JP4097044B2 - O―脱硫酸化ヘパリンで喘息を治療する方法 - Google Patents

O―脱硫酸化ヘパリンで喘息を治療する方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、喘息反応を治療し予防する分野に関する。
背景技術
喘息は、広範な誘発性刺激物質に反応して、気道を余りにもひどくかつ容易に狭い傾向にする肺気道の炎症性疾患である。肺では、主要な神経支配性知覚および運動神経系が迷走神経内に含まれる(図1)。二酸化硫黄、プロスタグランジン、ヒスタミンおよび冷気のような刺激物質への気道の暴露は、迷走神経の求心性知覚繊維を刺激し、それにより、迷走神経のコリン作動性求心性運動枝によるアセチルコリンの反射的放出のため、気管支収縮を誘発する。この反射は正常な個体に存在するが、喘息患者では大いに過大化される。この過大な狭化は、しばしば、気道過剰反応性と呼ばれる。
喘息患者および喘息動物モデルにおける気道過剰反応性は、気道を神経支配する求心性運動迷走神経終末からの内因性神経伝達物質アセチルコリンの放出増加から生起すると考えられている(A.D. Fryer, et al., Journal of Clinical Investigation(1992)90: 2292-2298)。気道においては、迷走神経からのアセチルコリンの放出は、節後神経上の阻害性ムスカリン自己受容体の局所的制御下にある(図1)。これらの自己受容体はM2ムスカリン受容体と呼ばれる一方で、気道平滑筋上のムスカリン受容体はM3受容体である。このように、迷走神経から放出されたアセチルコリンは気道平滑筋上のM3受容体を刺激して気管支収縮を引き起こし、神経上のM2ムスカリン受容体を刺激してアセチルコリンのさらなる放出を減少させる。喘息においては、阻害性M2ムスカリン受容体は機能不全であり、その結果、過大化アセチルコリン放出が起こり、従って、所与の刺激性気道刺激物質に反応して過大化気管支収縮あるいは気道過剰反応性が起こる(A.D. Fryer, et al., Journal of Clinical Investigation(1992)90: 2292-2298; D.B. Jacoby, et al., Journal of Clinical Investigation(1993)91: 1314-1318)。
2ムスカリン受容体によって供されるアセチルコリン放出の負のフィードバック制御は、選択的ムスカリンアゴニストまたはアンタゴニストの存在下で迷走神経により誘導された気管支収縮を測定することによって実験的に示すことができる。ガラミンでのニューロンムスカリンM2受容体の阻害は、迷走神経により誘導された気管支収縮を増強する。逆に、選択的ムスカリンM2受容体アンタゴニストのピロカルピン(pilocarpine)は、正常対象において、刺激物質誘導コリン作動性反射気管支収縮を阻害する。この阻害メカニズムは、機能不全M2受容体のため喘息では存在しない(P.A. Minette, et al., Journal of Applied Physiology(1989)67: 2461-2465)。ムスカリン自己受容体におけるこのような欠陥の結果、喘息では過大なコリン作動性反射が起こる。何故ならば、アセチルコリン放出の正常なフィードバック阻害が失われているからである。
喘息におけるM2受容体機能不全および引き続いての気道過剰反応性は、気道における炎症性反応の生成物による損傷に対する受容体の増大した感受性によるものと考えられる。喘息の結果、炎症性細胞、特に好酸球が気道に流入する。喘息における活性化された好酸球は、主要な塩基性タンパク質、好酸球ペルオキシダーゼおよび好酸球カチオン性タンパク質を含めた多数の傷害性タンパク質を分泌する。これらのタンパク質の全ては強力に正に荷電している。これらのおよび他の正に荷電したタンパク質は気道過剰反応性を引き起こし得る(R.H. Gundel, et al., Journal of Clinical Investigation(1991)87: 1470-1473; A.J. Coyle, et al., American Review of Respiratory Diseases(1993)147: 896-900)。主要塩基性タンパク質(D.B. Jacoby, et al., Journal of Clinical Investigation(1993)91: 1314-1318)および他の正に荷電したタンパク質(J. Hu, et al., Molecular Pharmacology(1992)42: 311-324)はM2ムスカリン受容体アンタゴニストとして機能することが示されている。このように、喘息における気道過剰反応性は、気道炎症の成分による阻害性M2コリン作動性受容体の直接的拮抗作用の結果である。
喘息における気道過剰反応性の治療は、現在、M2受容体を阻害する生成物の放出に導く気道炎症を阻害すること、あるいは気道平滑筋の気管支収縮の直接的逆行に向けられている。コルチコステロイドは抗炎症性療法の頼みの綱である。気管支平滑筋上のベータ2アドレナリン作動性受容体の刺激によって作用するベータアドレナリン作動性アゴニストは、収縮した気道を直接的に逆行させるための気管支拡張剤として使用されている。アトロピンおよびイプラトロピウムブロミドのような非選択的抗コリン作動性薬物は、気管支拡張剤として使用するのに入手できるが、同等の効果をもって、平滑筋上のプレ結合性M2受容体およびM3受容体を共に遮断する。これはアセチルコリン放出を増加させ、ポスト結合性遮断を克服し、これらの非選択的抗コリン作動性剤を、迷走神経により媒介される気管支収縮を逆行させるにおいて効果的でなくする。M2受容体遮断を逆行させるためのより特異的治療は、喘息の気道過剰反応性のための治療として大いに益があろう。
最近、抗凝固薬剤ヘパリン(heparin)が、抗原で攻撃したモルモットにおいて、抗原誘導M2受容体機能不全を逆行させ(A.D. Fryer, et al., Journal of Clinical Investigation(1992)90: 2292-2298)、インビトロで主要塩基性タンパク質によるM2受容体の結合を逆行させる(D.B. Jacoby, et al., Journal of Clinical Investigation(1993)91: 1314-1318)ことが示されている。ヘパリンは、何年もの間、喘息の治療として提案されてきた(M.M. Hartman, California Medicine(1963)98: 27-32; D.A. Dolowitz, et al., Annals of Allergy(1965)23: 309-313; T. Ahmed, et al., American Review of Respiratory Diseases(1992)145: 566-570; T. Ahmed, et al., Journal of Applied Physiology(1993)74: 1492-1498; S.D. Bowler, et al., American Review of Respiratory Diseases(1993)147: 169-163; T. Ahmed, et al., New England Journal of Medicine: 国際出願PCT/US93/02880)。しかしながら、喘息の気道過剰反応性のための治療としては、ヘパリンは1つの大きな欠点を有する。すわなち、抗凝固剤である点である。たとえ肺気道へのヘパリンのエアロゾル化によって治療が局所化されても、それ自体、それは治療された患者を許容しがたい出血の危険にさらすことになる。エアロゾル化ヘパリンは全身循環によく吸収され、肺エアロゾル化によるヘパリンの投与が、血液凝固に抗する方法として提唱されている(L.B. Jaques, et al., Lancet(1976)ii: 157-1161)。
喘息の気道過剰反応性用の治療としてヘパリンを安全に使用するには、まず、喘息を治療するその効果に影響することなく抗凝固剤として不活化する必要があろう。抗凝固剤としてのヘパリン不活化するにはいくつかの化学的方法が存在する。ほとんどは、化学的脱硫酸化(chemical desulfation)の技術に基づいている。というのは、ヘパリンの硫酸基は抗凝固剤活性に重要であることが確立されているからである。しかしながら、N−脱硫酸化ヘパリン(N-desulfated heparin)は、従前には、エアロゾル化抗原からの喘息様気管支収縮の予防で効果がないことが報告されている(T. Ahmed, et al., American Review of Respiratory Diseases(1992)145: 566-570、図2参照)。加えて、N−脱硫酸化ヘパリンは、従前には、補体阻害においてヘパリンの50%の効果であるに過ぎないことが報告されている(J.M. Weiler, et al., J. Immunol.(1992)148: 3210-3215; R.E. Edens, et al., Complement Today(Cruse, J.M. and Lewis, R.E. Jr. eds): Complement Profiles(1993)1: 96-120)。
このように、文献によれば、化学的脱硫酸化は、喘息気道過剰反応性用の効果的治療として使用されるヘパリンを修飾するのにおいて、効果的戦略ではないことが示唆されている。文献によって何が予測されるかとは対照的に、本発明は、驚くべきことに、ヘパリンの選択的O−脱硫酸化が、喘息においてM2ムスカリン受容体遮断を逆行させるヘパリンの能力を破壊することなく、ヘパリンの抗凝固剤活性をなくすることを開示する。
喘息は、可逆的気道閉塞によって特徴付けられるエピソード病として医学文献に長い間記載されてきた。これは、生理学的気道閉塞が永久的であってゆっくりと進行する、慢性気管炎および気腫からの慢性閉塞気道病とは対照的である。しかしながら、エピソード的であって可逆的な喘息における気道閉塞の特徴は単純である。臨床肺医師は、最近、急性気管支痙攣エピソードの間に決して正常化されない肺機能を持ち、厳しい病気を有するように見える喘息の集団、通常は老人の存在を認識し始めている。これらの患者のあるものは、現在または過去の喫煙のような他の既知の危険因子がなくても、固定された気道閉塞に進行するようである。この集団は、これらの個体の多くがステロイド依存性であるか、あるいはステロイドまたは他の抗炎症性もしくは気管支拡張剤との介在に対して比較的抵抗性である点で、困難な臨床的挑戦を呈している。
この治療するのが困難な集団についての1つの可能な説明は、慢性喘息を持つ患者は、その気道の再構築を受けており、気道壁では平滑筋の量が実質的に増加するということである(Heard, B.E. and S. Hossain, 1973, Hyperplasia of bronchial muscle in asthma(喘息における気管支筋肉の過形成), J. Path. 110: 319-331; James, A.L., P.D. Pare and J.C. Hogg, 1989, The mechanics of airway narrowing in asthma(喘息における気道狭化のメカニズム), Am. Rev. Respir. Dis. 139: 242-246; Saetta, M., A. DiStefano, C. Rosina, G. Thiene and L.M. Fabbi, 1991, Quantitative structural analysis of peripheral airways and arteries in sudden fatal asthma(突然の致死的喘息における末梢気道および動脈における定量的構造分析), Am. Rev. Respir. Dis. 143: 138-143; Ollerenshaw, S.L. and A.J. Woolcock 1992, Characteristics of the inflammation in biopsies from large airways of subjects with asthma and subjects with chronic airflow limitation(喘息を持つ対象および慢性気流制限を持つ対象の長い気道からのバイオプシーにおける炎症の特徴付け), Am. Rev. Respir. Dis. 145: 922-927)。喘息で死亡する患者は、非喘息対照の2倍を超える気道平滑筋の量を有し(Saetta, M., A. DiStefano, C. Rosina, G. Thiene and L.M. Fabbi, 1991, Quantitative structural analysis of peripheral airways and arteries in sudden fatal asthma(突然の致死的喘息における末梢気道および動脈の定量的構造分析), Am. Rev. Respir. Dis. 143: 138-143)、感作Brown-Norwayラット(Sapienza, S., T. Du, D.H. Eidelman, N.S. Wang and J.G. Martin, 1991, Structural changes in the airways of sensitized Brown Norway rats after antigen challenge(抗原攻撃後における感作Brown-Norwayラットの気道の構造変化), Am. Rev. Respir. Dis. 144: 423-427; Wang, C.G., T. Du, L.J. Xu and J.G. Martin, 1993, Role of leukotriene D4 in allergen-induced increases in airway smooth muscle in the rat(ラットにおける気道平滑筋のアレルゲン−誘発増加におけるロイコトリエンD4の役割), Am. Rev. Respir. Dis. 148: 413-417)およびネコ(Padrid, P., S. Snook, T. Finucane, P. Shiue, P. Cozzi, J. Solway and A.R. Leff, 1995, Persistent airway hyperresponsiveness and histologic alterations after chronic antigen challenge in cats(ネコにおける慢性的抗原攻撃後における執拗な気道過剰反応性および組織学的改変), Am. J. Respir. Crit. Care Med. 151: 184-193)で、抗原抗原後に気道平滑筋肥大が観察される。増加した気道平滑筋は、空気が流れることができない場合、気道管腔を拡張または閉鎖する傾向の力の均衡を変化させ、それにより、同等圧力点の位置を変えると予測される(Pride, N.B., S. Permutt, R.L. Riley and B. Bromberger-Barnea, 1967, Determinants of maximal expiratory flow from the lungs(肺からの最大吐気流の測定), J. Appl. Physiol. 23: 646-662)。気道平滑筋が短化する場合、気道管腔直径の過大変化の部分的説明として、気道壁厚化が提唱されている(James, A.L., P.D. Pare and J.C. Hogg, 1989, The mechanics of airway narrowing in asthma(喘息における気道狭化のメカニズム), Am. Rev. Respir. Dis. 139: 242-246)。気流に対するベースライン抵抗にほとんど影響しない気道壁厚みの小さな変化でさえ、喘息で観察されるものと同様の、アゴニストに対する最大気道反応性の増加を生じ得る(Moreno, R.H., J.C. Hogg and P.D. Pare, 1985, Mechanisms of airway narrowing(気道狭化のメカニズム), Am. Rev. Respir. Dis. 133: 1171-1180)。
喘息における気道平滑筋肥大に対する正確な刺激物質は明確ではないが、気道平滑筋に対するいくつかの可能なマイトジェンが示されており、エンドセリン、ヒスタミン、肥満細胞酵素トリプターゼおよびロイコトリエンを含む(Wang, C.G., T. Du, L.J. Xu and J.G. Martin, 1993, Role of leukotriene D4 in allergen-induced increases in airway smooth muscle in the rat(ラットにおける気道平滑筋のアレルゲン−誘発増加におけるロイコトリエンD4の役割), Am. Rev. Respir. Dis. 148: 413-417; Vitori, E.N., M. Marini, A. Fasoli, R. De Franchia and S. Mattoli, 1992, Increased expression of endothelin in bronchial epithelial cells of asthmatic patients and effect of corticosteroids(喘息患者の気管支上皮細胞におけるエンドセリンの発現増加およびコルチコステロイドの効果), Am. Rev. Respir. Dis. 146: 1320-1325; Noveral, J. P., S.M. Rosenberg, R.A. Anbar, N.A. Pawlowski and M.M. Grunstein, 1992, Role of endothelin-1 in regulating proliferation of cultured rabbit air way smooth muscle cells(培養ウサギ気道平滑筋細胞の増殖を調節するにおけるエンドセリン−1の役割), Am. J. Physiol. 263(Lung Cell. Mol. Physiol. 7): L317-L324; Glassberg, M.K., A. Ergul, A. Wanner and D. Puett, 1994, Endothelin-1 promotes mitogenesis in airway smooth muscle cells(エンドセリン−1は気道平滑筋細胞における有糸分裂誘発を促進する), Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 10: 316-321; Panettieri, R.A., P.A. Yadvish, A.M. Kelly, N.A. Rubinstein and M.I. Kotlikoff, 1990, Histamine stimulates prolifer ation of airway smooth muscle and induces c-fos expression(ヒスタミンは気道平滑筋の増殖を刺激し、c−fos発現を誘導する), Am. J. Physiol. 259(Lung Cell. Mol. Physiol. 3): L365-L371; Ruoss, S.J., T. Hartmann and G. Caughey, 1992, Mast cell tryptase is a mitogen for cultured fibroblasts(培養繊維芽細胞に対するマイトジェンである肥満細胞トリプターゼ), J. Clin. Invest. 88: 493-499)。ポリカチオンプロタミンは培養血管平滑筋に対して分裂誘発的である(Edelman, E.R., L.A. Pukac and M.J. Karnovsky, 1993, Protamine and protamine-insulins exacerbate the vascular response to injury(プロタミンおよびプロタミン−インスリンは負傷に対する血管反応を亢進する), J. Clin. Invest. 91: 2308-2313)。従って、主要塩基性タンパク質のような好酸球−誘導の正に荷電したポリカチオンが気道平滑筋の増殖を刺激することも可能であろう。
喘息における気道平滑筋再構築がどのようにして妨げられるかも同様に不明瞭である。気管支拡張剤サルブタモールはトロンビンおよび表皮成長因子に応答する培養ヒト気道平滑筋の増殖を阻害する(Tomlinson, P.R., J.W. Wilson and A.G. Stewart, 1994, Inhibition by salbutamol of the proliferation of human airway smooth muscle cells grown in culture(培養で増殖させたヒト気道平滑筋細胞の増殖のサルブタモールによる阻害), Br. J. Pharmacol. 111: 641-647)。しかしながら、一般に、肥満細胞脱顆粒化を妨げることによって、ベータアドレナリン作動性アゴニスト気管支拡張物質は、気道から、肥満細胞ヘパリン放出の抗増殖効果を奪い、それにより、平滑筋再構築を亢進する(Page, C.P., 1991, One explanation of the asthma paradox: inhibition of natural anti-inflammatory mechanism by B2-agonists(喘息パラドックスの1つの説明:B2−アゴニストによる天然抗炎症メカニズムの阻害), Lancet 337: 717-720)。慢性的に抗原攻撃したオボアルブミン感作Brown-Norwayラットにおいて、ロイコトリエンD4アンタゴニストMK−571は小気道の平滑筋増殖を減少させるが、大きな気道の気道再構築を妨げるにおいて部分的にしか効果的でなかった(Wang, C.G., T. Du, L.J. Xu and J.G. Martin, 1993, Role of leukotriene D4 in allergen-induced increases in airwawy smooth muscle in the rat(ラットにおける気道平滑筋のアレルゲン誘導増加におけるロイコトリエンD4の役割), Am. Rev. Respir. Dis. 148: 413-417)。1を超えるマイトジェンが喘息患者において平滑筋増殖を促進するようなので、1つのメディエーターの特異的遮断は再構築プロセスを妨げないのは驚くべきことではない。療法では、増殖調節事象でより焦点的制御点において介入する治療が必要である。
肥満細胞ヘパリンは、気道平滑筋の成長および増殖を正常に変調することが提案されている(Page, C.P., 1991, One explanation of the asthma paradox: inhibition of natural anti-inflammatory mechanism by B2-agonists(喘息パラドックスの1つの説明:B2−アゴニストによる天然抗炎症メカニズムの阻害), Lancet 337: 717-720)。密接に関連する硫酸化多糖ヘパリン硫酸塩は、培養イヌ気管平滑筋の増殖を阻害することが示されている(Panettieri, R.A., P.A. Yadvish, A.M. Kelly, N.A. Rubinstein and M.I. Kotlikoff, 1990, Histamine stimulates proliferation of airway smooth muscle and induces c-fos expression(ヒスタミンは気道平滑筋の増殖を刺激し、c−fos発現を誘導する), Am. J. Physiol. 259(Lung Cell. Mol. Physiol. 3): L365-L371)。ヘパリンは、インビトロ(Hoover, R.L., R. Rosenberg, W. Haering and M.J. Karnovsky, 1980, Inhibition of rat arterial smooth muscle cell proliferation by heparin(ヘパリンによるラット動脈平滑筋細胞の阻害), Cir. Res. 47: 578-583)およびインビボ(Guyton, J.R., R.D. Rosenberg, A.W. Clowes and Karnovsky, 1980, Inhibition of rat arterial smooth muscle cell proliferation by heparin. In vivo studies with anticoagulant and nonanticoagulant heparin(ヘパリンによるラット動脈平滑筋細胞増殖の阻害。抗凝固剤および非抗凝固剤ヘパリンに関するインビボ研究), Cir. Res. 46: 625-634; Clowes, A.W. and M.M. Clowes, 1985, Kinetics of cellular proliferation after arterial injury(動脈負傷後の細胞増殖の速度論), II. Inhibition of smooth muscle growth by heparin(ヘパリンによる平滑筋増殖の阻害), Lab. Invest. 42: 611-616; Clowes, A.W. and M.M. Clowes, 1986, Kinetics of cellular proliferation after arterial injury(動脈負傷後の細胞増殖の速度論), IV. Heparin inhibits rat smooth muscle mitogenesis and migration(ヘパリンはラット平滑筋有糸分裂誘発および移動を阻害する), Circ. Res. 58: 839-845)での、血管平滑筋の増殖の優れた阻害剤である。
最近、ヘパリンおよび低分子量ヘパリンが、培養中のウシ気管平滑筋細胞の血清−誘導増殖の優れた阻害剤であることがKilfeatherらによって証明されている(Kilfeather, S.A., S. Tagoe, A.C. Perez, K. Okona-Mensa, R. Matin and C.P. Page, 1995, Inhibition of serum-induced proliferation of bovine tracheal smooth muscle cells inculture by heparin and related glycosaminoglycans(ヘパリンおよび関連グルコサミノグルカンによる培養中のウシ気管平滑筋細胞の血清−誘導増殖の阻害), Brit. J. Pharmacol. 114: 1442-1446)。それらの知見の構造活性の意味を議論するにおいて、Kilfeatherおよび共同研究者は、気道平滑筋細胞における抗増殖活性にはO−硫酸化が必要であることを示唆した。それより以前、Wrightらは、O−過剰硫酸化による不活性四糖断片の電荷を増加させると、それらを、血管平滑筋に対して抗増殖性とするが、活性でより大きな断片の電荷を減少させると、それらの抗増殖活性の喪失を引き起こすことを示した(Wright, T.C., Jr., J.J. Castello, Jr., M. Petitou, J.-C. Lormeau, J. Choay and M.J. Karnovsky, 1989, Structural determinants of heparin’s growth inhibitory activity(ヘパリンの増殖阻害活性の構造決定基。オリゴ糖のサイズおよび電荷の相互依存性), J. Biol. Chem. 264: 1534-1542)。Castellotらは、血管平滑筋増殖を阻害するヘパリンに対する必要な構造的要件として3−O硫酸化の絶対的必要性を示唆した(Castellot, J.J., Jr., J. Choay, J.-C. Lormeau, M. Petitou, E. Sache and M.J. Karnovsky, 1986, Structural determinants of the capacity of heparin to inhibit the proliferation of vascular smooth muscle cells(血管平滑筋細胞の増殖を阻害するヘパリンの能力の構造的決定基), II. Evidence for a pentasaccharide sequence that contains a 3-O-sulfate group(3−O硫酸基を含有する五糖配列についての証拠), J. Cell Biol. 102: 1979-1984)。Maccaranaらは、マイトジェン塩基性繊維芽細胞成長因子のヘパリン結合に対する2−O硫酸塩の重要性を報告した(Maccarana, M., B. Casu and U. Lindahl, 1993, Minimal sequence in heparin/heparan sulfate required for binding of basic fibroblast growth factor(塩基性繊維芽細胞成長因子の結合に必要なヘパリン/ヘパリン硫酸塩における最小配列), J. Biol. Chem. 268: 23898-23905)。
対照的に、本発明は、アルカリ性凍結乾燥によって生じた選択的に2−O、3−O−脱硫酸化されたヘパリンが、胎生子ウシ血清で刺激した気道平滑筋増殖の優れた阻害剤であるという驚きべき発見を提供する。
2−O−脱硫酸化ヘパリン(2-O-desulfated heparin)は、生成されたことが報告されている(R. Rej, et al., Thrombosis and Hemostasis(1989)61: 540、および、M. Jaseja, et al., Canadian Journal of Chemistry(1989)67: 1449-1456)。現実には、それらの著者は、自身が作成した化合物が、事実、2−Oならびに3−O脱硫酸化ヘパリンであることを認識していなかった。簡潔には、RejらおよびJasejaらの方法は、0.1N水酸化ナトリウムでpH調整したヘパリン溶液で出発し、次いで、これを凍結乾燥して、2−O−脱硫酸化アルファ−L−イズロン酸残基(および3−O−脱硫酸化グルコサミン残基)を得ることよりなるものである。ヘパリンの抗凝固活性は研究されたが、気道反応性の阻害または喘息状態の治療の示唆はなかった。同様に、ReyらおよびJasejaらは、2−O、3−O−脱硫酸化ヘパリンについての活性は開示しておらず、さらに、いずれかの目的で化合物のいずれかの効果的用量も開示しなかった。
発明の概要
本発明の目的は、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化(O-dsulfation)を有するO−脱硫酸化ヘパリンの治療上有効量を哺乳動物に投与し、それにより、気道過剰反応性を低下または阻害することを特徴とする哺乳動物において喘息反応の気道過剰反応性を低下または阻害する方法を提供することにある。本発明の目的は、治療上有効量のO−脱硫酸化ヘパリンを投与することを特徴とする喘息哺乳動物においてM2ムスカリン受容体活性を増加させる方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、治療上有効量のO−脱硫酸化ヘパリンを投与することを特徴とする哺乳動物において気管支収縮を低下または予防する方法を提供することにある。本発明のもう1つの方法は、治療上有効量のO−脱硫酸化ヘパリンを投与することを特徴とする哺乳動物において補体により媒介された溶血を阻害する方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖低下もしくは阻害量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を低下または阻害することを特徴とする哺乳動物において気道平滑筋増殖を低下または阻害する方法を提供することにある。本発明のもう1つの目的は、抗凝固活性を実質的に誘導しないこのような方法を提供することにある。
以下のいくつかの図面および実施例を含めた本明細書を考慮すれば、当業者は、本発明のさらなる目的および利点を決定できるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、肺気道の迷走神経支配の求心性知覚および遠心性運動運動四肢のコリン作動性神経経路およびムスカリン受容体サブタイプの模式的図面である。省略は以下の通りである:ACh、アセチルコリン;N、ニコチン受容体;M1、M1ムスカリン受容体;M2、M2ムスカリン受容体;M3、M3ムスカリン受容体;矢印は神経伝達を示す。
図2は、天然に生じるヘパリンの五糖結合配列の化学式を示す。
図3は、オボアルブミンで攻撃した感作喘息モルモットにおけるヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンによる迷走神経誘導気管支収縮の阻害のグラフを示す。塗ってない柱は治療の不存在下における気管支収縮を示す。塗った柱は、迷走神経誘導気管支収縮に対する、生理食塩水、十分に抗凝固性のヘパリン(2,000U/kg)またはO−脱ヘパリン(91.2mg/kg)での治療の効果を示す。データは、生理食塩水に対しn=5、ヘパリンに対し4、およびO−脱硫酸化ヘパリンに対して5にて、垂直線で示された平均値(+標準誤差平均)である。*P<0.05、スチューデントの対t−検定使用。
図4は、オボアルブミンで攻撃した感作モルモットにおけるO−脱硫酸化ヘパリンによる迷走神経誘導気管支収縮の阻害を示す。
図5は、抗原攻撃モルモットにおける対ピロカルピン反応に対するヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンの効果のグラフを示す。結果は、ピロカルピン前の迷走神経誘導気管支収縮に対するピロカルピン後の迷走神経誘導気管支収縮の比率として表す。各点は4〜5動物の平均であり、垂直線によって示される標準誤差平均を伴わせる。ピロカルピン(1〜100μg/kg静脈内)は、対照モルモットにおける迷走神経誘導気管支収縮を有意に阻害した(塗っていない四角、P=0.01)。抗原攻撃に続き、迷走神経誘導気管支収縮に対するピロカルピンの効果がなくなった(塗ってない三角形)。迷走神経誘導気管支収縮に対するピロカルピンの効果は、O−脱硫酸化ヘパリンの投与によって用量依存的に回復した(11.4mg/kg、閉じた三角形、22.8mg/kg、閉じた丸、57.0mg/kg、閉じた菱形、91.2mg/kg、閉じた四角形)。*対照から有意に異なる;+抗原攻撃から有意に異なる(塗ってない三角形)、反復測定用に2つの偏差分析使用。
図6は、気道平滑筋細胞増殖に対する血清の効果のグラフを示す。細胞を血清に暴露し、細胞カウントは24時間間隔で行い、結果は各24時間間隔における血清の4濃度の各々における細胞カウントとして表す。血清濃度は以下の通りである:(A)0.25%FBS、(b)2.5%FBS;(C)5.0%FBS;および(D)10.0%FBS。各点は少なくとも5ウェルにおける細胞カウントの平均値+標準誤差を表す。
図7は、気道平滑筋細胞に対するヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンの効果のグラフを示す。実線はヘパリンを示し、ハッチング棒線はO−脱硫酸化ヘパリンを示す。細胞に添加した濃度は以下の通りである:(1)0μg/ml、(2)2.0μg/ml、(3)20μg/ml、(4)200μg/ml。細胞カウントは示した化合物と共にしたインキュベーションの62時間後に行った。各棒線は少なくとも5ウェルにおける細胞での平均値+標準誤差を表す。
図8は、ウシ・ヘパリン未修飾物質のスペクトルを示す。
図9は、本発明のO−脱硫酸化ウシ・ヘパリンのスペクトルを示す。
図10は、ブタ・ヘパリン未修飾出発物質のスペクトルを示す。
図11は、本発明のO−脱硫酸化ブタ・ヘパリンのスペクトルを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、特定の実施態様および実施例の以下の詳細な記載ならびに含まれる図面を参照して、より容易に理解できる。
請求の範囲で用いるように、「a」(単数形)はそれが用いられる文脈に応じて、1またはそれ以上であることを意味する。
本発明は、喘息反応の治療および予防方法を提供する。これらの反応は、内因性の喘息を有する、すなわち、刺激物質に応答して気道過剰反応性にさらに突発し得る気道における慢性的低レベル炎症を有する対象において治療され予防され得る。これらの反応は、外因性の喘息を有する、すなわち、抗原への暴露に対する気道過剰反応性によってさらに応答する気道における慢性的炎症を有する対象において治療され予防され得る。本明細書で用いる「気道過剰反応性」または「気道過剰応答性」とは、いずれかの刺激物質、すなわち、抗原または刺激体に対する正常な非喘息の個人の反応を超える気道における過急性反応を意味する。この反応は、アセチルコリンの放出増大、好酸球のような炎症細胞の流入および(主要塩基性タンパク質、好酸球ペルオキシダーゼおよび好酸球カチオン性タンパク質を含めた)正に荷電したタンパク質の同時放出、気道炎症、および気管支収縮を誘導し得る。
本発明は、喘息反応低下量のO−脱硫酸化ヘパリン(O-desulfated heparin)を対象に投与し、それにより、哺乳動物において喘息反応を低下させることを特徴とする哺乳動物において喘息反応を低下させる方法を提供する。「喘息反応」には、気道過剰反応性、気管支収縮、M2ムスカリン受容体の脱感作、および気道平滑筋細胞の増殖のような、喘息に関連する気道におけるいずれの生理学的反応も含まれる。
具体的には、本発明は、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道過剰反応性低下量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において気道過剰反応性を低下させることを特徴とする哺乳動物において喘息反応の気道過剰反応性を低下させる方法を提供する。
本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの活性増加量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物においてM2ムスカリン受容体活性を増加させることを特徴とする、喘息哺乳動物において脱感作M2ムスカリン受容体の活性を増加させる方法を提供する。
本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気管支収縮低下量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において気管支収縮を低下させることを特徴とする、哺乳動物において気管支収縮を低下させる方法を提供する。
本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖低下量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を低下させることを特徴とする、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を低下させる方法を提供する。
本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの補体媒介溶血阻害量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害することを特徴とする、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害する方法を提供する。補体媒介溶血の阻害は、補体媒介溶血の阻害剤の不存在下における補体媒介溶血に対して補体媒介溶血を低下させることよりなり得る。
「O−脱硫酸化ヘパリン(O-desulfated heparin)」とは、ヘパリンの抗凝固活性のいずれかの低下をもたらすのに十分な程度にヘパリンがO−脱硫酸化されていることを意味する。O−脱硫酸化ヘパリンは、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に、2−Oおよび3−O位において脱硫酸化されている実施例Iに記載されたプロセスによって調製されたヘパリンを含む。好ましくは、O−脱硫酸化ヘパリンは、二糖分析によって測定して、少なくとも2−Oおよび3−O位の各々において独立に、少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくともやく90%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%、より好ましくは少なくとも約98%、または100%脱硫酸化されている。脱硫酸化の程度は各O−位置において同一である必要はない。O−脱硫酸化の程度は二糖分析のような公知の方法によって測定できる。6−O位における脱硫酸化は現在利用できる技術によって測定することができない。好ましい実施態様において、6−O位は実質的に硫酸化されているが、硫酸塩のいくらか、特に少量が、本発明で用いる化合物の調製の間に失われている(脱硫酸化されている)ならば測定することができない。N位における脱硫酸化は、前記条件下でいずれかの認識できる程度まで起こると予測されない。O−脱硫酸化ヘパリンを調製する方法は実施例に記載する。O−脱硫酸化ヘパリンは、未反応ヘパリンの抗凝固特性無くして、過大化された喘息の気道反応性に寄与するM2ムスカリン受容体遮断を低下させるにおいて効果的である。O−脱硫酸化ヘパリンの投与は、当該分野で知られているように、O−脱硫酸化ヘパリンが医薬上許容される状態にある、すなわち、投与するのに十分に中性のpHであることを含む。当該分野で知られている1つは、許容される範囲にpHをいかにして調整するかを知ること、および医薬上許容される範囲を知ることであろう。好ましくは、pHはエアロゾルでは約6および約7の間であり、許容されると考えられる静脈内投与では約7ないし約7.5である。アルカリ性のpHに中和するには、典型的には、大量の水で溶液を限外濾過し、塩酸のようないずれかの選択された酸でpHを中性pHにして、次いで、溶液を乾燥し、凍結乾燥するか、あるいは真空蒸留する。
「O−脱硫酸化ヘパリン」は、異常M2受容体機能を回復させ、喘息の過大化気道反応性を阻害するその能力をそれが保有する限り、低下した分子量またはアセチル化、脱アセチル化し、酸化および脱カルボキシル化のような修飾を有するO−脱硫酸化ヘパリンを含む。修飾されたO−脱硫酸化ヘパリンは、本明細書の教示によれば、公知の方法を利用してこれらの活性につき容易に評価できる。このような修飾は部分的脱硫酸化の前または後になすことができ、修飾の方法は当該分野で標準的である。ヘパリンのいくつかの低分子量修飾体が開発されている(″Heparin″、LaneおよびLindall、第581頁、表27.1参照)。分子量は、典型的には、約2500ないし約8100の範囲であり、喘息反応低下機能を保有する低下した分子量を有するO−脱硫酸化ヘパリンも利用できる。低分子量ヘパリンは、ヘパリナーゼ酵素を利用してヘパリンをより小さな断片に切断することによっても酵素的に作成できる。このような低下した分子量のO−脱硫酸化ヘパリンは、典型的には、約1000ないし約8000の分子量を有し得る。
例えば、過ヨウ素酸塩酸化(米国特許第5,250,519号、ConradおよびYuchuan)は、低下した抗凝固活性を有する酸化ヘパリンを生じる公知の酸化方法である。当該分野でやはりよく知られた他の酸化方法も使用できる。加えて、例えば、ヘパリンの脱カルボキシル化は抗凝固活性を低下させることが知られており、このような方法は当該分野で標準的である。さらに、低分子量ヘパリンは低下した抗凝固活性を有することが当該分野で知られており、それらは標準的な技術によって生成できる。このように、本発明で使用することが考えられる修飾されたO−脱硫酸化ヘパリンは、例えば、過ヨウ素酸塩酸化O−脱硫酸化ヘパリン、脱カルボキシル化O−脱硫酸化ヘパリン、アセチル化O−脱硫酸化ヘパリン、脱アセチル化O−脱硫酸化ヘパリン、脱アセチル化酸化O−脱硫酸化ヘパリンおよび低分子量O−脱硫酸化ヘパリンを含む。本明細書の教示によって、多くの他の修飾は当業者に明らかであろう。
反応または活性を「低下させる」または「増加させる」とは、O−脱硫酸化ヘパリンの投与に先立つ対象にでの反応のレベルに対して活性が低下または増加することを意味する。典型的には、このような低下または増加は、喘息反応の徴候の低下、例えば、呼吸することが楽であることを経験することによって対象により容易に確認され得る。反応または活性を「低下させる」または「増加させる」とは、治療の不存在下における対象についての反応の典型的レベルに対して反応を低下または増加させることを意味する。加えて、増加または低下は、投与前に関連パラメーターを測定し、次いで、それを投与後に再度測定することによって、本明細書中での教示および当該分野での標準的方法によって容易に測定することができる。加えて、標準用量は、特定の対象についてさえ容易に決定することができ、次いで、日常的処置のために投与することができる。
O−脱硫酸化ヘパリンの喘息反応低下量は、気道過剰反応性、気管支収縮、および気道平滑筋細胞の増殖のような、喘息エピソードのいずれかの反応の低下を引き起こす量である。「気道過剰反応性低下量」は、喘息患者において損なわれたM2受容体活性の増加を引き起こす量、炎症を低下させる量、および/または気管支収縮を減少させる量のような、気道過剰反応性のいずれかの発現の低下を引き起こす量である。脱感作M2ムスカリン受容体「活性減少量」とは、喘息患者において脱感作M2ムスカリン受容体の活性の増加を引き起こす量である。「気管支収縮低下量」は、喘息患者において気管支収縮反応を低下させる量である。「気道平滑筋細胞増殖低下量」は、喘息反応において気道平滑筋細胞増殖を低下させる量である。「補体媒介溶血阻害量」は、対象、特に喘息対象において、補体媒介溶血を低下させまたは阻害する量である。いずれかの有効量は、気道過剰反応性において気道に放出された正に荷電したタンパク質上の正電荷に結合し、このようにそれを中和するのに十分な量である。有効量は特定の個体につき変化し得、また、反応の重症度に従って変えることができる。例えば、より厳しい反応ではより高い投与量を、より低い厳しい反応ではより低い用量を投与することができる。加えて、もし十分な軽減が初期用量から得られなければ、同一または調整量にて、投与を反復することができる。このように、保存的用量を最初に投与でき、もし軽減が得られなければ、さらなる用量を軽減の必要に応じて投与することができる。
例えば、有効量は、約1mg/kgを超える、好ましくは約5mg/kgより多い、より好ましくは約10mg/kgより多いの用量であり得、さらに、有効量は好ましくは約100mg/kg未満、好ましくは約70mg/kg未満である。好ましい用量範囲は、約1mg/kgないし約70mg/kgであり得る。もう1つの好ましい用量範囲は、約50mgないし約500mgであり得る。このように、平均的ヒト成人につき、典型的最小用量はO−脱硫酸化ヘパリンの約50mgを含むことができ、典型的最大用量は約5.0グラムを含むことができる。
本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位においてO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道過剰反応性低下量を哺乳動物に投与し、それにより、哺乳動物において気道過剰反応性を予防することを特徴とする、哺乳動物において気道過剰反応性を予防する方法を提供する。本発明は、さらに、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気管支収縮低下量を哺乳動物に投与し、それにより哺乳動物において気管支収縮を予防することを特徴とする、哺乳動物において気管支収縮を予防する方法を提供する。さらに、本発明は、少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖阻害量を哺乳動物に投与し、それにより、気道平滑筋細胞増殖を予防することを特徴とする、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を予防する方法を提供する。
「予防」とは、喘息反応が急性レベルまで達せず、実質的に検出できないことを意味する。予防には、O−脱硫酸化ヘパリンを、既知の抗原との予測される接触に先立つように、抗原への暴露に先立って投与することができる。また、O−脱硫酸化ヘパリンを日常的基礎に基づいて投与して、気道過剰反応性および/または平滑筋細胞増殖を継続的に予防することができる。喘息は、炎症の一定の低レベルのため、気道過剰反応性および/または気管支収縮の予防によく適合する。予防は、負に荷電したO−脱硫酸化ヘパリンによる気道での正電荷の連続的結合を含む。
好ましくは、本発明の予防方法は喘息反応の一定の抑制を含み、これは、O−脱硫酸化ヘパリンの反復的日常的投与によって達成することができる。反復的日常的投与では、最適用量は、最適予防が達成されるまで用量を変化させることによって容易に確認することができる。好ましくは、用量は1日当たり約2〜4回投与する。
加えて、大量の抗原または刺激物質への暴露に際して、もし結局は反応が起これば、O−脱硫酸化ヘパリンのさらなる用量を投与することができる。加えて、抗原の大用量への暴露が予め知られている場合、O−脱硫酸化ヘパリンのさらなる用量を投与して反応を予防することができる。抗原に対する反応を低下または予防するのに必要なO−脱硫酸化ヘパリンの用量は、負に荷電したヘパリンによって結合されるべき、抗原または刺激物質への暴露に由来する正に荷電下タンパク質を有する細胞の移動によってもたらされた、気道中の正電荷の量に直接的に関連するので、さらなる用量が必要であろう場合には容易に測定し、適当な量を決定することができる。反復的予防的投与のための典型的用量は、約0.5mg/kgないし約70mg/kgであり得、好ましい用量は約5mg/kgないし約7mg/kgである。この好ましい用量は、反応を予防する必要に応じて、しばしば与えることができる。
本発明は、さらに、気道過剰反応性低下量のO−脱硫酸化ヘパリンを哺乳動物に投与することよりなり、ここに、該O−脱硫酸化ヘパリンが、低下したヘパリンを含有する溶液をpH13以上までアルカリ化し、次いで脱硫酸化させることを含むプロセスによって作成されたものであり、それにより、哺乳動物において気道過剰反応性を低下させることを特徴とする、哺乳動物において喘息反応の過剰反応性を低下させる方法を提供する。脱硫酸化は、アルカリ性ヘパリン溶液を凍結乾燥し、乾燥し、または真空蒸留することによってより速く達成することができる。脱硫酸化の程度は、試料を取り出し、二糖分析のような標準的手段によって試料の脱硫酸化の程度を測定することによって、脱硫酸化プロセスの間に測定することができる。アルカリ性溶液は投与に先立って中和すべきであり、これは、大量の水で限外濾過し、塩酸の添加のような標準的手法によってpHを中性pHに調整し、続いて凍結乾燥し、乾燥し、または真空蒸留することによって達成することができる。同様に、本発明は、本発明の製法によって作成されたO−脱硫酸化ヘパリンの活性増加量を哺乳動物に投与することを特徴とする、喘息哺乳動物において脱感作M2ムスカリン受容体の活性を増加させる方法を提供する。加えて、本発明は、本発明の製法によって作成されたO−脱硫酸化ヘパリンの気管支収縮低下量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物において気管支収縮を低下させる方法を提供する。さらに、本発明は、本発明の製法によって作成されたO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖低下量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を低下させる方法を提供する。加えて、本発明によって、本発明の製法によって作成されたO−脱硫酸化ヘパリンの補体媒介溶血阻害量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害する方法が提供される。本発明製法の例は実施例Iに提供され、これは、アルカリ性ヘパリン溶液を凍結乾燥することによって達成たより迅速な脱硫酸化プロセスを証明する。別法として、アルカリ性ヘパリン溶液は乾燥または真空蒸留でき、あるいは単に放置して脱硫酸化を進行させることができる。
ヘパリンの溶解は約1〜10%のヘパリン濃度におけるものであり得る。所望ならば、ヘパリンは、二炭酸ナトリウムで溶液をpH8〜9までわずかにアルカリ化する常法にて添加することができる(Conradら、米国特許第5,250,519号(1993年10月5日)、限定されるものではないが水素化ホウ素ナトリウム、接触水素および水素化リチウムアルミニウムのような還元剤で分子量制御のために任意に処理でき(ヘパリンの断片化の量を低下させることができる)が、もし使用するならば、還元剤は好ましくは溶液をわずかにアルカリ化することなく(二炭酸ナトリウムなくして)添加することができる。該溶液は、約15〜30℃にて、またはより好ましくは約20〜25℃にて、約12〜24時間、還元剤と共にインキュベートすることができる。インキュベーション時間は、約4時間からのように、ヘパリンの還元が起こるには十分長くする必要があるに過ぎず、60時間を超えるような日数にわたるまで延長することができる。このインキュベーションの後、水酸化ナトリウムのような塩基を添加して、pHを13以上まで、好ましくは約0.25ないし0.50Mの濃度まで上昇させる。次いで、このアルカリ性溶液を乾燥し、凍結乾燥し、または真空蒸留することができる。これらのプロセスはO−脱硫酸化プロセスをスピードアップすることができ、別法として、溶液はこれらのプロセスを利用することなくO−脱硫酸化を進行させることができる。使用する特定のこのようなプロセスに拘わらず、次いで、投与に先立って、ヘパリンを医薬上許容されるpHまで中和する。典型的には、O−脱硫酸化ヘパリンは、大量の水での限外濾過によって中和され、要すれば、塩酸の添加のような標準的手段によってpHを調整し、次いで、O−脱硫酸化ヘパリンを乾燥し、凍結乾燥し、または真空蒸留する。ここで使用されるO−脱硫酸化ヘパリンの調製方法は、1995年8月10日に公開されたWO95/21198に開示されており、出典を明示してその開示を本発明の一部をなすものとみなす。
本発明の医薬は、さらに、投与用の生理学上許容される担体中に、O−脱硫酸化ヘパリンまたはその修飾物を含むことができる。生理学上緩衝化された食塩水、正常生理食塩水および蒸留水のような生理学上許容されるいずれの担体も利用できる。「医薬上許容される」とは、生物学的または他の場合に望ましくないのではない物質を意味し、すなわち、該物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、あるいはそれが含有される医薬組成物のいずれの他の成分とも有害に相互作用することなく、O−脱硫酸化ヘパリンと共に個体に投与することができるという意味である。
本発明は、O−脱硫酸化ヘパリンが、吸入によって、気管内注入によって、静脈内(iv)注射によって、腹腔内注射によって、または経口的にエアロゾル粒子にて投与できることを提供する。このような投与は、生理学上許容される担体および有効量のO−脱硫酸化ヘパリンもしくはそのアナログを含むことができる。エアロゾル粒子は10ミクロン未満、好ましくは5ミクロン未満の粒子から実質的になることができる。このようなエアロゾルは、通常の使用における利用可能なジェットエアロゾルもしくは超音波噴霧器システムによって、あるいは当該分野で公知の乾燥粉末吸入システムによって供することができる。
投与の意図した様式に応じて、医薬組成物は、例えば、エアロゾル吸入用の乾燥粉末または液体のような、固体、半固体または液体投与形態とすることができる。該組成物は、前記したように、医薬上許容される担体と組み合わせて有効量の選択薬物を含み、加えて、他の医療剤、医薬、担体、アジュバント、希釈剤等を含むことができる。化合物は、例えば、カチオン性リポソームとの複合体として、またはアニオン性リポソームに封入して投与することができる。
液体の医薬上許容される組成物は、例えば、本明細書に記載したような活性化合物および任意の医薬アジュバントを、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等のような賦形剤に溶解、分散等させて、それにより、溶液または懸濁液を形成させることによって調製することができる。所望ならば、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、pH調整剤等、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート等のような少量の非毒性補助物質を含有することもできる。液体組成物は投与用にエアロゾル化することができる。このような投与形態を調製する実際的方法は公知であるか、あるいは当業者に明らかであろう。例えば、Remington’s Phamaceutical Sciences, E.W. Martin(編), Mack Publishing Co., Easton, ペンシルベニア州参照。
もし使用するならば、非経口投与は、一般的には、注射によって特徴付けられる。注射剤は、液状溶液もしくは懸濁液、注射に先立って液体中の溶液もしくは懸濁液に適した固体形態として、またはエマルジョンとして通常の形態に調製することができる。非経口投与についてのより最近に工夫されたアプローチは、一定レベルの投与量が維持されるように、徐放または持続性放出システムの使用を含む。例えば、ここに出典を明示して本明細書の一部をなすものとみなす米国特許第3,710,795号参照。
本発明を以下の実施例にてより詳細に記載するが、その他の多数の修飾および変形が当業者に明らかであろうから、これは例示的なものに過ぎない。
実施例
実施例I
ヘパリンのO−脱硫酸化
500mgのヘパリンを10Lの脱イオン水に添加することによって、ブタ腸粘膜ヘパリンナトリウムの5%水溶液(Scientific Protein Labs., Waunakee、ウィスコンシン州)を作成した。水素化ホウ素ナトリウムを1%の最終濃度まで添加し、混合物を25℃で一晩インキュベートした。次いで、水酸化ナトリウムを0.4M最終濃度まで添加し(少なくとも13のpH)、混合物を凍結し、凍結乾燥して乾固した。過剰の水素化ホウ素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを限外濾過によって除去した。最終生成物をpH7.0に調整し、3容量の冷エタノールの添加によってプレインキュベートし、乾燥した。この手法によって生成したO−脱硫酸化ヘパリンは微細で結晶性のわずかに灰色がかった白色の粉末で、10未満のUSPユニット/mgの抗凝固活性および10未満のU/mgの抗Xa抗凝固活性を有していた。
溶液中でヘパリンを還元し、次いで、該還元されたヘパリン溶液を乾燥し、凍結乾燥し、または真空蒸留することによるO−脱硫酸化ヘパリンの合成は、以下の修飾を含むことができる。例えば、溶液が高度にアルカリ性でない限り、水、または他の溶媒中の出発ヘパリンを置き換えることができる。ヘパリン溶液の典型的濃度は、1ないし10パーセントヘパリンであり得る。反応で使用したヘパリンは、ブタ腸またはウシ肺のような当該分野で知られた多数の入手源から得ることができる。前記した当業者に知られた多数の方法のいずれかで修飾されたヘパリンを利用することができる。
還元ヘパリン溶液は乾燥し、凍結乾燥することができるか、あるいは溶媒を真空蒸留することができる。凍結乾燥または溶媒の真空蒸留が好ましい。一般には、凍結乾燥を利用する。ヘパリンは、それを水素化ホウ素ナトリウム、接触水素、または水素化リチウムアルミニウムのような還元剤と共にインキュベートすることによって還元することができる。ヘパリンの好ましい還元は、ヘパリンを水素化ホウ素ナトリウムと共にインキュベートすることによって行われる。一般には、溶液1リットル当たり10グラムのNaBH4を使用することができるが、この量はヘパリンの還元が起こる限り変更することができる。加えて、他の公知の還元剤を利用することができるが、治療に効果的なO−脱硫酸化ヘパリンを生成するのに必要ではない。インキュベーションは、温度がヘパリンがカラメル化するほどに高くはないことに注意して、種々の温度範囲にわたって達成することができる。提案される温度範囲は約15〜30℃、約20〜25℃でさえある。インキュベーションの長さも、それが還元を起こすのに十分である限り、広い範囲にわたって変更することができる。例えば、数時間ないし一晩(すなわち、約4ないし12時間)が十分であり得る。しかしながら、該時間は数日を超えるまで延長することができ、例えば、約60時間を超えることができる。
加えて、合成の方法は、還元溶液のpHを13以上まで上昇させることによって、あるいはpHを13以上まで上昇させることができる塩基を還元ヘパリン溶液に添加することによって適合させることができる。該pHは、水酸化ナトリウム、カリウムもしくはバリウムのような水酸化物を含めた多数の剤のいずれかを添加することによって上昇させることができる。好ましい剤は水酸化ナトリウム(NaOH)である。一旦13以上のpHが達成されたならば、さらに塩基の濃度を増加させるのが有利であり得る。例えば、NaOHを約0.25Mないし約0.5M NaOHの濃度まで添加するのが好ましい。次いで、このアルカリ性溶液を乾燥し、凍結乾燥し、または真空蒸留する。
実施例II
O−脱硫酸化ヘパリンの2−Oおよび3−O−脱硫酸化の程度の分析
以下の2組の二糖分析をウシおよびブタ由来試料について行い、同一基準の二糖分析HPLCスペクトルを得、HPLCピークの定量的積分および同定を行って、4つのヘパリン試料の脱硫酸化の程度を測定した。
GuoおよびConradの方法(Guo, Y. and H.E. Conrad, 1988, Analysis of oligosaccharides from heparin by reversed-phase ion-pairing high-performance liquid chromatography(逆相イオン対合高効率液体クロマトグラフィーによるヘパリンからのオリゴ糖の分析), Anal. Biochem. 178: 54-62)によって二糖分析を行った。。このプロセスでは、N−アセチル−D−グルコサミン残基をヒドラジンで脱アセチル化する。次いで、ヘパリンを脱アミノ化し、pH4の亜硝酸への暴露によった脱重合して、D−グルコサミンおよびウロン酸の間の結合を切断し、次いで、pH1.5にて暴露してD−グルコサミンN−硫酸塩およびウロン酸の間の結合を切断する。両反応により、O−硫酸塩が無傷で遊離し、グルコサミンおよびグルコサミン−N−硫酸塩をアンヒドロマンノースに転換され、これをNaB[34]で放射標識し、アンヒドロマンノースをアンヒドムマンニトールに変換する。次いで、放射標識二糖を逆相イオン対合高圧液体クロマトグラフィーによって分離する。
分析の最初の組はウシ肺ヘパリンにつき行い、a)出発物質であるSigma Chemical Corp.から入手したウシ肺ヘパリン(図8)およびb)実施例に記載したように出発ウシ肺ヘパリン160mgを40mlの脱イオン水に添加して0.4%溶液を作成し、溶液を水酸化ナトリウムでpH13以上に調整し、凍結し、該物質を凍結乾燥することによって生じた生成物であるO−脱硫酸化ヘパリン(図9)を比較した。
最初の比較の結果は、最初の生成物であるO−脱硫酸化ウシ肺ヘパリンが、最初の出発物質に対して97.6%2−O脱硫酸化され、約99%3−O脱硫酸化されたことを示す。2−O位における脱硫酸化は、出発物質において、10.7分におけるISMピークが104,517cpmの面積を有して、49.65分におけるISMSピークが207,919cpmの面積を有するのに対して、生成物が49.75分において無視し得るISMピークおよびISMSピークを有し、2−O硫酸塩基の97.6%減少を表すので検出できる。3−O位における脱硫酸化は、出発物質において、47.85分におけるGMS2ピークが10,461cpmの面積を有するのに対して、生成物が無視し得るGMS2ピークを有し、3−O硫酸塩基の99%減少を表すので検出できる(図8および図9参照)。最初の生成物における大きなIMSピークによって示されるように、最初の生成物は、依然として、出発物質に対して6−O位において実質的に硫酸化されている。
分析の第2の組はブタ粘膜ヘパリンにつき行い、a)出発物質であるSigma Chemical Corp.から入手したブタ粘膜ヘパリン(図10)およびb)実施例Iに記載されたようにに160mgの出発ブタ粘膜ヘパリンを40mlの脱イオン水に添加して0.4%溶液を作成し、溶液を水酸化ナトリウムでpH13に調整し、凍結し、次いで該物質を凍結乾燥することによって得られた生成物であるO−脱硫酸化ブタ粘膜ヘパリン生成物(図11)を比較した。
第2の比較の結果は、第2生成物であるO−脱硫酸化ブタ粘膜ヘパリンが、第2出発物質に対して、約97.1%2−O脱硫酸化され、約99%3−O脱硫酸化されたことを示す。2−O位における脱硫酸化は、出発物質において、14.85分におけるISMピークが50,298cpmの面積を有し、かつ51.45分におけるISMSピークが249,088cpmの面積を有するのに対して、生成物が無視し得るISMピークおよび8,471cpmの52.15分におけるISMSピークを有し、2−O硫酸塩基の97.1%減少を表すので検出できる。3−O位における脱硫酸化は、出発物質において、50.35分におけるGMS2ピークが17,082cpmの面積を有するのに対して、生成物が無視し得るGMS2ピークを有し、3−O硫酸塩基の約99%減少を表すので検出できた。第2の生成物は、第2生成物における大きなIMSピークによって示されるように、出発物質に対して、6−O位においいて依然として実質的に硫酸化されていた。
実施例III
O−脱硫酸化ヘパリンによる喘息気道過剰反応性の治療
肺において、迷走神経からのアセチルコリンの放出は、図1に示されるように、節後神経に対する阻害性ムスカリン自己受容体の局所的制御下にある。これらのM2自己受容体はアセチルコリン放出の負のフィードバック制御を提供する。この負のフィードバック制御は、選択的M2ムスカリンアゴニストであるピロカルピン(pilocarpine)の存在下で、迷走神経誘導気管支収縮をインビボで測定することによって証明できる。ピロカルピンでのニューロンM2受容体の刺激は、70〜80%の迷走神経誘導気管支収縮を減少させる(A.D. Fryer, et al., British Journal of Pharmacology(1984)83: 973-978)。これらのM2受容体の機能の喪失は、迷走神経の電気的刺激に対する気道過剰応答性によって、およびピロカルピンが迷走神経誘導気管支収縮を阻害しないことによって特徴付けられる。逆に、M2受容体機能の回復は、気道過剰応答性の喪失およびピロカルピンが迷走神経誘導気管支収縮を阻害する能力に関係する。これは、アレルゲン誘導喘息のモルモットモデルにおいて証明され、そこでは、M2受容体機能の喪失はヘパリンの投与によって回復できる(A.D. Fryer, et al., Journal of Clinical Investigation(1992)90: 2290-2298)。
特異的病原体の無いモルモット(Dunkin Hartley; 200〜250g)に生理食塩水(対照)または10mg/kgオボアルブミンを1日置きに3注射にて腹腔内注射(ip)した。最初の注射の3週間後、オボアルブミン感作モルモット(しかし、生理食塩水注射はしていない)を、4日連続で毎日5分間、5%オボアルブミンのエアロゾルに暴露した。第1日に、ピロカルピン(1mg/kg iv)のみ(オボアルブミン攻撃に対する急性応答が最大である場合)を攻撃前に60分投与した。この期間中、動物を層流フード内のケージに収容した。
最後のエアロゾル攻撃の24時間後、動物をウレタン(1.5g/kg ip)で麻酔した。次いで、薬物の投与のために、両外部頸静脈にカニューレを入れた。グアネチジン(10mg/kg iv)を各実験の開始時に与えて、交感神経からのノルエピネフリンの放出を防止した。両迷走神経を頸部にて切断し、流動パラフィンのプールに浸漬したシールドした電極上に置いた。電極をGrass SD9刺激機に接続した。加熱ブランケットを用いて、37℃の体温を維持した。気管にカニューレを入れ、動物をスキザメトニウムで麻痺させ(10ug/kg/分で注入)、正圧の一定容量Harvard動物通気機で換気した。Spectramed圧力変換器を用い、肺膨張圧(Ppi)を気管にて測定した。流量は、Grass差分圧力変換器を備えたFleish呼吸流量計を用いて測定し、この信号を積分して潮汐容量を決定した。Spectramed変換器で血圧を測定するために頸動脈にカニューレを入れ、心拍数はタコグラフを用いて血圧から誘導した。全ての信号をGrassポリグラフに記録した。各実験の開始時および終了時に採取した動脈血試料を用いてpO2およびpCO2を測定した。
動物の適当な換気にて100〜120mmH2Oの正圧が必要であった。一定流量および容量を仮定して、ベースライン膨張圧を超えるPpiの増加として気管支収縮を測定した。Ppi信号をポリグラフ上の第2チャンネルの前置増幅器の入力に供給し、ベースラインPpiを電気的に差し引いた。このように、Ppiを1つのチャンネルに記録し、Ppiの増加をより感度の高い別のチャンネルに記録して、ベースラインを超えて2mmH2Oと同じくらい小さいPpiの増加を正確に測定できるようにした。
気管支収縮を生じさせるために、両迷走神経を1分間隔で同時に刺激した(2または15Hz、0.2ミリ秒パルス持続、5〜30ボルト、系列当たり45パルス)。これは徐脈も引き起こした。15Hzでの迷走神経刺激に対する安定なベースライン応答を確立した後、生理食塩水、ヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリンいずれかを静脈内注射し、迷走神経の電気的刺激を次の半時間毎分ごとに継続させた。生理食塩水、ヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリンいずれかを注射して30分後であってピロカルピンの投与前に、2Hzにおける迷走神経の電気的刺激に対する対照応答を得た。迷走神経の刺激(2Hz、0.2ミリ秒、系列当たり45パルス)に対する気管支収縮は、電圧を調節することによって(5〜20ボルト内)対照および感作モルモットにおいて一致した。このように、迷走神経誘導気管支収縮に対するピロカルピンの効果は、異なる初期気管支収縮応答についての心配なくして群間で比較できた。一旦2Hzにおける迷走神経誘導気管支収縮についてのパラメーターを設定し、いくつかの首尾一貫した応答が得られたならば、ピロカルピン(1〜100ug/kg iv)を累積用量で与え、迷走神経誘導気管支収縮に対する効果を測定した。ピロカルピンの30〜100ug/kg ivは一過性の気管支収縮を生じた。従って、Ppiがベースラインに復帰した後に、迷走神経誘導気管支収縮に対するこれらの用量の効果を測定した。従前の研究において、2,000U/kg ivヘパリンがニューロンM2受容体機能を回復させるのに効果的であることが示されている(A.D. Fryer, et al., Journal of Clinical Investigation(1990)90: 2290-2298)。各実験の最後において、アトロピン(1mg/kg iv)は迷走神経刺激に対して全ての応答を遮断し、これは、迷走神経誘導気管支収縮および徐脈がムスカリン受容体を介して媒介されたことを示す。
迷走神経の刺激に対するベースライン気管支収縮および徐脈応答を、1因子偏差分析を用いて、対照ならびに攻撃されたモルモットおよび処理モルモットの間で比較した。1因子偏差分析を用い、迷走神経誘導気管支収縮および徐脈に対する生理食塩水、ヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリンの初期効果を分析した。反復測定についての二方向偏差分析を用い、抗原攻撃したおよび対照のモルモットにおけるピロカルピンに対する用量依存性に対する生理食塩水、ヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンの効果を比較した。両側t−検定を用い、100ug/kgピロカルピンに対する応答に対するヘパリンのさらなるボーラス注射の効果をテストした。0.05に等しいまたはそれ未満のP値は有意であると考えられた。
ベースラインPpi、心拍数および血圧は対照動物およびオボアルブミンで感作し攻撃した動物において同一であった。生理食塩水、ヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリンでの処理は、ベースライン心拍数、肺膨張圧または血圧いずれも変化させなかった。両迷走神経の電気的刺激(2または15Hz、0.2ミリ秒パルス持続、5〜20ボルト、系列当たり45パルス)は気管支収縮(Ppiの増加により測定)および徐脈を生じた。迷走神経刺激に対するこれらの応答の双方は一過性であり、電気的刺激が停止された後は迅速に逆行した。各実験の最後に、迷走神経誘導気管支収縮および徐脈はアトロピン(1mg/kg)によって完全に遮断され、これは、それらがムスカリン受容体へのアセチルコリンの放出を介して媒介されたことを示す。
オボアルブミンで感作され攻撃されなかったモルモットにおいて、ヘパリンの投与は、迷走神経誘導気管支収縮(「ヘパリン前の27.6±5.4mmH2O」対「ヘパリン20分後の25.2±7.3mmH2O」の増加)または徐脈(「ヘパリン前の74.3±15拍/分」対「ヘパリン後の63.4±24拍/分」の降下)に対して効果がなかった。抗原攻撃された動物において、生理食塩水は迷走神経誘導気管支収縮(図3、カラム1−2参照)または徐脈(「生理食塩水前の62.0±26拍/分」対「生理食塩水20分後の50.0±27拍/分」の降下)に対して効果がなかった。対照的に、ヘパリン(2,000U/kg)は感作攻撃動物において迷走神経誘導気管支収縮を低下させ、ヘパリンの投与20分後に50%阻害にてプラトーとなった(図3、カラム3−4参照)。ヘパリンは、迷走神経誘導徐脈(「ヘパリン前の82.5±6.3拍/分」対「ヘパリン20分後の70.0±9.1拍/分」の降下)に対して効果を有してなかった。また、O−脱硫酸化ヘパリンの投与(91.2mg/kg)は迷走神経誘導気管支収縮を減少させ、投与20分後にプラトーと達した(図3および図4、カラム5−6参照)。ヘパリンと同様に、O−脱硫酸化ヘパリンは迷走神経誘導徐脈を変化させなかった。
非感作対照動物において、ピロカルピン(1〜100ug/kg iv)は、肺副交感神経上のM2ムスカリン受容体を刺激することによって、迷走神経誘導気管支収縮を阻害した(塗ってない四角形、図5)。これは、ピロカルピン前の気管支収縮と比較したピロカルピン後の気管支収縮の比率の暫減によって示される。対照的に、ピロカルピンは感作攻撃モルモットにおいて迷走神経刺激に対する応答に対して有意な効果がなく(塗ってない三角形、図5)、これは、M2ムスカリン受容体活性がこれらの動物で損なわれたことを示す。ピロカルピンに対する応答は、O−脱硫酸化ヘパリンでの処理によって用量依存的に回復し(図5)、これは、O−脱硫酸化ヘパリンが、これらの動物における気道過剰反応性の原因であるM2受容体脱感作を逆行させるにおいて活性であることを示す。使用した最高用量の後、攻撃したモルモットにおいて迷走神経誘導気管支収縮を阻害するピロカルピンの能力は完全に回復した。対照動物(塗ってない四角形、図5)およびこの用量のO−脱硫酸化ヘパリンを摂取した攻撃動物(塗った四角形、図5)において迷走神経誘導気管支収縮に対するピロカルピンの効果の間で有意な差異はなかった。
これらの実験は、O−脱硫酸化ヘパリンが、喘息における気道過剰反応性の原因であるM2ムスカリン受容体脱感作を回復させることを明確に示す。対照動物において、ピロカルピンは、肺の副交感神経上の阻害性M2ムスカリン受容体の刺激のため、迷走神経誘導気管支収縮を阻害した。迷走神経誘導気管支収縮のピロカルピン誘導阻害は、抗原攻撃の後に顕著に減衰した。このように、抗原攻撃モルモットにおいて、ニューロンM2受容体歯、もはや、アセチルコリン放出を阻害するようには機能しない。アセチルコリン放出のニューロンM2受容体媒介制御のこの喪失は、迷走神経の電気的刺激に対する過剰反応性を引き起こす。M2受容体機能はO−脱硫酸化ヘパリンによって回復される。O−脱硫酸化ヘパリンを投与した20分後、抗原攻撃モルモットにおけるニューロン受容体は、外因性アゴニストによってさらに1回刺激され得た。というのは、ピロカルピンは迷走神経誘導気管支収縮を阻害したからである(図5)。ニューロンM2受容体を刺激する内因性アセチルコリンの能力もまた、この非抗凝固性ヘパリンアナログの存在下で迷走神経刺激に対する気管支収縮応答の減少によって反映されるように、O−脱硫酸化ヘパリンによって回復した。
実施例IV
ヒトにおける気道過剰反応性の治療
O−脱硫酸化ヘパリンは、質量中央空気動力学的径(MMAD)が5ミクロン未満の超音波またはジェット噴霧器で生成する吸込可能粒子からのエアロゾルの吸入によって肺に送達することができる。肺に現実に到達するエアロゾルの正確なパーセントは使用するジェットまたは超音波噴霧器のタイプに応じて変化するが、噴霧器注の用量の約10パーセントが現実に肺に到達する(Newman, S.P., ″Therapeutic Aerosols, in Aerosols in the Lung″(「肺におけるエアロゾルでの治療エアロゾル」), Clinical and Experimental Aspects, S.W. Clarke and D. Pavia eds., Butterworths; London(1984)197-224)。従って、患者はM2受容体活性の効果的な増加に現実に必要な薬物の10倍である噴霧器用量で治療される必要があろう。
患者における低用量および急性用量の計算
目標: 肺に現実に到達する0.1〜0.2mg/kg
投与: 噴霧器によって吸入された約1.0〜2.0mg/kg
患者における平均用量の計算
目標: 肺に現実に到達する0.5mg/kg
投与: 噴霧器によって吸入された約5.0mg/kg
患者のための高最終用量の計算
目標: 肺に現実に到達する0.7mg/kg
投与: 噴霧器によって吸入された約7.0mg/kg
前記計算に基づき、O−脱硫酸化ヘパリンは、投与量をスケールアップまたはスケールダウンすることによって低または高比率で投与することができる。加えて、該用量は、例えば、個体に基づいて、個々の対象につき修飾することができ、る。さらに、治療プグラムとして、該用量は特異的用量で観察された治療効果に応じて変化させることができる。さらに、ヘパリンは肺においてプラトーまで形成し得る。投与されたヘパリンのほぼ10%が、ヘパリン結合性タンパク質(例えば、コラーゲンおよびフィブロネクチン)が結合した肺のマトリックスに結合して留まる。このように、用量戦略は低最終用量で出発し、特に長期間の予防用には、経時的な肺におけるヘパリンの蓄積につき計画を立てることができる。
必要とするこのような化合物の正確な量は、対象の種、年齢および一般的状態、治療すべき病気の重症度、使用する個々の化合物、その投与様式等に応じて変化するであろう。このように、正確な活性促進量を特定するのは不可能である。しかしながら、適当な量は、本明細書の教示を仮定すれば、日常的実験のみを用いて当業者が決定することができる。
実施例V
血液凝固に対するO−脱硫酸化ヘパリンの効果
インビトロで活性化部分的トロンボプラスチン時間(APPT)に対するその効果を測定することによって、実施例IからのO−脱硫酸化ヘパリンの抗凝固能力を調べた。該テストは、患者においてヘパリンの抗凝固効果を臨床的にモニターするのに使用される通常の様式にて行った。該テストは、インビトロでヒト・テスト血清に添加された、実施例Iによる0.1および1.0mg/mlのヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリンを使用した。
Figure 0004097044
また、実施例IからのO−脱硫酸化ヘパリンを調べて、0.1mg/mlのヘパリンまたは実施例Iで脱硫酸化したヘパリンの血漿希釈物が第Xa因子を阻害するか否か(ラッセルクサリヘビ毒で処理した血漿を利用する第Xa因子についてのアッセイにおける延長テスト時間)を判断した。
Figure 0004097044
ヘパリンとは対照的に、実施例Iにより脱硫酸化したヘパリンは、ATPPを延長する能力をほとんど示さず、また抗第Xa因子活性もほとんど示さなかった。このように、O−脱硫酸化ヘパリンは、非脱硫酸化ヘパリンと比較してかなり低下した抗凝固活性を示した。
実施例VI
気道平滑筋の培養
正常成体雌Sprague-Dawleyラットをペントバルビタール過剰用量で犠牲にした。これらの気管を取り出し、後方膜を摘出した。気管平滑筋を含有する後方膜を細かくし、次いで、0.2%IV型コラゲナーゼおよび0.05%IV型エラスターゼを含有するハンクスの平衡塩溶液(Sigma Chemical Co., St. Louise, ミズリー州)中で37℃で30分間2回消化した。次いで、10%胎児ウシ血清(FAB)を含むダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で細胞を洗浄し、2×105細胞/フラスコにて、25cm2プラスチック製フラスコ中の培地に接種した。平滑筋細胞培養は、位相差顕微鏡で典型的な「ヒル・アンド・バレイ(丘および谷)」形態的外観を示し、α−平滑筋アクチンにつき特異的に染色された。免疫染色するために、細胞をスライドグラス上で一晩平板培養し(3×104細胞/スライド)、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、カルシウムおよびマグネシウム無し)で洗浄し、冷アセトンで各々10分間で2回固定した。免疫染色は、ヒトα−平滑筋アクチンに対するポリクローナル抗体を用いて行い、アビジン−ビオチン−免疫ペルオキシダーゼ染色キット(Sigma,製品番号IMMH−2)を用いて可視化した。
実施例VII
気道平滑筋増殖に対する血清の効果
種々の濃度のPBS(0.25%、2.5%、5.0%および10%)を含有するDMEMを含むウェル当たり1.5×104細胞の密度にて、細胞を24ウェルプレートで平板培養した。24時間後に開始し、細胞カウントは、24時間間隔で行った。ウェルをPBSで2回洗浄し、次いで、細胞をサポニン(PBS中0.5mg/ml)に10分間暴露することによって透過させた。PBSで洗浄した後、次いで、細胞をメタノールで5分間固定し、次いで、ギムザ修飾ライツ染色液(Sigma)で5分間染色し、PBSで再度洗浄した。各ウェルの細胞カウントは、1mm3の目の基準線網にて40倍率で行った10のランダムな視野のカウントの平均から得た。表IIIは得られたデータを供する。
Figure 0004097044
図6は、表IIIにおける結果をグラフで示し、FBSが用量依存的に気道平滑筋増殖を刺激することを示す。
実施例VIII
気道平滑筋増殖に対するヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンの効果
細胞を平板培養した後直ちに培地に添加した種々の濃度のブタ腸粘膜ヘパリンまたはO−脱硫酸化ヘパリン(0、2、20または200μg/ml)の存在下で、気道平滑筋細胞を10%FBSで前記したようにに培養した。細胞カウントは62時間後に行った。データは以下の表IVに供する。
Figure 0004097044
図7は表IVのデータをグラフで示し、ヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンが、用量依存的に、気道平滑筋の増殖を同等に阻害したことを示す。最高用量のヘパリン(200μg/ml)は、ほぼ50%だけ細胞増殖を阻害した。
実施例IX
補体媒介赤血球溶解に対するヘパリンおよびO−脱硫酸化ヘパリンの効果
補体媒介赤血球細胞溶血は、従前に記載されている技術の修飾法によってアッセイした(Friedrichs, et al.,(1994)Circ. Res. 75: 701-710)。ヒト血液を収集し、室温で2000×gにて10分間遠心した。血漿層を捨て、赤血球細胞をPBSで3回洗浄した。10%赤血球の溶液をアッセイ緩衝液(0.25%ウシ血清アルブミンを含有するPBS、pH7.4)中に調製した。溶血の検出についてのアッセイは、540nmにおけるアッセイ溶液の吸光度を測定することによって行った(溶血についての主要ピーク)。全ウサギ血漿(500μl)およびPBS(500μl)またはテストするヘパリン(PBS中500μl、1mg/ml最終濃度)をケイ素化チューブ中で混合した。ヒト赤血球(0.5%最終濃度)を添加し、チューブを37℃にて震盪水中で30分間インキュベートした。チューブを1000×gにて10分間遠心し、上清の吸光度を540nmにて直ちに読み、血漿およびPBSのみを含有するブランクに対して比較した。パーセント溶血は、ヘパリン処理および未処理対照チューブについてのA540の比率によって決定した。結果はパーセント阻害(100%溶血)として表した。
ヘパリンは補体媒介赤血球溶血の効果的な阻害剤であった(1mg/mlにて71±4%阻害(n=3))。ODSヘパリンは、同様に、この系において赤血球の補体誘導用渇の優れた阻害剤であり、73±2%だけ溶血を阻害した(n=3)。これらの結果より、ヘパリンによる補体の阻害はアンチトロンビンIII結合または他の抗凝固機能に依存しないことが確認される。これらの結果は、さらに、O−脱硫酸化ヘパリンが、補体媒介赤血球溶血の阻害においてヘパリンと同等の有効性を有することを示す。
本出願を通じ、種々の刊行物を引用する。本発明が属する技術分野の水準をより十分に記載するために、これらの刊行物の開示は全体として、出典を明示して本明細書の一部をなすものとみなす。
本発明のプロセスをそのいくつかの実施態様の特別の詳細を参照して記載してきたが、このような詳細は、添付の請求の範囲にそれらが含まれる以外は、かつその程度まで、本発明の範囲に対する限定とみなされるべきである。

Claims (14)

  1. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道過剰反応性低下量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において喘息反応の気道過剰反応性を低下させるための医薬組成物。
  2. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの活性増加量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、喘息哺乳動物において脱感作M2ムスカリン受容体の活性を増加させるための医薬組成物。
  3. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気管支収縮低下量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において気管支収縮を低下させるための医薬組成物。
  4. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖低下量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において気道平滑筋細胞増を低下させるための医薬組成物。
  5. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの補体媒介溶血阻害量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害するための医薬組成物。
  6. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの喘息反応低下量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において喘息反応を低下させるための医薬組成物。
  7. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道過剰反応性予防量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において気道過剰反応性を予防するための医薬組成物。
  8. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気管支収縮予防量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において気管支収縮を予防するための医薬組成物。
  9. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの気道平滑筋細胞増殖予防量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において気道平滑筋細胞増殖を予防するための医薬組成物。
  10. 少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有するO−脱硫酸化ヘパリンの補体媒介溶血阻害量を含み、前記O−脱硫酸化ヘパリンが6位において実質的に硫酸化されている、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害するための医薬組成物。
  11. 気道過剰反応性低下量のO−脱硫酸化ヘパリンを含み、哺乳動物において喘息反応の気道過剰反応性を低下させるための医薬組成物であって、前記O−脱硫酸化ヘパリンが、ヘパリンを含有する溶液をpH13以上までアルカリ性化するステップを含むプロセスによって作成され、前記O−脱硫酸化ヘパリンが少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有し、6位において実質的に硫酸化されている、医薬組成物。
  12. 気管支収縮低下量のO−脱硫酸化ヘパリンを含み、哺乳動物において喘息反応の気管支収縮を低下させるための医薬組成物であって、前記O−脱硫酸化ヘパリンが、ヘパリンを含有する溶液をpH13以上までアルカリ性化するステップを含むプロセスによって作成され、前記O−脱硫酸化ヘパリンが少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有し、6位において実質的に硫酸化されている、医薬組成物。
  13. 気道過剰反応性低下量のO−脱硫酸化ヘパリンを含み、哺乳動物において喘息反応の気道平滑筋細胞増殖を低下させるための医薬組成物であって、前記O−脱硫酸化ヘパリンが、ヘパリンを含有する溶液をpH13以上までアルカリ性化するステップを含むプロセスによって作成され、前記O−脱硫酸化ヘパリンが少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有し、6位において実質的に硫酸化されている、医薬組成物。
  14. 補体媒介溶血阻害量のO−脱硫酸化ヘパリンを含み、哺乳動物において補体媒介溶血を阻害するための医薬組成物であって、前記O−脱硫酸化ヘパリンが、ヘパリンを含有する溶液をpH13以上までアルカリ性化するステップを含むプロセスによって作成され、前記O−脱硫酸化ヘパリンが少なくとも2−Oおよび3−O位にO−脱硫酸化を有し、6位において実質的に硫酸化されている、医薬組成物。
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