JP4093700B2 - 酸化黒鉛の層間化合物およびそれを使用したリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化黒鉛と導電性高分子との層間化合物、その製造方法およびそれを正極材料として用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機層状化合物と導電性高分子との複合体が新たな導電性材料や電極材料として盛んに研究されている。なかでも、MoO3やV2O5キセロゲルとポリアニリンとの層間化合物などは、リチウム二次電池の正極材料として用いた場合、金属酸化物単独での場合よりも優れたサイクル特性を示すことが知られている。酸化黒鉛はリチウム電池の正極材料として研究されている炭素系の巨大分子で理論容量(700〜910Ah/kg)も大きいが、放電反応が可逆ではないため、従来は一次電池の正極材料としてのみしか使われていなかった。
【0003】
これは、酸化黒鉛中に溶媒和したリチウムイオンがインターカレーションしたときに生成するリチウムイオン−溶媒−酸化黒鉛からなる層間化合物が不安定で、炭素と酸化リチウムおよび水酸化リチウムに分解してしまうためである。このようにリチウムイオンのインターカレーション反応が可逆ではない原因としては、酸化黒鉛中にリチウムイオンがインターカレーションするときに層間距離が大きく増大すること、酸化黒鉛自身に導電性がないことである。これらの点を改良すれば高エネルギー密度でサイクル特性のよいリチウム二次電池の電極材料として期待される。
【0004】
そこで、本発明者らは、この酸化黒鉛が層面に酸性の水酸基をもつために、アルカリ水溶液中では各層が剥離してコロイド状溶液を生じるという性質を利用して、この溶液中でのアニリンのin-situ重合によってポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物を合成した(特開平11−263613号公報参照)。しかし、この層間化合物をリチウム二次電池の正極活物質として用いると、層間に導入したポリアニリンが電池用電解液などの有機溶媒に溶解するという欠点があった。これは、アルカリ水溶液中で合成したポリアニリンの重合度が低いためと考えられる。そのため、高分子量のポリアニリンを酸化黒鉛の層間に導入する必要があるが、ポリアニリンは水に不溶なため、水溶性高分子(PEO、PVA)との反応の場合と同様の酸化黒鉛コロイド水溶液中での直接反応は不可能である。
【0005】
本発明者らは、酸化黒鉛の層間に高分子量の導電性高分子を取り込んだ層間化合物の合成を中心に研究を重ねてきた。その結果、酸化黒鉛と界面活性剤の反応によって得られる界面活性剤−酸化黒鉛層間化合物を有機溶媒に分散し、その中へ導電性高分子を加えることにより酸化黒鉛の層間に導電性高分子を導入するという方法にたどりつき、本発明を完成した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酸化黒鉛の層間を広げかつ安定化させ、しかも導電性を有する高分子量の導電性高分子と反応させて得られる層間化合物を提供し、また、これを用いた新しいリチウム二次電池の正極材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化黒鉛の層間にアルキルアンモニウム塩を使用した界面活性剤が存在する前駆体と導電性高分子とのイオン交換反応によって酸化黒鉛の層間に導電性高分子を導入することを特徴とする層間化合物の製造方法にかかわる。
【0008】
【発明の実施の形態】
層間化合物
本発明の層間化合物は、酸化黒鉛の層間に導電性高分子が存在する層間化合物である。本発明の層間化合物は、導電性高分子が、たとえば、酸化黒鉛の層間に酸化黒鉛ユニットに対して2.5〜3.5モル存在する層間化合物であることができる。導電性高分子の存在量が少ないと、界面活性剤と完全にイオン交換反応が起こらず、酸化黒鉛の層間には、導電性高分子と界面活性剤が共存している形になる傾向があり、多いと層間以外に存在している導電性高分子が存在する傾向になる。ただし、酸化黒鉛の層間以外にもある程度の導電性高分子が存在しているほうが、電池特性はよくなる。
【0009】
酸化黒鉛の層間に導電性高分子が存在することによって酸化黒鉛の層間をひろげることができる。本発明の層間化合物の層間距離は、たとえば、酸化黒鉛単独の層間距離より0.3nm以上ひろがればよい。ポリアニリンを例にすると、ポリアニリンのベンゼン環が酸化黒鉛層と平行になって導入された場合のサイズが0.3nmである。そのベンゼン環が垂直になっていくにつれて、層間距離はひろがるし、また、置換基をつけることによって分子サイズが大きくなるので、層間がひろがる傾向がある。
【0010】
導電性高分子の少なくとも一部は、酸化黒鉛と化学的に結合することができる。導電性高分子が酸化黒鉛と結合することによって、ひろがった層間を均一にかつ安定に保持することができる。本発明の層間化合物は、導電性高分子のすべてが酸化黒鉛と反応し、酸化黒鉛のすべてが導電性高分子と反応したもの、未反応酸化黒鉛が存在するもの、または、未結合の導電性高分子が存在するものであることができるが、層間距離の均一性や安定性の面から、実質的に酸化黒鉛のすべてが導電性高分子と反応し、導電性高分子のすべてが酸化黒鉛と反応しているものが好ましい。
【0011】
層間化合物の製造
本発明の層間化合物は、酸化黒鉛の層間に界面活性剤が存在する前駆体に、導電性高分子を加えて、界面活性剤と導電性高分子にイオン交換反応させることによって、酸化黒鉛の層間に導電性高分子を取り込ませることによって製造することができる。たとえば、酸化黒鉛の層間に界面活性剤を取り込ませて反応させて層間をひろげた前駆体を有機溶媒中に分散させた分散液に導電性高分子を加えて攪拌することによって本発明の層間化合物を製造することができる。
【0012】
たとえば、前駆体を有機溶媒中に加えて超音波照射することによって、前駆体を有機溶媒中に分散させることができる。超音波照射は、よりはやく有機溶媒に分散させる手段で、通常は超音波を30分間照射する。有機溶媒としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、クロロホルムなどを用いることができる。有機溶媒の使用量は、特に限定されない。有機溶媒の使用量が少ないと、前駆体を完全に分散することができない傾向があり、多いと、あとの工程でろ過をする時間がかかることと、溶媒の無駄使いとなり、廃液量が増える。したがって、できるだけ有機溶媒を少なくして前駆体を分散させるほうがよい。
【0013】
前駆体を有機溶媒中に分散させた分散液に導電性高分子を加えて、たとえば、室温で24時間撹拌することによって界面活性剤と導電性高分子をイオン交換反応させることができる。界面活性剤と導電性高分子をイオン交換反応させることによって、酸化黒鉛の層間に導電性高分子を取り込ませることができる。
【0014】
導電性高分子は、たとえば、前駆体100重量部に対して100〜500重量部、好ましくは200〜300重量部を加えることができる。加える導電性高分子の量が少ないと界面活性剤と完全にイオン交換反応ができず、酸化黒鉛の層間に界面活性剤と導電性高分子が共存している傾向があり、多いと、層間以外にも導電性高分子が存在する。ただし、酸化黒鉛の層間以外にもある程度の導電性高分子が存在しているほうが、電池特性はよくなる傾向がある。導電性高分子を過剰に加えることによって、酸化黒鉛の層間以外にも導電性高分子が存在する層間化合物を得ることができる。
【0015】
導電性高分子としては、ポリアニリン類、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類などを用いることができる。導電性高分子としては、たとえば、ポリアニリン、ポリ(o−アニシジン)、ポリ(o−フェネチジン)、ポリ(2,6−ジメチルアニリン)、ポリピロール、ポリチオフェンなどを挙げることができる。とくに、ポリアニリンは安定性にすぐれ、安価であり、重量あたりの電気容量が大きく、さらに比較的安定に充放電が行なえる点で好ましい。
【0016】
導電性高分子は、有機溶媒に溶解して用いることができる。有機溶媒としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。
【0017】
前駆体
酸化黒鉛の層間に界面活性剤が存在する前駆体の界面活性剤の存在量は、たとえば、酸化黒鉛100gに対して、0.1〜0.8モル、好ましくは0.4〜0.8モルであることができる。界面活性剤の量が少ないと、導電性高分子とイオン交換する反応が少なくなって、層間に導電性高分子が取り込まれにくい傾向があり、多くすることによって、酸化黒鉛の層間に界面活性剤が飽和量導入されることにより、反応点が多くなり、導電性高分子が導入しやすくなる。
【0018】
前駆体の層間距離は、たとえば、1.2〜4.0nmであることができる。前駆体の層間距離が短いと、層間の隙間に導電性高分子が取り込まれにくくなり、ひろがっているほうが層間に導電性高分子を取り込みやすい。
【0019】
前駆体は、たとえば、酸化黒鉛をアルカリ水溶液に分散させたコロイド水溶液に界面活性剤水溶液を加えて攪拌することによって製造することができる。たとえば、酸化黒鉛をアルカリ水溶液中に加えて超音波照射することによって、酸化黒鉛をアルカリ水溶液中に分散させることができる。30分間超音波を照射することによって、酸化黒鉛層を剥離してコロイド溶液を短時間で得ることができる。
【0020】
アルカリ水溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水などの水溶液を用いることができる。アルカリ水溶液としては、たとえば、濃度が0.01〜4M、好ましくは0.1〜1Mのアルカリ水溶液を用いることができる。アルカリ水溶液の濃度が低いと酸化黒鉛の層面に存在する酸性の水酸基がアニオンにかわらず、層の剥離が起きにくい傾向があり、高いと酸化黒鉛が塩析する傾向がある。
【0021】
界面活性剤としては、たとえば、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルエチルアルキルアンモニウム塩、ジエチルメチルアルキルアンモニウム塩などを用いることができる。トリメチルアルキルアンモニウム塩としては、アルキル基の炭素数が12以上、好ましくは16〜18であるトリアルキルアンモニウム塩を挙げることができる。界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
酸化黒鉛
酸化黒鉛は、層状化合物であり、黒鉛を酸化することによって製造することができる。酸化黒鉛の製造方法としては、ブロディー(Brodie)法、スタウデンマイヤー(Staudenmaier)法、ハマーズ(Hummers)法などの化学法、電気化学的方法などがあるが、一般的に化学法を用いることができる。
【0023】
ブロディー法では、原料黒鉛を発煙硝酸中で塩素酸カリウムによって酸化することによって酸化黒鉛とする。スタウデンマイヤー法では、濃硫酸、濃硝酸中で塩素酸カリウムによって酸化することによって酸化黒鉛とする。ハマーズ法では、原料黒鉛を硝酸ナトリウムを含む濃硫酸中で過マンガン酸カリウムによって酸化することによって酸化黒鉛とする。電気化学的方法では、原料黒鉛を5%以下の希硝酸中で陽極酸化することによって酸化黒鉛とする。
【0024】
酸化黒鉛は、前記のどの方法で製造したものでもよいが、いずれの方法でも強力な酸化を行なうため、炭素構造は相当に破壊されるために、原料黒鉛としては結晶性の高い天然黒鉛が適している。通常は、低結晶性炭素材からは酸化黒鉛は得にくい。
【0025】
酸化黒鉛の層間距離は、乾燥状態によって0.6〜1.1nmの範囲で変化するが、製造後、空気中に放置しておくと通常0.8〜0.9nmである。官能基としては、カルボニル基、水酸基が存在し、水分も吸収される。組成はC8O2-X(OH)2X (0<X<2)で表わされる。
【0026】
リチウム二次電池
本発明の層間化合物を、正極材料(活物質)として用いることによって、容量が大きく、かつ、サイクル特性が良好なリチウム二次電池を得ることができる。本発明の層間化合物に適量の導電剤を加え、必要に応じて粉砕し、集電体上で成形することによって、正極材料として用いることができる。導電剤としては、たとえば、アセチレンブラック、カーボンブラックなどを用いることができる。導電剤に要求される特性として高い電気伝導度に加えて少ない添加量での効果が要求される。導電剤の使用量は、たとえば、実際に実験を行なうことによって適切な範囲を設定することができる。導電剤の使用量が少ないと、活物質全体の導電性が欠如し、充分な性能が引き出せない傾向があり、多いと導電剤分は電極の容量減少になるのでエネルギー密度が不十分となる傾向がある。
【0027】
電極(正極)は、たとえば、実験室レベルでは、活物質(本発明の層間化合物)と導電剤を乳鉢に入れて混練して集電体上に圧着することによって製造することができる。他に、活物質(本発明の層間化合物)、導電剤などを有機溶媒に溶解したものを混練りしてペースト状合剤として電極(正極)を製造する方法もある。集電体としては、たとえば、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅、白金などのメッシュなどを用いることができる。
【0028】
負極としては、たとえば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金などのリチウム合金などを用いることができる。参照極および対極に金属リチウムを用いて三電極セルとすることができる。
【0029】
電解液としては、電解質を非プロトン性の有機溶媒に溶解した電解液を用いることができる。電解質としては、リチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2などを用いることができる。非プロトン性の有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(BL)、スルホラン(SL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を単独でまたはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0030】
電解液については、電極と実質的に化学反応を起こしさえしなければ特に制限はない。電解液中の電解質濃度も特に制限はなく、使用する電解質の種類と溶媒の種類とを考慮して適宜設定することができる。ただし、通常は、0.001〜10Mの範囲が好ましく、0.01〜2Mの範囲がさらに好ましい。
【0031】
【実施例】
実施例1
(酸化黒鉛の合成)
酸化黒鉛はハマーズ(Hummers)法により合成した。ビーカーに天然黒鉛を10g、NaNO3を5g入れ、濃硫酸230mlを加えた。このときから撹拌および冷却を開始し、5分間後にKMnO4の添加を始め、1時間ほどかけて合計30gを加えた。ここで氷浴をはずし、室温で20時間以上放置した。硫酸溶液はしだいに粘度を増し、ほとんどペースト状になった。
【0032】
得られたペースト状物質を2リットルの水(70〜80℃)に移し、15分間放置したのち、未反応のKMnO4を還元して可溶性のMnSO4に変えるため、過酸化水素水を発泡しなくなるまで加えた。さらに反応溶液の温かいうちに吸引濾過を行ない、副生成物であるメリット酸の沈澱を防いだ。そののちメタノールを用いて濾液がpH6〜7になるまで洗浄し、乾燥して酸化黒鉛を得た。
【0033】
(導電性高分子(ポリアニリン)の合成)
アニリンモノマー20mlを300mlの1M−HCl中に溶解した。つぎに過硫酸アンモニウム103gを蒸留水に溶解した溶液を調製し、これを氷浴中で前記の溶液に1時間かけて滴下した。そののち、一晩溶液を撹拌し、反応を完全に終了させた。沈殿物を濾過後、蒸留水およびメタノールで洗浄することによりポリアニリン粉末を得た。
【0034】
(前駆体(界面活性剤−酸化黒鉛層間化合物)の合成)
0.1MのNaOH水溶液20mlに合成した酸化黒鉛200mgを加え、超音波を照射してコロイド溶液を調製した。コロイド溶液を1gのトリメチルステアリルアンモニウムクロリド(C18H17N(CH3)3Cl)を含む水溶液200mlへ加えるとすぐに沈殿が生じた。この溶液を10分間撹拌したのち、濾過および水洗を行ない、得られた粉末を乾燥することにより界面活性剤−酸化黒鉛層間化合物を得た。酸化黒鉛の層間に界面活性剤がインターカレーションして層間距離が0.8nmから3.4nmにひろがった。
【0035】
(ポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物の合成)
界面活性剤−酸化黒鉛層間化合物50mgをNMP20ml中で超音波を照射して分散させた。その分散液に、ポリアニリン50mgをNMP20ml中に溶解した溶液を加え、約6時間撹拌して反応させた。そののち、沈殿物を濾過してポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物を得た。得られた層間化合物のIR測定結果(チャート)を図2に示す。参考のために、ポリアニリン(PANI)の測定結果を示す。
【0036】
実施例2〜6
ポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物を合成するときに加えるポリアニリン量を75mg(実施例2)、100mg(実施例3)、125mg(実施例4)、150mg(実施例5)および25mg(実施例6)にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして層間化合物を合成した。得られた層間化合物のIR測定結果(チャート)を図2に示す。
【0037】
比較例1
実施例1において、ポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物の合成をせずに、酸化黒鉛単独のものを使用した。
【0038】
(電極性能評価)
実施例1〜5で得たポリアニリン−酸化黒鉛層間化合物または比較例1の酸化黒鉛と、導電剤のアセチレンブラックとを、重量比2:1で混合し、ニッケルメッシュで挟み込み、300kg/cm2でペレットに加圧したのち、室温で一晩以上真空乾燥したものを作用極とした。対極と参照極には金属リチウムを用い、電解液には、1M−LiClO4/EC+DEC(1:1)を用いた。測定は25℃、20mA/gの定電流で電位範囲2〜4Vにて20サイクル行なった。これらの操作はすべてアルゴン雰囲気のドライボックスで行なった。
【0039】
充放電サイクルの進行に伴なう放電容量の減少の程度により電極性能を評価した。結果を表1および図1に示す。図1中、○は実施例1、□は実施例2、◇は実施例3、△は実施例4、▽は実施例5、×は比較例1の放電容量を示す。この充放電反応において電解質アニオン(ClO4 -)の移動が確認されたことから、ポリアニリンも充放電反応に寄与していると考えられる。
【0040】
以上の結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5の層間化合物を正極材料として用いたリチウム二次電池は比較例の酸化黒鉛を用いたリチウム二次電池と比較して、充放電サイクルの進行に伴なう放電容量の低下が小さく、放電容量も増加している。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例7〜26
導電性高分子として、ポリ(o−アニシジン):PoAnis)(実施例7〜10)、ポリ(o−フェネチジン):PoPhene(実施例11〜14)、ポリ(2,6−ジメチルアニリン):PDMA(実施例15〜18)、ポリピロール:PPY(実施例19〜22)、ポリチオフェン:PTH(実施例23〜26)を用いて、前駆体50重量部に対する導電性高分子の仕込み量を、実施例7では50重量部、実施例8では75重量部、実施例9では100重量部、実施例10では25重量部、実施例11では50重量部、実施例12では75重量部、実施例13では100重量部、実施例14では25重量部、実施例15では50重量部、実施例16では75重量部、実施例17では100重量部、実施例18では25重量部、実施例19では50重量部、実施例20では75重量部、実施例21では100重量部、実施例22では25重量部、実施例23では50重量部、実施例24では75重量部、実施例25では100重量部、実施例26では25重量部としたほかは実施例1〜6と同様にした。
【0043】
得られた層間化合物のIR測定結果(チャート)を図3〜7に示す。参考のために、各導電性高分子の測定結果を示す。実施例9、11、16、22および24の電池性能評価の結果を表2に示す。これらの実施例では、5サイクル目以降に放電容量が安定した。
【0044】
IR測定結果により、NMPに溶解する導電性高分子を用いた実施例7〜14の層間化合物の場合は、前駆体と導電性高分子との重量比が50/50まで(実施例10(50/25)および実施例7(50/50)、実施例14(50/25)および実施例11(50/50))は、界面活性剤のC−Hによる吸収ピーク(2900cm-1)が観察されたが、それ以上の重量比(実施例8(50/75)および実施例9(50/100)、実施例12(50/75)および実施例13(50/100))では界面活性剤のピークが消失した。このことから、導電性高分子としてポリアニリンを用いた実施例1の場合と同様に、酸化黒鉛の層間から界面活性剤がはずれると同時に導電性高分子がインターカレーションして層間化合物が得られたと考えられる。
【0045】
一方、NMPに溶解しない導電性高分子を用いた実施例19〜22および実施例23〜26の層間化合物では、すべての重量比(実施例22および26(50/25)、実施例19および23(50/50)、実施例20および24(50/75)、実施例21および25(50/100)で界面活性剤のC−Hによる吸収ピークが観察されたことから、これらは酸化黒鉛の層間にインターカレーションされないことがわかった。従って、有機溶媒中でのイオン交換反応によって層間化合物を合成する場合、有機溶媒に対する導電性高分子の溶解性が重要であることがわかる。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
本発明の層間化合物は層間がひろく、かつ、構造が安定しているので、本発明の層間化合物を正極材料として用いることによって、放電容量が大きく充放電サイクル寿命の長いリチウム二次電池を得ることができる。
【0048】
本発明の層間化合物の製造方法によれば、酸化黒鉛の層間に導電性高分子が存在し、リチウム二次電池の正極材料として好適な層間化合物を製造することができる。
【0049】
本発明のリチウム二次電池は、酸化黒鉛の層間に導電性高分子が存在する層間化合物を正極材料として用いるので、放電容量が大きく充放電サイクル寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5の層間化合物および比較例1の酸化黒鉛を正極活物質として用いたリチウム二次電池のサイクル特性を示すグラフである。
【図2】 実施例1〜6の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
【図3】 実施例7〜10の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
【図4】 実施例11〜14の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
【図5】 実施例15〜18の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
【図6】 実施例19〜22の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
【図7】 実施例23〜26の層間化合物のIR測定結果を示すチャートである。
Claims (1)
- 有機溶媒中での酸化黒鉛の層間にアルキルアンモニウム塩を使用した界面活性剤が存在する前駆体と導電性高分子とのイオン交換反応によって酸化黒鉛の層間に導電性高分子を導入することを特徴とする層間化合物の製造方法。
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