JP4092169B2 - 表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法 - Google Patents

表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉から排出された焼却残渣や飛灰、汚泥等を溶融処理する表面溶融装置の制御技術に関するものであり、より詳しくは、表面溶融装置から得られるスラグ内の鉛含有率を大幅に低減できるようにした表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉からの焼却残渣や飛灰等の溶融処理には、従前から表面溶融炉が多く用いられている。
図4はその一例を示すものであり、溶融炉本体1のホッパー2内へ供給コンベア3及び分配供給装置4を介して焼却残渣等の被処理物Wが供給され、供給装置5により順次溶融炉本体1内の溶融部Q上へ押し出される。そして、溶融部Q上の被処理物Wは、溶融バーナ6の燃焼熱により溶融され、溶融スラグSとなって冷却水槽7内へ落下し、冷却されて水砕スラグTとなる。
尚、図4に於いて8はスラグ排出装置、9は炉下部空間、10は燃焼ガス排出口、11は炉内のぞき窓、12は炉下部のぞき窓、13はガス温度計、18は撮像装置付放射温度計、Gは燃焼排ガスである。
【0003】
又、当該表面溶融炉Aの運転は、撮像装置付放射温度計18により溶融部Qの溶融状態の監視及び温度の検出を行ない、画像信号や温度検出信号を用いて被溶融物Wの供給量及び溶融バーナ6の燃焼量を制御することにより、行なわれている(特開2001−304526号等)。
【0004】
上記図4の表面溶融炉は焼却残渣等の被溶融物Wを高能率で溶融処理することができるだけでなく、ダイオキシン類を高温熱分解したり、重金属類を揮散またはスラグT中に封じ込めることができ、優れた効用を奏するものである。
しかし、従前の図4の表面溶融炉から得られるスラグT中には比較的多量の重金属類、特に被溶融物Wの中に最も多く含まれている鉛が多量に含まれており、スラグTの有効利用を図る上で様々な支障が生ずると云う問題がある。
【0005】
一方、表面溶融炉Aに於いては、被溶融物W中の鉛がスラグT側と燃焼排ガスG側へ移行する割合は、表面溶融炉A内の温度及び酸素濃度に大きく依存するものであることが広く知られている。
より具体的には、溶融バーナ6を低空気比下で作動させ、表面溶融炉A内を還元雰囲気にすることによってスラグT内の鉛含有率を低減させることは、一般に広く採用されている方法であり、これ等の表面溶融炉Aに於いては、熱電対等により溶融炉A内の温度管理を行なうと共に、燃焼ガス排出口の燃焼排ガスGのO2 濃度又はCO濃度を検出し、その検出信号に基づいて、表面溶融炉の運転制御が行なわれている。
【0006】
しかし、従前の溶融バーナ6を低空気比下で運転し、溶融炉A内を還元状態下に保持することにより、スラグT中の鉛含有率を低減させる方式の表面溶融炉にあっては、(a)溶融炉A内の温度管理が熱電対を用いて行なわれており、ヒートショック等による突発的な熱電対の破損やダスト付着による応答性の低下が不可避であること、(b)燃焼ガス排出口で燃焼排ガスGのO2 又はCO濃度を測定しているため応答性の高い運転制御を行なうことが出来るが、燃焼排ガスGのダスト濃度やガス温度が高いため、検出プローブの詰まり、焼損、腐食等の発生が避けられないこと、(c)溶融バーナ6等へ供給する燃焼用空気の空気比を制御する場合には、空気流量計の定期的な校正が不可欠となり、校正操作を怠ると空気流量計に狂いが生じ、設定空気比通りの空気量が供給されなくなる。その結果、スラグT中の鉛含有量の上昇に気付かずに操作が継続され、鉛含有率の高いスラグTが搬出され続けると云う問題があること、及び(d)スラグT中の鉛含有量に基準値が設けられている場合には、鉛含有量の分析が一定時間毎に行なわれるが、鉛含有量の分析に3〜4日の期間を必要とするため、鉛含有量の分析値を表面溶融炉Aの制御要素として利用できないこと等の問題が残されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従前の焼却残渣等の表面溶融炉Aから鉛含有率の低いスラグTを得ようとする場合の前記(a)〜(d)のような問題を解決せんとするものであり、溶融炉本体の天井部に設けた撮像装置付放射温度計により検出した溶融部の表面温度と、バグフィルタの出口側に設けたNOx濃度計により検出した排ガスのNOx濃度と、スラグ排出装置の下流側に設けた蛍光X線分析装置によるスラグ中の鉛含有量の分析検出値とを用いて表面溶融炉の燃焼バーナや後燃焼室の燃焼バーナの燃焼制御及び被溶融物の供給制御を行なうことにより、表面溶融装置を高能率で安定して運転することが出来、しかも鉛含有量を大幅に低減せしめた高品質のスラグを得られるようにした表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、天井壁に撮像装置付放射温度計20を設けた表面溶融炉Aと、表面溶融炉Aからの燃焼排ガスGを燃焼させる後燃焼室Bと、後燃焼室Bからの排ガスG2 を浄化する排ガス処理装置C及びバグフィルタ装置Dと、バグフィルタ装置Dの出口側に設けた排ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度計21と、表面溶融炉Aから排出されるスラグTの鉛含有率を検出する蛍光X線分析装置22と、撮像装置付放射温度計20で検出した表面溶融炉Aの溶融部温度とNOx濃度計21で検出したNOx濃度と蛍光X線分析装置22で検出した鉛含有率の各検出信号St、Sx、Spが入力され、表面溶融炉Aへの被溶融物Wの供給並びに表面溶融炉と後燃焼室Bの燃焼を制御する制御装置Eとを備えた表面溶融装置を用い、前記撮像装置付放射温度計20による溶融部温度の検出値によって溶融部Qの温度を予かじめ定めた設定温度に保持し、また前記NOx濃度計21による排ガスG2 のNOx濃度の検出値に基づいて表面溶融炉A及び後燃焼室Bへ供給する空気の空気比を設定値に保持すると共に排ガスG2 内のNOx濃度を予かじめ定めた設定値以下に保持し、更に、蛍光X線分析装置22からの鉛含有率の検出値Spに基づいて前記溶融部温度の設定値及びNOx濃度の設定値を調整し、鉛含有率が設定値以下のスラグを得るようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、被溶融物をごみ焼却炉からの燃焼残渣及び飛灰とし、且つ空気比を表面溶融炉と後燃焼装置の全空気比としてその設定値を0.9〜1.1に、溶融部温度の設定値を1250℃〜1350℃に、NOx濃度の設定値を30ppm〜100ppmに夫々したものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、NOx濃度計21により検出した排ガスG2 のNOx濃度が設定値の近傍値となるように、前記空気比の設定値の範囲内で表面溶融炉Aへ供給する空気量を減少させるようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施に用いる表面溶融炉の断面概要図であり、図2は本発明実施対象である表面溶融装置の全体構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に於いて、Aは表面溶融炉、Wは被溶融物、Qは溶融部、Sは溶融スラグ、Gは燃焼排ガス、Tは水砕スラグ、1は溶融炉本体、2はホッパ、3は供給コンベア、4は分配供給装置、5は供給装置、6は溶融バーナ、7は冷却水槽、8はスラグ排出装置、9は炉下部空間、10は燃焼ガス排出口、11は炉内のぞき窓、12は炉下部のぞき窓、13はガス温度計、20は撮像装置付放射温度計であり、撮像装置付放射温度計20が設けられている点を除いて、その他の構成は前記図4の場合と全く同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0013】
前記溶融炉本体1の天井壁に設けた撮像装置付放射温度計20は溶融部Qの溶融状態を監視すると共に、溶融部Qの溶融スラグの温度を検出するものであり、カメラからの映像信号Si及び検出温度信号Stは後述するように表面溶融装置の運転制御室のモニター装置や燃焼並びに被溶融物供給量等を制御する制御装置へ夫々出力されている。
尚、本実施形態に於いては、撮像装置付放射温度計20としてミノルタ(株)社製のTR−630A型放射温度計付ITVが使用されており、映像監視と温度検出とを夫々独立して連続的に行なう型式となっている。
【0014】
図2を参照して、本発明の実施対象である表面溶融装置は、表面溶融炉A、後燃焼室B、排ガス処理装置C、バグフィルタ装置D、制御装置E等から構成されており、表面溶融炉Aには前述のように溶融炉本体1、スラグ排出装置8及び撮像装置付放射温度計20が夫々配設されている。
【0015】
前記制御装置Eには溶融バーナ燃焼制御部E1 と被溶融物供給制御部E2 とが含まれており、後述するように撮像装置付放射温度計20からの溶融部Qの温度検出信号St、NOx濃度計21からのNOx濃度検出信号Sx、蛍光X線分析装置22からの鉛含有率検出信号Spが夫々入力されると共に、表面溶融炉A及び後燃焼室Bへ燃焼制御信号M1 と被溶融物供給制御信号M2 とから成る制御信号M及び空気供給量制御信号K1 と補助燃料供給量制御信号K2 とから成る燃焼制御信号Kが夫々出力される。
【0016】
前記後燃焼装置Bは可燃性成分を含有する溶融炉本体1からの燃焼排ガスGを再燃焼させるものであり、可燃性成分が燃焼された排ガスG0 は排ガス処理装置C及びバグフィルタ装置Dで処理されたあと、煙突Fから大気中へ放散される。尚、後燃焼装置B、排ガス処理装置C、バグフィルタ装置D等は公知であるため、その説明を省略する。
【0017】
前記NOx濃度計21はバグフィルタ装置Dの出口側に設けられており、大気へ放出する排ガスG2 内のNOx濃度を検出するものである。本実施形態に於いては、後述するように当該NOx濃度計21の検出値Sxから溶融炉本体1内部の雰囲気が酸化性であるか又は還元性であるかが判断され、溶融炉本体内への空気供給量が制御される。
【0018】
前記蛍光X線分析装置22はスラグ排出装置8から搬出された水冷スラグT内の鉛含有率を検出するものであり、スラグ排出装置8の出口側に設けられている。
本実施形態では、蛍光X線分析装置22としてアワーズテック社製の110型蛍光X線分析装置22を使用しており、サンプリングした水冷スラグT内の鉛含有率を約5分程度で自動検出することができる。
尚、鉛含有率の検出は連続的に行なわれているが、約3〜6時間の間隔で間欠的に行なうようにしてもよい。
又、当該蛍光X線分析装置22は所謂携帯型のものであってもよいことは勿論である。
【0019】
次に本発明に係る鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法について説明する。
図3は本発明の実施対象である表面溶融装置の運転制御の概要を示す流れ図であり、表面溶融装置は図2及び図3に示すように溶融炉本体1の天井壁に設けた放射温度計付ITVにより溶融部Qのスラグ表面温度Stを、NOx濃度計Dにより排ガスG2 内のNOx濃度Sxを及び蛍光X線分析装置22によりスラグT内の鉛含有率Spを夫々検出し、これ等の各検出値St、Sx、Spを制御装置Eへ入力すると共に、制御装置Eからの各制御信号M、Kにより溶融バーナ6の燃焼制御、被溶融物Wの供給量制御及び後燃焼装置Bの燃焼制御を行ない、表面溶融装置を最適運転条件下で運転するようにしたものである。
【0020】
具体的には、先ず表面溶融装置の運転に際しては、溶融炉本体1の溶融部Qの表面温度(スラグ温度)Stが所定の温度(例えば被溶融物Wの融点t+100℃)に設定されると共に、この設定したスラグ温度Stが保持されるように溶融バーナ6への燃料供給量や燃焼空気供給量V1 及び溶融部Qへの被溶融物Wの供給量が設定される。
尚、前記溶融バーナ6への燃焼用空気供給量V1 は、後燃焼装置Bへの空気供給量V2 との総量V1 +V2 が所定の空気比(例えば空気比1.10)となる範囲で且つ排ガスG2 のNOx濃度Sxを所定値(例えば50ppm)以下に保持できる空気量に設定され、前記空気量V1 が設定されることにより、後燃焼装置Bへの空気供給量V2 の設定値も定まることになる。
尚、本実施形態に於いては、前記溶融部Qの設定温度を1250〜1350℃程度に、また前記NOx濃度Sxの設定値を30〜100ppmにしているが、これ等の設定値は任意に変更し得るものであることは勿論である。
【0021】
即ち、表面溶融炉Aの運転中、撮像装置付放射温度計20からの温度検出信号Stが制御装置Eへ出力され、溶融部Qの温度が図3のステップ22で対比される。温度検出値Stが設定温度St′の許容範囲内にあれば、ステップ23の空気比制御のチェックへ移行する。また、温度検出値Stが設定温度St′の許容範囲外であれば、制御はステップ21へ戻り、溶融バーナ6の燃焼制御の設定値が適宜に変更される。
【0022】
ステップ23に於いては、溶融バーナ6への燃焼空気V1 と後燃焼室Bへの燃焼空気V2 との総和が設定空気比1.10の許容範囲内にあるか否かがチェックされ、空気比が所定の範囲内にあれば、次にステップ24に於いて、NOx濃度計21により検出したバグフィルタD出口の排ガスG2 内のNOx濃度Sxが設定値以下であるか否かがチェックされると共に、NOx濃度Sxが設定値Sx′以上の場合には、前記空気比を設定値に保持した状態で溶融バーナ6への空気供給量V1 を減少させ、これによってNOx濃度の低減が図られる。
尚、本実施形態では前記空気比の設定値を1.10としているが、当該空気比は0.90〜1.10の間に適宜に選定される。
【0023】
前記空気比制御によりNOx濃度Sxが設定値Sx′以下に保持されていれば、制御はステップ25へ移行され、ここで蛍光X線分析装置22により検出したスラグT内の鉛含有率Spが設定値Sp′以下であるか否かがチェックされ、鉛含有率Spが設定値Sp′以下であれば、引き続き表面溶融装置の定常運転が継続される。
尚、鉛含有率の設定値Sp′と検出した鉛含有率Spとの間に差異がある場合には、空気比及びNOx濃度の見直しが行なわれ、可能な限り鉛含有率の検出値Spを設定値Sp′に近づける制御が行なわれる。
【0024】
また、表面溶融装置の運転がステップ21〜ステップ24で設定した所定運転条件下で行なわれているにも拘わらず、スラグTの鉛含有量の検出値Spが設定値を越える場合には、被溶融物(焼却残渣等)Wに含有されている鉛が初期の想定値より多いと判断し、ステップ22に於ける溶融スラグ温度の設定値St′を高温側へ変更したり、或いはNOx濃度の設定値Sx′に余裕のある場合には、これと同時にNOx濃度の設定値Sx′を調整する。
【0025】
本発明に於いては、撮像装置付放射温度計20を表面溶融炉本体1の天井壁に設け、溶融部Qを監視すると共に溶融部Q表面のスラグ温度Stを検出する構成としている。その結果、従前の熱電対では測定が不能であった鉛の揮散に適した高温度の溶融スラグ(焼却残渣の場合約1250〜1350℃)であっても、スラグ温度Stを正確に検出することができ、高精度な溶融スラグの温度制御が可能となる。
また、撮像装置付放射温度計20であるため、未溶融被溶融物の通過や被溶融物の供給不足等の溶融部Qの温度変化を発生させる原因を正確に把握することができ、これに対する早期対処が可能となる。
【0026】
また、表面溶融処理装置に於いては、表面溶融炉本体1内の温度及び後燃焼装置Bの温度が一定の場合、排ガスG2 内のNOx濃度Sxが溶融炉本体1の燃焼ガス出口10に於けるCO濃度と高い相関関係を有することが判っている。
そのため、予かじめ燃焼ガス出口10に於けるCO濃度値と排ガスG2 内のNOx濃度値Sxの関係を把握しておくことにより、NOx濃度の測定値Sxから表面溶融炉本体1内の雰囲気性状を正確に推測することが出来、結果として高温・高ダスト域の燃焼ガス出口10に於けるO2 濃度計やCO濃度計の使用を避けることが可能となる。
【0027】
更に、蛍光X線分析装置によるスラグT内の鉛含有率Spの検出は、比較的短時間(約5分)で行なえるため、高頻度で鉛含有率の検出を行なってその検出値Spを表面溶融装置の運転制御にフィードバックすることにより、鉛含有量の低いスラグTを安定して得ることが可能となる。
【0028】
(実施例)
図1及び図2に示した表面溶融装置を用いて、ストーカ式ごみ焼却炉からの焼却残渣を溶融させ、その水砕スラグT内の鉛含有率を測定した。尚、測定は2日間に亘って行ない、1日3回の測定値を平均して、スラグT内の鉛含有率を求めた。溶融処理条件は下記の通りである。
表面溶融炉には、図1に示した構造の表面溶融炉を用い、鉛含有率が2060mg/kgの焼却残渣Wを13000kg/日の割合で溶融処理した。
定常運転下に於ける溶融部Qの温度Xtは約1300℃、全空気比は1.10(溶融バーナ空気比0.98、後燃焼装置の空気比0.12)で、排ガスG2 の許容NOx濃度Sxを50ppmとした。
この時のスラグT内の鉛含有率Spの平均値は、第1日目が28mg/kgであり、また第2日目が13mg/kgであった。
【0029】
これに対して、図1と同一の表面溶融炉(但し、放射温度計付ITVに代えて熱電対を使用)を用い、のぞき窓11から運転員が溶融部Qの状況を見乍ら従前と同様に経験によって表面溶融炉への燃焼空気量や被溶融物Wの供給量を調整する方法により(即ち、本発明による制御方法を用いないで溶融処理を行なう)、鉛含有率が2060mg/kgの焼却残渣Wを13000kg/日の割合で溶融処理した。
その時のスラグT内の鉛含有率Spは220mg/kgであった。但し、鉛含有率の検出テストは1日(1日に3回計測)しか行なっていない。
また、この時の排ガスG2 内のNOx濃度Sxは約80ppmであった。
【0030】
上記実施例の対比からも明らかなように、本発明に於いては、排ガスG2 のNOx濃度Sxを約50ppmに保持した状態下に於いて、スラグTのNOx濃度Sxを従前の表面溶融処理装置の場合の約0.05〜0.13倍に減少させ得ることが判る。
【0031】
【発明の効果】
本発明に於いては、撮像装置付放射温度計を用いて溶融部Qの溶融スラグ温度を検出しているため、1250〜1350℃の高温度であっても正確に溶融スラグの温度を検出できると共に、ITVにより溶融部Qの溶融状態を常に監視することができ、溶融炉本体内に於ける障害の発生を迅速に検知することが出来る。また、清浄化された低温排ガス内へNOx濃度計を設け、NOx濃度の検出値から溶融炉内の雰囲気の性状を推測する構成としているため、NOx濃度計に損傷が生じ難いうえ、溶融炉内の雰囲気の性状を正確に把握することができる。
更に、蛍光X線分析装置により高頻度でスラグTの鉛含有率を検出できるため、これを制御要素として表面溶融炉の運転制御を行なうことにより、鉛含有率が設定値以下の良質なスラグを安定して得ることが出来る。
本発明は上述の通り撮像装置付放射温度計を用いた溶融部の温度制御とNOx濃度計を用いた表面溶融装置の空気比制御と蛍光X線分析装置を用いた鉛含有率の高頻度な検出とを有機的に結合させることにより、低鉛含有率のスラグTを安定して得ることが出来ると云う優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる表面溶融炉の断面概要図である。
【図2】本発明の実施対象である表面溶融装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を実施する表面溶融装置の運転制御の概要を示す流れ図である。
【図4】従前の表面溶融炉の断面概要図である(特開2001−304526号)。
【符号の説明】
Aは表面溶融炉、Wは被溶融物、Qは溶融部、Sは溶融スラグ、Gは燃焼排ガス、Tは水砕スラグ、Bは後燃焼室、Cは排ガス処理装置、Dはバグフィルタ装置、Eは制御装置、Fは煙突、Stは撮像装置付放射温度計からの温度検出信号、SxはNOxからのNOx濃度検出信号、Spは蛍光X線分析装置からの鉛含有率検出信号、Mは表面溶融炉への制御信号、M1 は燃焼制御信号、M2 は被溶融物供給制御信号、Kは後燃焼室への燃焼制御信号、K1 は空気供給量制御信号、K2 は補助燃料供給量制御信号、1は溶融炉本体、2はホッパ、3は供給コンベア、4は分配供給装置、5は供給装置、6は溶融バーナ、7は冷却水槽、8はスラグ排出装置、9は炉下部空間、10は燃焼ガス排出口、11は炉内のぞき窓、12は炉下部のぞき窓、13はガス温度計、20は撮像装置付放射温度計、21はNOx濃度計、22は蛍光X線分析装置。

Claims (3)

  1. 天井壁に撮像装置付放射温度計を設けた表面溶融炉と、表面溶融炉からの燃焼排ガスを燃焼させる後燃焼室と、後燃焼室からの排ガスを浄化する排ガス処理装置及びバグフィルタ装置と、バグフィルタ装置の出口側に設けた排ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度計と、表面溶融炉から排出されるスラグの鉛含有率を検出する蛍光X線分析装置と、撮像装置付放射温度計で検出した表面溶融炉の溶融部温度とNOx濃度計で検出したNOx濃度と蛍光X線分析装置で検出した鉛含有率の各検出信号が入力され、表面溶融炉への被溶融物の供給並びに表面溶融炉と後燃焼室の燃焼を制御する制御装置とを備えた表面溶融装置を用い、前記撮像装置付放射温度計による溶融部温度の検出値によって溶融部の温度を予かじめ定めた設定温度に保持し、また前記NOx濃度計による排ガスのNOx濃度の検出値に基づいて表面溶融炉及び後燃焼室へ供給する空気の空気比を設定値に保持すると共に排ガス内のNOx濃度を予かじめ定めた設定値以下に保持し、更に、蛍光X線分析装置からの鉛含有率の検出値に基づいて前記溶融部温度の設定値及びNOx濃度の設定値を調整し、鉛含有率が設定値以下のスラグを得るようにしたことを特徴とする表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法。
  2. 被溶融物をごみ焼却炉からの燃焼残渣及び飛灰とし、且つ空気比を表面溶融炉と後燃焼装置の全空気比としてその設定値を0.9〜1.1に、溶融部温度の設定値を1250℃〜1350℃に、NOx濃度の設定値を30ppm〜100ppmに夫々した請求項1に記載の表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法。
  3. NOx濃度計により検出した排ガスのNOx濃度が設定値の近傍値となるように、前記空気比の設定値の範囲内で表面溶融炉へ供給する空気量を減少させるようにした請求項1に記載の表面溶融装置に於ける鉛含有率の低い溶融スラグの製造方法。
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