JP4094211B2 - 金属箔積層板の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材フィルムに接着層を介することなく熱融着により導体箔を積層した金属箔積層板の製造方法に関し、さらに詳細には、結晶性ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを基材とする金属箔積層板の製造過程において、機械的強度の低下を抑制しつつ、はんだ耐熱性を発現させる結晶化処理方法を利用した金属箔積層板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエーテルエーテルケトン樹脂に代表される結晶性ポリアリールケトン樹脂は、耐熱性、難燃性、耐加水分解性、耐薬品性などに優れている為、航空機部品、電気・電子部品を中心に多く採用されている。しかしながら、ポリアリールケトン樹脂は原料価格が非常に高価な上、樹脂自体のガラス転移温度が約140〜170℃程度と比較的低いことから、耐熱性の改良検討が種々行われてきた。その中でも良好な相溶性を示す系として、非晶性ポリエーテルイミド樹脂とのブレンドが注目されてきた。
例えば、特開昭59−187054号公報や特表昭61−500023号公報には、ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂との混合組成物が開示されており、また、特開昭59−115353号公報には、これらの組成物が回路板基材に有用であることも開示されている。
さらに、本発明者等も特開2000−38464号公報、特開2000−200950号公報等で上記混合組成物を用いたプリント配線基板及びその製造方法を提案している。
【0003】
しかしながら、結晶性ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂との混合組成物は、結晶性ポリアリールケトン樹脂単独よりも結晶化速度が遅く、このため、はんだ耐熱性などの耐熱性を発現させるためには結晶化処理をする必要があった。ここで該結晶化処理を行うと、その条件により機械的強度、特に、フレキシブルプリント配線基板などの薄肉の金属箔積層板においては端裂強度が大幅に低下するという問題があった。
該端裂強度が低いと、耐折性、耐屈曲性が損なわれるため基板の接続信頼性が確保出来ず、用途範囲が限定されてしまうという問題があり、その改良が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、結晶性ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂からなるフィルムを用いて、寸法安定性、耐熱性などを保持しつつ機械的強度を向上させた金属箔積層板の製造方法を提供することにある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、金属箔積層板の基材フィルムの結晶化条件を特定の温度範囲に制御することにより、上記課題を解決することのできる金属箔積層板の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨とするところは、結晶融解ピーク温度が260℃以上であるポリアリールケトン樹脂(A)70〜30重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)30〜70重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対して無機充填材を10〜30重量部混合したフィルムの少なくとも片面に接着層を介することなく導体箔を熱融着・結晶化処理し、この導体箔に導電性回路を形成してなる金属箔積層板の製造方法であって、結晶性ポリアリールケトン樹脂が下記構造式(1)を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂であり、非晶性ポリエーテルイミド樹脂が下記構造式(2)を有するポリエーテルイミド樹脂であるとともに、該結晶化処理を下記関係式を満足する温度範囲で行い、該結晶化処理後の金属箔積層板を構成するフィルムの端裂強度(JIS C2151の端裂抵抗試験に準拠)が、縦方向及び横方向ともに72.6N以上であることを特徴とする金属箔積層板の製造方法に存する。
Tg(A)≦Tx≦Tg(B)+20
(式中、Tg(A)、Tg(B)は、それぞれ結晶性ポリアリールケトン樹脂(A)単体、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)単体の動的粘弾性測定(振動周波数6.28rad/sec)における損失弾性率(E")のピーク温度から求めたガラス転移温度(℃)を示し、Txは、結晶化処理温度(℃)を示す。)
【化3】
Figure 0004094211
【化4】
Figure 0004094211
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明に適用するフィルムは、結晶性ポリアリールケトン樹脂(A)70〜30重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)30〜70重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対して無機充填材を10〜30重量部混合したフィルムである。本発明のフィルムには比較的肉厚の厚いシートも含んでいる。ここで、結晶性ポリアリールケトン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびケトン結合を含む熱可塑性樹脂であるが、本発明においては、下記構造式(1)に示す繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンが使用される。この繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトンは、VICTREX社製の商品名「PEEK151G」「PEEK381G」「PEEK450G」などとして市販されている。
【0009】
【化5】
Figure 0004094211
【0010】
また、非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびイミド結合を含む非晶性熱可塑性樹脂であり、具体的には、下記構造式(2)(3)に示す繰り返し単位を有するポリエーテルイミドがそれぞれ、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「UltemCRS5001」「Ultem 1000」として市販されている。本発明においては、下記構造式(2)に示す繰り返し単位を有するポリエーテルイミドが使用される。この理由は明確ではないが、おそらく上記構造式(1)を有するポリエーテルエーテルケトンと下記構造式(2)を有するポリエーテルイミド樹脂との混合組成物では、分子間の電子的な相互作用が、上記構造式(1)を有するポリエーテルエーテルケトンと下記構造式(3)を有するポリエーテルイミド樹脂との混合組成物とは異なり、相溶性が劣るため特有の高次構造を形成し、このことも機械的強度(端裂強度)の向上に寄与しているものと思われる。
【0011】
【化6】
Figure 0004094211
【化7】
Figure 0004094211
【0012】
非晶性ポリエーテルイミド樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、上記構造式(2)を有する非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、4,4´−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。また、上述した非晶性ポリエーテルイミド樹脂には、本発明の趣旨を超えない範囲で共重合可能な他の単量体単位を導入してもよい。
【0013】
上記樹脂組成物において、結晶性ポリアリールケトン樹脂が70重量%を越えたり、非晶性ポリエーテルイミド樹脂が30重量%未満では、組成物全体としてのガラス転移温度を向上させる効果が少ないため耐熱性が不充分となり易かったり、結晶性が高いため結晶化処理を行うと球晶などの結晶構造が高度に成長、発達するため機械的強度が低下しやすく、また、結晶化に伴う体積収縮(寸法変化)が大きくなり回路基板としての信頼性が低下する為好ましくない。また、結晶性ポリアリールケトン樹脂が30重量%未満であったり、非晶性ポリエーテルイミド樹脂が70重量%を越えると組成物全体としての結晶性自体が低く、また結晶化速度も遅くなり過ぎ、結晶融解ピーク温度が260℃以上であってもはんだ耐熱性が低下するため好ましくない。このことから本発明においては、上記ポリアリールケトン樹脂65〜35重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる混合組成物が好適に用いられる。
【0014】
また上述した樹脂組成物100重量部に対して混合する無機充填材が30重量部を超えると、フィルムの可とう性、引き裂き強度などの機械的強度が低下するため好ましくない。また一般に10重量部未満では、線膨張係数を低下して寸法安定性を向上させる効果が少ない。このことから無機充填材の混合量は、上述した樹脂組成物100重量部に対して10〜30重量部である。用いる無機充填材としては、特に制限はなく、公知のいかなるものも使用することができる。例えば、タルク、マイカ、クレー、ガラス、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられ、これらは1種類を単独で、2種類以上を組み合わせて用いることができる。特に、平均粒径が1〜20μm程度、平均アスペクト比(粒径/厚み)が20〜50程度の無機充填材が、低添加量(10〜25重量部程度)で、機械的強度を低下させることなく寸法安定性を向上させる効果が高く好ましい。
【0015】
本発明フィルムを構成する樹脂組成物には、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や無機充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合しても良い。また無機充填材を含めた各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤をポリアリールケトン樹脂及び/または非晶性ポリエーテルイミド樹脂などの適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては10〜60重量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤をニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法などが挙げられる。上記混合方法の中では、(a)のマスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。さらに、フィルムの表面にはハンドリング性の改良等のために、エンボス加工やコロナ処理等を適宜ほどこしても良い。
【0016】
本発明フィルム製膜方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね融点以上、430℃以下である。また、該フィルムの厚みは、通常25〜300μm程度である。
【0017】
次に、本発明に適用する金属箔積層板は、上述したフィルムの少なくとも片面に接着層を介することなく導体箔を熱融着・結晶化処理し、この導体箔に導電性回路を形成してなる基板である。
ここで本発明においては、該結晶化処理を下記関係式を満足する温度範囲で行うことが最も重要である。
Tg(A)≦Tx≦Tg(B)+20
式中、Tg(A)、Tg(B)は、それぞれ結晶性ポリアリールケトン樹脂(A)単体、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)単体の動的粘弾性測定(振動周波数6.28rad/sec)における損失弾性率(E”)のピーク温度から求めたガラス転移温度(℃)を示し、Txは、結晶化処理温度(℃)を示している。
【0018】
上記の関係式において、結晶化処理温度(Tx)がTg(A)未満、すなわち、ポリアリールケトン樹脂(A)単体のガラス転移温度未満では、結晶化の進行速度が極めて遅く実用性がほとんどなく、一方、Tg(B)+20℃を超えると、すなわち、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)単体のガラス転移温度+20℃を超えると、結晶化は充分進行しはんだ耐熱性も発現するものの、後述する実施例の項でも説明するように、端裂強度が低下しやすく好ましくない。この理由は明確ではないが、おそらく結晶化処理温度(Tx)が非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)単体のガラス転移温度+20℃を超えると、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)成分の分子運動性が激しくなり、このことからポリアリールケトン樹脂(A)の結晶成分に由来する球晶などの結晶構造が高度に成長、発達し、これらの界面が欠陥となり機械的強度(端裂強度)が低下するものと思われる。このことから好適な熱処理温度範囲は、Tg(A)+20℃以上、Tg(B)+15℃以下、さらに好ましくは、(A)成分と(B)成分とからなる樹脂組成物のガラス転移温度以上、Tg(B)+15℃以下である。
【0019】
なお、本発明において使用するガラス転移温度(Tg)は、次のようにして求めた値である。すなわち、レオメトリックス(株)製SOLIDS ANALYZER RSA−IIを用い、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度1℃/分で測定し、得られたデータから損失弾性率(E”)のピーク値を求め、その時の温度をガラス転移温度(Tg)とした。ここで、損失弾性率(E”)のピーク温度とは、E”の値の温度に対する変化量の第1次微分値が零となる温度のことである。また、本発明において結晶化処理とは、基材のフィルムを用いて示差走査熱量測定を行った際に得られる特性値が、下記の関係式を満たすことをいう。
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≧0.90
ここで式中、ΔHmは、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される結晶融解熱量(J/g)のことであり、ΔHcは、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量(J/g)のことである。
【0020】
なお、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)は、次のようにして求めた値である。すなわち、パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7122に準じて、加熱速度10℃/分で室温から400℃まで昇温したときのサーモグラムから求めた。
この関係式[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]の値は、原料ポリマーの種類・分子量・組成物の比率等にも依存するが、フィルムの成形・加工条件、特に結晶化処理条件に大きく依存する。すなわち、フィルムを製膜する際に、原料ポリマーを溶融させた後、速やかに冷却すれば該数値は小さくなる。また、結晶化処理条件において、ある処理温度で処理時間を長くすれば、該数値を大きくすることができる。該数値の最大値は1.0であり、数値が大きいほど結晶化が進行していることを意味している。
ここで該数値が、0.90未満では、充分に結晶化が進行しておらず、寸法安定性が低下したり、はんだ耐熱性が不充分となりやすく好ましくない。
【0021】
上述したように結晶化処理においてその温度条件は非常に重要であるが、その方式および時間は、特に限定されるものではない。例えば、熱処理方式としては、押出キャスト時に結晶化させる方法(キャスト結晶化法)や製膜ライン内で、熱処理ロールや熱風炉等により結晶化させる方法(インライン結晶化法)および製膜ライン外で、熱風炉や熱プレス等により結晶化させる方法(アウトライン結晶化法)などを挙げることができる。本発明においては、生産の安定性および物性の均一性から、アウトライン結晶化法が好適に用いられる。また、熱処理時間については、上記した式の関係を満足すればよく、数秒〜数十時間、好適には数分から3時間程度の範囲が適用できる。
【0022】
金属箔積層板の製造過程において、上述したフィルムと導体箔を接着層を介することなく熱融着させる方法としては、加熱、加圧できる方法であれば公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、熱プレス法や熱ラミネートロール法、又はこれらを組み合わせた方法を好適に採用することができる。
また、導体箔に導電性回路を形成させる方法についても、公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば,サブトラクティブ法(エッチング)、アディティブ法(メッキ),ダイスタンプ法(金型)、導体印刷法(導電ペースト)などの公知の方法が適用できる。さらに多層基板とした場合の層間接続の方法としては、例えば、スルーホールに銅メッキする方法やスルーホール、インナーバイアホール中へ導電性ペーストや半田ボールを充填する方法、微細な導電粒子を含有した絶縁層による異方導電性材料を応用する方法などが挙げられる。
【0023】
本発明に使用される導体箔としては、例えば銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等の、厚さ5〜70μm程度の金属箔が挙げられる。金属箔としては、通常銅箔が使用され、さらに表面を黒色酸化処理等の化成処理を施したものが好適に使用される。導体箔は、接着効果を高めるために、フィルムとの接触面(重ねる面)側を予め化学的または機械的に粗化したものを用いることが好ましい。表面粗化処理された導体箔の具体例としては、電解銅箔を製造する際に電気化学的に処理された粗化銅箔などが挙げられる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向とよぶ。
【0025】
(1) ガラス転移温度(Tg)
レオメトリックス(株)製SOLIDS ANALYZER RSA−IIを用い、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度1℃/分で測定し、得られたデータから損失弾性率(E”)のピーク値を求め、その時の温度をガラス転移温度(Tg)とした。なお、測定に使用した試料は、Tダイを備えた押出機を用いて急冷キャスト製膜した厚み75μmのフィルム(横方向)を用いた。
【0026】
(2)結晶融解ピーク温度(Tm)
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS K7121に準じて、加熱速度を10℃/分で昇温した時のサーモグラムから求めた。
【0027】
(3)(ΔHm−ΔHc)/ΔHm
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS K7122に準じて、加熱速度を10℃/分で昇温した時のサーモグラムから、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求め、算出した。
【0028】
(4)接着強度
JIS C6481の常態の引き剥がし強さに準拠して測定した。
【0029】
(5)はんだ耐熱性
JIS C6481の常態のはんだ耐熱性に準拠し、260℃のはんだ浴に試験片を銅箔側とはんだ浴とが接触するように10秒間浮かべ、室温まで冷却した後、膨れやはがれ等の有無を目視によって調べ、良否を判定した。
【0030】
(6)端裂強度
JIS C2151の端裂抵抗試験に準拠して、厚さ75μmのフィルムから幅15mm、長さ300mmの試験片を切り出し、試験金具Bを用いて、引張速度500mm/分の条件で縦方向および横方向を測定した。
【0031】
(実施例1)
表1に示すようにポリエーテルエーテルケトン樹脂[ビクトレックス社製、PEEK381G、Tg:145.3℃、Tm:334℃](以下、単にPEEKと略記することがある)60重量部と、ポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem−CRS5001、Tg:226.3℃](以下、単にPEI−1と略記することがある)40重量部および市販のマイカ(平均粒径:10μm、アスペクト比:30)とからなる混合組成物を、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度380℃で、厚さ75μmのフィルムに押出し、同時に銅箔(厚さ:18μm、表面粗面化)をラミネートすることにより銅箔積層板を得た。さらに得られた銅箔積層板の巻物(100m巻き)を200℃の恒温槽で120分間結晶化処理することにより目的とする結晶化処理済銅箔積層板を得た。得られた結晶化処理済銅箔積層板を用いて、評価した熱特性や機械的強度などの評価結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
表1に示すように、実施例1において結晶化処理温度を240℃に変更した以外は、実施例1と同様に目的とする結晶化処理済銅箔積層板を得た。得られた結晶化処理済銅箔積層板を用いて、評価した熱特性や機械的強度などの評価結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
表1に示すように、実施例1においてPEEKとPEI−1の混合重量比を35/65重量部に変更、結晶化処理温度を220℃に変更した以外は、実施例1と同様に目的とする結晶化処理済銅箔積層板を得た。得られた結晶化処理済銅箔積層板を用いて、評価した熱特性や機械的強度などの評価結果を表1に示す。
【0035】
(比較例1)
表1に示すように、実施例1において結晶化処理温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様に目的とする結晶化処理済銅箔積層板を得た。得られた結晶化処理済銅箔積層板を用いて、評価した熱特性や機械的強度などの評価結果を表1に示す。
【0036】
(比較例2、3)実施例1において使用したPEI−1をポリエーテルイミド樹脂[ゼネラルエレクトリック社製、Ultem−1000、Tg:217.3℃](以下、単にPEI−2と略記することがある)に変更し(比較例3ではPEEKとの混合重量比も変更)、表1に示す結晶化処理温度とした以外は、実施例1と同様に目的とする結晶化処理済銅箔積層板を得た。得られた結晶化処理済銅箔積層板を用いて、評価した熱特性や機械的強度などの評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004094211
【0038】
表1より、本発明で規定する成分を有し、かつ結晶化処理温度が規定する範囲にある実施例1乃至3の銅箔積層板は、いずれもはんだ耐熱性と機械的強度(銅箔積層板を構成するフィルムの端裂強度が、縦方向及び横方向ともに72.6N以上)の両方の特性に優れていることが分かる。これに対して、結晶化処理温度が規定する範囲外(比較例1)か、非晶性ポリエーテルイミド樹脂の種類が異なる(比較例2、3)基板は、はんだ耐熱性か機械的強度(端裂強度)のどちらかの特性に劣ることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶性ポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを基材とする金属箔積層板の製造過程において、機械的強度の低下を抑制しつつ、優れたはんだ耐熱性を発現できる製造方法が提供できる。

Claims (1)

  1. 結晶融解ピーク温度が260℃以上である結晶性ポリアリールケトン樹脂(A)70〜30重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)30〜70重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対して無機充填材を10〜30重量部混合したフィルムの少なくとも片面に接着層を介することなく導体箔を熱融着・結晶化処理し、この導体箔に導電性回路を形成してなる金属箔積層板の製造方法であって、結晶性ポリアリールケトン樹脂が下記構造式(1)を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂であり、非晶性ポリエーテルイミド樹脂が下記構造式(2)を有するポリエーテルイミド樹脂であるとともに、該結晶化処理を下記関係式を満足する温度範囲で行い、該結晶化処理後の金属箔積層板を構成するフィルムの端裂強度(JIS C2151の端裂抵抗試験に準拠)が、縦方向及び横方向ともに72.6N以上であることを特徴とする金属箔積層板の製造方法。
    Tg(A)≦Tx≦Tg(B)+20
    (式中、Tg(A)、Tg(B)は、それぞれ結晶性ポリアリールケトン樹脂(A)単体、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(B)単体の動的粘弾性測定(振動周波数6.28rad/sec)における損失弾性率(E”)のピーク温度から求めたガラス転移温度(℃)を示し、Txは、結晶化処理温度(℃)を示す。)
    Figure 0004094211
    Figure 0004094211
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