタの先端部をツボに当て、ケーブル線を介して導電金属に通電することで、測定を行うことができる。
【0019】
このような構成によれば、測定時に直接皮膚に触れるのは多孔質フィルタのみであり、多孔質フィルタはホルダから取り外して使い捨てにできるので、常に衛生を保つことができる。また、ホルダは測定には関係しない部位であるので抗菌コート等の表面処理も可能であり、仮にホルダが患者の皮膚に触れる可能性が在る場合には、このような抗菌処理を施すことで対応することができる。また、使い捨てになるのは多孔質フィルタのみであり、多孔質フィルタとしてはフェルトや繊維束等の廉価な材質のものを使用することができるので、使い捨てにすることによるコスト増も抑制することができる。
【0020】
さらに、この第2の電気的特性値測定用電極によれば、施術者が多孔質フィルタの先端部を皮膚に押し当てることで測定面積を一定に保つことができる。また、多孔質フィルタを電解質溶液を入れた容器に保存しておき、使用時に取り出してホルダに装着するという使用方法によって、電解質溶液のイオン濃度の変化を防止して分極電圧を安定させることができる。さらに、導電金属は直接皮膚に触れることがないので、皮膚の油脂等が付着して導電金属の導電特性や表面性状が変化してしまうことも防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての電気的特性値測定用電極(以下、単に電極という)の構成を示す模式図である(一部は断面図で示している)。この図に示すように、本実施形態の電極は、ペン型のグリップ3の先端に円筒径のホルダ3aを形成し、このホルダ3a内に導電金属2と多孔質フィルタ1とを嵌め込んだ構造になっている。
【0022】
グリップ3及びホルダ3aは、絶縁性の材料、例えば、樹脂で形成されている。
導電金属2としては塩化銀の薄膜で表面を覆った銀円板が用いられている。導電金属2は、ホルダ3aの奥底に固定されており、グリップ3内に収容されたケーブル線7の一端が接続されている。このケーブル線7の他端は電圧発生回路6に接続されている。
【0023】
電圧発生回路6の作動は、グリップ3の側面に設けられた測定開始ボタン(測定開始スイッチ)4の操作によって制御できるようになっている。測定開始ボタン4は信号線8によりディレイ回路5を介して電圧発生回路6と接続されており、測定開始ボタン4を押すことにより、測定開始ボタン4からディレイ回路5にトリガ信号が出力される。ディレイ回路5は、測定開始ボタン4からのトリガ信号に対して3秒間のディレイ時間を与えて、電圧発生回路6にトリガ信号を出力する。電圧発生回路6は、ディレイ回路からのトリガ信号の入力により所定の周波数でパルス電圧を発生し、発生したパルス電圧をケーブル線7を介して導電金属2に印加する。なお、電圧発生回路6にはタイマが内蔵されており、電圧の印加開始から所定時間が経過することによって自動的に電圧の発生を停止する。
【0024】
多孔質フィルタ1の形状は円柱形であり、ホルダ3aに対して着脱自在で、且つ、後端部が導電金属2に当接した状態で先端部がホルダ3aから突出するように形成されている。多孔質フィルタ1の材質にはフェルトが用いられており、電解質溶液によって湿潤された状態でホルダ3aに装着される。電解質溶液としてはその電解質成分及び濃度が生体の体液に近いものが好ましく、ここでは生理食塩水を用いている。
【0025】
以下、本実施形態の電極の使用方法について説明する。まず、多孔質フィルタ1の保管であるが、多孔質フィルタ1は電解質溶液が入れられた容器内で保管しておくようにする。そして、使用時には、容器から多孔質フィルタ1を取り出してホルダ3aに装着し、後端部が導電金属2に当接するまでホルダ3aの奥に多孔質フィルタ1を押し込む。上記のような方法で多孔質フィルタ1を保管しておくことにより、多孔質フィルタ1内の電解質濃度(特に塩素イオン濃度)にばらつきが生じることがなく、使用時に導電金属2と多孔質フィルタ1に含まれた電解質溶液との間に発生する分極電圧を安定させることができる。
【0026】
次に、測定に先立ち、電解質溶液によって湿潤された多孔質フィルタ1をホルダ3aに装着し、多孔質フィルタ1の先端をこの測定用電極(関電極)と対になっている不関電極に当てて通電可能状態にする。そして、測定開始ボタン4を押し、ケーブル線7を介して電圧発生回路6から導電金属2に予備パルス電圧を印加する。仮にこのような前処理を行うことなく測定を開始した場合には、導電金属2近傍を含む電解質溶液の帯電などの電気的条件が一定になり、導電金属2と電解質溶液との間の分極電圧が安定するまでの安定化待ち時間が発生してしまう。電極に所定周期でパルス電圧を印加したとき、その応答電流の波形は、図2に実線で示すように電圧印加時の初期電流をピーク値として時間とともに次第に減衰していくような波形となる。しかしながら、このような安定化待ち時間が発生すると、図2中に破線で示すように応答電流の減衰度が変化してしまい、測定結果を有効に活用できなくなる可能性がある。このような不具合に対して本実施形態では、予備パルス電圧を印加することによって、測定に先立ち導電金属2近傍を含む電解質溶液の帯電などの電気的条件を一定にすることができ、応答電流の波形のばらつきを抑えて、安定した測定結果を得ることができる。
【0027】
以上のような前処理の後、グリップ3を持って多孔質フィルタ1の先端部をツボに当て、測定開始ボタン4を押す。測定開始ボタン4を押すことにより電圧発生回路6にトリガ信号が出力されるが、ディレイ回路5によって3秒間のディレイ時間が与えられるので、実際に電圧発生回路6から導電金属2にパルス電圧が印加され、電気的特性値の測定が開始されるのは、測定開始ボタン4を押してから3秒後であり、多孔質フィルタ1の先端部をツボに当ててから3秒以上経過してからとなる。このように3秒間以上、電解質溶液を含んだ多孔質フィルタ1が皮膚に当てられることにより、角質層の乾燥度の個人差をとりのぞき角質層の導電率を略一定にするのに十分な水分が角質層に与えられる。これにより、高い測定精度で電気的特性値を測定することが可能になる。図3(a),図3(b)は皮膚に多孔質フィルタ1を当ててから測定開始までの経過時間と測定精度との関係について試験した結果を示す図であり、図3(a)は電圧印加時の初期電流量を測定した結果を示し、図3(b)は電圧印加時の初期電流変化量(応答電流の波形の傾き)を測定した結果を示している。これらの図から、3秒以上皮膚に多孔質フィルタ1を当てた後に測定を開始することとで高い測定精度を得ることが確認できる。
【0028】
測定終了後は、使用した多孔質フィルタ1はホルダ3aから取り外して廃棄し、新たに測定を行う場合には、新しい多孔質フィルタ1を容器から取り出してホルダ3aに装着する。本実施形態の電極では測定時に直接皮膚に触れるのは多孔質フィルタ1のみであるので、多孔質フィルタ1をホルダ3aから取り外して使い捨てることで、常に衛生的に使用することができる。また、導電金属2は直接皮膚に触れることがないので、皮膚の油脂等が付着して導電金属2の導電特性が変化してしまうこともない。また、本実施形態の電極によれば、使い捨てになるのは多孔質フィルタ1のみであり、多孔質フィルタ1として上述のように廉価なフェルトを使用することで、使い捨てにすることによるコスト増も抑制することができる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態では、電圧発生回路6から導電金属2に所定周波数のパルス電圧を所定時間印加しているが、連続したステップ電圧を所定時間印加するようにしてもよい。
【0030】
また、実施形態ではディレイ回路5のディレイ時間を3秒に設定しているが、図3(a),図3(b)に示すように少なくとも3秒以上多孔質フィルタ1を当てれば高い測定精度を得ることができるので、ディレイ時間を3秒以上に設定してもよい。さらに、実施形態では電解質溶液として身近な生理食塩水を使用しているが、化粧水のようにより皮膚に浸透しやすい電解質溶液を使用した場合には、3秒未満であっても安定した測定精度を得ることができる可能性はある。
【0031】
また、実施形態では、測定開始ボタン4からトリガ信号が出力されてから3秒経過後に電圧発生回路6に電圧を発生させているが、電圧発生回路6には常に所定の周波数でパルス電圧を発生させておくようにしてもよい。この場合は、ディレイ回路5に通電のオン/オフ機能を設け、測定開始ボタン4からトリガ信号が入力されてから3秒経過後に通電をオンにし、電圧発生回路6から導電金属2にパルス電圧を印加させる。そして、パルス電圧の印加開始から所定時間経過後に通電をオフして電圧の印加を停止させる。このような構成によっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
さらに、実施形態のグリップ3はペン型であるが、施術者が持ちやすく使いやすい形状であれば他の形状でも勿論かまわない。ホルダ3aの形状やホルダ3aに装着する多孔質フィルタ1の形状についても限定はなく、実施形態のような円筒形状や円柱形状以外のものも採用することができる。
また、ホルダ3aに関しては、抗菌コート等の表面処理を行ってもよい。導電金属2にこのような表面処理を行うとその導電特性が変化してしまうが、ホルダ3aは導電金属2と異なり測定には直接関係しない部位であるので、このような表面処理も可能である。ホルダ3aが患者の皮膚に触れることの衛生面も考慮する場合には、このような抗菌処理を施すことで対応することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の電気的特性値測定用電極によれば、測定開始前に十分な水分を角質層に与えることができるので、角質層の乾燥度の個人差をとりのぞき角質層の導電率を略一定にすることができ、高い測定精度で電気的特性値を測定することが可能になる。
【0034】
また、請求項2記載の本発明の電気的特性値測定用電極によれば、導電金属近傍を含む電解質溶液の帯電などの電気的条件を一定にすることができるので、測定初期における応答電流の波形のばらつきを抑えて安定した測定結果を得ることができ、本発明の電気的特性値測定用電極の長所を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電気的特性値測定用電極の概略図であり、一部は断面を示している。
【図2】図1の電気的特性値測定用電極の使用方法とその作用効果を説明するための図である。
【図3】皮膚に多孔質フィルタを当ててから測定開始までの経過時間と測定精度との関係について試験した結果を示す図であり、(a)は電圧印加時の初期電流量を測定した結果を示す図、(b)は電圧印加時の初期電流変化量(応答電流の波形の傾き)を測定した結果を示す図である。
【図4】皮膚の乾燥度(導電率)と電圧印加時の応答電流の波形との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 多孔質フィルタ
2 導電金属
3 グリップ
3a ホルダ
4 測定開始ボタン
5 ディレイ回路
6 電圧発生回路
7 ケーブル線
8 信号線
Claims (2)
- グリップと、
上記グリップの先端部に設けられた導電金属と、
上記導電金属に接触した状態で上記グリップの先端部に設けられ、測定時には上記導電金属とともに或いは単独で皮膚への接触部となる、電解質溶液によって湿潤された多孔質フィルタと、
上記導電金属とケーブル線で接続された電圧発生回路と、
上記電圧発生回路から上記導電金属へ電圧を印加させるためのトリガ信号を出力する測定開始スイッチと、
上記測定開始スイッチと上記電圧発生回路との間に設けられ、上記測定開始スイッチから上記トリガ信号が出力されてから、上記電圧発生回路から上記導電金属に電圧が印加されるまでの間に少なくとも3秒の遅れを発生させるディレイ回路とを備えたことを特徴とする、生体の電気信号測定用電極。 - 上記電圧発生回路は、測定に先立ち、上記多孔質フィルタが通電可能状態にされて上記測定開始スイッチが操作されると、上記導電金属に予備パルス電圧を印加する
ことを特徴とする、請求項1記載の生体の電気信号測定用電極。
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