JP4088431B2 - ディジタル放送受信機及びディジタル放送受信機のシーク方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、DAB信号のシーク受信に係わるディジタル放送受信機及びそののシーク方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
DAB(Digital Audio Broadcasting)信号を受信する際、先ず最初にDAB信号中のNULL(同期基準シンボル)の「長さTn」と「周期Ts」から、複数ある伝送モードのどのモードであるかを判別する必要がある。この、伝送モードの判別処理では、判別精度を上げるため数周期分の信号を加算処理して判定している。従って、シーク動作時にこの伝送モード判別処理を行うと、例えば、4周期分の信号を加算処理する場合、NULLの最大周期が96mSであるから判定には384mS(96×4)要する。つまり、毎ステップ384mS以上の待ち時間が発生する。
【0003】
図3はDAB信号波形の説明図で、DAB信号(DAB放送波)は、信号区間と信号の無い期間NULL(同期基準シンボル)が一定周期で送信される。DAB放送には4つの伝送モードがあり、この伝送モードはNULLの「長さTn」と「周期Ts」によって図3の伝送モードI〜IVのように識別される。
【0004】
このようなDAB信号を受信するために、ディジタル放送受信機は図4のように構成される。アンテナ1より入力された信号は、チューナー部2で選択・同調された後、A/D変換可能な周波数帯まで下げられ、信号処理部3へ入力される。信号処理部3では、A/D変換後のディジタルデータを用いて、NULL検波、信号同期、データデコード等の処理を行いオーディオデータをスピーカ4より出力する。また、操作部5より入力される情報により制御手段であるマイコン6が、チューナー部2、信号処理部3及び表示部7をそれぞれ制御する。
【0005】
従って、DAB信号を受信する際、マイコン6が受信周波数をチューナー部2へ設定した後、最初に信号処理部3においてDAB信号中のNULL(同期基準シンボル)を検出し、その「長さTn」と「周期Ts」から伝送モードを判別する必要がある。その後、判別した伝送モードに基づいた同期処理、デコード処理を行う。また、検出したNULLの位置を基準に同期処理が開始されるため、正確なNULL検出が要求される。
【0006】
移動体での受信の場合には、図5のDAB信号の波形図に示すように、アンテナ1より入力される電波が常に変動しており、特に変化が急峻な場合は、その信号の一部がノイズとなって信号の品質を劣化させてしまうことがある。
そこで従来より、伝送モードの判別精度を上げるために、図6の説明図に示すように、数周期分(この例では4周期分)の信号を加算処理して伝送モードを判別する方法が用いられている。上記の様に、検波信号にノイズ成分が現れるような状況下でも、例えば、4周期分の検波信号(n〜n+3番目)を加算処理する方法を用いると、図6のように精度よくNULLを検波することができる。
従って、多少信号に乱れが発生するような状況下でも、正確にNULLの位置を検出でき、伝送モードを判別することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、シーク受信時に上記のような複数回周期分を加算し、伝送モード判別処理を行うと、伝送モード中のNULLの最大周期(96mS)の倍数で判別時間が長くなる。例えば、4周期分の加算処理であれば、NULLの判別には最低でも384mS(=96mS×4)要する。つまり、シーク動作のステップ毎に384mS以上の待ち時間が発生することになる。
【0008】
従来のマイコンによるシーク動作制御は、図7のフローチャートに示すような手順で行っていた。
先ず、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し(S1)、信号処理部3で伝送モード判定(S2)を行う間、約400mSの待ち時間を設け、時間経過後、信号処理部3で伝送モードが確定したかどうか判定する(S3)。伝送モードが確定していれば、信号処理部3へ同期開始の設定を行い(S4)、信号処理部3での同期処理が完了した後(S5)、受信状態になる(S6)。
伝送モードが確定していなければ、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し(S1)、同様の処理を行う。
【0009】
しかしながら、この方法によると、チューナー部2に設定した受信周波数帯にDAB信号が有る場合でも、無い場合でも、必ず伝送モード判別に要する時間を待つ必要があり、伝送モード判別の精度を上げるために、加算演算の回数を増すとシーク速度が極端に遅くなる問題がある。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、NULLの有無を検出し、NULLが検出されたときは、DAB信号の伝送モードを判別する処理を行い、NULLが検出されないときは、チューナー部の同調周波数を変更するように制御して、シーク時間を短縮しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わるディジタル放送受信機は、DAB信号を選択同調するチューナー部と、このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部と、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別する制御手段とを備えたものである。
【0012】
また、制御手段は、信号処理部がNULL信号を検出した場合、同じ周期間を複数回加算処理した信号の中間部において、上限と下限でそれぞれのスレッシュホールド値にてカットして抽出した信号により伝送モードを判別するようにしたものである。
【0013】
また、この発明のディジタル放送受信機のシーク方法は、DAB信号を選択同調するチューナー部と、このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部とを有し、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における制御手段によるシーク動作制御を示すフローチャートである。この発明に用いるディジタル放送受信機の構成は図4と同じであるので再説明を省略する。
【0015】
チューナー部2に受信周波数の変更を設定した後(S11)、信号処理部3での周期加算回数を1回に設定し、信号処理部3で伝送モード判定(S12)を行う間、約100mS(種々の伝送モード中でNULLの最大周期1周期分)の待ち時間を設け、時間経過後、信号処理部3で何らかの伝送モードを検出したかどうか判定する(S13)。つまり、NULLらしきものが検出できたかどうか判定する。
【0016】
NULLが検出できていれば(S13―Yes)、信号処理部3での周期加算回数を4回に設定し、再度、図6のように、4周期分を加算処理し、加算信号の中間部を下限スレッシュホルド値(L)と上限スレッシュホルド値(H)でカットして抽出し、信号処理部3で伝送モード判定(S14)を行う間、約400mSの待ち時間を設け、時間経過後、信号処理部3で伝送モードが確定したかどうか判定する(S15)。
伝送モードが確定していれば(S15―Yes)、信号処理部3へ同期開始の設定を行い(S16)、信号処理部3での同期処理が完了(S17)した後、受信状態になる(S18)。
【0017】
伝送モードが確定していなければ(S15―No)、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し、同様の処理を行う。また、NULL検出ができていなければ(S13―No)、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し、同様の処理を行う。
【0018】
図2はシーク動作制御の従来例とこの発明とを比較する説明図である。
この発明のものによると、図2(b)に示すように、チューナー部2に受信周波数の変更を行った後(S11)、先ず、周期加算回数を1回に設定して、伝送モード判定(S12)、すなわち、NULLの有無のみをチェックする(検出時間約100mS)。NULLが検出できなければ(NG)、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し、同様の処理を行う(検出時間約100mS)。再び、NULLが検出できなければ(NG)、チューナー部2に受信周波数の変更を再度設定し、同様の処理を行う(検出時間約100mS)。NULLが有る場合には(OK)、ここで、周期加算回数を4回に設定して伝送モード判別を行う(判定時間約400mS)。
このとき、この発明の場合は、伝送モードの判定を終了するまで、判定時間は合計700mSを必要とした。
【0019】
一方、図2(b)と同様な条件で、従来例によると、図2(a)に示すように、チューナー部2に受信周波数の変更を行った後(S1)、周期加算回数を4回に設定して、伝送モード判定(S2)を実施する(判定時間約400mS)。伝送モードが確定していなければ(NG)、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し(S1)、同様の処理を行う(判定時間約400mS)。再び、伝送モードが確定していなければ(NG)、チューナー部2に受信周波数の変更を設定し(S1)、同様の処理を行う(判定時間約400mS)。ここで、伝送モードが確定すれば、判定処理は終了する。
このとき、従来例の場合は、伝送モードの判定を終了するまで、判定時間は合計約1200mSを必要とした。
【0020】
図2(a)(b)で従来例とこの発明を比較したように、この発明の場合は、伝送モードの判定に要する時間、すなわちシーク時間を短縮することができる。しかも、NULLが検出されると、NULL検出精度を下げずに伝送モードの判定処理を行い、同期処理に移行できる。また、NULLが無い場合には、伝送モードの判定を行うことなく、即チューナー部2に受信周波数の変更を設定できる。
従って、受信周波数帯にDAB信号が有る場合は、伝送モード判別の精度を保つことができ、DAB信号が無い帯域では、シーク速度を早くすることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のディジタル放送受信機によれば、DAB信号を選択同調するチューナー部と、このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部と、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別する制御手段とを備えたので、シーク時間を短縮できると共に、伝送モード判別の精度を保つことができる。
【0022】
また、制御手段は、信号処理部がNULL信号を検出した場合、同じ周期間を複数回加算処理した信号の中間部において、上限と下限でそれぞれのスレッシュホールド値にてカットして抽出した信号により伝送モードを判別するようにしたので、伝送モード判別の精度を保つことができる。
【0023】
また、この発明のディジタル放送受信機のシーク方法によれば、DAB信号を選択同調するチューナー部と、このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部とを有し、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別するようにしたので、シーク時間を短縮できると共に、伝送モード判別の精度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における制御手段によるシーク動作制御を示すフローチャートである。
【図2】 シーク動作制御の従来例とこの発明とを比較する説明図である。
【図3】 DAB信号波形の説明図である。
【図4】 ディジタル放送受信機の構成図である。
【図5】 DAB信号の波形図である。
【図6】 伝送モードの判別精度を上げる手法の説明図である。
【図7】 従来のマイコンによるシーク動作制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 アンテナ 2 チューナー部
3 信号処理部 4 スピーカ
5 操作部 6 マイコン
7 表示部。
Claims (3)
- DAB信号を選択同調するチューナー部と、
このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部と、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別する制御手段とを備えたディジタル放送受信機。 - 上記制御手段は、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合、同じ周期間を複数回加算処理した信号の中間部において、上限と下限でそれぞれのスレッシュホールド値にてカットして抽出した信号により伝送モードを判別するようにした請求項1記載のディジタル放送受信機。
- DAB信号を選択同調するチューナー部と、
このチューナー部が選択同調した信号に基づき、NULL信号を検波する信号処理部とを有し、上記DAB信号をシーク受信する際、上記チューナ部が周波数同調して得たDAB信号における伝送モード中の1最大周期間に、上記信号処理部がNULL信号を検出しない場合は上記チューナ部の同調周波数を変更するように制御し、上記信号処理部がNULL信号を検出した場合は同じ周期間を複数回加算処理した信号によりDAB信号の伝送モードを判別するようにしたディジタル放送受信機のシーク方法。
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JP2001242832A JP4088431B2 (ja) | 2001-08-09 | 2001-08-09 | ディジタル放送受信機及びディジタル放送受信機のシーク方法 |
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