JP4092986B2 - 光スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信ネットワークやその他の光信号処理において伝搬する光信号の進行ルートを空間的に切り換える光スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、光通信ネットワークの発展に伴い、光信号を伝搬するための光ファイバが広く使用されている。しかし、光ファイバにより光信号を伝送するためには、光ファイバ間で光信号の進行ルートを切り換える必要がある。
【0003】
このような切換えを行う一つの方法として、光信号を通常の光電変換用電子デバイスで電気信号に変換し、変換された電気信号に応じて異なる進行ルートに配設した光源を点滅させることにより光信号の進行ルートの切換を行うものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、情報データの伝送レートは上昇し続けているので、光ファイバにより伝送される光信号の広いデータ帯域を処理するのに通常の電子デバイスを用いることは益々困難になってきている。更に、光信号と電気信号の間で変換をする必要があるため、データフォーマットが制限されてしまうと共に装置が複雑且つ高価になるという問題があった。
【0005】
この発明は、簡単な構造で光信号を電気信号に変換することなく光信号のまま正確に安定して進行ルートを切り換えることが可能な光スイッチを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光スイッチは、入射光の互いに直交する偏光成分のうちの一方の第1偏光成分光を反射し、他方の第2偏光成分光を透過させる偏光分離手段と、前記偏光分離手段により反射された前記第1の偏光成分光の進行方向を前記第2偏光成分光と平行な方向に導く第1の導光手段と、前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光と、前記偏光分離手段により分離され、前記第1の導光手段により導かれた前記第1の偏光成分光が入射され、電界の印加に応じて液晶分子が基板に平行に配向した第1の配向状態と、液晶分子が基板に対して略直角に立ち上がり配向した第2の配向状態とに切り替え可能な液晶素子と、前記液晶素子への電界の印加と同時に印加される電界に応じて、前記第1の配向状態と前記第2の配向状態とに切り替えられ、前記液晶素子のリタデーションの温度依存性を補償する補償用液晶素子とからなり、それぞれ前記第1の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値と、それぞれ前記第2の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値との差が、透過光の波長の実質的に1/2の奇数倍の値に設定された液晶装置と、前記液晶装置の光出射側に配置され、前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光を、前記第1の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光の進行方向と交差する方向に導く第2の導光手段と、前記第1の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光と、第2の偏光成分光の前記液晶装置を透過して前記第2の導光手段により導かれた光とが入力され、前記2つの光を同一の光路に出射させる偏光合成手段と、からなり、入射光を前記液晶装置に印加される電界に応じてそれぞれ異なる方向へ出射することを特徴とするものである。
【0007】
この光スイッチにおいては、液晶装置の配向状態が入力信号に応じて透過光の旋光量が温度に拘わらず互いに90°だけ異なる第1の液晶配向状態と第2の液晶配向状態に切り換えられ、この液晶装置に光スイッチの入射光が互いに偏光面の方向が直交するS波とP波の偏光成分光に分離されて入射し、液晶装置を透過する際に、各偏光成分光が温度に拘わらず第1と第2の各液晶配向状態に応じて一定量だけ旋光され、この後、液晶装置を出射した各偏光成分光は合成されて出射光となり所定方向に出射される。従って、本光スイッチによれば、温度に拘わらず常に安定して光信号を電気信号に変換することなく光信号のままその進行ルートを切り換えることができる。その結果、広いデータ帯域の光信号の進行ルートを光信号のままロスなく安定して正確に切り換えることができる安価な光スイッチを提供することが可能となる。
【0008】
上述の光スイッチにおいて、前記液晶装置の前記液晶素子と前記補償用液晶素子は、それぞれ液晶分子を基板に平行に配向させた2個のホモジニアス型液晶素子であって、且つそれぞれの液晶分子の配向方向が互いに直交する配置で設置してなり、前記液晶素子と前記補償用液晶素子はそれぞれ、印加電圧に応じて液晶の配向状態を液晶分子が基板に平行に配向した第1の配向状態と液晶分子が立ち上がり配向した第2の配向状態との間で切り換えることにより、前記液晶装置を透過する光の偏光面を互いにほぼ90゜異ならせた光を出射するようにするのが好ましい。
【0009】
その場合、液晶装置を、前記第1偏光成分光の光路中に配置された第1液晶装置と、前記第2偏光成分光の光路中に配設された第2液晶装置とで構成するのがよい。
【0010】
また、液晶装置を第1液晶装置と第2液晶装置とで構成した場合、前記偏光分離手段と前記偏光合成手段を、互いに直交する方向に反射軸と透過軸とを有して入射光のうちの偏光面が前記反射軸に沿った偏光成分光を反射し偏光面が前記透過軸に沿った偏光成分光を透過させる1個の反射偏光板とし、この反射偏光板を前記第1液晶装置と前記第2液晶装置間を通して斜めに配置しても良く、これにより、構成部材数が減って構造がより簡素化される。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1(a)、図1(b)は、この発明の第1実施形態例としての光スイッチの構成を示す模式的構成図であり、それぞれ、光の進行方向を変えずに出射させる状態と光の進行方向を90°変化させて出射させる状態を示している。
【0012】
この実施形態例の光スイッチは、2個の第1液晶素子1,3と、2個の温度補償用の第2液晶素子2,4からなる液晶装置LAを用い、その入射光Riが入射する光入射側に偏光分離手段としての第1ビームスプリッタ5と第1の導光手段としての第1反射鏡6を配置し、出射光Roを出射させる光出射側に偏光合成手段としての第2ビームスプリッタ7と第2の導光手段としての第2反射鏡8を配置した構成となっている。なお、本例における入射光Riは、波長が1620nmのレーザー光である。
【0013】
本例の液晶装置LAは、第1液晶素子1と第2液晶素子2をそれぞれの入、出射面を平行に並列配置してなる第1の液晶装置LA1と、第1液晶素子3と第2液晶素子4をそれぞれの入、出射面を平行に並列配置してなる第2の液晶装置LA2とで、構成してある。また、異なる液晶装置同士の第1液晶素子1と第1液晶素子3及び第2液晶素子2と第2液晶素子4も、それらの各入、出射面が互いに平行となるように配置してある。本例の4個の液晶素子1乃至4は、それぞれ、電極が形成された一対の電極基板1a,1b、2a,2b、3a,3b及び4a,4b間に液晶分子を各電極基板に対して平行に配向させて挟持したホモジニアス型液晶素子である。
【0014】
第1の液晶装置LA1においては、ホモジニアス型の第1、第2液晶素子1、2を、それぞれの液晶分子の配向方向が互いに直交するように配置してある。即ち、図2の透過光の偏光方向と各液晶素子における液晶分子の配向方向との関係を示す説明図にも示されているように、第1液晶素子1の一対の電極基板1a,1b近傍の液晶分子の各配向方向つまりそれぞれの電極上に被着してある各配向膜(不図示)に施したラビング等の各配向処理方向d1、d1と、第2液晶素子2の一対の電極基板2a,2bにおけるそれぞれの同配向処理方向d2、d2とを、直交させてある。
【0015】
そして、第2の液晶装置LA2においても、同様に、ホモジニアス型の第1、第2液晶素子3、4を、それぞれの液晶分子の配向方向が互いに直交するように、各液晶素子3、4に施した各配向処理方向d3、d4を直交させて、配置してある。なお、本例の第1の液晶装置LA1と第2の液晶装置LA2における対応する液晶素子1、3及び2、4同士の各配向処理d1とd3及びd2とd4は、互いに直交させてあるが、互いに平行させてもよい。
【0016】
上述のように構成された液晶素子LAの各液晶素子1〜4においては、液晶を介して対向する一対の電極基板1a,1b、2a,2b、3a,3b及び4a,4bに入力信号に応じて電圧が印加され、図1(a)に示すように電圧が印加されず(オフ時)液晶分子mLが電極基板に平行に配向した第1の液晶配向状態と、図1(b)に示すように電圧が印加されて(オン時)液晶分子が電極基板に対してほぼ垂直な姿勢に立ち上がり配向した第2の液晶配向状態とが、切り換えられる。ここで、上記第1の液晶配向状態においては、第1及び第2の液晶装置LA1、LA2に入射する各直線偏光は、それぞれ、第1液晶素子1から第2液晶素子2及び第1液晶素子3から第2液晶素子4を透過する間に、各液晶装置LA1、LA2による複屈折作用を受け、各液晶素子の温度に拘わらず、常に透過光の波長λの1/2の位相差が付与される。この理由は、以下の通りである。
【0017】
即ち、第1及び第2の各液晶装置LA1、LA2における各第1液晶素子1、3は、図3の各液晶素子のリタデーション値Re(Δnd)の温度依存性図に示されるように、実線の曲線αで示されるリタデーションの温度依存性を示す。一方、温度補償用としての各第2液晶素子2、4は、破線の曲線βで示されるリタデーションの温度依存性を示す。ここで、第1の液晶装置LA1は上述したようにホモジニアス型液晶素子である第1液晶素子1と第2液晶素子2を互いに液晶分子の配向が直交するように配置してなるから、第1の液晶配向状態(オフ状態)にある第1の液晶装置LA1を透過する光に付与される位相差つまり第1の液晶装置LA1全体を通してのリタデーション値Reは、各液晶素子1、2の個々のリタデーションの差となる。この各液晶素子1、2の個々のリタデーションの差は、図3において二点鎖線γで示すように、−10℃〜80℃の温度範囲において約810nmで略一定である。この温度に拘わらず一定なリタデーションの差は、レーザー光である透過光の波長λ=1620nmの1/2となっている。
【0018】
第2の液晶装置LA2についても、上述とまったく同じ理論が成立し,第1の液晶配向状態(オフ状態)における全体を通してのリタデーション値Reは、−10℃〜80℃の温度範囲において約810nmで略一定である。
【0019】
以上のようにして、各液晶装置LA1、LA2を透過する各レーザー光は、各液晶装置の複屈折作用を受けて波長λの1/2の位相差が付与されるから、それぞれの偏光面が各液晶素子の温度に拘わらず常に90°だけ回転されて出射される。第1の液晶装置LA1の光入射側には、偏光分離手段としての第1ビームスプリッタ5を対向配置してある。この第1ビームスプリッタ5はその偏光分離面5aを第1液晶素子1の光入射面に対し45°に傾斜させて設置してある。
【0020】
上述の第1ビームスプリッタ5は、入射光を偏光分離面5aにおいて互いに偏光面が直交する一対の偏光成分光(S波とP波)に分離し、それらを互いに直角方向に出射させるものである。本例では、第1ビームスプリッタ5に入射する入射光Riを、図中|で示す紙面に対して平行方向の偏光面を有する第1偏光成分光R1と、図中●で示す紙面に対して直角方向の偏光面を有する第2偏光成分光R2とに分離し、第2偏光成分光R2を第1液晶素子1の光入射面に平行な方向へ反射させ、第1偏光成分光R1を第1液晶素子1の光入射面に直角に入射する方向に透過させる。
【0021】
第2の液晶装置LA2の光入射側には、第1の導光手段としての第1反射鏡6を、第1液晶素子3の光入射面に対し45°に傾斜させた姿勢で、前記第1ビームスプリッタ5から出射される第2偏光成分光R2を反射させて第1液晶素子3に対し直角に入射させることが可能な位置に配置してある。
【0022】
一方、液晶装置LAの光出射側においては、第2の液晶装置LA2の第2液晶素子4に対向する位置には偏光合成手段としての第2ビームスプリッタ7を、第1の液晶装置LA1の第2液晶素子2に対向する位置には第2の導光手段としての第2反射鏡8を、それぞれ配置してある。ここで、第2ビームスプリッタ7は、その偏光分離面7aを対向する第2液晶素子4の光出射面に対し45°に傾斜させた配置で設置してあり、第2反射鏡8はその反射面を対向する第2液晶素子2の光出射面に対し45°に傾斜させた配置で設置してある。
【0023】
第2反射鏡8は、第2液晶素子2を透過してくる第1偏光成分光R1を第2ビームスプリッタ7に向けて反射させるものである。本例では、第2液晶素子2の光出射面に直角に出射する第1偏光成分光R1を直角方向に反射させて第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aに45°の入射角で入射させる。
【0024】
第2ビームスプリッタ7は、前述した第1ビームスプリッタ5と同じ部材で同じ機能を備えたものであり、第2液晶素子4から出射する第2偏光成分光R2と第2反射鏡8により反射された第1偏光成分光R1とが直交する位置に、偏光分離面7aを第1、第2偏光成分光R1、R2の各進行方向に対し45°に交差させて配置してある。
【0025】
これにより、この第2ビームスプリッタ7における偏光分離面7aに対し、第2液晶素子4に対向する側(以下、表側という)から入射する第2偏光成分光R2とその裏側から入射する第1偏光成分光R1とが合成され、出射光Roとして所定方向に出射される。
【0026】
次に、本実施形態例の光スイッチの動作について説明する。
まず、図1(a)に示す4個の液晶素子1〜4全てに電圧が印加されていないオフ時においては、各液晶素子1〜4の液晶分子mLが、それぞれの電極基板に平行に配向している。即ち、各液晶装置LA1、LA2は、入射する偏光成分光の偏光面を90°回転させることが可能な第1の液晶配向状態をとっている。
【0027】
このような状態下で、本光スイッチに対する入射光Riが第1ビームスプリッタ5に入射すると、そのうちの偏光面の振動方向が偏光分離面5aに沿った第2偏光成分光R2(図中●印で示す)は入射方向に対して直角方向に反射され、偏光面の振動方向が偏光分離面5aに交差する第1偏光成分光R1(|印で示す)は入射方向に沿って同方向にそのまま第1ビームスプリッタ5を透過する。
【0028】
第1ビームスプリッタ5の偏光分離面5aで反射された第2偏光成分光R2は、第1反射鏡6に45°の入射角で入射して直角に反射され第1液晶素子3の入射面に対し直角に入射する。この過程において、第2偏光成分光R2の偏光面の振動方向は変わらず、紙面直角方向のままである。従って、第2偏光成分光R2は、その偏光面の振動方向が図2に示すように第1液晶素子3の液晶分子配向方向d3に対して45°に交差する方向となった状態でオフ状態の第1液晶素子3に入射する。
【0029】
上述の偏光状態で第1液晶素子3に入射した第2偏光成分光R2は、共にオフ状態で互いに液晶分子の配向方向が直交するように配置された第1液晶素子3と第2液晶素子4を透過する間に、この第2偏光成分光R2の波長の1/2相当分の位相差が付与されるために偏光面が90°回転される。従って、第2偏光成分光R2は、その偏光面の振動方向が紙面平行方向となった状態に旋光されて、第2液晶素子4の光出射面からその直角方向に出射される。第2液晶素子4を出射した第2偏光成分光R2は、第2ビームスプリッタ7に直角に入射し、その偏光分離面7aに対し表側から45°の入射角で入射する。
【0030】
一方、第1ビームスプリッタ5の偏光分離面5aを透過した第1偏光成分光R1は、オフ状態の第1液晶素子1の入射面に対し直角に入射する。この第1偏光成分光R1も、オフ状態の第1の液晶装置La1を透過する間に、第2偏光成分光R2と同様に偏光面を90°回転される。
【0031】
即ち、偏光面の振動方向が紙面平行方向の第1偏光成分光R1は、図2に示すように、その偏光面の振動方向が第1液晶素子1の液晶分子配向方向d1に対して45°に交差する方向となった状態でオフ状態の第1液晶素子1に入射する。そして、共にオフ状態で互いに液晶分子の配向方向が直交するように配置された第1液晶素子1と第2液晶素子2を透過する間に、この第1偏光成分光R1の波長の1/2相当分の位相差が付与されるために偏光面が90°回転される。従って、第2液晶素子2を出射する第1偏光成分光R1の偏光面の振動方向は、紙面垂直方向となっている。
【0032】
第2液晶素子2からその光出射面に対し直角方向に出射した第1偏光成分光R1は、第2反射鏡8により直角に反射され、第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aにその裏側から偏光面が紙面に直角な状態のまま45°の入射角で入射する。
【0033】
第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aに対してその表裏両側から入射した第1、第2偏光成分光R1、R2は、同方向に重畳して出射されるために合成され、偏光分離される前の入射光Riと同じ構成の出射光Roとなって入射光Riの入射方向に沿った同方向に出射される。即ち、第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aにその一方の表側から入射する第2偏光成分光R2は、偏光面の振動方向が偏光分離面7aに対して交差する方向であるからそのまま透過して入射方向と同方向に出射し、偏光分離面7aの裏側から入射した第1偏光成分光R1は、偏光面の振動方向が偏光分離面7aに沿った方向であるから直角方向に反射されて第2偏光成分光R2と同方向に出射され、出射光Roに合成される。
【0034】
次に、本光スイッチに光の進行方向を切り換える旨の信号が入力されると、4個の液晶素子1〜4全てに電圧が印加され(オン時)、各液晶素子1〜4の液晶分子mLが図1(b)に示すようにそれぞれの電極基板1a〜4bに対して略直角方向に立ち上がった状態に配向する。即ち、液晶装置LAは、入射光の偏光面を回転させずにそのまま出射させる第2の液晶配向状態となる。
【0035】
このような状態下では、液晶装置LAに入射する第1、第2偏光成分光R1、R2は、偏光面が回転されることなくそのまま液晶装置LAを透過し出射する。すなわち、上述のオフ時と同様に第1ビームスプリッタ5の偏光分離面5aで反射され第1反射鏡6で反射されて第1液晶素子3に入射する偏光面の振動方向が紙面直角方向に沿った第2偏光成分光R2は、偏光面の振動方向が同じ方向のまま第1液晶素子3と第2液晶素子4の各液晶層を透過して出射し、第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aに表側から入射する。また、第1ビームスプリッタ5の偏光分離面5aを透過した第1偏光成分光R1も、偏光面の振動方向が同じ方向のまま、第1液晶素子1と第2液晶素子2の各液晶層を透過して出射し、第2反射鏡8で直角に反射されて第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aに裏側から入射する。
【0036】
そして、第2ビームスプリッタ7の偏光分離面7aに表側から入射した第2偏光成分光R2は、偏光面の振動方向が偏光分離面7aに平行であるために、直角に反射される。一方、偏光分離面7aに裏側から入射した第1偏光成分光R1は、偏光面の振動方向がその偏光分離面7aに交差するために透過し、入射方向と同方向、つまり第2偏光成分光R2の出射方向と同方向に重畳して出射される。このため、第2偏光成分光R2と第1偏光成分光R1とが合成され、偏光分離される前の入射光Riと同じ構成の出射光Roとなって入射光Riに対して直角方向に出射される。
【0037】
以上のように、本実施形態例の光スイッチは、液晶装置LAを構成する各液晶素子1〜4に印加する電圧を入力信号に応じて一律に切り換えるだけの簡単な操作で、光信号を電気信号に変換することなく光信号のままその進行方向を90°異なる方向に切り換えることができる。そして、この光スイッチ効果は、旋光手段としての液晶装置を複数の液晶素子で構成し、それら液晶素子を個々のリタデーションの温度依存性が互いに補償し合うように組み合わせてあるから、温度に拘わらず安定的に奏される。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態例について、図4(a)と図4(b)の模式的構成図に基づき説明する。図4(a)と図4(b)は、それぞれ、光の進行方向を変えずに出射させる状態と光の進行方向を90°変化させて出射させる状態を示している。なお、上述の第1実施形態例と同一の構成要素は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
本例の光スイッチは、旋光手段としての液晶装置LAを2個の第1液晶素子10と第2液晶素子11とで構成し、偏光分離手段及び偏光合成手段として第1、第2反射偏光板12、14を用いたものである。
【0040】
第1液晶素子10と第2液晶素子11は、共に液晶分子mLをそれぞれの基板10a,10b及び11a,11bに平行な所定方向に配向させたホモジニアス型液晶素子であり、それぞれの液晶分子配向方向が互いに直交する配置で並列に配置してある。そして、第1液晶素子10と第2液晶素子11のそれぞれのリタデーションの温度依存性を、前述の実施形態例と同様に、液晶装置LAが温度に拘わらず一定のリタデーションが得られるように互いに補償し合う構成としてある。即ち、本例の第1液晶素子10と第2液晶素子11からなる液晶装置LAは、前述した第1実施形態例における第1液晶素子1と第2液晶素子2からなる第1の液晶装置LA1或いは第1液晶素子3と第2液晶素子4からなる第2の液晶装置LA2と同一の構成である。液晶装置LAの光入射側には、偏光分離手段としての第1反射偏光板12と第1の導光手段としての第1反射鏡13を、第1液晶素子10の光入射面の所定の領域に対向させるとともに、その光入射面に対し45°に傾斜させた姿勢で互いに平行に配置してある。
【0041】
第1反射偏光板12は、光学軸として互いに直交する方向に反射軸12aと透過軸12bとを有するものであり、それら光学軸12a、12bを第1液晶素子10の液晶分子の配向方向d1に対して45°で交差させた配置で、設置してある。
【0042】
液晶装置LAを介してその光出射側には、前記第1反射鏡13に対向する位置に偏光合成手段としての第2反射偏光板14を、前記第1反射偏光板12に対向する位置には第2の導光手段としての第2反射鏡15を、それぞれ配設してある。これら第2反射偏光板14と第2反射鏡15は、第2液晶素子11の光入射面に対し共に45°に傾斜させた姿勢で互いに平行に配置してある。
【0043】
ここで、第2反射偏光板14は、第2液晶素子11から出射する第2偏光成分光R2と第2液晶素子11から出射し第2反射鏡15により反射された第1偏光成分光R1とが直交する位置に、それぞれの偏光成分光R1、R2の各進行方向に対し45°で交差する姿勢で配置してある。これにより、この第2反射偏光板14の第2液晶素子11に対向する面(以下、表面という)に入射する第2偏光成分光R2とその裏面に入射する第1偏光成分光R1とが合成され、出射光Roとして所定方向に出射される。
【0044】
以上のように構成された本例の光スイッチによる場合も、前述した第1実施形態例と同様に、図4(a)に示す第1、第2液晶素子10、11に電圧が印加されていないオフ時においては入射光Riと同方向に出射光Roが出射され、図4(b)に示す第1、第2液晶素子10、11に電圧が印加されたオン時においては、出射光Roの出射方向が入射光Riに沿った方向に対して直角の方向に切り換えられる。そして、この光スイッチ効果は、第1、第2液晶素子10、11の温度に拘わらず、常に安定して奏される。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態例等に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲において種々の変形が可能であることは勿論である。
【0046】
例えば、図4に示した実施形態の変形例として、第1反射偏光板と第2反射偏光板を、図6に示すように部品として1個にまとめることも可能である。この変形例においては、図1に示す第1実施形態例と同様に液晶装置LAを第1の液晶装置LA1と第2の液晶装置LA2に分け、これらの間に1個の反射偏光部材16を各液晶素子1〜4の入、出射面に対し45°に傾斜させた配置で設けてある。これにより、反射偏光部材16の第1液晶素子1の入射面に対向する部分が第1反射偏光板12と同じ機能を果たす第1反射偏光部となり、反射偏光部材16の第2液晶素子4の出射面に対向する部分が第2反射偏光板14と同じ機能を果たす第2反射偏光部となる。
【0047】
上述のように構成された本変形例の光スイッチによれば、部品数が少なくなって構造がより簡素化されるとともに、第1乃至第2実施形態例と同様に温度に拘わらず常に安定して所望の光スイッチ効果が奏される。
【0048】
また、図7に示すように、液晶装置LAに対する入射光Riの入射方向を、第1液晶素子1の入射面に対して平行とし、偏光分離手段としての第1ビームスプリッタ5と偏光合成手段としての第2ビームスプリッタ7を第1液晶装置LA1を介して対向配置してもよい。この場合、液晶装置LAのオフ時には、出射光Roが入射光Riに対して直角方向に出射され、オン時には出射光Roが入射光Riに対して逆方向に出射される。このように、本発明によれば、入射光に対する出射光の相対方向が異なる種々の光スイッチを実現することができる。
【0049】
更に、複数の液晶素子からなる液晶装置の透過光に付与する位相差は、透過光の波長の1/2に限らず、透過光の波長の1/2の奇数倍であればよい。
【0050】
また更に、本発明の液晶装置を構成する液晶素子としては、ホモジニアス型液晶素子に限らず、ツイストネマチック型液晶素子等の他の種々の液晶素子を用いることが可能である。この場合、透過光に温度に拘わらず波長の1/2の奇数倍相当分の位相差が付与されるように、液晶装置を構成する複数の液晶素子におけるそれぞれのリタデーションの温度依存性や配向処理方向の配置を設定すればよい。
【0051】
更にまた、液晶装置の第1の液晶配向状態と第2の液晶配向状態における入射光の偏光面の各回転量は、上述の実施形態例等では90°と0°に設定してあるが、これに限らず、180°と90度或いは−45度と45°等、互いに90°だけ異なる種々の組合せが可能である。
【0052】
また更に、複数の液晶素子を組み合わせるだけで液晶装置のリタデーションを温度に拘わらず一定にすることが困難な場合は、一つの液晶素子に印加する電圧を液晶装置のリタデーションが一定になるように温度に応じて調整するようにしても良い。
【0053】
加えて、第1と第2の導光手段は、それぞれ、1個の反射鏡に限らず、複数の反射鏡を組み合わせて構成してもよい。
【0054】
【発明の効果】
この発明の光スイッチは、入射光の互いに直交する偏光成分のうちの一方の第1偏光成分光を反射し、他方の第2偏光成分光を透過させる偏光分離手段と、前記偏光分離手段により反射された前記第1の偏光成分光の進行方向を前記第2偏光成分光と平行な方向に導く第1の導光手段と、前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光と、前記偏光分離手段により分離され、前記第1の導光手段により導かれた前記第1の偏光成分光が入射され、電界の印加に応じて液晶分子が基板に平行に配向した第1の配向状態と、液晶分子が基板に対して略直角に立ち上がり配向した第2の配向状態とに切り替え可能な液晶素子と、前記液晶素子への電界の印加と同時に印加される電界に応じて、前記第1の配向状態と前記第2の配向状態とに切り替えられ、前記液晶素子のリタデーションの温度依存性を補償する補償用液晶素子とからなり、それぞれ前記第1の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値と、それぞれ前記第2の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値との差が、透過光の波長の実質的に1/2の奇数倍の値に設定された液晶装置と、前記液晶装置の光出射側に配置され、前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光を、前記第1の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光の進行方向と交差する方向に導く第2の導光手段と、前記第1の偏光成分光の前記電気光手段を透過した光と、第2の偏光成分光の前記電気光手段を透過して前記第2の導光板により導かれた光とが入力され、前記2つの光を同一の光路に出射させる偏光合成手段とからなり、入射光を互いに偏光方向が直交するS波とP波の偏光成分光に分離して液晶装置に入射させ、液晶装置を透過させる際に、その旋光作用により各偏光成分光を温度に拘わらず一定量旋光させ、この後、液晶装置を出射した各偏光成分光を合成するものであり、液晶装置に入力される信号に応じて透過光の旋光量が互いに90°だけ異なる第1の液晶配向状態と第2の液晶配向状態に切り換えるものであるから、温度に拘わらず常に安定して光信号を電気信号に変換することなく光信号のままその進行ルートを切り換えることができる。その結果、広いデータ帯域の光信号の進行ルートを光のロス無く安定して正確に切り換えることができる安価な光スイッチを提供することが可能となる。
【0055】
この光スイッチにおいては、前記液晶装置を構成する前記液晶素子と前記補償用液晶素子はそれぞれ、液晶分子が基板に対して平行に配向したホモジニアス型液晶素子を各液晶素子の液晶分子の配向方向が互いに直交する配置で設置して構成することが好ましく、これにより、温度に拘わらず安定的に光信号を光信号のままその進行方向を切り換えることができる光スイッチを簡素に構成することができる。
【0056】
そして、複数のホモジニアス型液晶素子からなる液晶装置を、分離された各偏光成分光の光路中にそれぞれ配置するのがよく、これにより、温度変化に対しより安定して光のロスの少ない鋭敏な光スイッチ効果を得ることができる。
【0057】
また、上述のように液晶装置を2個の液晶装置で構成した場合、1個の反射偏光板を偏光分離手段と偏光合成手段を兼用する部材とし、この反射偏光板を2個の液晶装置の間を通して斜めに配置してもよく、これにより、構成部材数が少なくなり、本発明の光スイッチの構造がより簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態例としての光スイッチを示す模式的構成図で、(a)はその光スイッチがオフされた状態を示し、(b)はオンされた状態を示す。
【図2】上記第1実施形態例における透過光の偏光面の方向と液晶分子の配向方向との関係を示す説明図。
【図3】上記第1実施形態における液晶素子のリタデーション値の温度依存性を示すグラフ図。
【図4】この発明の第2実施形態例としての光スイッチを示す模式的構成図で、(a)はその光スイッチがオフされた状態を示し、(b)はオンされた状態を示す。
【図5】上記第2実施形態例におけるおける透過光の偏光面の方向と液晶分子の配向方向との関係を示す説明図。
【図6】この発明の上記実施形態例の変形例を示す模式的構成図。
【図7】この発明の上記実施形態例の他の変形例を示す模式的構成図。
【符号の説明】
1,3,10…第1液晶素子
2,4,11…第2液晶素子
LA …液晶装置
LA1…第1の液晶装置
LA2…第2の液晶装置
5…第1ビームスプリッタ
6,13…第1反射鏡
7…第2ビームスプリッタ
8,15…第2反射鏡
12…第1反射偏光板
14…第2反射偏光板
16…反射偏光部材

Claims (4)

  1. 入射光の互いに直交する偏光成分のうちの一方の第1偏光成分光を反射し、他方の第2偏光成分光を透過させる偏光分離手段と、
    前記偏光分離手段により反射された前記第1の偏光成分光の進行方向を前記第2偏光成分光と平行な方向に導く第1の導光手段と、
    前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光と、前記偏光分離手段により分離され、前記第1の導光手段により導かれた前記第1の偏光成分光が入射され、電界の印加に応じて液晶分子が基板に平行に配向した第1の配向状態と、液晶分子が基板に対して略直角に立ち上がり配向した第2の配向状態とに切り替え可能な液晶素子と、前記液晶素子への電界の印加と同時に印加される電界に応じて、前記第1の配向状態と前記第2の配向状態とに切り替えられ、前記液晶素子のリタデーションの温度依存性を補償する補償用液晶素子とからなり、それぞれ前記第1の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値と、それぞれ前記第2の配向状態の前記液晶素子と前記補償用液晶素子を透過した光のリタデーションの値との差が、透過光の波長の実質的に1/2の奇数倍の値に設定された液晶装置と、
    前記液晶装置の光出射側に配置され、前記偏光分離手段により分離された第2の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光を、前記第1の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光の進行方向と交差する方向に導く第2の導光手段と、
    前記第1の偏光成分光の前記液晶装置を透過した光と、第2の偏光成分光の前記液晶装置を透過して前記第2の導光手段により導かれた光とが入力され、前記2つの光を同一の光路に出射させる偏光合成手段と、
    からなり、入射光を前記液晶装置に印加される電界に応じてそれぞれ異なる方向へ出射することを特徴とする光スイッチ。
  2. 前記液晶装置の前記液晶素子と前記補償用液晶素子は、それぞれ液晶分子を基板に平行に配向させた2個のホモジニアス型液晶素子であって、且つそれぞれの液晶分子の配向方向が互いに直交する配置で設置してなり、前記液晶素子と前記補償用液晶素子はそれぞれ、印加電圧に応じて液晶分子が基板に平行に配向した第1の配向状態と液晶分子が基板に対して略直角に立ち上がり配向した第2の配向状態との間で切り換えることにより、前記液晶装置を透過する光の偏光面を互いに略90゜異ならせた光を出射することを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 前記液晶装置は、前記第1偏光成分光の光路中に配置した第1液晶装置と、前記第2偏光成分光の光路中に配置した第2液晶装置とからなることを特徴とする請求項2に記載の光スイッチ。
  4. 前記偏光分離手段と前記偏光合成手段は、互いに直交する方向に反射軸と透過軸とを有し、入射光のうちの偏光面が前記反射軸に沿った偏光成分光を反射し偏光面が前記透過軸に沿った偏光成分光を透過させる1個の反射偏光板からなり、該反射偏光板を前記第1液晶素子と前記第2液晶素子との間を通して斜めに配置したことを特徴とする請求項3に記載の光スイッチ。
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