JP4090979B2 - フェノール化合物の除去方法 - Google Patents
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Description
そのため、これらの廃液からフェノール化合物を回収処理することは、フェノール樹脂の製造において、極めて重要な課題となっている。
ところで、これらの解決方法としては、活性汚泥方式、活性炭処理、焼却処理等が一般的であるが、これらの処理方法ではイニシャルコスト、ランニングコストが高くなり経済的では無い。また、廃液中に含まれているフェノール類も処理してしまうので、回収再利用が不十分である。
このような問題点を解決する方法として、シクロデキストリンポリマーを利用する方法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。シクロデキストリンは、その空洞の大きさと疎水性相互作用により選択的に化学物質を包接し、条件により、包接した化合物を遊離する性質がある。しかし、シクロデキストリンは水に可溶性のため、不溶化する必要がある。
例えば、β−シクロデキストリンとエピクルヒドリンで架橋したシクロデキストリンポリマーが開示されている(例えば非特許文献2参照)。そして、このデキストリンポリマーを用い、フェノール水溶液からフェノールの吸着効果を測定している。しかし、β−シクロデキストリンをエピクルヒドリンで架橋したシクロデキストリンポリマーでは、吸着量が少なく、除去効率が不十分である。
また、シクロデキストリンとポリイソシアネートからなるシクロデキストリンポリマーが開示されている(例えば特許文献1参照)。そして、このポリマーを使用してニトロフェノールの吸着効果が検討されている。
しかし、ニトロフェノールは、ニトロ基と水酸基の二つの極性官能基を持つ化合物であり、フェノール、クレゾールあるいはキシレノールのような水素またはアルキル基と水酸基を有するフェノール化合物についての除去方法は、開示されていない。
これらのシクロデキストリンモノマーは、単独でも混合して使用しても良い。
ーが得られない。
好ましくは、R1が水素またはメチルである。
具体的には、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、tert−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、アリルフェノール、キシレノールが挙げられる。これらのフェノール化合物は単独又は混合して用いることもできる。
好ましくは、フェノール、クレゾール、キシレノールが挙げられ、より好ましくは、フェノールである。
フェノール濃度が余りに低すぎると、除去効率が低下する場合がある。
また、あまりに濃度が高すぎると、除去操作性に支障をきたす場合がある。
具体的なフェノール化合物含有溶液としては、フェノール樹脂の製造過程から排出され
るフェノール含有廃液が挙げられる。
なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(シクロデキストリンポリマーの合成)
還流冷却基と滴下ロートの備わった300mlのフラスコにβ−シクロデキストリン(β−CD)2.0gに対し、ジラウリン酸ジ−n−ブチル錫(BLTと略記することもある)1滴、精製ジメチルホルムアミド(DMFと略記する)15ml、フットボール型スターラーを入れ、攪拌しながら溶解させた。フラスコ内の窒素置換を十分に行った後、架橋剤2,4−トリレンジイソシアネートを1.8g含むDMF溶液5mlをゆっくりと滴下し、70℃で24時間攪拌した。このときのβ−シクロデキストリンと2,4−トリレンジイソシアネートの使用モル比は1:6であった。反応が進行すると直ちに白色ポリマーが析出した(収率77%)。反応液をクロロホルム中に投じ、一晩攪拌し、DMF、触媒および未反応の架橋剤を除去した。
残留物を吸引ろ過後、さらに水中に投じて数時間攪拌し、未反応のCDを除去した。溶媒抽出後の残留物を吸引ろ過後、60℃で真空乾燥して精製シクロデキストリンポリマーを得た。精製したシクロデキストリンポリマーはボールミルにより粉砕し、粒子径が0.053mm以下のものを除去試験に使用した。
(フェノール化合物の除去試験)
粒子径が0.053mm以下の精製シクロデキストリンポリマー1.0gを50mlの三角フラスコに加え、60℃に加温して均一溶液となったフェノール水溶液(フェノール8.9重量%、クレゾール0.33重量%およびキシレノール0.044重量%含む)5mlを加えて、室温下に2時間攪拌した。その後、シクロデキストリンポリマーを吸引ろ過し、ろ液をガスクロマトグラフィー測定し、ろ液中のフェノール化合物を測定した。その結果、仕込みのフェノールに対し、83.4%が除去されていた。同様にクレゾールでは65.3%、キシレノールでは72.5%が除去された。
これらの結果を表1に示した。
表1に示したようにCDの種類およびジイソシアネートの種類とその使用割合を変えて、実施例1に準じてシクロデキストリンポリマーを合成した。さらに得られたシクロデキストリンポリマーを用いて、フェノール化合物の除去能力を実施例1に準じて行った。
得られた結果を表1にまとめて示した。
なお、Mix−CDは、CD:α−CD:β−CD:γ−CD=50:30:10:10(wt/wt)組成のものを使用した。
また、比較例1および3で合成したシクロデキストリンポリマーは、収率が低く、強度も低かったのでフェノール化合物の除去試験は行わなかった。
フェノール500重量部と37重量%のホルマリン262重量および蓚酸0.3重量部を反応釜に仕込み、100℃、5時間加熱還流した。その後、160〜180℃、40Torrで脱水、脱フェノールを行い、フェノール樹脂製品436重量部を得た。このとき脱フェノールにより回収されたフェノールは54重量部であり、フェノールを7重量%含む水溶液廃液250重量部を得た。
この廃液5mlを、β−シクロデキストリン:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネーオ=1:8(モル比)で合成したシクロデキストリンポリマー1.0gを用いて、実施例1に準じてフェノールの除去試験を行った。その結果、87.6%のフェノールが除去されていた。
Claims (5)
- フェノール化合物含有溶媒からフェノール化合物を除去するに際し、
(1)シクロデキストリンモノマーとして、β−シクロデキストリンを含有し、
該シクロデキストリンモノマー1モルに対して、ジイソシアネート化合物を6〜12モルで反応されて得られるシクロデキストリンポリマーと、
(2)フェノール化合物含有量が、0.1〜30重量%であるフェノール化合物含有溶液とを、
接触させることを特徴とするフェノール化合物の除去方法であって、
前記フェノール化合物含有溶媒中のフェノール化合物が、フェノール、クレゾールおよびキシレノールからなる群の少なくとも1化合物であることを特徴とするフェノール化合物の除去方法。 - フェノール化合物含有溶液が、フェノール樹脂製造過程から排出されるフェノール化合物含有廃液である請求項1に記載のフェノール化合物の除去方法。
- フェノール化合物含有溶媒からフェノール化合物を除去するに際し、
(1)シクロデキストリンモノマーとして、β−シクロデキストリンを含有し、
該シクロデキストリンモノマー1モルに対して、ジイソシアネート化合物を6〜12モルで反応されて得られるシクロデキストリンポリマーと、
(2)フェノール化合物含有量が、0.1〜30重量%であるフェノール化合物含有溶液とを、
接触させることを特徴とするフェノール化合物の除去方法であって、
フェノール化合物含有溶液が、フェノール樹脂製造過程から排出されるフェノール化合物含有廃液であることを特徴とするフェノール化合物の除去方法。 - 上記ジイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアナートである請求項1乃至3いずれかに記載のフェノール化合物の除去方法。
- 上記シクロデキストリンポリマーを粉砕して得られる粒子径の大きさが、0.1mm以下のものを使用する請求項1乃至4いずれかに記載のフェノール化合物の除去方法。
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