JP4091555B2 - 逆流防止口栓および容器 - Google Patents
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Description
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その内部に空隙が極力生じないようにして内容物の残留を最少限にできる逆流防止口栓を提供することを目的とする。
すなわち、第1に、流動体を吐出する吐出口5を有していて容器口部3に設けられる弾性膜体7と、弾性膜体7内に配置されていて流動体の流出を閉栓可能な栓部材8とを備えた逆流防止口栓4において、前記栓部材8は、弾性膜体7が弾力的に密着する球状シール面14を有しており、弾性膜体7の吐出口5側の周囲には厚肉部12と薄肉部13とが周方向交互に設けられ、前記厚肉部12は、弾性膜体7の外面から外方に膨出形成された突起状とされていることである。
第3に、前記厚肉部12は、肉厚が最大になる部分の表面と前記栓部材8の球心とを結ぶ線が、前記吐出口5中心と前記栓部材8の球心とを結ぶ線に対してなす角度θが、30゜<θ<90゜となるように構成されていることである。
また、好ましくは、弾性膜体7は、前記厚肉部12の最大肉厚t1と前記薄肉部13の肉厚t2との比(t1/t2)が2、3または4である。
前記弾性膜体7内には、内方に突出状に形成され前記栓部材8における前記吐出口5と逆側の表面と密着してシールを行う環状突起部15が設けられている。
これによれば、前記球状シール面14による第1のシールと、前記環状突起部15と栓部材8の密着による第2のシールとの2重シール構造によって、逆流防止口栓4のシール性能を確実に向上することができる。
図1乃至図3の第1実施形態において、容器1は収縮可能な容器本体2と、容器本体2の容器口部3に設けられた逆流防止口栓4を有している。逆流防止口栓4は容器口部3にカシメ固定されており、使用時に先端部の吐出口5から内容物である流動体を吐出可能としている。容器1内に収容される流動体は液体、ペースト状、気体等の流動性のあるものが該当するが、この実施の形態では、目薬(点眼薬剤)等のように容器1外に滴下して使用されるもの(液体)を一例として説明する。
逆流防止口栓4は、前記吐出口5が形成された弾性膜体7と、弾性膜体7内に配置されていて流動体の流動を閉栓可能な栓部材8を有している。前記弾性膜体7は、取付部材9を介して容器口部3に取り付けられている。
この弾性膜体7の先端部7aの突端に形成された吐出口5は、一文字(十文字でもよい)の切れ込み状(スリット状)、または、ダックビル状に形成されており、その縁部同士が密着した状態となっている。吐出口5の周囲には流動体の吐出方向に突出した円筒部11が形成されている。
図1、図2に示すように、弾性膜体7に形成された吐出口5の下方には、複数(図例では3つ)の厚肉部12が形成されている。厚肉部12は、略半球状の先端部7aの円周方向(弾性膜体7の胴部7bの円周方向)に沿って間隔をおいて形成されている。厚肉部12は、吐出口5側の周囲に周方向に等間隔で配設されており、厚肉部12間にはこの厚肉部12よりも膨れやすく伸びやすい薄肉部13が設けられている。したがって図2に示すように、吐出口5側の周囲には、厚肉部12と薄肉部13が周方向に交互に配設されることになる。
図1に示すように厚肉部12の外面は外方に凸となる円弧形状となっている。したがって、厚肉部12は、上下方向における中央(図1の1点鎖線Xで示す位置)の肉厚が最大になっており、この中央から上下方向に向かって徐々に肉厚が薄くなっている。前記厚肉部12は、栓部材8の球心よりも上方に位置している。したがって、厚肉部12は栓部材8の球心と前記吐出口5との間で弾性膜体7の先端部7aに設けられている。
なお、弾性膜体7の厚肉部12の最大肉厚t1と薄肉部13の肉厚t2との比(t1/t2)は約2、3または約4程度とされている。
図2に示す符号Yは、厚肉部12の吐出口5寄りの端部12a(上端)と、円筒部11の外面下端部との距離で、使用時に栓部材8と吐出口5との吐出方向における離間のための距離である。このように距離Yを設けることで、この厚肉部12の端部12aと円筒部11との間は厚肉部12よりも膨れやすく伸びやすい薄肉部13aとなっている。すなわち、この弾性変形しやすい薄肉部13aは前記端部12aと、円筒部11の外面下端部または吐出口5との間で、この外面下端部または吐出口5の全周囲にわたって形成されることになる。このように、円筒部11の外面下端部または吐出口5の全周囲にわたって薄肉部13aを形成することで、厚肉部12間の薄肉部13を通過してきた流動体を吐出口5に案内しやすくなり、流動体の流動をスムーズにできるようになっている。
例えば、NR、SBR、BR、NBR、CR、EPM、EPDM、IR、IIR、FKM、VMQ、U、T、CO、ACM等のうち、少なくとも1種類以上から構成されるゴム弾性体、SBS、SIBS、SEBS、SIS、SEPS、SEEPS、TPO、TPU、TPEE、TPAE、TPVC、1、2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等、そして、それらの複合体なども使用することが可能である。
したがって、栓部材8が弾性膜体7の胴部7bに設けられると、栓部材8は、弾性膜体7内面に密着(接触)し、栓部材8と密着(接触)している弾性膜体7の胴部7bは外方に膨張するように弾性変形することとなる。栓部材8は、弾性膜体7が弾性変形することによって生じた弾性力によって押さえ付けられ、弾性膜体7内で保持されている。
弾性膜体7は薄膜製であるので、密着(接触)部分では、弾性膜体7の内面及び外面は球状シール面14の球面形状に対応して球面状に弾性変形されている。したがって、密着(接触)部分では、球状シール面14と弾性膜体7とによるシールが、球面同士の密着(接触)によってなされるのである。このように、球面同士の密着(接触)では、密着(接触)部分における各接点における弾性膜体7の弾性力は、球状シール面14の球心に向かう求心方向に作用することになる。
弾性膜体7の胴部7b内面には、球状シール面14による第1のシールとは別に、栓部材8と密着(接触)して第2のシールを行う環状突起部15(シールリング部)が設けられている。環状突起部15は、図1に示すように断面視で円弧状の曲面形状に形成されている。この環状突起部15は、弾性膜体7の胴部7b内面から内方突出状に形成されており、その全周に栓部材8が密着(接触)することでシールをしている。
図1において、環状突起部15の下方には取付部材9を掛止する掛止部16が形成されている。この掛止部16は、弾性膜体7の胴部7cの内周に沿って形成された環状の突起部からなる。
取付部材9の上側中途部分は弾性膜体7が被せられる被着部21とされており、被着部21の上部の外周面には前記掛止部16が嵌る環状凹部22が形成されている。弾性膜体7を被着部21に被せたときに弾性膜体7の掛止部16が環状凹部22に嵌合することによって、弾性膜体7と取付部材9とは強固に結合している。
取付部材9の外面において、前記環状凹部22の下方には外方突出状の環状突起部23が形成されており、この環状突起部23に弾性膜体7の胴部7cが被せられている。
逆流防止口栓4が容器口部3に取り付けられた状態では、取付部材9の環状突起部23と容器口部3の上端の周縁部24との間に弾性膜体7の基端部(吐出口5とは反対の端部)が挟まれており、これによって、容器口部3から流動体が漏れないようにシールされている。
収縮可能な容器本体2を外部から押圧することによって内圧が上昇すると、流動体は栓部材8を吐出口5側に押圧する。このとき、栓部材8は環状突起部15から離れ、第2のシールが解除される。さらに流動体は、弾性膜体7の厚肉部12以外の部分を、球状シール面14から離れるように押し広げる。これによって第1のシールが解除され、流動体は球状シール面14と薄肉部13の間を通じて吐出口5から吐出される。
このとき薄肉部13は、図2の1点鎖線Aの状態から実線Bで示すように膨張し、また、厚肉部12上端近傍での薄肉部13では1点鎖線Cの状態から2点鎖線Dで示すように膨張変形し、薄肉部13と球状シール面14の間に吐出口5までの流通路が形成され、流動体はこの流通路を通じて吐出口5から吐出されることになる。
したがって、弾性膜体7に厚肉部12を設けたことによって、使用時に栓部材8が吐出口5を内側から塞ぐことがなくなり、不使用時には吐出口5を内側から塞ぐように栓部材8と弾性膜体7とを密着(接触)させてシールすることができる。すなわち、弾性膜体7の胴部7bの中途部から先端部7aにわたって密着(接触)させて、栓部材8と吐出口5との間に空隙が生じないようにでき、流動体が栓部材8と吐出口5との間に残留することもなく、容器1内の流動体を常に衛生的で新鮮な(酸化、汚染等しない)ままで長期にわたり保存・使用することができるのである。
図4の第2実施形態では、弾性膜体7には環状突起部15が設けられておらず、取付部材59に栓部材8と直接密着(接触)してシールを行うシール部25が設けられている点が第1実施形態と異なる。
シール部25は、筒状の取付部材59の一端部の内面に環状に形成されており、その全周に栓部材8が密着(接触)することでシールがなされている。図4に示すように、シール部25は、断面視で円弧形状の曲面となっている。この第2実施形態では、上述したような球状シール面14の第1のシールと前記シール部25と栓部材8の密着(接触)による第2のシールとの2重シール構造によってシール性能を向上したものになっている。また、弾性膜体7には掛止部16が設けられ、一方、取付部材59には環状凹部22が設けられていて嵌合結合しており、取付部材59の取付位置を規制して第2のシールの位置を正確に保っている。その他の点は第1実施形態とほぼ同様の構成であり、同様の作用効果を奏する。
上述の第1実施形態、第2実施形態では、容器口部3内に取付部材9を装着して逆流防止口栓4を容器口部3に取り付けていたが、この第3実施形態では、逆流防止口栓4は、容器口部3の天面に取付部材79によって容器口部3に容易に固定できるようになっている。なお、容器口部3の外面には外方突出状の突起部26が形成されており、容器口部3はこの突起部26を介してキャップ27を装着できるようになっている。その他の点は、第1実施形態、第2実施形態の構成とほぼ同様の構成であり、同様の作用効果を奏する。
すなわち、厚肉部12の数は1、2または4以上であってもよい。厚肉部12の最大肉厚t1と薄肉部13の肉厚t2との比(t1/t2)は、弾性膜体7の材質の違いに応じて、2または4より大きくしてもよい。厚肉部12の長手方向の長さL1と周方向の長さL2の比L1/L2は、3以上に設定してもよい。またこの比を1以下とし、すなわちL1≦L2の関係として薄肉部13a(間隔Y)を広く設けてもよい。弾性膜体7の吐出口5の周囲に設けられた液溜部11は円筒状以外にも角柱状その他の筒形状としてもよい。上述した各実施形態では、厚肉部12はドーム状の先端部7aの周方向に沿って等間隔に配設していたが、厚肉部12の間隔は等間隔に限らず、間隔を変えて設けてもよい。吐出口5は弾性膜体7に複数形成してもよく、ダックビル状等に限らず、丸孔等にしてもよい。また、吐出口5は、ドーム状の先端部7aの突端に設けられているが、この突端から位置をずらして形成するようにしてもよい。栓部材8は球状に限らず、ラグビーボール状、楕円体等の球状シール面を形成可能なものでもよく、また、栓部材8の材料は、抗菌用に銀またはチタン等の金属を用いてもよく、これらの金属を栓部材8にメッキ、蒸着等を行ったり、これらの金属を樹脂に粉末混合してもよい。
4 逆流防止口栓
5 吐出口
7 弾性膜体
8 栓部材
9 取付部材
12 厚肉部
13 薄肉部
14 球状シール面(第1のシール)
15 環状突起部(第2のシール)
16 掛止部
25 シール部(第2のシール)
59 取付部材
Claims (7)
- 流動体を吐出する吐出口(5)を有していて容器口部(3)に設けられる弾性膜体(7)と、弾性膜体(7)内に配置されていて流動体の流出を閉栓可能な栓部材(8)とを備えた逆流防止口栓(4)において、
前記栓部材(8)は、弾性膜体(7)が弾力的に密着する球状シール面(14)を有しており、
弾性膜体(7)の吐出口(5)側の周囲には厚肉部(12)と薄肉部(13)とが周方向交互に設けられ、
前記厚肉部(12)は、弾性膜体(7)の外面から外方に膨出形成された突起状とされている
ことを特徴とする逆流防止口栓。 - 流動体を吐出する吐出口(5)を有していて容器口部(3)に設けられる弾性膜体(7)と、弾性膜体(7)内に配置されていて流動体の流出を閉栓可能な栓部材(8)とを備えた逆流防止口栓(4)において、
前記弾性膜体(7)は端部に先端部(7a)を有し、
前記吐出口(5)は前記先端部(7a)の突端に設けられ、
前記弾性膜体(7)の吐出口(5)側の周囲には厚肉部(12)と薄肉部(13)とが周方向交互に設けられ、
前記厚肉部(12)は、弾性膜体(7)の外面から外方に膨出形成された突起状とされており、
前記栓部材(8)は弾性膜体(7)が弾力的に密着する球状シール面(14)を有する球状とされていて前記先端部(7a)の内面に密着して設けられており、
前記厚肉部(12)は栓部材(8)の球心と吐出口(5)との間で先端部(7a)に設けられている
ことを特徴とする逆流防止口栓。 - 前記厚肉部(12)は、
肉厚が最大になる部分の表面と前記栓部材(8)の球心とを結ぶ線が、前記吐出口(5)中心と前記栓部材(8)の球心とを結ぶ線に対してなす角度θが、30゜<θ<90゜となるように構成された
ことを特徴とする請求項2に記載の逆流防止口栓。 - 前記先端部(7a)は略半球状であって、
前記栓部材(8)は前記前記先端部(7a)の内面に密着して設けられている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の逆流防止口栓。 - 前記弾性膜体(7)は、
前記厚肉部(12)の最大肉厚t1と前記薄肉部(13)の肉厚t2との比(t1/t2)が2、3または4である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。 - 前記弾性膜体(7)内には、内方に突出状に形成され前記栓部材(8)における前記吐出口(5)と逆側の表面と密着してシールを行う環状突起部(15)が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の逆流防止口栓(4)を容器口部(3)に備えたことを特徴とする容器。
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