JP4090237B2 - ポテンショメータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、電気機器等に組み込まれて位置角度制御に利用されるポテンショメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような分野の技術として、特開昭57−92107号公報等がある。この公報に記載されたポテンショメータでは、基板上の周縁にC字状の第1の抵抗体を固定し、この抵抗体を、電気入力部に半田を介して接続する。また、基板上の中央には、電気出力部に半田を介して接続したO字状の第2の抵抗体が固定されている。さらに、回転シャフトに固定した金属製の接点部材には、第1の抵抗体に摺動接触する第1のブラシ片と、第2の抵抗体に摺動接触する第2のブラシ片が設けられている。そこで、回動シャフトを所定の角度だけ回動させた場合、各ブラシ片は、それぞれの抵抗体の表面上を滑りながら移動し、第1の抵抗体上におけるブラシ片の先端部分の変位によって、第2の抵抗体からの出力電圧が変化し、この電圧変化に基づいて回転シャフトの回転角度が計測される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のポテンショメータは、電気入力側の第1の抵抗体に摺動接触する第1のブラシ片と、電気出力側の第2の抵抗体に摺動接触する第2のブラシ片とを有し、電気入力側と電気出力側とにそれぞれ摺動接点を必要とする。そして、摺動接点の増大は摩耗粉の発生量を増大させ、各摺動接点に摩耗粉やゴミが付着すると接触抵抗が増大する。このことが、各摺動接点での電圧降下を引き起こし、出力電圧の正確な測定を阻害して、ポテンショメータの信頼性を低下させるといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、特に、摺動接点部を可能な限り少なくして、信頼性を向上させるようにしたポテンショメータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るポテンショメータは、基板上に設けられて、電気入力部に接続された抵抗体と、回転軸に固定されて、抵抗体上を摺動接触する導電性の接点部材とを有するポテンショメータにおいて、
接点部材の一端には、抵抗体上を摺動する摺動接点部が設けられ、接点部材の他端は基板に設けられた電気出力部に固定され、
摺動接点部と電気出力部とは、回転軸の回転方向において弾性変形可能な導電性の接続用バネ部を介して互いに連結され、
弾性をもった導電性金属からなる薄板の一体成形によって、接点部材に接続用バネ部を作り出したことを特徴とする。
【0006】
このポテンショメータにおいては、電気出力側と電気入力側のそれぞれにおいて摺動接点部を採用せず、電気入力側にのみ摺動接点部を採用している。すなわち、このポテンショメータは、接点部材の一端に摺動接点部を設け、接点部材の他端を電気出力部に固定させた状態で利用される。本発明では、このような利用を可能にするために、回転軸の回転方向において弾性変形可能な導電性の接続用バネ部を介して、電気入力側の摺動接点部と電気出力部とを互いに連結されている。よって、摺動接触部分の数や接触面積を可能な限り減らすことができ、これにより摩耗粉の発生確率を低減させ、結果的にポテンショメータの信頼性を向上させることが可能になる。さらには、接続用バネ部の採用により、回動軸の回転に対する追従性を良好にして、断線をも効果的に防止する。
さらに、弾性をもった導電性金属からなる薄板の一体成形によって、接点部材に接続用バネ部を作り出す。このように、一部品で接点部材を構成させる結果、溶接などによる接続箇所を回避させ、信頼性や耐久性を高めることができる。しかも、部品点数の削減が可能になり、組み立て作業効率をも向上させる。
【0007】
また、接続用バネ部は、蛇行又は螺旋のバネからなると好適である。このような構成のバネ形状は、省スペース化を図ることができ、ポテンショメータの小型化を容易にするものである。そして、このような形状のバネは、比較的回転角度が小さい場合に特に有効である。
【0008】
また、接点部材は、摺動接点部を先端にもった弾性のブラシ片と接続用バネ部との間を回転軸に固定すると好適である。このような構成を採用した場合、ブラシ片の弾性によって、抵抗体に摺動接点部を確実に押し当てることができ、電気的導通を確かなものにする。他方、接続用バネ部によって、回転軸の回転に対する追従性を良好して、断線を適切に回避させて確実な導通を図っている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るポテンショメータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1及び図2は、位置角度制御に利用されるポテンショメータが組み込まれた操作部を示す断面図である。これら図面に示す操作部1は、ビデオカメラ等の電気機器の本体に取り付けられて利用されると共に、ズームの際に指で操作するための揺動レバー2を備えている。この操作部1は、小型軽量化を図ったポテンショメータ3を収容するための樹脂又は金属製のハウジング4を有し、揺動レバー2は、このハウジング4に対し回転軸6を介して取り付けられている。そして、螺旋復帰バネ7を回転軸6に巻き付け、螺旋復帰バネ7の一端を回転軸6に固定し、その他端をハウジング4の突起4aに固定することで、揺動レバー2はニュートラル位置へ自動復帰可能になる。
【0012】
図1〜図3に示すように、このポテンショメータ3は、ハウジング4の内壁面に固定した電気絶縁性の基板8を有し、この基板8には扇状の抵抗体9が固定され、この抵抗体9の両端は、所定の電圧を外部から印加するための2本の電気入力端子(電気入力部)11,12にそれぞれ半田付けされている。さらに、ポテンショメータ3は、導電性の金属(例えば、ベリリウム銅、リン青銅)からなる接点部材13を有している。
【0013】
この接点部材13の中央には、回転軸6から半径方向に延びる腕部14に固定するための平板状のブラケット部16を有している。このブラケット部16には、腕部14から突出させた凸部14aを差し込むための止め穴16aが設けられ、接点部材13の組み付けを容易にしている。よって、凸部14aを止め穴16aに差し込んだ状態で、凸部14aの頂部を押し潰すことにより、接点部材13を腕部14に簡単に固定させることができる。
【0014】
また、ブラケット部16の一端には、弾性をもった3本のブラシ片17の基端が、斜め略20度に延びるようにして固定され、各ブラシ片17の先端には、抵抗体9の表面上を摺動する摺動接点部18が設けられている。そして、各ブラシ片17は、回転軸6の軸線方向に弾性を有し、抵抗体9に対して各摺動接点部18を確実に押し当てることができるので、電気的導通が確かなものになる。従って、回転軸6を所定角度だけ回転させると、腕部14の回動に伴ってブラシ片17を所定量だけ抵抗体9上で確実に摺動させることができる。
【0015】
さらに、ブラケット部16の他端には、均一な幅をもって縦方向(回転軸6の軸線方向)へS字状に蛇行しながら延びる接続用バネ部20の一端が固定されている。また、バネ部20の他端は、基板8に固定した電気出力部21に半田又は溶接を介してしっかりと固定される。このような導電性のバネ部20の採用によって、ブラシ片17と電気出力部21とを電気的に導通させることができる。
【0016】
しかも、図4に示すように、揺動レバー2を指で押すことで、回転軸6の回転に追従してブラシ片17が所定量だけ抵抗体9上を摺動する。このとき、バネ部20は、回転軸6の回転方向において弾性変形するので、回動軸6の回転に対する追従性が良好になり、接点部材13の断線を効果的に防止する。そして、このような蛇行したバネ部20は、省スペース化を図ることができ、ポテンショメータ3の小型化を容易にするものであり、比較的回転角度が小さい場合に特に効果的である。
【0017】
このように、前述したポテンショメータ3においては、電気出力側と電気入力側のそれぞれに摺動接点部を採用せず、電気入力側にのみ摺動接点部18を採用している。すなわち、このポテンショメータ3は、接点部材13の一端に摺動接点部18を設け、接点部材13の他端を電気出力部21に固定させた状態で利用される。そして、前述したバネ部20を接点部材13に設けることで、摺動接点部18の数や接触面積を可能な限り減らすことができ、これにより摩耗粉の発生確率を低減させ、結果的にポテンショメータ3の信頼性を向上させ得る。
【0018】
また、前述した接点部材13は、弾性をもった導電性金属(例えば、ベリリウム銅、リン青銅)からなる薄板の一体成形により作り出している。例えば、薄板を、図5に示すように打ち抜き加工する。その後、プレス加工によって、ブラシ片17を所定の形状に変形させ、さらに、一点鎖線の折り曲げ部S1を直角に折り曲げ、折り曲げ部S2を略45度に折り曲げて、所望形状の接続用バネ部20及びブラシ片17を接点部材13を作り出している。このように、一部品で接点部材13を構成させるメリットは、溶接などによる接続箇所を回避させ、これによって信頼性や耐久性を高める。しかも、低コスト化を実現するために必要な部品点数の削減を可能にし、組み立て作業効率をも向上させている。
【0019】
本発明に係るポテンショメータは前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、電気出力部21に一端を固定させる接続用バネ部30は、均一な幅を有すると共に、横方向(回転軸6の軸線に対して略直交する方向)へS字状に蛇行しながら延びている。さらに、図7に示すように、接続用バネ部40は、均一な幅を有すると共に、縦方向(回転軸6の軸線方向)に螺旋を描きながら延びている。さらには、図8に示すように、接続用バネ部50は、一端がブラケット部16に対して半田又は溶接を介して固定されると共に、回転軸6に巻き付けられるようにして螺旋状に延びる。なお、前述した種々の接点部材13は、一体成形に限定されるものではなく、弾性力の選択の幅を広げるために、ブラシ片17及びバネ部20,30,40を溶接によってブラケット部16に接合させてもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明によるポテンショメータは、以上のように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、基板上に設けられて、電気入力部に接続された抵抗体と、回転軸に固定されて、抵抗体上を摺動接触する導電性の接点部材とを有するポテンショメータにおいて、接点部材の一端には、抵抗体上を摺動する摺動接点部が設けられ、接点部材の他端は基板に設けられた電気出力部に固定され、摺動接点部と電気出力部とは、回転軸の回転方向において弾性変形可能な導電性の接続用バネ部を介して互いに連結され、弾性をもった導電性金属からなる薄板の一体成形によって、接点部材に接続用バネ部を作り出したことにより、摺動接点部を可能な限り少なくして、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポテンショメータの一実施形態を適用するビデオカメラの操作部を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1の操作部に適用したポテンショメータの要部を示す斜視図である。
【図4】操作部の揺動レバーを指で押し下げた状態を示す断面図である。
【図5】ポテンショメータの要部をなす接点部材を示す展開図である。
【図6】他のポテンショメータの要部を示す斜視図である。
【図7】更に他のポテンショメータの要部を示す斜視図である。
【図8】更に他のポテンショメータの要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
3…ポテンショメータ、6…回転軸、7…復帰バネ、8…基板、9…抵抗体、11,12…電気入力端子(電気入力部)、13…接点部材、17…ブラシ片、18…摺動接点部、20,30,40,50…接続用バネ部、21…電気出力部。
Claims (3)
- 基板上に設けられて、電気入力部に接続された抵抗体と、回転軸に固定されて、前記抵抗体上を摺動接触する導電性の接点部材とを有するポテンショメータにおいて、
前記接点部材の一端には、前記抵抗体上を摺動する摺動接点部が設けられ、前記接点部材の他端は前記基板に設けられた電気出力部に固定され、
前記摺動接点部と前記電気出力部とは、前記回転軸の回転方向において弾性変形可能な導電性の接続用バネ部を介して互いに連結され、
弾性をもった導電性金属からなる薄板の一体成形によって、前記接点部材に前記接続用バネ部を作り出したことを特徴とするポテンショメータ。 - 前記接続用バネ部は、蛇行又は螺旋のバネからなることを特徴とする請求項1記載のポテンショメータ。
- 前記接点部材は、前記摺動接点部を先端にもった弾性のブラシ片と前記接続用バネ部との間を前記回転軸に固定したことを特徴とする請求項1又は2記載のポテンショメータ。
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