JP4089626B2 - ガスタービン発電設備の減速歯車装置 - Google Patents

Description

本発明は、ガスタービン発電設備の減速歯車装置、特にガスタービン用平行軸歯車減速機に関する。

ガスタービン発電設備は、様々な補機を備えている。従来、大型発電設備（伝達動力３９０００ｋＷ）では、ガスタービンを起動させるためにエンジン等を用いている。エンジンとガスタービン間に歯車装置を備えており、歯車装置は、起動時にエンジン等の動力を伝達する機能の他、前述のガスタービン発電設備に必要な補機への動力分配機の機能を備えている。そして、前記ガスタービンと発電機間にダブルヘリカルギヤを用いた構造の平行軸歯車減速機を配置し、発電可能な回転速度まで減速して動力を伝達している。これらの機器は、図１に示すようにガスタービンの吸気側に起動用エンジンおよび動力分配等のための歯車装置を配置し、ガスタービンの排気側に発電機に必要な動力を取り出し伝達する減速機を配置していた。ガスタービンの減速機の例が特許文献１に記載されている。

すなわち、特許文献１には、ガスタービンにより駆動される主軸の回転速度を遊星歯車機構により減速して出力軸へ動力を伝達するガスタービンの減速機において、スタータギヤと前記遊星歯車機構の間に少なくとも３つの平歯車を配置し、出力軸を遊星歯車機構に関してスタータギヤとは反対側に配置したガスタービンの減速機が記載されている。このタイプの減速機は小型のガスタービン発電設備に使用される。

特開２００２−１５５７６０号公報

上記従来の技術によるガスタービン発電設備では、図１に示すようにガスタービン７から油ポンプ５等の補機に歯車装置３で回転させる動力が必要となることや燃焼ガス排気側に平行軸歯車減速機８が備えられているために燃焼ガス排気を上方向に排出している。このために、ガスタービンの排気効率が悪いという課題があった。また、歯車装置３と平行軸歯車減速機８に潤滑油および排油経路が２系統必要であるという課題があった。尚、図１で１はエンジン、２はクラッチ、３は歯車装置、４はターニング装置、５は油ポンプ、６はカップリング、７はガスタービン、９は発電機である。

本発明は、大型発電設備においてガスタービンパッケージの排気効率を向上させるとともに潤滑油および排油経路の統一ができ、かつ、補機を取付けるに有効な構成の減速歯車装置を提供することを目的とする。

本発明は、ガスタービンにより駆動される主軸の回転速度を減速歯車機構により減速して発電機の出力軸へ動力を伝達し、スタータ装置が連結される平歯車を含めて、平歯車の組み合わせからなる平歯車機構を介して前記減速歯車機構に連結されたガスタービンの減速装置において、前記ガスタービンと発電機の間で、前記平歯車機構を構成する平歯車の１つであって前記スタータ装置が連結された平歯車よりも前記減速歯車機構の近くに配設された平歯車に、ターニング装置が連結されるガスタービン発電設備の減速装置を提供する。

また、ガスタービンにより駆動される主軸の回転速度を減速歯車機構により減速して発電機の出力軸へ動力を伝達し、スタータ装置が連結される平歯車を含めて、平歯車の組み合わせからなる平歯車機構を介して前記減速歯車機構に連結されたガスタービンの減速装置において、前記ガスタービンと発電機の間で、前記平歯車機構を構成する平歯車の１つであって前記スタータ装置が連結された平歯車よりも前記減速歯車機構の近くに配設された平歯車に、油ポンプの補機を駆動する平歯車が連結されるガスタービン発電設備の減速装置を提供する。

減速歯車機構に平歯車列を付け、減速歯車機構近くにある平歯車にターニング装置あるいは油ポンプ等の補機を連結し、遠くにある平歯車にスタータ装置を連結することによってターニング装置あるいは油ポンプ等の補機を備えたこと、およびエンジン等によるスタータ装置を設置可能な構造とすることができ、これによって、動力伝達および分配機能をコンパクトに集約することができる。また、これらの構成体をガスタービンの吸気側に配置することによりガスタービンパッケージの排気効率を向上できる。更にこの構成によれば、潤滑油および排油経路の統一ができるため、据付時の油配管を低減することができる。

減速歯車機構である平行軸歯車減速機にターニング装置およびエンジン等により起動用に駆動したときに他機器に回転動力を伝達する平歯車と油ポンプ駆動用の平歯車とガスタービン起動用エンジンから動力を伝達する平歯車等の歯車列を取付けた構造にする。

ガスタービン発電設備の減速機は、ガスタービンにより駆動される主軸の回転速度を平行軸歯車減速機として構成される減速歯車機構により減速して出力軸へ動力を伝達し、エンジン等のスタータ装置が平歯車の組み合わせからなる平歯車機構を介して前記減速歯車機構に連結されたガスタービンの減速装置であって、前記平歯車機構を構成する平歯車の１つに、スタータ装置の起動に先立って初期回転動力を伝達するターニング装置が連結され、かつ前記平歯車機構を構成する他の歯車の１つに、前記スタータ装置とは前記歯車機構を中心として反対側で、油ポンプ、コンプレッサ等の補機を駆動する一組の平歯車が連結されて構成される。すなわち、平歯車機構は４つの平歯車配列とされ、減速歯車機構に組み合わされた平歯車に噛み合う平歯車にターニング装置が、次の平歯車に油ポンプ、コンプレッサ等の補機が、そして一番遠くにスタータ装置が連結される。この配列によってスタータ装置の起動に先立って初期回転力を平歯車機構に与えることができる。

そして、本構造の平行軸歯車減速機をガスタービンの吸気側に配置することで、ガスタービンの方向を従来と逆方向にすることが可能となり、ガスタービンの燃焼ガス排気は、水平方向にすることができる。

すなわち、上記構造によりガスタービンパッケージに取付けていた図１における歯車装置３がなくなり、燃焼ガス排気が良くなりガスタービンパッケージの排気効率が向上できる。また、動力伝達の機能を持つ減速機をまとめることが可能なため、潤滑油および排油経路の統一できるようになる。

以下本発明の実施例について図面を用いて説明する。図２は、本発明に係る発電設備の一実施例であり、発電設備の平面図、図３は平行軸歯車減速機１２の平面図、図４、図５は、図３に示した平行軸歯車減速機のＡＡ断面、ＢＢ断面を示す図である。

初めに、本実施例の全体の構成について説明する。ガスタービン発電設備の減速装置１００は、図２に示すように平行軸歯車減速機１２、ガスタービン起動用のエンジン１７、油ポンプ１３、ターニング装置１５を備えている。このガスタービン発電設備の減速装置１００、すなわち平行軸歯車減速機１２は、ガスタービン１０と発電機１９間に備えられている。

次に、ガスタービン発電設備の減速装置１００の詳細構造について説明する。図３〜図５に示すようにガスタービン１０の主軸である入出力軸１１は入力軸２０と結合される。入力軸２０は、カップリング２１を介して平行軸歯車減速機１２を構成するダブルヘリカルギヤシャフト２４に結合している。入力軸２０とカップリング２１は、インボリュートスプラインにより連結し、締付けボルト２２とプレート２３により固定されている。ダブルヘリカルシャフト２４は、ダブルヘリカルギヤシャフト２８と平歯車３０とが同時に噛み合っている。尚、各平歯車はそれぞれ平歯車軸を備えている。ダブルヘリカルギヤシャフト２８は、カップリング２５を介して出力軸２９に結合している。カップリング２５と出力軸２９は、インボリュートスプラインにより連結し、締付けボルト２６とプレート２７により固定されている。出力軸２９は、発電機１９の出力軸１８と結合される。

平歯車３０と平歯車３１と平歯車３２と平歯車３３とが４つの平歯車による歯車列を構成している。ターニング装置１５は、平歯車３１と脱着ができるようにクラッチ１４を介して連結されている。平歯車３２に油ポンプ駆動用の平歯車３４が取付けられていて、油ポンプ駆動用の平歯車３４と油ポンプ１３の入力軸３６に取付けられた油ポンプ駆動用の平歯車３５が噛み合っている。平歯車３４と平歯車３５とは一組の平歯車機構として作用する。スタータ装置であるエンジン１７は、平歯車３３と脱着ができるようにクラッチ１６を介して連結される。図に示すように、平行軸歯車機構１２に近く配置された平歯車３１にターニング装置１５が、その次の歯車３２に油ポンプ駆動用の平歯車３５が、そして一番遠くにスタータ装置であるエンジン１７が連結されている。この構成によってターニング装置１５によって摩擦μを下げ、摩擦μが下がった状態でスタータ装置を起動できることになる。油ポンプ駆動についても同様である。

全ての平歯車の回転軸は、すべり軸受により支持されており、軸受および回転軸を含めて、全体がケース３７に収納されている。油タンクに貯められた潤滑油を、油ポンプ１３が歯車の噛み合い部や軸受部に供給している。これらは統一した潤滑油および排油経路を介してなされる。

このように構成したガスタービン発電設備の減速装置１００の動作について説明する。
タ−ニング装置１５の初期回転動力は、クラッチ３８および歯車列を介してガスタービン１０および発電機１９に初期回転動力が伝達される。ターニング装置１５は、歯車列に初期回転動力を伝達する役割をする。初期回転動力を考えることにより、歯車や軸受の摩擦係数が小さくなり、小さな回転動力にて起動することが可能となる。このようにターニング装置は、スタータ装置として機能するエンジン１７の起動に先立って初期回転動力を伝達する。そして、エンジン１７を起動させると、エンジン１７の回転動力は、クラッチ１６および歯車列を介して回転速度を増減速して、ガスタービン１０および発電機１９に伝達される。このようにターニング装置１５が設けてあり、入出力軸１１を定格回転数に対して約７割の回転を行い、ガスタービン１０の起動条件が作られる。そのために、エンジン１７を用いて歯車列を介してガスタービン１０の起動条件に満たす回転数を伝えている。すなわち、エンジン１７の回転動力がガスタービン１０の入出力軸１１に伝達されるとガスタービン１０の起動条件が整い、ガスタービン１０が起動される。また、エンジン１７の回転動力が平歯車３１を介してクラッチ３８に伝達されると、クラッチ３８に組込まれている近接スイッチが反応してクラッチ３８が切れ、ターニング装置１５は停止される。ガスタービン１０の回転動力は、入力軸２０に伝達されてダブルヘリカルギヤシャフト２４、２８により減速されて、出力軸２９の回転動力が発電機駆動軸１８に伝達され、発電機１９が駆動する。また、平歯車３２に伝達される回転動力は、ポンプ駆動用平歯車列を介して油ポンプ３９に伝達されている。油ポンプ３９は、油タンクに貯められた潤滑油を歯車の噛み合い部や軸受部に供給し、歯車や軸受の焼き付きや損傷を防止している。

本実施例においては、図１に示す歯車装置３と平行軸歯車減速機８とを一体化した構成としている。このため図２に示すようにガスタービン燃焼ガスを空いたスペースに水平方向に排気することが可能となりガスタービンパッケージの排気効率を向上できる。また、平行軸歯車減速機１２に油ポンプを付けたことにより、歯車の噛み合い部や軸受部の潤滑油および排油経路の統一が可能になる。

本実施例においては、平行軸歯車減速機１２のダブルヘリカルシャフト２４の一方側に歯車列を付けている構造だが、もう一方側にも歯車列を付けることによりコンプレッサ等の補機に回転動力を伝達することも可能である。

従来技術の大規模な発電設備（伝達動力３９０００ｋＷ）の平面図。 本発明の一実施例に係る大規模な発電設備（伝達動力３９０００ｋＷ）の平面図。 本発明の一実施例に係る平行軸歯車減速機の平面図。 図３に示した平行軸歯車減速機のＡＡ断面図。 図３に示した平行軸歯車減速機のＢＢ断面図。

符号の説明

１０…ガスタービン、１１…入出力軸、１２…平行軸歯車減速機、１３…油ポンプ、１４…クラッチ、１５…ターニング装置、１６…クラッチ、１７…エンジン、１８…入力軸、１９…発電機、２０…入力軸、２１…カップリング、２２…締付けボルト、２３…プレート、２４…ダブルヘリカルギヤシャフト、２５…カップリング、２６…締付けボルト、２７…プレート、２８…ダブルヘリカルギヤシャフト、２９…出力軸、３０…平歯車、３１…平歯車、３２…平歯車、３３…平歯車、３４…ポンプ駆動用の平歯車、３５…ポンプ駆動用の他の平歯車、３６…入力軸、３７…ケース、１００…ガスタービン発電設備の減速装置。

Claims (3)

1. ガスタービンにより駆動される主軸の回転速度を減速歯車機構により減速して発電機の出力軸へ動力を伝達するものであって、前記ガスタービンと前記発電機に初期回転動力を伝達するターニング装置と、前記ターニング装置で初期回転動力を伝達した後に前記ガスタービンと前記発電機に回転動力を伝達するスタータ装置とを備えたガスタービン発電設備において、複数個の歯車を噛み合い配列して歯車機構を構成し前記減速歯車機構に噛み合い連結させ、前記ターニング装置と前記スタータ装置は前記歯車機構の異なる歯車に連結されて成り、前記ターニング装置は前記スタータ装置が連結された歯車よりも前記減速歯車機構の近くに配設された歯車に連結されることを特徴とするガスタービン発電設備の減速装置。
2. 請求項１において、前記減速歯車機構はダブルヘリカルギヤで構成されていることを特徴とするガスタービン発電設備の減速装置。
3. 請求項１において、前記ターニング装置が連結された歯車と前記スタータ装置が連結された歯車との間に配設された歯車に油ポンプ等の補機が連結されることを特徴とするガスタービン発電設備の減速装置。

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