JP4094526B2 - 砕石道床用まくらぎ - Google Patents
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鉄道総研報告1995年12月発行、RTRIREPORTVol.9,No.12第55〜60頁
また、砕石軌道では車両走行時の騒音が道床砕石間に吸収されるが、注入材又は薬液により砕石を固めたような上記軌道では、砕石軌道本来の吸音効果が弱まる傾向にあり、さらに、注入材又は薬液により砕石を固めた場合には、振動の増加等の恐れもあるという問題があった。
大都市近郊では、輸送力増強のための通過トン数増大やスピードアップ等のため、上述したような軌道を採用しているが、住宅地ではこのような対策に伴う騒音・振動問題が新たな別の問題となっている。また、保守作業時には以前から作業騒音問題がある。
そこで、省力化のために大版まくらぎ並みに保守周期を長くでき、騒音・振動の低減を同時に満足させる軌道構造が望まれている。
そして、前記まくらぎ本体が道床載置面からレール敷設面に向ってまくらぎ幅を減少させた断面形状を有し、前記拡張頭部分の底面と上面とが略同じまくらぎ幅になっていることにより、上述した本発明の目的をより一段と達成するものである。
さらに、前記拡張頭部分の底面とまくらぎ本体の道床載置面とが同じ連続した面で一体に形成されているとともに、前記拡張頭部分の上面とまくらぎ本体のレール敷設面とが同じ連続した面で一体に形成されていることにより、上述した本発明の目的をより一段と達成するものである。
また、比較的狭いレール敷設面は、鉄道車両走行時に発生する反射騒音を低減し、レール敷設面の周囲の砕石で騒音が吸収されるようになっている。
このようにして、鉄道車両走行時における沈下防止と騒音低減の2つの効果を合せ持たせることができる。
また、拡張頭部分をレール締結手段よりまくらぎ端部側に設けることによって、鉄道車両走行時に発生する騒音が拡張頭部分で反射しにくい構造とし、横変位に対する抵抗力を持たせつつ鉄道車両走行時の騒音を反射しにくくして、横変位防止と騒音低減の2つの効果を合せ持たせることができる。
すなわち、砕石道床を採用して砕石道床用まくらぎを敷設した場合、砕石散布後の砕石道床用まくらぎの大半は、砕石に埋もれ、レール敷設面を砕石から露出するだけである。
砕石道床の場合、例えば、露出するレール敷設面を基準に目視でマルチプルタイタンパー等を用いて砕石つきかため作業を行うと、砕石に埋もれた砕石道床用まくらぎが砕石つきかため作業で破損したり、傷ついたりする恐れがある。
本発明の砕石道床用まくらぎでは、拡張頭部分の底面と上面を同じまくらぎ幅とすることによって、作業者は砕石から露出する拡張頭部分の上面を基準に底面のまくらぎ幅を目視により計り知ることができるので、保守作業時における砕石つきかため作業性が向上するとともに、砕石道床用まくらぎを砕石つきかため作業による破損から保護することができる。この観点から、拡張頭部分の底面及び上面のまくらぎ幅が、まくらぎ本体よりも広く、最大幅に設定されていることが好ましい。
図1は、本発明による砕石道床用まくらぎを採用した鉄道軌道の概略を示している。この鉄道軌道Tは、路盤上に砕石Sが敷き詰められ、その砕石Sによる道床に砕石道床用まくらぎ10及びレール12が敷設される。本発明の砕石道床用まくらぎ10は、砕石道床の騒音吸収機能及び振動吸収機能を残しつつ、保守周期を延ばすための特徴、騒音を低減するための特徴を備えている。
まず、本実施例の砕石道床用まくらぎ10におけるまくらぎ本体11は、まくらぎ底面側の道床載置面14とまくらぎ上面側のレール敷設面16とを備えている。
前記道床載置面14は、平坦な矩形であり、路盤上に敷き詰められた砕石Sに接しており、更に、この道床載置面14には、振動を吸収するとともに横変位を抑制するためのゴム製又は樹脂製の平板状パッド18が一面に取り付けられている。
他方、前記レール敷設面16は、その上面において複数のレール締結手段20を備えており、更に、左右両側に配置されたレール締結手段20間において肉抜きした凹状に形成されているが、連続して平坦に形成されていてもよい。
なお、レール12は、レール締結手段20によって砕石道床用まくらぎ10のレール敷設面16に取り付けられている。
さらに、この拡張頭部分22は、砕石道床用まくらぎ10の両端において、平坦な切り立った端面23を備え、この拡張頭部分22の平坦な端面23は、まくらぎ本体11の本体断面より広くなっている。
そして、拡張頭部分22の底面とまくらぎ本体11の道床載置面14とが、同じ面で連続して一体となった平坦な矩形の底面を形成している。要するに、拡張頭部分22の底面におけるまくらぎ幅とまくらぎ本体11の道床載置面14におけるまくらぎ幅とが略同じになるように形成されている。
また、拡張頭部分22の上面とまくらぎ本体11のレール敷設面16とが同じ面で連続するとともに、拡張頭部分22の上面がまくらぎ本体11のレール敷設面16より軌道長手方向に延びていることによって、拡張頭部分22の上面とまくらぎ本体11のレール敷設面16とが一体となったH型の上面を形成している。
要するに、本実施例の砕石道床用まくらぎ10は、上述したまくらぎ本体11と拡張頭部分22とが連続して一体に形成されている。
すなわち、砕石道床用まくらぎ10がコンクリート製の場合には、型抜きを容易にするため、上面のまくらぎ幅が底面のまくらぎ幅より僅かに狭くなている。砕石道床用まくらぎ10が木製の場合は、型抜きの必要がないことから、底面のまくらぎ幅と上面のまくらぎ幅が同じになっている。
なお、拡張頭部分22は、図3において鎖線で示される三角錐部分が除去された形状でもよい。
拡張頭部分22間におけるまくらぎ本体11の断面形状は、実質的に台形であり、全体として見れば、中央部分において軌道長手方向のエッジが肉抜きされ、底面に対して上面が狭小化された構成となっている。
本実施形態では、底面側に切り立った側面24が僅かに形成されているので、実際には矩形と台形を組合せた断面形状となっている。
本実施例の砕石道床用まくらぎ30は、第1実施例と同様に、主としてコンクリート製であるが、木製としてもよい。
本実施例の砕石道床用まくらぎ30は、まくらぎ本体31において、まくらぎ底面側の道床載置面34とまくらぎ上面側のレール敷設面36とを備えている。
そして、道床載置面34は、平坦な矩形であり路盤上に敷き詰められた砕石S上に接しており、この道床載置面34には、第1実施例と同様な平板状パッドが一面に取り付けられていてもよい。
レール敷設面36は、その上面においてレール締結手段40を備えており、このレール敷設面36は、レール締結手段40間において肉抜きされた凹状に形成されているが、連続して平坦に形成されていてもよい。
なお、レール12は、レール締結手段40により砕石道床用まくらぎ30のレール敷設面36に取り付けられている。
そして、この拡張頭部分42は、砕石道床用まくらぎ30の両端において、平坦な切り立った端面43を備え、この拡張頭部分42の平坦な端面43は、まくらぎ本体31の本体断面より広くなっている。
また、拡張頭部分42の底面とまくらぎ本体31の道床載置面34とが同じ面で連続して一体となった平坦な矩形の底面を形成している。要するに、拡張頭部分42の底面におけるまくらぎ幅とまくらぎ本体31の道床載置面34におけるまくらぎ幅とが略同じになるように形成されている。
拡張頭部分42の上面とまくらぎ本体31のレール敷設面36も同じ面で連続して一体となったH型の上面を形成している。
要するに、本実施例の砕石道床用まくらぎ30は、上述したまくらぎ本体31と拡張頭部分42とが連続して一体に形成されている。
すなわち、砕石道床用まくらぎ30がコンクリート製の場合は、型抜きを容易にするため、上面のまくらぎ幅が底面のまくらぎ幅より僅かに狭くなっている。砕石道床用まくらぎ30が木製の場合は、型抜きの必要がないことから、底面のまくらぎ幅と上面のまくらぎ幅が同じになっている。
拡張頭部分42間におけるまくらぎ本体31の断面形状は、実質的に片側階段状の凸形であり、全体として見れば、中央部分において軌道長手方向のエッジが肉抜きされ、底面に対して上面が狭小化された構成となっている。
また、拡張頭部分間におけるまくらぎ本体11,31の断面形状として、以上の実施例の説明では台形及び凸形を例示したが、不等脚台形のように、底面に対して上面が狭小化されている形状でもよい。
鉄道路線の既設軌道を保守するには、砕石道床をすきとった後、旧まくらぎを撤去する。砕石道床とレール12との間に新しい砕石道床用まくらぎ10,30を挿入し、砕石道床用まくらぎ10,30の周囲に砕石Sを散布する。この状態では、レール面が矯正されていないので、まくらぎ底面の砕石Sをつきかためる必要がある。例えば、マルチプルタイタンパーにより砕石Sをつきかためながら、レール面が矯正される。
したがって、沈下の変位に対する抵抗が増大し、保守期間を長くすることができる。また、上述したようにまくらぎ本体11,31と連続して一体に形成された拡張頭部分22,42を設けることで、軌道長手方向に直交する方向での面積が広くなる。これにより、横変位に対する抵抗力が増大し、保守期間を長くすることができる。
また、拡張頭部分22,42は、レール締結手段20,40よりまくらぎ端部側に設けられているので、車輪がレール12上を転動する音は、拡張頭部分22,42で反射しにくくなる。図3において鎖線で示されるように、拡張頭部分22,42が三角錐部分が除去された形状であれば、横変位に対する抵抗力を維持した上で、反射音を低減する効果が増大する。
砕石道床用まくらぎ10,30の大部分、特に、底部は砕石Sに埋もれているので、まくらぎ全幅を目視することができないが、砕石道床用まくらぎ10,30及びレール12の敷設後にレール面を矯正するためのマルチプルタイタンパー等を利用したつきかため作業が必要となっても、本発明では、拡張頭部分22,42が砕石道床用まくらぎのおおよそのまくらぎ全幅を指し示す目印の役割があるので、砕石つきかため作業の際に、適切な位置から砕石道床用まくらぎ10,30の底面に砕石Sを導入させることができる。
こうすることで、マルチプルタイタンパーによって砕石道床用まくらぎ10,30が破損したり、傷ついたりすることが少なくなる。
また、本発明では、側面24が残っているので、砕石つきかため作業の際に砕石道床用まくらぎ10,30が欠けることも少ないなど、その効果は甚大である。
S ・・・砕石
10,30・・・砕石道床用まくらぎ
11,31・・・まくらぎ本体
12 ・・・レール
14,34・・・道床載置面
16,35・・・レール敷設面
18 ・・・平板状パッド
20,40・・・レール締結手段
22,42・・・拡張頭部分
24 ・・・側面
Claims (3)
- レール敷設面と該レール敷設面より広い道床載置面とを備えたまくらぎ本体と、前記レール敷設面上のレール締結手段よりまくらぎ端部側で軌道長手方向に突出するとともに前記まくらぎ本体の本体断面より広い端面を備えた拡張頭部分とで構成されて、路盤上の砕石道床に敷設される砕石道床用まくらぎであって、
前記まくらぎ本体と拡張頭部分とが連続して一体に形成されているとともに、
前記拡張頭部分の底面におけるまくらぎ幅と前記まくらぎ本体の道床載置面におけるまくらぎ幅とが略同じになっていることを特徴とする砕石道床用まくらぎ。 - 前記まくらぎ本体が道床載置面からレール敷設面に向ってまくらぎ幅を減少させた断面形状を有しているとともに、前記拡張頭部分の底面と上面とが略同じまくらぎ幅になっていることを特徴とする請求項1記載の砕石道床用まくらぎ。
- 前記拡張頭部分の底面とまくらぎ本体の道床載置面とが同じ連続した面で一体に形成されているとともに、前記拡張頭部分の上面とまくらぎ本体のレール敷設面とが同じ連続した面で一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の砕石道床用まくらぎ。
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