JP4089245B2 - 移動通信端末装置及びそのセルサーチ制御方法並びにプログラム - Google Patents

移動通信端末装置及びそのセルサーチ制御方法並びにプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動通信端末装置及びそのセルサーチ制御方法並びにプログラムに関し、特にセルラ移動通信システムに用いられセルサーチを行う移動通信端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA(Code Division Multiple access) 方式を採用したセルラ移動通信システムにおいて、移動局は複数セルと通信することによりハンドオーバーを行い、移動通信環境下でも途切れることのない通信を実現している。この機能はCDMA通信の重要な利点の1つであり、移動局は適切なセルサーチを行うことが重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
移動体通信では、一般的に、移動局の通信対象セルは順次変更される。しかし、セルサーチにおいて、移動局が無線リンクを接続すべきセル(有効セル)の判定を誤ると、移動局はセルサーチにおいて誤って有効セルと判定されたセルと無線リンクを接続し通信を行うことになるので、通信品質が劣化してしまう。そして、この通信品質の劣化のために移動局はその送信電力を強くする必要が生じるので、消費電力が増大してしまう。
【0004】
本発明の目的は、良好な通信品質を保持し消費電力を低減することができる移動通信端末装置及びその制御方法並びにプログラムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による移動通信端末装置は、セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置であって、自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御手段を含むことを特徴とする。
【0006】
前記移動通信端末装置において、前記判定条件制御手段は、前記有効セル判定により有効セルと判定されているセルの連続有効判定時間又は連続有効判定回数を前記有効セル判定の判定結果を基に求め、この連続有効判定時間又は連続有効判定回数に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする。
【0008】
また、前記移動通信端末装置において、前記判定条件制御手段は、前記判定対象セルからの受信信号の受信品質に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする。
【0010】
本発明によるセルサーチ制御方法は、セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置のセルサーチ制御方法であって、自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御ステップを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によるプログラムは、セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置のセルサーチ制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御ステップを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の作用は次の通りである。移動局の移動状態が停止/低速移動状態であると認識されるならば、移動局と無線リンクを接続すべきであると判定されている有効セルがその後も有効セルとして保持されるように、受信信号を基に検出される判定対象セルが有効セルであるか否かを判定する有効セル判定の判定条件を制御する。一方、移動局の移動状態が高速移動状態であると認識されるならば、移動局と無線リンクを接続すべきであると判定されている有効セル以外のセルが有効セルとして追加されるように、有効セル判定の判定条件を制御する。
【0013】
このように、移動局の移動状態に応じてセルサーチにおける有効セル判定の判定条件を制御することにより、通信品質の劣化を抑制し消費電力を低減することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について説明する前に、CDMA方式を採用したセルラ移動通信システムにおける移動局のセルサーチ方法について図面を用いて説明する。図6はセルラ移動通信システムにおける移動局の復調回路の一部(セルサーチを行うセルサーチ処理部)の構成を示す図である。図6において、セルサーチ処理部は、遅延プロファイル計算部1と、拡散コード・拡散タイミング検出部2と、拡散コード生成部3と、有効セル判定部4とを有している。
【0015】
図6において、直交検波され復調されたI成分信号及びQ成分信号はそれぞれ遅延プロファイル計算部1に入力される。遅延プロファイル計算部1は、拡散コード生成部3が拡散コード・拡散タイミング検出部2の検出結果に基づいて順次生成する複数の候補拡散コードの各々と入力信号との相関検出を順次行うことにより遅延プロファイルを計算する。
【0016】
すなわち、遅延プロファイル計算部1は、複数の候補拡散コードの各々と受信信号中の同期チャネル(SCH : Synchronization Channel) がコード多重された共通パイロットチャネル(CPICH : Common Pilot Channel)との相関検出を順次行うことにより遅延プロファイルを計算する。また、遅延プロファイル計算部1は、求められた遅延プロファイルを拡散コード・拡散タイミング検出部2及び有効セル判定部4へ出力する。
【0017】
拡散コード・拡散タイミング検出部2は、遅延プロファイル計算部1により求められた遅延プロファイルから相関ピークレベルをサーチすることによって拡散コード及び拡散タイミングを検出する。また、拡散コード・拡散タイミング検出部2は、検出された拡散コード及び拡散タイミングを有効セル判定部4に通知する。
【0018】
有効セル判定部4は、遅延プロファイル計算部1により求められた遅延プロファイルを基に、拡散コード・拡散タイミング検出部2より通知された拡散コード(Scrambling Code) が示すセル(判定対象セル)からの受信信号の受信電力レベル(相関ピーク電力レベル)を計算する。また、有効セル判定部4は、求められた受信電力レベルと所定の閾値とを比較することにより、受信信号を基に検出された判定対象セルが移動局と無線リンクを接続すべきセル(有効セル)であるか否かを判定する。また、有効セル判定部4は、判定をなす度にその判定結果をセル移行処理を制御するセル移行制御部(図示せず)に通知すると共に、判定結果を保持する。
【0019】
なお、セルラ移動通信システムにおける基地局が複数の指向性アンテナを用いてセクタ化されている場合は、個々のセクタのことをセルと称するものとする。
【0020】
次に、図6に示した有効セル判定部4における有効セルの判定方法について図面を用いて説明する。図2は図6に示した有効セル判定部4の動作を示すフローチャートであり、また、後述する図1に示した有効セル判定部4の動作を示すフローチャートでもある。
【0021】
図2及び6において、有効セル判定部4は、まず、遅延プロファイル計算部1により計算された遅延プロファイルを用いて、判定対象セルの共通パイロットチャネルの受信電力レベルPrxを計算する(ステップS11)。次に、求められた受信電力レベルPrxは所定の受信電力レベル閾値Pthと比較される(ステップS12)。
【0022】
受信電力レベルPrxが閾値Pth以上であれば(ステップS12,Yes)、有効セル判定部4は、保持されている判定結果を参照することにより、判定対象セルが既に有効セルと判定されているか否かを判断する(ステップS13)。判定対象セルが既に有効セルと判定されているならば(ステップS13,Yes)、有効セル判定部4は、判定対象セルを有効セルと判定し、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知し、この判定対象セル用の無効判定カウントをリセットする(ステップS14)。
【0023】
ステップS13において、判定対象セルが有効セルと判定されていなかったならば(ステップS13,No)、有効セル判定部4は、この判定対象セル用の有効判定カウントを1つインクリメントし(ステップS15)、有効判定カウント値と所定の前方保護段数Nとを比較する(ステップS16)。
【0024】
判定対象セルの有効判定カウント値が前方保護段数N以上であれば(ステップS16,Yes)、判定対象セルの共通パイロットチャネルの受信電力レベルPrxがN回以上連続して閾値Pth以上のレベルであることになるので、有効セル判定部4は、判定対象セルを有効セルと判定し、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知する(ステップS17)。また、有効セル判定部4は、この判定対象セル用の有効判定カウント及び無効判定カウントをリセットする(ステップS17)。
【0025】
ステップS16において、判定対象セルの有効判定カウント値が前方保護段数Nより小であれば(ステップS16,No)、有効セル判定部4は、判定対象セルを有効セルと判定せず有効セル候補と判定し、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知する(ステップS18)。なお、有効セル判定部4は、この判定対象セル用の有効判定カウントをリセットせずに、この判定対象セルが再び判定対象セルとなるときに用いるべくこの有効判定カウント値を保持しておく。
【0026】
ステップS12において、受信電力レベルPrxが閾値Pth未満である場合(ステップS12,No)、ステップS13と同様に、有効セル判定部4は判定対象セルが既に有効セルと判定されているか否かを判断する(ステップS19)。判定対象セルが既に有効セルと判定されているならば(ステップS19,Yes)、有効セル判定部4は、この判定対象セル用の無効判定カウントを1つインクリメントし(ステップS20)、その無効判定カウント値と所定の後方保護段数Mとを比較する(ステップS21)。
【0027】
判定対象セルの無効判定カウント値が後方保護段数Mより小であれば(ステップS21,Yes)、既に有効セルと判定されている判定対象セルの共通パイロットチャネルの受信電力レベルPrxはまだM回以上連続して閾値Pthを下回っていないので、有効セル判定部4は、判定対象セルを有効セルと判定し、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知する(ステップS22)。なお、有効セル判定部4は、この判定対象セル用の無効判定カウントをリセットせずに、この判定対象セルが再び判定対象セルとなるときに用いるべくこの無効判定カウント値を保持しておく。
【0028】
ステップS19において、判定対象セルが有効セルと判定されていなかったならば(ステップS19,No)、判定対象セルの受信電力レベルPrxは閾値Pthを下回っており、かつ、判定対象セルは以前の判定で無効セルあるいは有効セル候補と判定されていることになるので、有効セル判定部4は、判定対象セルを無効セルと判定する(ステップS23)。また、有効セル判定部4は、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知し、この判定対象セル用の有効判定カウントをリセットする(ステップS23)。
【0029】
ステップS21において、判定対象セルの無効判定カウント値が後方保護段数M以上であれば(ステップS21,No)、既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxがM回以上連続して閾値Pthを下回っていることになるので、有効セル判定部4は、判定対象セルを無効セルと判定し、この判定結果を保持すると共にセル移行制御部に通知する(ステップS23)。
【0030】
なお、あるセルが既に有効セルと判定されている場合に、すなわち、当該あるセルは有効セルであると認識されている場合に、別のセルが判定対象セルとなりステップS17でこの判定対象セルが有効セルと判定された場合、有効セル判定部4は、当該あるセル及び当該別のセルの両方をそれぞれ有効セルと認識することになる。このように、有効セルが複数存在することになる場合がある。
【0031】
以上説明したセルサーチにおける有効セルの判定方法では、有効セルの判定を誤ってしまい、通信品質が劣化し消費電力が増大してしまうことがある。例えば、既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxが、一時的な無線伝搬状況の変動により、M回以上連続して閾値Pthを下回ってしまう場合、この判定対象セルは有効セルではないと判定され無効セルと認識される。しかし、このような場合であっても、移動局の移動状態が停止/低速移動状態であるならば、すなわち、移動局が停止している、あるいは低速で移動しているのであれば、移動局はこの判定対象セル内に存在している可能性が高い。したがって、移動局が停止、あるいは低速で移動しているにもかかわらず、一時的な無線伝搬状況の変動によりこの判定対象セルを無効セルと判定することは、通信品質の劣化及び消費電力の増大につながる。
【0032】
そこで、本発明では、移動局の移動状態を識別し、識別された移動局の移動状態に応じてセルサーチにおける有効セル判定の判定条件を可変制御することにより、有効セル判定の誤りを抑制して、良好な通信品質を保ち消費電力を低減する。
【0033】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施例による移動通信端末装置の復調回路の一部(セルサーチを行うセルサーチ処理部)の構成を示す図であり、図6と同等部分は同一符号にて示している。また、図2は図1に示した有効セル判定部4の動作を示すフローチャートである。本発明の実施例による移動通信端末装置は、CDMA方式を採用したセルラ移動通信システムにおける移動局に適用されるものである。
【0034】
図1に示したセルサーチ処理部は、遅延プロファイル計算部1と、拡散コード・拡散タイミング検出部2と、拡散コード生成部3と、有効セル判定部4と、判定条件制御部5とを有している。
【0035】
有効セル判定部4は、図2に示したステップS14,ステップS17,ステップS18及びステップS23の各々においてその判定結果を、セル移行処理を制御するセル移行制御部(図示せず)だけでなく判定条件制御部5にも通知する。また、有効セル判定部4により通知される判定結果には、その判定がなされた時刻の情報が含まれる。
【0036】
判定条件制御部5は、有効セル判定部4からの判定結果を基に、有効セルと判定されているセルが連続して有効セルと判定された時間(連続有効判定時間)を求め、この連続有効判定時間に応じて本実施例による移動通信端末装置の移動状態を識別する。そして、判定条件制御部5は、識別された移動状態に応じて有効セル判定部4における判定条件を制御する。
【0037】
より具体的には、判定条件制御部5は、移動状態が停止/低速移動状態であると認識したならば、判定条件が通常の場合(例えば、図2のステップS21における後方保護段数がMの場合)と比較して、当該セルが無効セルと判定されにくくなるよう、判定条件を可変制御する。また、判定条件制御部5は、移動状態が高速移動状態であると認識したならば、判定条件が通常の場合(例えば、図2のステップS16における前方保護段数がNの場合)と比較して、有効セルでない有効セル候補が有効セルと判定されやすくなるよう、判定条件を可変制御する。
【0038】
次に、図1に示した判定条件制御部5の判定条件制御方法について図面を用いて説明する。図3は既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxが閾値Pth未満になった場合における図1の判定条件制御部5の動作を示すフローチャートである。
【0039】
図1及び2において、有効セル判定部4は、既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxが閾値Pthを下回った場合(図2のステップS19,Yes)、図3に示したフローに従った動作を行うよう判定条件制御部5に指示を送出する。
【0040】
したがって、図1〜3において、既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxが閾値Pthを下回った場合(図2のステップS19,Yes)、有効セル判定部4からの指示に応答して判定条件制御部5は、まず、その有効セルの連続有効判定時間Tactiveと所定の判定時間閾値Tmax とを比較する(図3のステップS31)。
【0041】
その結果、その有効セルの連続有効判定時間Tactiveが閾値Tmax 以上であれば(図3のステップS31,Yes)、移動局はその有効セル内にとどまっており移動局の移動状態は停止/低速移動状態であると判断されるので、判定条件制御部5は、図2のステップS21においてその有効セル用の無効判定カウント値と比較される後方保護段数をMからM+α(α>0)に変更するよう制御をなす(図3のステップS32)。
【0042】
したがって、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、その有効セルが判定対象セルとなるときに後方保護段数をM+αに設定するので、後方保護段数がMの場合と比べ、その有効セルが無効セルと判定されにくくなる。なお、その有効セル以外のセルが判定対象セルとなるときの後方保護段数は、M+αでなくMのままである。
【0043】
一方、その有効セルの連続有効判定時間Tactiveが閾値Tmax 未満であれば(図3のステップS31,No)、後方保護段数の変更は行わない(図3のステップS33)。したがって、有効セル判定部4は、判定対象セルがどのセルであろうと、図2のステップS21において比較に用いる後方保護段数をMに設定する。
【0044】
このように、同一セルを長時間連続して有効セルとして判定している場合には、判定条件制御部5は、移動局は停止状態もしくは低速移動状態にあると認識し、そのセルを有効セルとして保持するように有効セル判定部4における判定条件を可変制御する。なお、連続有効判定時間の代わりに、有効セルと判定されているセルが連続して有効セルと判定された回数(連続有効判定回数)を用いるようにしてもよいことは勿論である。
【0045】
図4は受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合における図1の判定条件制御部5の動作を示すフローチャートである。
【0046】
図1及び2において、有効セル判定部4は、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合(図2のステップS12,Yes)、図4に示したフローに従った動作を行うよう判定条件制御部5に指示を送出する。
【0047】
したがって、図1,2及び4において、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合(図2のステップS12,Yes)、有効セル判定部4からの指示に応答して判定条件制御部5は、まず、有効セルの連続有効判定時間Tactiveと閾値Tmax とを比較する(図4のステップS41)。ここで、有効セルが複数存在している場合には、判定条件制御部5は、例えば、連続有効判定時間Tactiveが最も長い有効セルを選択し、その有効セルの連続有効判定時間Tactiveと閾値Tmax とを比較するようにする。
【0048】
その有効セルの連続有効判定時間Tactiveが閾値Tmax 未満であれば(図4のステップS41,No)、判定条件制御部5は、過去の所定期間Tpast内のその有効セルの連続有効判定時間の平均である平均連続有効判定時間Tave と所定の判定時間閾値Tmin とを比較する(図4のステップS42)。
【0049】
その有効セルの平均連続有効判定時間Tave が閾値Tmin 未満であれば(図4のステップS42,No)、過去の期間Tpastにおいてその有効セルが短時間で無効セルと判定されており移動局の移動状態は高速移動状態であると判断されるので、判定条件制御部5は、図2のステップS16における比較に用いられる前方保護段数をNからN−β(β>0)に変更するよう制御をなす(図4のステップS44)。
【0050】
したがって、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、前方保護段数をN−βに設定するので、前方保護段数がNの場合と比べて、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上の有効セル候補が有効セルと判定されやすくなる。
【0051】
一方、その有効セルの連続有効判定時間Tactiveが閾値Tmax 以上であれば(図4のステップS41,Yes)、もしくは、その有効セルの平均連続有効判定時間Tave が閾値Tmin 以上であれば(図4のステップS41,Yes)、前方保護段数の変更は行わない(図4のステップS43)。したがって、有効セル判定部4は、前方保護段数をNに設定する。
【0052】
このように、短時間で有効セルを変更している場合には、判定条件制御部5は、移動局は高速移動状態にあると認識し、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上の有効セル候補が速やかに有効セルとして追加されるように有効セル判定部4における判定条件を可変制御する。なお、図3と同様に、連続有効判定時間の代わりに、有効セルと判定されているセルが連続して有効セルと判定された回数(連続有効判定回数)を用いるようにしてもよいことは勿論である。また、平均連続有効判定時間の代わりに、過去の期間Tpast内の有効セルの連続有効判定回数の平均である平均連続有効判定回数を用いるようにしてもよい。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施例では、有効セルの連続有効判定時間を監視することにより、移動局の移動状態を識別してセルサーチにおける有効セル判定の判定条件を制御している。
【0054】
有効セルの連続有効判定時間が長い場合、すなわち、その有効セルが長時間連続して有効判定されている場合、移動局の移動速度は遅くその有効セル内にとどまっている可能性が高い。したがって、その後もその有効セルが有効判定されるように、有効セル判定の判定条件を可変制御している。これにより、シャドウイング等による有効セルの判定の誤りが抑制されるので、移動局が停止/低速移動状態にあるときの通信品質の劣化を防ぐことができる。
【0055】
また、有効セルの連続有効判定時間が短い場合、すなわち、短時間で有効セルが変更されている場合、移動局の移動速度は速く移動局は異なるセル間を移動している可能性が高い。したがって、セルサーチにより新たに検出されたセルが有効セルとして追加されるように、有効セル判定の判定条件を可変制御している。これにより、セル移行処理を迅速に行うことが可能となるので、移動局が高速移動状態にあるときの通信品質の劣化を防ぐことができる。
【0056】
このように、本実施例では、通信品質を良好に保つことができるので、送信電力制御により移動局の送信電力を低減することが可能である。したがって、移動局の消費電力の低減を図ることができる。
【0057】
次に、本発明の他の実施例について図面を用いて説明する。本発明の他の実施例による移動通信端末装置の復調回路のセルサーチ処理部の構成は図1に示したセルサーチ処理部の構成と同様であるが、判定条件制御部5の動作が異なっている。
【0058】
本発明の他の実施例では、判定条件制御部5は、有効セルの連続有効判定時間に応じて移動局の移動状態を識別するのではなく、受信電力レベルに応じて移動局の移動状態を識別し、有効セル判定部4における判定条件を制御する。
【0059】
本発明の他の実施例による判定条件制御部5の動作を示すフローチャートが図5に示されている。図5に示した所定の受信電力レベル閾値Pth1 ,Pth2 及び図2に示した所定の受信電力レベル閾値Pthは、Pth1 >Pth2 >Pthの関係を満たすものとする。
【0060】
図1及び2において、有効セル判定部4は、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合(図2のステップS12,Yes)、図5に示したフローに従った動作を行うよう判定条件制御部5に指示を送出すると共に、そのセルとその受信電力レベルPrxとを判定条件制御部5に通知する。
【0061】
したがって、図1,2及び5において、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合(図2のステップS12,Yes)、有効セル判定部4からの指示に応答して判定条件制御部5は、まず、有効セル判定部4から通知された受信電力レベルPrxと閾値Pth1 とを比較する(図5のステップS51)。
【0062】
受信電力レベルPrxが閾値Pth1 以上であれば(図5のステップS51,Yes)、有効セル判定部4から通知されたセルの受信電力レベルは十分大きく移動局の移動状態は停止/低速移動状態であると判断されるので、判定条件制御部5は、図2のステップS21においてそのセル用の無効判定カウント値と比較される後方保護段数をMからM+α(α>0)に変更するよう制御をなす(図5のステップS52)。また、前方保護段数の変更は行わない(図5のステップS52)。
【0063】
したがって、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、そのセルが判定対象セルとなるときに後方保護段数をM+αに設定するので、後方保護段数がMの場合と比べ、そのセルを有効セルとして保持しやすくなる。なお、そのセル以外のセルが判定対象セルとなるときの後方保護段数は、M+αでなくMのままである。また、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、前方保護段数をNに設定する。
【0064】
一方、受信電力レベルPrxが閾値Pth1 未満であれば(図5のステップS51,No)、判定条件制御部5は、受信電力レベルPrxと閾値Pth2 とを比較する(図5のステップS53)。
【0065】
受信電力レベルPrxが閾値Pth2 以上であれば(図5のステップS53,Yes)、後方保護段数であるMと前方保護段数であるNを保持する(図5のステップS54)。したがって、有効セル判定部4は、後方保護段数をMに、前方保護段数をNに設定する。
【0066】
これに対して、受信電力レベルPrxが閾値Pth2 未満であれば(図5のステップS53,No)、有効セル判定部4から通知されたセルは受信電力レベルの弱い不安定なセルであり移動局の移動状態は高速移動状態であると判断されるので、判定条件制御部5は、図2のステップS16における比較に用いられる前方保護段数をNからN−β(β>0)に変更するよう制御をなす(図5のステップS55)。また、後方保護段数の変更は行わない(図5のステップS55)。
【0067】
したがって、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、前方保護段数をN−βに設定するので、前方保護段数がNの場合と比べて、受信電力レベルPrxが閾値Pth以上の新たに検出されるセルが有効セルとして追加されやすくなる。また、判定条件制御部5の制御に従って有効セル判定部4は、後方保護段数をMに設定する。
【0068】
以上説明したように、図5に示した本発明の他の実施例では、受信電力レベルに応じて移動局の移動状態を識別してセルサーチにおける有効セル判定の判定条件を制御している。これによっても、図3及び4と同様の効果が得られることは明らかである。
【0069】
なお、上記図2〜5に示した各フローチャートに従った処理動作は、予めROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを、CPU(制御部)となるコンピュータに読み取らせて実行せしめることにより、実現できることは勿論である。
【0070】
また、図3〜5では、判定条件制御部5は、セルサーチにおける有効セル判定の判定条件として前方保護段数及び後方保護段数を可変制御しているが、代わりに判定条件として受信電力レベル閾値Pthを可変制御することとしても同様の効果が得られる。すなわち、有効セルを保持するように制御する際には、判定条件制御部5はその有効セルに対する閾値Pthを低下させるよう制御すればよい。また、新たに検出されるセルを素早く有効セルとして追加するように制御する際には、判定条件制御部5は有効セル候補に対する閾値Pthを低下させるよう制御すればよい。
【0071】
また、本発明の各実施例では、連続有効判定時間または受信電力レベルを基に、移動局の移動状態を識別して有効セル判定の判定条件を制御しているが、移動状態を識別する方法に別の方法を採用してもよい。例えば、周知の技術である遅延プロファイルのピークタイミングの変動によって移動状態を識別することも可能であるし、受信電力のフェージングピッチを測定することにより移動状態を識別することも可能である。
【0072】
【発明の効果】
本発明による効果は、良好な通信品質を保持し消費電力を低減することができることである。その理由は、移動局の移動状態に応じてセルサーチにおける有効セル判定の判定条件を可変制御するようにしているためであり、現在の移動局の移動状態に応じた適切な判定が行えるように判定条件を可変制御することができるためである。これにより、通信品質の劣化が抑制され通信品質を良好に保つことができるので、送信電力制御により移動局の送信電力を低減させることが可能である。したがって、移動局の消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による移動通信端末装置の復調回路のセルサーチ処理部の構成を示す図である。
【図2】図1の有効セル判定部4の動作を示すフローチャートである。
【図3】既に有効セルと判定されている判定対象セルの受信電力レベルPrxが閾値Pth未満になった場合における図1の判定条件制御部5の動作を示すフローチャートである。
【図4】受信電力レベルPrxが閾値Pth以上のセルが検出された場合における図1の判定条件制御部5の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施例による判定条件制御部5の動作を示すフローチャートである。
【図6】セルラ移動通信システムにおける移動局の復調回路のセルサーチ処理部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 遅延プロファイル計算部
2 拡散コード・拡散タイミング検出部
3 拡散コード生成部
4 有効セル判定部
5 判定条件制御部

Claims (11)

  1. セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置であって、
    自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御手段を含むことを特徴とする移動通信端末装置。
  2. 前記判定条件制御手段は、前記有効セル判定により有効セルと判定されているセルの連続有効判定時間又は連続有効判定回数を前記有効セル判定の判定結果を基に求め、この連続有効判定時間又は連続有効判定回数に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末装置。
  3. 前記判定条件制御手段は、前記連続有効判定時間又は連続有効判定回数が所定の閾値より大であれば前記移動状態を停止/低速移動状態と認識し、前記連続有効判定時間又は連続有効判定回数が前記閾値より小でありかつ過去の前記連続有効判定時間又は連続有効判定回数の平均が所定の閾値より小であれば、前記移動状態を高速移動状態と認識することを特徴とする請求項2記載の移動通信端末装置。
  4. 前記判定条件制御手段は、前記判定対象セルからの受信信号の受信品質に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末装置。
  5. 前記判定条件制御手段は、前記受信品質が所定の閾値より大であれば前記移動状態を停止/低速移動状態と認識し、前記受信品質が前記閾値より小さい所定の閾値より小であれば前記移動状態を高速移動状態と認識することを特徴とする請求項4記載の移動通信端末装置。
  6. セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置のセルサーチ制御方法であって、
    自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御ステップを含むことを特徴とするセルサーチ制御方法。
  7. 前記判定条件制御ステップは、前記有効セル判定により有効セルと判定されているセルの連続有効判定時間又は連続有効判定回数を前記有効セル判定の判定結果を基に求め、この連続有効判定時間又は連続有効判定回数に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項6記載のセルサーチ制御方法。
  8. 前記判定条件制御ステップは、前記判定対象セルからの受信信号の受信品質に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項6記載のセルサーチ制御方法。
  9. セルラ移動通信システムにおいて移動局として使用され、受信信号を基に検出されるセル(判定対象セル)が自装置と無線リンクを接続すべき有効セルであるか否かを判定する際、前記判定対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の前方保護段数以上連続して所定の受信電力レベル閾値以上であれば前記判定対象セルを有効セルと判定し、有効セルと判定されているセルが再び前記判定対象セルとなる場合に前記判定 対象セルからの受信信号の受信電力レベルが所定の後方保護段数以上連続して前記受信電力レベル閾値より小であれば前記判定対象セルを無効セルと判定する有効セル判定をなすセルサーチを実行する移動通信端末装置のセルサーチ制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    自装置の移動状態が停止/低速移動状態である場合、前記後方保護段数を所定値だけ増加せしめ、自装置の移動状態が高速移動状態である場合、前記前方保護段数を所定値だけ減少せしめる判定条件制御ステップを含むことを特徴とするプログラム。
  10. 前記判定条件制御ステップは、前記有効セル判定により有効セルと判定されているセルの連続有効判定時間又は連続有効判定回数を前記有効セル判定の判定結果を基に求め、この連続有効判定時間又は連続有効判定回数に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
  11. 前記判定条件制御ステップは、前記判定対象セルからの受信信号の受信品質に応じて前記移動状態を識別することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
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