JP4097396B2 - 歯磨き練習用模型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は歯磨き練習用模型に関し、特に、だれでもどこでも効果的な歯磨きの練習が可能な歯磨き練習用模型に関する。
【0002】
【従来の技術】
この発明に興味のある歯垢発見歯磨き剤がたとえば実開平6−10334号公報に開示されている。
【0003】
同公報には、歯磨き剤と歯垢発見剤を調合した歯垢発見歯磨き剤を歯垢除去歯ブラシに付けて歯を磨くことにより、容易に歯垢の発見できる歯ブラシが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の歯垢除去を容易に知ることができる装置は上記のように構成されていた。歯垢が残っている場所の発見は容易ではあるが、従来の歯磨き練習装置においては、染色後、洗口を1〜2回行ない、余分な染色剤を洗い流す必要があったため、このような動作は鏡や水のある場所で実際に自分の歯を磨かないとその効果を知ることができない。
【0005】
一方、学校や家庭または歯科診療所等において、生徒や患者等に歯磨きの練習をさせる場合がある。このような場合に、洗口設備等の特定の設備なしで練習を行なわせるのは困難であった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、だれでも、どこでも歯垢除去のための効果的な歯磨き練習が可能な歯磨き練習用模型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る歯磨き練習用模型は、複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、複数の歯の上に設けられた顕色剤の層と、複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含む。歯垢に代わる付着物は、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊されることで、内包された染料が顕色剤と反応して所定の色を表示するとともに、寸法あるいは壁面の強度を変えることにより破壊強度が異なる複数種類のマイクロカプセルを含む。複数種類のマイクロカプセルに内包されて顕色剤と反応して発色する染料の色は、互いに異なる。
【0008】
この発明によれば、歯ブラシで顎模型または歯列模型の歯を磨くと、反復刷掃の力で歯を磨いたかどうかの効果が表示されるため、効果的な歯磨きが行なわれたかどうかを即座に知ることができる。また、顎模型または歯列模型の歯自体に歯垢に代わる付着物を設けているため、特に鏡や水等の設備は必要ない。
【0009】
したがって、どこでも、だれでも容易に効果的な歯磨きの練習が可能な歯磨き練習用模型が提供できる。
【0010】
付着物はマイクロカプセルを利用した感圧材料であるため、通常は変色あるいは脱落することなく、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用した場合のみにカプセルが破壊されて所定の効果を表す。したがって、歯ブラシによりよく磨けたかどうかを容易に知ることができる。
【0011】
付着物は歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したとき脱落する着色材料であってもよい。歯ブラシによる反復刷掃の力が作用した時に着色材料が脱落するため、歯ブラシによりよく磨けたかどうかを容易に知ることができる。
【0012】
さらに好ましくは、歯列模型は複数の歯を含み、複数の歯は直線状または通常の配列よりも大きい円弧状に配列されている。
【0013】
歯列模型に設けられた歯は、通常の人の歯並びではなく、直線状に配列されている。歯列模型を交換することにより、各歯に対して同様の練習が複数回可能になる。
【0014】
好ましくは、複数の歯と、顕色剤の層と、複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物である染料を内包したマイクロカプセルの層と、が所定のバインダで接着されて設けられる。
この発明に係る別の歯磨き練習用模型は、複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、複数の歯の上に設けられた複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含む。歯垢に代わる付着物は、顕色剤を内包したマイクロカプセルと、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊されることで、内包された染料が顕色剤と反応して所定の色を表示するためのマイクロカプセルとが混合された層とを含む。
好ましくは、複数の歯と、混合された層とが所定のバインダで接着されて設けられる。
この発明に係る別の歯磨き練習用模型は、複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含む。歯垢に代わる付着物は、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊される香料を内包するマイクロカプセルを含む。
【0015】
使用者の好みに応じた染料や香料を用いるため、使用者の歯磨きに対する興味を引くことが可能になる。また、染料や香料を特定の市場にある歯磨き剤等と合わせておくことにより、当該商品の宣伝にも用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1(A)はこの発明の一実施の形態に係る顎模型の平面図であり、図1(B)は図1(A)においてIB−IBで示す部分の断面図である。図1を参照して、顎模型10は、人間の通常の歯並びで複数の歯11が通常の形態で隣接して設けられている。
【0018】
顎模型10は下地が石膏で作成された石膏模型であっても、下地がプラスチックで形成されたプラスチック模型であっても、プレスした紙の模型でもよく、その歯の上に以下に説明する各種の層が設けられる。
【0019】
図2(A)は図1に示した顎模型10において、線IIA−IIAで示した部分の歯11の表面の断面を示す拡大模式図である。図2(A)を参照して、歯11の表面には、染料14を内包したマイクロカプセルの層12と、マイクロカプセルの層12に内包された染料14を発色させるための顕色剤の層13とが設けられる。
【0020】
ここで、歯11と顕色剤の層13およびマイクロカプセルの層12とは所定のバインダで接着され、顎模型10は形成される。
【0021】
次にこの顎模型10を用いた歯磨き練習の手順について説明する。歯磨きの練習を行なう人は、マイクロカプセルの層12と顕色剤の層13とが塗布された顎模型10に対して図示のない歯ブラシで歯の表面を磨く。歯ブラシの毛先が顎模型10の歯11に直接接触して歯11に反復刷掃の力が作用したとき、マイクロカプセルの層12に含まれたマイクロカプセル12aが破壊され、それによって内包した染料14が歯11の表面を覆う。この染料14は顕色剤の層13を構成する顕色材15と反応して所定の色を表示する。すなわち、顎模型10において、歯ブラシが歯11に直接当った部分については所定の染料の色によって歯11の表面が染色されるため、うまく歯ブラシによる歯磨きが行なわれているか否かを即座に知ることができる。
【0022】
ここで、マイクロカプセル12aとしては、たとえば特許第2851302号に開示された水溶性物質内包マイクロカプセル等が好ましい。図3はそのようなマイクロカプセルの組成を示す図である。図3に示すように、染料としては青色や赤色等の所望の色を選択できる。
【0023】
マイクロカプセルは、マイクロカプセルの寸法またはマイクロカプセルの壁面の強度を変えることによりマイクロカプセルの破壊強度を変えることができる。したがって、マイクロカプセルに内包される発色剤の色をマイクロカプセルの大小、またはマイクロカプセルの強度により異なるようにすると、歯ブラシによる刷掃力の強弱により色の変化が表われ、刷掃力が適切であるかどうかを容易に確かめることができる。
【0024】
なお、図2(A)では、歯11の上に顕色剤の層13を設け、その上にマイクロカプセルの層12を設けたがこれに限らず、図2(B)に示すように、歯11の上に顕色剤15とマイクロカプセル12aを混合させた層を設けてもよい。
【0025】
さらに、マイクロカプセル12aの中に染料14と顕色剤15とを別々に内包してバインダ16で結合してもよい(図2(C))。
【0026】
また、ここで染料14は人体の口に入る可能性があるため、食品系の染料であることが好ましい。
【0027】
図1に示す歯11の表面には、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用した時に脱落する着色剤料を塗布してもよい。このような着色剤料としては、歯磨き剤が好ましい。
【0028】
なお、顎模型10としては、自分の歯形を用いるのが最も適切である。また、歯列不整の箇所がある場合においても、この発明の実施の形態に係る顎模型10では、外部から自由に歯列に対してアクセスが可能であるため、どのように歯磨きをするのがよいのかがよりわかりやすくなる。
【0029】
また、このような歯磨き練習用模型であれば、複数の模型を使用して同時に歯磨きの指導が可能であるため、小集団における指導に適している。
【0030】
つぎに、この発明にかかる歯磨き練習用模型の他の例について説明する。
図4はこの発明の第2実施の形態に係る歯磨き練習用模型としての歯列模型20の平面図(A)、正面図(B)および図4(A)で矢印IVC−IVCで示した部分の断面図(C)である。
【0031】
第2実施の形態においては、歯列模型20は図1のような通常の人間の歯の配列になった顎模型10ではなく、ほぼ直線状に歯11が配列される。
【0032】
歯11をこのように配列することによって、歯11のどの部分が容易に歯磨きができ、どの部分が歯磨きが困難であるかということをより容易に認識することができる。
【0033】
また、歯列模型20を変えることによって、複数回にわたって同様の歯磨きの練習が可能になる。
【0034】
なお、この配列は直線状に限らず、図1に示した通常の人間の歯の配列よりも大きい円弧状であってもよい。
【0035】
図5はこの発明の第3実施の形態に係る歯磨き練習用模型としての歯列模型30を示す図である。(A)は下で説明する歯11の要部を示す平面図であり、(B)は(A)のVB−VBで示す部分の断面図であり、(C)は(A)のVC−VCで示す部分の断面図である。
【0036】
図5を参照して、第3の実施の形態においては、歯11が歯の表側の上部11a、歯の表側の下部11b、歯の裏側の上部11cの部分と、臼歯11dの部分と、歯の裏側の下部11eの部分の3つの部分に分けて配列されている。このように配列されているため、各歯の位置に適した歯磨きの練習が可能になる。
【0037】
図6は上記した第3実施の形態に係る歯磨き練習用模型の変形例としての歯列模型40を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は(A)のVIB−VIBで示す部分の断面図であり、(C)は(A)のVIC−VICで示す部分の断面図である。
【0038】
図6を参照して、この変形例においては、歯11の表側の上側と下側とが上下に配置された部分11fと、左右の臼歯部分11gおよび11hとが平面状に並べて配置されている。
【0039】
図7はこの発明の第3実施の形態に係る歯磨き練習用模型の更なる変形例としての歯列模型50を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は(A)のVIIB−VIIBで示す部分の断面図である。
【0040】
図7を参照して、この変形例においては、歯11の裏側が上側の歯の部分11iと下側の歯の部分11jとに分かれて配列されている。
【0041】
図8はこの発明の第3実施の形態に係る歯磨き練習用模型の更なる変形例としての歯列模型60を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は(A)のVIIIB−VIIIBで示す部分の矢視図であり、(C)は(A)のVIIIC−VIIICで示す部分の断面図であり、(D)は(A)のVIIID−VIIIDで示す部分の断面図である。
【0042】
図8(A)を参照して、歯列模型60は歯の表側の上下のグループ16a、歯の裏側の上下のグループ16b、臼歯のグループ16cを含む。図8(C)、図8(D)に示すように歯の表側の上下のグループ16a、歯の裏側の上下のグループ16bはそれぞれ凸状の円弧状および凹状の円弧状に形成されている。このように形成されているため、表側の歯か裏側の歯かを容易に識別でき、より実際に即した歯磨きの練習が可能になる。
【0043】
また、図8(A)に示すように歯と歯の間に隙間17を設けることにより、ブラッシングだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用した時の効果を確かめることができる。
【0044】
さらに、歯だけでなく、図8(A)に示すように、歯の周囲の歯肉部分18にもマイクロカプセルを取り付けてもよい。そうすれば、歯肉マッサージにも使用することができる。
【0045】
これら変形例においてはそれぞれの配列に適した歯磨きの練習が可能になる。
なお、歯列模型20、30、40、50および60に歯列不整の個所を設けることにより、歯磨きがいかに困難であるかを歯磨き練習を通じて理解したりして、矯正歯科治療の必要性を促すことができる。
【0046】
第2および第3の実施の形態およびその変形例においても、歯列模型20,30、40、50および60の材料や、歯11上に設けられる各種の層は第1の実施の形態における顎模型10と同じである。
【0047】
この発明の実施の形態に係る顎模型10または歯列模型20,30、40、50および60においては、顎模型10または歯列模型20,30、40、50および60を客観的に観察できるため、各歯の歯面を分割して歯磨きの練習が可能であり、歯ブラシの毛先がどう当ったときに最も歯垢が落ちやすいかがよくわかる。すなわち、歯ブラシの毛先が直接作用したとき、歯垢が落ちるが、その毛先がどのように当っているかによって落ち方が違い、歯の面に対してどういう角度が効果的かということを容易に確かめることができる。
【0048】
なお、上記各実施の形態においては、マイクロカプセル12aの内部には所定の染料14を内包したが、これに限らず、香料を内包してもよい。この場合は、爽快感を与え、歯磨き剤を使いやすくし、香味の調和を図ることができる。また、特定のメーカの歯磨き剤の香料を含めることにより、この歯磨き用模型で練習したユーザが特定の歯磨き剤に好感を持ち、当該製品の販売促進につなげることもできる。染料と香料とを共に内包してもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、上記実施の形態においては、顎模型10または歯列模型20,30、40、50および60を構成する歯11としては、通常の歯を用いたが、これに限らず、歯の代わりに、アニメ等のキャラクタの立体モデルを歯の代わりに用いてもよい。こうすれば、子供達が喜んで歯磨きの練習をするという効果が得られる。
【0050】
さらに、歯列模型自体を動物の歯に適用してもよい。図9はそのような一例を示す模式図である。図9を参照して、歯列模型全体をワニの形状とし、ワニの歯の部分に上記した歯列模型20、30、40、50または60を設ける。なお、歯列模型を設ける動物等としてはワニに限らず、ライオン等任意の動物を任意の向きの利用してもよいことはいうまでもない。この場合も、上記と同様に子供達が喜んで歯磨きの練習をするという効果が得られる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態に係る顎模型の平面図および断面図である。
【図2】 図1に示した顎模型における歯の表面部分の模式図である。
【図3】 マイクロカプセルの成分を示す図である。
【図4】 この発明の第2実施の形態に係る歯列模型を示す模式図である。
【図5】 この発明の第3実施の形態に係る歯列模型を示す模式図である。
【図6】 この発明の第3実施の形態の変形例に係る歯列模型を示す模式図である。
【図7】 この発明の第3実施の形態の変形例に係る歯列模型を示す模式図である。
【図8】 この発明の第3実施の形態の変形例に係る歯列模型を示す模式図である。
【図9】 歯列模型自体を動物の歯に適用した場合の例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 顎模型、11 歯、12 マイクロカプセルの層、12a マイクロカプセル、13 顕色剤の層、14 染料、15 顕色剤、20,30,40,50、60 歯列模型。
Claims (6)
- 複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、
前記複数の歯の上に設けられた顕色剤の層と、
前記複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含み、
前記歯垢に代わる付着物は、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊されることで、内包された染料が顕色剤と反応して所定の色を表示するとともに、寸法あるいは壁面の強度を変えることにより破壊強度が異なる複数種類のマイクロカプセルを含み、
前記複数種類のマイクロカプセルに内包されて前記顕色剤と反応して発色する染料の色は、互いに異なる、歯磨き練習用模型。 - 前記複数の歯と、前記顕色剤の層と、前記複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物である前記染料を内包したマイクロカプセルの層と、が所定のバインダで接着されて設けられる、請求項1に記載の歯磨き練習用模型。
- 複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、
前記複数の歯の上に設けられた前記複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含み、
前記歯垢に代わる付着物は、顕色剤を内包したマイクロカプセルと、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊されることで、内包された染料が前記顕色剤と反応して所定の色を表示するためのマイクロカプセルとが混合された層とを含む、歯磨き練習用模型。 - 前記複数の歯と、前記混合された層とが所定のバインダで接着されて設けられる、請求項3に記載の歯磨き練習用模型。
- 前記複数の歯は直線状または通常の配列よりも大きい円弧状に配列されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯磨き練習用模型。
- 複数の歯を有する顎模型または歯列模型と、
前記複数の歯の表面の歯垢に代わる付着物とを含み、
前記歯垢に代わる付着物は、歯ブラシによる反復刷掃の力が作用したときに、破壊される香料を内包するマイクロカプセルを含む、歯磨き練習用模型。
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