JP2004026977A - ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する食器用水系リンス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】抑泡性及び水との相溶性に優れる食器用水系リンス剤の抑泡剤を提供する。
【解決手段】構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%である食器用水系リンス剤の抑泡剤用ポリグリセリン脂肪酸エステル。
【選択図】 なし
【解決手段】構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%である食器用水系リンス剤の抑泡剤用ポリグリセリン脂肪酸エステル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器用水系リンス剤の抑泡剤として使用することに適したポリグリセリン脂肪酸エステル、及びこれを用いた水系リンス剤に関するものである。詳しくは、食器の洗浄後、乾燥時間を短縮しスポット形成を抑制して美しい仕上がりを得ることができ、低泡性、貯蔵安定性に優れた食器用水系リンス剤に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から欧米のホテル、レストラン、学校、病院、社員食堂等の営利的および組織的な食器取扱場所には自動食器洗浄機が備えられ、合理的、経済的かつ衛生的な食器類の洗浄管理法がとられている。我が国においても、こうした多量の食器を扱う厨房では、食器類の洗浄管理法が重視され自動食器洗浄機が設置されている場合が多い。
【0003】
一般に標準的な自動食器洗浄機では、前洗いが40〜50℃の温度で行われ、続いて本洗いが約0.2%程度の洗浄水溶液を用いて60〜70℃の温度で行われ、最後に85〜90℃の熱水ですすぎが行われて洗浄が完了する。
最終すすぎ用の水には、界面活性剤を主成分としたリンス剤を少量溶解したものが用いられる。リンス剤は、食器表面のぬれを促進させ、食器表面に薄膜状の水の流れを発生させることによって、食器表面上に残留している本洗いの際に使用した洗剤水溶液を洗い流すと同時に、すすぎ水の中に含まれるカルシウム分、マグネシウム分等の不溶物を洗い流し、食器洗浄完了後に食器表面にウォータースポットと呼ばれるしみや斑点が残ることを防止し、水切れをもよくして乾燥時間を短縮する。
【0004】
最終すすぎはリンス剤を含有する水を使用するため、食器表面上にはリンス剤中の界面活性剤およびその他の成分が若干残留することとなる。そのため、使用する界面活性剤は口に入っても安全な食品用乳化剤を用いる必要がある。
ショ糖脂肪酸エステル(特開昭49−41405号公報)やポリグリセリン脂肪酸エステル(特許第1618218号)は、食品用乳化剤であるので、リンス剤の主成分として用いられていることが多い。しかし、これらの乳化剤は単独では泡立ち性が高いため、多量に発生した泡がポンプに泡が巻き込まれ、吐出水の勢いが弱まったり、泡がなかなか消えずに残り、食器上に跡が残る原因となったりする。
【0005】
そのため、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、抑泡性の成分としてソルビタン(特公昭59−49960号公報)やグリセリン(特公昭59−12717号公報)などの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルが低泡性成分として配合されている場合が多い。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルは、水との相溶性が非常に悪く、水系のリンス剤に用いるとたやすく分離してしまうという問題があった。このために、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、トルエンスルホン酸ソーダ、キシレンスルホン酸ソーダ等の可溶化剤を多量に使用しなければならなかった。
【0007】
これら可溶化剤を多量に使用すると、リンス剤の安全性が低くなること、引火性が強くなること、製品コストが高くなること等の欠点を生じる。また、適当な乳化剤を用いてソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルを可溶化させる手法(特許第2848830号、特許第2908556号)や、乳化させる手法(特公平6−78550号公報)もあるが、長期間安定な可溶化物、乳化物を得ることは難しく、可溶化、乳化が壊れて分離するおそれがあった。
【0008】
そのため、可溶化剤や乳化剤を使用せずともリンス剤に配合することの出来る抑泡性の乳化剤が望まれていた。
本発明の課題は、泡立ち性の高い乳化剤の泡を抑制することが可能で、かつ、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い水系リンス剤を調製することのできる自動食器洗浄機用リンス剤用の抑泡剤を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルが、泡立ち性の高い乳化剤の泡を十分に抑制することが可能で、かつ、水に対する相溶性が高く、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い食器用リンス剤を調製することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明の要旨は、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であることを特徴とする食器用水系リンス剤の抑泡剤用ポリグリセリン脂肪酸エステルに存する。
本発明の別の要旨は、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする食器用水系リンス剤に存する。
【0011】
本発明の別の要旨は、ショ糖脂肪酸エステルまたは前記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする前記食器用リンス剤に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食器用水系リンス剤は、乳化剤成分、水性媒体、及び必要に応じて他の成分を含有する。乳化剤成分として、抑泡性の乳化剤成分(抑泡剤)と、リンス性は良いが起泡性の高い乳化剤成分を含有する。本発明では、抑泡性の高い乳化剤成分として、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。
[抑泡剤]
本発明においては、抑泡剤として、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。ポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、「PoGE」と省略することがある)は、ポリグリセリン(以下、「PoG」と省略することがある)と脂肪酸とを反応させて得られるエステル体である。構成脂肪酸の炭素数が6未満だとスポット抑制能が低下すると共ににおいが悪くなり、10を超えると水溶液の保存安定性が低下する。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数8であることが好ましく、飽和脂肪酸であることが好ましい。構成脂肪酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸等が挙げられ、中でもカプリル酸が好ましい。これらの脂肪酸は目的に応じて2種類以上の組み合わせで用いることもできる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率は、21〜50%、好ましくは21〜35%である。平均エステル化率が21%未満だと抑泡効果が不十分となり、35%を超えると水溶液の保存安定性が低下する。構成するポリグリセリンの平均重合度は、通常4〜20であって、好ましくは8〜14である。尚、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の抑泡剤を併用してもよい。
【0013】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において製造される。通常、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対して、0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、更に好ましくは0.001〜0.01重量%のアルカリ触媒を用い、反応温度150〜300℃、好ましくは180〜260℃で反応させることによって製造することができる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常2.5〜6、好ましくは2.5〜4である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常上記反応の副生物として、脂肪酸とアルカリ触媒との副反応により生成する石鹸(脂肪酸アルカリ金属塩)を含有するが、含有量は2重量%以下である。2重量%を超えると抑泡力が不十分となる。石鹸含有量は少い方がよく、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下である。
【0014】
通常、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの乳化剤全体中の含有量は、1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。
[リンス性は良いが起泡性の高い乳化剤成分]
この乳化剤成分としては、リンス性は良いが起泡性の高い公知の乳化剤であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、上記以外の他のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等を挙げることができる。中でも、他のポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルが好ましい。他のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が6〜18、平均エステル化率が5〜20%であることが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が6〜18、平均エステル化度が1〜2であることが好ましい。
[水性溶媒]
水性溶媒とは、通常水であるが、水とエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のアルコールとの混合液でもよい。水とアルコールとの混合液の場合には、混合比率には特に制限はないが、通常、水の含有量は、全溶媒中60重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。本明細書において、水系リンス剤とは、溶媒が水のみのものに限定されず、溶媒が上記水性溶媒であるリンス剤である。
【0015】
本発明のリンス剤において、乳化剤成分は、通常、リンス剤中に1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%になるように添加される。1%未満では食器表面の界面活性向上に十分な効果を発揮せず、また、50重量%を越えると粘性が増して汎用なポンプ等による供給が不可能になるからである。
【0016】
本発明のリンス剤は、染料、香料、殺菌剤、粘度調製剤等の任意成分を必要に応じて適宜の割合で配合することができる。
本発明のリンス剤は、リンス剤の有効成分濃度にもよるが、通常、1/5,000〜1/20,000のリンス剤希釈液としてすすぎに供される。このとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルとその他の乳化剤をあわせた濃度が、20〜80mgとなるように希釈して用いることが好適である。
本発明の食器用リンス剤は、自動食器洗浄機用リンス剤として用いることに特に適している。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
製造例1
攪拌機、温度計、加熱ジャケット、ガス仕込み口、原材料仕込み口を備えた容量2リッターの反応容器に、まず、PoG(平均重合度9.9)を1200g仕込んだ。ついで、同じ反応容器に、カプリル酸(純度99%)と10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、カプリル酸の仕込み量は、カプリル酸/PoGモル比が1.25/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、PoGとカプリル酸との総量に対して0.01重量%とした。窒素気流下、常圧で、内温を220℃に昇温し、この温度で5時間反応させた後、内温を260℃に昇温し、この温度で3時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却し、ポリグリセリンカプリル酸エステルAを得た。このサンプルの平均エステル化率は10.5%であり、石鹸含量は0.05重量%である。
製造例2
カプリル酸/PoGモル比が1.94/1となる様にした以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルBを得た。このサンプルの平均エステル化率は16.3%であり、石鹸含量は0.05重量%である。
製造例3
カプリル酸/PoGモル比が2.72/1となる様にした以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルCを得た。このサンプルの平均エステル化率は22.9%である。
製造例4
カプリ酸/PoGモル比が2.92となる様にし、水酸化ナトリウム量を0.55重量%としたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルDを得た。このサンプルのエステル化率は22.9%であり、石鹸含量は2.1重量%である。
実施例1〜2、比較例1〜8
後記の表−1、表−2に示す組成(重量基準)のリンス剤を調製した。そして、スポット抑制能、低泡性、および保存安定性について下記の方法によって評価した。これらの結果を後記の表−1、表−2にあわせて示す。
【0018】
[スポット抑制能]
リンス剤溶液(リンス剤濃度0.005重量%、温度80℃)400mLに、スライドグラス(76mm×26mm×厚さ1.3mm)を30秒間浸漬したのち、ゆっくり引き上げて室温に放置し乾燥させ、下記の基準で評価した。
○:スポットなし
×:スポットあるいはまだら状の跡が残留
[低泡性]
50mL試験管に、リンス剤濃度1重量%、温度60℃に調製したリンス剤溶液を10mL入れ、20回上下逆さに振とう後、生成した泡の体積を10秒後に読みとり、下記の基準で評価した。
○:10mL未満
△:10mL以上20mL未満
×:20mL以上
[保存安定性]
25℃において、表−2に示す比率(重量基準)で試料を10mL配合し、液の透明性、分離、沈殿の有無を目視で評価し、下記の基準で評価した。
○:透明であり、分離沈殿のない均一な状態を1カ月以上保つ
×:不透明であり、なおかつ分離または沈殿が調製直後に生じる
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、優れた抑泡効果を有すると共に、水との相溶性も高いので、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い食器用水系リンス剤を調製することができる。また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、人体に対する安全性も高く、リンス剤への使用に適している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器用水系リンス剤の抑泡剤として使用することに適したポリグリセリン脂肪酸エステル、及びこれを用いた水系リンス剤に関するものである。詳しくは、食器の洗浄後、乾燥時間を短縮しスポット形成を抑制して美しい仕上がりを得ることができ、低泡性、貯蔵安定性に優れた食器用水系リンス剤に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から欧米のホテル、レストラン、学校、病院、社員食堂等の営利的および組織的な食器取扱場所には自動食器洗浄機が備えられ、合理的、経済的かつ衛生的な食器類の洗浄管理法がとられている。我が国においても、こうした多量の食器を扱う厨房では、食器類の洗浄管理法が重視され自動食器洗浄機が設置されている場合が多い。
【0003】
一般に標準的な自動食器洗浄機では、前洗いが40〜50℃の温度で行われ、続いて本洗いが約0.2%程度の洗浄水溶液を用いて60〜70℃の温度で行われ、最後に85〜90℃の熱水ですすぎが行われて洗浄が完了する。
最終すすぎ用の水には、界面活性剤を主成分としたリンス剤を少量溶解したものが用いられる。リンス剤は、食器表面のぬれを促進させ、食器表面に薄膜状の水の流れを発生させることによって、食器表面上に残留している本洗いの際に使用した洗剤水溶液を洗い流すと同時に、すすぎ水の中に含まれるカルシウム分、マグネシウム分等の不溶物を洗い流し、食器洗浄完了後に食器表面にウォータースポットと呼ばれるしみや斑点が残ることを防止し、水切れをもよくして乾燥時間を短縮する。
【0004】
最終すすぎはリンス剤を含有する水を使用するため、食器表面上にはリンス剤中の界面活性剤およびその他の成分が若干残留することとなる。そのため、使用する界面活性剤は口に入っても安全な食品用乳化剤を用いる必要がある。
ショ糖脂肪酸エステル(特開昭49−41405号公報)やポリグリセリン脂肪酸エステル(特許第1618218号)は、食品用乳化剤であるので、リンス剤の主成分として用いられていることが多い。しかし、これらの乳化剤は単独では泡立ち性が高いため、多量に発生した泡がポンプに泡が巻き込まれ、吐出水の勢いが弱まったり、泡がなかなか消えずに残り、食器上に跡が残る原因となったりする。
【0005】
そのため、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、抑泡性の成分としてソルビタン(特公昭59−49960号公報)やグリセリン(特公昭59−12717号公報)などの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルが低泡性成分として配合されている場合が多い。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルは、水との相溶性が非常に悪く、水系のリンス剤に用いるとたやすく分離してしまうという問題があった。このために、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、トルエンスルホン酸ソーダ、キシレンスルホン酸ソーダ等の可溶化剤を多量に使用しなければならなかった。
【0007】
これら可溶化剤を多量に使用すると、リンス剤の安全性が低くなること、引火性が強くなること、製品コストが高くなること等の欠点を生じる。また、適当な乳化剤を用いてソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸とのエステルを可溶化させる手法(特許第2848830号、特許第2908556号)や、乳化させる手法(特公平6−78550号公報)もあるが、長期間安定な可溶化物、乳化物を得ることは難しく、可溶化、乳化が壊れて分離するおそれがあった。
【0008】
そのため、可溶化剤や乳化剤を使用せずともリンス剤に配合することの出来る抑泡性の乳化剤が望まれていた。
本発明の課題は、泡立ち性の高い乳化剤の泡を抑制することが可能で、かつ、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い水系リンス剤を調製することのできる自動食器洗浄機用リンス剤用の抑泡剤を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルが、泡立ち性の高い乳化剤の泡を十分に抑制することが可能で、かつ、水に対する相溶性が高く、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い食器用リンス剤を調製することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明の要旨は、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であることを特徴とする食器用水系リンス剤の抑泡剤用ポリグリセリン脂肪酸エステルに存する。
本発明の別の要旨は、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする食器用水系リンス剤に存する。
【0011】
本発明の別の要旨は、ショ糖脂肪酸エステルまたは前記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする前記食器用リンス剤に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食器用水系リンス剤は、乳化剤成分、水性媒体、及び必要に応じて他の成分を含有する。乳化剤成分として、抑泡性の乳化剤成分(抑泡剤)と、リンス性は良いが起泡性の高い乳化剤成分を含有する。本発明では、抑泡性の高い乳化剤成分として、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。
[抑泡剤]
本発明においては、抑泡剤として、構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。ポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、「PoGE」と省略することがある)は、ポリグリセリン(以下、「PoG」と省略することがある)と脂肪酸とを反応させて得られるエステル体である。構成脂肪酸の炭素数が6未満だとスポット抑制能が低下すると共ににおいが悪くなり、10を超えると水溶液の保存安定性が低下する。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数8であることが好ましく、飽和脂肪酸であることが好ましい。構成脂肪酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸等が挙げられ、中でもカプリル酸が好ましい。これらの脂肪酸は目的に応じて2種類以上の組み合わせで用いることもできる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化率は、21〜50%、好ましくは21〜35%である。平均エステル化率が21%未満だと抑泡効果が不十分となり、35%を超えると水溶液の保存安定性が低下する。構成するポリグリセリンの平均重合度は、通常4〜20であって、好ましくは8〜14である。尚、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の抑泡剤を併用してもよい。
【0013】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において製造される。通常、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対して、0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、更に好ましくは0.001〜0.01重量%のアルカリ触媒を用い、反応温度150〜300℃、好ましくは180〜260℃で反応させることによって製造することができる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常2.5〜6、好ましくは2.5〜4である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常上記反応の副生物として、脂肪酸とアルカリ触媒との副反応により生成する石鹸(脂肪酸アルカリ金属塩)を含有するが、含有量は2重量%以下である。2重量%を超えると抑泡力が不十分となる。石鹸含有量は少い方がよく、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下である。
【0014】
通常、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの乳化剤全体中の含有量は、1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。
[リンス性は良いが起泡性の高い乳化剤成分]
この乳化剤成分としては、リンス性は良いが起泡性の高い公知の乳化剤であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、上記以外の他のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等を挙げることができる。中でも、他のポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルが好ましい。他のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が6〜18、平均エステル化率が5〜20%であることが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、構成脂肪酸の炭素数が6〜18、平均エステル化度が1〜2であることが好ましい。
[水性溶媒]
水性溶媒とは、通常水であるが、水とエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のアルコールとの混合液でもよい。水とアルコールとの混合液の場合には、混合比率には特に制限はないが、通常、水の含有量は、全溶媒中60重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。本明細書において、水系リンス剤とは、溶媒が水のみのものに限定されず、溶媒が上記水性溶媒であるリンス剤である。
【0015】
本発明のリンス剤において、乳化剤成分は、通常、リンス剤中に1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%になるように添加される。1%未満では食器表面の界面活性向上に十分な効果を発揮せず、また、50重量%を越えると粘性が増して汎用なポンプ等による供給が不可能になるからである。
【0016】
本発明のリンス剤は、染料、香料、殺菌剤、粘度調製剤等の任意成分を必要に応じて適宜の割合で配合することができる。
本発明のリンス剤は、リンス剤の有効成分濃度にもよるが、通常、1/5,000〜1/20,000のリンス剤希釈液としてすすぎに供される。このとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルとその他の乳化剤をあわせた濃度が、20〜80mgとなるように希釈して用いることが好適である。
本発明の食器用リンス剤は、自動食器洗浄機用リンス剤として用いることに特に適している。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
製造例1
攪拌機、温度計、加熱ジャケット、ガス仕込み口、原材料仕込み口を備えた容量2リッターの反応容器に、まず、PoG(平均重合度9.9)を1200g仕込んだ。ついで、同じ反応容器に、カプリル酸(純度99%)と10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、カプリル酸の仕込み量は、カプリル酸/PoGモル比が1.25/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、PoGとカプリル酸との総量に対して0.01重量%とした。窒素気流下、常圧で、内温を220℃に昇温し、この温度で5時間反応させた後、内温を260℃に昇温し、この温度で3時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却し、ポリグリセリンカプリル酸エステルAを得た。このサンプルの平均エステル化率は10.5%であり、石鹸含量は0.05重量%である。
製造例2
カプリル酸/PoGモル比が1.94/1となる様にした以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルBを得た。このサンプルの平均エステル化率は16.3%であり、石鹸含量は0.05重量%である。
製造例3
カプリル酸/PoGモル比が2.72/1となる様にした以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルCを得た。このサンプルの平均エステル化率は22.9%である。
製造例4
カプリ酸/PoGモル比が2.92となる様にし、水酸化ナトリウム量を0.55重量%としたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンカプリル酸エステルDを得た。このサンプルのエステル化率は22.9%であり、石鹸含量は2.1重量%である。
実施例1〜2、比較例1〜8
後記の表−1、表−2に示す組成(重量基準)のリンス剤を調製した。そして、スポット抑制能、低泡性、および保存安定性について下記の方法によって評価した。これらの結果を後記の表−1、表−2にあわせて示す。
【0018】
[スポット抑制能]
リンス剤溶液(リンス剤濃度0.005重量%、温度80℃)400mLに、スライドグラス(76mm×26mm×厚さ1.3mm)を30秒間浸漬したのち、ゆっくり引き上げて室温に放置し乾燥させ、下記の基準で評価した。
○:スポットなし
×:スポットあるいはまだら状の跡が残留
[低泡性]
50mL試験管に、リンス剤濃度1重量%、温度60℃に調製したリンス剤溶液を10mL入れ、20回上下逆さに振とう後、生成した泡の体積を10秒後に読みとり、下記の基準で評価した。
○:10mL未満
△:10mL以上20mL未満
×:20mL以上
[保存安定性]
25℃において、表−2に示す比率(重量基準)で試料を10mL配合し、液の透明性、分離、沈殿の有無を目視で評価し、下記の基準で評価した。
○:透明であり、分離沈殿のない均一な状態を1カ月以上保つ
×:不透明であり、なおかつ分離または沈殿が調製直後に生じる
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、優れた抑泡効果を有すると共に、水との相溶性も高いので、可溶化剤や他の乳化剤を用いずとも保存安定性が高い食器用水系リンス剤を調製することができる。また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、人体に対する安全性も高く、リンス剤への使用に適している。
Claims (3)
- 構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であることを特徴とする食器用水系リンス剤の抑泡剤用ポリグリセリン脂肪酸エステル。
- 構成脂肪酸の炭素数が6〜10であって平均エステル化率が21〜50%でありかつ石鹸含量が2重量%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする食器用水系リンス剤。
- ショ糖脂肪酸エステルまたは請求項2に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル以外のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項2に記載の食器用水系リンス剤。
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CN111394192A (zh) * | 2019-12-31 | 2020-07-10 | 纳爱斯浙江科技有限公司 | 一种温和无刺激的全食品级洗涤剂组合物及其制备方法 |
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2002
- 2002-06-25 JP JP2002184221A patent/JP2004026977A/ja active Pending
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