JP4092564B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用の点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バッテリが搭載されない内燃機関においては、内燃機関により駆動される磁石発電機内に点火コイルを設けて、この点火コイルの一次コイルに誘起させた電圧を点火用の電源電圧として、点火動作を行わせるようにすることが多い。
【0003】
この種の内燃機関を点火する点火装置は、例えば特許文献1に示されているように、内燃機関により駆動される磁石発電機の固定子側に設けられて内燃機関の回転に同期して一次コイルに交流電圧を誘起する点火コイルと、交流電圧の一方の極性の半サイクルの期間に点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせるように点火コイルの一次電流を制御する一次電流制御回路とを備えていて、一次電流の急激な変化により点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させるようになっている。
【0004】
ところで、内燃機関においては、潤滑オイルの量が減少すると、機関が焼き付くおそれがあるため、特許文献2に示されているように、潤滑オイルのレベルを検出して該潤滑オイルのレベルが許容レベル以上のときにオフ状態を保持し、該潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になったときにオン状態になるオイル残量警告スイッチを設けて、潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になって該スイッチがオン状態になったときに、発光ダイオードなどの表示手段を動作させるとともに、点火動作を停止させて、機関を保護するようにした保護機能付きの点火装置が提案されている。
【0005】
特許文献2に示された点火装置は、点火コイルの一次コイルに正の極性の半サイクルの電圧が誘起している間に点火動作を行わせるように一次電流制御回路が構成されている。また点火コイルの一次コイルの両端に、オイル残量警告スイッチと、一次コイルの正の極性の半サイクルの誘起電圧が順方向に印加される向きのダイオードと抵抗とを通してコンデンサが接続され、このコンデンサの両端に別の抵抗を通して表示手段としての発光ダイオードが接続されている。
【0006】
このように構成すると、オイルレベルが許容レベル未満になってオイル残量警告スイッチがオン状態になったときにコンデンサが充電され、このコンデンサの両端の電圧により発光ダイオードが発光するため、オイルの残量が少なくなったことを警告することができる。またオイルレベルが許容レベル未満になってオイル残量警告スイッチがオン状態になったときに点火コイルの一次コイルの正の極性の半サイクルの出力で抵抗と発光ダイオードとを通して電流が流れて点火エネルギとして利用されるべき一次コイルの出力の一部が消費されるため、点火動作が停止させられて機関が停止させられる。
【0007】
【特許文献1】
実公平4−39415号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−49639号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になったときに機関を停止させて機関の保護を図るためには、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに、点火動作を確実に停止させる必要がある。そのためには、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに点火コイルの一次コイルの正極性の半サイクルの出力を実質的に短絡するか、または短絡に近い状態にする必要がある。
【0010】
ところが、特許文献2に示された点火装置では、点火コイルの一次コイルの正負の半サイクルの誘起電圧のうち、点火動作を行わせる正の半サイクルの誘起電圧で発光ダイオードを駆動するコンデンサを抵抗を通して充電することにより、発光ダイオードを発光させるとともに、該正の半サイクルの誘起電圧で抵抗と発光ダイオードとを通して電流を流すことにより、点火エネルギとして利用される一次コイルの出力の一部を消費させて点火動作を停止させるようにしているため、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに点火コイルの一次コイルを短絡に近い状態にすることが難しく、点火動作を確実に停止させることができないおそれがあった。
【0011】
特許文献2に示された点火装置において、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに点火動作を確実に停止させるために、発光ダイオードに対して直列に接続される抵抗の抵抗値を十分に小さくしておくことも考えられるが、このようにした場合には、発光ダイオードに流れる電流が過大になるため、発光ダイオードが破損するおそれが生じる。
【0012】
またオイルレベルが低下したことを運転者に知らせるためには、機関が停止した後できるだけ長い時間発光ダイオードを発光させた状態に保つことが望ましく、そのためには、発光ダイオードを流れる電流を十分に小さい値にまで制限することが望ましいが、特許文献1に示された点火装置では、発光ダイオードを流れる電流を十分に小さい値にまで制限することができない(制限すると点火動作を停止させることができない)ため、機関が停止した後、発光ダイオードを発光させて警告表示を行わせる時間を長くすることができないという問題があった。
【0013】
また特許文献1に示された点火装置のように、点火コイルの一次コイルに誘起する交流電圧の正負の半サイクルの内、点火動作を行わせる半サイクルの出力で、発光ダイオード等の発光素子を駆動するようにした場合には、機関の高速時に発光素子やコンデンサに高い電圧が印加されるため、これらの素子として耐圧が高いものを用いる必要があり、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0014】
本発明の目的は、オイルレベルが低下してオイル残量警告スイッチがオン状態になったときに発光ダイオード等の発光素子を破損することなく警告表示動作を行わせるとともに、点火動作を確実に停止させて機関の保護を確実に図ることができるようにした内燃機関用点火装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関により駆動される磁石発電機の固定子側に設けられて内燃機関の回転に同期して一次コイルに交流電圧を誘起する点火コイルと、一次コイルに誘起する交流電圧の一方の極性の半サイクルの期間に点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせるように点火コイルの一次電流を制御する一次電流制御回路とを備えて、一次電流の急激な変化により点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させるようにした内燃機関用点火装置を対象とする。
【0016】
本発明においては、内燃機関の潤滑オイルのレベルを検出して該潤滑オイルのレベルが許容レベル以上のときにオフ状態を保持し、該潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になったときにオン状態になるオイル残量警告スイッチと、交流電圧の他方の半サイクルの期間に一次コイルの誘起電圧が順方向に印加される向きの充電用ダイオードとオイル残量警告スイッチとを通して一次コイルの両端に接続されて、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに一次コイルの誘起電圧で充電用ダイオードとオイル残量警告スイッチとを通して一方の極性に充電されるコンデンサと、コンデンサの両端に電流制限素子を通して接続されてコンデンサの両端の電圧がしきい値レベル以上になっているときに発光するオイル残量警告表示用発光素子と、交流電圧の一方の極性の半サイクルの期間一次コイルの誘起電圧が順方向に印加される向きに向けてオイル残量警告スイッチを通して一次コイルの両端に並列に接続された一次コイル短絡用ダイオードとを設けた。
【0017】
このように構成すると、潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になって、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに、点火コイルの一次コイルに誘起する交流電圧の正負の半サイクルの内、点火動作が行われない方の半サイクルの期間に発光ダイオード等の発光素子を駆動することになるため、該発光素子にかかる電圧を制限し、該発光素子に流れる電流を十分に小さい値に制限するように、回路定数を設定して、発光表示動作を支障なく行わせることができる。発光素子は、点火コイルの一次コイルの誘起電圧で充電されたコンデンサに電荷が残留していて、該コンデンサの両端の電圧がしきい値を超えている間発光を継続するので、バッテリが設けられていない場合でも、十分に長い時間発光表示を行わせることができ、運転者が警告表示を見落とすのを防ぐことができる。
【0018】
また潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になって、オイル残量警告スイッチがオン状態になると、点火コイルの一次コイルの出力の正負の半サイクルのうち、点火動作が行われる一方の半サイクルにおいて一次コイル短絡用ダイオードを通して点火コイルの一次コイルを完全短絡に近い状態で短絡することができるため、点火動作を確実に停止させて、機関の保護を図ることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様では、上記磁石発電機が内燃機関のクランク軸に取り付けられた3極の磁石回転子を備えていて、一方の極性の半サイクルの電圧の前後にそれぞれ該一方の極性の半サイクルの電圧よりも波高値が低い他方の極性の半サイクルの電圧が現れる1サイクル半の交流電圧を、磁石回転子が1回転する間に1回だけ一次コイルに誘起するように構成される。
【0020】
このように構成された磁石発電機を用いると、発光表示を行わせる一次コイルの他方の半サイクルの出力電圧の波高値を低くすることができるため、発光素子に過大な電圧がかかるのを防ぐことができ、耐圧が低い発光素子を用いて低コストで警告表示を行わせることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明に係わる内燃機関用点火装置の一実施形態を説明する。
【0022】
図1は本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を示したもので、同図において1は一端が接地された一次コイル1a及び二次コイル1bを有して、図2に示すような磁石発電機2内に設けられた点火コイル、3は点火コイルの一次電流を制御する一次電流制御回路である。
【0023】
図2に示した磁石発電機2は、内燃機関のクランク軸4に取り付けられた磁石回転子5と、機関のケースなどに固定された固定子6とからなっている。磁石回転子5は、クランク軸4に取り付けられた鉄製のフライホイール7と、フライホイール7の外周に設けられた凹部7a内に固定されてフライホイールの径方向に着磁された永久磁石8とからなり、凹部7aよりもフライホイールの回転方向の前方側に位置するフライホイールの外周部に現れる一方の極性の磁極(図示の例ではS極)M1と、磁石8の径方向の外側に現れる他方の極性の磁極(図示の例ではN極)M2と、凹部7aよりもフライホイールの回転方向の後方側に位置するフライホイールの外周に現れる一方の極性の磁極(図示の例ではS極)M3とにより、3極の磁石界磁が構成されている。
【0024】
固定子6は、磁石回転子の隣り合う磁極間の間隔に相応する極間隔をもって配置される磁極部9a,9bを両端に有する鉄心9と、鉄心9に巻回された点火コイルの一次コイル1a及び1b(図2には図示せず。)と、これら一次コイル及び二次コイルを一次電流制御回路3を構成する電子部品とともに被覆するように設けられた樹脂モールド部10とにより構成されている。樹脂モールド部10からは、点火コイルの二次コイル1bの非接地側の端子に一端が接続された高圧コード11と、点火コイルの一次コイル1aの非接地側の端子に接続された一次端子12とが導出されている。
【0025】
図2に示した磁石発電機は、機関のクランク軸4が図示の矢印方向に回転したときに、図3に示すように、負の極性の半サイクル(一方の極性の半サイクル)の電圧V2の前後に正の極性の半サイクル(他方の極性の半サイクル)の電圧V1及びV3が現れる1サイクル半の交流電圧を、クランク軸4が1回転する間に1回だけ一次コイル1aに誘起させる。
【0026】
図示の一次電流制御回路3は、点火コイルの一次コイル1aの非接地側端子及び接地側端子にそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたNPNトランジスタTR1と、このトランジスタのベース及びエミッタにそれぞれコレクタ及びエミッタが接続されたNPNトランジスタTR2と、トランジスタTR1のベースと接地間に接続された抵抗R1と、トランジスタTR2のベースと接地間及びトランジスタTR2のベースと一次コイル1aの非接地側端子との間にそれぞれ接続された抵抗R2及びR3とにより構成されている。
【0027】
点火コイル1の二次コイル1bの非接地側端子は、図示しない内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグ13の非接地側の端子に高圧コード11を通して接続されている。
【0028】
点火コイル1と一次電流制御回路3とにより点火装置の主回路が構成されている。図示の点火装置においては、点火コイルの一次コイル1aに負の極性の半サイクルの電圧V2が誘起したときに抵抗R1を通してトランジスタTR1にベース電流が与えられるため、該トランジスタTR1がオン状態になり、一次コイル1aからトランジスタTR1のコレクタ・エミッタ間回路を通して一次電流が流れる。トランジスタTR1がオン状態になると、そのコレクタエミッタ間の電圧が低下するため、トランジスタTR2には十分なベース電流が供給されず、該トランジスタTR2はオフ状態に保たれる。一次電流(トランジスタTR1のコレクタ電流)が増大していくと、トランジスタTR1のコレクタエミッタ間の電圧も上昇していき、抵抗R2を通してトランジスタTR2に供給されるベース電流も増加していく。トランジスタTR1のコレクタエミッタ間の電圧がある値まで上昇して、トランジスタTR2のベース電流がしきい値レベルを超えると、該トランジスタTR2がオン状態になるため、トランジスタTR1のベース電流が該トランジスタTR1から側路され、トランジスタTR1がオフ状態になる。これにより、点火コイルの一次電流が遮断されるため、該一次電流に大きな変化が生じ、点火コイルの一次コイル1aには、それまで流れていた電流を流し続けようとする極性の高い電圧が誘起する。この高い電圧が点火コイルの一次、二次間の巻数比により昇圧されるため、二次コイル1bに点火用の高電圧が誘起する。この高電圧は点火プラグ13に印加されるため、該点火プラグで火花放電が生じ、機関が点火される。
【0029】
なお一次電流制御回路3の構成は図示の例に限られるものではなく、一次コイルが一方の極性(図示の例では負の極性)の半サイクルの電圧を誘起している期間に点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせて点火動作を行わせるものであれば如何なるものでもよい。
【0030】
図1において、20はオイル残量警告スイッチで、このスイッチは、内燃機関の潤滑オイルのレベルを検出して該潤滑オイルのレベルが許容レベル以上のときにオフ状態を保持し、該潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になったときにオン状態になる。このようなスイッチは特許文献2に示された点火装置でも用いられているように、既に周知である。
【0031】
オイル残量警告スイッチ20の一端は接地され、他端はコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他端は、アノードを点火コイルの一次端子12に接続した(一次コイル1aの正極性の半サイクルの誘起電圧が順方向に印加される向きの)充電用ダイオードD1のカソードに接続され、オイル残量警告スイッチ20がオン状態になったときに、一次コイル1aの正極性の(他方の極性の)半サイクルの出力でダイオードD1とスイッチ20とを通してコンデンサC1が図示の極性に充電されるようになっている。コンデンサC1の両端には、オイル残量警告スイッチ20側にカソードを向けた(一次コイル1aの正極性の半サイクルの電圧が順方向に印加される向きの)発光ダイオードLEDが、電流制限素子としての抵抗R5を通して並列接続されている。
【0032】
またオイル残量警告スイッチ20の非接地側端子と、点火コイルの一次端子(一次コイル1aの非接地側端子)12との間に、カソードを一次端子12側に向けた(一次コイル1aの負極性の半サイクルの誘起電圧が順方向に印加される向きの)一次コイル短絡用ダイオードD2が接続されている。
【0033】
図1に示した点火装置において、内燃機関の潤滑オイルのレベルが許容レベル以上あって、オイル残量警告スイッチ20がオフ状態にあるときには、コンデンサC1が充電されないため、発光ダイオードLEDは発光せず、警告表示は行われない。またこのとき一次コイル1aの負の極性の半サイクルの出力がダイオードD2を通して短絡されることはないため、点火動作は正常に行われる。
【0034】
これに対し、機関の潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になり、オイル残量警告スイッチ20がオン状態になると、一次コイル1aに正の極性の半サイクルの電圧V1及びV3が誘起したときにダイオードD1を通してコンデンサC1が図示の極性に充電されるため、該コンデンサの両端の電圧がしきい値レベル(発光ダイオードLEDを発光させるために必要な最低レベル)を超えたときに発光ダイオードLEDが発光し、オイルのレベルが低下したことの警告表示を行う。また一次コイル1aに誘起する負の極性の半サイクルの電圧V2は、オイル残量警告スイッチ20とダイオードD2とを通して短絡され、点火コイルの一次電流の遮断は行われなくなるため、機関の点火動作が停止する。従って、機関が停止させられ、オイルが不足する状態で機関が運転されて損傷するのが防止される。
【0035】
機関が停止した後も、コンデンサC1の電荷が残留していて、該コンデンサの両端の電圧がしきい値レベルを超えている間は、発光ダイオードが発光を続けるので、オイルレベルが不足していることの警告を運転者が見落とすのを防ぐことができる。
【0036】
上記のように、一次コイルに誘起する正負の半サイクルの電圧のうち、点火動作と無関係な正の半サイクルの電圧で発光素子を駆動するようにすると、抵抗R5の抵抗値を十分に大きくして、発光ダイオードLEDに流す電流を十分に小さい値に制限することができるため、機関の高速時に発光ダイオードが過電流により破損するのを防ぐことができる。また抵抗R5の抵抗値を大きくすることができるため、特許文献1に示されたものよりも発光ダイオードの発光時間(警告表示を行わせる時間)を長くすることができる。
【0037】
特に、図2に示したように、3極の磁石界磁を有する磁石回転子を備えた磁石発電機内に点火コイルを設けておくと、図3に示すように、一次コイルに誘起する交流電圧の正負の半サイクルのうち、点火動作に寄与しない半サイクル(正の半サイクル)の電圧の波高値を低く抑えることができるため、発光ダイオードやコンデンサC1に高い電圧がかかるのを防ぐことができ、これらの素子として耐圧の低いものを用いてコストの低減を図ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になって、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに、点火コイルの一次コイルに誘起する交流電圧の正負の半サイクルの内、点火動作が行われない方の半サイクルの期間に発光素子を駆動するようにしたため、該発光素子にかかる電圧を制限し、該発光素子に流れる電流を十分に小さい値に制限するように、回路定数を設定して、発光表示動作を支障なく行わせることができ、高耐圧の素子を用いずに低コストで警告表示を行わせることができる。
【0039】
また本発明によれば、発光素子に流す電流を十分に小さい値に制限して、機関が停止した後、長い時間の間発光素子を発光させることができるため、運転者が警告表示を見落とすのを防ぐことができる。
【0040】
更に本発明によれば、潤滑オイルのレベルが許容レベル未満になって、オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに、点火コイルの一次コイルの出力の正負の半サイクルのうち、点火動作が行われる一方の半サイクルにおいて一次コイル短絡用ダイオードを通して点火コイルの一次コイルを完全短絡に近い状態で短絡することができるため、点火動作を確実に停止させて、機関の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図1の実施形態で用いる磁石発電機の構成の一例を示した正面図である。
【図3】図2の磁石発電機に設けられた点火コイルの一次コイルに誘起する電圧の波形を時間に対して示した波形図である。
【符号の説明】
1:点火コイル、1a:一次コイル、1b:二次コイル、2:磁石発電機、3:一次電流制御回路、5:磁石回転子、6:固定子、20:オイル残量警告スイッチ、D1:充電用ダイオード、D2:一次コイル短絡用ダイオード、LED:発光ダイオード(発光素子)、R5:抵抗(電流制限素子)、C1:コンデンサ。

Claims (2)

  1. 内燃機関により駆動される磁石発電機の固定子側に設けられて前記内燃機関の回転に同期して一次コイルに交流電圧を誘起する点火コイルと、前記交流電圧の一方の極性の半サイクルの期間に前記点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせるように前記点火コイルの一次電流を制御する一次電流制御回路とを備えて、前記一次電流の急激な変化により前記点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させる内燃機関用点火装置において、
    前記内燃機関の潤滑オイルのレベルを検出して該潤滑オイルのレベルが許容レベル以上のときにオフ状態を保持し、該潤滑オイルのレベルが前記許容レベル未満になったときにオン状態になるオイル残量警告スイッチと、前記交流電圧の他方の半サイクルの期間に前記一次コイルの誘起電圧が順方向に印加される向きの充電用ダイオードと前記オイル残量警告スイッチとを通して前記一次コイルの両端に接続されて、前記オイル残量警告スイッチがオン状態になったときに前記一次コイルの誘起電圧で前記充電用ダイオードとオイル残量警告スイッチとを通して一方の極性に充電されるコンデンサと、前記コンデンサの両端に電流制限素子を通して接続されて前記コンデンサの両端の電圧がしきい値レベル以上になっているときに発光するオイル残量警告表示用発光素子と、前記交流電圧の一方の極性の半サイクルの期間前記一次コイルの誘起電圧が順方向に印加される向きに向けて前記オイル残量警告スイッチを通して前記一次コイルの両端に並列に接続された一次コイル短絡用ダイオードと、
    を具備してなる内燃機関用点火装置。
  2. 前記磁石発電機は、内燃機関のクランク軸に取り付けられた3極の磁石回転子を備えていて、前記一方の極性の半サイクルの電圧の前後にそれぞれ該一方の極性の半サイクルの電圧よりも波高値が低い他方の極性の半サイクルの電圧が現れる1サイクル半の交流電圧を、前記磁石回転子が1回転する間に1回だけ前記一次コイルに誘起するように構成されている請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
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