JP4090536B2 - 歯科印象用シリコーン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科においてクラウン,インレー,義歯などの歯科補綴物作製に必要とされる口腔内模型を作製する際に使用される型取材(以下、印象材と言う)であって、特に精密印象用として使用される歯科印象用シリコーン組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科用の弾性印象材としては、寒天,アルギン酸塩,多硫化ゴム,ポリエーテルゴム,シリコーンゴムなどを素材としたものが使用されている。これらの弾性印象材は、口腔内から撤去する際に生じる変形が即座に回復するので、アンダーカットのある複雑な形態を有する口腔内の歯牙,歯列,顎,粘膜などの印象採得に適している。
【0003】
これらの弾性印象材の中で、寒天印象材及びアルギン酸塩印象材は、臨床的に適度な弾性を有しているが、反面、永久変形が大きくまた構造上内部に水分を多量に含有しているため、採得した印象から水分の蒸発が起こり経時的に大きな寸法変化を生じる性質がある。更に、引裂強さが弱くちぎれ易いなどの欠点があるため、主に概型印象採得用として用いられている。
【0004】
一方、多硫化ゴム,ポリエーテルゴム,シリコーンゴムなどを素材とした合成ゴム系弾性印象材は、長所として、細部再現性に優れている,経時的な寸法変化が極めて小さい,ちぎれ難い等の性質を有している。このためこれらの合成ゴム系弾性印象材は、主に精密印象採得用として用いられている。しかし、多硫化ゴムを素材としたポリサルファイド系印象材は、不快臭が強く硬化が緩慢である等の欠点がある。また、ポリエーテルゴム系印象材は、親水性に優れ、口腔内のように唾液が存在する状態の印象を採得するには都合がよいが、ゴム弾性が小さく硬化体が硬いため、患者の口腔内から印象を撤去するのに困難を伴う等の欠点がある。またこのポリエーテルゴムには特有の苦味があるため、印象採得時に患者に不快感を与えるという欠点があり、更に永久歪が大きいので、口腔内から印象を撤去する際に変形を生じてしてしまう危険性もある。
【0005】
これに対し、シリコーンゴムを素材とした印象材には、その硬化方式により縮合重合型と付加重合型とがあるが、いずれの型の室温硬化型シリコーンゴムも歯科用シリコーン印象材として利用されている。中でも付加重合型シリコーン印象材は、硬化がシャープであり、永久歪が小さく、寸法変化も極めて少なく精密印象用として最も多用されている。しかし前述のアルギン酸塩印象材と比較して、硬化後の硬度が高く患者の口腔から印象を撤去する際に患者に苦痛を与えるばかりでなく、採得した印象を用いて石膏模型を作製する際に印象から石膏模型を撤去する時に、部位によっては石膏が破折してしまうことがある。また、前記のポリエーテルゴム系印象材と比較して親水性に劣り口腔内の唾液により細部の印象が不鮮明になることがある。更に、引裂強度が十分でないため、患者の口腔内から印象を撤去する際に、印象部位によっては印象材がちぎれてしまい不完全な印象となってしまうこともある。
【0006】
このように、現在使用されている印象材はそれぞれ固有の利点を有しているが欠点も多く、いずれの印象材も患者に苦痛を与えることなく、口腔内の状態を細部まで再現し、適合精度の良い歯科補綴物を作製するための印象材としては不完全なものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前述の各印象材の中で、付加重合型シリコーン印象材は、寸法変化や永久歪が小さく、正確な印象を採得できる点で最も優れていることに着目し、付加重合型シリコーンの優れた特性を活かし、欠点とされている、硬化後の硬度が高く弾性歪が小さいこと,唾液等の水分に対する濡れが悪いこと,そして引裂強度が不十分であること等を改善することにより、精密印象用として優れた性能を備えた歯科印象用シリコーン組成物を開発することを本発明の課題とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、1分子中に脂肪族不飽和炭化水素を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中にけい素原子に直結した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、シリコーン可溶性白金化合物と、無機充填材とで構成されている付加重合型シリコーン印象材に、特定の微粉末シリカと、非イオン系界面活性剤と、メチルフェニルポリシロキサンとをそれぞれ特定量加えることによって、弾性歪が大きく永久歪が小さく弾力性に富み、しかも印象採得時にタレやちぎれが生じることがなく、水との濡れ性に優れた歯科印象用シリコーン組成物を得ることに成功して本発明を完成したのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明に係る歯科印象用シリコーン組成物は、
A)1分子中に脂肪族不飽和炭化水素を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン 100重量部
B)1分子中にけい素原子に直結した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30重量部
C)シリコーン可溶性白金化合物 (AとBの合計量に対して)10〜500ppm
D)無機充填材 10〜500重量部
E)BET比表面積が50〜500m2/gであり表面が疎水化処理された微粉末シリカ5〜50重量部
F)非イオン系界面活性剤 0.5〜50重量部
G)メチルフェニルポリシロキサン 10〜200重量部
の上記A〜Gから成ることを特徴とするものである。
【0010】
A〜Gの各成分から成る本発明に係る歯科印象用シリコーン組成物において、A成分は、1分子中に脂肪族不飽和炭化水素を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。このオルガノポリシロキサンは直鎖状で分子鎖両末端がビニルシリル基で封鎖されたものが好ましく、この場合に末端ビニル基は複数個であってもよいし、ビニル基が鎖中に含まれていてもよい。
【0011】
B成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その分子中にけい素原子に直結した水素原子を少なくとも3個有するものであり、架橋剤として作用する。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、A成分100重量部に対して0.1重量部未満であると硬化体の硬度が低下するばかりではなく、硬化速度も緩慢となり、また30重量部を超えると硬化体が非常に脆いものとなるので好ましくない。
【0012】
C成分であるシリコーン可溶性白金化合物は、付加反応触媒として作用するものであって、公知の塩化白金酸,アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸とオレフィンとの錯体などが使用できる。特に好適には、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体が用いられる。これ等の添加量は、前述のA成分とB成分との合計量に対して10〜500ppmの範囲である。10ppm未満であると硬化速度が遅く、またこの白金化合物の触媒能を阻害する物質が微量存在した場合に硬化が遅くなるなどの難点が生じる。また500ppmを超えると硬化速度が速すぎると共に高価となり経済的な不利を生じる。この塩化白金酸などのシリコーン可溶性白金化合物は、アルコール系,ケトン系,エーテル系,炭化水素系の溶剤,ポリシロキサンオイルなどに溶解して使用することが好ましい。
【0013】
D成分である無機充填材は、石英,クリストバライト,珪藻土,熔融石英,ガラス繊維,二酸化チタン,ヒュームドシリカなどが使用できる。この無機充填材は、前記A成分100重量部に対して10〜500重量部とすればよく、10重量部未満であると硬化体が脆いものとなり、500重量部を超えると粘度が高くなり過ぎて練和時の抵抗が大きくなり過ぎ歯科印象材として適当でない。
【0014】
E成分として用いられる微粉末シリカは、BET比表面積が50〜500m2/gであり表面が疎水化されている。この疎水性の微粉末シリカは、本質的にはメチルトリクロロシラン,ジメチルジクロロシラン,トリメチルクロロシランや、これ等に相当するアルコキシシラン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,ヘキサメチルジシロキサン,ヘキサメチルジシラザン又はその混合物などの表面処理剤で、或いはこれ等の表面処理剤と水とにより、例えば親水性シリカとしてのヒュームドシリカを熱処理して得られる。その表面の活性シラノール基の全部又は大部分が(CH3)3SiO1/2単位,(CH3)2SiO2/2単位,CH3SiO3/2単位等の疎水性基で封鎖された公知の疎水性シリカであればよい。この疎水性微粉末シリカは、硬化体の硬度を上昇させることなく印象材練和物の流動性を目的の流動特性にすることができるばかりではなく、後に詳述するF及びG成分との相互作用により水との濡れ性の向上にも役立っている。また、引裂強度も向上するため、印象を撤去する際に細部に侵入した印象材もちぎれる恐れがない。この疎水性微粉末シリカのBET比表面積は50〜500m2/gでなければならず、BET比表面積が50m2/g未満であると引裂強度が充分でなく印象材がちぎれてしまい、また500m2/gを超えると永久歪が大きくなり過ぎて適当でない。また、この疎水性微粉末シリカの配合量は、A成分100重量部に対して5〜50重量部である。5重量部未満であると引裂強度が不十分であると共にポリシロキサンオイルのブリードが生じ易くなり、50重量部を超えると組成物の粘度が高くなりすぎ練和操作が困難になってくる。
【0015】
F成分である非イオン系界面活性剤としては、親油基であるアルキル基に親水基が組合わさった非イオン系界面活性剤か、又は親油基であるアルキル基中の水素がフッ素で置換されたフルオロカーボン基に親水基が組合わさった非イオン系界面活性剤が適当である。
【0016】
親油基であるアルキル基に親水基が組合わさった非イオン系界面活性剤としては、
(1) ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシプロピレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどで、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加モル数が1〜30、アルキル基の炭素数が12〜22であるエーテル型のもの、
(2) ソルビタン脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,エチレングリコール脂肪酸エステル,ポリエチレングリコール脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどで、多価アルコールと炭素数12〜22である脂肪酸の部分エステル型のもの、
(3) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンマンニタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルなどで、エチレンオキサイドの付加モル数が1〜30、脂肪酸の炭素数が12〜22であるエーテルエステル型のもの、
(4) ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレンラノリン誘導体,ポリオキシエチレンミツロウ誘導体などで、付加モル数1〜30のエチレンオキサイドを付加重合させたもの、エチレンオキサイドとのエステル型のもの、
が挙げられる。
【0017】
また親油基であるアルキル基中の水素がフッ素で置換されたフルオロカーボン基に親水基が組合わさった非イオン系界面活性剤としては、
次に示す一般式で代表されるものがある。
Rf−O(CnH2nO)nH
RfO(CH2n)1O(CnH2nO)m
RfBN(R')(C2H4O)nH
式中 Rf:炭素数1〜20のフッ素化脂肪族基又はフッ素化芳香族基で、脂肪族基は直鎖状,分岐状,環状の何れのものでもよい。
B:2価の連結基(例−SO2−,−CO−など)
R':水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基
l,m,n:1〜50の整数
【0018】
本発明で使用する非イオン系界面活性剤は、E成分とG成分との共存下で水との濡れを良くする目的に有効に作用する。この非イオン系界面活性剤の含有量はA成分に対して、0.5〜50重量部の範囲でなければならない。0.5重量部未満であると水との濡れ性が十分でなく、50重量部を超えると永久歪が大きくなる。なお、これらの非イオン系界面活性剤は単独で用いても2種以上を組合わせて用いても一向に差し支えない。
【0019】
G成分として用いられるメチルフェニルポリシロキサンとしては,下記に示したものを使用することができる。
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、Rはメチル基又はフェニル基であり、m,nはそれぞれ整数で m ≧0, n ≧0である。)
【0022】
このG成分であるメチルフェニルポリシロキサンは、永久歪を変化させることなく硬化体を軟らかくし、弾性歪を大きくする効果を有する。更に、このメチルフェニルポリシロキサンは、E成分とF成分との共存下で水との濡れ性を向上させる。このメチルフェニルポリシロキサンの含有量は、A成分に対して10〜200重量部でなければならず、10重量部未満であると充分な弾性が得られず、200重量部を超えると硬化体表面からブリードが起こるので適当でない。
【0023】
更に本発明においては、組成物の特性を失わない範囲で各種の無機或いは有機の着色剤を使用してもよい。これには例えばベンガラ,チタン白,チタンイエロー,コバルトブルーなどの通常のシリコーン印象材に用いられる着色剤などがある。
【0024】
【実施例】
次に本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれ等に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
下記組成のベースペーストとキャタリストペーストとを作製した。
(ベースペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・メチルハイドロジェンシロキサン単位を40モル%含有す 3重量部
る直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 10重量部
・石英 20重量部
(キャタリストペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン−白金錯体0.4重 3重量部
量%含有シリコーンオイル溶液
・BET比表面積が100m2/gであり表面が(CH3)3SiO1/2単 10重量部
位で封鎖された疎水性微粉末シリカ
・メチルフェニルポリシロキサン 20重量部
(フェニル基含有率:5モル%)
【0026】
前記したベースペーストとキャタリストペーストとを等量採取し、スパチュラで30秒間練和し、JIS T 6513の試験法に準じて弾性歪,永久歪を測定した。この弾性歪の値が大きいほど硬化体は軟らかく、永久歪の値が小さいほど硬化がシャープで変形が少ないことを示している。引裂試験は、同様にペーストを練和後、JIS K 6301の試験法の中の引裂試験片A型により試験した。水との濡れ性については、同様にペーストを練和後、直径:30mm,厚さ:1mmの円板状試料を作製後、接触角計を使用して水との接触角を測定した。結果は表1に纏めて示した。
表1に示した通り、実施例1の組成物は、弾性歪が大きいが永久歪は十分に小さく、シャープに硬化し、硬化体も軟らかく変形が少ないものであった。また引裂強度は高く、ちぎれ難いことも確認された。更に、水との接触角は小さく、水との濡れ性に優れていた。
【0027】
実施例2
下記組成のベースペーストとキャタリストペーストとを作製した。
(ベースペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・メチルハイドロジェンシロキサン単位を40モル%含有す 3重量部
る直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1重量部
・石英 800重量部
(キャタリストペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン−白金錯体0.4重 3重量部
量%含有シリコーンオイル溶液
・BET比表面積が100m2/gであり表面が(CH3)3SiO1/2単 20重量部
位で封鎖された疎水性微粉末シリカ
・メチルフェニルポリシロキサン 400重量部
(フェニル基含有率:25モル%)
・石英 200重量部
【0028】
前記したベースペーストとキャタリストペーストを等量採取し、スパチュラで30秒間練和し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表1に纏めて示した。
表1に示した通り、実施例2の組成物は、弾性歪が大きいが永久歪は十分に小さく、シャープに硬化し、硬化体も軟らかく変形が少ないものであった。また引裂強度は高く、ちぎれ難いことも確認された。更に、水との接触角は小さく、水との濡れ性に優れていた。
【0029】
実施例3
下記組成のベースペーストとキャタリストペーストとを作製した。
(ベースペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・メチルハイドロジェンシロキサン単位を40モル%含有す 3重量部
る直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン
・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 100重量部
・クリストバライト 100重量部
(キャタリストペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン−白金錯体0.4重 3重量部
量%含有シリコーンオイル溶液
・BET比表面積が100m2/gであり表面が(CH3)3SiO1/2単 100重量部
位で封鎖された疎水性微粉末シリカ
・メチルフェニルポリシロキサン 150重量部
(フェニル基含有率:50モル%)
【0030】
前記したベースペーストとキャタリストペーストとを等量採取し、スパチュラで30秒間練和し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表1に纏めて示した。表1に示した通り、実施例3の組成物は、弾性歪が大きいが永久歪は十分に小さく、シャープに硬化し、硬化体も軟らかく変形が少ないものであった。また引裂強度は高く、ちぎれ難いことも確認された。更に、水との接触角は小さく、水との濡れ性に優れていた。
【0031】
比較例1
E成分を有さない点で本発明と相違する下記組成のベースペーストとキャタリストペーストとを作製した。
(ベースペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・メチルハイドロジェンシロキサン単位を40モル%含有す 3重量部
る直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 10重量部
・石英 50重量部
(キャタリストペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン−白金錯体0.4重 3重量部
量%含有シリコーンオイル溶液
・メチルフェニルポリシロキサン 100重量部
(フェニル基含有率:25モル%)
・石英 100重量部
【0032】
前記したベースペーストとキャタリストペーストとを等量採取し、スパチュラで30秒間練和し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表1に纏めて示した。表1に示した通り、永久歪は小さいが、弾性歪も小さく硬化体が硬いことが判った。また引裂強度が低く、ちぎれ易いことが確認された。
【0033】
比較例2
G成分を有さない点で本発明と相違する下記組成のベースペーストとキャタリストペーストとを作製した。
(ベースペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・メチルハイドロジェンシロキサン単位を40モル%含有す 3重量部
る直鎖状メチルハイドロジェンポリシロキサン
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 10重量部
・石英 50重量部
(キャタリストペースト)
・分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された 100重量部
ジメチルポリシロキサン
・1,3ジビニルテトラメチルジシロキサン−白金錯体0.4重 3重量部
量%含有シリコーンオイル溶液
・BET比表面積が100m2/gであり表面が(CH3)2SiO2/2単 50重量部
位で封鎖された疎水性微粉末シリカ
【0034】
前記したベースペーストとキャタリストペーストとを等量採取し、スパチュラで30秒間練和し、実施例1と同様の試験を行った。結果は表1に纏めて示した。表1に示した通り、永久歪は小さいが、弾性歪も小さく硬化体が硬いことが判った。また接触角も前記各実施例の組成物より大きく、水との濡れ性に劣ることが確認された。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、本発明に係る歯科印象用シリコーン組成物は、弾性歪が大きいものの、永久歪は小さく、硬化後も軟らかく、そのため患者の口腔内から印象を撤去する際にも患者に苦痛を与えることなく容易に撤去でき、しかも撤去時にも変形やちぎれ等の恐れもなく、また得られた印象に、石膏等の模型材を注入後、その模型材を撤去する際にも容易に撤去することができる効果を有しているのである。
【0037】
更に、本発明に係る歯科印象用シリコーン組成物は、水との濡れ性にも優れており、口腔内の細部の印象を精密に採得することができ、複雑な印象採得も失敗することなく確実に行うことができる効果も有しているのである。
【0038】
このように本発明に係る歯科印象用シリコーン組成物は、従来の歯科印象材の欠点を克服した性能の優れた歯科印象用の材料を開発することに成功したものであり、歯科医は勿論のこと、患者,技工士いずれれの立場においても極めて有用なものであり、その歯科分野に貢献する価値の非常に大きなものである。
Claims (1)
- A)1分子中に脂肪族不飽和炭化水素を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン 100重量部
B)1分子中にけい素原子に直結した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30重量部
C)シリコーン可溶性白金化合物 (AとBの合計量に対して)10〜500ppm
D)無機充填材 10〜500重量部
E)BET比表面積が50〜500m2/gであり表面が疎水化処理された微粉末シリカ5〜50重量部
F)非イオン系界面活性剤 0.5〜50重量部
G)メチルフェニルポリシロキサン 10〜200重量部
とから成ることを特徴とする歯科印象用シリコーン組成物。
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