JP4095884B2 - 作業車輛の収納部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタや建設機械等の作業車輛に設置される燃料タンクの近傍に収納室を設け、燃料給油ポンプや工具等の備品類を収納支持する収納部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設機械の一種としての油圧ショベルは、グリスガンや工具等の備品類を、操縦部の座席の側方に収納ボックスを近接させて収納している。また、収納ボックスの外側には機械室を覆うカバー及び燃料タンク等が配置される。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−64355号公報(第5〜6頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報で示される構成の収納部構造は、備品類を収納する収納ボックスを座席の側方に設置するので、工具等の小さな備品類を収納するには便利であるが、例えば、燃料タンクに給油缶から燃料を供給する際に用いる、ホース付きの燃料給油ポンプを収納しようとすると、大型の収納ボックスが必要になって設置スペースを占めるため操縦部の居住性を損なうと共に、特に操縦部をキャビンで覆うものにおいて、燃料給油ポンプに付着した燃料臭が室内に充満する等の欠点がある。
また走行機体の後部に設置された燃料タンクは収納部構造として有効に活用されないままなので、操縦部のスペースを狭くし運転操作性や居住性を低下させている等の課題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の作業車輛の収納部構造は、第1に、燃料タンク2を走行機体3の後部に設けた作業車輛において、前記燃料タンク2の後方にタンク後壁2cと後部カバー11とによって形成される後部収納室を設け、当該後部収納室に燃料給油ポンプ12等の備品類を収納し、また、その備品類を後部収納室の機体内側方から取り出し可能に構成することを特徴としている。
【0006】
第2に、燃料タンク2を走行機体3の後部に設けた作業車輛において、前記燃料タンク2の後方にタンク後壁2cと後部カバー11とによって形成される後部収納室を設けて、当該後部収納室に燃料給油ポンプ12等の備品類を収納し、また、燃料タンク2の機体内方側の側壁2dと側面カバー17とによって形成される側部収納室を設けて、当該側部収納室に工具等の備品類を収納し、そして、側面カバー17に形成した開口部21から後部収納室及び側部収納室に収納された備品類を取り出し可能に構成することを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,図2において符号1は、後述する備品類を収納する収納部構造を燃料タンク2に構成したトラクタである。このトラクタ1は左右にクローラ方式の走行装置1a,1aを有する走行機体3に、前側からエンジン4を搭載してボンネット5で覆い、その後方にハンドル6aとステップ6bと座席6c等からなる操縦部6を配置し、走行機体3の後部に3点リンク方式の昇降機構7を設け、耕耘装置等の作業機が装着される。
上記操縦部6は、ステップ6bに通ずるデッキ板1bを左側の走行装置1aの上方に沿って設けている。またデッキ板1bの前側には梯子状の乗降具1cを実線で示す乗降姿勢と点線で示す格納姿勢とに切り換え可能に設けている。
【0008】
このトラクタ1は操縦部6をキャビン8で覆っており、前記燃料タンク2は、キャビン8の左側ドア(乗降部)の後方側方から昇降機構7の側方に至る大きさで走行機体3に載置し、ボルト9によってタンク底壁2aの複数箇所を取付固定している。
上記燃料タンク2は、左側壁と前側壁及び天井壁とを形成する側壁2bをタンク底壁2aの外側から立設し、両者の後部と右側(機体内方)にタンク後壁2cと機体内方側の側壁(タンク内側壁)2dを設けて気密構造にしている。またこの燃料タンク2は後面視でタンク内側壁2dを鉛直壁にした台形状に形成し、天井壁にキャップを有した燃料供給口2eを設けている。
【0009】
そして、燃料タンク2はその前面側と上面側をキャビン8側からフェンダー10で覆うと共に、燃料タンク2の後部即ちタンク後壁2cの後部とタンク内側壁2dの側方を後部カバー11で覆うことにより、燃料タンク2を保護すると共に、後部カバー11とタンク後壁2c並びにタンク内側壁2dで形成される空間部に、燃料給油ポンプ12,グリスガン13及びその他の備品類を収納する収納部構造を構成している。
【0010】
図3〜図5を参照し、後部カバー11の設置構造及び収納部構造について説明する。後部カバー11はブレーキランプ,ウインカランプ等からなる後方ランプ15を設けた後面カバー16と、後面カバー16の右端から前側に向けて一体的に連接された側面カバー17とからなる。
後面カバー16は前側に向けて碗型状に開口した前側縁の複数箇所を、タンク後壁2cから後方に突出させ側壁2bに設けた取付片19,19に、取付ボルトによって着脱可能に取付固定し、これにより備品収納用の後部収納室を形成している。
【0011】
側面カバー17は、後部を後面カバー16で支持された状態で、前側をタンク内側壁2dの前側から突設された板状の取付ブラケット20に、取付ボルトによって取付固定することにより、タンク内側壁2dとの間に前記後部収納室に通ずる側部収納室を一連に形成する。
また側面カバー17は、後部収納室の側方と側部収納室を機外に開放し備品類を出し入れする開口部21を設けている。この実施形態において開口部21は、機体の後方に設置される前記昇降機構7によって形成される空間位置に臨んでいる。
【0012】
側面カバー17は、開口部21を開閉可能に閉鎖する蓋カバー22を、開口部21の下部で蝶番23によって回動自在に支持し、上部に摘み部を有する固定ボルト25を設けている。
この構成により、蓋カバー22は固定ボルト25が解除されると蝶番23を支点に昇降機構7側に向けて開動することができ、大きく開放された開口部21を介して、作業者は昇降機構7側から備品類の取り出し及び収納を簡単に行うことができる。
【0013】
また上記空間部に構成される収納部構造は、燃料給油ポンプ12とグリスガン13を収納支持する支持部30を設けた後部収納室と、工具やカートリッジグリス等の備品類を収容する容器状の収納部31を設けた側部収納室とから構成される。 そして、両収納室は前記側面カバー17に形成された一つの開口部21から、備品類を共に出し入れ可能に構成される。
【0014】
支持部30は、燃料給油ポンプ12とグリスガン13をそれぞれ係脱可能に支持するように形成された、複数の支持部材32を板状の支持台33に設け、該支持台33をタンク後壁2cに突設した取付ブラケット35に取付固定することによって構成される。このとき、燃料給油ポンプ12とグリスガン13の支持姿勢は、両者の上部を開口部21側に指向させた傾斜姿勢で支持することにより、限られたスペースの後部収納室内に長い燃料給油ポンプ12を無理なく取り出し易い姿勢で収納することができる。
【0015】
側部収納室に構成される収納部31は、タンク内側壁2dに長方形の箱型状の容器を突出形成し、この中に工具並びにカートリッジグリス等の備品類を収納可能にしている。またこの収納部31は開口部21の下方側に対面させた位置に設け、備品類の取り出し収納を行い易くしている。
また後部収納室内には、マイコン等からなる電装ユニット36をタンク後壁2cの上部に支持している。この電装ユニット36は支持部30の上方に形成されるスペースを利用し、開口部21からメンテナンス作業を行い易くしている。
【0016】
以上のように構成したトラクタ1の収納部構造は、燃料タンク2の後部に後部カバー11を設けて備品収納用の後部収納室を形成し、剛体構造のタンク後壁2cを取付部材に兼用して燃料給油ポンプ12等の備品類を係脱可能に支持する支持部30を設けるため、支持部30の設置構造を簡単にすることができると共に、備品類を機体の振動に対して安定よく支持する。
また備品類を前記収納室の機体内方側から取り出し可能に収納支持するので、後部カバー11を燃料タンク2に対し開閉構造にすることなく、固定構造によって取り付けることができるから、開閉するカバーのような防振構造を必要としないで、後部カバー11の設置構造を剛性の高い簡潔なものにすることができる。
【0017】
また形状が複雑で長大となる燃料給油ポンプ12は、操縦部6から離れた燃料タンク2の後部収納室に収納できるから、燃料給油ポンプ12が操縦部6側に収納されることによる、燃料臭や占有スペース等の問題も解消でき、また燃料給油ポンプ12は燃料タンク2そのものに備えられているので、給油作業を能率よく行うことができる。
尚、グリスガン13も同様であり、注油の必要頻度の高い昇降機構7の各種シリンダ並びに走行装置1aの転輪に対し近い位置に収納されているので、注油作業を能率よく行うことができる。
【0018】
さらに、燃料タンク2のタンク内側壁2dに側面カバー17を設けて形成される側部収納室内に、工具等の備品類を収納する収納部31を設け、側面カバー17に形成した開口部21から、収納部31と支持部30に対する備品類の取り出しと収納を行う構成にしたので、後部収納室と側部収納室を連通させて収納部構造を簡潔にすることができる。
また一つの開口部21から、グリスガン13及びカートリッジグリス等の関連する備品類の取り出しを、探す手間等を掛けずに簡単且つ速やかに行うことができると共に、後部収納室は側部収納室によってその巾を機体内側方に拡張されるので、燃料給油ポンプ12等の収納を無理なく行うことができる。
尚、図示例では開口部21に防塵のため蓋カバー22を設けたが、省略することもできる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上のように収納部構造を構成したので、次のような効果を奏する。燃料タンクの後部に後部カバーを設けて備品収納用の後部収納室を形成することにより、備品類の取り出し及び収納をその収納室の機体内方側から簡単に行うことができ、また、後部カバーを燃料タンクに対し固定構造によって取り付けることができる。
さらに、燃料タンクの後部収納室内に燃料給油ポンプを収納することにより、給油作業を能率よく行うことができる。
【0020】
さらに、タンク内側壁に側面カバーを設けて形成される側部収納室内に備品類を収納する収納部を設けると共に、側面カバーに形成した開口部から、収納部に対する備品類の取り出しと収納を行うようにしたことにより、後部収納室と側部収納室を連通し、一つの開口部から両方の備品類の出し入れを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる収納部構造を備えた作業車輛の側面図である。
【図2】図1の平断面図である。
【図3】燃料タンクに構成した収納部構造を示す平断面図である。
【図4】図3の収納部構造を一部破断をして示す側面図である。
【図5】図3の要部の構成を示す背断面図である。
【符号の説明】
1 作業車輛(トラクタ)
2 燃料タンク
2c タンク後壁
2d タンク内側壁
3 走行機体
11 後部カバー
16 後面カバー
17 側面カバー
21 開口部
30 支持部
31 収納部

Claims (2)

  1. 燃料タンク(2)を走行機体(3)の後部に設けた作業車輛において、前記燃料タンク(2)の後方にタンク後壁(2c)と後部カバー(11)とによって形成される後部収納室を設け、当該後部収納室に燃料給油ポンプ(12)等の備品類を収納し、また、その備品類を後部収納室の機体内側方から取り出し可能に構成することを特徴とする作業車輛の収納部構造。
  2. 燃料タンク(2)を走行機体(3)の後部に設けた作業車輛において、前記燃料タンク(2)の後方にタンク後壁(2c)と後部カバー(11)とによって形成される後部収納室を設けて、当該後部収納室に燃料給油ポンプ(12)等の備品類を収納し、また、燃料タンク(2)の機体内方側の側壁(2d)と側面カバー(17)とによって形成される側部収納室を設けて、当該側部収納室に工具等の備品類を収納し、そして、側面カバー(17)に形成した開口部(21)から後部収納室及び側部収納室に収納された備品類を取り出し可能に構成することを特徴とする作業車輛の収納部構造。
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