JP4097072B2 - 研磨部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体製造装置による半導体ウェハの製造工程において、化学的機械的研磨加工(CMPプロセス)等によりウェハ等の被研磨加工物を平坦化処理するときなどに用いられる研磨部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学的機械的研磨装置は、表面に研磨部材としての研磨パッドが接着された研磨プレートと、研磨パッドの表面を目立てするためのドレッサーと、被研磨加工物を保持するキャリアと、研磨スラリーを研磨パッド上に供給する研磨スラリー供給装置とを備えている。この装置において、研磨パッドはドレッサーによりドレッシング(研削)される。その後、研磨プレートとキャリアとが回転させられ、研磨スラリーが研磨スラリー供給装置のノズルから研磨パッドの中央部に供給され、研磨パッド上に被研磨加工物が押圧されて被研磨加工物の表面が研磨される。
【0003】
このような研磨パッドでは、その研磨面に研磨スラリーを滞留させ、かつ、研磨屑を余剰の研磨スラリーと一緒に外部へ排出するために、複数の溝が放射状に形成されたものが知られる(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−100592号(全文、図1、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、研磨パッドとしてその研磨面に直線状や曲線状の溝が放射状に形成されたものが知られる。被研磨物として例えば円板状のウエハの場合、研磨加工時の研磨面の溝とウエハとの相対的な姿勢は一定になっているわけではなく、研磨パッドの回転に伴い溝のエッジ部とウエハの端縁部とが摺接し始めるときの相対的な交差角度としては種々な形態が存在し得る。したがって、研磨パッドの回転に伴い、溝のエッジ部がウエハに摺接し始めるときに、ウエハの端縁部の沿う方向と研磨パッドの溝のエッジ部が移動していく速度方向とが直交する場合がある。その場合、溝のエッジ部とウエハの端縁部とが平行となった状態で摺接し始めることでその端縁部に与える衝撃が比較的大きくなり易い。このため、ウエハの端縁部近傍が特に研磨され易くなって、ロールオフや縁ダレなどが生じてその平坦性が低いものとなり、不良率が高くなる。
【0006】
ところで、ウエハの端縁部と研磨パッドの溝のエッジ部とが摺接する際に、研磨パッドの溝のエッジ部の速度方向がウエハの端縁部に対して直交しない状態、すなわちその端縁部とそのエッジ部とが平面視で平行にならず斜めに交差する状態をほぼ常時実現できれば、ロールオフを抑制できる。しかしながら、従来においては、研磨パッドが回転するときの速度方向とウエハの端縁部との相対姿勢がいかなる場合でも、回転などに伴って研磨していく際に研磨パッドの溝のエッジ部の速度方向がウエハの端縁部に対して直交しないように図られていない。
【0007】
したがって、本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、ウエハ等の被研磨部材の端縁部と研磨パッド等の研磨部材の溝のエッジとが摺接する際に、その端縁部とそのエッジとの角度が適宜な斜めに交差する状態をほぼ常時実現できるようにして、ロールオフを抑制可能にした研磨部材を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研磨部材は、被研磨物に対し遠近方向に沿う軸心周りで回転する研磨面を有する研磨部材において、前記研磨面には、回転中心側から面方向外方に向かう研磨スラリー流動用の複数の溝が基準の曲線に沿って形成されているとともに、前記研磨面の回転中心を原点としてX−Y直交座標を設定したとき、この原点と前記曲線上の任意点との間の長さをrとし、前記原点と前記曲線上の任意点とを通る直線とX座標軸とが成す角度をθとし、前記曲線上の任意点における接線と、この任意点及び前記回転中心を通る直線との交差角度をθ 0 とすると、前記基準の曲線は次式:
r=C ' ・exp(θ/tanθ 0 )(C ' は定数)
を満たす曲線である、ことを特徴とする。
【0009】
ここで、遠近方向に沿う軸心とは、研磨部材の研磨面と被研磨物の被研磨面とが平面の場合、研磨を行うときの対向した状態のそれら両面に対し直交する軸心のことをいう。面方向とは研磨面に沿う方向をいう。
【0012】
本発明に係る研磨部材は、好ましくは、前記研磨面には、前記交差角度が異なる少なくとも2種以上の溝が共に形成されている。
【0014】
本発明に係る研磨部材によれば、その溝は基準となる曲線に沿って形成され、その溝のエッジ部も基準となる曲線に沿ったものとなっているので、研磨時に研磨部材が回転するに伴って被研磨物に対して研磨面が摺接していく際に、例え研磨面の回転の速度方向と被研磨物の端縁部とが一瞬的に直交することがあっても、そのような摺接位置が次の瞬間においては直交状態でなく、研磨面の溝のエッジ部と被研磨物の端縁部とが斜めに摺接するものとなる。したがって、溝のエッジ部と被研磨物の端縁部とが摺接し始める際の衝撃もきわめて小さなものとなって、被研磨物の端縁部近傍部分を強く研磨してロールオフが大きくなるような不具合を解消できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1を参照して、1は本発明で使用する研磨部材としての研磨パッドを示す。この研磨パッド1は、一般に、ポリウレタン等の樹脂を発泡硬化させて得られる発泡体の表面をバフすることにより形成されている。研磨パッド1の表面は多数の空孔を有する。この研磨パッド1の表面に研磨スラリーが均一に分散されることによりウエハ等の被研磨物に対しての均一研磨が行えるようになっている。
【0017】
研磨パッド1は、研磨パッド本体2と研磨スラリー流動用の複数本の溝3とを有する。各溝3それぞれは、研磨パッド本体2の表面の略中心位置から径方向外方に向かうように形成されており、互いに対しては周方向等間隔に同じパターンに形成され、かつ、図中の矢印Cで示す研磨パッド1の回転方向と同じ方向に凸状となるカーブを描いている。換言すれば、各溝3それぞれは、研磨パッド本体2の略中心位置から径方向外側へいくにつれて、それぞれの先端が回転する向きである矢印Cに対して反対側へと次第に曲がり、溝3全体としては矢印C向きへ凸状となるように曲がっている。各溝3それぞれの曲がりの程度は、研磨パッド1の回転速度やスラリーの流量などを考慮して設定することができる。
【0018】
各溝3それぞれを形成する基準となる曲線形状を決定する方法について以下に説明する。この方法に基づいて各溝3が形成された研磨パッド1によりウエハを研磨した場合、ロールオフや縁だれなどが抑制された状態で研磨できることが判明した。
【0019】
研磨パッド1の研磨面には、回転中心側から面方向外方に向かう研磨スラリー流動用の複数の溝3が基準曲線Lに沿って形成されているとともに、この基準曲線Lは、該基準曲線L上の任意点Pにおける接線Aと、この任意点Pと研磨面の回転中心Oとを通る直線Bとの交差角度θ0が一定となる曲線に設定されているものである。
【0020】
図2を参照して、研磨パッド1の研磨面を平面視で見たときに原点Oを研磨面の回転中心とする二次元直交X−Y座標を設定する。ここで、曲線L上における任意の点Pの座標は(x,y)として表すことができる。したがって、点Pにおける接線Aの傾きはdy/dxとして表すことができる。点Pと原点Oとを通る直線BとX軸とが成す角度θは、tan-1(y/x)である。そして、点Pを通るX軸と平行な仮想直線Xkを考えると、θと交差角度θ0とを足した角度の正接の値が接線Aの傾きと一致する。
【0021】
以上のことから、溝3を形成するための基準となる曲線Lは、次式(1)の微分方程式を満たす。
【0022】
【数1】
この微分方程式は以下のようにして解くことができる。
【0023】
【数2】
ここで、y=uxとしておく。すると、dy/dx=u+(du/dx)xとなり、▲1▼式は、
【0024】
【数3】
▲2▼式の左辺は、
【0025】
【数4】
図1を参照して、u=tanαとおくと、du/dα=1/cos2α、
よって、du=dα/cos2αとなる。よって、▲3▼式は、
【0026】
【数5】
y=uxつまりu=y/xなので、▲4▼式は、
【0027】
【数6】
▲5▼式の左辺は、
【0028】
【数7】
となり、▲5▼式は、
【0029】
【数8】
よって、
【0030】
【数9】
あるいは、▲6▼式より、
【0031】
【数10】
極座標表示に置き換えると、r=√(x2+y2),tan-1(y/x)=θなので、r=C’・exp(θ/tanθ0),(ただし、C’=1/eC)……▲7▼となる。
【0032】
したがって、極座標表示による曲線Lの方程式がこのようにして求まる。rは原点Oから点Pまでの距離を示し、C’は定数である。
【0033】
なお、▲7▼の式は、X−Y直交座標において、曲線上の任意点Pの座標を(x,y)として、√(x2+y2)=C’・exp(θ/tanθ0),(ただし、C’=1/eC)……▲8▼となるから、座標の位置に対応させて曲線の形状を演算することも可能である。
【0034】
上記▲7▼の式の別の求め方について以下に説明する。図2を参照して、
【0035】
【数11】
よって、
【0036】
【数12】
となる。ここで、α=(θ+θ0)より、
【0037】
【数13】
tanθ=sinθ/cosθなので、
【0038】
【数14】
よって、dr/r=dθ/tanθ0
よって、logr=θ/tanθ0+C(Cは積分定数)
なる。
【0039】
この導かれた式r=C’・exp(θ/tanθ0),(ただし、C’=1/eC)を満足する曲線をコンピュータなどにより演算して描画装置などにより描画したり、あるいは、研磨パッドの研磨面に溝を自動制御されるカッターにより形成することになる。この曲線を作成する場合、交差角度、定数などを所定の値として設定して演算する。また、実際に溝を形成する場合、溝のエッジ部を基準となる曲線の形状に合わせることが望ましい。また、一定幅の溝を形成するときに、その溝の幅中心が描くラインが基準となる曲線と一致するように溝を形成してもよい。
【0040】
なお、図3,図4および図5それぞれに、本発明に係る溝の形状の一例をそれぞれ示している。図3および図1に示すのは、交差角度30°の場合である。図4に示すのは、交差角度45°の場合である。図5に示すのは、交差角度60°の場合である。交差角度θ0が大きくなるほど溝が径方向よりも周方向に沿うようになる。なお、交差角度θ0は、一定の値としているが、例えば交差角度60°の場合、その曲線を描く上で1つの曲線につき径方向内端から外端に至るまでの間において、交差角度θ0について60°±3°の誤差があっても、本発明に含まれる許容範囲である。なお、この場合60°±1°が望ましい。
【0041】
各図において、研磨面に形成される溝は24本であって、それらの溝は周方向で等間隔に位置されている。また、各図において、格子状に示されている縦横の直線は、円板状の研磨パッドの回転中心を原点OとするX−Y直交座標のX方向及びY方向で10mmごとの目盛位置を示している。原点Oを中心とする直径ほぼ20mmの円内には溝がないようにしている。なお、この溝の径方向内側の端部と原点Oとの間の距離は適宜設定される。一方、溝の径方向外側の端部は研磨パッドの外周縁まで至っている。この場合、溝の横幅は、1mmであり、溝の深さは、1mmである。
【0042】
上記のように、研磨パッドの研磨面に平面視で基準の曲線Lに沿って形成された溝3では、例えば円板状のウェハなどの被研磨物を研磨する際に、研磨パッドと被研磨物との遠近方向に沿う軸心周りで研磨パッドあるいは被研磨物が回転するに伴い被研磨物の端縁部と溝3のエッジ部との摺接を開始し始める箇所におけるその端縁部とエッジ部とが平面視で斜めに交差されるものとなり、例え一瞬その端縁とエッジ部とが平行な状態となったとしてもすぐに端縁とエッジ部とが斜めに交差する状態に変わる。したがって、被研磨物の端縁と溝3のエッジ部とが摺接し始める箇所における衝撃が小さなものとなり、その衝撃によって発生し易かったウェハのロールオフや縁だれが顕著に抑制されるものとなった。
【0043】
また、本発明に係る研磨パッドの溝の基準となる曲線を設定するための前記交差角度θ0の範囲は、−90°<θ0<90°であって、かつ、θ0≠0である。すなわち、0<θ0<|90°|である。したがって、上記図3,4,5に示すように曲線の凸となる向きが研磨パッドの回転方向Cにあわせたものでもよいとともに、図6に交差角度|30°|の場合を例として示すように、研磨パッドの回転方向に対して溝の曲線が凸となる交差角度30°の溝と、回転方向に対して溝の曲線が凹となる交差角度−30°の溝とがそれぞれ同じ研磨面上に共に形成されていてもよい。この図6の場合、それぞれの曲線が12本、周方向に均等に点対称となるよう形成されている。このように溝が形成されていると、研磨パッドの回転向きが正逆どちらであっても、研磨に供することができるとともに、被研磨物のロールオフや縁だれを抑制できる。
【0044】
次に、本発明の請求項5に係る研磨部材の実施の形態について説明する。図 7に、研磨部材の一例としての研磨パッド1が平面視で示されている。この研磨パッド1の研磨面に形成された研磨スラリー流動用の溝3は、研磨パッド1において外側ほど周速が大きいことからその周速に対応させて溝の傾き径方向外側ほど周方向に沿う状態に近くなるようにしているものである。詳述すると、この研磨パッドの場合、溝3を形成するためその溝3が沿う基準となる曲線は、上述実施形態で曲線を求める式▲7▼、r=C’・exp(θ/tanθ0)において、交差角度θ0もrをパラメータとする関数で表されるものである。すなわち、θ0=f(r)であり、rが大きくなるほどθ0も大きくなる増加関数であることが好ましい。図7に示す研磨パッドの場合、溝3が形成される径方向での範囲を三等分し、その三等分された範囲のうちrが最も内側の範囲ではθ0を30°とし、rが中間の範囲ではθ0を45°とし、rが最も外側の範囲ではθ0を60°としている。なお、交差角度が、rをパラメータとして連続的に変化するものでもよい。
【0045】
なお、本発明に係る研磨部材としての研磨パッドは、半導体製造プロセスにおいて化学的機械的研磨加工(CMPプロセス)によりウェハなどの被研磨加工物の平坦化処理を行うときに用いる以外に、以下の用途にも用いることができる。
【0046】
シリコンウェハに対する一次研磨用パッド、二次研磨用パッド、ファイナル研磨用パッド、アルミ磁気ディスク研磨用パッド、液晶ガラス研磨用パッドなど。
【0047】
また、被研磨物としては以下のものがあげられる。
【0048】
(1)シリコン
具体的には、ポリッシュドウェハ、拡散ウェハ、エピウェハがあり、これらの主用途としては、IC基板、ディスクリートがある。
【0049】
さらに、ダミーまたはモニターウェハ、再生ウェハ、バックサイドポリッシュドウェハがあり、これらの主用途としては、テスト用ウェハ、パターン付きICがある。
【0050】
さらに、SiO2、ポリシリコン、金属層間膜があり、これらの主用途としては、上述したCMPがある。
【0051】
(2)化合物
ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)、インジウム燐(InP)があり、これらの主用途としては、可視LED、赤外LED、FET、ICがある。
【0052】
(3)酸化物
タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、GGGがあり、これらの主用途としてはSAWフィルタがあある。
【0053】
(4)ガラス
TFT、STN、SOG、フォトマスク、オプチカルフラットガラス、TVフェイス(テレビブラウン管)があり、これらの主用途としては、カラー液晶基板、液晶基板、半導体基板、ステッパー用プリズム、カラーテレビがある。
【0054】
(5)磁気ディスク
アルミニウム、強化ガラス、カーボンがあり、これらの主用途としては、ハードディスクがある。
【0055】
(6)その他
サファイア、セラミックス、フェライト、ステンレス、水晶、カラーフィルタがあり、これらの主用途としては、半導体基板、電子基板、振動子、カラー液晶がある。
【0056】
本発明に係る研磨部材として上記実施の形態では、研磨パッドについて説明したが、研磨砥石や、ラップ定盤などの研磨部材にも本発明は適用できる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明に係る研磨部材の実施例を説明する。本実施例では、上述実施の形態において示した研磨パッドと比較例となる研磨パッドによる研磨試験を行った。すなわち、上述実施の形態の研磨パッドで溝を形成するための基準となる曲線を設定するための交差角度が30°、45°、60°とした図3,4,5に示す研磨パッドと、径方向に沿った直線の溝を24本周方向に等間隔に形成した研磨パッド(この場合交差角度が0°となる)とによる研磨試験を行った。なお、各研磨パッドの溝幅、溝深さは同一に設定している。
【0058】
その研磨試験は、小型研磨機を用いて直径200mmの研磨定盤上に円板状の上記各研磨パッドを敷設し、研磨スラリーを供給しながら、2.5インチのガラスディスク(アモルファス)を被研磨物のウェハとして研磨した。研磨スラリーは酸化セリウムを20wt%の割合で希釈したものである。そのスラリー量は、1.5リットルであって、スラリータンクに貯留されたものを循環して使用している。ドレッシングは圧力24.4gf/cm2で5分間行い、ブラッシングは各ウェハ研磨前に1分間行っている。そして、研磨圧力90g/cm2、研磨時間30分、スラリー流量25ml/分、定盤回転数は上下ともに120rpmとした結果が図8〜図11の各グラフに示されている。なお、ロールオフの測定は、図12を参照して、平面度測定装置により、研磨後の各ウェハについて、その研磨面の中心から27850μm〜31850μmの区間をそれぞれ90度位相が異なる2箇所における最低高さと最高高さとを測定し、その高低差の値を得たものである。
【0059】
この研磨試験の結果、研磨レート、表面粗さおよび表面のうねりに関して、比較例の研磨パッドと、本発明に係る実施の形態の研磨パッドとは、ほとんど差がない。ロールオフに関しては、比較例の研磨パッドによる場合、2513オングストロームと比較的大きな値となっているのに対して、本発明の研磨パッドによる場合、交差角度30°、45°、60°となるに従い、2203、2008、1622オングストロームと小さな値となり、ウェハの周縁部近傍での平坦度が比較例と比べて顕著に向上していることが判明した。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、その溝は基準となる曲線に沿って形成され、その溝のエッジ部も基準となる曲線に沿ったものとなっているので、研磨時に研磨部材が回転するに伴って被研磨物に対して研磨面が摺接していく際に、例え研磨面の回転の速度方向と被研磨物の端縁部とが一瞬的に直交することがあっても、そのような摺接位置が次の瞬間においては直交状態でなく、研磨面の溝のエッジ部と被研磨物の端縁部とが斜めに摺接するものとなる。したがって、溝のエッジ部と被研磨物の端縁部とが摺接し始める際の衝撃もきわめて小さなものとなって、被研磨物の端縁部近傍部分を強く研磨してロールオフが大きくなるような不具合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る研磨部材(この場合研磨パッド)の実施の形態の研磨面を示す平面図
【図2】本発明に係る研磨部材の溝の設定に関する説明図
【図3】本発明に係る研磨部材の一例(交差角度が30°の場合)を示す平面図
【図4】本発明に係る研磨部材の一例(交差角度が45°の場合)を示す平面図
【図5】本発明に係る研磨部材の一例(交差角度が60°の場合)を示す平面図
【図6】本発明に係る研磨部材の一例(交差角度が30°及び−30°の場合)を示す平面図
【図7】本発明に係る研磨部材の一例(交差角度が回転中心からの距離によって変化する場合)を示す平面図
【図8】実施例での研磨レートの測定結果を示すグラフ
【図9】実施例での表面粗さの測定結果を示すグラフ
【図10】実施例での表面のうねりの測定結果を示すグラフ
【図11】実施例でのロールオフ量の測定結果を示すグラフ
【図12】実施例でのロールオフ量測定範囲を簡単に示す説明図
【符号の説明】
1 研磨パッド(研磨部材)
2 研磨パッド本体
3 溝
L 曲線
A 接線
B 直線
θ0 交差角度
Claims (2)
- 被研磨物に対し遠近方向に沿う軸心周りで回転する研磨面を有する研磨部材において、
前記研磨面には、回転中心側から面方向外方に向かう研磨スラリー流動用の複数の溝が基準の曲線に沿って形成されているとともに、前記研磨面の回転中心を原点としてX−Y直交座標を設定したとき、この原点と前記曲線上の任意点との間の長さをrとし、前記原点と前記曲線上の任意点とを通る直線とX座標軸とが成す角度をθとし、前記曲線上の任意点における接線と、この任意点及び前記回転中心を通る直線との交差角度をθ0とすると、前記基準の曲線は次式を満たす曲線である、ことを特徴とする研磨部材。
r=C'・exp(θ/tanθ0)(C'は定数) - 請求項1に記載の研磨部材において、
前記研磨面には、前記交差角度が異なる少なくとも2種以上の溝が共に形成されている、ことを特徴とする研磨部材。
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