JP4089664B2 - スラブの冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造により製造された複数枚のスラブを限られたスペース内にて短時間に冷却する方法に関し、さらに詳しくは、反りやマーキング部の錆を防止しつつ、安価に、かつ効率良くスラブを冷却する方法に関する。
鋳造されたスラブを船舶などにより搬送する場合には、ハンドリングの観点から、表面温度が常温になるまで冷却する必要がある。しかしながら、高温のスラブを冷却する場合に、冷却方法次第では、反りが発生するという問題がある。
図2は、スラブにおける反りの発生機構を模式的に示す図であり、同図(a)は冷却前の状態を、同図(b)および(c)は冷却中の状態を、そして同図(c)は冷却完了時の状態をそれぞれ示す。
高温のスラブを水冷する際に、1枚のスラブ内にて温度差が生じると、熱膨張差により反りが生じる。同図(a)に示されるように、冷却前には反りのないスラブも、同図(b)のように、水冷によりスラブの上面が下面に比較して低温になると、上面における熱膨張量が下面における熱膨張量よりも小さくなり、スラブは下に凸の形状に反ることとなる。冷却が進みスラブの上面と下面の温度差が小さくなってくると、熱膨張量の差による反り量は減少してくる。しかし、高温状態であることからスラブ材料の降伏応力が小さく、材料が降伏して塑性変形を生じやすい。そのため、同図(c)に示されるように、スラブの自重などに基づく外力により塑性変形を起こし、スラブ内の温度差が減少するにつれて、この塑性変形分が反りに変化していく。そして、同図(d)に示されるとおり、冷却完了時においては、上に凸の形状の反りが残る。
反りの発生したスラブは、次工程の熱間圧延において圧延ロールへの突っ掛けなどの設備トラブルを招きやすく、熱間圧延工程における操業阻害となる。
一方、スラブ表面が低温状態で冷却水などによる水分に曝されると、スラブ表面に酸化皮膜が発生し、マーキング面においては、鋳込時に書かれたマーキング内容の読取りが難しくなり、その後の工程においてスラブ番号の識別が困難となる。そのため、冷却後に、再マーキングの工程が必要となり、これがコスト上昇および生産性の低下につながる。
連続鋳造後の高温スラブの冷却に関しては、例えば、下記の特許文献1や特許文献2に開示された方法および設備がある。
特許文献1には、スラブを装入する開口を有する回転可能なターナーと、ターナーを所定の角度だけ回転させる駆動機構と、開口内に装入されたスラブを散水冷却する冷却装置と、スラブを開口内に装入および開口から放出する機構からなるスラブ冷却装置が開示されている。
また、特許文献2には、スラブの移動方向に平行して、スラブの上方に配置された複数の冷却水管と、冷却水管の各に下向きに取り付けられた複数のスプレーノズルと、冷却水管の相互の間隔の調節機構と、スラブからの冷却水管の高さ調節機構を具備し、スラブの幅および厚さに応じた冷却水のスプレー域を、冷却水管のスラブ幅方向における配置間隔とスラブからの高さの変更とによって可能としたスラブ冷却装置が開示されている。
しかし、特許文献1または2に開示された装置は、スラブを1枚づつ冷却する装置であり、冷却効率が低く、しかも大掛かりな設備機構が必要となる。
また、複数枚のスラブを同時に冷却する方法としては、特許文献3に、高温スラブを複数枚積層し、積層スラブの最上段スラブの反りを防止するために、最上段スラブの上面に水滴付着防止処置を施して、高温スラブの長手方向両側面に冷却水を散水する鋳片の冷却方法が開示されている。同文献中の実施例には、水滴付着防止板として、冷片スラブを最上段に積載する方法が記載されているが、同方法では下記に示す問題がある。
図3は、前記特許文献3に記載された冷却方法および後述する本発明の冷却方法の作業流れを比較して示す図であり、同図(a)は特許文献3に記載された冷却方法の作業流れを、また、同図(b)は本発明の冷却方法の作業流れを、それぞれ示す。同図(a)の特許文献3に記載された冷却方法においては、水冷前後において冷片スラブなどの水滴付着防止板のハンドリング作業が必要であり、そのための工数増大が予想される。
さらに、水冷場または、その近辺にクレーン設備、および様々のスラブサイズに対応する為の大きさの異なる複数種類の冷片スラブなどの水滴付着防止板を置くスペースが必要となる。したがって、設備費が増大し、水冷設備の設置場所も限定される。また、錆の発生やその対策に関する配慮がなされておらず、錆が発生した場合には再マーキングが必要となり、コスト上昇および生産性の低下を招く。
特開昭56−33120号公報(特許請求の範囲および2頁左上欄)
特開昭60−33810号公報(特許請求の範囲および2頁左上欄) 特開平11−286728号公報(特許請求の範囲および段落[0004])
本発明は、連続鋳造後の高温スラブの冷却にともなう問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、複数枚積み上げられたスラブに生産性の阻害を招く特別な処置を施すことなく、適正な散水範囲に散水することにより、反りおよび錆の発生を防止することができるスラブの冷却方法を提供することにある。
また、別な面からは、水冷およびその付帯設備以外の、例えば、クレーン、置場スペースなどの特別な設備を要することなく、安価な冷却設備によりスラブの冷却を可能とする方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、スラブの反りを抑制するための散水範囲、およびスラブのマーキング部における錆の発生を抑制するための散水時のスラブ表面温度を検討し、下記の(a)〜(e)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)スラブへの散水冷却は、スラブの側面の表面温度が600℃以下において行うのが適切である。600℃以上において散水すると、スラブの両側面の散水状況の偏差などによりスラブの横方向の反りを生じやすいからである。また、散水冷却の冷却速度の確保およびスラブの冷却処理の能率確保の面から、積み上げ高さは1m以上とすることが適切である。
(b)スラブの水冷却は、積層されたスラブの両側面への散水冷却が適切であり、積層後のスラブの長手方向の両側面を冷却できるように散水冷却設備を配置できるスペースを確保して積層することが好ましい。両側面を冷却するための散水冷却設備を配置できるスペースを確保して積層されていない場合には、散水装置を両側面に配置することが困難となり、片側面のみの冷却とならざるを得ず、水平面内におけるスラブの横方向への反りが発生しやすくなるからである。
(c)散水冷却の範囲は、積み上げられたスラブの最上段のスラブの上面から下向きに少なくとも0.3mまでの範囲を除く下部の範囲とするのが適切である。最上段のスラブの上面から下向きに0.3m以内の範囲を散水冷却すると、散水が飛散して最上段スラブの上面を急冷し、最上段のスラブに反りが発生しやすいからである。
(d)散水冷却の範囲は、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面からスラブの長手方向中央部に向かって少なくとも1mまでの範囲を除くスラブ側面とすることが好ましい。スラブ長手方向の端面から1m以内の範囲に散水すると、その散水が飛散し、または、スラブ間の間隙を伝わってマーキング面に回り込み、スラブを酸化させるので、マーキングの読みとりが困難となりやすいからである。
(e)散水冷却は、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面の表面温度が100℃以下に達する前に停止するのが好ましい。前記端面の表面温度が100℃以下になるまで散水すると、スラブの隙間に溜まり込んだ冷却水がマーキング面に回り込み、スラブを酸化させるので、マーキングの読みとりが困難となりやすいからである。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示すスラブの冷却方法にある。
(1)連続鋳造されたスラブを、側面の表面温度が600℃以下になるまで大気中で放冷した後、高さ1m以上に積層するか、または、連続鋳造された直後のスラブを、高さ1m以上に積層した後、側面の表面温度が600℃以下となるまで大気中で放冷し、その後、前記の積層された最上段のスラブの上面から下向きに少なくとも0.3mまでの範囲を除いて、その下部に位置するスラブの長手方向の両側面を散水冷却することを特徴とするスラブの冷却方法(以下、「第1発明」とも称する)。
(2)前記(1)に記載のスラブの冷却方法において、スラブを高さ1m以上に積層するに当たり、積層後のスラブの長手方向の両側面を冷却するための散水冷却設備を配置できるスペースを確保することを特徴とするスラブの冷却方法(以下、「第2発明」とも称する)。
(3)前記(1)または(2)に記載のスラブの冷却方法において、さらに、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面からスラブの長手方向中央部に向かって少なくとも1mまでの範囲を除いて、スラブの長手方向の両側面を散水冷却し、前記のマーキングが施されたスラブ長手方向の端面の表面温度が100℃以下に達するまでに散水冷却を停止することを特徴とするスラブの冷却方法(以下、「第3発明」とも称する)。
本発明において、「スラブ側面の表面温度」とは、スラブ側面の表面温度の長手方向の平均値、または、側面の長手方向中央部の表面温度をいう。
「スラブ長手方向の端面の表面温度」とは、スラブの長手方向端面の表面温度の平均値、または、長手方向端面の幅方向中央部の表面温度をいう。
また、「散水冷却設備を配置できるスペースを確保する」とは、スプレーノズルなどの散水冷却設備を配置するために必要なスペースを確保すること意味し、積層されたスラブの長手方向の両側面に沿って側面から少なくとも1m以上の幅を有する領域を確保することをいう。
本発明のスラブの冷却方法によれば、連続鋳造後のスラブを複数枚積層した後に、散水冷却するに際し、散水範囲および散水時のスラブ表面温度の範囲を適正化することにより、生産性の阻害を招くような特別な処置を施すことなく、スラブの反りの発生を防止し、また、ガスなどにより切断されたスラブ横断面(長手方向端面)のマーキング部における錆の発生を防止しつつ、安価に、かつ、効率良くスラブを冷却することができる。
本発明は、前記したとおり、連続鋳造されたスラブを、側面の表面温度が600℃以下になるまで大気中で放冷した後、高さ1m以上に積層するか、または、連続鋳造された直後のスラブを、高さ1m以上に積層した後、側面の表面温度が600℃以下となるまで大気中で放冷し、その後、前記の積層された最上段のスラブの上面から下向きに少なくとも0.3mまでの範囲を除いて、その下部に位置するスラブの長手方向の両側面を散水冷却することを特徴とするスラブの冷却方法である。以下に、本発明の範囲を前記のとおり規定した理由および好ましい範囲について説明する。
1)スラブの積層高さ:
スラブの積層高さが低い場合には、放冷(空冷)による冷却速度は速く、積層高さが1m未満では、放冷のみであっても冷却速度はすでに充分に速く、散水による冷却速度の増大効果は小さい。また、積層高さが1m未満では、スラブの運搬に要する台車数が増大し、さらに、スラブ積層のための広大なスペースが必要となり、設備費などの増大を招く。
これに対して、スラブの積層高さを高くして、積層高さを1m以上とした場合には、放冷のみによる冷却速度は遅く、したがって、散水冷却による冷却速度の増大効果は大きくなる。また、スラブの運搬に必要な台車数を減少させることができ、スラブ置場の面積を縮小させることも可能である。そこで、スラブの積層高さの適正範囲を1m以上とした。なお、台車などによるスラブの搬送中、散水冷却中、または静置中における積層スラブの荷崩れ防止などの安全上の観点から、スラブ積層高さは3.5m以下とすることが好ましい。
2)散水冷却時のスラブ温度:
スラブへの散水冷却は、スラブの側面の表面温度が600℃以下において行うのが適切である。600℃以上において散水冷却を行うと、スラブの幅方向の散水状況の偏差などによりスラブの横方向の反りを生じやすいからである。また、散水冷却の効率を確保するためには、側面の表面温度が400℃以上の温度範囲で散水冷却することが好ましい。
なお、散水冷却は、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面の表面温度が100℃以下に達するまでに停止するのが好ましい。端面の表面温度が100℃以下になるまで散水すると、スラブの隙間に滞留した冷却水がマーキング面に回り込んでスラブを酸化させ、マーキングの読みとりが困難となりやすいからである。
3)積層スラブの周囲のスペース:
スラブの水冷却は、積層されたスラブの両側面を散水冷却するのが適切である。積層後のスラブの長手方向の両側面を冷却するためには、両側面を散水冷却できる冷却設備を配置できるスペースを確保してスラブを積層することが好ましい。その理由は、両側面を冷却するための散水冷却設備を配置できるスペースを確保せずにスラブが積層されている場合には、散水冷却装置を積層されたスラブの両側面に配置することが困難となり、したがって、スラブ長手方向の両側面を散水冷却することが困難となるからである。
スラブの側面の表面温度が200℃以上において、積層スラブの片側面のみを散水冷却した場合には、散水冷却されていない他方の側面とのスラブ表面の温度差は100℃以上に達し、その結果、スラブの横方向への反りが発生しやすくなる。すなわち、高温状態ではスラブ材質の降伏応力は小さいため、上部に積載されたスラブの重量により発生する摩擦により熱膨張の差異により変形が拘束されてスラブ内部に熱応力が発生し、これによりスラブに塑性変形が発生する。冷却後に熱膨張の差異がなくなった時点で、前記の塑性変形分が横方向の反りを発生させることになる。
4)積層スラブの高さ方向の散水範囲:
図1は、本発明の冷却方法における散水範囲を示す図である。散水冷却の範囲は、積層されたスラブの最上段のスラブ上面から下向きに少なくとも0.3mまでの範囲を除く下部の範囲(同図中のABCDで囲まれる範囲)とするのが適切である。最上段のスラブの上面から下向きに0.3m以内の範囲を散水冷却すると、散水が飛散して最上段スラブの上面を急冷し、最上段スラブの上面と下面との熱膨張の差により反りが発生するからである。
すなわち、最上段のスラブは、上記の熱膨張の差により下に凸の形状に反り変形を起こすが、これと同時に、スラブの自重などにより、上記の変形を阻止する外力が加わる。高温状態においては、スラブ材料の降伏応力は小さいことから、スラブは降伏しやすく、下に凸の形状を打ち消す方向に塑性変形を起こす。そして、冷却が進行し、スラブの上面と下面とで温度差がなくなるにつれて、上記の塑性変形分が上に凸の形状の反りへと変化していき、これが永久変形として残る。
5)積層スラブの長手方向の散水範囲:
積層スラブの長手方向の散水冷却の範囲は、マーキングが施されたスラブ長手方向の切断端面からスラブの長手方向中央部に向かって少なくとも1mまでの範囲を除くスラブ側面(図1中のEFCDで囲まれる範囲)とすることが好ましい。前記端面から1m以内の範囲に散水すると、その散水が飛散し、または、スラブ間の間隙を伝わってマーキング面に回り込み、スラブを酸化させるので、マーキングの読みとりが困難となりやすいからである。
また、散水ノズルの形式については、均一に散水できるものであれば特に規定されるものではなく、例えば、フラットタイプ、フルコーンタイブなどのいずれを用いてもよい。
以上に説明した本発明の冷却方法によれば、前記図3の(b)に示したとおり、水滴付着防止板の積載および取り外しなどの作業も不要であり、作業工程を省略でき、しかも、スラブの反りの発生を防止できる。さらに、マーキング部における錆の発生をも防止しつつ、効率良くスラブを冷却することができる。
本発明に係るスラブの冷却方法の効果を確認するため、以下に述べる試験を実施し、その結果を評価した。
表1に、試験条件および試験結果を示した。
Figure 0004089664
同表において、試験条件としては、散水範囲、散水量、散水時間、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面(以下、「マーキング面」とも称する)の表面温度およびスラブ側面の表面温度を表示し、また、試験結果は、縦反り量、横反り量およびマーキングの読取り状況を表示した。
(試験方法)
連続鋳造により鋳造された幅1250mm、厚さ230mm、長さ10mで、初期表面温度900℃の高温のスラブを、9段(9枚)積層して高さ2.07mとした後、スラブ側面の表面温度が所定の温度になるまで放冷を行った。その後、横1列または複数列に配したフルコーンタイプのノズルを用いて、スラブ側面の表面温度が所定の温度になるまでスラブ表面に散水を行った。その後、表面温度が50℃以下となるまで放冷を行った後、反り量の測定およびマーキング面の錆状況の観察を行った。
反り量の測定は、地面と垂直方向への反り(すなわち、「縦反り」)、および地面と平行な横方向の反り(すなわち「横反り」)について、それぞれ反り量を測定した。反りの評価は、上記のようにして測定された縦反り量および横反り量が、次工程の熱間圧延工程においてトラブルを引き起こす反り量である5mm/m以上の場合を、それぞれ不良(×)とし、5mm/m未満の場合を、それぞれ良好(○)とした。
マーキング面におけるマーキングの読みとり状況の評価は、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面(横断面全体)に対して錆の発生した面積の占める比率を測定し、散水された冷却水により5%以上の面積にわたって錆が生じマーキングの読みとりが困難な場合を不良(×)、錆の発生面積が5%未満で読取り可能な場合を良好(△)、そして、錆が全く発生しなかった場合を極めて良好(○)とした。
また、スラブ表面温度の測定は、下記のように行った。すなわち、スラブ側面の表面温度については、積層されたスラブの下から5層目のスラブの片側側面の中央部を測定し、これを側面表面温度とした。また、マーキング面の表面温度については、ガス切断されたスラブ長手方向の端面(スラブ横断面)のうち、マーキングを行った面の中央部の2箇所について測定し、その平均値をマーキング面表面温度とした。なお、散水前の温度は放射型温度計により測定し、散水後の温度については、表面を乾燥後、接触型温度計により測定した。
(試験結果)
試験番号1、2、5〜7および9は、それぞれ、本発明(第1発明)で規定する条件を満たす本発明例についての試験であり、試験番号3、4および8は、それぞれ、本発明で規定する条件のうちの少なくとも1つが満足されない比較例についての試験である。
試験番号1および2は、スラブ側面の表面温度が600℃以下となるまで放冷後、スラブ上面から0.3mを超えて下方の範囲に位置し、かつ、スラブのマーキング面から1mを超えて長手方向中央寄りの範囲に位置するスラブ側面に散水し、マーキング面の表面温度が100℃以下に達するまでに散水を停止している。すなわち、本発明で規定する条件および好ましい条件をいずれも満足していることから、縦反り、横反りおよびマーキング読取り状況はいずれも良好であった。
試験番号3および4は、散水範囲が最上段のスラブ上面に近すぎる点において、本発明で規定する条件から外れている。すなわち、試験番号3は、スラブ上面から0.2mを超える下部の範囲から、また、試験番号4は、スラブ上面と同じ高さ位置から下部の全範囲の側面に散水を行った例である。その結果、試験番号3では、スラブ側面に散水した冷却水が最上段スラブの上面に飛散し、反りを発生させた。また、試験番号4では、飛散した冷却水のみならず、散水の一部は最上段スラブ上面に直接散水されたため、上面を冷却して反りを発生させた。
試験番号5では、散水終了時のマーキング面の表面温度が本発明の好ましい条件を下回る80℃となった。そのため、散水中にスラブの間隙に溜まった冷却水がマーキング面に少量ながら回り込み、マーキング面の表面をわずかに酸化させて、若干の錆を発生させた。ただし、マーキングの読取りには支障のない程度の錆の発生であった。
試験番号6では、散水時に、マーキング部端面から0.5mを超えて中央寄りの全範囲のスラブ側面を散水冷却したために、スラブの散水範囲が本発明のスラブ長手方向の好ましい散水範囲を外れてマーキング面に近い範囲も散水冷却された。その結果、散水中の冷却水がマーキング面に若干飛散し、マーキング面の表面にわずかに錆が発生した。ただし、試験番号5の場合と同様、マーキングの読取りには支障のない程度の錆の発生であった。
試験番号7では、散水時に、マーキング部端面から0.5mを超えて中央寄りの範囲位置のスラブ側面を散水冷却したために、スラブの散水範囲が本発明のスラブ長手方向の好ましい散水範囲を外れてマーキング面に近い範囲も散水冷却された。また、散水終了時のマーキング面の表面温度が本発明の好ましい範囲を下回る90℃となった。その結果、マーキング面の表面にわずかに錆が発生したが、マーキングの読取りには支障のない程度の錆であった。
試験番号8では、散水開始時の側面表面温度が本発明で規定する温度範囲よりも高い700℃であった。その結果、スラブの幅方向の冷却状況に偏差が発生し、スラブに横反りが発生した。
試験番号9では、スラブの両側面を散水冷却できない状況を想定して、片側面のみの散水冷却を行った。その結果、熱間圧延工程ではトラブルにならない程度の若干の横反りが発生した。
本発明のスラブの冷却方法によれば、本発明は、連続鋳造後のスラブを複数枚積層した後、水冷にて冷却する際に、散水範囲、散水時のスラブ表面温度を規定することにより、生産阻害に結びつく特別な処置を施すことなく、反りおよびマーキング部の錆の発生を防止しつつ、安価に、かつ効率良くスラブを冷却することができる。したがって、本発明のスラブの冷却方法は、散水冷却設備以外の特別な設備を備えずに能率良く冷却することを要求されるスラブの冷却工程に広範に適用できる。
本発明の冷却方法における散水範囲を示す図である。 スラブにおける反りの発生機構を模式的に示す図であり、同図(a)は冷却前の状態を、同図(b)および(c)は冷却中の状態を、そして同図(c)は冷却完了時の状態をそれぞれ示す。 特許文献3に記載された冷却方法および本発明の冷却方法の作業流れを比較して示す図であり、同図(a)は特許文献3に記載された冷却方法の作業流れを、また、同図(b)は本発明の冷却方法の作業流れをそれぞれ示す。

Claims (3)

  1. 連続鋳造されたスラブを、側面の表面温度が600℃以下になるまで大気中で放冷した後、高さ1m以上に積層するか、または、連続鋳造された直後のスラブを、高さ1m以上に積層した後、側面の表面温度が600℃以下となるまで大気中で放冷し、その後、前記の積層された最上段のスラブの上面から下向きに少なくとも0.3mまでの範囲を除いて、その下部に位置するスラブの長手方向の両側面を散水冷却することを特徴とするスラブの冷却方法。
  2. 請求項1に記載のスラブの冷却方法において、スラブを高さ1m以上に積層するに当たり、積層後のスラブの長手方向の両側面を冷却するための散水冷却設備を配置できるスペースを確保することを特徴とするスラブの冷却方法。
  3. 請求項1または2に記載のスラブの冷却方法において、さらに、マーキングが施されたスラブ長手方向の端面からスラブの長手方向中央部に向かって少なくとも1mまでの範囲を除いて、スラブの長手方向の両側面を散水冷却し、前記のマーキングが施されたスラブ長手方向の端面の表面温度が100℃以下に達するまでに散水冷却を停止することを特徴とするスラブの冷却方法。
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