JP4093748B2 - 巻線機器、巻線機器を用いた高電圧パルス発生回路、およびこの高電圧パルス発生回路を設けた放電励起ガスレーザ装置 - Google Patents

巻線機器、巻線機器を用いた高電圧パルス発生回路、およびこの高電圧パルス発生回路を設けた放電励起ガスレーザ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁心に巻線が巻かれ、絶縁性の冷煤中で使用されるトランス、リアクトル等の巻線機器に関し、さらに詳細には、このような巻線機器の電界緩和部材に関する。
本発明は、放電励起型レーザ装置、放電により化合物を分解したり、殺菌を行う装置等に用いられる高電圧パルス発生用の磁気パルス圧縮回路の可飽和リアクトルや昇圧トランス等に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
放電励起型レーザ装置、パルスコロナ放電を行いダイオキシン等の化合物を分解する装置、放電により食品等の殺菌を行う殺菌装置等においては放電セル(チェンバ)内に放電電極を設け、放電電極に高電圧パルスを印加して放電を発生させている。上記高電圧を発生させる回路として、一般に磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路と昇圧トランス回路を用いた高電圧パルス発生回路が知られている。
例えば、半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、解像力の向上が要請されている露光装置の露光用光源としては、上記した放電励起型レーザ装置である波長248nmのKrFエキシマレーザ装置、波長193nmのArFエキシマレーザ装置及び波長157nmのフッ素(F2 )レーザ装置が用いられる。
【0003】
このような露光用レーザ装置は、レーザ媒質であるレーザガスが充填されたレーザチェンバ内に設けた放電電極間において、短時間に放電を繰り返してレーザガスを励起しパルスレーザを発振する。放電を発生させるには、放電電極間に高電圧パルスを供給する必要があり、そのために高電圧パルス発生装置が設けられる。
放電励起型レーザ装置に設けられる高電圧パルス発生装置は、上記したように、通常、磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路と昇圧トランス回路を用いた高電圧パルス発生回路構成を有する。
【0004】
上記した露光用ガスレーザ装置において、上記したようにレーザチェンバ内で放電を発生させレーザガスを励起させるために設けられる高電圧パルス発生回路の例を図8に示す。
図8の高電圧パルス発生回路は、可飽和リアクトルからなる3個の磁気スイッチSR1、SR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路からなる。磁気スイッチSR1はIGBT等の半導体スイッチング素子である固体スイッチSWでのスイッチングロスの低減用のものであり、磁気アシストとも呼ばれる。
第1の磁気スイッチSR2と第2の磁気スイッチSR3により2段の磁気パルス圧縮回路を構成している。
ここで、図8(a)は磁気圧縮回路に加え昇圧トランスTr1を含む回路、図8(b)は昇圧トランスを含まず、昇圧トランスの代わりにコンデンサC0の充電用のリアクトルL1を含む例である。
【0005】
以下に、図8(a)にしたがって、回路の構成と動作を説明する。なお、図8(b)の回路は昇圧トランスにより昇圧される動作が無いだけで、他の動作は図8(a)と同様なので、説明を省略する。
まず、高電圧電源CHの電圧が所定の値Vinに調整され、主コンデンサC0が充電される。このとき、固体スイッチSWはオフになっている。主コンデンサC0の充電が完了し、固体スイッチSWがオンとなったとき、固体スイッチSW両端にかかる電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。
磁気スイッチSR1の両端にかかる主コンデンサC0の充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSR1の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR1が飽和して磁気スイッチが入り、主コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、固体スイッチSWのループに電流が流れる。同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC1に充電される。
この後、コンデンサC1における電圧V1の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和して磁気スイッチが入り、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電される。
さらにこの後、コンデンサC2における電圧V2の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和して磁気スイッチが入り、コンデンサC2、ピーキングコンデンサCp、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC2に蓄えられた電荷が移行してピーキングコンデンサCpが充電される。
【0006】
予備電離のためのコロナ放電は、第1電極101が挿入されている誘電体チューブ102と第2電極103とが接触している個所を基点として誘電体チューブ102の外周面に発生するが、ピーキングコンデンサCpの充電が進むにつれてその電圧Vpが上昇し、Vpが所定の電圧になるとコロナ予備電離部の誘電体チューブ102表面にコロナ放電が発生する。このコロナ放電によって誘電体チューブ102の表面に紫外線6が発生し、主放電電極E、E間のレーザ媒質であるレーザガス2が予備電離される。
ピーキングコンデンサCpの充電がさらに進むにつれて、ピーキングコンデンサCpの電圧Vpが上昇し、この電圧Vpがある値(ブレークダウン電圧)Vbに達すると、主放電電極E、E間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始し、この主放電によりレーザ媒質が励起され、レーザ光が発生する。
この後、主放電によりピーキングコンデンサCpの電圧が急速に低下し、やがて充電開始前の状態に戻る。
このような放電動作が固体スイッチSWのスイッチング動作によって繰り返し行なわれることにより、所定の繰り返し周波数でのパルスレーザ発振が行われる。
ここで、磁気スイッチSR2、SR3及びコンデンサC1、C2で構成される各段の容量移行型回路のインダクタンスを後段に行くにつれて小さくなるように設定することにより、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、主放電電極E、E間に短パルスの強い放電が実現される。
【0007】
磁気スイッチの構成例を図9に示す。図8に示した回路における磁気スイッチSR2,SR3のパルス幅を圧縮する性能(圧縮性能)は、磁気スイッチ飽和後のインダクタンスが小さいほど良くなることが知られている。この構成例では、コンデンサ、コアの巻線を複数並列に設けており、コンデンサの寄生インダクタンス、磁気スイッチのコイルのインダクタンスを小さくして、上記磁気スイッチ飽和後のインダクタンスを小さくしている。
図9が例えば、図8における磁気スイッチSR3を表している場合(SRnがSR3の場合)、コンデンサCn1 〜Cnn は、C21 〜C2n であり、C21 〜C2n を合成したものが図8(a)、図8(b)のC2である。このとき、コンデンサC21 〜C2n の一端はアース側に接続される。
他端の一方は、磁気スイッチSR1を所定回数巻き回されたC11 〜C1n (合成すると図8(a)、図8(b)のC1)の高圧側(CH側)に接続され、他端の他方はSR3を所定回数巻き回された後、ピーキングコンデンサCp1 〜Cpn (合成すると図8(a)、図8(b)のCp)の高圧側(CH側)に接続される。
ここで各磁気スイッチやコンデンサは、冷却のため絶縁性冷媒、例えば、絶縁オイルによって満たされた不図示のタンクの中に設置される。絶縁性冷媒は自然対流やファン等を用いた強制対流により、コア表面上を流れ、その際に熱交換を行う。
【0008】
図10(a)は、磁気スイッチを構成する可飽和リアクトルの、コア1に巻線2が巻かれた様子を示す斜視図である。コア1は磁性合金薄帯1bが巻芯1aに年輪状に巻回されたものであり、同図では、円環状に形成されたコアを示しているが、レーストラック状(長円形状)に形成される場合もある。
巻線2と巻線2の間、巻線2とコア1との間は絶縁しておく必要がある。また、高電圧が印可される可飽和リアクトルは、絶縁と冷却のため、上記したように絶縁オイル中に浸される。そのため、図10(b)に示すように芯線2aに親油性の良いクレープ紙2bが絶縁被覆として巻かれる。昇圧トランスTrも、コアに一次巻線および二次巻線が巻かれている点を除き同様な構造である。
図11は上記リアクトルの断面構造を概念的に示す図である。同図に示すように断面が略矩形状のコア1に巻かれた巻線2に電圧が印可されると、コア1の角部で電界集中が発生する。
この電界集中により、図11(b)に示すように該角部と巻線2の絶縁被覆との間でコロナ放電が発生する場合がある。コロナ放電が発生すると、絶縁被覆が徐々に損傷し、やがて短絡が生じる。
【0009】
上記コロナ放電を防止するため、コア1の角部と巻線2との間には、通常、電界緩和部材(以下ではコロナリングという)が設けられる。図12に、リアクトルのコア1に取りつけられる、従来のコロナリング3の取付け構造を断面図として示す。
コロナリング3の材質は、例えばステンレスであり、コア1の四隅の角部に、全周にわたって設けられる。断面形状は、図示したように、角の形状に合わせたL字形であるが、表面に鋭利な角があると電界が集中し、コロナ放電が発生するので、全体がなめらかな曲線になるよう構成し、電界を緩和する。
図12において、巻線2に電圧が印可された時、コア1の上面Aと下面A’の図中左右方向に電位差が生じる。すなわち、コア1は、表面にシリカ等の絶縁被覆が施された磁性合金薄帯を巻芯に年輪状に巻回したものであり、上記薄帯の巻径方向は、巻径方向に直交する面に比べ電気抵抗が大きい。このため、巻線2に電圧が印加されたとき、上記薄帯の巻径方向に平行なコアの上面Aと下面A’には巻径方向に電位差が生ずる。一方、上記巻き径方向に直交する左右の面Bは、略同電位に保たれる。
このため、コア1の上面Aと下面A’に、導電性のコロナリング3が直接接触すると、上記電位差によりコロナリングに電流が流れて、これにより磁束が打ち消されコア1の実効断面積が小さくなる。
そこで、コア1とコロナリング3との絶縁を取るために、コア1の上面Aと下面A’側には、コア1とコロナリング3との間にプレスボード4’を挟みこむ。プレスボードとは、親油性の紙を多層に重ねてプレスしたものであり、一般に、絶縁オイル中での絶縁材料として用いられる。厚さは、例えば0.75mmである。
さらに、コロナリング3の上に、コロナリング3を囲むように、厚いプレスボード4が設けられ、その上からクレープ紙を巻いた巻線2が巻かれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、リアクトルや昇圧トランス等の巻線機器は電力の損失にともないコアが発熱する。発熱量は、損失が大きいほど高い。コアの温度上昇は、巻線の巻き数、巻線に流れる電流(電圧)のパルス幅、繰り返し周波数に依存するが、一般に、これらの数値が大きくなるほど大きくなる。
例えば、上記した放電型ガスレーザ装置の昇圧回路における昇圧トランスや磁気パルス圧縮回路の磁気スイッチにおいては、前記したように、4kHz以上の高繰り返し化が要求されていること、小型化のために、昇圧トランスと複数の可飽和リアクトルを積み重ねるなど、狭い範囲に配置しなければならないこと、などの理由により、コアが高温になりやすい条件下で使用する。そのような場合、絶縁オイル中で冷却していても、使用中のコア角部の温度は定格値を越えてしまう場合がある。
図12に示した従来例の構造では、コア1とプレスボード4’とコロナリング3とが密着している。したがって、リアクトルが浸されている冷却冷媒(絶縁オイル)が、それらの間にとどかず、コア1の角部を十分に冷却することができない。特に、コア1は、表面にシリカ等の絶縁被覆が施された磁性合金薄帯を巻芯に年輪状に巻回したものであるため、上記薄板の巻径方向は熱伝導が悪い。
このため、プレスボード4’が上下面に設けられたコア部分は他の部分に比べ温度が上昇する。この加熱により、特にコロナリング3とコア1に挟まれたプレスボード4’の寿命が激減する。
また、コア1からの熱伝導により、コロナリング3が加熱され、コロナリング3を囲むプレスボード7も加熱される。したがって、コロナリング3の上に設けたプレスボード4も短寿命になる。
以上のように、高圧パルス発生回路において使用される従来のリアクトル、昇圧トランス等の巻線機器は、加熱によりプレスボードが劣化し短寿命化するといった問題があった。
【0011】
上記したような問題を解決するために、本発明の発明者らは、先に図13に示すようなコロナリング構造を提案した。
図13(a)は、コアとコロナリングとの関係を示す斜視図であり、同図では見やすいように、コアの半円部分のみを示しており、その他、巻線、コロナリングを囲むプレスボード(前記図12のプレスボード4)は省略されている。また、図13(b)は、コアの断面図を示している。
先に提案した例においては、図13に示すように、コロナリング3a〜3dをコア1の四隅に全周にわたって設け、該コロナリング3a〜3dの断面形状を円弧状にし、コア1の角部との接触を、コア1の角の頂部のみで線接触させる。
そして、図13(b)に示すように、コロナリング3a〜3dを囲うようにプレスボード4を設けて、その上に巻線2を巻き、全体を前記したように絶縁オイル中に浸す。
上記のように構成することにより、コロナリング3a〜3dは、コア1の角の頂部以外では接触せず、コア1とコロナリング3a〜3dとの間に、絶縁のためのプレスボード(前記図12に示したプレスボード4’)を設ける必要はない。したがって、前記したコア1とコロナリング3a〜3dとの間のプレスボード4の寿命の問題がなくなる。
また、図13(c)に示すように、コロナリング3a〜3dとコア1との間には、絶縁オイルが介在することになり、コア1の角部とコロナリング3a〜3dとを十分に冷却することができる。さらに、コア1とコロナリング3a〜3dとは線接触であるので、コア1の温度がコロナリング3a〜3dに伝わりにくい。
このため、コロナリング3a〜3dの加熱を防ぐことができ、コロナリング3a〜3dを囲って設けたプレスボード4a〜4dの温度を低くすることができ、プレスボードの長寿命化を図ることができる。
【0012】
先に提案したコロナリング部の構造によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)コアと電界緩和部材(コロナリング)を線接触としたり、コアと電界緩和部材(コロナリング)との間に間隙を設けることにより、コアと電界緩和部材(コロナリング)間のプレスボードを省略することができる。このため、コアと電界緩和部材(コロナリング)との間プレスボードを設ける必要がなくなり、該プレスボードの劣化による巻線機器の短寿命化を防止することができる。
(2)コアとコロナリングとの間に間隙を設けることにより、コアとコロナリングとの間に冷媒を介在させることができ、コロナリングの加熱を抑制できる。このため、コアを囲むプレスボードの熱伝導による加熱を抑制でき、コロナリング上に設けるプレスボードの短寿命化を防ぐことができる。
【0013】
上記したようにコアの温度上昇は、巻線の巻き数、巻線に流れる電流(電圧)のパルス幅、繰り返し周波数に依存するが、近年、高繰返し周波数条件下で巻線機器が使用されることが多くなってきた。
例えば、現状、露光用の放電励起型レーザ装置のレーザパルスの繰返し周波数は2kHz程度であるが、近年、スループットの増大、露光量のバラツキの減少のため、繰返し周波数4kHz以上が要請されている。
そのためコアの温度上昇も大きくなる傾向にある。よって、発明者等が提案したコロナリング部の構造においても、場合によっては、使用中のコア角部の温度は定格値を越えてしまう場合がある。また、発明者等が提案したコロナリングは、コアと線接触としたり、コアとの間に間隙を設ける形状であるため、コロナリングの加工コストが比較的高価となる。
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、例えば、放電励起型レーザ装置の繰返し周波数が4kHz以上といった高繰返し周波数条件下においても、コアの冷却が効率よく行えるようにし巻線機器を長寿命化するとともに、巻線機器を安価に構成することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を次のようにして解決する。
(1)磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、このロッドの両端部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻径方向に直交する面と接触して取り付けられる。
(2)磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、上記巻芯に面取り部を形成され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記巻芯の面取り部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている。
(3)磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、該巻芯の端部に段差部を構成するよう上記巻芯の内周部に筒状部材を設け、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記段差部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている。
上記(1)〜(3)の構成とすることにより、電界緩和部材がコアと接触することがなく、また前記図12に示したようにコアと電界緩和部材との間にプレスボードを設ける必要がないので、コアの上下面や角部を充分に冷却することができる。また、電界緩和部材として、断面円形状の環状物のものを使用することができるので、加工コストを低減化することができる。さらに、上記のように構成することにより、電界緩和部材を容易に取り付けることもでき、製造が容易となる。
(4)磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている。
(5)磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、上記巻芯に面取り部が形成され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記巻芯の面取り部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている。
(6)磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材を設ける。
上記上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、該巻芯の端部に段差部を構成するよう上記巻芯の内周部に筒状部材を設け、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記段差部に配置され、コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている。
上記(4)〜(6)のようにコアを所定距離だけ離間して配置することにより、絶縁性の冷媒とコアとが接する面積を増大することができ、コアの冷却効率を高くすることができる。
(7)磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路及び昇圧トランス回路を含む高電圧パルス発生回路において、上記磁気圧縮回路に設けられた可飽和リアクトルもしくは上記昇圧トランス回路の昇圧トランスとして、上記(1)(2)(3)(4)(5)もしくは(6)の構造を有する巻線機器を用いる。
(8)磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路及び昇圧トランス回路を含む高電圧パルス発生回路の出力端に接続され、レーザチェンバ内に配置された一対のレーザ放電電極と、上記電極と並列に接続されたピーキングコンデンサとを有する放電励起ガスレーザ装置において、上記磁気圧縮回路に設けられた可飽和リアクトルもしくは上記昇圧トランス回路の昇圧トランスとして、上記(1)(2)(3)(4)(5)もしくは(6)の構造を有する巻線機器を用いる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1、図2に本発明の第1の実施例の巻線機器の構成を示す。図1、図2に示した巻線機器は、前記したように、例えば、放電励起型レーザ装置における高電圧パルス発生回路の昇圧トランス、磁気スイッチ等に用いることができる。
図1(a)は本発明の巻線機器の断面図(図2(d)のB−B断面図)、図1(b)は図1(a)からプレスボード押さえ5、ねじ5a、プレスボード4、ナット8a、ロッド8を省略した上面図、図2(c)は図1(b)のA部の詳細図、図2(d)は上面図である。
本実施例においては、図1(a)、図1(b)に示すように、コロナリング3a〜3dをコア1の四隅に全周にわたって設け、該コロナリング3a〜3dの断面形状を円状にする。コア1の内輪側に設けられたコロナリング3c,3dは、コア1に接触しないように、芯材(巻芯)1aの面取り部分に設置される。
一方、コア1の外輪側に設けられたコロナリング3a,3bはコア1の側面に設けられた複数のボス6を貫通するロッド7により支えられる。
図2(c)に示すように、コロナリング3a,3bのロッド7と当接する部分には切り欠き部31が設けられ、ロッド7が該切り欠き部31に係合し、コロナリング3a,3bが支えられる。なお、コロナリング3a,3bは図1(a)に示すようにコア1の角の頂部近傍に位置するようロッド7により保持される。
そして、図1(a)に示すように、コロナリング3a〜3dを囲うようにプレスボード4が設けられる。前記したように、コア1は、表面にシリカ等の絶縁被覆が施された磁性合金薄帯を巻芯に年輪状に巻回したものであるため、上記薄板の巻径方向は熱伝導が悪く、図1(a)においてコア1の上下面の部分は他の部分に比べ温度が上昇する。
【0016】
よって、図2(d)に示すように、プレスボード4はコア1の上下面を覆って熱がこもらないようにするために、コア1の上下面部分と対向する位置に開口部41が設けられる。
プレスボード4は複数のプレスボード押さえ5により挟まれ、ねじ5aにより固定される。プレスボード押さえ5は、プレスボード押さえ5を貫通する雄ねじ状のロッド8、ナット8aにより固定される。そしてプレスボード4の上に巻線が巻かれ、全体が絶縁オイル中に浸される。
本実施例は上記構成としたので、コロナリング3a〜3dは、コア1とは接触せず、コア1とコロナリング3a〜3dとの間に、絶縁のためのプレスボード(前記図12に示したプレスボード4’)を設ける必要はない。したがって、前記図12におけるコア1とコロナリング3との間に設けたプレスボード4’の寿命が短くなるといった問題がなくなる。
また、図1(a)に示すように、コロナリング3a〜3dとコア1とは接触せず、特に温度上昇の激しいコア1の上下面方向にコロナリング3a〜3dが存在しないので、コア1の上下面を十分に冷却することができる。さらに、コア1とコロナリング3a〜3dとは非接触であるので、コア1の温度がコロナリング3a〜3dに伝わらない。
このため、コロナリング3a〜3dの加熱を防ぐことができ、コロナリング3a〜3dを囲って設けたプレスボード4の温度を低くすることができ、プレスボード4の長寿命化を図ることができる。
なお、図1(a)において、コア1の側面部(巻径方向に垂直な面)は、同電位であって、通常アースされるので、コア1の角部もしくはコア1の側面部とコロナリング3a〜3dとが接触していても絶縁のためのプレスボードを設ける必要はない。そのため、上記と同様、図12におけるプレスボード4’の寿命が短くなるといった問題がなくなる。
また、コア1の側面部 (巻径方向に垂直な面)は、コア1の上下面に比べ温度上昇が小さいので、コア1の角部もしくはコア1の側面部とコロナリング3a〜3dとが接触していても、コロナリング3a〜3dはほとんど加熱されず、上記と同様にプレスボード4の長超寿命化を図ることができる。
【0017】
また、上記実施例では、円環状のコアについて説明したが、図3に示すように、レーストラック形状のコアに本実施例を適用してもよい。
図3は、上記実施例をレーストラック形状のコアに適用した場合の上面図であり、前記図1(b)に相当し、プレスボード、巻線等は省略されている。
本実施例の構成は、コアの形状がレーストラック形状である点を除き、前記図1〜図2に示した実施例と同じであり、第1の実施例と同様、コロナリング3a〜3dの加熱を防ぐことができ、また、プレスボード4の長寿命化を図ることができる。
【0018】
上記した実施例では、内輪側の断面が円形状のコロナリング3c,3dを芯材の面取り部分に設置したが、以下のような設置構造でもよい。
図4(a)に示す例においては、コア1の内輪側に設置するコロナリング3c,3dに、芯材1aと嵌め合う直角の切り欠き部分を持った金属性の固定部材32を溶接する。固定部材32は、コロナリング3c,3dの円輪上に2〜3ヶ所設ける。
また、図4(b)に示す例においては、芯材1aの内側に筒状部材33を設ける。筒状部材の長さは、芯材の長さより短く、芯材1aの上下の角部近傍に段差部33aが形成されるようにする。筒状部材33と芯材1aとは不図示のねじ等で固定される。この段差部33aに断面円形状のコロナリング3c,3dを設置する。
上記構成であれば、コロナリング3c,3dを芯材1aの角部、もしくは、上記段差部33aに載置することで、容易にコロナリング3c,3dを設置することができる。
【0019】
上記した図1、図2、図3に示した実施例では、コア1の外輪側に設けられたコロナリング3a,3bに複数の切り欠き部31を設け、コア1の側面に設けられた複数のボス6を貫通するロッド7と切り欠き部31を当接させることにより保持しているが、図5に示す設置構造でもよい。
すなわち、図5(a)に示すように、コロナリング3a,3bにロッド34を複数設ける。そして図5(b)に示すように、ロッド34をコア1の側面に設けられたボス6の嵌合穴部に挿入し、止めねじ6a等で固定する。
【0020】
前記したように、露光に用いられているレーザ装置のレーザパルスの繰返し周波数は、4kHz以上が要請され始めているので、磁気スイッチや昇圧トランスとして使用される巻線機器のコアでの発熱量が増加する。
前記図10に示したように、コアは両面に絶縁物の薄膜(例:シリカ薄膜)が施された磁性合金薄帯を芯材に年輪状に巻き回したものであるので、発熱量によっては、磁性合金薄帯とシリカ薄膜との熱膨張係数の違いからシリカ薄膜にクラックが生じることがある。クラックが生じるとそこから漏れ電流が多くなり、さらに発熱し、最終的には回路素子としての特性を失うことになる。
そこで、高繰返し周波数に対応するため、巻線機器の構造としては、コアを薄板状に分割して、各薄板状コアがプレスボードやガラスエポキシ等の絶縁材料からなるスペーサによってそれぞれが一定距離だけ離間するように配置するものが採用されることが多い。このような構造をとることにより、コアの絶縁性冷媒と接する面積が増大してコアの冷却効率が高くなる。このため、発熱量が増大する4kHz以上の高繰返し周波数にも対処することが可能となる。
【0021】
次に、上記構成のコアに、本発明のコロナリングを適用した本発明の第2の実施例について説明する。ここでは、例として、本出願の発明者等が特願2001−231505号にて提案した巻線機器のコア構造に対して、本発明のコロナリングを適用したものを図6に示す。
なお、図6は、本実施例の巻線機器の断面図(図1(a)に相当)を示し、薄板状のコアを用いた点を除き、基本的な構成は前記図1と同様であり、本実施例の巻線機器を、上面から見た図、コロナリングの取り付け構造等は図1で説明したものと同様である。
図6に示した巻線機器の構造は、円環状の支え部材12を、薄板状に形成された各コア11a〜11d間に挿入することにより、各コア11a〜11dを所定距離だけ離間させて保持したものである。
支え部材12の外周の直径は、コア11a〜11dの芯材1aの外周の直径と略一致し、コア11a〜11dとは接触しない。支え部材12は金属製であり、例えば、ステンレス(SUS310)鋼よりなる。
【0022】
ここで、支え部材12はその外周より径が小さい円環状の突出部12aを上下面に有する。この支え部材12の上下面に設けた突出部12aにより各コア11a〜11dが略同軸状となるように位置決めされる。
設計条件によってコア11a〜11dの厚みは変わるが、例えば、厚みが10mm以下だとコア11a〜11dの自重によるたわみが生じる。このような場合、コア11a〜11dの自重によるたわみ等を防止するため、コア外輪側の側面にボス13を数ヶ所設けてこれらのボス13にロッド14を貫通させ、ボス13とロッド14を止めねじ13aで固定する。
各コアを所定距離離間させて保持するに当たり、前記したコアに対して放射線状に密着したスペーサではなく、芯材1aにのみ密着した支え部材12で各コア11a〜11dを保持するので、支え部材12とコア11a〜11dとが接触せしない。このため、コア表面における冷媒の流れが妨げられる部分が生じず、冷媒とコア表面との熱交換が阻害されることが無くなる。よって、4kHz以上の高繰返し周波数条件においても、コアの発熱による劣化といった問題を回避できる。
【0023】
本実施例では、図6に示した構造の巻線機器に、本発明を適用し、断面形状が円形状のコロナリング3a〜3dを薄板状のコア11aの上側、コア11dの下側の外輪側および内輪側に全周にわたって設ける。
コア11a,11dの内輪側に設けられたコロナリング3c,3dは、前記図1に示したものと同様、芯材1aの面取り部分に設置される。
一方、コア11a,11dの外輪側に設けられたコロナリング3a,3bは前記したようにコア11a〜11dの側面に設けられた複数のボス13を貫通するロッド14により支える。
コロナリング3a,3bの設置の仕方は前記図2(c)で説明したのと同様であり、図6に示すように、ロッド14と当接する部分に切り欠き部が設けられ、この切り欠き部に、上記ロッド14が係合する。なお、コロナリング3a,3bはコア11a,11dの角の頂部近傍に位置するようロッド14により保持される。
そして、コロナリング3a〜3dを囲うようにプレスボード4が設けられる。なお、プレスボード4はコア11a〜11dの上下面を覆って熱がこもらないようにするために、前記図2(d)に示したようにコア11a,11dの上下面部分と対向する位置に開口部が設けられる。プレスボード4は複数のプレスボード押さえ5により挟まれ、プレスボード押さえ5を貫通する雄ねじ状のロッド8とナット8aにより固定される。
そして、プレスボード4の上に巻線が巻かれ、全体が絶縁オイル中に浸される。
【0024】
上記構成とすることにより、コロナリング3a〜3dは、コア11a〜11dとは接触せず、コア11a〜11dとコロナリング3a〜3dとの間に、絶縁のためのプレスボード(前記図12に示したプレスボード4’)を設ける必要はなく、コアとコロナリングA〜Dとの間のプレスボードの寿命の問題がなくなる。
また、コロナリング3a〜3dとコア11a〜11dとは接触せず、特に温度上昇の激しいコアの上下面方向にコロナリング3a〜3dが存在しないので、コアの上下面や角部を十分に冷却することができる。さらに、コア11a〜11dとコロナリング3a〜3dとは非接触であるので、コア11a〜11dの温度がコロナリング3a〜3dに伝わらない。
このため、コロナリング3a〜3dの加熱を防ぐことができ、コロナリング3a〜3dを囲って設けたプレスボード4の温度を低くすることができ、プレスボードの長寿命化を図ることができる。
【0025】
次に上記薄板状のコアを用いた他の構成の巻線機器に本発明を適用した第3の実施例について説明する。
図7に示した巻線機器の構造は、支え部材12を円筒状に構成して、各コア11a〜11d間に挿入することにより、各コア11a〜11dを所定距離だけ離間させて保持するように構成したものである。
支え部材12の外周、内周の直径は、コア11a〜11dの芯材1aの外周、内周の直径と略一致し、コア11a〜11dとは接触しない。支え部材12は金属製であり、例えば、ステンレス(SUS310)鋼よりなる。
また、筒状部材15を新たに設ける。筒状部材15の外周の直径は、コア11a〜11dの芯材1a、支え部材12の内周の直径以下である。そして、筒状部材15にコア11a〜11d、支え部材12を、コア11d、支え部材12、コア11c、支え部材12、…、支え部材12、コア11aの順に嵌めこむことにより、各コア11a〜11dと各支え部材12が略同軸状となるように位置決めされるとともに、各コア同士が所定距離離間されて保持される。
図7の巻線機器の構造によれば、図6のように支え部材12に突出部12aを設けずともよいので、構造がシンプルで、製作コストも低減される。
【0026】
図7に示した構造の巻線機器に、本発明を適用し、断面形状が円状コロナリング3a〜3dを、薄板状のコア11aの上側、コア11dの下側の外輪側および内輪側に全周にわたって設ける。
ここで、筒状部材15の長さを、最上段のコア11aおよび最下段のコア11dの芯材1aと段差部15aが形成されるように、コア1a〜1dおよび支持部材12の合計長より短く設定する。筒状部材15は、最上段および最下段のコア11a,11dの芯材1aと不図示のねじで固定されている。この段差部15aに断面円形状のコロナリング3c,3dを設置する。
一方、コア11a,11d外輪側に設けられたコロナリング3a,3bはコアの側面に設けられた複数のボス13を貫通するロッド14により支えられる。
すなわち、図6に示したように、コロナリング3a,3bのロッド14と当接する部分には切り欠き部が設けられており、この切り欠き部に、上記ロッド14が係合する。なお、コロナリング3a,3bはコア11a,11dの角の頂部近傍に位置するようロッド14により保持される。
そして、コロナリング3a〜3dを囲うようにプレスボード4が設けられる。なお、プレスボード4はコア11a,11dの上下面を覆って熱がこもらないようにするために、前記図2(d)に示したように、コア11a,11dの上下面部分と対向する位置に開口部が設けられる。
プレスボード4は複数のプレスボード押さえ5により挟まれ、プレスボード押さえ5を貫通する雄ねじ状のロッド8とナット8aにより固定される。そしてプレスボード4の上に巻線が巻かれ、全体が絶縁オイル中に浸される。
【0027】
上記構成とすることにより、コロナリング3a〜3dは、コア11a、11dとは接触せず、コア11a、11dとコロナリング3a〜3dとの間に、絶縁のためのプレスボード(前記図12に示したプレスボード4’)を設ける必要はなく、コアとコロナリングとの間のプレスボードの寿命の問題がなくなる。
また、コロナリング3a〜3dとコア11a、11dとは接触せず、特に温度上昇の激しいコア11a、11dの上下面方向にコロナリング3a〜3dが存在しないので、コア11a〜11dの上下面や角部を十分に冷却することができる。
さらに、コア11a〜11dとコロナリング3a〜3dとは非接触であるので、コア11a〜11dの温度がコロナリング3a〜3dに伝わらない。このため、コロナリング3a〜3dの加熱を防ぐことができ、コロナリング3a〜3dを囲って設けたプレスボード4の温度を低くすることができ、プレスボードの長寿命化を図ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)断面円形状の環状物である電界緩和部材を、コアの内輪側に、巻芯もしくは巻芯の内周に取り付けられた支持部材により支持して取り付け、また、上記電界緩和部材を、磁心の外輪側に、コアの外周に取り付けられた支持部材によりコアと離間させて取り付けたので、電界緩和部材とコアが接触することがなく、コアの上下面や角部を充分に冷却することができる。
このため、繰り返し周波数が4kHz以上の高繰り返し周波数条件下でも、コアの冷却を充分に行うことができ、巻線機器の長寿命化を図ることができる。
また、電界緩和部材として、断面円形状の環状物を使用しているので、電界緩和部材を製造するための加工コストを低減化することができ、巻線機器を安価に構成することができる。
(2)コアと電界緩和部材が接触していないので、電界緩和部材の加熱を抑えることができる。このため、コアを囲むプレスボードの熱伝導による加熱を抑制でき、プレスボードの短寿命化を防ぐことができる。
(3)複数枚の薄板状のコアを所定距離離間して配置した巻線機器に、本発明を適用することにより、冷却効率を一層向上することができ、より高い繰り返し周波数で使用される巻線機器にも適用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の巻線機器の構成を示す図(1)である。
【図2】本発明の第1の実施例の巻線機器の構成を示す図(2)である。
【図3】本発明の第1の実施例をレーストラック形状のコアに適用した場合を示す図である。
【図4】内輪側のコロナリングの設置構造の他の例を示す図である。
【図5】外輪側のコロナリングの設置構造の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の巻線機器の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例の巻線機器の構成を示す図である。
【図8】露光用ガスレーザ装置においてレーザガスを励起するための高電圧パルス発生回路の例を示す図である。
【図9】磁気スイッチの構成例を示す図である。
【図10】磁気スイッチを構成する可飽和リアクトルにおいてコアに巻線が巻かれた様子を示す図である。
【図11】リアクトルの断面構造を概念的に示す図である。
【図12】リアクトルのコアに取りつけられる従来のコロナリングの取付け構造を示す図である。
【図13】先に提案した巻線機器のコロナリングの構造を示す図である。
【符号の説明】
1 コア
1a 芯材
3a〜3d コロナリング
4 プレスボード
5 プレスボード押さえ
6 ボス
7 ロッド
8 ロッド
11a〜11d コア
12 支え部材
13 ボス
14 ロッド
15 筒状部材
31 切り欠き部
32 固定部材
33 筒状部材
34 ロッド部
41 開口部

Claims (8)

  1. 磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、
    上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  2. 磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、
    上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、上記巻芯に面取り部が形成され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記巻芯の面取り部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  3. 磁性合金薄帯が巻芯に巻回されてなるコアと、このコアに巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器において、
    上記コアと巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、該巻芯の端部に段差部を構成するよう上記巻芯の内周部に筒状部材を設け、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記段差部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  4. 磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、
    上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  5. 磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、
    上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、上記巻芯に面取り部が形成され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記巻芯の面取り部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  6. 磁性合金薄帯が環状の巻芯に巻き回されたコアが複数個、所定距離だけ離間して配置され、この複数個のコアからなる組立体に巻線が巻かれ、絶縁性の冷媒中で使用される巻線機器であって、上記コアの巻芯間に支え部材を配置し、上記コアと上記支え部材が接触しないように上記複数個のコアを所定距離離間させるように支持した巻線機器において、
    上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記上記複数個のコアからなる組立体と巻線との間に、コアの角部で発生する電界集中を緩和する電界緩和部材が設けられ、
    上記電界緩和部材は断面円形状の環状物であり、上記コアの外側面にボスを設け、該ボスを貫通するロッドが設けられ、また、該巻芯の端部に段差部を構成するよう上記巻芯の内周部に筒状部材を設け、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材は、上記段差部に配置され、
    コアの外輪側に設けられた電界緩和部材は上記ロッドの両端部に配置され、
    コアの内輪側に設けられた電界緩和部材とコアの外輪側に設けられた電界緩和部材は、コアと離間してあるいはコアの角部もしくは巻線の巻径方向に直交する面と接触して取り付けられている
    ことを特徴とする巻線機器。
  7. 磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路及び昇圧トランス回路を含む高電圧パルス発生回路であって、
    上記磁気圧縮回路に設けられた可飽和リアクトルもしくは上記昇圧トランス回路の昇圧トランスとして、請求項1,2,3,4,5もしくは請求項6に記載の構造を有する巻線機器を用いた
    ことを特徴とする高電圧パルス発生回路。
  8. 磁気圧縮回路もしくは磁気圧縮回路及び昇圧トランス回路を含む高電圧パルス発生回路の出力端に接続され、レーザチェンバ内に配置された一対のレーザ放電電極と、
    上記電極と並列に接続されたピーキングコンデンサとを有する放電励起ガスレーザ装置において、
    上記磁気圧縮回路に設けられた可飽和リアクトルもしくは上記昇圧トランス回路の昇圧トランスとして、上記請求項1,2,3,4,5もしくは請求項6に記載の構造を有する巻線機器を用いた
    ことを特徴とする放電励起ガスレーザ装置。
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