JP4094109B2 - 模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法 - Google Patents

模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形型を用いた無機系形成体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、意匠性に優れた建材の要求が高まっており、模様を有する成形型を成形体に押しつけて建材表面に模様を形成させる方法が知られている。
一般にこれらの方法においては、成形対象物に成形型を押しつけて模様を形成させた後、離型する時に成形体表面が損傷されるのを防ぐ手段として型に鉱物油系の離型剤が塗布される。また、同様の目的から、例えば特開昭56−69111号公報、特開昭57−24210号公報等においては、表面が熱可塑性フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレンからなる成形型が提案されている。
【0003】
しかしながら、鉱物油系の離型剤を型に塗布する場合には、型に形成させた複雑な模様やテーパー角が大きな溝になると成形体がうまく離型できなくなり、離型不良による成形体欠損、例えばパネル欠損が多発し製品品質の低下や製品収率の低下を招く。また、鉱物油系の離型剤を複雑な模様やテーパー角が大きな溝を有する型表面に均一に塗布するには、かなりの熟練と作業時間を必要とするばかりか、模様付け毎に繰返し塗布しなければならず、成形体生産性の低下を招くことになる。更に、成形型表面に塗布した離型剤は、模様付け時に成形体へ移行し、例えば後述する半硬化状軽量気泡コンクリートパネルの成形に際しては、成形後の養生工程で硬化不良の原因となる場合も認められ、成形体及び製品品質の著しい低下を引き起こす可能性がある。
【0004】
一方、型表面をポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性フッ素樹脂で構成する成形型の場合は、成形型そのものを前記ポリテトラフルオロエチレンなどで構成する方法と、あらかじめ金属などの母材で作製した成形型の表面にポリテトラフルオロエチレンを付設する方法が考えられる。前者の方法は、成形型が非常に高価であるばかりか、ポリテトラフルオロエチレンが耐摩耗性に劣るので実用性に欠ける。また、後者の方法も耐摩耗性に劣る点は前者と同じであり、ポリテトラフルオロエチレンの易摩耗性のため短いサイクルで再付設を繰り返す必要を生じる。
【0005】
その上、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性フッ素樹脂の付設は、前処理、塗装、焼成の工程からなり、各工程が非常に面倒であるばかりか次に示すような幾つかの制約や問題がある。すなわち第一に、熱可塑性フッ素樹脂は成形型母材との親和性、密着性に劣るため、付設する成形型母材の表面を適切に前処理することが必要となる。第二に該樹脂は、融点以上でも高粘性で流動性に乏しく、塗膜厚さが不均一になり易い、塗膜中にボイドを残し易い、などの欠点がある。第三に焼成は、350℃以上となり、それに準ずる焼成設備が必要であるばかりか、付設される成形型の母材はこの温度に耐えられる材料に限定されざるを得ない。また、簡便的に焼成工程を省きポリテトラフルオロエチレン微粒子を溶剤に分散させたものを成形型に塗布し付設することも可能であるが、これは耐久性を著しく欠くため成形毎に塗布する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の無機系成形体用型が有する前記諸問題を解消し得る成形型を用いた無機系形成体の製造方法を提供するものである。即ち、本発明の課題は、付設が簡便で優れた離型性と耐久性を有し、実用性に優れる成形型を用いて意匠性に優れ安価な無機系成形体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、型母材表面に特定のシリコーン硬化物皮膜を形成させた成形型が前記本発明課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、
1.半硬化状軽量気泡コンクリートパネルを、型母材表面にシリコーン硬化物皮膜を付設した押圧成形型を用いて押圧成形した後、離型し、オートクレーブ養生することを特徴とする模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法、
2.型母材表面のシリコーン硬化物皮膜の鉛筆硬度がB〜6Hであることを特徴とする請求項1記載の模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法、
3.型母材表面のシリコーン硬化物皮膜が、型母材表面に50〜500g/m 付設されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法、
である。
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に係るシリコーン硬化物は、シリコーンの基本骨格であるシロキサン結合が三次元的に結合した構造を有するものであり、三次元的に結合する架橋点は、シロキサン結合だけで形成されるものだけでなく、シリコーンに含まれる有機基が架橋点を形成したものでもよい。
【0009】
本発明において架橋硬化の方法は特に限定されるものではないが、シロキサン結合で架橋点を形成する方法の代表例としては、▲1▼多官能性シラノール基を含有するシロキサンやシランを有機スズ化合物などの触媒下で脱水縮合する方法、例えば、メチルシロキサントリオールやメチルシラントリオールの脱水縮合など、▲2▼シラノール基を含有するシロキサンに架橋剤としてシリリジン基を含有するシロキサンを混合し、有機スズ化合物などの触媒下で脱水素縮合する方法、例えば、メチルシロキサンジオールとメチルハイドロジェンシロキサンの脱水素縮合など、▲3▼シラノール基を含有するシロキサンに架橋剤として正ケイ酸エチルなどのアルコキシシランやメトキシ、ケトオキシム、アセトキシなどの加水分解性有機基を含有するシランを有機スズ化合物などの触媒と水の存在下で縮合する方法、例えば、メチルシロキサンジオールとメチルトリアセトキシシランの縮合などを挙げることができるが、いずれの方法によってもよい。
【0010】
また、有機基が架橋点を形成する方法の代表例としては、▲1▼ビニル基を含有するシロキサンに架橋剤としてシリリジン基を含有するシロキサンを混合し、白金化合物などの触媒下でヒドロシリル化する方法、例えば、ビニルメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンのヒドロキシル化など、▲2▼シロキサンやビニル基を含有するシロキサンを過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物と反応させて架橋を形成する方法、例えば、ジメチルシロキサンやビニルメチルシロキサンの過酸化ベンゾイルによる架橋などがある。これらの方法以外にも紫外線や放射線の照射により架橋硬化させる方法もあり、いずれの方法でもよい。尚、これらの全ての方法において原料は単量体に限らずプレポリマーやポリマーでもかまわない。
【0011】
本発明において、有機ケイ素化合物と架橋剤から架橋硬化体を得るには、取り扱い上、有機ケイ素化合物が有機溶剤に可溶であることが肝要となる。
また、前記硬化物の架橋の程度は、得られるシリコーン硬化物皮膜の特性を左右する因子の一つであり、この架橋の程度が少な過ぎるとシリコーン硬化物皮膜は柔らかく傷つき易くなり、また多過ぎると皮膜は硬くひび割れなどの欠陥を起こし易くなるので好ましい架橋の程度が存在する。この架橋の程度は、得られたシリコーン硬化物皮膜の硬度に反映されるために、本発明ではシリコーン硬化物皮膜の架橋程度を硬化物皮膜の鉛筆硬度で評価することとする。本発明においては、鉛筆硬度がB〜6Hであること好ましく、更には2H〜5Hが特に好ましい。
【0012】
本発明ではシリコーン硬化物皮膜の特徴を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂などとの変成や熱可塑性フッ素樹脂、シリカ粒子、シランカップリング剤、着色顔料、成膜補助剤、成分調整剤などを添加してもかまわない。樹脂変成やシランカップリング剤の添加は、硬化皮膜のひび割れ防止や樹脂製の成形型母材との密着性向上に有効である。
【0013】
本発明では、シリコーン硬化物皮膜の付設方法を特に限定する必要はないが、例えば、有機ケイ素化合物と架橋剤、有機溶剤を適量混合したものを、硬化する前にハケ塗り、スポンジ塗り、フェルト塗り、スプレー、ディップ、フローコートなどで型母材表面に塗布し架橋硬化させることができる。本発明で特に好ましい付設方法は、特別な設備が必要なくより安価で簡便に付設でき、かつ均一な皮膜が得られる点からスプレー法である。架橋硬化は20〜150℃で行うことが好ましい。より好ましくは、80〜120℃で30〜120分程度加熱することである。また、使用中に付設した皮膜が摩耗または他の理由により皮膜が剥がれなどして再付設の必要を生じた場合には、同様の手順で再付設することが可能である。上述のように本発明によるシリコーン硬化物皮膜は、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性フッ素樹脂と比べ、特別な処理や350℃以上の加熱なども必要なく、非常に簡便にかつ均一な皮膜を型母材に付設することができる。
【0014】
本発明では、シリコーン硬化物皮膜を、水の接触角が80゜以上、研磨紙AA−100番、荷重4.9Nで1000回転数相当の摩耗減量が15mg以下かつ押圧5.0kg/cm2 以下の成形耐久回数が3000回以上、に構成することが特に望ましい。即ち、成形に際して、成形体を所望する形態で損傷させる恐れなく離型し得るには、型母材の表面に形成させたシリコーン硬化物皮膜を水の接触角が80゜以上であるように形成させることが好ましく、特に好ましくは90゜以上である。
【0015】
また、本発明による成形型を繰り返し使用し、繰り返し使用した後にも充分満足し得る成形体の離型性及び該硬化物皮膜の形態保持性を得るには、前記摩耗減量が15mg以下であってかつ前記成形耐久回数が3000回以上であるように該硬化物皮膜を構成することが好ましい。
本発明におけるシリコーン硬化物皮膜の型母材表面への付設量は、特に制限されるものではないが、50〜500g/m2 に付与させることが望ましい。特に望ましくは100〜300g/m2 である。シリコーン硬化物皮膜が50g/m2未満の時は、実用上の前記成形耐久回数を欠く恐れがあり、また500g/m2超の付与量は、型母材表面の細かな意匠模様を埋める恐れがあるばかりか型費用を必要以上に高くする可能性がある。
【0016】
本発明に用いる成形型母材は、模様を転写することができる強度を有するものであれば材質、形状、大きさなどは特に限定されるものではなく、例えば、ゴムや樹脂、金属などを使用することができる。本発明においてより好ましく用い得る型母材は、ウレタンや鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどである。また、本発明の成形型による成形方法は、押圧成形である。
【0017】
本発明で用いる成形型は軽量気泡コンクリートパネル用型である。軽量気泡コンクリートには、必要に応じて、砂利などの骨材や鉄筋や金網、繊維などの補強材を埋設したり、金属粉末や界面活性剤などの気泡剤や減水剤などに代表される混和剤などを添加したものでも差し支えない。
【0018】
成形される軽量気泡コンクリートパネルは、屋根、床、壁、建築物外装等に使用される。軽量気泡コンクリートパネルは、一般に軽量気泡コンクリートに使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、珪石やセメント、生石灰、水を主原料として石膏や解砕屑、気泡剤などを使用することができるが、補強用鉄筋もしくは金網が埋設されているものが好ましい。また、長さや幅、厚さは特に限定されるものではなく、その硬さもハンドリングと模様付けが可能な範囲であればかまわないが、JISA5416に準拠した強度試験測定法において0.6〜5.0kg/cm の強度を有するものが特に好ましい。
【0019】
本発明は、模様付き軽量気泡コンクリートパネルを得る場合に好適である。本発明は模様を形成させる方法を特に限定するものではなく、例えば模様付き成形型に成形対象物を押しつけるなどの通常の方法によって差し支えない。模様付き成形体を得るには、成形対象物は、押しつけ圧力において可塑性を示すように設定すればよい。軽量気泡コンクリートパネルの場合は、オートクレーブ養生する前の半硬化状軽量気泡コンクリートパネルを成形対象物とする。この場合には、押しつけ時に半硬化状軽量気泡コンクリートパネルの欠損を防止するために模様付けする面以外の面にあて板などをあてがい半硬化状軽量気泡コンクリートパネルを拘束することが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の実施例においては、無機系成形体が軽量気泡コンクリートパネルである場合について説明する。尚、本発明における水の接触角、耐摩耗性、成形耐久回数は次のように測定した。
1.水の接触角
温度20℃、湿度65%の条件下で協和界面科学株式会社製の接触角計(DA−D)により測定した。
2.耐摩耗性
研磨紙AA−100番、荷重4.9Nの条件でスガ試験機株式会社製のスガ摩擦試験機(NUS−ISO−1)により下記試験回転数が100回転での摩耗減量を測定し、それを1000回転数相当の摩耗減量に次式を用いて換算した。
W=(A−B)×(1000/R)
ここで、W:1000回転数相当の摩耗減量(mg)
A:試験前の試験片の質量(mg)
B:試験後の試験片の質量(mg)
N:試験回転数
3.成形耐久回数
押圧5.0kg/cm2 以下で長さ100、幅100、厚さ50mmのモデル成形体を繰り返し成形した時に離型性が確保できなくなり、成形体に欠損を生じ始めるまでの成形回数とする。
【0021】
【実施例1】
型母材にはポリウレタンを用い、ポリアルキルシロキサンジオールとポリアルキルハイドロジェンシロキサンの混合物58重量部、シランカップリング剤36重量部、ジブチルスズジラウレート6重量部、これら有効成分100重量部に対して希釈材としてイソプロピルアルコール100重量部を混合したものを使用し、これを型母材表面にハケ塗りした後、すみやかに架橋硬化を完了させるため100℃で約120分加熱して付設した。付設された有効成分は100g/m2 であった。また、シリコーン硬化物皮膜の鉛筆硬度は3Hであった。
このように該シリコーン硬化物は、付設が簡便でかつ該シリコーン硬化物皮膜を付設した成形型は、水の接触角が110〜115゜であった。尚、付設しない成形型のそれは65゜であった。また、該シリコーン硬化物皮膜の1000回転数相当の摩耗減量は12.0mgであった。
【0022】
次に、珪石53重量部、生石灰7.5重量部、セメント37重量部、乾燥石膏2.5重量部、これら固形分100重量部に対して水68重量部、アルミ粉末0.06重量部を混合したモルタルスラリーを型枠に注入した後、養生してできた半硬化状の軽量気泡モルタルブロックをピアノ線で切断して長さ2000×幅610×厚さ50mmの半硬化状軽量気泡コンクリートパネルとし、これを該シリコーン硬化物皮膜を付設した成形型の上に置き、側面にあて板をあてがい拘束した状態で10mm押しつけた後離型し、オートクレーブ養生した。尚、押しつけ時のモルタル硬度はJISA5416に準拠した方法で測定すると1.5kg/cm2 であった。
本実施例における前記軽量気泡コンクリートパネルの離型性は良好で、得られた模様付き軽量気泡コンクリートパネルは、亀裂や欠け等の欠損は認められず、かつ模様が鮮明に転写されていた。別途モデル成形体による成形で、5000回押しつけ後も同様の離型性を保持していたことから5000回以上の成形耐久回数を有することが確認された。
【0023】
【実施例2】
実施例1と同じ模様の成形型母材表面にメチルシロキサンジオール47重量部とメチルトリアセトキシシラン47重量部、ジブチルスズジラウレート6重量部、これら有効成分100重量部、これら有効成分100重量部に対して、希釈材としてイソプロピルアルコール100重量部を混合したものを有効成分が約100g/m2 になるようにハケ塗りした後、すみやかに架橋硬化を完了させるため100℃で約30分加熱して付設し、実施例1と同様にして半硬化状軽量気泡コンクリートパネルに模様付けを行った。尚、ここで付設した該シリコーン硬化物皮膜の厚みは、実施例1とほぼ同じであった。また、シリコン硬化物皮膜の鉛筆硬度は2Hであった。
【0024】
本実施例による成形型は、水の接触角が90〜100゜であり、1000回転数相当の摩耗減量は14.5mgであった。
また、本実施例による成形型は、離型性が良好で得られた模様付き軽量気泡コンクリートパネルは、亀裂や欠け等の欠損はなく、かつ模様を鮮明に写しており、3500回以上の成形耐久回数を有することが確認された。
【0025】
【比較例1】
実施例1と同じ模様の成形型に鉱物油系の離型剤を塗布し、その他は実施例1と全く同様にして半硬化状軽量気泡コンクリートパネルに模様付けを行った。ここで、該鉱物油系の離型剤を塗布した成形型は、水の接触角が70〜80゜であった。
押しつけ後、該鉱物油系の離型剤を塗布した成形型は離型性が悪く、得られた模様付き軽量気泡コンクリートパネルは、パネル表面の模様が欠け、模様を鮮明に写しとることはできなかった。
【0026】
【比較例2】
実施例1と同じ模様の成形型母材表面にポリテトラフルオロエチレンを付設し、その他は実施例1と全く同様にして半硬化状軽量気泡コンクリートパネルに模様付けを行った。尚、ここで付設した該ポリテトラフルオロエチレン層の厚みは、実施例1とほぼ同じであった。
【0027】
該ポリテトラフルオロエチレンを付設した成形型は、水の接触角が100〜110゜であり、1000回転数相当の摩耗減量は16.4mgであった。ここで該ポリテトラフルオロエチレンは、実施例1と同等の離型性を有するものの、耐摩耗性が実施例1に型に比べて劣ることが確認された。
また、該ポリテトラフルオロエチレンを付設した成形型は、離型性が良好で得られた模様付き軽量気泡コンクリートパネルは、亀裂や欠け等の欠損はなく、かつ模様を鮮明に写していた。しかし、別途のモデル成形体において、2000回押しつけまではなんとか離型性を保持しているものの、半硬化状軽量気泡コンクリートパネルとの摩擦によって皮膜が摩耗し部分的に型母材が露出していることが確認された。従って、本比較例による型の成形耐久回数は、2000回未満であり、実用的な耐久性にも劣ることが確認された。
【0028】
【比較例3】
実施例1と同じ模様の成形型母材表面にポリテトラフルオロエチレン微粒子をトルエンに分散したものを塗布した以外、実施例1と全く同様にして半硬化状軽量気泡コンクリートパネルに模様付けを行った。
該ポリテトラフルオロエチレン微粒子を付設した成形型は、水の接触角が90〜100゜、耐摩耗性は布帛などで軽く拭くだけで樹脂層が離脱した。ここで、該ポリテトラフルオロエチレン微粒子は、優れた離型性を有するものの、耐摩耗性が著しく劣ることが確認された。
【0029】
押しつけ後、該ポリテトラフルオロエチレン微粒子を付設した成形型は、離型性が良好で得られた模様付き軽量気泡コンクリートパネルは、亀裂や欠け等の欠損はなく、かつ模様を鮮明に写していた。しかし、1回押しつけの離型性は優れているものの、2回目以降は離型性を確保できず押しつけ毎の塗布が必要であり、実用的な耐久性に著しく劣ることが確認された。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上において詳述した構成、作用を有するので、次のような顕著な効果を有する。
1.本発明によれば、所望する形態が正確に付与されかつ損傷の非常に少ない優れた無機系成形体を得ることができる。
2.本発明により得られる軽量気泡コンクリートパネルは、所望する型形態、特に模様が正確にかつ鮮明に転写されているので、美観性、意匠性に極めて優れる建材となせる。

Claims (3)

  1. 半硬化状軽量気泡コンクリートパネルを、型母材表面にシリコーン硬化物皮膜を付設した押圧成形型を用いて押圧成形した後、離型し、オートクレーブ養生することを特徴とする模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
  2. 前記型母材表面のシリコーン硬化物皮膜の鉛筆硬度がB〜6Hであることを特徴とする請求項1記載の模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法
  3. 前記型母材表面のシリコーン硬化物皮膜が、型母材表面に50〜500g/m 付設されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の模様付き軽量気泡コンクリートパネルの製造方法
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