JP4097140B2 - 半導体処理装置およびその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板に対して熱処理を行う半導体処理装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1は、反応室内の多くの半導体ウエハに対する加熱を、複数のヒータ相互の熱干渉を考慮しつつ行う方法を開示する。
特許文献1に開示された方法においては、複数のヒータそれぞれ温度変化と、反応室内の複数の温度測定位置において測定される温度変化との関係を示す「伝達ゲイン行列」と呼ばれる行列が用いられる。
反応室内には、ヒータの温度変化を敏感に反映する部分と、その限りではない部分とがあるので、温度測定位置を適切に選択しないと、反応室内の温度を均一化することができない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−102317号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、正確なヒータと反応室内との温度変化の関係に基づいて、正確な温度制御を行うようにした半導体処理装置およびその方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ヒータ近傍の温度分布を最適な位置で測定しつつ、半導体に対する処理を行うことができる半導体処理装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
[半導体処理装置]
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の半導体処理装置は、外部から与えられる制御量に従って、反応室内に収容された基板を加熱する複数の加熱手段と、前記複数の加熱手段またはその近傍の温度分布を示す第1の値を測定する複数の第1の検出手段と、前記加熱される複数の第1の検出手段より基板近傍の温度分布を示す第2の値を測定する複数の第2の検出手段と、複数の前記制御量に従って、前記反応室内が加熱された場合に得られる前記第1の値の変化および前記第2の値の変化と、前記複数の制御量とに基づいて、前記第1の検出手段の位置を決める位置決め手段とを有する。
【0006】
また、本発明に係る第2の半導体処理装置は、外部から与えられる制御量に従って、反応室内に収容された基板を加熱する複数の加熱手段と、前記複数の加熱手段またはその近傍の温度分布を示す値を測定する複数の検出手段と、複数の前記制御量に従って、前記反応室内が加熱された場合に得られる前記温度分布の値の変化と、前記複数の制御量とに基づいて、前記検出手段の位置を決める位置決め手段とを有する。
【0007】
【発明の実施の形態】
[本発明の背景]
本発明の理解を助けるために、実施形態の説明に先立って、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。
【0008】
[半導体処理装置1]
図1は、本発明が適応される半導体処理装置1の全体構成を示す図である。
図2は、図1に示したボート14およびウエハ12を収容した状態の反応室3およびその周辺の断面を例示する図である。
【0009】
図1に示すように、半導体処理装置1は、カセット授受ユニット100、カセット授受ユニット100の背面側に設けられたカセットストッカ102、カセットストッカ102の上方に設けられたバッファカセットストッカ104、カセットストッカ102の背面側に設けられたウエハ移動機106、ウエハ移動機106の背面側に設けられ、ウエハ12がセットされたボート14を搬送するボートエレベータ108、ウエハ移動機106の上方に設けられた反応室3、および、制御部2から構成される。
【0010】
図2に示すように、図1に示した反応室3は、中空のヒータ32、例えば石英からなるアウタチューブ350、例えば石英からなるインナチューブ352、ガス導入ノズル340、円筒フランジ342、炉口蓋344、排気管346およびガス流量調整器(図示せず)などのその他の構成部分から構成され、断熱材300により覆われている。
ヒータ32は、それぞれに対する温度の設定および調節が可能な3つの温度調節部分(U,C,L)320−1〜320−3、および、温度調整部分320−1〜320−3それぞれとアウタチューブ350との間に配設される温度センサ322−1〜322−3を含む。
【0011】
なお、以下の説明においては、温度調整部分320−1〜320−3など、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示す場合には、単に、温度調整部分320と略記することがある。
また、以下の説明において、温度調整部分320−1〜320−3など、構成部分の個数を示す場合があるが、構成部分の個数は、説明の具体化・明確化のために例示されたものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図して挙げられたものではない。
【0012】
ヒータ32の温度調整部分320−1〜320−3は、例えば、1つの連続したヒータ32の巻線から、複数のタップを引き出すことにより、あるいは、それぞれ独立した巻線を有する3個のヒータを設けることにより実現される。
アウタチューブ350とインナチューブ352とは、ヒータ32と同心に設けられ、これらの間には、閉塞された筒状空間が形成される。
【0013】
[半導体処理装置1による膜形成の概要]
半導体処理装置1は、例えば、いわゆる縦型CVD装置であって、これらの構成部分により、制御部2(図1)の制御に従って、反応室3内に所定の間隔で並べられた半導体ウエハ12に対して、CVDにより、Si3N4膜、SiO2膜およびポリシリコン(Poly−Si)膜などの形成を行う。
半導体処理装置3による膜形成をさらに説明する。
ガス導入ノズル340(図2)は、アウタチューブ350の内部に連通し、反応ガスを導入する。
【0014】
円筒フランジ342は、インナチューブ352に連通する排気管346などを保持する。
インナチューブ352には、例えば石英からなるボート14が装入され、ボート14は、炉口蓋344に立設される。
炉口蓋344は、ボートエレベータ108(図1)に設けられ、円筒フランジ342の下端を閉塞する。
【0015】
被処理物のウエハ12は、ウエハカセット490(図1)に装填された状態で搬送され、カセット授受ユニット100に授載される。
カセット授受ユニット100は、このウエハ12を、カセットストッカ102またはバッファカセットストッカ104に移載する。
ウエハ移動機106は、カセットストッカ102からウエハ12を取り出し、ボート14に水平な状態で多段に装填する。
【0016】
ボートエレベータ108(図1)は、ウエハ12が装填されたボート14を反応室3内に導く。
ヒータ32の3つの温度調節部分(U,C,L)320−1〜320−3それぞれは、設定に従ってアウタチューブ350の内部を加熱し、ガス導入ノズル340から反応ガスを導入する。
この加熱の際には、温度センサ322−1〜322−3が検出する温度調整部分320−1〜320−3の温度に基づくフィードバック制御が、適宜、行われる。
導入されたガスは、インナチューブ352内部を上昇し、その上部で折り返されて降下し、排気管346から排出される。
【0017】
このように、反応室3において、高温下でウエハ12が反応ガスに接触し、膜形成などの処理がなされる。
膜形成が終わると、ボート14が反応室3から引き出され、ウエハ移動機106により、ボート14にセットされたウエハ12は、ウエハカセット490に移載され、膜形成済の半導体ウエハ12として、外部搬送装置により搬出される。
なお、以下、温度センサ322−1〜322−3など、複数ある構成部分を、いずれかを特定せずに示す場合には、適宜、単に温度センサ322などと略記することがある。
【0018】
[制御部2]
図3は、図1に示した制御部2の構成を示す図である。
図3に示すように、制御部2は、CPU200、メモリ204、表示装置、タッチパネルおよびキーボード・マウスなどを含む表示・入力部22、および、HD・CDなどの記録部24から構成される。
【0019】
つまり、制御部2は、半導体処理装置1を制御可能な一般的なコンピュータとしての構成部分を含む。
制御部2は、これらの構成部分により、半導体処理装置1の各構成部分を制御して、半導体ウエハ12に対する処理を行わせる。
【0020】
[温度センサ322の位置決めの困難さ]
次に、半導体処理装置1において、温度センサ322を設ける位置を決めることの困難さを説明する。
温度センサ322としては、通常、熱電対が用いられ、アウタチューブ350内の金属汚染およびパーティクルの発生を防ぐために、温度センサ322は、図2に示したように、アウタチューブ350の外側、ヒータ32の近傍に配設される。
従って、半導体処理装置1においては、アウタチューブ350内部の半導体ウエハ12の(ボート14近傍)温度を直接、測定することはできない。
つまり、アウタチューブ350の外、ヒータ32近傍のヒータ32の温度調整部分320−1〜320−3それぞれの温度測定値を用いて、アウタチューブ350の内部の半導体ウエハ12の温度(ボート14近傍の温度)が所望の値になるように制御しなければならない。
【0021】
全ての半導体ウエハ12に対して均一な処理を行うためには、ボート14近傍において、半導体ウエハ12が存在する領域(図2に符号dを付して示す領域;領域d)全てで、温度を均一にする必要がある。
このように、ボート14近傍の領域dを均一な温度にするように制御するためには、通常、温度センサ322−1〜322−3は、それぞれ領域dの上端と中心と下端に設けられる。
なお、温度センサ322の数は、ヒータ32の温度調整部分320それぞれに対応して設けられるので、一般的には、通常、温度調整部分320の数と同数の温度センサ322が、領域dに任意の間隔で設けられることになる。
【0022】
しかしながら、ボート14近傍の半導体ウエハ12が存在する領域dの温度を均一にするように制御するためには、このような任意の間隔の温度センサ322の配置は、以下に示す原因1,2により、最適でないことがある。
まず、ヒータ32近傍の温度センサ322の温度測定値を用いてボート14近傍の温度を近似することはできるが、近似により得られた温度と、実際の温度とか一致していないことがある(原因1)。
次に、温度センサ322はそれぞれ配設された部分の温度のみを測定することはできるが、配設された部分以外の温度を測定することができない。
従って、これら温度センサ322の間の温度調整部分320実際の温度を直接測定した結果に基づいた温度制御はできない(原因2)。
【0023】
図4は、反応室3(図2)において、第1〜第3の温度センサ322−1〜322−3が測定したヒータ32の第1〜第3の温度調整部分320−1〜320−3それぞれの温度が設定温度Tである場合に、ヒータ32の半導体ウエハ12に対応する領域a〜dの実際の温度分布を、鉛直方向に例示する図である。
図5は、反応室3(図2)のヒータ32の温度分布が図4に例示した通りである場合において、ボート14近傍の領域a〜dの実際の温度分布を、鉛直方向に例示する図である。
【0024】
なお、図4,図5において、領域a〜cは、それぞれ温度調整部分320−1〜320−3の範囲を示し、領域dは、上述のように半導体ウエハ12の範囲を示す。
また、以下、温度分布をグラフ形式で示す各図において、垂直軸は、反応室3の鉛直方向を示し、水平軸は温度を示す。
【0025】
温度調整部分320−1〜320−3それぞれにおいて温度センサ322−1〜322−3が配設された位置(測定点)の温度測定値A〜Cが、所望の設定温度Tと測定された場合を考える。
このような場合であっても、温度調整部分320−1〜320−3それぞれの中央部分の温度は、一般に、これらの両端部分(上下端部分)よりも高くなるので、測定点以外の温度調整部分320−1〜320−3の温度分布(以下、「温度調整部分320−1〜320−3の温度分布」などと記す)は、図4に例示するように、均一にならないことがある。
【0026】
つまり、温度調整部分320−1〜320−3それぞれは、上述したように、中央部分の温度が高くなり、両端部の温度が低くなるので、図4に点線A〜Cで示す温度分布を与える。
これら温度調整部分320−1〜320−3それぞれによる温度分布が重ね合わされると、図4において実線Dで示すような温度分布となる。
【0027】
さらに、温度調整部分320−1〜320−3の温度分布が、図4に示す通りである場合には、ボート14近傍の温度分布は、図5に例示するように、均一にならないことがある。
つまり、温度調整部分320−1〜320−3それぞれは、上述したように、中央部分の温度が高くなり、両端部の温度が低くなるので、ボート14の近傍に対して、図5において点線A’〜C’で示す温度分布を与える。
これら温度調整部分320−1〜320−3それぞれが、ボート14の近傍に与える温度分布が重ね合わされると、図5に実線D’で示すような温度分布を与える。
【0028】
図4に示したように、温度調整部分320−1〜320−3(図2)それぞれを、これらの温度測定値A〜Cが設定温度Tに等しくなるように制御することは、図5に示したように、ボート14の近傍の温度分布を可能な限り均一にするためには、必ずしも適切でない。
つまり、図4,図5を比較参照すると、ボート14の近傍の温度分布(実線D’;図5)を可能な限り均一にするためには、ヒータ32の上下の温度調整部分320−1,320−3(点線A,C;図4)の温度を、中央の温度調整部分320−2(点線B;図4)の温度よりも高くなるように制御するか、あるいは、中央の温度調整部分320−2の温度を、より低くなるように制御すればよいことがわかる。
このように、ボート14の近傍の温度分布の均一化のためには、温度調整部分320−1〜320−3それぞれに対して異なる温度を設定し、温度センサ322−1〜322−3それぞれの測定温度が、これらの設定値となるように制御すればよい。
【0029】
具体的には、例えば、ヒータ32の上下の温度調整部分320−1,320−3(図2)それぞれの温度を、図4に例示した場合よりも低く設定し、かつ、中央の温度調整部分320−2の温度を、図4に例示した場合よりも高く設定して、温度調整部分320−1〜320−3の温度を制御すればよい。
このような温度調整部分320−1〜320−3それぞれに対する設定温度Tの決定方法の例として、技術者が、温度調整部分320−1〜320−3およびボート14近傍の温度の温度分布のグラフ(図4,図5)を比較・参照して、勘と経験に基づいて求める方法などを挙げることができる。
【0030】
しかしながら、このように温度分布の実測値に基づいて温度調整部分320−1〜320−3(図2)それぞれに対する設定温度Tを求めても、このように求められた設定温度Tは、ボート14近傍の範囲d(図2,図4,図5)の温度分布の均一化のためには、最適でない可能性がある。
以下、さらに、図6,図7を参照して、最適な設定温度Tが求められ得ない理由を説明する。
【0031】
図6は、図4に示した第1〜第3の温度調整部分320−1〜320−3の温度分布の変化を、その領域a,bの境界部分について拡大して例示する図である。
図7は、図5に示したボート14付近の温度分布の変化を、その領域a,bの境界部分について拡大して例示する図である。
なお、図6において、点線Bは図4における点線Bに対応し、点線Eは同・点線Aに対応し、実線Fは同・実線Dに対応する。
また、図7において、実線B’は図5における点線B’に対応し、点線G’は同・点線A’に対応し、実線H’は同・実線D’に対応する。
【0032】
まず、図6を参照する。
ヒータ32の温度調整部分320−1(図2)に対する電力供給のみを、例えば3段階で制御すると、点線Eに示すように、温度調整部分320−1の平衡後の温度は、3つの段階の間で変化する。
従って、温度平衡状態における温度調整部分320−1の領域aの温度分布は、温度調整部分320−1の温度変化に従って、実線Fに示すように3つの段階の間で変化する。
【0033】
つまり、温度調整部分320−1の温度分布は、温度調整部分320−1に対する電力供給を増せば増すほど、矢印eの方向に変化する。
このような場合において、温度調整部分320−1に付された温度センサ322−1(図2)の位置(測定点)が、図6に示した通りである場合には、温度調整部分320−1の領域aの中央部分における温度分布の変化が大きいにもかかわらず、測定点における温度変化が小さいことがある。
【0034】
一方、図7に示したように、ボート14近傍の領域b(図2など)の元の温度は、領域aの元の温度よりも低く、しかも、温度調整部分320−1の温度変化の影響を受けやすい位置なので、ボート14近傍の領域a,bの境界部分の温度変化が大きくなってしまう。
このように、温度センサ322−1の温度測定結果に大きな変化がないにも関わらず、温度センサ322−1の温度変化が、領域a,bの境界付近のボート14近傍に対して、大きな影響を与えてしまう。
【0035】
つまり、温度調整部分320−1(図2)の測定点を、図6に示した通りとすると、ここで温度センサ322−1が測定する温度に変化が少ないので、温度調整部分320−1を設定温度Tとすることは容易である。
一方、図6に示した測定点に配設された温度センサ322−1の測定温度に小さな変化しかなくても、ボート14の近傍の温度変化は比較的、大きいので、温度センサ322−1の測定温度に基づき、ボート14の近傍の温度分布を均一にする制御は難しい。
つまり、温度センサ322−1が、図6に示した測定点にあると、ボート14の近傍の温度分布を均一化するための制御が、適切に行なわれ得ない可能性がある。
【0036】
以上、説明したように、ヒータ32の温度センサ322−1〜322−3(図2)それぞれを、温度調整部分320−1〜320−3に対して適切な位置(測定点)に配設しないと、ボート14の近傍の温度分布を均一するために最適な温度情報が得られない可能性がある。
しかしながら、上述したように、温度センサ322−1〜322−3は、通常、温度調整部分320−1〜320−3の中央部分に配設されているが、このように配設された温度センサ322−1〜322−3からは、このような目的のための適切な温度情報が得られない可能性がある。
【0037】
このように、温度センサ322−1〜322−3(図2)の配設位置(測定点)は、ボート14近傍の温度分布を均一化するために重要であるにもかかわらず、適切に決定するための方法は確立されておらず、一般に、技術者の経験などに基づいて決定されてきた。
本発明は、このような背景からなされたものであり、温度センサ322−1〜322−3を、最適な測定点に配設することができるように工夫されている。
【0038】
[伝達ゲイン行列W,S]
次に、本発明にかかる半導体処理装置1における温度センサ322の配設位置を決めるために用いられ、それぞれ、温度調整部分320に対して供給される電力の変化と、ボート14近傍の温度分布の変化との関係を行列形式で示す伝達ゲイン行列W、および、温度調整部分320に対して供給される電力の変化と、温度センサ322により検出される温度の変化との関係を行列形式で示す伝達ゲイン行列S、および、これら伝達ゲイン行列W,Sの求め方を説明する。
なお、ここで述べる伝達ゲインおよび伝達ゲイン行列は、上記特許文献1においても開示されている。
【0039】
図8は、本発明にかかる伝達ゲイン行列W,Sを求めるために用いられる第2の反応室4の構成を示す図である。
図9は、図8に示した第2の反応室4を制御する第1のヒータ駆動回路36と、ボート14の近傍およびヒータ32の温度分布を測定する第1の温度測定部38を示す図である。
図8に示すように、第2の反応室4においては、図2に示した第1の反応室3の温度センサ322−1〜322−3が、ヒータ32(温度調整部分320−1〜320−3)の近傍に、その温度分布を測定可能なように、充分、狭い間隔で配設され、それぞれ温度を測定するm(mは複数)個の温度センサ324−1〜324−mで置換されている。
さらに、第2の反応室4は、第1の反応室3とは異なり、ボート14の近傍に、温度分布を測定可能なように、充分、狭い間隔で配設されたn(nは複数)個の温度センサ326−1〜326−nを有している。
【0040】
また、図9に示すように、反応室4のヒータ32は、ヒータ駆動回路36により駆動される。
ヒータ駆動回路36は、第1〜第3のヒータ駆動回路360−1〜360−3を含み、これらヒータ駆動回路360−1〜360−3それぞれは、制御部2(図1,図3)の制御に従って、温度調整部分320−1〜320−3それぞれに供給する電力を制御する。
また、温度測定部38は、制御部2の制御に従って動作し、ボート14の近傍に配設された温度センサ326−1〜326−nそれぞれ、および、ヒータ32に配設された温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値を、制御部2に対して出力する。
図8,図9に示した第2の反応室4は、図1に示した半導体処理装置1において、第1の反応室3と置換され、上述した伝達ゲイン行列W,Sを求めるために用いられる。
【0041】
まず、ヒータ32(図8など)の温度調整部分320−1〜320−3それぞれに対して、基準となる供給電力p01,p02,p03が設定される。
基準電力p01,p02,p03の値としては、例えば、第2の反応室4(第1の反応室3)において、ボート14の近傍の温度を、窒化膜形成処理などのごく一般的な処理のために好適な温度Tとするために、温度調整部分320−1〜320−3それぞれに対して供給すべきと考えられる標準的な電力値が選ばれる。
この基準電力p01,p02,p03は、例えば、下式1にP0として示すように、ベクトル表示されうる。
なお、以下、このように、供給電力の値を示すベクトルを、電力値ベクトルとも記す。
【0042】
【数1】
【0043】
制御部2(図1)は、温度調整部分320−1〜320−3(図8)それぞれに対し、上述した基準電力p01,p02,p03の供給を始めた後、ヒータ32およびボート14の近傍が熱平衡に達すると、ヒータ32の近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値TS、および、ボート14の近傍の温度センサ326−1〜326−nそれぞれの温度測定値TWを、温度測定部38を介して受ける。
温度調整部分320−1〜320−3(図8)に基準電力p01,p02,p03を供給した場合において、ヒータ32の近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値tS01〜tS0m、および、ボート14の近傍の温度センサ326−1〜326−nそれぞれの温度測定値tW01〜tW0nは、下式2−1,2−2にTS0,TW0として示すように、それぞれベクトル表示されうる。
【0044】
なお、以下、このように、温度測定値を示すベクトルを、温度測定値ベクトルとも記す。
また、ヒータ32近傍の温度センサ324の数mと、ボート14近傍の温度センサ326の数nとは、必ずしも一致しないので、温度測定値ベクトルTS0,TW0の要素数は、必ずしも一致しない。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、制御部2は、温度調整部分320−1〜320−3(図8)に対する供給電力を、基準電力p01,p02,p03からΔp1,Δp2,Δp3だけ変化させ、温度センサ324−1〜324−m,326−1〜326−nの温度測定値を得る。
つまり、例えば、下式3に示すように、制御部2は、温度調整部分320−1に対する供給電力をΔp1だけ変化させ、ヒータ32およびボート14近傍が温度平衡に達した後、温度測定部38を介して、ヒータ32近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値tS11〜tS1m、および、ボート14近傍の温度センサ326−1〜326−nそれぞれの温度測定値tW11〜tW1nを得る。
【数3】
【0047】
これらの温度測定値tS11〜tS1m,tW11〜tW1nもまた、下式4−1,4−2に温度測定値ベクトルTS1,TW1として示すように、上式2−1,2−2に示した温度測定値ベクトルTS0,TW0と同様に、ベクトル表示され得る。
【0048】
【数4】
【0049】
さらに同様に、下式5,6に示すように、制御部2は、温度調整部分320−2,320−3それぞれに対する供給電力をΔp2,Δp3だけ変化させ、ヒータ32およびボート14近傍が温度平衡に達した後、温度測定部38を介して、ヒータ32近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値tS21〜tS2m,tS31〜tS3m、および、ボート14近傍の温度センサ326−1〜326−nそれぞれの温度測定値tW21〜tW2n,tW31〜tW3nを得る。
【0050】
【数5】
【0051】
【数6】
【0052】
これらの温度測定値tS11〜tS1m,tW11〜tW1nもまた、下式7−1,7−2,8−1,8−2に温度測定値ベクトルTS2,TW2,TS3,TW3として示すように、上式2−1,2−2に示した温度測定値ベクトルTS0,TW0などと同様に、ベクトル表示され得る。
【0053】
【数7】
【0054】
【数8】
【0055】
ここで、電力値ベクトルΔPを、下式9に示すように定義する。
【0056】
【数9】
【0057】
以上説明した温度測定値ベクトルTS1,TW1,TS2,TW2,TS3,TW3および電力値ベクトルΔPから、下記式10−1,10−2にそれぞれ示す伝達ゲイン行列W,Sを定義することができる。
【0058】
【数10】
【0059】
なお、式10−1,10−2に示した伝達ゲイン行列W,Sを求める際の温度調整部分320−1〜320−3(図8)に対する供給電力の変化分、つまり、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値は、式10−1,10−2に示した温度測定値ベクトルの差分[TW1−TW0,TW2−TW0,TW3−TW0(ΔTW1,ΔTW2,ΔTW3),TS1−TS0,TS2−TS0,TS3−TS0(ΔTS1,ΔTS2,ΔTS3)]それぞれを、十分に精度良く求めることができるほどに大きい値とするとよい。
【0060】
つまり、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値を大きくすると、温度測定値ベクトルの差分ΔTW1,ΔTW2,ΔTW3,ΔTS1,ΔTS2,ΔTS3それぞれの値を十分に大きくできるので、一般に、これらの精度を上げることができる。
【0061】
しかしながら、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値を過大にすると、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値と、温度測定値ベクトルの差分ΔTW1,ΔTW2,ΔTW3,ΔTS1,ΔTS2,ΔTS3との関係に非直線性が生じることがある。
従って、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値は、好適には、温度測定値ベクトルの差分ΔTW1,ΔTW2,ΔTW3,ΔTS1,ΔTS2,ΔTS3それぞれの値を精度良く求めることができ、かつ、電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値と、温度測定値ベクトルの差分ΔTW1,ΔTW2,ΔTW3,ΔTS1,ΔTS2,ΔTS3との間の関係が、非直線性の影響を受けない範囲に選ばれる。
【0062】
以上説明した伝達ゲイン行列W,Sを用いると、温度調整部分320−1〜320−3(図8)に対する供給電力を、Δp1,Δp2,Δp3(電力値ベクトルΔPの各要素)だけ変化させたときのヒータ32およびボート14近傍の温度分布の変化ΔTW,ΔTSは、下式11−1,11−2に示すように表される。
【0063】
【数11】
【0064】
なお、以下、式11−1,11−2に示したヒータ32およびボート14近傍の温度分布の変化ΔTW,ΔTSを、温度変化分ベクトルΔTW,ΔTSとも記す。
また、伝達ゲイン行列W,Sが求められた後は、式11−1,11−2に代入される電力値ベクトルΔPの各要素Δp1,Δp2,Δp3の値は任意である。
【0065】
さらに、制御部2は、伝達ゲイン行列Wから、下式12に示すように、行列LWを求める。
【0066】
【数12】
【0067】
式12により求められた行列LWは、下式13に示すように、ボート14(図8)近傍の温度分布に所望の温度変化ΔTWを与える電力値ベクトルΔPを求めるために用いられる。
なお、温度変化ΔTWは、ボート14(図8)近傍の温度センサ326−1〜326−nそれぞれにより検出される温度変化を示し、ΔTW=(ΔtW1,ΔtW2,・・・,ΔtWn)Tのように、ベクトル形式で表され得る。
以下、この温度変化ΔTWを、温度変化ベクトルΔTWとも記す。
【0068】
【数13】
【0069】
さらに、制御部2は、式12により求められた行列LWと、伝達ゲイン行列Sとから、下式14に示すように、行列LSを求める。
【0070】
【数14】
【0071】
式14により求められた行列LSは、下式15に示すように、ボート14(図8)近傍に所望の温度変化ΔTWを与えるヒータ32近傍の温度分布の変化分ΔTSを求めるために用いられる。
なお、変化分ΔTSは、ヒータ32近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれにより検出される温度変化を示し、ΔTS=(ΔtS1,ΔtS2,・・・,ΔtSm)Tのように、ベクトル形式で表され得る。
以下、この温度変化分ΔTSを、温度変化ベクトルΔTSとも記す。
【0072】
【数15】
【0073】
なお、本願出願人による他の出願(特願2001−272218;平成13(2001)年9月7日出願)の第[0060]段落などにおいても説明されているように、行列LW(式12)を用いて、温度変化ベクトルΔTWから電力値ベクトルΔPを、式13に示したように求めることは、温度変化ベクトルΔTWから、最小2乗法により最適な電力値ベクトルΔPを求めることに相当する。
また、同様に本願出願人による上記他の出願においても説明されているように、行列LS(式14)を用いて、温度変化ベクトルΔTWから温度変化ベクトルΔTSを、式15に示したように求めることは、温度変化ベクトルΔTWから、最小2乗法により最適な温度変化ベクトルΔTSを求めることに相当する。
【0074】
さらに説明する。
連立方程式[c1=a1・X1+b1・X2,c2=a2・X1+b2・X2]を解くことを考えるときに、行列の考え方が用いられる。
この連立方程式はC=W・X(但し、Cはc1,c2を要素とする列ベクトル、Wはa1,a2,b1,b2を要素とする2×2行列、Xはx1,x2を要素とする列ベクトル)と表される。
この場合の解は、X=W-1・Cの演算により求められる。
【0075】
しかしながら、伝達ゲイン行列W,Sは正方行列とは限らないので、これらの逆行列が存在しないことがある。
例えば、連立方程式[c1=a1・X1+b1・X2,c2=a2・X1+b2・X2,c3=a3・X1+b3・X2]を、C’=W’・X(但し、Cはc1〜c3を要素とする列ベクトル、W’はa1〜a3,b1〜b3を要素とする3×2行列、Xはx1,x2を要素とする列ベクトル)のW’には逆行列が存在しない。
この場合において、X’=(WT・W)-1・WT・Cとすると、最も正解に近いX’が求められ、これは、偏差の2乗が最小となる解になっている。
【0076】
次に、制御部2は、伝達ゲイン行列Sを、下式16に示すように、r個の列ベクトルに分割する。
なお、伝達ゲイン行列Sの列数は、その定義から、ヒータ32の分割数(温度調整部分320の個数)と一致する。
従って、ここまでの説明および各式には、図8などに示した第2の反応室4の構成に従って、ヒータ32の分割数が3(r=3)である場合が示されているが、以下、ヒータ32の分割数を一般化して示す場合にはr(rは整数)を用いる。
【0077】
【数16】
【0078】
次に、制御部2は、下式17−1,17−2に示すように、行列LSおよび重み付けベクトルHから、評価行列Eを求める。
重み付けベクトルHは、行列LSの列数と同数の要素を含む列ベクトルであって、行列LSの列ベクトルのいずれか1つ以上に重み付けを行う。
つまり、重み付けベクトルHは、ボート14近傍の温度分布の不均一性を補正するためにボート14近傍の温度センサ326−1〜326−nのいずれか1つ以上の温度測定値に重み付けを行うために用いられる。
【0079】
【数17】
【0080】
なお、ボート14近傍の温度センサ326−1〜326−nのいずれか1つ以上の温度測定値に重み付けを行わない場合には、重み付けベクトルHの要素は全て1とされる。
あるいは、ボート14近傍の温度センサ326−1〜326−nの内、制御が不要な部分に対応するものがあれば、それに対応する重み付けベクトルHの要素の値は0とされる。
例えば、位置番号1〜10(図10)の内、位置番号4〜8に対応する部分に半導体ウエハ12がない場合には、この部分に対応する重み付けベクトルHの要素が0にされることがありうる。
【0081】
次に、制御部2は、下式18に示すように、評価行列Eから、位置ベクトルZを求める。
【0082】
【数18】
【0083】
式18に示した位置ベクトルZの各要素INDEXMAX(ei)が示す要素番号は、温度変化ベクトルΔTSの要素番号に対応し、位置ベクトルZの各要素INDEXMAX(ei)それぞれは、ヒータ32(図8)の温度調整部分320−1〜320−rそれぞれの温度の測定に用いるべき温度センサ324−1〜324−mの内のr個それぞれを示す。
【0084】
式17−1,17−2により与えられる評価行列E、および、式18により与えられる位置ベクトルZについて、さらに説明する。
評価行列Eの列要素eiは、ヒータ32(図8)の温度調整部分320−iに対する制御性を示している。
式17−2の第2項(LS・H)は、式15の右辺LS・ΔTWのΔTWを、重み付け行列Hで置換することにより得られる。
また、上述したように、式15は、温度変化ベクトルΔTWから、最小2乗法により最適な温度変化ベクトルΔTSを求めることに相当する。
【0085】
従って、式17−1は、ボート14(図8)近傍の温度分布の変化(温度変化ベクトルΔTW)を、重み付け行列Hの通りとした場合に、ヒータ32の近傍の温度変化(温度変化ベクトルΔTS)を、最小2乗法により最適化して求める処理を示している。
ここで、重み付けベクトルHの全要素の値を1とすると、式17−2の第2項(LS・H)は、ボート14(図8)近傍の温度分布を均一に変化させる(温度変化ベクトルΔTW=Hとする)ために最適な、ヒータ32近傍の温度分布の変化(温度変化ベクトルΔTS)を与える。
【0086】
ここで、式18に示した評価行列Eの各列ベクトルeiの内の最大値を与える要素は、ボート14(図8)近傍の温度分布を均一に変化させた(温度変化ベクトルΔTW=Hとした)ときに、最も大きく変化すべき温度変化ベクトルΔTSの要素に対応する。
反対に考えると、評価行列Eの各列ベクトルeiの内の最大値を与える要素に対応する温度変化ベクトルΔTSの要素を大きく変化させても、ボート14近傍の温度分布を均一性には大きな影響は出ない。
【0087】
つまり、評価行列Eの各列ベクトルeiの内の最大値を与える要素に対応する温度変化ベクトルΔTSの要素から、ボート14近傍の温度分布の変化(温度変化ベクトルΔTW)に対する伝達ゲインは最小となる。
従って、位置ベクトルZ(式18)の各要素それぞれに対応する温度センサ324により測定された温度変化(温度変化ベクトルΔTSの要素)により、ボート14(図8)近傍の温度変化(温度変化ベクトルΔTW)を制御することは容易である。
【0088】
また、式17−2の第1項siは、ヒータ32(図8)の温度調整部分320−iの温度変化が、ヒータ32近傍の温度分布の変化に与える影響を示す。
式17−2の第1項siは、温度調整部分320−iから、ヒータ32近傍の温度分布の変化(温度変化ベクトルΔTS)に対する伝達ゲインを示している。
【0089】
従って、siの最大の要素を選択するということは、温度調整部分320−iから、ヒータ32近傍の温度分布の変化(温度変化ベクトルΔTS)への最大の伝達ゲインを与える温度変化ベクトルΔTSの要素を選択するということである。
つまり、温度調整部分320−iから、siの最大の要素に対応する温度変化ベクトルΔTSの要素を制御することは難しい。
【0090】
以上説明したように、式18に示した位置ベクトルZの各要素は、温度調整部分320−1〜320−rそれぞれについて、温度調整部分320−1〜320−rそれぞれによる制御が最も難しく、かつ、ボート14(図8)近傍の温度変化(温度変化ベクトルΔTW)の制御が最も容易な温度変化ベクトルΔTSの要素を示している。
第2の反応室4においては、以上説明したように、制御のために最適な温度測定位置を求めることにより、ボート14近傍の温度分布を、可能な限り一様にする制御特性が得られる。
【0091】
[数値例]
以下、図8に示した第2の反応室4において、温度調整部分320の個数を3(r=3)とし、ヒータ32近傍の温度センサ324の個数を18(m=18)とし、ボート14近傍の温度センサ326の個数を10として、下式19,20に例示する伝達ゲイン行列W,Sが得られた場合を具体例とする。
【0092】
【数19】
【0093】
【数20】
【0094】
図10は、式19,20に示した伝達ゲイン行列W,Sの要素の値をグラフ形式で示す図である。
式19,20に示した伝達ゲイン行列W,Sの要素を、グラフ形式で表すと、図10に示すとおりとなる。
なお、図10において、符号W1〜W3を付した曲線は、式19に示した伝達ゲイン行列Wの第1列〜第3列の要素の値を示し、号S1〜S3を付した曲線は、式20に示した伝達ゲイン行列Sの第1列〜第3列の要素の値を示す。
【0095】
また、図10中に符号dを付して示す範囲は、第2の反応室4(図8)において、半導体ウエハ12が存在する範囲を示す。
また、図10に示すように、伝達ゲイン行列Sの第1行の位置番号は−3であって、伝達ゲイン行列Wの第1行の位置番号は1であり、上記範囲dは、位置番号1〜10の範囲に対応する。
【0096】
制御部2(図1)は、式19,20に示した伝達ゲイン行列W,Sに対して式12〜14に示した処理を行い、行列LSを求める。
式19,20からは、下式21に示す行列LSが得られる。
【0097】
【数21】
【0098】
さらに、制御部2(図1)は、式21に示した行列LS、伝達ゲイン行列Sおよび重み付けベクトルHに対して、式16,17−1,17−2に示す処理を行い、評価行列Eを求める。
式20,21にそれぞれ示した伝達ゲイン行列Sおよび評価行列Eからは、下式22に示す評価行列Eが得られる。
【0099】
【数22】
【0100】
式22に太字・下線を付して示すように、評価行列Eの第1列〜第3列において、最大の値を示す要素の番号(要素番号)は、それぞれ3,10,15である。
従って、式22に示した評価行列Eより、下式23に示す位置ベクトルZが得られる。
【0101】
【数23】
【0102】
式23により、ボート14近傍の温度分布を均一化するためには、ヒータ32(図8)の温度調整部分320−1の温度を温度センサ324−3(位置番号−1)により測定し、温度調整部分320−2の温度を温度センサ324−10(位置番号6)により測定し、温度調整部分320−3の温度を温度センサ324−15(位置番号11)により測定して、温度制御を行うことが最適であることがわかる。
以上説明したように、制御部2により、温度調整部分320−1〜320−3それぞれに最適な温度センサの位置が求められ、図2に示した第1の反応室3における温度センサ322−1〜322−3は、求められた位置に配設される。
【0103】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
以下の実施形態においては、設計試作品により温度センサ324−1〜324−3の位置が求められ、求められた位置に温度センサ324−1〜324−3が配設された製品が製造され、半導体の処理に用いられる場合が、具体例として示される。
【0104】
つまり、まず、図8に示した第2の反応室4が用いられた半導体処理装置1(図1)が、設計試作品として用いられ、この半導体処理装置1において、ヒータ32近傍の温度センサ324−1〜324−3の位置が決定される。
設計試作品により決定された位置に温度センサ324−1〜324−3が配設された第1の反応室3(図2)が装備された半導体処理装置1が、製品として量産される。
【0105】
図11は、図2に示した第1の反応室3を制御するヒータ駆動回路36、および、ヒータ32の温度分布を測定する温度測定部40を示す図である。
なお、図11に示すように、制御部2は、第1の反応室3(図2)の温度調整部分320−1〜320−3を、第2の反応室4(図8,図9)の温度調整部分320−1〜320−3と同様に、ヒータ駆動回路36を介して駆動される。
また、制御部2は、第1の反応室3の温度センサ322−1〜322−3が測定したヒータ32の温度分布を、第2の反応室4の温度センサ324−1〜324−mが測定したヒータ32の温度分布と同様に、温度測定部40を介して取り込み、温度制御に用いる。
【0106】
[温度センサ位置決めプログラム5]
図12は、第2の反応室4(図8)が用いられた半導体処理装置1(図1)の制御部2により実行される温度センサ位置決めプログラム5の構成を示す図である。
図12に示すように、温度センサ位置決めプログラム5は、装置制御部500、温度測定部502、伝達ゲイン行列作成部520,522、温度センサ位置算出部524、ユーザインターフェース部(UI部)54、データベース部(DB部)56から構成される。
【0107】
DB部56は、温度測定値DB560、伝達ゲイン行列DB562および温度センサ位置DB564から構成される。
温度センサ位置決めプログラム5は、記録媒体23(図3)などを介して、第2の反応室4が用いられた半導体処理装置1の制御部2に供給され、メモリ204にロードされて実行される。
温度センサ位置決めプログラム5は、これらの構成部分により、第2の反応室4のヒータ32近傍の温度センサ324の位置決めを行う。
【0108】
温度センサ位置決めプログラム5において、装置制御部500は、ヒータ駆動回路36(図9)を制御して、第2の反応室4(図8)の温度調整部分320−1〜320−3それぞれに対して所望の値の電力(式1,3,5,6)を供給させる。
また、装置制御部500は、温度センサ位置決めプログラム5の各構成部分の伝達ゲイン行列W,S作成のための処理を制御する。
【0109】
温度測定部502は、第2の反応室4(図8)のヒータ32近傍およびボート14近傍の温度センサ324−1〜324−m、326−1〜326−nそれぞれの温度測定値(式2−1,2−2,4−1,4−2,7−1,7−2,8−1,8−2)を、温度測定部38を介して受け、温度測定値DB560に記憶させる。
【0110】
伝達ゲイン行列作成部520は、温度測定値DB560に記憶された温度測定値を用いて、伝達ゲイン行列W(式10−1,19)を作成し、伝達ゲイン行列DB562に記憶させる。
【0111】
伝達ゲイン行列作成部522は、温度測定値DB560に記憶された温度測定値を用いて、伝達ゲイン行列S(式10−2,20)を作成し、伝達ゲイン行列DB562に記憶させる。
【0112】
温度センサ位置算出部524は、式12,14,16〜18,21〜23に示した処理を行い、ヒータ32近傍の温度センサ324−1〜324−3(図8)の位置を算出し、温度センサ位置DB564に記憶させる。
【0113】
UI部54は、半導体処理装置1(図1)の制御部2の表示・入力部22に対するユーザの操作を受け入れる。
また、UI部54は、伝達ゲイン行列作成部520,522および温度センサ位置算出部524が作成した伝達ゲイン行列W,Sおよび温度センサ324−1〜324−3の位置を、ユーザに対して表示し、あるいは、記録媒体23(図3)などに対して出力する。
【0114】
[温度センサの位置決めおよび製品製造の手順]
図13は、本発明によるヒータ近傍の温度センサの位置決めおよび製品製造の手順を示すフローチャートである。
図14は、図13に示した温度センサの位置決め処理(S20)を示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、第2の反応室4(図8)が組み込まれた半導体処理装置1(図1)において、制御部2上の温度センサ位置決めプログラム5(図12)は、図14に示す温度センサの位置決め処理(S20)を実行する。
【0115】
図14に示すように、伝達ゲイン行列W,S(式10−1,10−2,19,20)を作成する処理(S200)のステップ202(S202)において、温度センサ位置決めプログラム5(図12)の装置制御部500は、ヒータ駆動回路36(図9)を制御して、温度調整部分320−1〜320−3に、基準電力(式1)を供給させる。
【0116】
ヒータ32近傍およびボート14近傍が温度平衡に達すると、ステップ204(S204)において、温度測定部502(図12)は、ヒータ32(図8)近傍およびボート14近傍の温度センサ324−1〜324−m、326−1〜326−nそれぞれの温度測定値(TS0,TW0;式2−1,2−2)を、温度測定部38(図9)を介して受け、温度測定値DB560に記憶させる。
【0117】
ステップ206(S206)において、装置制御部500(図12)は、パラメータi(i=1〜r、但し、図2,図8などに示した具体例はr=3)を、初期値(1)とする。
【0118】
ステップ208(S208)において、装置制御部500(図12)は、温度調整部分320−1〜320−3(図8)の全てについて温度測定が終了したか否かを判断する。
温度センサ位置決めプログラム5は、温度調整部分320−1〜320−3の全てについて温度測定が終了した場合にはS216の処理に進み、これ以外の場合にはS218の処理に進む。
【0119】
ステップ210(S210)において、装置制御部500(図12)は、温度調整部分320−i(図8)に対して供給する電力値のみを変更する(式3,5,6)。
【0120】
ヒータ32近傍およびボート14近傍が温度平衡に達すると、ステップ212(S212)において、温度測定部502(図12)は、ヒータ32(図8)近傍およびボート14近傍の温度センサ324−1〜324−m、326−1〜326−nそれぞれの温度測定値(TSi,TWi;式4−1,4−2,7−1,7−2,8−1,8−2)を、温度測定部38(図9)を介して受け、温度測定値DB560に記憶させる。
【0121】
ステップ214(S214)において、装置制御部500(図12)は、パラメータiをインクリメントする(i←i+1)。
【0122】
ステップ216(S216)において、伝達ゲイン行列作成部520,522(図12)は、温度測定値DB560に記憶された温度測定値(TS0,TW0〜TS3,TW3;式2−1,2−2,4−1,4−2,7−1,7−2,8−1,8−2)を用いて、伝達ゲイン行列W,S(式10−1,10−2,19,20)を作成し、伝達ゲイン行列DB562に記憶させる。
【0123】
ステップ220(S220)において、温度センサ位置算出部524(図12)は、評価行列Eを求める(式14,16,17−1,17−2,22)。
【0124】
ステップ222(S222)において、温度センサ位置算出部524(図12)は、位置ベクトルZを求める(式18,23)。
ステップ224(S224)において、位置ベクトルZから、温度センサの位置が決定される。
【0125】
再び図13を参照する。
製品の製造(S10)のステップ100(S100)において、第1の反応室3において、図13に示したS20の処理により決められた位置に、ヒータ32の近傍の温度センサ322−1〜322−3(図2)が取り付けられる。
【0126】
ステップ102(S102)において、S100の工程において温度センサ322−1〜322−3が取り付けられた第1の反応室3が、半導体処理装置1に組み込まれる。
なお、S100,S102の工程は、人手によるか工作機械(図示せず)によるかは問われない。
【0127】
ステップ12(S12)において、制御部2(図1)は、S10の工程により適切な位置に温度センサ322−1〜322−3が取り付けられた第2の反応室3を、ヒータ駆動回路36および温度測定部40(図11)を介して制御し、半導体ウエハ12に対する膜形成などの処理を行わせる。
【0128】
[変形例]
図15は、図8に示した第2の反応室4を制御する第2のヒータ駆動回路42を示す図である。
半導体処理装置1(図1)における第2の反応室4の制御のためには、図9に示した第1のヒータ駆動回路36の代わりに、図15に示す第2のヒータ駆動回路42を用いることができる。
図15に示すように、第2のヒータ駆動回路42は、ヒータ駆動回路420−1〜420−3、ヒータ温度センサ328−1〜328−3および温度検出回路422−1〜422を含む。
【0129】
ヒータ温度センサ328−1〜328−3は、それぞれ、温度調整部分320−1〜320−3の温度を測定し、温度検出回路422に対して出力する。
ヒータ駆動回路420−1〜420−3は、温度検出回路422−1〜422−3を介して温度調整部分320−1〜320−3の温度を受け、この温度が、制御部2から設定された温度になるように、温度調整部分320−1〜320−3に対する電力供給を制御する。
【0130】
第1のヒータ駆動回路36(図9)の代わりに、第2のヒータ駆動回路42が第2の反応室4に対して適用される場合には、上記各式における電力値ベクトルPS0,PW0〜PS3,PW3およびその変化分Δp1〜Δp3を、これらの要素を電力値からヒータ温度センサ328−1〜328−3が検出する温度ベクトルTHS0,THW0〜THS3,THW3およびその変化分Δt1〜Δt3に置換して上記各式を利用することにより、温度センサ324−1〜324−3の位置決めをすることができる。
【0131】
図2、図8、図9、図11における、温度センサ324(及び温度センサ)322)の位置は、よりウェハ12に近い位置領域で設置することも考えられる。例えば、図8の温度センサ324の位置は、ヒータ32とアウタチューブ350との間に位置しているが、アウタチューブ350とインナチューブ352との間に位置してもよい。
同様に、例えば、図8の温度センサ326の位置は、ボート14とインナチューブ352との間に位置しているが、温度センサ(熱電対等)付きウェハを使ってボート14に装填された任意の位置のウェハ12に代わって、装填され、設置してもよい。
これらの組み合わせにより、温度センサ324及び温度センサ322と温度センサ326(及び温度センサ付きウェハ)の位置関係としていくつかの方法が考えられる。
なお、本発明の効果は、ウェハ12により近い領域での温度センサにて検出・制御することにより、よりいっそう効果を得ることができる。
また、温度センサ位置決めプログラム5(図12)のDB部56に記憶された各種情報は、適宜、他の半導体処理装置の設計、あるいは、半導体ウエハ12の枚数・配置の変更があった場合の処理条件の計算などに転用されうる。
【0132】
また、反応室3,4(図8,図11)などにおいて、温度センサ326を取り外したまま、温度センサ322を設置しない状態で、温度センサ324をそのまま用いて、温度調整部分320−1〜320−3に対する電力供給を制御することもできる。
反応室4から、温度センサ326を取り付け、取り外し可能とすることにより、温度・ガス・圧力などの設定条件が変更された場合に、温度センサ326を取り付けて、何度でも最適制御位置を、その都度設定することができる。
【0133】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
図16は、第3の反応室5を制御するヒータ駆動回路36と、近傍およびヒータ32の温度分布を測定する第1の温度測定部38を示す図である。
図17は、図16に示した反応室5に対して行われる温度センサの位置決め処理(S30)を示すフローチャートである。
なお、図16に示した各構成部分の内、図8〜図10に示した各構成部分と実質的に同じものには、同じ符号が付してある。
同様に、図17に示した各処理の内、図14に示した各処理と実質的に同じ処理には、同じ符号が付してある。
図16に示すように、第3の反応室5は、第2の反応室4(図8)から、温度センサ326を取り除いた構成を採り、温度測定部38は、温度センサ324が検出した温度を制御部2(図3)に対して出力する。
【0134】
図17に示すように、伝達ゲイン行列Sを作成する処理(S300)のステップ302(S302)において、温度センサ位置決めプログラム5(図12)の装置制御部500は、ヒータ駆動回路36(図16)を制御して、温度調整部分320−1〜320−3に、基準電力(式1)を供給させる。
【0135】
ヒータ32近傍およびボート14近傍が温度平衡に達すると、ステップ304(S304)において、温度測定部502(図12)は、ヒータ32(図16)近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値(TS0;式2−1)を、温度測定部38(図16)を介して受け、温度測定値DB560に記憶させる。
【0136】
ステップ306(S306)において、装置制御部500(図12)は、パラメータi(i=1〜r、但し、図2,図8などに示した具体例はr=3)を、初期値(1)とする。
【0137】
ステップ308(S308)において、装置制御部500(図12)は、温度調整部分320−1〜320−3(図8)の全てについて温度測定が終了したか否かを判断する。
温度センサ位置決めプログラム5は、温度調整部分320−1〜320−3の全てについて温度測定が終了した場合にはS316の処理に進み、これ以外の場合にはS310の処理に進む。
【0138】
ステップ310(S310)において、装置制御部500(図12)は、温度調整部分320−i(図8)に対して供給する電力値のみを変更する(式3,5,6)。
【0139】
ヒータ32近傍およびボート14近傍が温度平衡に達すると、ステップ312(S312)において、温度測定部502(図12)は、ヒータ32(図8)近傍の温度センサ324−1〜324−mそれぞれの温度測定値(TSi;式4−1,7−1,8−1)を、温度測定部38(図9)を介して受け、温度測定値DB560に記憶させる。
【0140】
ステップ314(S314)において、装置制御部500(図12)は、パラメータiをインクリメントする(i←i+1)。
【0141】
ステップ316(S316)において、伝達ゲイン行列作成部520(図12)は、温度測定値DB560に記憶された温度測定値(TS0;式2−1,4−1,7−1,8−1)を用いて、下式24に示す伝達ゲイン行列S(式10−1,20)を作成し、伝達ゲイン行列DB562に記憶させる。
【0142】
【数24】
【0143】
ステップ320(S320)において、温度センサ位置算出部524(図12)は、評価行列Eを求める(式14,16,17−1,17−2,22)。
例えば、式25に示すように行列hを重み付けのために用いると、式26に示す評価行列Eを得ることができる。
【0144】
【数25】
【0145】
【数26】
【0146】
ステップ322(S322)において、温度センサ位置算出部524(図12)は、式26に示した評価行列Eから、式27に示す位置ベクトルZを求める(式18,23)。
ステップ324(S324)において、位置ベクトルZから、温度センサの位置が決定される。
式27に示されているように、この場合の温度センサ322−1〜322−3の最適位置は、評価行列Eの第5,9,14行が示す位置であって、これらは、図8に示された位置番号1,5,10に相当する。
【0147】
【数27】
【0148】
図13を参照して既に説明したように、製品の製造工程において、第3の反応室5において、以上の処理により得られた位置ベクトルZが示す位置に、ヒータ32の近傍の温度センサ322−1〜322−3(図2)が取り付けられる。
さらに、このように温度センサ322−1〜322−3が取り付けられた第1の反応室5が、半導体処理装置1に組み込まれる。
【0149】
図18は、図16に示した装置の変形例を示す図である。
なお、図18に示すように、図16に示した装置において、ヒータ駆動部36の代わりに、図15に示したヒータ駆動部42を用いることもできる。
図18に示した装置においても、図15を参照して説明したように、上記各式における電力値ベクトルPS0,PW0〜PS3,PW3およびその変化分Δp1〜Δp3を、これらの要素を電力値からヒータ温度センサ328−1〜328−3が検出する温度ベクトルTHS0,THW0〜THS3,THW3およびその変化分Δt1〜Δt3に置換することにより、温度センサ324−1〜324−3の位置決めをすることができる。
【0150】
図15、図16、図18における、温度センサ324(及び温度センサ)322)の位置は、よりウェハ12に近い位置領域で設置することも考えられる。
例えば、図15、図16、図18の温度センサ324の位置は、ヒータ32とアウタチューブ350との間に位置しているが、アウタチューブ350とインナチューブ352との間に位置してもよい。
同様に、例えば、図15、図18のヒータ温度センサ328の位置は、温度調整部分320−1〜320−3内に位置しているが、ヒータ32とアウタチューブ350との間に位置してもよいし、ボート14とインナチューブ352との間に位置してもよい。
この場合、ヒータ温度センサ328の長手方向の位置は、本発明を用いて決定することができる。
【0151】
さらに図15の温度センサ326は温度センサ(熱電対等)付きウェハを使ってボート14に装填された任意の位置のウェハ12に代わって、装填され、設置してもよい。
これらの組み合わせにより、温度センサ324(及び温度センサ322)と温度センサ326(及び温度センサ付きウェハ)の位置関係としていくつかの方法が考えられる。
なお、本発明の効果は、ウェハ12により近い領域での温度センサにて検出・制御することにより、よりいっそう効果を得ることができる。
【0152】
以上に挙げた例においては、設計試作段階の温度センサ位置の決定方法としたが、例えば、図8、図9、図15、図16、図18のような温度センサを製品時に取付けたまま、成膜処理条件に応じて都度最適な温度センサ位置を決定してもよい。
その場合、アウタチューブ内にて用いられる温度センサは、金属汚染対策として例えば石英材からなるセンサ部を覆う保護材や、SIC材にCVDコーティングが施されたセンサ部を覆う保護材等に収納されることが望ましい。
【0153】
なお、「第1・第2の実施形態の制御部2は、半導体処理装置1の一部として構成されるとしたが、例えば、装置制御部500のみ、半導体処理装置1の一部として、その他の温度測定部502、伝達ゲイン行列作成520、伝達ゲイン行列作成522、温度センサ位置決定524、温度・電力測定値DB560、伝達ゲイン行列DB562、温度センサ位置DB564は別ユニットとし、半導体処理システムとして、構成されてもよい。
また、制御部2それぞれの構成される表示部、・入力部22、CPU200、メモリ204、記録部24が別ユニットとして、半導体処理システムとして構成されてもよい。
その主旨を逸脱しない範囲で種々の変化が可能である。
【0154】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる半導体処理装置およびその方法によれば、正確なヒータと反応室内との温度変化の関係に基づいて、正確な温度制御を行うことができる。
また、本発明にかかる半導体処理装置およびその方法によれば、ヒータ近傍の温度分布を最適な位置で測定しつつ、半導体に対する処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適応される半導体処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示したボートおよびウエハを収容した状態の反応室およびその周辺の断面を例示する図である。
【図3】図1に示した制御部の構成を示す図である。
【図4】反応室(図2)において、第1〜第3の温度センサが測定したヒータの第1〜第3の温度調整部分それぞれの温度が設定温度Tである場合に、ヒータの半導体ウエハに対応する領域a〜dの実際の温度分布を、鉛直方向に例示する図である。
【図5】反応室(図2)のヒータの温度分布が図4に例示した通りである場合において、ボート近傍の領域a〜dの実際の温度分布を、鉛直方向に例示する図である。
【図6】図4に示した第1〜第3の温度調整部分の温度分布の変化を、その領域a,bの境界部分について拡大して例示する図である。
【図7】図5に示したボート付近の温度分布の変化を、その領域a,bの境界部分について拡大して例示する図である。
【図8】本発明にかかる伝達ゲイン行列W,Sを求めるために用いられる第2の反応室の構成を示す図である。
【図9】図8に示した第2の反応室を制御する第1のヒータ駆動回路と、ボートの近傍およびヒータの温度分布を測定する第1の温度測定部を示す図である。
【図10】式19,20に示した伝達ゲイン行列W,Sの要素の値をグラフ形式で示す図である。
【図11】図2に示した第1の反応室を制御するヒータ駆動回路、および、ヒータの温度分布を測定する温度測定部を示す図である。
【図12】第2の反応室(図8)が用いられた半導体処理装置1(図1)の制御部により実行される温度センサ位置決めプログラムの構成を示す図である。
【図13】本発明によるヒータ近傍の温度センサの位置決めおよび製品製造の手順を示すフローチャートである。
【図14】図13に示した温度センサの位置決め処理(S20)を示すフローチャートである。
【図15】図8に示した第2の反応室を制御する第2のヒータ駆動回路を示す図ある。
【図16】第3の反応室5を制御するヒータ駆動回路と、ヒータの温度分布を測定する第1の温度測定部を示す図である。
【図17】図16に示した反応室5に対して行われる温度センサの位置決め処理(S30)を示すフローチャートである。
【図18】図16に示した装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・半導体処理装置、
12・・・半導体ウエハ、
14・・・ボート、
100・・・カセット授受ユニット、
102・・・カセットストッカ、
104・・・バッファカセットストッカ、
106・・・ウエハ移動機、
108・・・ボートエレベータ、
2・・・制御部、
200・・・CPU、
204・・・メモリ、
22・・・表示・入力部、
24・・・記録部、
23・・・記録媒体、
3,4,5・・・反応室、
300・・・断熱材、
32・・・ヒータ、
320・・・温度調整部分、
322,324,326・・・温度センサ
328・・・ヒータ温度センサ、
340・・・ガス導入ノズル、
342・・・円筒フランジ、
344・・・炉口蓋、
346・・・排気管、
348・・・スペーサ、
350・・・アウタチューブ、
352・・・インナチューブ、
36,360,42,420・・・ヒータ駆動回路、
422・・・温度検出回路、
38,40・・・温度測定部、
490・・・ウエハカセット、
5・・・温度センサ位置決めプログラム、
500・・・装置制御部、
502・・・温度測定部、
520,522・・・伝達ゲイン行列作成部、
524・・・温度センサ位置算出部、
54・・・UI部、
56・・・DB部、
560・・・温度測定値DB、
562・・・伝達ゲイン行列DB、
564・・・温度センサ位置DB、
Claims (4)
- 一定の方向に所定の間隔で重ねて複数の基板が配置される基板配置位置に、前記複数の基板を配置して処理する反応室と、
前記反応室の外壁の周囲に設けられ、前記一定の方向に重ねられ、電力の供給を受けて、前記反応室を加熱する複数の加熱部分を含むヒータと、
前記基板配置位置よりも前記ヒータに近い位置であって、前記複数の加熱部分の温度を測定するように、前記加熱部分より多数、前記一定の方向に並べて配置された第1の温度検出手段と、
前記第1の温度検出手段よりも前記基板配置位置に近い位置であって、前記複数の加熱部分に対応する位置の温度を測定するように、前記一定の方向に並べて配置された複数の第2の温度検出手段と、
前記複数の加熱部分のいずれか1つに、所定の基準電力とは異なる電力を供給して前記反応室を加熱し、前記反応室内が熱平衡に達するたびに、前記複数の第1の温度検出手段により温度を検出する処理を、前記複数の加熱部分それぞれについて行い、前記熱平衡のたびに、前記複数の第1の温度検出手段により検出された温度を反映した値それぞれを列成分とする第1の伝達ゲイン行列Sを作成する第1の行列作成手段と、
前記熱平衡のたびに、前記複数の第2の温度検出手段により検出された温度を反映した値それぞれを列成分とする第2の伝達ゲイン行列Wを作成する第2の行列作成手段と、
前記第1の伝達ゲイン行列Sおよび前記第2の伝達ゲイン行列Wから、式A,B,Cにより、評価行列Eを作成する第3の行列作成手段と、
を有する基板処理装置。 - 前記複数の第2の温度検出手段が取り外され、前記算出された位置それぞれのみに、前記第1の温度検出手段が配置された状態で、前記基板を処理する
請求項1に記載の基板処理装置。 - 一定の方向に所定の間隔で重ねて複数の基板が配置される基板配置位置に、前記複数の基板を配置して処理する反応室と、前記反応室の外壁の周囲に設けられ、前記一定の方向に重ねられ、電力の供給を受けて、前記反応室を加熱する複数の加熱部分を含むヒータと、前記基板配置位置よりも前記ヒータに近い位置であって、前記複数の加熱部分の温度を測定するように、前記加熱部分より多数、前記一定の方向に並べて配置された第1の温度検出手段と、前記第1の温度検出手段よりも前記基板配置位置に近い位置であって、前記複数の加熱部分に対応する位置の温度を測定するように、前記一定の方向に並べて配置された複数の第2の温度検出手段とを用い、
前記複数の加熱部分のいずれか1つに、所定の基準電力とは異なる電力を供給して前記反応室を加熱し、前記反応室内が熱平衡に達するたびに、前記複数の第1の温度検出手段により温度を検出する処理を、前記複数の加熱部分それぞれについて行い、前記熱平衡のたびに、前記複数の第1の温度検出手段により検出された温度を反映した値それぞれを列成分とする第1の伝達ゲイン行列Sを作成する第1の行列作成ステップと、
前記熱平衡のたびに、前記複数の第2の温度検出手段により検出された温度を反映した値それぞれを列成分とする第2の伝達ゲイン行列Wを作成する第2の行列作成ステップと、
前記第1の伝達ゲイン行列Sおよび前記第2の伝達ゲイン行列Wから、式A,B,Cにより、評価行列Eを作成する第3の行列作成ステップと、
を含む基板処理方法。 - 前記複数の第2の温度検出手段が取り外され、前記算出された位置それぞれのみに、前記第1の温度検出手段が配置された状態で、前記基板を処理する
請求項3に記載の基板処理方法。
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