JP4093562B2 - 中空成形機のパリソン曲げ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空成形機のパリソン曲げ装置に関し、詳しくは首曲がり容器を成形する中空成形機のパリソン曲げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、この種の中空成形機は、図9,図10に示すように押出機70、押出機70に取付けたクロスヘッド80、2つ割りの金型55、金型55を開閉する型締装置71、エア吹込ノズル72aを備えるエア吹込装置72、金型55及び型締装置71をクロスヘッド80の下方のパリソン受取位置(I)とエア吹込ノズル72aの下方のエア吹込位置(II)との間で移動させる型移動装置73、エア吹込装置72を支持するフレーム74、型移動装置73及びフレーム74を支持するベース75、電気制御機器(図示せず)等を有し、両金型55にパリソン曲げ装置を備えている。
【0003】
押出機70で溶融混練された樹脂は、クロスヘッド80に至り、筒状のパリソン81として下向きに垂下する。このパリソン81を型締装置71に取付けた2つ割りの金型55で後述するように挟み、図9に示すカッター77によつて金型55の上面側でパリソン81を切断し、所定長さのパリソン81を保持する金型55をクロスヘッド80の直下のパリソン受取位置(I)からエア吹込装置72の直下のエア吹込位置(II)へと型移動装置73によつて移動させる。型移動装置73は、図9に示すようにベース75上に支えられており、電動機73a、カップリング73b、軸受を収容するブラケット73c、ボールねじ73d、ボールナット73e及びボールナット73eと一体の移動台73fを有している。従つて、電動機73aによつてボールねじ73dを回転させると、ボールナット73eを有する型移動装置73の移動台73fに支えられた型締装置71及び金型55が移動する。
【0004】
次いで、エア吹込ノズル72aの先端を上方から金型55に挿入し、パリソン81内に圧縮エアを吹込み、パリソン81を膨らませて金型55のキャビティ50a(図5,図6に示す)にエアの圧力で圧着させ、目的形状の成形品に成形する。引続き、金型55の内部に流した冷却水によつて成形品を冷却して金型55から取り出す。
【0005】
このような一連の動作により、首曲がり容器の成形が行われている。首曲がり容器の成形に使用されている従来の金型を図5,図6に示す。金型55は、一対の金型本体50、金型本体50の突出部50bに固着する取付け板60、各金型本体50に備えられて対をなす口部金型51、口部金型用エアシリンダ52、金型本体50を固定する取付け板60にアーム軸54によつて揺動自在に取付けるアーム53、アーム53に往復スイングを与えるアーム用エアシリンダ56、掴み板57及びそのガイド58、掴み板57を往復駆動する掴み板用エアシリンダ59を有し、これらが図6上で左右対称となるように備えられている。アーム用エアシリンダ56は、図5に示すように基端部がピン62によつて取付け板60に揺動自在に支持され、先端部がアーム53にピン結合されている。51aは口部金型51のガイドである。
【0006】
このアーム軸54、アーム53、アーム用エアシリンダ56、掴み板57、ガイド58及び掴み板用エアシリンダ59により、取付け板60に装備するパリソン曲げ装置を構成している。従つて、パリソン曲げ装置の構成部材が金型本体50の背後に装備されている。
【0007】
首曲がり容器の従来の成形工程について、図7,図8を参照して説明する。
先ず、型開(1)の工程では、クロスヘッド80から垂下したパリソン81をパリソン受取位置(I)で2つ割りの金型55の間に受け入れる。このとき、口部金型51は口部金型用エアシリンダ52の突出作動によつて出、掴み板57は掴み板用エアシリンダ59の没入作動によつて入りとなつている。
【0008】
次に、パリソン81の掴み・曲げ(2)の工程に移行し、第1段型閉となり、口部金型51同士が接触して中心にパリソン81を保持する。この状態をパリソン掴み・曲げ(2)の工程の右半部に示す。そして、掴み板57は、上方から下がつたパリソン81の下部を掴み、アーム用エアシリンダ56の突出作動によつてアーム軸54を中心に金型55のキャビティ50a中心軸線の延長上までスイングする。この状態をパリソン掴み・曲げ(2)の工程の左半部に示す。また、型締装置71によつて金型55を十分に型閉(第2段型閉)し、また、クロスヘッド80と口部金型51との間で、パリソン81を切断する。
【0009】
引続きブロー成形(3)の工程が行われ、エア吹込装置の直下のエア吹込位置(II)へ型締装置71によつて締め付けた金型55を移動させる。そして、エア吹込ノズル72aが切断されたパリソン81の口部へ上方から挿入されて、パリソン81内へ圧縮エアを封入させてブロー成形が行われる。成形品の首部のバリは、エア吹込ノズル72aに圧着されて食切られ、また、成形品の底部のバリは2つ割りの金型55の刃によつて型閉(第2段型閉)時に食切られる。
【0010】
次に、図8に示す型開・成形品の取り出し(4)の工程に移行し、金型55の内部を流れる冷却水によつて冷却された成形品が、金型55が開いた後、エア吹込ノズル72aに支えられて機外へ取り出される。掴み板57は、アーム用エアシリンダ56の没入作動によつて適宜に当初位置に戻すと共に、掴み板用エアシリンダ59の没入作動によつて適宜に入りの状態に戻す。また、口部金型51は口部金型用エアシリンダ52の突出作動によつて出の状態に戻す。そして、金型55の動作は、型開(1)の工程に戻り、次の成形が行われる。
【0011】
しかしながら、このような従来の中空成形機のパリソン曲げ装置にあつては、次のような技術的課題を有している。すなわち、パリソン曲げ装置のスイングするアーム53及びアーム軸54が、金型本体50の上部背後の取付け板60に設けられているので、金型55がオーバーハングし、金型本体50の下部と取付け板60との間に大きな空間部が形成されている。このため、成形の際に金型55が閉じて両方の金型本体50で下バリを挟んだとき、金型55の下部に歪みが発生して金型本体50同士の間に隙間ができ、成形品の下バリを食い切ることができなかつたり、或いは食い切りが悪く、成形品にヒゲが出たりすることがあり、不良品ができる。これは、型締装置71によつて型締した際に下バリの反力によつて突き合わせた金型本体50同士の下部が開き、バリの食い切り部に金型本体50の下部に形成した刃が十分に食い込まないことに起因する。
【0012】
パリソン81を曲げる動作は、アーム用エアシリンダ56に圧縮エアを供給して突出作動させて行つている。そのため、エアの圧力のバラツキによつて、パリソン81を曲げる作動タイミングがバラツクことがある。このタイミングが遅いと、スイング途中のパリソン81を金型55で挟んだり、傷つけたりして不良品となる。逆に、タイミングが早いと、スイングさせて下端部を持ち上げたパリソン81が弛み、キャビティ501aに表面が触れて冷却され、ブローしたときに、その部分が伸びないので、レンズ状の傷ができて不良品となる。
【0013】
アーム53が金型55に対して固定されたアーム軸54の回りにスイングし、掴み板57が一定の軌跡を描く構造であり、金型55にパリソン曲げ装置が事実上組み込まれた状態にあるので、成形品サイズ毎に適正なパリソン曲げ装置を備える金型55を準備する必要がある。従つて、構造が複雑になり、設備費が嵩む。
【0014】
本発明は、上記した金型のオーバーハングに起因して、成形品の下バリの食い切りが悪く不良品ができる、といつた従来技術の課題を改善する中空成形機のパリソン曲げ装置を提供することを目的としている。また、本発明は、各々の金型にパリソン曲げ装置が組み込まれて構造が複雑になり、設備費が嵩む、といつた課題の解決も目的としている。更に、本発明は、パリソン曲げ装置のタイミングのズレにより、成形品の表面に傷ができて不良品となる、といつた課題の解決も目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構成は次の通りである。
請求項1に係る発明の構成は、押出機70のクロスヘッド80から垂下するパリソン81を型開状態の金型1に受入れ、パリソン81の上部を金型1に付属する口部金型3によつて保持すると共に、パリソン81の下端部をパリソン掴み装置10の一対の掴み部材12によつて掴みながら掴み装置をスイングさせて曲げ、パリソン81を金型1のキャビティ2aの空間に支えた状態で金型1を型締装置71によつて型閉し、金型(1)及び型締装置(71)を型移動装置(73)によつて移動させて、口部金型3によつて保持されたパリソン81の口部からエアーを吹き込み、首曲がり容器を成形する中空成形機のパリソン曲げ装置であつて、
金型1の下側に位置させて型移動装置73によつて移動する部材に取付ける一つの昇降装置30と一つの水平移動装置20とからなるスイング装置と、スイング装置と一体をなすパリソン掴み装置10とを有し、パリソン掴み装置10の一対の掴み部材12によつてパリソン81の下端部を掴みながらスイング装置によつてスイングさせてパリソン81を曲げ、パリソン81を金型1のキャビティ2aの空間に支えてブロー成形すると共に、各掴み部材12が、パリソン81の中心軸線と直交する方向に延びる軸線回りの回転を許容する軸受14を介して、パリソン掴み装置10に設けられることを特徴とする中空成形機のパリソン曲げ装置である。
請求項2の発明の構成は、スイング装置(20,30)が、型移動装置73によつて移動する部材に取付ける昇降装置30と、昇降装置30によつて昇降されながら、パリソン掴み装置10を水平移動させ得る水平移動装置20とを有することを特徴とする請求項1の中空成形機のパリソン曲げ装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、従来例と同一機能部分には同一符号を付してある。
中空成形機が、図9,図10に示すように押出機70、押出機70に取付けたクロスヘッド80、金型1を開閉する型締装置71、エア吹込ノズル72aを備えるエア吹込装置72、金型1及び型締装置71をクロスヘッド80の下方のパリソン受取位置Iとエア吹込ノズル72aの下方のエア吹込位置IIとの間で移動させる型移動装置73、エア吹込装置72を支持するフレーム74、型移動装置73及びフレーム74を支持するベース75、電気制御機器(図示せず)等によつて構成され、これらによつて図4(4)に示す成形品83を成形する一連の基本動作を行う点は、従来例と同様である。本発明では、パリソン曲げ装置の構成が相違し、従つて、金型1付近の構成が相違している。
【0017】
2つ割りの金型1は、図1,図2に示すように一対の金型本体2、金型本体2の上部に対向して備える口部金型3、各金型本体2の上部に設けられて各口部金型3を前後方向に往復駆動し、図1に示す口部金型3の出の状態と一対の口部金型3同士が密着して没入する入の状態とを与える駆動装置である口部金型用エアシリンダ4、及び各金型本体2を固定し、各金型本体2の背面を支持する取付け板6を備え、各金型本体2の背後にパリソン曲げ装置は装備されていない。パリソン曲げ装置は、金型1の下側に独立して設ける。このため、各金型本体2の少なくともキャビティ2a部分の背面は、取付け板6によつて全面的に支持されている。なお、各口部金型3は、各金型本体2に固設したガイド3aに案内されて移動する。
【0018】
パリソン曲げ装置は、パリソン掴み装置10と、水平移動装置20と、昇降装置30と、固定ブラケット39とを有し、固定ブラケット39に設けた一つの昇降装置30によつて一つの水平移動装置20を昇降駆動させると共に、水平移動装置20に取付けられて昇降駆動及び水平移動させられるパリソン掴み装置10によつてパリソン81の下端部を掴む。固定ブラケット39は、型移動装置73によつて移動する部材に固定する。
【0019】
パリソン掴み装置10は、図1に示すように駆動装置であるエアチャック等のパリソン掴み用エアシリンダ11と、一対のリング状の掴み部材12と、軸13及び軸受14とを有する。パリソン掴み用エアシリンダ11は、一対の複動式エアシリンダによつて構成され、図2に示すように水平移動装置20に取付けられて水平な左右方向(X方向)に移動すると共に、対向する軸13を前後方向に駆動する。各掴み部材12は、各軸13に軸受14を介して取付けられ、各軸13の軸線回りに自由に回転する。つまり、軸受14は、掴み部材12に、パリソン81の中心軸線と直交する方向に延びる軸13の軸線回りの回転を許容し、各掴み部材12が垂直面内で回転する。従つて、一対の掴み部材12は、それぞれパリソン掴み用エアシリンダ11によつて駆動されて、前後方向(図1上で左右方向、図2上で紙面に垂直方向)に開閉する。
【0020】
水平移動装置20は、図2に示されるように駆動源であるACサーボモータ等の電動機21、カップリング22、ハウジングに収容したスラストベアリング23、ボールねじ等のねじ25、レール26、ナットを備える噛合型等のガイド部材27、及びベース28を有する。ベース28は、サポート36を介して昇降装置30のガイド部材35に固設されて昇降する。
【0021】
電動機21は、ベース28の一端部に固設され、カップリング22を介してねじ25を正又は逆に回転駆動する。ねじ25は、スラストベアリング23を介してベース28に回転自在に支持されて左右方向に延在している。ガイド部材27は、ベース28に設けたレール26に噛み合い係合し、左右方向(X方向)に移動可能であると共に、そのナットがベース28に回転自在に支持したねじ25に螺合している。従つて、電動機21によつてねじ25を正又は逆に回転駆動することにより、ねじ25にナットが螺合するガイド部材27が、レール26に案内されながら、左右方向に正確に往復移動する。
【0022】
昇降装置30は、駆動方向を上下方向(Y方向)とするものの、水平移動装置20とほぼ同様の構成部品を有している。但し、配置の都合により、ねじ31とACサーボモータ等の電動機32との間の動力伝達をプーリ及びベルトからなる巻き掛け伝動装置33を介して行うようにしてある。すなわち、昇降装置30は、駆動源であるACサーボモータ等の電動機32、巻き掛け伝動装置33、ハウジングに収容したスラストベアリング34、ボールねじ等のねじ31、レール37、ナットを備える噛合型等のガイド部材35、及び型移動装置73の移動台73fに固定させた固定ブラケット39に取付けられて固定のベース38を有する。
【0023】
電動機32は、固定ブラケット39に固設され、巻き掛け伝動装置33を介してねじ31を正又は逆に回転駆動する。ねじ31は、スラストベアリング34を介してベース38に回転自在に支持されて上下方向に延在している。ガイド部材35は、ベース38に設けたレール37に噛み合い係合し、上下方向(Y方向)に移動可能であると共に、そのナットがねじ31に螺合している。
【0024】
従つて、電動機32によつてねじ31を正又は逆に回転駆動することにより、ねじ31にナットが螺合するガイド部材35が、レール37に案内されながら、上下方向(Y方向)に正確に往復移動する。
【0025】
水平移動装置20及び昇降装置30は、金型1の下側に位置して、パリソン81を一対の掴み部材12によつて掴んでスイングさせるスイング装置を構成する。スイング装置(20,30)は、掴み部材12によつてパリソン81の下端部を掴んだ後、パリソン掴み装置10及びパリソン81の下端部をスイングさせ、パリソン81を金型本体2の間のキャビティ2aの空間に位置させて支える。
【0026】
パリソン曲げ装置の作動を伴う首曲がり容器の成形工程について、図3,図4を参照して説明する。首曲がり容器の成形工程では、型開(1)の工程、パリソン掴み・曲げ(2)の工程、ブロー成形(3)の工程及び型開・成形品の取出(4)の工程が順次に実行される。
【0027】
先ず、型開(1)の工程では、金型1がクロスヘッド80の下方のパリソン受取位置(I)にある状態で、クロスヘッド80から垂下したパリソン81を型開状態の金型1の間に受け入れる。このとき、金型1に付属する一対の口部金型3は出となつている。また、水平移動装置20及びパリソン掴み装置10は、図1に示す金型1の大きさに応じた所定位置に昇降装置30の駆動によつて下降し、水平移動装置20は、パリソン掴み装置10の一対の掴み部材12を開として、パリソン81の直下に一対の掴み部材12を位置させている。従つて、昇降装置30は、単独で、図1,図2に実線で示す金型1の大きさに応じた初期設定位置に一対の掴み部材12を昇降移動させる初期設定機能と、一対の掴み部材12を図2に実線で示す金型1と干渉しない初期設定位置と仮想線で示す型閉状態の金型1と干渉しないスイング終了位置との間で昇降移動させる機能とを有している。
【0028】
この一対の掴み部材12が金型1の下方に位置する初期設定位置を採る状態から、パリソン掴み・曲げ(2)の工程に移行し、型締装置71による第1段型閉となり、一対の口部金型3は接触しながら圧力を受けて没入して中心にパリソン81を保持する。すなわち、予め、昇降装置30によつて水平移動装置20及びパリソン掴み装置10は初期設定位置に上昇し、一対の掴み部材12によつてパリソン81が掴める位置に停止しており、直ちに掴み部材12が閉じてパリソン81の下部を掴んでチャックする。この第1段型閉のとき、パリソン81は、一対の金型本体2の間に位置して干渉しない。勿論、パリソン掴み装置10も一対の金型本体2と干渉しない下方位置にある。この掴み部材12の位置は、図3(1)に示されている。
【0029】
掴み部材12によつてパリソン81を掴んだなら、昇降装置30によつて水平移動装置20を僅かに上昇させながら、水平移動装置20によつてパリソン掴み装置10をパリソン81の曲げ方向(図2で右方向)に移動させ、第1段型閉の状態の金型1のキャビティ2aの中心にまでパリソン81をスイングさせる。昇降装置30を僅かに上昇させながら、水平移動装置20をパリソン81の曲げ方向に移動させることにより、一対のリング状の掴み部材12がパリソン81の下部を掴んだ状態で、図2に示すスイングの軌跡Qに沿つてスイングする。従つて、昇降装置30と、昇降装置30によつて上昇させられながら、掴み部材12を水平移動させる水平移動装置20とにより、スイング装置(20,30)が構成される。
【0030】
すなわち、パリソン81は、その上端部が一対の口部金型3によつて保持され、下端部が掴み部材12によつて掴まれた状態で、図2上で右上方向に移動してスイングする。このとき、各掴み部材12は、各軸受14の機能により、パリソン81の中心軸線と直交する方向に延びる軸線回りの回転が許容されるので、パリソン81がねじれることなく、一対の掴み部材12が第1段型閉の状態の金型1の下端部側方に位置するように移動する。
【0031】
パリソン81が金型1のキャビティ2aの中心に位置するスイング終了位置にまでスイングしたなら、型締装置71によつて金型1を十分に型閉(第2段型閉)させ、また、クロスヘッド80と口部金型3との間でパリソン81を切断する。各金型本体2の背面は、取付け板6によつて全面的に支持されているので、金型1の型閉(第2段型閉)は一対の金型本体2が全面で均一に密着してなされる。一対の口部金型3も密着しながら入の状態になる。
【0032】
ブロー成形(3)の工程では、従来の成形工程と同様であり、金型1、型締装置71及びパリソン曲げ装置を型移動装置73によつて駆動し、クロスヘッド80の下方のパリソン受取位置(I)からエア吹込装置72の直下(エア吹込位置(II))へ型締装置71によつて締め付けた金型1を移動させる。
【0033】
この状態で、上方からエア吹込ノズル72aを切断されたパリソン81の上端の口部へ挿入させて、パリソン81内へ圧縮エアを封入させてブロー成形が行われる。成形品83の首部のバリは、エア吹込ノズル72aの口部金型3への圧着によつて食切られ、また、成形品83の底部のバリは2つ割りの金型1の刃によつて型閉(第2段型閉)時に食切られる。
【0034】
次に、型開・成形品の取出(4)の工程に移行する。この工程も従来の工程と同様であり、金型1の内部を流れる冷却水によつて冷却された成形品83が、金型1が開いた後、エア吹込ノズル72aに支えられて機外へ取り出される。そして、口部金型3は出となり、パリソン曲げ装置は初期設定位置に戻る。
【0035】
すなわち、昇降装置30は下降し、水平移動装置20は金型1の中心線上の位置(金型のキャビティ2aの首部の中心直下位置)に移動し、パリソン掴み装置10の掴み部材12は開となり、パリソン81の受入れを準備する。この状態から、次の成形に移り、次々に首曲がり容器からなる成形品83を成形する。
【0036】
金型1を異なる大きさ(高さ)のものと交換したときには、一対の掴み部材12に新たな初期設定位置を採らせる。このとき、昇降装置30によつて水平移動装置20及びパリソン掴み装置10を適宜に昇降させる。また、金型1のキャビティ2a(成形品サイズ)を変更し、スイングの軌跡Qを変更するときは、昇降装置30による水平移動装置20の上昇速度及び上昇終了位置、並びに水平移動装置20によるパリソン掴み装置10の水平移動速度及び水平移動終了位置を適宜に設定する。つまり、スイングの軌跡Qの変更は、スイング装置(20,30)の設定を適宜に変更してなされる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る中空成形機のパリソン曲げ装置によれば、次の効果が得られる。
請求項1に係る発明によれば、昇降装置と水平移動装置とからなるスイング装置を、金型の下側に位置させて型移動装置によつて移動する部材に取付けるので、金型の背後にパリソン曲げ装置の構成部材を配置する必要がなく、金型の背後全面を型締装置によつて均一に締め付けることができる。これにより、首曲がり容器からなる成形品の底部のバリの食い切りが良くなり、成形品の品質が向上する。
【0038】
また、パリソンの曲げ装置を金型から分離・離反させて独立に設け、昇降装置によつて掴み部材を昇降させるようにし、上昇させた掴み部材によつてパリソンの下端部を掴みながら、パリソン掴み装置をスイング装置によつてスイングさせてパリソンを曲げ、パリソンを金型のキャビティの空間に支える。従つて、各々の金型に曲げ装置を組み込む必要がなく、各種大きさの金型に対し、昇降装置によつて掴み部材の高さを調節すると共にスイング装置によつて掴み部材に適正な軌跡を与えて対応することが可能である。その結果、パリソンの曲げ装置を含む金型の構造を簡素にして、設備費及びメンテナンスを削減することができる。
【0039】
請求項1に係る発明によれば、各掴み部材が、各軸受に支持されてパリソンの中心軸線と直交する方向に延びる軸線回りに回転するので、パリソンにねじれを生じることなく、スイング移動する。その結果、品質良好な成形品を得ることが可能になる。
【0040】
請求項2に係る発明によれば、スイング装置が、昇降装置と、昇降装置によつて昇降されながら、パリソン掴み装置を水平移動させ得る水平移動装置とによつて構成されるので、下側に配置する水平移動装置により、パリソン掴み装置を備える昇降装置を水平移動させる場合と比較して、スイング装置の構造が簡素になる。
【0041】
加えて、水平移動装置及び昇降装置の両者に、電動機を駆動源とし、ねじとナットとが螺合する直線移動機構、及び噛み合い型のガイド及びレールからなる案内機構を採用することができるので、パリソンを曲げる動作を均一、かつ、スムースに行わすことができる。これにより、曲げる際にパリソンを金型で挟んだり、また、弛んでキャビティ面に触れて冷却ムラによる依る傷ができる等の不良が解消し、首曲がり容器からなる成形品の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態に係る中空成形機のパリソン曲げ装置を一部断面で示す正面図。
【図2】 同じく図1のII−II線矢視図。
【図3】 同じく工程の説明図であり、(1)は型開、(2)はパリソン掴み・曲げを示す。
【図4】 同じく工程の説明図であり、(3)はブロー成形、(4)は型開・成形品の取出を示す。
【図5】 従来の中空成形機のパリソン曲げ装置の半部を示す側面図。
【図6】 同じく一部断面で示す正面図。
【図7】 同じく工程の説明図であり、(1)は型開、(2)はパリソン掴み・曲げ、(3)はブロー成形を示す。
【図8】 同じく工程の説明図であり、(4)は、型開・成形品の取出を示す。
【図9】 同じく中空成形機を示す正面図。
【図10】 同じく中空成形機を示す側面図。
【符号の説明】
1:金型、2:金型本体、2a:キャビティ、3:口部金型、10:パリソン掴み装置、12:掴み部材、14:軸受、20:水平移動装置(スイング装置)、30:昇降装置(スイング装置)、70:押出機、71:型締装置、73:型移動装置、80:クロスヘッド、81:パリソン。
Claims (2)
- 押出機(70)のクロスヘッド(80)から垂下するパリソン(81)を型開状態の金型(1)に受入れ、パリソン(81)の上部を金型(1)に付属する口部金型(3)によつて保持すると共に、パリソン(81)の下端部をパリソン掴み装置(10)の一対の掴み部材(12)によつて掴みながら掴み装置をスイングさせて曲げ、パリソン(81)を金型(1)のキャビティ(2a)の空間に支えた状態で金型(1)を型締装置(71)によつて型閉し、金型(1)及び型締装置(71)を型移動装置(73)によつて移動させて、口部金型(3)によつて保持されたパリソン(81)の口部からエアーを吹き込み、首曲がり容器を成形する中空成形機のパリソン曲げ装置であつて、
金型(1)の下側に位置させて型移動装置(73)によつて移動する部材に取付ける一つの昇降装置(30)と一つの水平移動装置(20)とからなるスイング装置と、スイング装置と一体をなすパリソン掴み装置(10)とを有し、パリソン掴み装置(10)の一対の掴み部材(12)によつてパリソン(81)の下端部を掴みながらスイング装置によつてスイングさせてパリソン(81)を曲げ、パリソン(81)を金型(1)のキャビティ(2a)の空間に支えてブロー成形すると共に、各掴み部材(12)が、パリソン(81)の中心軸線と直交する方向に延びる軸線回りの回転を許容する軸受(14)を介して、パリソン掴み装置(10)に設けられることを特徴とする中空成形機のパリソン曲げ装置。 - スイング装置(20,30)が、型移動装置(73)によつて移動する部材に取付ける昇降装置(30)と、昇降装置(30)によつて昇降されながら、パリソン掴み装置(10)を水平移動させ得る水平移動装置(20)とを有することを特徴とする請求項1の中空成形機のパリソン曲げ装置。
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