JP4095361B2 - 懸架装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車輪懸架装置に係り、特に車高調整式の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車高調整式の懸架装置は、コイルスプリングと機械的に高さ調整自在なアダプタとを直列的に配設して構成されていた。例えば、実用新案登録第3069189 号公報に示される場合では、アダプタは、車体に固定された支持部材と、該支持部材に無段階に上下位置調整可能に取り付けられると共にコイルスプリングの上端面を受け止めるスプリング受けとから、構成されていた。
【0003】
また、特開2001−171322号公報に示される場合では、アダプタは、コイルスプリングの下端面を受け止める車高調整金具本体と、サスペンションアームに貫通した車高調整金具本体の軸部に螺合するナットとから、構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の懸架装置では、車高を調整する毎に、特殊な専用工具で、スプリング受け(車高調整金具本体、スプリング受け体)を回動して、アダプタの高さを調整する必要があり、面倒で手間がかかっていた。また、コイルスプリングのばね定数が一定であるため、地面等から受ける衝撃が一定となって乗り心地に変化がなく、さらに、悪路を走行する際に、地面からの衝撃を直接に受ける虞れがあり、乗り心地が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、車高の調整が容易で、乗り心地を向上させ、車高位置と乗り心地との設定を様々に臨機応変に行うことができる車高調整式懸架装置を提供することを目的とする。また、車が悪路走行したときや脱輪した場合等に、懸架装置の一部が離脱するような危険を防止して、安全性の高い車高調整式懸架装置を提供することを他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る懸架装置は、下から上へ順次コイルスプリングとエアスプリングとアダプタとを、直列的に配設し、上記エアスプリングは、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜と、該弾性膜の上方・下方に取付けられる上板部材・下板部材と、を有し、該上板部材には有底状の円筒部が上方に突出状に連設され、該円筒部に、軸心方向及び周方向に僅かづつ位置をずらせて複数のねじ孔を配設し、さらに、上記アダプタは、上記円筒部に外嵌される倒立有底円筒形であって、天井壁部の孔部に下方からボルトを挿入して車体に固着され、かつ、上記アダプタの周壁部に径方向の貫孔を設けて、ボルトを該貫孔に挿通して上記複数のねじ孔の内の一つに螺着するように構成し、しかも、上記倒立有底円筒形のアダプタの下端面と、上記上板部材との間に、高さ調整用スペーサを介設するように構成すると共に、厚さ寸法が相違する一揃えの高さ調整用スペーサを備え、一揃えの該スペーサから選択して使用するように構成したものである。
【0007】
または、下から上へ順次コイルスプリングとエアスプリングとアダプタとを、直列的に配設し、上記エアスプリングは、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜と、該弾性膜の上方・下方に取付けられる上板部材・下板部材と、を有し、該上板部材には有底状の円筒部が上方に突出状に連設され、該円筒部に、軸心方向及び周方向に僅かづつ位置をずらせて複数のねじ孔を配設し、さらに、上記アダプタは、上記円筒部に外嵌される倒立有底円筒形であって、天井壁部の孔部に下方からボルトを挿入して車体に固着され、かつ、上記アダプタの周壁部に径方向の貫孔を設けて、ボルトを該貫孔に挿通して上記複数のねじ孔の内の一つに螺着するように構成し、しかも、上記倒立有底円筒形のアダプタの下端面と、上記上板部材との間に、高さ調整用スペーサを介設するように構成すると共に、一揃えの同一厚さ寸法の高さ調整用スペーサを備え、使用する個数を増減して上記介設することにより車高を調整可能としたものである。
【0008】
また、緩衝装置が、直列的に配設された上記コイルスプリング・エアスプリング・アダプタと、独立して配設されているものである。また、エアスプリングにエアを出し入れすることで車高を調整するよう構成されたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基いて詳説する。
【0010】
まず、本発明に係る自動車の懸架装置に関係の深い比較例から説明すると、図1に示すように、コイルスプリング1とエアスプリング2と、機械的に高さ調整自在なアダプタ3とを、下方から上方へ順次、直列的に配設し、該コイルスプリング1・エアスプリング2・アダプタ3と並列的に緩衝装置4が独立して配設されている。そして、この懸架装置は、(従来と同様に、)車体5と、車輪7を車体5に連結する連結アーム6との間に、装着され、車輪7を懸架している。ここで、「直列的」とは、車体5と連結アーム6との間の力の伝達が、コイルスプリング1とエアスプリング2とアダプタ3の全てを介して伝達されるよう、同一軸心上に配設されていることを言う。
【0011】
緩衝装置4は、ロッド部4aとストラット本体4bとからなるダンパであり、ロッド部4aの先端が車体5に枢着され、ストラット本体4bの基端が連結アーム6に枢着され、コイルスプリング1・エアスプリング2・アダプタ3から独立して配設されている。
【0012】
エアスプリング2は、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜8と、弾性膜8の上方に施蓋状に取り付けられる上板部材9と、弾性膜8の下方に施蓋状に取り付けられる下板部材10と、を備えている。
【0013】
上板部材9の中央部には、有底状の円筒部11が連設され、円筒部11(内側面)の略下半分が弾性膜8の内部に挿入されている。下板部材10の中心には、エア給排孔12が貫設され、エア給排孔12に取り付けられた管継手13を介して、弾性膜8内にエアを供給・排出することができる。また、下板部材10の上面中央部には、弾性膜8の内部に挿入される突起部14が設けられ、その突起部14が、弾性膜8の内部にて、上板部材9の円筒部11の底面に当接可能となり、エアスプリング2(弾性膜8)の内部のデッドスペースを有効利用している。
【0014】
アダプタ3は、車体5側に配設され、車体5に(螺子にて)固定される雄ねじ部15と、雄ねじ部15に螺合して上下位置調整可能となる受け用ナット部材16と、ロックナット部材20と、を備えている。受け用ナット部材16の外鍔部の下面は、エアスプリング2の上板部材9の円筒部11の開口端面に当接している。そして、受け用ナット部材16の回動にて螺進退する雄ねじ部15の先端は、円筒部11の内部に進退(収納・取出)可能となり、エアスプリング2(弾性膜8)の内部のデッドスペースを有効利用したものとなる。ロックナット部材20は、受け用ナット部材16と雄ねじ部15との(螺進退による)相互の所定位置をロックするためのものである。
【0015】
次に、本懸架装置の作用(機能)を説明する。
図1(イ)に示すように、エアスプリング2内が無圧状態では、上板部材9の円筒部11の底面と、下板部材10の突起部14とが、弾性膜8の内部にて、当接して、車体5等の荷重を、弾性膜8にかけずに上・下板部材9,10にて受け持つようにしている。このとき、エアスプリング2は弾発力が働かず、剛体として作用するといえる。
【0016】
そして、図1(ロ)に示すように、エアスプリング2の管継手13・エア給排孔12から、エアを供給すると、エアスプリング2内に加圧空気が充填され、エアスプリング2は鉛直方向に力を発生し、車体5等と釣り合う高さまで伸び、車体5と連結アーム6の間隔を広げ、車高を高くすることができる。即ち、エアスプリング2にエアを出し入れすることで車高を調整することができる。例えば、本装置を2000年製のホンダステップワゴン車の後輪(リア)に取り付けた場合、6インチの外径のエアスプリング2に、800 kPaの内圧を充填することで、リアの車高を約60mm上昇させることができる。
【0017】
ところで、アダプタ3は、懸架装置全体の長さ(高さ)を機械的に調整出来るため、上述のエアスプリング2による車高調整の基準値(基準的車高)を、任意に設定可能であるといえる。即ち、アダプタ3のロックナット部材20を緩めて、受け用ナット部材16を作業工具で回転させて、雄ねじ部15に対する軸心方向位置を変更することによって、いわば、基準的(基本的)車高をまず設定出来て、次に、エアスプリング2によって、迅速な車高調整を加え得る。
【0018】
なお、図示省略するが、エアスプリング2への加圧エアの供給は、コンプレッサから、ドライヤ、エアタンク、電磁弁、レギュレーター及び配管21等を介して行われ、運転席のスイッチにて、電磁弁を開閉させることで、エアスプリング2への加圧エアの出し入れを行うようにする。また、コンプレッサの電源は、バッテリーより供給する。
【0019】
ここで、エアスプリング2の発生力Fは、エアスプリング2の内圧Pと、エアスプリング2の受圧有効面積Sとの間に、次の (1)式の関係が成り立つ。
F=P×S (1)
即ち、内圧Pを変化させることにより、車高上昇量を変化させることができる。
【0020】
また、エアスプリング2への加圧エアの出し入れは、エアスプリング2のばね定数K2 を、様々に調整することであり、ばね定数K2 は、エアスプリング2の内圧Pと、エアスプリング2の受圧有効面積Sと、エアスプリング2の容積Vとに関連しており、車体5等の荷重の変化によらず、固有振動数をほぼ一定に保つことができ、乗り心地を向上させ、さらに、確実に車高を所望値に調整できる。
【0021】
また、コイルスプリング1とエアスプリング2を直列的に配置しているため、全体の直列合成のばね定数Kは、コイルスプリング1のばね定数K1 と、上述のエアスプリング2のばね定数K2 との間に、次の (2)式の関係が成り立つ。
K=K1 ×K2 /(K1 +K2 ) (2)
従って、直列合成のばね定数Kは、単独のばね定数K1 ,K2 より小さくなり、乗り心地が一層向上したものとなる。なお、エアスプリング2のばね定数K2 は、空気の圧力(内圧P)によって、変化させることができるので、直列合成のばね定数Kを、所定の値に変化させることができる。
【0022】
次に、図2に、本懸架装置の特性であるばね作用及びねじ作用の相乗的な作用(機能)を説明する。即ち、図2(イ)(ロ)(ハ)において、車高の高さを同一として、相違点を述べる。(なお、図2に於ても、図1に示したような緩衝装置4が独立的に配設されているが、図2では図示を省略している。)
【0023】
図2(イ)に作動形態1を示し、アダプタ3が最長高さ状態(即ち、受け用ナット部材16が雄ねじ部15の下方に位置している)であり、エアスプリング2が無圧の剛体状態(即ち、上板部材9と下板部材10が当接している)であり、全体のばね定数Ka は、コイルスプリング1のばね定数K1 となる。
【0024】
図2(ロ)に作動形態2を示し、アダプタ3が中間高さ状態(即ち、受け用ナット部材16が雄ねじ部15の中間に位置している)であり、エアスプリング2の内圧が小さな状態(即ち、エアスプリング2のばね定数K2 が、k3 となる)であり、全体のばね定数Kb は、K1 ×k3 /(K1 +k3 )となる。
【0025】
図2(ハ)に作動形態3を示し、アダプタ3が最短高さ状態(即ち、受け用ネット部材16が雄ねじ部15の上方に位置している)であり、エアスプリング2の内圧が大きな状態(即ち、エアスプリング2のばね定数K2 が、k4 (>k3 )となる)であり、全体のばね定数Kc は、K1 ×k4 /(K1 +k4 )となる。
【0026】
以上まとめると、Ka >Kc >Kb となり、作動形態1、作動形態3、作動形態2の順序で、地面等からの衝撃を和らげることができる(やわらかい乗り心地となる)。このように、車高が同一であっても、様々な乗り心地(かたい乗り心地、やわらかい乗り心地)を体感できることが分かる。そして、実際上は、車高を大きな増減範囲で変化出来るのであるから、一層、多種多様のドライバーの要望に対応出来ることとなる。
【0027】
なお、アダプタ3の構成において、車体に固定される側をナット構造とし、エアスプリング2に当接する側をボルト構造としてもよく、また、アダプタ3を車輪7側(連結アーム6)に配設してもよく、さらに、コイルスプリング1の下部にエアスプリング2を配設して上下逆に取付けてもよく、これらを任意に組み合わせてよい。
【0028】
そして、本発明の実施の形態を、図3〜図5に示す。同一符号は既述の図1と図2の比較例と同様の構成であるので、詳しい説明の繰返しを省略する場合もある。
図3と図4に示すように、本懸架装置は、コイルスプリング1とエアスプリング2と、アダプタ3とを、下方から上方へ順次、直列的に配設し、該コイルスプリング1・エアスプリング2・アダプタ3と並列的に緩衝装置4が独立して配設されている。(なお、図4では緩衝装置4を図示省略して示す。)そして、この懸架装置は、車体5と、車輪7を車体5に連結する連結アーム6との間に、装着され、車輪7を懸架している。エアスプリング2は、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜8と、弾性膜8の上方に施蓋状に取り付けられる上板部材9と、弾性膜8の下方に施蓋状に取り付けられる下板部材10と、を備えている。
【0029】
上板部材9の中央部には、有底状のやや小径の円筒部11が連設され、円筒部11の底壁部に相当する部位が倒立円錐台状突起部11aとして弾性膜8の内部に突入している。下板部材10の中心には、(図示省略の)エア給排孔が貫設され、エア給排孔に取り付けられた管継手を介して、弾性膜8内にエアを供給・排出することができる。また、下板部材10の上面中央部には、弾性膜8の内部に挿入される円錐台状突起部14が設けられ、その突起部14が、弾性膜8の内部にて、上板部材9の円筒部11の底面───突起部11a───に当接可能となり、エアスプリング2(弾性膜8)の内部のデッドスペースを有効利用している。
【0030】
アダプタ3は、図3と図5に示すように、車体5にボルト31で固着されると共に、エアスプリング2の上板部材9の円筒部11に外嵌される倒立有底短円筒形である。この短円筒形のアダプタ3は、天井壁部22に孔部23を有し、ボルト31を下方から挿入して、車体5に固着される。そして、このアダプタ3とエアスプリング2とが相互に分離しないように機械的結合機構Mにて、連結されている。具体的には、アダプタ3の周壁部24に径方向の貫孔25を設け、さらに、エアスプリング2の上板部材9の円筒部11に、軸心方向に僅かづつ位置をずらせ、かつ、径方向にも僅かづつ位置をずらせた複数のねじ孔26の内の一つに、ボルト27を、螺着するように構成して、上記機械的結合機構Mとする。
【0031】
ところで、図4(イ)に示す如く、エアスプリング2とアダプタ3の間に、(直列的に)円環状高さ調整用スペーサ30が介設される。
詳しくは、図3に示すようにスペーサ30が無い使用状態では、倒立有底短円筒形のアダプタ3の周壁部24の下端面が、エアスプリング3の上板部材9の平板部(外鍔部)9aに、当接して、圧縮方向の力(支持力)を受けるが、図4(イ)のように、その下端面と平板部(外鍔部)9aとの間に、高さ調整用スペーサ30が介設される。さらに、図5(イ)に示した具体例に於て、厚さ寸法Tが相違する(複数の)一揃えの高さ調整用スペーサ30を(予め)備え、この一揃えのスペーサ30から選択して使用する。
【0032】
ボルト27を離脱すれば、アダプタ3と上板部材9は上下分離可能であるので、簡単に、スペーサ30の取付け(介設)、及び、取外し(離脱)が行い得る。このように厚さ寸法Tの異なるスペーサ30を交換し、又は、取去って(図3参照)、基準的車高を、任意に設定できる。
なお、図5(ロ)に示すように、一揃えの(複数枚の)同一厚さ寸法Tの高さ調整用スペーサ30を備え、使用(介設)するスペーサ30の個数(枚数)を増減───零枚から複数枚の間で選択───することにより、車高を調整するも、好ましい。
【0033】
次に、図4(ロ)と図6に比較例を示し、高さ調整用スペーサ30を、コイルスプリング1とエアスプリング2との間に介設する構成である。特に、エアスプリング2の下板部材10の平板部(外鍔部)10aから下方へ円筒部28を垂設して、この円筒部28に円環状スペーサ30を、嵌め込み状(外嵌状)として、かつ、コイルスプリング1の上端を外嵌して、介設する。この円筒部28が十分に上下寸法(高さ寸法)が大きく設定され、自動車の悪路走行時や脱輪時に、コイルスプリング1とエアスプリング2の下板部材10が、相互に外れる(分離する)ことを、防止する。なお、この構成は、図4(イ)の場合にも適用している。
【0034】
詳しくは、図3に示すようにスペーサ30が無い使用状態では、コイルスプリング1の上端面が、エアスプリング2の下板部材10の平板部(外鍔部)10aに、当接して、圧縮方向の力(支持力)を受けるが、図4(ロ)のように、その間に、スペーサ30を介設する。さらに、図6(イ)に示すように、厚さ寸法Tが相違する一揃え(複数)の高さ調整用スペーサ30を備え、この一揃えのスペーサ30から選択して、使用する。
【0035】
長い目の円筒部28を、コイルスプリング1の上端開口部から挿入した状態で組立てられているので、簡単にスペーサ30の取付け、取外し(増減)が行い得る。このように厚さ寸法Tの異なるスペーサ30を交換し、又は、取去って(図3参照)、基準的車高を、任意に設定できる。
なお、図6(ロ)に示すように、一揃え(複数)の同一厚さ寸法Tのスペーサ30を備え、使用(介設)するスペーサ30の個数(枚数)を増減───零枚から複数枚の間で選択───することにより、車高を調整するも、好ましい。
【0036】
また、図4(ハ)は、上述した図4(イ)と(ロ)とを、結合した構成である。即ち、スペーサ30, 30が、エアスプリング2とアダプタ3の間、及び、エアスプリング2とコイルスプリング1の間に、介設する構成であり、一層、大きな高さ調整が可能となる。
【0037】
次に、本懸架装置の作用(機能)について簡略に追加説明する。(基本的には図1と図2で述べた比較例と同様である。)エアスプリング2内の圧力が無い状態(無圧状態)では、突起部11aと突起部14とが当接して、車体5等の荷重を、弾性膜8に掛けずに上・下板部材9,10にて受持する。このとき、エアスプリング2は弾発力が働かず剛体として作用する。
そして、図示省略のエア配管、管継手等(図1参照)を介して、エアスプリング2内へエアを供給して、エアスプリング2を上下に伸縮させて、車高を調整できる。図4(イ)(ロ)又は(ハ)に例示した如く、いわば基準的(基本的)車高を、スペーサ30の増減にて設定し、次に、エアスプリング2によって迅速かつ柔軟に、車高調整を加え得る。
【0038】
また、コイルスプリング1とエアスプリング2を直列的に配置しているため、全体の直列合成のばね定数Kは、コイルスプリング1のばね定数K1 と、エアスプリング2のばね定数K2 との間に、次の (2)式の関係が成り立つ点は、図1と図2の実施の形態と同様である。
K=K1 ×K2 /(K1 +K2 ) (2)
従って、直列合成のばね定数Kは、単独のばね定数K1 ,K2 より小さくなり、乗り心地が一層向上したものとなる。なお、エアスプリング2のばね定数K2 は、空気の圧力(内圧P)によって、変化させることができるので、直列合成のばね定数Kを、所定の値に変化させることができる。
【0039】
次に、図3〜図5にて説明した実施の形態の本懸架装置の特性であるばね作用及びスペーサ30介設の相乗的な作用(機能)を説明する。即ち、スペーサ30の増減にかかわらず車高が同一に設定したとして、以下説明する。
【0040】
まず、図5に示す高さ調整用スペーサ30を複数枚使用し、又は、厚さ寸法Tが最大のものを1個使用して、かつ、エアスプリング2内の圧力を無くして上板部材9と下板部材10が当接した状態を、作動形態1と呼ぶと、懸架装置全体のばね定数Ka は、コイルスプリング1のばね定数K1 となる。
次に、この作動形態1から、スペーサ30を少し抜き取り(離脱して)、かつ、エアスプリング2の内圧に中間の圧力を封入した状態(即ち、エアスプリング2のばね定数K2 が、k3 となる)として、車高を同一のままに保った作動形態2では、全体のばね定数Kb は、K1 ×k3 /(K1 +k3 )となる。
【0041】
図3に作動形態3を示し、スペーサ30を全く取外し、かつ、エアスプリング2の内圧が大きい状態(即ち、エアスプリング2のばね定数K2 が上記k3 よりも大きなk4 となった状態)とし、かつ、作動形態1及び2と同一の車高の場合、全体のばね定数Kc は、K1 ×k4 /(K1 +k4 )となる。
【0042】
以上まとめると、Ka >Kc >Kb となり、作動形態1、作動形態3、作動形態2の順序で、地面等からの衝撃を和らげることができる(やわらかい乗り心地となる)。このように、車高が同一であっても、様々な乗り心地(かたい乗り心地、やわらかい乗り心地)を体感できることが分かる。そして、実際上は、スペーサ30の増減調整範囲が大きく、かつ、エアスプリング2の内圧の増減調整範囲も広いので、車高を大きな増減範囲で変化出来るのであるから、一層、多種多様のドライバーの要望に対応出来ることとなる。
【0043】
図3〜図5で述べた実施の形態には、さらに次のような利点(作用効果)を有する。即ち、エアスプリング2とコイルスプリング1の間は連結されていなくても、エアスプリング2の下板部材10から十分長く垂設(延設)した円筒部28がコイルスプリング1に挿入嵌合しているので、悪路走行や脱輪時等に、相互に分離する(外れる)危険が防止できる。さらに、アダプタ3とエアスプリング2とは機械的結合機構Mにて、分離しないように連結されているので、悪路走行や脱輪時等にも、安全性を確保できる。特に、スペーサ30の厚みを増減した際に、図5に例示したように、上下方向(軸心方向)に所定間隔で複数のねじ孔26を円筒部11に配設したことによって、ボルト27にて、アダプタ3と連結され、分離する危険を防止できる。なお、図5のようにねじ孔26を周方向にも位置をずらせることで上下方向(軸心方向)の上記所定間隔を、細かく(小さく)設定できることとなる。
【0044】
なお、上述したスペーサ30の材質は、金属製でも、ゴム製やプラスチック製でも、良いが、衝撃を吸収する上で、ゴム製(又はプラスチック製)が、望ましい。
実施例として、ステップワゴンのリア用懸架装置に、図3と図4(ハ)及び図5(イ)に示した構成で、厚さ寸法1mm、3mm、5mm、10mmのスペーサ30を数枚ずつ使用して、(エアスプリング2の高さを一定のままとして)車高の調整幅は、0〜50mmまで可能であることを、確認できた。さらに、脱輪させても、分離(分解)することが無いことも確認した。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載するような著大な効果を奏する。
【0046】
(請求項1,2によれば、)コイルスプリング1とエアスプリング2とアダプタ3とを直列的に配置しているため、エアスプリング2へのエアの出し入れで素早い車高変化を行うことができると共に、エアを入れない状態での車高(基準高さ)を、高さ調整用スペーサ30の増減によって容易かつ迅速に行い得る。このように、エアスプリング2とスペーサ30の増減の2つの高さ調整機構により、車高をより低くしても、段差の乗り越えや雪道走行でも、いわゆる底スリを防止することができる。
【0047】
また、コイルスプリング1とエアスプリング2とを直列的に配置しているため、全体のばね定数が小さくなり、一層、地面等からの衝撃を和らげ、乗り心地を向上させる。また、エアスプリング2の内圧を変えることで、全体のばね定数を変化させ、様々な乗り心地を楽しむことができる。
【0048】
このように、本懸架装置は、車高の調整が容易で、乗り心地を向上させ、車高位置と乗り心地との設定を様々に臨機応変に行うことができ、様々な要望に応えることができる。さらに、調整用スペーサ30によって、車高調整範囲は大きくできる。特にエアスプリング2が薄型(上下寸法小)であったとしても、スペーサ30ならば、容易かつ確実に、介設可能であって、車高調整範囲も大きい。
【0049】
また、(複数のねじ孔 26 を軸心方向及び周方向に位置をずらせることで、)大きな車高調整範囲が簡単に得られると共に、調整ピッチ(間隔)は小さく精度の良い微調整も可能となる。
さらに、車が悪路走行した場合や、脱輪した場合、アダプタ3とエアスプリング2の分離することをなくして、危険な状態となることを防止できる。
【0050】
(請求項3によれば、)緩衝装置4が、コイルスプリング1・エアスプリング2・アダプタ3と、並列的に配設されているため、緩衝装置4が、車体5と車輪7(連結アーム6)を(直接に)連結しているため、コイルスプリング1・エアスプリング2にも減衰効果を付与でき(早期に上下振動を減衰し)、乗り心地と操安性を向上させることができる。
【0051】
(請求項4によれば、)エアスプリング2にエアを出し入れすることで車高を調整するよう構成されているため、エアを出し入れするだけで、車高の調整が容易となり、さらに、全体のばね定数を変化させ、様々な乗り心地を楽しむことができる。具体的に述べると、車高を低くしている車にとっては、車体が当たってしまうような段差でも、運転席から容易に車高を上昇させることが可能で、腹当りを回避することができる。また、通常の車高で走行している車が悪路走行する場合、車高を上昇させ、車体が当るのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例を示す一部断面説明図である。
【図2】 比較例の作用説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態を示す一部断面図である。
【図4】 本発明の作用説明図である。
【図5】 要部構成説明図である。
【図6】 比較例の要部構成説明図である。
【符号の説明】
1 コイルスプリング
2 エアスプリング
3 アダプタ
4 緩衝装置
5 車体
8 弾性膜
9 上板部材
10 下板部材
11 円筒部
22 天井壁部
23 孔部
24 周壁部
25 貫孔
26 ねじ孔
27 ボルト
30 スペーサ
31 ボルト
T 厚さ寸法
M 機械的結合機構
Claims (4)
- 下から上へ順次コイルスプリング(1)とエアスプリング(2)とアダプタ(3)とを、直列的に配設し、上記エアスプリング(2)は、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜(8)と、該弾性膜(8)の上方・下方に取付けられる上板部材(9)・下板部材( 10 )と、を有し、該上板部材(9)には有底状の円筒部( 11 )が上方に突出状に連設され、該円筒部( 11 )に、軸心方向及び周方向に僅かづつ位置をずらせて複数のねじ孔( 26 )を配設し、さらに、上記アダプタ(3)は、上記円筒部( 11 )に外嵌される倒立有底円筒形であって、天井壁部( 22 )の孔部( 23 )に下方からボルト( 31 )を挿入して車体(5)に固着され、かつ、上記アダプタ(3)の周壁部( 24 )に径方向の貫孔( 25 )を設けて、ボルト( 27 )を該貫孔( 25 )に挿通して上記複数のねじ孔( 26 )の内の一つに螺着するように構成し、しかも、上記倒立有底円筒形のアダプタ(3)の下端面と、上記上板部材(9)との間に、高さ調整用スペーサ( 30 )を介設するように構成すると共に、厚さ寸法(T)が相違する一揃えの高さ調整用スペーサ( 30 )を備え、一揃えの該スペーサ( 30 )から選択して使用することを特徴とする懸架装置。
- 下から上へ順次コイルスプリング(1)とエアスプリング(2)とアダプタ(3)とを、直列的に配設し、上記エアスプリング(2)は、上方と下方が開口したビア樽形乃至円筒形の弾性膜(8)と、該弾性膜(8)の上方・下方に取付けられる上板部材(9)・下板部材( 10 )と、を有し、該上板部材(9)には有底状の円筒部( 11 )が上方に突出状に連設され、該円筒部( 11 )に、軸心方向及び周方向に僅かづつ位置をずらせて複数のねじ孔( 26 )を配設し、さらに、上記アダプタ(3)は、上記円筒部( 11 )に外嵌される倒立有底円筒形であって、天井壁部( 22 )の孔部( 23 )に下方からボルト( 31 )を挿入して車体(5)に固着され、かつ、上記アダプタ(3)の周壁部( 24 )に径方向の貫孔( 25 )を設けて、ボルト( 27 )を該貫孔( 25 )に挿通して上記複数のねじ孔( 26 )の内の一つに螺着するように構成し、しかも、上記倒立有底円筒形のアダプタ(3)の下端面と、上記上板部材(9)との間に、高さ調整用スペーサ( 30 )を介設するように構成すると共に、一揃えの同一厚さ寸法(T)の高さ調整用スペーサ( 30 )を備え、使用する個数を増減して上記介設することにより車高を調整可能としたことを特徴とする懸架装置。
- 緩衝装置(4)が、直列的に配設された上記コイルスプリング(1)・エアスプリング(2)・アダプタ(3)と、独立して配設されている請求項1又は2記載の懸架装置。
- エアスプリング(2)にエアを出し入れすることで車高を調整するよう構成された請求項1,2又は3記載の懸架装置。
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