JP4096732B2 - 高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法に関し、特に従来、高周波誘導加熱のみでの塗装焼付けの際に懸念された被膜欠陥の有利な改善を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板の表面には、絶縁性をはじめとして、打抜性や耐食性、耐熱性などの諸特性を付与するために、絶縁被膜が被覆される。
従来、かような絶縁被膜の被覆に際しては、熱風炉を用いたガス加熱方式が採用されていたが、最近では、生産能率の向上の観点から、高周波誘導加熱方式が用いられるようになってきた。
しかしながら、上記した高周波誘導加熱方式では、加熱に際して塗装面の内部から加熱されることから、塗料表面の硬化が不十分となり、耐傷つき性や耐汚染性などの被膜特性の劣化を余儀なくされた。また、未蒸発の溶剤に起因してワキと呼ばれる、表面に無数の細かい穴が残る状態が発生し、被膜外観の劣化を招く場合もあった。
【0003】
上記の問題を解決するものとして、高周波誘導加熱方式と熱風吹き付け方式の両者を併用する方法が提案された(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−284375号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した高周波誘導加熱と熱風吹き付けの両者を併用する方法では、設備費が嵩むだけでなく、加熱処理が煩雑になり、さらに高周波誘導加熱のみの場合に比べると処理時間が長いという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、高周波誘導加熱方式のみによって、前述したような被膜特性や被膜外観の劣化を招くことなしに、塗膜を短時間で焼き付けることができる高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法を提案することを目的とする。
【0007】
さて、発明者らは、上記の課題を達成すべく、高周波誘導加熱に際し、その加熱条件を種々に変化させる広範囲な実験を行い、各場合における被膜特性および被膜外観について調査した。
その結果、処理温度(到達板温)を従来よりも低めに設定した上で、適用周波数および昇温速度を的確に制御してやれば、高周波誘導加熱方式のみによっても、被膜特性や被膜外観の劣化を招くことなしに塗膜を効果的に焼付けできることを新たに見出した。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0008】
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
1.電磁鋼板の表面に下記 (1) または (2) に示される塗料を塗布したのち、高周波誘導加熱により半有機系の絶縁被膜を焼き付けるに際し、到達板温が 100〜250 ℃の温度域において、誘導加熱周波数:50 kHz以上、昇温速度:50℃/s以上の条件で焼き付けることを特徴とする高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法。
記
(1) 電磁鋼板用のクロム含有半有機系絶縁被膜用塗料
水性樹脂: 100 重量部(樹脂固形分)に対し、
・クロム酸塩水溶液:5〜 2000 重量部( CrO 3 換算)
・還元剤:5〜 100 重量部
・アルミニウム化合物:5〜 1000 重量部(アルミニウム換算)
をそれぞれ含有するもの。
(2) 電磁鋼板用のクロムレス半有機系絶縁被膜用塗料
無機成分および水性樹脂、その他必要に応じて防錆剤等の添加剤を、水性塗液中の固形分濃度が 10 〜 30 質量%の範囲で含有させたもの。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明の基礎となった実験結果について説明する。
図1に、高周波誘導加熱を用いた塗膜の焼付けに際し、到達板温、昇温速度および誘導加熱周波数を種々に変化させた場合における被膜外観および被膜特性について調査した結果を示す。なお、被膜外観としてはワキ等の塗装むらの発生の有無を、また被膜特性としては耐傷つき性の良否について調べた。
同図に示したとおり、到達板温を 100〜250 ℃と低めに設定した上で、鋼板の昇温速度:50℃/s以上、誘導加熱周波数:50 kHz以上の条件で塗膜の焼付けを行えば、ワキ等の塗装むらの発生は全くなく、かつ耐傷つき性の劣化もないことが究明されたのである。
【0011】
なお、この発明において鋼板の昇温速度の上限は特に制限されることはないが、本発明は誘導加熱のみで加熱されるので、鋼板側(塗膜下層)から加熱されることになり、粉末樹脂やエマルジョン樹脂、ディスパージョン樹脂のように完全溶解ではなく、粒子の形態をもっている樹脂が表層近傍に濃縮されるので、最表層樹脂量が多くなって打抜性が向上する。しかしながら、昇温速度があまりに大きいとこの打抜性の向上効果が不十分となるので、昇温速度の上限は200 ℃/s程度とすることが好ましい。
同様に、誘導加熱周波数についてもその上限は特に制限されることはないが、この誘導加熱周波数があまりに大きいと、インバーターの容量が増大し、設備コストが大きくなるので、誘導加熱周波数の上限は 200 kHz程度とすることが好ましい。
【0012】
また、この発明における好適塗料としては、次のようなものが挙げられる。
(1) 電磁鋼板用のクロム含有半有機系絶縁被膜
・クロム酸塩水溶液:5〜2000重量部(CrO3換算)
・水性樹脂:100 重量部(樹脂固形分)
・還元剤:5〜100 重量部
・アルミニウム化合物:5〜1000重量部(アルミニウム換算)
ここに
クロム酸塩水溶液:無水クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩のうちから選んだ少なくとも一種を主剤に用いた水溶液。
水性樹脂:内層としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂など。外層としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と、これに重合可能な(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルなどのエチレン性不飽和単量体から形成される樹脂。
還元剤:エチレングリコール、ショ糖、グリセリン等の多価有機アルコール類、ぎ酸、酢酸等のカルボン酸など。
アルミニウム化合物:アルミニウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、クロム酸塩など。
【0013】
(2) 電磁鋼板用のクロムレス半有機系絶縁被膜
無機成分および水性樹脂、その他必要に応じて防錆剤等の添加剤を、水性塗液中の固形分濃度が10〜30質量%の範囲で含有させたもの。
ここに
無機成分:シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化アンチモンなど。
水性樹脂:アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂など。
【0014】
次に、この発明の実施に用いて好適な塗料焼付け設備について説明する。
図2に、上記した塗料焼付け設備の好適例を模式で示し、図中番号1は連続焼鈍炉、2は塗液塗装装置、3は塗料焼付け装置、そして4は鋼板冷却装置である。
冷間圧延後の鋼板を、連続焼鈍炉1で所望の焼鈍処理を施したのち、塗液塗装装置2にて鋼板の表面に絶縁塗液を塗布し、ついで塗料焼付け装置3において、この発明に従う焼付け処理を施す。すなわち、鋼板の到達板温を 100〜250 ℃と低めに設定した上で、鋼板の昇温速度:50℃/s以上、誘導加熱周波数:50 kHz以上の条件で塗料の焼付け処理を行う。その後、鋼板冷却装置4を通して鋼板を室温まで冷却する。
【0015】
【実施例】
常法に従い製造した無方向性電磁鋼板の表面に、焼付け条件を種々に変化させて半有機系の絶縁被膜を被成した。
なお、半有機系絶縁被膜用の塗料は、次のとおりである。
・アクリル樹脂:100 重量部(樹脂固形分)
・重クロム酸マグネシウム: 200 重量部(CrO3換算)
・エチレングリコール:120 重量部
・水酸化アルミニウム:20重量部(アルミニウム換算)
【0016】
得られた絶縁被膜付き無方向性電磁鋼板におけるワキ発生の有無および耐傷つき性について調べた結果を、表1に示す。
なお、ワキ発生の有無は目視により判断した。
また、耐傷つき性は、フェルトに荷重を付加した状態で被膜表面を往復させ、目視により被膜のキズの程度を判定した。試験条件は、フェルト接触面積:10×10mm、荷重:0.9 kg、20往復とした。評価基準は次のとおりである。
◎:ほとんどキズが認められない
○:擦り跡が判別できる程度
△:地鉄が若干露出
×:剥離し、地鉄が露出
【0017】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、電磁鋼板の表面に塗膜を焼き付けるに際し、高周波誘導加熱方式のみによって、被膜特性や被膜外観の劣化を招くことなしに、短時間で焼き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 被膜特性および被膜外観に及ぼす到達板温、昇温速度および誘導加熱周波数の影響を示した図である。
【図2】この発明の実施に用いて好適な塗料焼付け設備の模式図である。
【符号の説明】
1 連続焼鈍炉
2 塗液塗装装置
3 塗料焼付け装置
4 鋼板冷却装置
Claims (1)
- 電磁鋼板の表面に下記 (1) または (2) に示される塗料を塗布したのち、高周波誘導加熱により半有機系の絶縁被膜を焼き付けるに際し、到達板温が 100〜250 ℃の温度域において、誘導加熱周波数:50 kHz以上、昇温速度:50℃/s以上の条件で焼き付けることを特徴とする高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法。
記
(1) 電磁鋼板用のクロム含有半有機系絶縁被膜用塗料
水性樹脂: 100 重量部(樹脂固形分)に対し、
・クロム酸塩水溶液:5〜 2000 重量部( CrO 3 換算)
・還元剤:5〜 100 重量部
・アルミニウム化合物:5〜 1000 重量部(アルミニウム換算)
をそれぞれ含有するもの。
(2) 電磁鋼板用のクロムレス半有機系絶縁被膜用塗料
無機成分および水性樹脂、その他必要に応じて防錆剤等の添加剤を、水性塗液中の固形分濃度が 10 〜 30 質量%の範囲で含有させたもの。
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JP2002377833A JP4096732B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法 |
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JP2002377833A JP4096732B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004204335A JP2004204335A (ja) | 2004-07-22 |
JP4096732B2 true JP4096732B2 (ja) | 2008-06-04 |
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JP2002377833A Expired - Lifetime JP4096732B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 高周波誘導加熱による塗膜の焼付け方法 |
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CA3104849C (en) * | 2018-09-03 | 2023-04-25 | Jfe Steel Corporation | Electrical steel sheet with insulating film and method for manufacturing the same |
-
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