JP4096771B2 - ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤 - Google Patents

ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の製造方法で得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤に関する。詳しくは、食器の洗浄後、乾燥時間を短縮し、スポット形成を抑制して美しい仕上がりを得ることができ、低泡性、貯蔵安定性に優れた食器用水系リンス剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から欧米のホテル、レストラン、学校、病院、社員食堂等の営利的および組織的な食器取扱場所には自動食器洗浄機が備えられ、合理的、経済的かつ衛生的な食器類の洗浄管理法がとられている。我が国においても、こうした多量の食器を扱う厨房では、食器類の洗浄管理法が重視され自動食器洗浄機が設置されている場合が多い。
【0003】
一般に標準的な自動食器洗浄機では、前洗いが40〜50℃の温度で行われ、続いて本洗いが約0.2%程度の洗浄水溶液を用いて60〜70℃の温度で行われ、最後に85〜90℃の熱水ですすぎが行われて洗浄が完了する。
最終すすぎ用の水には界面活性剤を主成分としたリンス剤を少量溶解したものが用いられる。リンス剤は、食器表面のぬれを促進させ、食器表面に薄膜状の水の流れを発生させることによって、食器表面上に残留している本洗いの際に使用した洗剤水溶液を洗い流すと同時に、すすぎ水の中に含まれるカルシウム分、マグネシウム分等の不溶物を洗い流し、食器洗浄完了後に食器表面にウォータースポットと呼ばれるしみや斑点が残ることを防止し、水切れをもよくして乾燥時間を短縮する。
【0004】
最終すすぎはリンス剤を含有する水を使用するため、食器表面上にはリンス剤中の界面活性剤およびその他の成分が若干残留することとなる。そのため、使用する界面活性剤は口に入っても安全な食品用乳化剤を用いる必要がある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品用乳化剤であるので、リンス剤の主成分として用いられていることが多い(例えば、特許文献1 参照)。しかし、これらの乳化剤は単独では泡立ち性が高いため、多量に発生した泡がポンプに泡が巻き込まれ、吐出水の勢いが弱まったり、泡がなかなか消えずに残り、食器上に跡が残る原因となったりする。
【0005】
そのため、ポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、低泡性の成分として、ソルビタン(例えば、特許文献2 参照)やグリセリン(例えば、特許文献3 参照)などの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルが配合されている場合が多い。
しかし、これらのソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルは、水との相溶性が非常に悪く、水系のリンス剤に用いるとたやすく分離してしまうという問題があった。このために、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、トルエンスルホン酸ソーダ、キシレンスルホン酸ソーダ等の可溶化剤を多量に使用しなければならなかった。
【0006】
これら可溶化剤を多量に使用すると、リンス剤の安全性が低くなること、引火性が強くなること、製品コストが高くなること等の欠点を生じる。また、適当な乳化剤を用いてソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルを可溶化させる手法(例えば、特許文献4 参照)や、乳化させる手法(例えば、特許文献5 参照)もあるが、長期間安定な可溶化物、乳化物を得ることは難しく、可溶化、乳化が壊れて分離するおそれがあった。
【0007】
一方、リンス剤に使用されているポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンの脱水重合反応により得られたポリグリセリンを、脂肪酸類でエステル化したものが使用されている。
【0008】
【特許文献1】
特許第1618218号公報
【特許文献2】
特公昭59−49960号公報
【特許文献3】
特公昭59−12717号公報
【特許文献4】
特許第2848830号公報
【特許文献5】
特公平6−78550号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食器の洗浄後乾燥時間を短縮しウォータースポット形成を抑制して美しい仕上がりを得ることができ、泡が立ちにくく、可溶化剤を用いずとも貯蔵安定性の高い食器用水系リンス剤を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の製造方法によって得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有するリンス剤が、低泡性、貯蔵安定性に優れることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、脂肪酸にグリシドールを付加重合させることによって得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤に存する。
【0011】
発明の別の要旨は、グリセリンにグリシドールを付加重合させて得られるポリグリセリンを脂肪酸でエステル化して得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の食器用水系リンス剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、水性溶媒、必要に応じてその他の成分で構成される。
[ポリグリセリン脂肪酸エステル]
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、下記の特定の製造方法で得られるものである。
<方法1>脂肪酸にグリシドールを付加重合させる方法
【0014】
脂肪酸とグリシドールとの反応は、酸性触媒の存在下で反応させることが好ましい。使用し得る酸性触媒としては、リン酸類またはリン酸のエステル類があり、具体的には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類または、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類等を用いることができる。なお、本発明では、これら酸性リン酸エステルのモノエステル体、ジエステル体混合物のいずれも使用することができる。また、これらを単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
脂肪酸とグリシドールとの反応における触媒の添加量は、脂肪酸に対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。添加量が少ないと反応速度が小さく、10重量%を越えても効果の向上は期待できない。
脂肪酸とグリシドールとの反応方法は、反応容器中に脂肪酸をとり、これに前記触媒を添加し、グリシドールを少量ずつ添加しながら反応を行う。反応温度は通常50〜180℃、好ましくは70〜160℃であり、より好ましくは120〜140℃である。反応温度が低いと反応速度が小さく、また180℃を越えると着色が激しくなり、230℃以上ではグリシドールが分解して副反応を起こし好ましくない。
【0016】
この場合、反応温度の上昇を防止するため、グリシドールと反応しない低沸点化合物を添加してもよい。また反応は窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましく、必要に応じて加圧してもよい。
<方法2>脂肪酸にグリシドールを付加重合させた後、更に脂肪酸でエステル化する方法
【0017】
方法1で製造されたポリグリセリン脂肪酸エステルと脂肪酸とのエステル化反応は、通常、特開平7-145104号公報等に記載のポリグリセリンと脂肪酸類とのエステル化反応と同様に行われる。原料(方法1で製造されたポリグリセリン脂肪酸エステルと脂肪酸の総和)に対して、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.001〜0.01重量%のアルカリ触媒を用い、通常150〜300℃、好ましくは180〜260℃で反応させることによって製造することができる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。方法1で製造されたポリグリセリン脂肪酸エステルに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常、0.1以上、5以下であり、好ましくは2以下、より好ましくは1以下である。
【0018】
平均エステル化率(ポリグリセリンの総水酸基数中、エステル化された水酸基の割合)は、通常、5%以上、50%以下であり、好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。エステル化率が低すぎると、親水性が高くなりすぎて界面活性能が低下し、ウォータースポット抑制能が低下する。エステル化率が高すぎると、水溶性が低下する。
<方法3>グリセリンにグリシドールを付加重合させて得られるポリグリセリンを、脂肪酸でエステル化する方法
【0019】
グリセリンとグリシドールとの反応は、酸性触媒の存在下で反応させることが好ましい。使用し得る酸性触媒としては、リン酸類またはリン酸のエステル類があり、具体的には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類または、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類等を用いることができる。なお、本発明では、これら酸性リン酸エステルのモノエステル体、ジエステル体混合物のいずれも使用することができる。また、これらを単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
グリセリンとグリシドールとの反応における触媒の添加量は、グリセリンに対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。添加量が少ないと反応速度が小さく、10重量%を越えても効果の向上は期待できない。グリセリンとグリシドールとの反応方法は、反応容器中にグリセリンをとり、これに前記触媒を添加し、グリシドールを少量ずつ添加しながら反応を行う。反応温度は通常50〜180℃、好ましくは70〜160℃であり、より好ましくは120〜140℃である。反応温度が低いと反応速度が小さく、また180℃を越えると着色が激しくなり、230℃以上ではグリシドールが分解して副反応を起こし好ましくない。
【0021】
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は、通常、特開平7-145104号公報等に記載のエステル化反応と同様に行われる。原料(ポリグリセリンと脂肪酸の総和)に対して、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.001〜0.01重量%のアルカリ触媒を用い、通常150〜300℃、好ましくは180〜260℃で反応させることによって製造することができる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常、0.5以上、6以下であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
【0022】
平均エステル化率(ポリグリセリンの総水酸基数中、エステル化された水酸基の割合)は、通常、5%以上、50%以下であり、好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。エステル化率が低すぎると、親水性が高くなりすぎて界面活性能が低下し、ウォータースポット抑制能が低下する。エステル化率が高すぎると、水溶性が低下する。
<方法4>脂肪酸にグリシドールを付加重合させた後に加水分解して得られるポリグリセンリンを脂肪酸でエステル化する方法
【0023】
上記ポリグリセンリンの製造方法は、特公平4−69621号等に記載されている。
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は、方法3のエステル化反応と同様の方法が使用できる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率は、通常、5%以上、50%以下であり、好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。エステル化率が低すぎると、親水性が高くなりすぎて界面活性能が低下し、ウォータースポット抑制能が低下する。エステル化率が高すぎると、水溶性が低下する。
<ポリグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸エステルの精製方法>
上記方法でグリシドールを用いて製造されたポリグリセリンまたはポリグリセリン脂肪酸エステルは、製造条件によっては、グリシドールに由来すると考えられるオキシラン酸素を500〜2000ppm含有していることがある。従って、上記方法で得られた生成物に水を添加し、加熱した後脱水する方法によりオキシラン酸素濃度の検出量が少ない高純度ポリグリセリンまたは高純度ポリグリセリン脂肪酸エステルに精製することが好ましい。
【0024】
添加する水の量は、最初の工程で得られたポリグリセリンまたはポリグリセリン脂肪酸エステル液に対して0.1〜20重量%の範囲で選ぶことが好ましい。水の量が0.1重量%未満であると、未反応グリシドールを十分に低減することができず、20重量%を越えるときは、後処理操作が繁雑になり、いずれも好ましくない。添加する水の量の特に好ましい範囲は、1〜10重量%である。
【0025】
また、この精製工程でポリグリセリンまたはポリグリセリン脂肪酸エステル液に水を添加した後、加熱することにより、未反応グリシドールをグリセリンに変換させることができる。この際の加熱温度は、60〜200℃の範囲で選ぶことが好ましい。加熱温度が60℃未満であると、未反応グリシドールまたは副反応の生成物と推定されるオキシラン基含有化合物由来の残存するオキシラン酸素濃度を十分に低減することができず、200℃を越えると目的生成物であるポリグリセリンまたはポリグリセリン脂肪酸エステルが着色するので、いずれも好ましくない。
【0026】
上記温度範囲は特に好ましくは、80〜160℃の範囲である。加熱時間は、温度にもよるが、0.5〜15時間、特に好ましくは1〜7時間の範囲である。脱水は、蒸留、共沸蒸留、減圧蒸留等によることができる。蒸留する際の加熱温度は、100〜200℃の範囲で選ぶことが好ましい。加熱温度が100℃未満であると、製品に含まれる水を除去するのに十分でなく、200℃を越えると生成物が着色するので、いずれも好ましくない。上記温度範囲で特に好ましいのは、110〜160℃の範囲である。脱水時間は、温度、減圧度にもよるが、1〜10時間の範囲で選ばれる。中でも好ましいのは、1〜6時間の範囲である。
【0027】
このようにして精製されたポリグリセリンまたはポリグリセリン脂肪酸エステルは、A.O.C.S.試験法Cd.9−57で規定された滴定法によるオキシラン酸素濃度が100ppm未満の高純度ポリグリセリンまたは高純度ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの平均重合度は、通常2以上であり、好ましくは4以上であり、更に好ましくは8以上である。また、平均重合度は、通常40以下であり、好ましくは20以下であり、更に好ましくは12以下である。
【0028】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分岐状脂肪酸でもよく、さらにはヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。具体的には、これらの脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。構成脂肪酸の炭素数は、通常6〜22、好ましくは6〜12、更に好ましくは6〜10、更に好ましくは6〜8である。構成脂肪酸の炭素数が多すぎると、水系リンス剤の仕上がり性や貯蔵安定性が低下したり、泡立ち性が高くなる可能性がある。構成脂肪酸の炭素数が小さすぎると、スポット抑制能が低下したり、においの原因となったりする。
【0029】
尚、本発明においては、上記の方法で得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを、2種以上混合して使用してもよい。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、リンス剤中に1重量%以上、50重量%以下になるように添加される。好ましくは5重量%以上であり、更に好ましくは10重量%以上である。また、好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。少なすぎると、食器表面の界面活性向上に十分な効果を発揮せず、また、多すぎると、粘性が増して汎用なポンプ等による供給が不可能になるからである。
【0030】
尚、本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリシドールの付加重合反応によって得られるポリグリセリン骨格を有する点で共通する。この特定のポリグリセリン骨格により、本発明の優れた効果が発揮されると考えられる。
[水性溶媒]
水性溶媒とは、通常、水であるが、水とエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のアルコールとの混合液でもよい。水とアルコールとの混合液の場合には、混合比率には特に制限はないが、通常、水の含有量は、溶媒中60重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。本明細書において水系リンス剤とは、溶媒が水のものに限定されず、溶媒が上記水性溶媒であるリンス剤である。
[その他の乳化剤]
本発明のリンス剤は、その他の乳化剤成分として、前述のポリグリセリン脂肪酸エステル以外の食品用乳化剤、すなわち、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等を含有してもよいが、前述のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有率が高い方が好ましく、通常、乳化剤成分中50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。前述のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有率が低すぎると、水系リンス剤の仕上がり性や貯蔵安定性が低下したり、泡立ち性が高くなる可能性がある。
【0031】
また、本発明のリンス剤は、染料、香料、殺菌剤、粘度調製剤等の任意成分を必要に応じて適宜の割合で配合することができる。これらの成分を配合する場合は、乳化剤成分を水性溶媒に溶解してのちに配合する方法が好ましい。
本発明のリンス剤は、リンス剤の有効成分濃度にもよるが、通常、1/5,000以上、1/20,000以下のリンス剤希釈液としてすすぎに供される。このとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルとその他の乳化剤をあわせた濃度が、20ppm以上、80ppm以下となるように希釈して用いることが好適である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
製造例1
窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた2リットルの4ツ口フラスコにカプリル酸1mol(144.2g)とリン酸(85%品)0.1gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール10.0mol(740.8g)を5時間かけて滴下し、さらに温度を保ち、26時間反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、デカグリセリンカプリル酸エステルを885g得た。
製造例2
カプリル酸1molをグリセリン1molとし、グリシドールを9.0mol(666.7g)使用した以外は製造例1と同様の操作を行い粗直鎖デカグリセリンを得た。冷却後、10%水酸化ナトリウムを1g加え、90℃で1時間撹拌した後、5〜10mmHg、115〜125℃で1時間脱水した。90℃に冷却して、吸着剤として0.5gのケイソウ土を加え、1時間撹拌した後、濾過してデカグリセリン(n=10.0)を720g得た。得られたデカグリセリン600gを窒素導入管、攪拌機、還流管、温度調節器、加熱ジャケット、原材料仕込み口を備えた容量2リットルの反応容器に仕込んだ。ついで、同じ反応容器に、カプリル酸(純度99%)と10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、カプリル酸の仕込み量は、カプリル酸/ポリグリセリンモル比が1/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、ポリグリセリンとカプリル酸との総量に対して0.01重量%とした。窒素気流下、常圧で、内温を220℃に昇温し、この温度で5時間反応させた後、内温を260℃に昇温し、この温度で3時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却し、デカグリセリンカプリル酸エステル697gを得た。
製造例3
窒素導入管、攪拌機、還流管、温度調節器、加熱ジャケット、原材料仕込み口を備えた容量2リットルの反応容器にグリセリンの脱水縮合によって得られた分岐状、環状ポリグリセリンの含有率が70%の通常デカグリセリン(平均重合度9.9)を600g仕込んだ。ついで、同じ反応容器に、カプリル酸(純度99%)と10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、カプリル酸の仕込み量は、カプリル酸/ポリグリセリンモル比が1/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、ポリグリセリンとカプリル酸との総量に対して0.01重量%とした。窒素気流下、常圧で、内温を220℃に昇温し、この温度で5時間反応させた後、内温を240℃に昇温し、この温度で3時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却し、通常デカグリセリンカプリル酸エステル698gを得た。
実施例1〜3、比較例1〜3
後記の表1に示す組成(重量基準)のリンス剤を調製した。そして、スポット抑制能、低泡性、および貯蔵安定性について下記の方法によって評価した。これらの結果を後記の表1にあわせて示す。
【0033】
[スポット抑制能]
リンス剤水溶液(リンス剤濃度0.005%、温度80℃)400mLに、スライドグラス(76mm×26mm×厚さ1.3mm)を30秒間浸漬したのち、ゆっくり引き上げて室温に放置し乾燥させ、下記の基準で評価した。
○:スポットなし
×:スポットあるいはまだら状の跡が残留
[低泡性]
50mL試験管に、リンス剤濃度1%、温度60℃に調製したリンス剤水溶液を10mL入れ、20回上下逆さに振とう後、生成した泡の体積を10秒後に読みとり、下記の基準で評価した。
○:10mL未満
△:10mL以上20mL未満
×:20mL以上
[貯蔵安定性]
5℃において、リンス剤の透明性、分離、沈殿の有無を目視で評価し、下記の基準で評価した。
○:透明な状態を1カ月以上保つ
△:透明な状態を2週間以上1カ月未満保つ
×:分離または沈殿が調製直後に生じる
【表1】
Figure 0004096771
上記の結果から、本発明のリンス剤は、ウォータースポット抑制能に優れ、低泡性であり、貯蔵安定性が高いことがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の食器用水系リンス剤は、他の乳化剤成分を併用しなくても、食器洗浄後の乾燥時間を短縮し、ウォータースポット形成を抑制して美しい仕上がりを得ることができ、泡が立ちにくい。また、可溶化剤を用いずとも、貯蔵安定性が高い。

Claims (4)

  1. 脂肪酸にグリシドールを付加重合させることによって得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤。
  2. グリセリンにグリシドールを付加重合させて得られるポリグリセリンを脂肪酸でエステル化して得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率が5%以上50%以下であることを特徴とする請求項2に記載の食器用水系リンス剤。
  4. ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数が、6〜10であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の食器用水系リンス剤。
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