以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
この発明の第1の実施形態に係る電圧減算回路について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電圧減算回路の回路図である。図示するように、電圧減算回路1は、電圧電流変換回路10、電圧保持電流出力回路20、及び電圧出力部30を備えている。
電圧電流変換回路10は、入力電圧V1、V2を電流に変換する。電圧電流変換回路10は、スイッチ素子11、12、オペアンプ13、pチャネルMOSトランジスタ14、15、及び抵抗素子16を備えている。スイッチ素子11、12の開閉は、それぞれ制御信号S1、S2によって制御される。スイッチ素子11、12のそれぞれの一端には、電圧V1、V2が入力される。そしてスイッチ素子11、12の他端は共通接続されて、オペアンプ13の反転入力端子に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ14、15はカレントミラー回路を形成している。すなわち、pチャネルMOSトランジスタ14、15のソースは電源電位に接続され、ゲートは共通接続されている。そしてpチャネルMOSトランジスタ14、15のゲートは、オペアンプ13の出力端子に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ14のドレインは、オペアンプ13の正転入力端子に接続されると共に、抵抗素子16の一端に接続されている。抵抗素子16の他端は、接地電位に接続されている。
電圧保持電流出力回路20は、スイッチ素子21、nチャネルMOSトランジスタ22、23を備えている。スイッチ素子21の開閉は、制御信号S3によって制御される。スイッチ素子21の一端は、電圧電流変換回路10のpチャネルMOSトランジスタ15のドレインに接続されている。またスイッチ素子21の他端は、nチャネルMOSトランジスタ22、23のゲートに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ22のドレインは、pチャネルMOSトランジスタ15のドレイン(スイッチ素子21の一端)に接続され、ソースは接地電位に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ23は、ソースとドレインが共通接続されて、接地電位に接続されている。すなわち、nチャネルMOSトランジスタ23は、キャパシタ素子として機能する。電圧保持電流出力回路20は、スイッチ素子21がオン状態(閉じている状態)の期間に、nチャネルMOSトランジスタ23において電圧を保持し、スイッチ素子21がオフ状態(開いている状態)の期間に、pチャネルMOSトランジスタ22において電流を供給する。
電圧出力部30は、スイッチ素子31及び抵抗素子32を備えている。スイッチ素子31の開閉は、制御信号S4によって制御される。スイッチ素子31の一端は、電圧電流変換回路10のpチャネルMOSトランジスタ15のドレインに接続されている。またスイッチ素子31の他端は抵抗素子32の一端に接続され、抵抗素子32の他端は接地電位に接続されている。電圧出力部30は、スイッチ素子31がオン状態(閉じている状態)の期間に、抵抗素子32における電圧降下を出力電圧として出力する。
図2は、スイッチ素子11、12、21、31を制御する制御信号S1〜S4のタイミングチャートである。図示するように、制御信号S1、S3は、時刻t1において“H”レベルとなり、時刻t2において“L”レベルとなる。すなわち、時刻t1〜t2の期間Δt1の間、スイッチ素子11、21はオン状態となる。制御信号S2、S4は、時刻t3において“H”レベルとなり、時刻t4において“L”レベルとなる。すなわち、時刻t3〜t4の期間Δt2の間、スイッチ素子12、31はオン状態となる。
次に、上記電圧減算回路の動作について説明する。まず時刻t1において、制御信号S1、S3が“H”レベルとされる。期間Δt1の様子を図3に示す。図示するように、制御信号S1、S3が“H”レベルとなることで、スイッチ素子11、21がオン状態となる。従って、スイッチ素子11を介して、オペアンプ13の反転入力端子に電圧V1が入力される。pチャネルMOSトランジスタ14は、入力電圧V1に比例した電流I1を流す。その電流値は、I1=(V1/R1)である。但し、R1は抵抗素子16の抵抗値である。また、pチャネルMOSトランジスタ14と共にカレントミラー回路を形成するpチャネルMOSトランジスタ15も、同じく電流I1を流す。この電流I1は、nチャネルMOSトランジスタ22にも流れる。従って、nチャネルMOSトランジスタ22が電流I1を流すために必要なゲート電圧が、キャパシタ素子(nチャネルMOSトランジスタ23)に保持される。
次に時刻t2において制御信号S1、S3が“L”レベルとされ、引き続き時刻t3において制御信号S2、S4が“H”レベルとされる。期間Δt2の様子を図4に示す。図示するように、制御信号S2、S4が“H”レベルとなることで、スイッチ素子12、31がオン状態となる。従って、スイッチ素子12を介して、オペアンプ13の反転入力端子に電圧V2が入力される。pチャネルMOSトランジスタ14は、入力電圧V2に比例した電流I2を流す。その電流値は、I2=(V2/R1)である。また、pチャネルMOSトランジスタ14と共にカレントミラー回路を形成するpチャネルMOSトランジスタ15も、同じく電流I2を流す。他方、スイッチ素子21がオフ状態となったことにより、nチャネルMOSトランジスタ22は、キャパシタ素子23に充電されている電圧に応じた電流を流す。キャパシタ素子23に充電されていた電圧は、期間Δt1の間に充電されていた電圧のことである。従って、nチャネルMOSトランジスタ22は、電流I1を流す。すると、抵抗素子32は電流I3=(I2−I1)が流れる。よって、抵抗素子32の抵抗値をR1とすれば、出力電圧V3は、V3=R1・I3=R1・(I2−I1)=R1・((V2/R1)−(V1/R1))=V2−V1となる。すなわち、入力電圧V1、V2の差電圧を取り出すことが出来る。
本実施形態に係る電圧減算回路であると、高精度な電圧減算結果を得ることが出来る。
本実施形態に係る電圧減算回路は、時系列に入力された2つの電圧を、同じ電圧電流変換回路によって、それぞれ電流に変換している。そして、これらの電流同士の減算を行っい、その電流減算結果を再び電圧に変換している。よって、プロセスばらつきや温度変動が電圧減算結果に与える影響を低減でき、電圧減算回路は常時、高精度な電圧減算を行うことが出来る。より具体的には、入力電圧V1、V2は外部から入力されるので、両者は同じ程度のバラツキ及び温度特性を有している。すると、抵抗素子16、32を同一の抵抗値とすれば、出力電圧V3=R1・((V2/R1)−(V1/R1))となり、抵抗値の項が消える。従って、例えば抵抗素子16、32がプロセスばらつきを含有していたとしても、電圧減算結果はその影響を受けない。同様に、抵抗素子が温度特性を有していたとしても、その影響を受けない。更に、時系列に入力される2つの入力電圧V1、V2は、共に同一の電圧電流変換回路によって電流に変換される。従って、電圧電流変換回路を形成する各素子にプロセスばらつきが存在していたり、温度による特性変化を有していたりても、それは電流源算の際に相殺される。よって、電圧減算結果はプロセスばらつきの影響をうけない。
次に、この発明の第2の実施形態に係る電圧減算回路について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、入力電圧V1を基準電圧として用いることにより、入力電圧V2の振幅を取り出すものである。
図5は、図1における入力電圧V1を生成するための、基準電圧発生回路の回路図である。図示するように、基準電圧発生回路40は、バンドギャップリファレンス回路41、オペアンプ42、及びnチャネルMOSトランジスタ43、44を備えている。
バンドギャップリファレンス回路41は、温度依存性を殆ど持たない一定電圧Vrefを出力する。この一定電圧Vrefは、オペアンプ42の反転入力端子に接続されている。そして、オペアンプ42の出力端子は、オペアンプ42の正転入力端子に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ43のドレインは、ゲートと共通接続され、更にオペアンプ42の出力端子に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ44のゲートには電圧nbiasが印加され、ソースが接地され、ドレインが、nチャネルMOSトランジスタ43のソースに接続されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ43、44の接続ノードから、電圧V1が出力される。
図6は、図5におけるバンドギャップリファレンス回路41の具体的な構成の一例である。図示するように、バンドギャップリファレンス回路41は、オペアンプ50、抵抗素子51〜55、ダイオード56、57、及びpチャネルMOSトランジスタ58〜60を備えている。オペアンプ50の反転入力端子には、抵抗素子51の一端、及びダイオード56のアノードが接続されている。抵抗素子51の他端及びダイオード56のカソードは接地されている。オペアンプ50の正転入力端子には、抵抗素子52、53の一端が接続されている。抵抗素子53の他端は接地されている。また抵抗素子52の他端はダイオード57のアノードに接続され、ダイオード57のカソードは接地されている。pチャネルMOSトランジスタ58〜60のソースは電源電位に接続され、ゲートは共通接続されてオペアンプ50の出力端子に接続されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ58のドレインはオペアンプ50の反転入力端子に接続され、pチャネルMOSトランジスタ59のドレインはオペアンプ50の正転入力端子に接続されている。抵抗素子54、55は、pチャネルMOSトランジスタ60のドレインと、接地電位との間に直列接続されている。そして、抵抗素子54、55の接続ノードから、電圧Vrefが出力される。
図7は、図1における入力電圧V2を生成するための、電圧変換回路の回路図である。図示するように、電圧変換回路70は、nチャネルMOSトランジスタ71〜74を備えている。nチャネルMOSトランジスタ71、72はそれぞれ、ドレインとゲートが共通接続され、信号電圧VIN、/VINが入力される。そしてソースが共通接続されている。nチャネルMOSトランジスタ73は、ゲートに電圧nbiasが印加され、ソースが接地され、ドレインがnチャネルMOSトランジスタ71、72のソースに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ74は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ71、72のソースに接続され、ソース及びドレインが接地されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ71、72のソース、nチャネルMOSトランジスタ73のドレイン、及びnチャネルMOSトランジスタのゲートの共通接続ノードから、電圧V2が出力される。
次に、上記基準電圧発生回路40及び電圧変換回路70の動作を、電圧減算回路1と共に説明する。基準電圧発生回路40において、バンドギャップリファレンス回路41が一定電圧Vrefを出力する。すると、nチャネルMOSトランジスタ43の閾値電圧をVthとすれば、基準電圧発生回路40は、V1=Vref−Vthを出力する。
また電圧変換回路70において、動作点がVrefである信号電圧VIN及び、VINの反転信号/VINが入力される。すると、nチャネルMOSトランジスタ71、72の閾値電圧がnチャネルMOSトランジスタ43と同じVthであるとすると、電圧変換回路70は、V2=Vamp+Vref−Vthを出力する。但し、Vampは信号電圧VINの振幅である。
すると、電圧減算回路1ではV3=V2−V1=Vampが出力される。すなわち、信号電圧VINの振幅が取り出される。
上記をより具体的に説明する。基準電圧発生回路40において、Vref=1.2V、Vth=0.5Vであったとする。すると、基準電圧発生回路40は、V1=1.2−0.5=0.7Vを出力する。
また電圧変換回路70において、図8に示すような信号電圧VIN、/VINが入力されたとする。すなわち、信号電圧は動作点が1.2Vで、その振幅が1Vである。そして、MOSトランジスタ71、72の閾値電圧Vth=0.5Vであったとする。すると、電圧V2=1V+1.2V−0.5V=1.7Vとなる。
そして、電圧減算回路1に、上記電圧V1、V2が入力される。その結果、電圧減算回路1は、V3=V2−V1=1.7V−0.7V=1.0Vが出力される。
本実施形態に係る電圧減算回路であると、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。また、電圧V1として基準電圧を入力し、電圧V2として基準電圧を動作点とする信号電圧を入力することで、信号電圧の振幅を取り出すことが出来る。
次に、この発明の第3の実施形態に係る電圧減算回路について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態においてはV3=V2−V1であったのに対し、V3=V1−V2を得るものである。図9は、本実施形態に係る電圧減算回路の回路図である。図示するように、電圧減算回路1は、電圧電流変換回路10、電圧保持電流出力回路20、及び電圧出力部30を備えている。
電圧電流変換回路10及び電圧出力部30の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。なお、スイッチ素子11、12、31は、それぞれ制御信号S1、S2、S4に応答して動作する。
電圧保持電流出力回路20は、nチャネルMOSトランジスタ24、25、28、スイッチ素子26、及びpチャネルMOSトランジスタ27を備えている。スイッチ素子26の開閉は、制御信号S3によって制御される。nチャネルMOSトランジスタ24、25は、共にゲートが共通接続されて、カレントミラー回路を形成している。そして、nチャネルMOSトランジスタ24のドレイン及びゲート、並びにpチャネルMOSトランジスタ25のゲートは、電圧電流変換回路10のpチャネルMOSトランジスタ15のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ24、25のソースは接地されている。nチャネルMOSトランジスタ25のドレインは、スイッチ素子26の一端、及びpチャネルMOSトランジスタ27のドレインに接続されている。pチャネルMOSトランジスタ27のソースは電源電位に接続され、ゲートはスイッチ素子26の他端に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ28のゲートは電源電位に接続され、ソース及びドレインは共通接続されて、pチャネルMOSトランジスタ27のゲート及びスイッチ素子26の他端に接続されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ27、スイッチ素子26、及びnチャネルMOSトランジスタ25の接続ノードが、電圧V3出力ノードに接続されている。
次に、上記電圧減算回路の動作について説明する。スイッチ素11、12、26、31を制御する制御信号のタイミングは、図2と同様である。まず時刻t1において、制御信号S5、S7が“H”レベルとされる。期間Δt1の様子を図10に示す。図示するように、制御信号S1、S3が“H”レベルとなることで、スイッチ素子11、26がオン状態となる。従って、スイッチ素子11を介して、オペアンプ13の反転入力端子に電圧V1が入力される。従って、pチャネルMOSトランジスタ14は、入力電圧V1に比例した電流I1を流す。また、pチャネルMOSトランジスタ14と共にカレントミラー回路を形成するpチャネルMOSトランジスタ15も、同じく電流I1を流す。この電流I1は、nチャネルMOSトランジスタ24にも流れる。従って、nチャネルMOSトランジスタ24と共にカレントミラー回路を形成するnチャネルMOSトランジスタ25も同じく電流I1を流す。またこの電流I1は、pチャネルMOSトランジスタ27にも流れる。すると、pチャネルMOSトランジスタ27が電流I1を流すために必要なゲート電圧が、キャパシタ素子(nチャネルMOSトランジスタ28)に保持される。
次に時刻t2において制御信号S1、S3が“L”レベルとされ、引き続き時刻t3において制御信号S2、S4が“H”レベルとされる。期間Δt2の様子を図11に示す。図示するように、制御信号S2、S4が“H”レベルとなることで、スイッチ素子12、31がオン状態となる。従って、スイッチ素子12を介して、オペアンプ13の反転入力端子に電圧V2が入力される。従って、pチャネルMOSトランジスタ14は、入力電圧V2に比例した電流I2を流す。また、pチャネルMOSトランジスタ14と共にカレントミラー回路を形成するpチャネルMOSトランジスタ15も、同じく電流I2を流す。この電流I2は、nチャネルMOSトランジスタ24にも流れる。従って、nチャネルMOSトランジスタ24と共にカレントミラー回路を形成するnチャネルMOSトランジスタ25も同じく電流I2を流す。他方、スイッチ素子26がオフ状態となったことにより、pチャネルMOSトランジスタ27は、キャパシタ素子28に充電されている電圧に応じた電流を流す。キャパシタ素子28に充電されていた電圧は、期間Δt1の間に充電されていた電圧のことである。従って、pチャネルMOSトランジスタ27は、電流I1を流す。すると、抵抗素子32には電流I3=(I1−I2)が流れる。よって、抵抗素子32の抵抗値をR1とすれば、出力電圧V3は、V3=R1・I3=R1・(I1−I2)=R1・((V1/R1)−(V2/R1))=V1−V2となる。すなわち、入力電圧V1、V2の差電圧を取り出すことが出来る。
本実施形態によれば、上記第1、第2の実施形態とは逆の順序で電圧の減算を行うことが出来る。勿論、本実施形態においては、入力電圧V2として、図5を用いて説明した基準電発生回路40が出力する一定電圧を入力し、入力電圧V1として、図7を用いて説明した電圧変換回路70が出力する電圧を入力することが出来る。
図12、図13は、上記第2、第3の実施形態の変形例に係る電圧減算回路1に用いられる基準電圧発生回路40及び電圧変換回路70の回路図である。
図12に示すように、基準電圧発生回路40は、図5に示す構成において、nチャネルMOSトランジスタ44を、nチャネルMOSトランジスタ45に置き換えても良い。nチャネルMOSトランジスタ45は、ソース及びドレインが共通接続されて、接地電位に接続されている。そしてnチャネルMOSトランジスタのゲートがnチャネルMOSトランジスタ43に接続され、その接続ノードから電圧V1が出力される。
図12に示す基準電圧発生回路を用いた場合、図13に示す電圧変換回路を用いることが出来る。図13に示すように、電圧変換回路70は、図8に示す構成において、nチャネルMOSトランジスタ73を廃し、nチャネルMOSトランジスタ75、76を追加した構成を有している。nチャネルMOSトランジスタ75は、ゲートに制御信号S1が入力され、ドレインに信号電圧VINが入力され、ソースが、nチャネルMOSトランジスタ71のドレイン及びゲートに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ76は、ゲートに制御信号S1が入力され、ドレインに信号電圧/VINが入力され、ソースが、nチャネルMOSトランジスタ72のドレイン及びゲートに接続されている。すなわち、制御信号S1が“H”レベルとされている期間Δt1の間のみ、信号電圧VIN、/VINをサンプリングする構成となっている。
なお、図8に示す構成において、nチャネルMOSトランジスタ73を、電流源回路に置き換えても良い。
次にこの発明の第4の実施形態に係る電圧減算回路を用いた強度検波回路について説明する。本実施形態は、上記第1乃至第3の実施形態で説明した電圧減算回路1を、無線通信用半導体集積回路装置の強度検波回路に用いたものである。図14は、本実施形態に係る無線通信用半導体集積回路装置のブロック図であり、例えばBluetoothモジュールのブロック図である。図示するように、Bluetoothモジュール80は、アンテナ90、RFブロック100、ベースバンドコントローラ120、及びインターフェース130を備えている。
アンテナ90は、無線信号の送受信を行う。ベースバンドコントローラ120は、データの復調及び変調を行う。RFブロック100については後述する。そしてインターフェース130を介して、Bluetoothモジュール80は、例えばパーソナルコンピュータや、PDA、プリンタ、並びにテレビなどの家電製品等と接続される。
図15は、RFブロック100のブロック図である。図示するようにRFブロック100は、RFフィルタ101、RFスイッチ102、ローノイズアンプ103、ミキサ104、強度検波回路105、バンドパスフィルタ106、ゲインコントロールアンプ107、A/Dコンバータ108、ガウシアンローパスフィルタ109、PLL(Phase Locked Loop)回路110、電圧制御発振回路111、及びパワーアンプ112を備えている。
データの受信時において、到来した無線搬送波信号(以下RF信号)は、アンテナ90で受信された後、RFフィルタ101を介してRFブロック100に取り込まれる。そしてRF信号は、スイッチ102によってローノイズアンプ103に送られ、ローノイズアンプ103は、RF信号の信号強度を増幅する。ローノイズアンプ103で増幅されたRF信号は、ミキサ104において電圧制御発振回路111の出力するローカル信号LOとミキシングされ、中間周波数IFにダウンコンバートされる。バンドパスフィルタ106は、中間周波数IFにダウンコンバートされたRF信号(IF信号)のうち、指定されたチャネル周波数帯域のみを通過させる。そしてゲインコントロールアンプ107は、バンドパスフィルタ106を通過したIF信号の信号振幅を、A/Dコンバータ108のダイナミックレンジに入るように制御する。次にA/Dコンバータ108が、IF信号をディジタル信号に変換する。A/Dコンバータ108でサンプリングされたIF信号は、ベースバンド処理を行うベースバンドコントローラ120に送られ、ベースバンドコントローラ120は、IF信号の復調を行う。強度検波回路105は、IF信号の強度に応じて、ローノイズアンプ103における増幅の程度を制御する。
他方、データの送信時においては、ベースバンドコントローラ120は、ディジタルデータをガウシアンローパスフィルタ109に転送し、ガウシアンローパスフィルタ109はディジタルデータの高周波成分を抑制する。そしてガウシアンローパスフィルタ109の出力は、電圧制御発振回路111の変調端子に送られる。電圧制御発振回路111は、ガウシアンローパスフィルタ109の出力に基づいて、発振信号の出力周波数を変調する。なお、電圧制御発振回路111の出力周波数は、PLL回路110によって、予め所定のチャネル周波数に設定されている。電圧制御発振回路111から出力される発振信号は、パワーアンプ112によって所望のパワーに増幅され、RFスイッチ102及びRFフィルタ101を介して、アンテナ90から送信される。
図16は、図15における強度検波回路105の構成を示すブロック図である。なお、図16中においては、ローノイズアンプ103とミキサ104とを接続したものを増幅回路113として図示している。無線通信システムでは、送受信機間の距離に応じて電波の強度が大きく変動する。そのため強度検波回路105は、受信信号強度に応じて増幅器113の増幅率を調整して、IF信号の信号強度を安定にする。
強度検波回路105は、上記第1乃至第3の実施形態で説明した電圧減算回路1、上記第2、第3の実施形態で説明した基準電圧発生回路40及び電圧変換回路70、並びにnチャネルMOSトランジスタ400を備えている。電圧減算回路1、基準電圧発生回路40、及び電圧変換回路70の構成は、上記第1乃至第3の実施形態で説明したとおりであるので、説明は省略する、なお、増幅回路113の出力信号OUTが、電圧変換回路70に信号電圧VINとして入力され、増幅回路113の反転出力信号/OUTが、電圧変換回路70に反転信号電圧/VINとして入力される。電圧減算回路1の出力電圧V3は、nチャネルMOSトランジスタ400の電流経路を介して、制御信号CNTとして出力され、制御信号CNTは増幅回路113に与えられる。なおnチャネルMOSトランジスタ400のゲートには制御信号S9が入力される。
図17は、増幅回路113の構成例を示す回路図である。図示するように、増幅回路113は、抵抗素子140、141、及びnチャネルMOSトランジスタ142〜146を備えている。抵抗素子140、141の一端は電源電位に接続され、他端はそれぞれnチャネルMOSトランジスタ143、145のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ143、145のゲートは、それぞれ増幅回路113の入力端子IN、/INに接続される。この入力端子IN、/INには、それぞれRF信号及び反転RF信号が入力される。nチャネルMOSトランジスタ142、144のドレインは電源電位に接続され、ゲートには制御信号CNTが入力される。そして、nチャネルMOSトランジスタ142〜145のソースは共通接続されている。nチャネルMOSトランジスタ146は、ゲートに電圧nbiasが印加され、ソースが接地され、ドレインがnチャネルMOSトランジスタ142〜145のソースに接続されている。このような構成の増幅回路113において、抵抗素子141とnチャネルMOSトランジスタ145との接続ノードの電位が、増幅回路113の出力信号OUT(IF信号)となり、抵抗素子140とnチャネルMOSトランジスタ143との接続ノードの電位が、増幅回路113の反転出力信号/OUTとなる。
次に、上記構成の強度検波回路105及び増幅回路113の動作について、図18、図19を用いて説明する。図18、図19は制御信号S1〜S4、S9、RF信号、IF信号、電圧減算結果V3、及び制御信号CNTのタイミングチャートであり、図18はRF信号の振幅が一定値より大きくない場合(V2<V1)、図19は一定値より大きい場合について示している(V2>V1)。
図示するように、時刻t1において制御信号S1、S3が“H”レベルとされて、電圧変換回路70で変換されたRF信号、及び基準電圧発生回路40で発生された一定電圧の一方が電圧減算回路1内に取り込まれる。そして時刻t3において制御信号S2、S4が“H”レベルとされて、RF信号及び一定電圧の他方が電圧減算回路1内に取り込まれ、両者の減算が行われる。図18は、RF信号の振幅が、基準電圧発生回路40の発生する一定電圧を超えない場合について示している。従って、電圧減算回路1の出力電圧V3は“L”レベルとなる。そして時刻t4において、制御信号S9が“H”レベルとされて、電圧V3が制御信号CNTとして、増幅回路113に与えられる。増幅回路113は、制御信号CNTが“L”レベルの際に、増幅率を高く設定し、制御信号CNTが“H”レベルの際に、増幅率を低く設定する。従って、図18の例では、増幅回路113は最大の増幅率でRF信号を増幅する。
次に図19の場合について説明する。本例の場合、RF信号強度が大きく、電圧変換回路70で変換されたRF信号は、基準電圧発生回路40で発生された一定電圧を超える(V2>V1)。従って、電圧減算回路40の出力電圧V3は、“L”レベルから“H”レベルに変化する。従って、時刻t4において、制御信号CNTも“L”レベルから“H”レベルに変化する。その結果、増幅回路113はRF信号の増幅率を図18の場合に比べて小さくする。よって、増幅回路113から出力されるIF信号の振幅は過度に大きくなりすぎないように抑えられる。
本実施形態に係る無線通信用半導体集積回路によれば、RF信号強度が大きい場合、それを強度検波回路105が検知して、増幅回路113の増幅率を下げるように制御している。逆に、RF信号強度が小さい場合には、増幅回路113の増幅率を上げるように制御している。従って、IF信号強度を常時一定にすることが出来、無線通信用半導体集積回路の動作性能を向上出来る。また、本実施形態に係る無線通信集積回が備える強度検波回路105は、上記第1乃至第4の実施形態で説明した電圧減算回路1を備えている。すなわち、電圧減算結果は、プロセスバラツキや温度変動に影響を受け難い。従って、増幅回路113を精度良く制御することが出来る。
次にこの発明の第5の実施形態に係る電圧減算回路を用いた強度検波回路を備えた、無線通信用半導体集積回路について説明する。本実施形態は、無線通信用半導体集積回路内の各回路に、所定の温度特性を有する(または温度特性を有しない)電流・電圧を与えることによって、無線通信用半導体集積回路の動作特性が温度に依存しないようにするための技術に係る。図20は、本実施形態に係る無線通信用半導体集積回路のブロック図であり、Bluetoothモジュールのブロック図である。
図示するように、Bluetoothモジュール80の構成は、上記第4の実施形態で説明した図15の構成において、バイアス電流/電圧発生回路114を追加したものである。そして、RFブロック100内の各回路は、バイアス電流/電圧発生回路114が供給するバイアス電流、バイアス電圧によって動作する。
図21は、バイアス電流/電圧発生回路114のブロック図である。図示するように、バイアス電流/電圧発生回路114は、PTAT(Proportional To Absolute Temperature)バイアス発生回路150、基準電圧発生回路151、Iconst発生回路152、Iptat発生回路153、If発生回路154、及び電圧電流発生回路155を備えている。
PTATバイアス発生回路150は、イネーブル信号に基づいて電圧Vpを生成する。基準電圧発生回路151は、PTATバイアス発生回路150が生成した電圧Vpに基づいて、所定の基準電圧Vref2を生成する。Iconst発生回路152は、基準電圧Vref2に基づいて、一定電圧Vconstを生成する。Iptat発生回路153は、電圧Vpに基づいて、所定の温度特性を有する電圧Vptatを生成する。If発生回路154は、イネーブル信号に基づいて、所定の温度特性を有する電圧Vfを生成する。電圧電流発生回路155は、電圧Vref2、Vconst、Vptat、Vfに基づいて、バイアス電圧Vbias、バイアス電流Ibiasを生成する。
図22は、Iconst、Vptat、及びVfの温度変化を示すグラフである。図示するように、Iconstは温度に関わらずほぼ一定値である。またVptatは温度と共に増大し、Vfは温度と共に減少するという特性を有する。
図23は、PTATバイアス発生回路150の回路図である。図示するように、PTATバイアス発生回路150は、pチャネルMOSトランジスタ160、161、nチャネルMOSトランジスタ162、163、抵抗素子164、及びダイオード165、166を備えている。pチャネルMOSトランジスタ160、161は、ゲートが互いに共通接続され、ソースが電源電位に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ161のゲートは、pチャネルMOSトランジスタ161のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ162、163は、ゲートが互いに共通接続され、ドレインが、それぞれpチャネルMOSトランジスタ160、161のドレインに接続されている。またnチャネルMOSトランジスタ162のゲートは、nチャネルMOSトランジスタ162のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ162のソースと接地電位との間には、ダイオード165が接続されている。またnチャネルMOSトランジスタ163のソースは、抵抗素子164の一端に接続され、抵抗素子164の他端は、N個(Nは自然数)のダイオード166のアノードに接続され、カソードは接地電位に接続されている。
図23において、A、B、C点における電位をそれぞれV10、V11、V12とする。また、nチャネルMOSトランジスタ162、163とpチャネルMOSトランジスタ160、161とは同じサイズであるとする。すると、
I10=Is・exp(V10/VT)
I11=N・Is・exp(V11/VT)
である。但し、Isは、ダイオードのpn接合の接合面積に比例する電流の比例係数である。またVTはkT/q(k:ボルツマン定数、T:温度、q:電荷)で表され、温度に比例する電圧定数である。これらより、下記が導かれる。
I10−I11=VT・ln(N)
また、抵抗素子164の抵抗値をR2、絶対温度をTとすれば、
I11=(V12−V11)/R2=(V10−V11)/R2=VT・ln(N)/R
=[k・ln(N)/R]・T
すなわち、PTATバイアス発生回路150の動作電流は絶対温度Tに比例する。
図24は、基準電圧発生回路151の回路図である。基準電圧発生回路151は、PTATバイアス発生回路150が出力する電圧Vpを基にして、温度依存性の小さい電圧Vref2を生成するバンドギャップリファレンス回路である。
図示するように、基準電圧発生回路151は、pチャネルMOSトランジスタ167、抵抗素子168、ダイオード169、及びnチャネルMOSトランジスタ170を備えている。pチャネルMOSトランジスタ167のゲートには電圧Vpが印加され、ソースは電源電位に接続され、ドレインには抵抗素子168の一端が接続されている。抵抗素子168の他端にはダイオード169のアノードが接続され、ダイオード169のカソードは接地されている。また、nチャネルMOSトランジスタ170のゲートは、pチャネルMOSトランジスタ167と抵抗素子168との接続ノードに接続され、ソース及びドレインは互いに共通接続されて、接地されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ167と抵抗素子168との接続ノードから、電圧Vref2が出力される。
図25は、Iconst発生回路152の回路図である。Iconst発生回路152は、電圧Vref2を基にして、一定電流Iconstを生成する。Iconst発生回路152は、オペアンプ171、pチャネルMOSトランジスタ172、173、抵抗素子174、及びnチャネルMOSトランジスタ175、176を備えている。オペアンプ171の反転入力端子には、電圧Vref2が印加される。pチャネルMOSトランジスタ172、173のゲートは共通接続されており、共にカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ172、173のゲートはオペアンプ171の出力端子に接続され、ソースは電源電位に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ172のドレインは、オペアンプ171の正転入力端子に接続されると共に、抵抗素子174の一端に接続されている。抵抗素子174の他端は接地電位に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ175は、ゲート及びドレインがpチャネルMOSトランジスタ173のドレインに接続され、ソースが接地されている。nチャネルMOSトランジスタ176は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ175のゲートに接続され、ソース及びドレインが互いに共通接続されて接地されている。上記構成において、pチャネルMOSトランジスタ173は、電圧Vref2に相当する一定電流Iconstを流す。そして、pチャネルMOSトランジスタ173のドレインの電位が、一定電圧Vconstとして出力される。
図26は、Iptat発生回路153の回路図である。Iptat発生回路153は、電圧Vpのレベル変換回路であり、電流Iptatを再生する。Iptat発生回路153は、pチャネルMOSトランジスタ177、及びnチャネルMOSトランジスタ178、179を備えている。pチャネルMOSトランジスタ177のゲートには電圧Vpが印加され、ソースは電源電位に接続されている。nチャネルMOSトランジスタ178のゲート及びドレインは、pチャネルMOSトランジスタ177のドレインに接続され、ソースは接地されている。nチャネルMOSトランジスタ179は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ178のゲートに接続され、ソース及びドレインが互いに共通接続されて接地されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ177が、電圧Vpに相当する電流Iptatを供給する。そして、pチャネルMOSトランジスタ177のドレイン電位が、電圧Vptatとして出力される。
図27乃至図29は、それぞれ電圧電流発生回路155の回路図であり、それぞれが各温度係数TCを持った電流Ibiasを出力する。図27は、絶対温度に比例し、且つその比例係数が比較的大きい(TC=46%/70℃)電流Ibiasを生成する電圧電流発生回路155を示す。図28は、絶対温度に比例し、且つその比例係数が比較的小さい(TC=12%/70℃)電流Ibiasを生成する電圧電流発生回路155を示す。図29は、絶対温度に比例し、且つその比例係数が負である(TC=−23%/70℃)電流Ibiasを生成する電圧電流発生回路155を示す。
まず図27に示す電圧電流発生回路155の構成について説明する。電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ180、181、及びnチャネルMOSトランジスタ182〜184を備えている。pチャネルMOSトランジスタ180、181のソースは電源電位に接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ180のドレインはpチャネルMOSトランジスタ180のゲートに接続され、且つnチャネルMOSトランジスタ182のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ182のゲートには電圧Vptatが印加され、ソースは接地されている。nチャネルMOSトランジスタ183のドレインはpチャネルMOSトランジスタ181のドレインに接続され、ゲートには電圧Vconstが印加され、ソースは接地されている。nチャネルMOSトランジスタ184のゲート及びドレインはpチャネルMOSトランジスタ181のドレインに接続され、ソースは接地されている。
pチャネルMOSトランジスタ181は、電圧Vptatに応答して電流I12を供給する。そして電流I12は、TC=23%/70℃の温度依存性を有している。nチャネルMOSトランジスタ183は、電圧Vconstに応答して電流I13を供給する。また電流I13は、TC=0%/70℃の温度依存性を有している、すなわち温度に対して電流I13は一定である。そしてnチャネルMOSトランジスタ184は、電流Ibiasを供給する。電流Ibiasは、TC=46%/70℃の温度依存性を有している。またnチャネルMOSトランジスタ184のゲート及びドレインの電圧が、電圧Vbiasとして出力される。以上のように、図27の構成とすることで、温度が70℃上昇することで、電流値が46%上昇するような温度特性を有する電流Ibiasが生成される。
次に図28に示す電圧電流発生回路155の構成について説明する。電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ185〜188、及びnチャネルMOSトランジスタ189〜191を備えている。pチャネルMOSトランジスタ185、186のソースは電源電位に接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ185のドレインはpチャネルMOSトランジスタ185のゲートに接続され、且つnチャネルMOSトランジスタ189のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ189のゲートには電圧Vptatが印加され、ソースは接地されている。pチャネルMOSトランジスタ187、188のソースは電源電位に接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ187のドレインはpチャネルMOSトランジスタ187のゲートに接続され、且つnチャネルMOSトランジスタ190のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ190のゲートには電圧Vconstが印加され、ソースは接地されている。nチャネルMOSトランジスタ191のドレインは、pチャネルMOSトランジスタ186、188のドレイン及びnチャネルMOSトランジスタ191のゲートに接続され、ソースは接地されている。
pチャネルMOSトランジスタ186は、電圧Vptatに応答して電流I14を供給する。そして電流I14は、TC=23%/70℃の温度依存性を有している。pチャネルMOSトランジスタ188は、電圧Vconstに応答して電流I15を供給する。そして電流I15は、TC=0%/70℃の温度依存性を有している。そして、nチャネルMOSトランジスタ191は、電流Ibiasを供給する。電流Ibiasは、TC=12%/70℃の温度依存性を有している。またnチャネルMOSトランジスタ191のゲート及びドレインの電圧が、電圧Vbiasとして出力される。以上のように、図28の構成とすることで、温度が70℃上昇することで、電流値が12%上昇するような温度特性を有する電流Ibiasが生成される。
次に図29に示す電圧電流発生回路155の構成について説明する。図29に示す電圧電流発生回路155は、図27に示した電圧電流発生回路155と回路構成は同じである。但し、nチャネルMOSトランジスタ182のゲートには電圧Vconstが印加され、nチャネルMOSトランジスタ183のゲートには電圧Vptatが印加される。従って、pチャネルMOSトランジスタ181が供給する電流I12の温度依存性は、TC=0%/70℃であり、nチャネルMOSトランジスタ183が供給する電流I13の温度依存性は、TC=23%/70℃となる。その結果、nチャネルMOSトランジスタ184が供給するIbiasの温度依存性は、TC=−23%/70℃となる。
以上のようにして、各温度依存性を有する電流Ibiasを生成できる。図30は、Ibiasの温度依存性を示す。図30中におけるL.1〜L.5はそれぞれ、温度係数TC≧TC0(=23%/70℃)の場合、TC=TC0の場合、TC<TC0の場合、TC〜0の場合、及びTC<0の場合について示している。このように、Vptat、Vconst、Vref2を用いることで、様々な温度依存性を有する電流Ibiasを生成できる。
上記のように、本実施形態に係る無線通信用集積回路装置であると、各回路ブロックに対して、所望の温度特性を有する電流を供給している。従って、供給電流の温度特性を最適にすることによって、各回路ブロックにおける温度依存性を相殺することが出来る。従って、無線通信用半導体集積回路は温度による影響を受けることなく、常時一定の動作を行うことが出来、無線通信用半導体集積回路の動作精度を向上できる。
次にこの発明の第6の実施形態に係る電圧減算回路を用いた強度検波回路を備えた、無線通信用半導体集積回路について説明する。本実施形態は、上記第5の実施形態で説明したバイアス電流/電圧発生回路114を、電源パッドが分かれている場合に適用するものである。図31乃至図34は、PTATバイアス発生回路150、基準電圧発生回路151、Iconst発生回路152、及びIptat発生回路153の回路図である。
図31、図32に示すように、PTATバイアス発生回路150、基準電圧発生回路151は、上記第5の実施形態で説明した図23、図24の構成において、電源電位ノードをVdd1ノードに、接地電位ノードをVss1ノードに接続すればよい。
Iconst発生回路152は、図33に示すように、図25に示す構成において電源電位ノードをVdd1ノードに接続し、接地電位ノードをVss1ノードに接続する。そして、nチャネルMOSトランジスタ192を介して、電圧Vconstを取り出す。nチャネルMOSトランジスタ192は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ175、176のゲートに接続され、ソースがVss1ノードに接続される。そして、nチャネルMOSトランジスタ192のドレインから、電圧Vconstが出力される。
Iptat発生回路153は、図34に示すように、図26に示す構成において電源電位ノードをVdd1ノードに接続し、接地電位ノードをVss1ノードに接続する。そして、nチャネルMOSトランジスタ193を介して、電圧Vptatを取り出す。nチャネルMOSトランジスタ193は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ178、179のゲートに接続され、ソースがVss1ノードに接続される。そして、nチャネルMOSトランジスタ193のドレインから、電圧Vptatが出力される。
図35乃至図39は、電圧電流発生回路155の回路図である。図35乃至図39はそれぞれ、電流Ibiasの温度係数TCが、46%/70℃、12%/70℃、−23%/70℃、23%/70℃、及び0%/70℃となるような構成について示している。
まず図35に示す構成について説明する。図示するように、電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ194〜197、nチャネルMOSトランジスタ198〜200を備えている。pチャネルMOSトランジスタ194、195のソースはVdd2ノードに接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ194のドレインには、図35に示すIptat発生回路153が出力する電圧Vptatが印加されている。pチャネルMOSトランジスタ196、197のソースはVdd2ノードに接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ196のドレインには、図34に示すIconst発生回路152が出力する電圧Vconstが印加されている。nチャネルMOSトランジスタ198、199は、ゲートが互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。nチャネルMOSトランジスタ198のドレイン、及びnチャネルMOSトランジスタ198、199のゲートは、pチャネルMOSトランジスタ197のドレインに接続されている。またnチャネルMOSトランジスタ198、199のソースはVss2ノードに接続され、nチャネルMOSトランジスタ199のドレインは、pチャネルMOSトランジスタ195のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ200は、ソースがVss2ノードに接続され、ゲート及びドレインがpチャネルMOSトランジスタ195のドレインに接続されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ200のゲート及びドレインから、電圧Vbiasが出力される。
pチャネルMOSトランジスタ195は、電圧Vptatに応答して電流I20を供給する。電流I20は、温度係数TC=23%/70℃を有する。またnチャネルMOSトランジスタ199は、電圧Vconstに応答して電流I21を供給する。電流I21は、温度係数TC=0%/70℃を有する。従って、nチャネルMOSトランジスタ200が供給する電流Ibiasの温度係数TCは、46%/70℃となる。
次に図36に示す電圧電流発生回路155について説明する。図示するように、電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ201〜204、及びnチャネルMOSトランジスタ205を備えている。pチャネルMOSトランジスタ201、202のソースはVdd2ノードに接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ201のゲート及びドレインには、電圧Vptatが印加される。pチャネルMOSトランジスタ203、204は、ソースがVdd2ノードに接続され、ゲートが互いに接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ203のゲート及びドレインには、電圧Vconstが印加される。nチャネルMOSトランジスタは、ソースがVss2ノードに接続され、ゲート及びドレインが、pチャネルMOSトランジスタ202、204のドレインに接続されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ205のゲート及びドレインから、電圧Vbiasが出力される。
上記構成において、pチャネルMOSトランジスタ202は、電圧Vptatに対応する電流I22を供給する。そして電流I22の温度係数TCは、23%/70℃である。またpチャネルMOSトランジスタ204は、電圧Vconstに対応する電流I23を供給する。そして電流I23の温度係数TCは、0%/70℃である。その結果、nチャネルMOSトランジスタ205が供給する電流Ibiasの温度係数TCは、12%/70℃となる。
次に図37に示す電圧電流発生回路155について説明する。図示するように、電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ206、207、及びnチャネルMOSトランジスタ208、209を備えている。pチャネルMOSトランジスタ206、207のソースはVdd2ノードに接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。pチャネルMOSトランジスタ206のゲート及びドレインには、電圧Vconstが印加されている。nチャネルMOSトランジスタ208のソースはVss2ノードに接続され、ゲートには電圧Vptatが印加され、ドレインはpチャネルMOSトランジスタ207のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ209のソースはVss2ノードに接続され、ゲート及びドレインはpチャネルMOSトランジスタ207のドレインに接続されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ209のゲート及びドレインから、電圧Vbiasが出力される。
上記構成において、pチャネルMOSトランジスタ207は、電圧Vconstに対応する電流I24を供給する。そして電流I24の温度係数TCは、0%/70℃である。また。nチャネルMOSトランジスタ208は、電圧Vptatに対応する電流I25を供給する。そして電流I25の温度係数TCは、23%/70℃である。従って、nチャネルMOSトランジスタ209が供給する電流Ibiasの温度係数TCは、−23%/70℃となる。
次に図38に示す電圧電流発生回路155について説明する。図示するように、電圧電流発生回路155は、pチャネルMOSトランジスタ210、211、及びnチャネルMOSトランジスタ212を備えている。pチャネルMOSトランジスタ210、211のソースはVdd2ノードに接続され、ゲートは互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。そしてpチャネルMOSトランジスタ210のドレイン及びゲートには、電圧Vptatが印加されている。nチャネルMOSトランジスタ212は、ソースがVss2ノードに接続され、ゲート及びドレインがpチャネルMOSトランジスタ211のドレインに接続されている。そして、nチャネルMOSトランジスタ212のゲート及びドレインから電圧Vbiasが出力される。
上記構成において、pチャネルMOSトランジスタ211は、電圧Vptatに対応する電流I26を供給する。そして電流I26の温度係数TCは23%/70℃である。従って、nチャネルMOSトランジスタ212が供給する電流Ibiasも、23%/70℃の温度係数を有する。
なお、図38においてpチャネルMOSトランジスタ210のゲート及びドレインに電圧Vconstを印加した場合には、nチャネルMOSトランジスタ212が供給する電流Ibiasは、0%/70℃の温度係数を有する。
本実施形態によれば、PTAT(Proportional To Absolute Temperature)バイアス発生回路150、基準電圧発生回路151、Iconst発生回路152、及びIptat発生回路153の電源電圧と、電圧電流発生回路155の電源電圧が異なる場合であっても、上記第5の実施形態で説明した効果が得られる。
次にこの発明の第7の実施形態に係る電圧減算回路を用いた強度検波回路を備えた、無線通信用半導体集積回路について説明する。本実施形態は、上記第5、第6の実施形態において、バイアス電流、電圧Ibias、Vbiasを、電圧Vfを用いて生成するものである。
図39は、上記第5の実施形態で説明したIf発生回路154の回路図である。図示するように、If発生回路154は、pチャネルMOSトランジスタ213〜215、nチャネルMOSトランジスタ216〜219、抵抗素子220、及びダイオード221を備えている。pチャネルMOSトランジスタ213、214は、ソースが電源電位に接続され、ゲートが互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。なおpチャネルMOSトランジスタ214のゲートは、pチャネルMOSトランジスタ214のドレインと接続されている。nチャネルMOSトランジスタ216、217は、それぞれのドレインがpチャネルMOSトランジスタ213、214のドレインに接続され、ゲートが互いに共通接続されてカレントミラー回路を形成している。なお、nチャネルMOSトランジスタ216のゲートは、nチャネルMOSトランジスタ216のドレインに接続されている。ダイオード221は、nチャネルMOSトランジスタ216と接地電位との間に接続され、抵抗素子220は、nチャネルMOSトランジスタ217と接地電位との間に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ215は、ソースが電源電位に接続され、ゲートがpチャネルMOSトランジスタ213、214のゲートに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ218のソースは接地電位に接続され、ゲート及びドレインが、pチャネルMOSトランジスタ215のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ219は、ゲートがnチャネルMOSトランジスタ218のゲート及びドレインに接続され、ソース及びドレインが共通接続されて接地電位に接続されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ215が、温度変化に反比例する電流Ifを供給し、pチャネルMOSトランジスタ215のドレインから、電圧Vfが取り出される。
図27乃至図29に示した電圧電流発生回路155において、電圧Vptatの代わりに電圧Vfを印加した場合、それぞれ温度係数が33%/70℃、0%/70℃、−33%/70℃である電流Ibiasを供給する。
本実施形態によれば、温度変化に反比例する電流を用いることによって、上記第5、第6の実施形態よりも更に細かく、電流Ibiasの温度依存性を設定することが出来る。
上記第5乃至第7の実施形態によれば、例えば増幅回路113(ローノイズアンプ103及びミキサ104)と、強度検波回路105の動作電流を、所望の温度係数を持つようにすることが出来る。従って、増幅回路113のゲイン特性や、それに伴う強度検波回路105のゲイン調整特性を制御することが出来る。従って、無線通信用半導体集積回路装置の動作性能を向上できる。
次にこの発明の第8の実施形態に係る無線通信用半導体集積回路装置について説明する。本実施形態は、上記第4乃至第7の実施形態で説明した無線通信用半導体集積回路装置において、各回路ブロックの配置に関するものである。
図40は、上記第4の実施形態で説明したBluetoothモジュールの、特に送信ユニットに着目したブロック図である。図示するように、送信ユニットはベースバンドコントローラ120、ガウシアンローパスフィルタ109、PLL回路110、電圧制御発振回路111、及びパワーアンプ112を備えている。
図41は、電圧制御発振回路111の回路図である。図示するように、電圧制御発振回路111は、pチャネルMOSトランジスタ300、301、nチャネルMOSトランジスタ302、303、電流源304、インダクタ305、及びバラクタダイオード306、307を備えている。
pチャネルMOSトランジスタ300、301のソースは電流源304に接続され、ドレインは、それぞれnチャネルMOSトランジスタ302、303のドレインに接続され、nチャネルMOSトランジスタ302、303のソースは接地電位に接続されている。pチャネルMOSトランジスタ301のゲートはpチャネルMOSトランジスタ300のドレインに接続され、pチャネルMOSトランジスタ300のゲートはpチャネルMOSトランジスタ301のドレインに接続されている。nチャネルMOSトランジスタ302のゲートはnチャネルMOSトランジスタ303のドレインに接続され、nチャネルMOSトランジスタ303のゲートはnチャネルMOSトランジスタ302のドレインに接続されている。
インダクタ305は、pチャネルMOSトランジスタ300のドレインと、pチャネルMOSトランジスタ301のドレインとの間に接続されている。またバラクタダイオード306のアノードはpチャネルMOSトランジスタ300のドレインに接続され、カソードには制御電圧Vctrlが印加される。バラクタダイオード307のアノードはpチャネルMOSトランジスタ301のドレインに接続され、カソードには制御電圧Vctrlが印加される。制御電圧Vctrlは、例えば電圧Vch、Vmod、VCOenによって生成される。
上記構成において、インダクタ305と、バラクタダイオード306、307によって発振周波数の決まる発振信号が、pチャネルMOSトランジスタ300、301及びnチャネルMOSトランジスタ302、303で形成される増幅回路で増幅される。なお、電流源304は、電圧Vbiasによって制御され、電圧Vbiasに応じた電流Isourceを供給する。
図42は、電圧制御発振回路111の、制御電圧−発振周波数特性を示すグラフである。図示するように、電流Isouceが温度に寄らず一定であるとすると、発振周波数は温度によって大きく変化する。これは電圧制御発振回路111を形成するバラクタダイオード306、307や、MOSトランジスタ300〜303に大きな温度依存性があるからである。
次に、図40に示すBluetoothモジュールの動作について、図43を参照しつつ説明する。図43は、各信号のタイミングチャートである。
まずデータの送信にあたって、ベースバンドコントローラ120は、いずれかの周波数チャネルChannelContを選択して、PLL回路110に供給する(時刻t1)また電圧制御発振回路111にはVCOイネーブル信号VCOenが入力されて、電圧制御発振回路111は活性化状態となる(時刻t1)。この際の電圧制御発振回路111の発振周波数をfinitとする。PLL回路110には、参照クロックRefClkと、電圧制御発振回路111の出力VCOout1が入力される。参照クロックRefClkは、PLL回路110において、ベースバンドコントローラ120から与えられる周波数チャネルChannelContに依存して分周される。そしてPLL回路110は、分周クロックと、VCOout1との位相が揃うように、制御電圧Vchを制御する。制御電圧Vchは、電圧制御発振回路111に入力される。この間、電圧制御発振回路111のもう一方の入力端子Vmodには、基準電圧が入力される。
電圧制御発振回路111が安定動作に入ると、ガウシアンローパスフィルタ活性化信号LPFenがアサートされる(時刻t2)。これによって、データDATAがガウシアンローパスフィルタ109を介して電圧制御発振回路111に入力されると共に、PLL回路110のフィードバックループが切られる(オープンループと呼ばれる)。これにより、PLL回路110は、一定の電位Vchを保持する。そして、データDATA(“1”/“0”)に基づいて信号Vmodの電位が制御され、その結果、電圧制御発振回路111の発信周波数が変調される。パワーアンプ112は、電圧制御発振回路111の出力を増幅して、送信信号RFoutを出力する。
図44は、本実施形態に係るBluetoothモジュールにおける、電圧制御発振回路111と、電圧制御発振回路111に接続される3つの回路ブロック(ミキサ104、パワーアンプ112、PLL回路110)の配置を示すブロック図である。図示するように、電圧制御発振回路111と、ミキサ104、パワーアンプ112、及びPLL回路110との距離をそれぞれD(MIX)、D(PA)、D(PLL)とすれば、これらの間にはD(PLL)<D(PA)、D(MIX)なる関係がある。
上記のように、本実施形態に係る無線通信用半導体集積回路であると、通信精度及び信頼性を向上できる。この点につき、以下詳細に説明する。
無線通信用半導体集積回路においては、データの送信と受信は交互に行われる。従って、消費電力に伴う発熱によって、電圧制御発振回路111の周辺の温度は時間と共に変動する。そして、PLL回路110のループがオープンした後の温度変動によって、電圧制御発振回路111の発振周波数が変動する。発振周波数の変動が大きいと、この信号を受信するシステムは正しいデータ判定を行うことが難しくなる。その結果、ビットエラーレートが増大し、その結果、通信の信頼性が低下してします。
しかし本実施形態に係る構成であると、電圧制御発振回路111の電流源を、バイアス電流/電圧発生回路114が生成する電圧Vbiasによって制御している。従って、電圧制御発振回路111の発振周波数が温度によって変化することを、電圧Vbiasを調整することによって抑制することが出来る。すなわち、温度変動による発振周波数の変動を、電圧Vbiasによって補償している。従って、電圧制御発振回路111の発振周波数は常時一定となり、通信精度を向上できる。
また、電圧制御発振回路111には、ミキサ104、パワーアンプ112、及びPLL回路110が接続されている。ミキサ104は受信期間RXのみ発熱し、パワーアンプ112は送信期間TXのみ発熱し、PLL回路110は送信及び受信の両期間に発熱する。このように、これらの動作・非動作を繰り返すブロックは、発熱期間と発熱しない期間とを繰り返す。このようなブロックの近くに電圧制御発振回路111が位置すると、これらのブロックの熱変動に伴う温度変化によって、電圧制御発振回路111の発振周波数が変動してしまう。
しかし本実施形態に係る構成であると、電圧制御発振回路111と、発熱期間と発熱しない期間とを繰り返すミキサ104及びパワーアンプ112との距離D(MIX)、D(PA)を、常時発熱するPLL回路110との距離D(PLL)よりも大きくしている。従って、電圧制御発振回路111はミキサ104及びパワーアンプ112の温度変動の影響を受けがたく、発振周波数を一定に保つことが出来る。特に、ミキサ104とパワーアンプ112とがほぼ同じ消費電力である場合には、D(MIX)とD(PA)とは同程度にすることが望ましい。これは、ミキサ104は送信開始前に動作を停止するのに対して、パワーアンプ112は送信開始と共に動作を開始するからである。この際、D(MIX)=D(PA)とすることで、電圧制御発振回路111からみた熱変動は平均化されて小さくなるからである。なお、パワーアンプ112の方がミキサ104よりも消費電力が大きい場合には、D(MIX)<D(PA)とすることが望ましい。ここで、パワーアンプ112及びミキサ104の消費電力をそれぞれP(PA)、P(MIX)とした場合、α=D(PA)/D(MIX)を、β=P(PA)/P(MIX)に比例させることが望ましい。各ブロックからの熱が等方的に拡散する場合には、αをβ2に比例させることが望ましい。
図45は、送信開始からの経過時間と、温度変動量との関係を、α=1/2β、α=2βの場合について示すグラフである。図示するように、D(PLL)<D(MIX)、D(PA)とすることで、トータルとしての温度変動が抑制されていることが分かる。
以上のように、電圧制御発振回路111の発振周波数を、電圧Vbiasによって制御すると共に、電圧制御発振回路111に接続される各回路ブロックの配置を工夫することによって、一定にすることが出来る。
なお、電圧制御発振回路111、ミキサ104、パワーアンプ112、及びPLL回路110の位置関係は、図50に限られるものではない。例えば、図46乃至図48に示すような配置であっても良く、D(PLL)<D(PA)、D(MIX)が満たされるのであれば特に限定されるものではない。
上記のように、この発明の実施形態に係る電圧減算回路によれば、入力電圧を同一の電圧電流変換回路によってまず電流に変換している。そして、互いに電流の減算を行った後、電圧に変換している。従って、電圧減算結果は、プロセスバラツキや温度変化に影響を受け難く、高精度な電圧減算を行うことが出来る。
また、本実施形態に係る電圧減算回路を無線通信用半導体集積回路装置の強度検波回路に適用することで、受信信号の振幅電圧を精度良く取り出すことが出来る。その結果、受信信号の増幅率を高精度に制御することが出来る。更に無線通信用半導体集積回路において、電圧制御発振回路と、電圧制御発振回路に接続され且つ動作・非動作を繰り返す回路ブロックとの距離を、電圧制御発振回路と、電圧制御発振回路に接続され且つ常時動作する回路ブロックとの距離よりも大きくしている。これにより、電圧制御発振回路は、周囲の回路ブロックの温度変動の影響を受け難く、発振周波数を一定に保つことが出来る。
なお、上記実施形態においては、図1、図10に示す電圧減算回路1において、抵抗素子16、32の抵抗値が同じであり、pチャネルMOSトランジスタ14、15のサイズが同じである場合を例に挙げて説明した。しかし、抵抗素子16、32の抵抗値を変えたり、pチャネルMOSトランジスタ14、15のサイズを変えたりすることにより、差電圧に比例した電圧を取り出すことが可能となる。また第2の実施形態では、電圧V1として基準電圧を、電圧V2として基準電圧を中心に振幅する信号電圧を与える場合について説明した。更に第3の実施形態では電圧V1として基準電圧を、電圧V2として基準電圧を中心に振幅する信号電圧を与える場合について説明した。しかし、電圧V1、V2のいずれが基準電圧または信号電圧でなければならないということは重要ではなく、差電圧が負の値にならなければ、入力電圧は限定されるものではない。
また上記実施形態ではBluetoothモジュールを例に挙げて説明したが、例えば無線LANやIrDA用モジュールなどにも適用できることは言うまでもない。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
1…電圧減算回路、10…電圧電流変換回路、11、12、21、31…スイッチ素子、13、42、50、171…オペアンプ、14、15、27、58〜60、160、161、167、172、173、177、180、181、185〜188、194〜197、201〜204、206、207、210、211、213〜215、300、301…pチャネルMOSトランジスタ、20…電圧保持電流出力回路、22〜25、28、43〜45、71〜76、142〜146、162、163、170、175、176、178、179、182〜183、189〜191、192、193、198〜200、205、208、209、212、216〜219、302、303、400…nチャネルMOSトランジスタ、30…電圧出力部、32、51〜55、140、141、164、168、174、220…抵抗素子、40…基準電圧発生回路、41…バンドギャップリファレンス回路、56、57、165、166、169、221、306、307…ダイオード、70…電圧変換回路、80…無線通信用半導体集積回路、90…アンテナ、100…RFブロック、120…ベースバンドコントローラ、130…インターフェース、101…RFフィルタ、102…スイッチ、103…ローノイズアンプ、104…ミキサ、105…強度検波回路、106…バンドパスフィルタ、107…ゲインコントロールアンプ、108…A/Dコンバータ、109…ガウシアンローパスフィルタ、110…PLL回路、111…電圧制御発振回路、112…パワーアンプ、113…増幅回路、114…バイアス電流/電圧発生回路、150…PTATバイアス発生回路、151…基準電圧発生回路、152…Iconst発生回路、153…Iptat発生回路、154…If発生回路、155…電圧電流発生回路、304…電流源、305…インダクタ