JP4087975B2 - インチング操作型電動弁制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汽力発電プラント、コンバインドサイクル発電プラントにおける電動弁を制御するインチング操作型電動弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動弁の駆動タイプには、全開全閉操作型とインチング操作型とに大分される。全開全開操作型の電動弁は、オペレータ又はオペレータ以外の開指令または閉指令に応じて、弁開度がそれぞれ全開又は全閉に至る駆動動作を有する。一方、インチング操作型の電動弁は、オペレータ又はオペレータ以外の開指令または閉指令に応じて、指令が発行されている期間のみ弁開度方向がそれぞれ開方向または開方向の駆動動作を行う。
【0003】
また、インチング操作型電動弁に対する制御形態は、電動弁の実開度を制御量として制御装置に入力するか否かで、それぞれアナログ方式かディスクリート方式に区分される。アナログ方式では電動弁の実開度を制御量として制御装置に入力し、ディスクリート方式では電動弁の実開度を制御量として制御装置に入力せずに、開指令または閉指令に応じて電動弁を駆動する。近年の汽力発電プラントまたはコンバインドサイクル発電プラント等におけるプラント情報の高度化を考えると、インチング操作型電動弁に関しては、アナログ方式の制御形態が主流を占めるようになっている。
【0004】
図11に、従来のアナログ方式インチング操作型電動弁制御装置の一例を示す。ヒューマンインターフェース機能部50の表示操作計器1には、インチング操作型電動弁14の開度指令値を表示するための開度指令値表示器1A、インチング操作型電動弁14の弁開度を表示するための弁開度指示器1B、インチング操作型電動弁14の全開状態を表示するための全開表示器1C、インチング操作型電動弁14の全閉状態を表示するための全閉表示器1D、インチング操作型電動弁14に開指令を与えるための開指令押しボタン1E、閉指令を与えるための閉指令押しボタン1Fがそれぞれ設けられている。
【0005】
オペレータ操作時には、表示操作計器1の開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fが操作されることにより、開度指令値演算回路4に対して、弁開操作指令jまたは弁閉操作指令kが入力される。開度指令値演算回路4では、それぞれの入力指令の継続時間を基準として、アナログ量(0〜100%)たる開度指令値aが演算される。
【0006】
また、開度指令値演算回路4においては、弁開度bをトラッキング値として、開度指令値aを弁開度bにより置換するべく演算される。すなわち、弁開操作指令jと弁閉操作指令kとをOR回路2の入力とし、OR回路2の出力に対して完了遅延タイマ3を作用させることで得られるオペレータ操作完了信号をトラッキング条件とするトラッキング回路52を有し、弁開度bを開度指定値演算回路4にフィードバックし、オペレータ操作完了の所定の時間後には、開度指令値aが弁開度bにより置換されるべく演算される。また、開度指令値演算回路4で算出された開度指令値aは、開度指令値指示器1Aに表示される。
【0007】
一方、開度指令値演算回路4で算出された開度指令値aは、フィールドコントロール機能部51の偏差演算器5に入力され、この偏差演算器5よって開度指令値aと弁開度検出器13によって得られた弁開度bとの偏差eが演算される。この偏差信号eは、不感帯制限器6で所定の値に制限され、さらに下方制限検出器7と上方制限検出器8とにて、開度指令値aと弁開度bとの偏差eの拡大を抑制して制御するような操作信号に変換される。
【0008】
そして、開方向インターロック演算回路9と閉方向インターロック演算回路10とにて、それぞれ図示省略の種々のインターロックが作用され、弁開指令信号cと弁閉指令信号dとしてインチング操作型電動弁14に出力される。この場合、弁全開ならば開指令を発行しない。また弁全閉ならば閉指令を発行しない。さらに弁開指令信号cと弁閉指令信号dとが同時には発生しないようにしている。
【0009】
インチング操作型電動弁14は、弁開指令信号cと弁閉指令信号dとによって動作制御を受ける。また、弁開度bは弁開度検出器13で検出されて弁開度指示器1Bに表示される。また、全開検出器11にて検出されたインチング操作型電動弁14の全開信号は全開表示器1Cに表示され、同様に、全閉検出器12にて検出されたインチング操作型電動弁14の全閉信号は全閉表示器1Dに表示される。
【0010】
図12に、従来のディスクリート方式のインチング操作型電動弁制御装置の一例を示す。これは、図11に示したアナログ方式インチング操作型電動弁制御装置に対して、開方向インターロック演算回路9と閉方向インターロック演算回路10とに、それぞれ弁開操作指令jと弁閉操作指令kが直接的に入力されるようになっている。
【0011】
オペレータ操作時には、ヒューマンインターフェイス機能部50の表示計器1’の開指令押しボタン1E’または開指令押しボタン1F’が操作されることにより、フィールドコントロール機能部51の開方向インターロック演算回路9と閉方向インターロック演算回路10とに、それぞれ弁開操作指令jと弁閉操作指令kが入力される。
【0012】
開方向インターロック演算回路9と閉方向インターロック演算回路10とにおいては、それぞれ図示省略の種々のインターロックが作用され、弁開指令信号cと弁閉指令信号dとしてインチング操作型電動弁14に出力される。この場合、弁全開ならば開指令を発行しない。また弁全閉ならば閉指令を発行しない。さらに弁開指令信号cと弁閉指令信号dとが同時には発生しないようにしている。
【0013】
インチング操作型電動弁14は、弁開指令信号cと弁閉指令信号dとによって動作制御を受ける。また、全開検出器11にて検出された全開信号は全開表示器1Cに表示され、全閉検出器12にて検出された全閉信号は全閉表示器1Dに表示される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示すアナログ方式のインチング操作型電動弁制御装置によれば、以下のような問題がある。すなわち、弁開度検出器13の故障またはそれ以外の要因による弁開度bの異常により、誤った弁開閉信号が演算されることがあり、また、不感帯制限器6の制限域内では弁開閉信号は算出されることがないので、恒常的にオペレータの所望の弁開度が得られないことがある。
【0015】
また、開度指令値aは、開度指令値演算回路4にてオペレータ操作完了所定時間後にトラッキング操作を作用されて算出されているので、表示操作計器1に対する操作継続時間、すなわち開度指令値演算回路4の繰り返し加減算演算実行の出力値と弁開度bとに関して在近傍点保障がない限り、開度指令値指示器1Aがオペレータの意図に反して不連続に大きく変動することがある。さらに、偏差演算器5に入力される開度指令値aは、開指令押しボタン1Eおよび閉指令押しボタン1F以外の要因の故障により不正な値になることがあるので、フィールドコントロール機能部51にて誤った弁開閉信号が算出されることがある。
【0016】
また、図12に示すディスクリート方式のインチング操作型電動弁制御装置によれば、以下のような問題がある。すなわち、インチング操作型電動弁14に対して開度計測機能を付与していないので、オペレータが開度を判断することが不可能となることがあり、また、ディスクリート方式おいて開度計測機能を付与した場合においても、ヒューマンインターフェイス機能部50とフィールドコントロール機能部51と間の情報伝達時間遅れに起因する図示省略の要因により、オペレータの所望する開度が得られないことがある。
【0017】
本発明の目的は、アナログ方式のインチング操作型電動弁制御ロジックの特長とディスクリート方式のインチング操作型電動弁制御ロジックの特長の双方を備え持ち、優れた制御特性を得ることができるインチング操作型電動弁制御装置を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記インチング操作型電動弁へ出力する弁開指令信号または弁閉指令信号に基づいて前記インチング操作型電動弁の弁開度を模擬し模擬弁開度を演算する弁開度演算回路と、前記弁開度が異常となったことを検出する弁開度異常検出回路と、前記弁開度が異常になったときは前記偏差演算器に入力される信号を弁開度から前記弁開度演算回路で得られる模擬弁開度に切り換える弁開度信号切換回路とを備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項1の発明によると、弁開度演算回路はインチング操作型電動弁へ出力する弁開操作指令と弁閉操作指令とを入力することで弁開度を模擬する。弁開度異常検出回路が弁開度の異常を検出し弁開度異常信号を出力すると、弁開度信号切換器は偏差演算器に入力される信号を実弁開度から弁模擬開度に信号を切り換える。これによって弁開度に異常が起こっても弁開度から弁模擬開度に信号を切り換え、制御を続行することができる。
【0026】
請求項2の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ前記開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力することを禁止する信号ブロック回路とを備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項2の発明によると、前回値保持器と偏差演算器とで構成される指令値微分回路は、開度指令値の前回値と今回値との偏差を演算することで開度指令値の変化率を求め、開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされると開度指令値の変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、この演算信号を信号ブロック回路で1演算回数のみ出力することを禁止する。これによって、逆方向の演算信号を下方制限検出器と上方制限検出器に出力することがなくなる。また、上記の処理が施された出力信号は下方制限検出器に入力されると負の値であれば閉方向インターロック演算回路へ出力され、また出力信号が上方制限検出器に入力されると正の値であれば開方向インターロック演算回路へ出力される。これにより、開度指令値の変化率でインチング操作型電動弁の開度の微調整ができ、制御性を良好にすることができる。
【0028】
請求項3の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とする。
【0029】
請求項3の発明によると、前回値保持器と偏差演算器とで構成される指令値微分回路は、開度指令値の前回値と今回値との偏差を演算することで開度指令値の変化率を求め、開度指令値演算回路で開度指令値が実弁開度にトラッキングされると開度指令値の変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、信号出力回路によって1演算回数のみ前回値保持器が保持する開度指令値を今回の開度指令値に書き換えることで逆方向の演算をなくす。上記の処理が施された出力信号は下方制限検出器に入力されると負の値であれば閉方向インターロック演算回路へ信号を出力され、また出力信号が上方制限検出器に入力されると正の値であれば開方向インターロック演算回路へ信号を出力される。これにより、開度指令値の変化率でインチング操作型電動弁の開度の微調整ができ、制御性を良好にすることができる。
【0030】
請求項4の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記偏差演算器で演算された開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域内に存在することが検出されたとき前記開度指令値を前記指令値微分回路に出力する信号切換回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ前記開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力することを禁止する信号ブロック回路とを備えたことを特徴とする。
【0031】
請求項4の発明によると、領域内存在検知信号を入力すると信号切換器は開度指令値を指令値微分回路に出力する。前回値保持器と偏差演算器とで構成される指令値微分回路は、開度指令値の前回値と今回値との偏差を演算することで開度指令値の変化率を求め、開度指令値演算回路で開度指令値が実弁開度にトラッキングされると開度指令値の変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、この出力信号を信号ブロック回路で1演算回数のみ出力することを禁止する。これによって逆方向の演算信号を下方制限検出器と上方制限検出器に出力することがなくなる。上記の処理が施された出力信号は方制限検出器に入力されると負の値であれば開方向インターロック演算回路へ出力され、また出力信号が上方制限検出器に入力されると正の値であれば開方向インターロック演算回路へ出力される。これにより、不感帯領域内でもインチング操作型電動弁の開度調整ができ、制御性を良好にすることができる。
【0032】
請求項5の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記偏差演算器で演算された開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域内に存在することが検出されたとき前記開度指令値を前記指令値微分回路に出力する信号切換回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項5の発明によると、領域内存在検知の信号を入力すると信号切換回路は開度指令値を指令値微分回路に出力する。前回値保持器と偏差演算器とで構成される指令値微分回路は、開度指令値の前回値と今回値との偏差を演算することで開度指令値の変化率を求め、開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされると開度指令値の変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、信号出力回路によって1演算回数のみ前回値保持器が保持する開度指令値を今回の開度指令値に書き換えることで逆方向の演算をなくす。上記の処理が施された出力信号は下方制限検出器に入力されると負の値であれば閉方向インターロック演算回路へ出力され、また出力信号が上方制限検出器に入力されると正の値であれば関方向インターロック演算回路へ出力される。これにより、不感帯領域内でもインチング操作型電動弁の開度調整ができ、制御性を良好にすることができる。
【0034】
請求項6の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記トラッキング回路に代えて、前記開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域に入ったときその不感帯領域内存在検知信号を所定時間遅延させて前記開度指令値演算回路にトラッキング指令として出力する開始遅延タイマを設けたことを特徴とする。
【0035】
請求項6の発明によると、不感帯領域内存在検知の信号を入力して開始遅延タイマでその信号を遅らせて出力し、その出力信号を開度指令値演算回路のトラッキング指令に使用すると弁開度が開度指令値に接近していき、接近することが止まってから所定時間後、開度指令値が大きく不連続に変動して弁開度にトラッキングされることがないことが保証でき、それによってオペレータに与える心理的負担を軽減させることができる。
【0036】
請求項7の発明に係わるインチング操作型電動弁制御装置は、開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記インチング操作型電動弁への弁開指令信号または弁閉指令信号と前記インチング操作型電動弁の弁開度とを入力し前記インチング操作型電動弁の動作変化率を演算するレート演算回路と、前記レート演算回路が出力する弁動作変化率信号を開度指令値演算回路のレート設定値に書き込むための信号を出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とする。
【0037】
請求項7の発明によると、レート演算回路でインチング操作型電動弁の動作変化率を演算し、その弁動作変化率を開度指令値演算回路のレート設定値に書き込むとオペレータが操作指令を出力したとき、開度指令値と弁開度との差は一定間隔で動作し、インチング操作型電動弁が実際に開度指令値の出力信号によって動作していることが確認でき、開度指令値が大きく不連続に変動して弁開度にトラッキングされることがないことが保証でき、それによってオペレータに与える心理的負担を軽減させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態の前提となる参考例1に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0039】
この参考例1は、図11に示した従来例に対し、弁開度bが異常となったことを検出する弁開度異常検出回路16と、弁開度bが異常になったときは開指令押しボタン1Eからの開指令を開方向インターロック演算回路9に入力すると共に閉指令押しボタン1Fからの閉指令を閉方向インターロック演算回路10に入力する操作指令信号切換回路15と、弁開度bが異常になったときは下方制限検出器7の出力信号が閉方向インターロック演算回路10へ出力されることを禁止すると共に上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力されることを禁止する接点信号ブロック回路17とを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0040】
図1において、弁開度異常検出回路16は弁開度bが異常になったことを検出したときは、その弁開度異常信号xを操作指令信号切換回路15および接点信号ブロック回路17へ出力する。操作指令信号切換器15は弁開度異常信号xを入力すると、弁開操作指令jをディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換え、弁閉操作指令kもディスクリート方式の弁閉操作指令mに切り換える。また、接点信号ブロック回路17は弁開度異常信号xを入力すると、下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10へ出力することを禁止し、かつ上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止する。
【0041】
表示操作計器1にある開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令は、操作指令信号切換器15に入力される。そして、弁開度bが異常でなく、かつ偏差演算器5の出力値が不感帯制限器6の不感帯領域内に入ってないときは、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ信号が出力され、または上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ信号が出力される。そして、その出力信号を演算して閉方向インク一ロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9はインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。
【0042】
一方、弁開度異常検出回路16により弁開度bの異常が検出されると、弁開度異常検出回路16は弁開度異常信号xを操作指令信号切換回路15および接点信号ブロック回路17に出力する。接点信号ブロック回路17は弁開度異常信号xを入力すると接点を開き、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ出力される信号と上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ出力される信号との出力を禁止する。
【0043】
操作指令信号切換器15においても、同様に、この弁開度異常信号xを入力すると、開指令押しボタン1Eの開指令を弁開操作指令jからディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換え、閉指令押しボタン1Fの閉指令を弁閉操作指令kからディスクリート方式の弁閉操作指令mにそれぞれ切り換える。
【0044】
そして、直接、開指令押しボタン1Eの操作指令の信号はディスクリート方式の弁開操作指令nとして出力され、開方向インターロック演算回路9に入力される。閉指令押しボタン1Fの操作指令の信号はディスクリート方式の弁閉操作指令mとして出力され、閉方向インターロック演算回路10に入力される。
【0045】
閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9は、弁開操作指令nまたは弁閉操作指令mに基づいてインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。これにより、インチング操作型電動弁14は開方向または閉方向に操作される。
【0046】
このように、本発明の参考例1によれば、弁開度異常検出回路16から弁開度異常信号xが出力されると、操作指令信号切換器15は弁開操作指令をディスクリート方式の弁開操作指令に切り換え、かつ弁閉操作指令をもディスクリート方式の弁開操作指令に切り換える。また接点信号ブロック回路17も下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10に出力することを禁止し、かつ上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止する。よって弁開度bに異常が起こっても制御方式を切り換えて制御を続行することができるので、制御の信頼性が向上する。
【0047】
次に、本発明の参考例2を説明する。図2は本発明の参考例2に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0048】
この参考例2は、図11に示した従来例に対し、開度指令値aが異常となったことを検出する開度指令値異常検出回路18と、開度指令値aが異常になったときは開指令押しボタン1Eからの開指令を開方向インターロック演算回路9に入力すると共に閉指令押しボタン1Fからの閉指令を閉方向インターロック演算回路10に入力する操作指令信号切換回路15と、開度指令値aが異常になったときは下方制限検出器7の出力信号が閉方向インターロック演算回路10へ出力されることを禁止すると共に上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力されることを禁止する接点信号ブロック回路17とを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0049】
図2において、開度指令値異常検出回路18は開度指令値aが異常になったことを検出したときは、その開度指令値異常信号pを操作指令信号切換回路15および接点信号ブロック回路17へ出力する。操作指令信号切換器15は開度指令値異常信号pを入力すると、弁開操作指令jをディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換え、弁閉操作指令kもディスクリート方式の弁閉操作指令mに切り換える。また、接点信号ブロック回路17は開度指令値異常信号pを入力すると、下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10へ出力することを禁止し、かつ上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止する。
【0050】
表示操作計器1にある開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令は、操作指令信号切換器15に入力される。そして、開度指令値aが異常でなく、かつ偏差演算器5の出力値が不感帯制限器6の不感帯領域内に入ってないときは、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ信号が出力され、または上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ信号が出力される。そして、その出力信号を演算して閉方向インク一ロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9はインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。
【0051】
一方、開度指令値異常検出回路18により開度指令値aの異常が検出されると、開度指令値異常検出回路18は開度指令値異常信号pを操作指令信号切換回路15および接点信号ブロック回路17に出力する。接点信号ブロック回路17は開度指令値異常信号pを入力すると接点を開き、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ出力される信号と上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ出力される信号との出力を禁止する。
【0052】
操作指令信号切換器15においても、同様に、この開度指令値異常信号pを入力すると、開指令押しボタン1Eの開指令を弁開操作指令jからディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換え、閉指令押しボタン1Fの閉指令を弁閉操作指令kからディスクリート方式の弁閉操作指令mにそれぞれ切り換える。
【0053】
そして、直接、開指令押しボタン1Eの操作指令の信号はディスクリート方式の弁開操作指令nとして出力され、開方向インターロック演算回路9に入力される。閉指令押しボタン1Fの操作指令の信号はディスクリート方式の弁閉操作指令mとして出力され、閉方向インターロック演算回路10に入力される。
【0054】
閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9は、弁開操作指令nまたは弁閉操作指令mに基づいてインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。これにより、インチング操作型電動弁14は開方向または閉方向に操作される。
【0055】
この参考例2によれば、開度指令値異常検出回路18から開度指令値異常信号pが出力されると、操作指令信号切換器15は弁開操作指令をディスクリート方式の弁開操作指令に切り換え、かつ弁閉操作指令をもディスクリート方式弁の閉操作指令に切り換える。また接点信号ブロック回路17も下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10へ出力することを禁止し、かつ上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止する。よって、開度指令値aに異常が起こっても制御手段を切り換えて制御を続行することができ、制御の信頼性が向上する。
【0056】
次に、本発明の参考例3を説明する。図3は本発明の参考例3に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0057】
この参考例3は、図11に示した従来例に対し、ディスクリート方式のインチング操作を選択するためのディスクリート方式指令押しボタン1Gと、アナログ方式のインチング操作を選択するためのアナログ方式指令押しボタン1Hと、ディスクリート方式指令押しボタン1Gを押すことで信号をセットしアナログ方式指令押しボタン1Hを押すことでその信号をリセットさせるフリップフロップ回路19と、フリップフロップ回路19のセット信号を入力したときは開指令押しボタン1Eからの開指令を開方向インターロック演算回路9に出力すると共に閉指令押しボタン1Fからの閉指令を閉方向インターロック演算回路10に出力する操作指令信号切換回路15と、フリップフロップ回路19のセット信号を入力したときは下方制限検出器7の出力信号が閉方向インターロック演算回路10へ出力されることを禁止すると共に上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力されることを禁止する接点信号ブロック回路17とを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0058】
図3において、ディスクリート方式指令押しボタン1Gおよびアナログ方式指令押しボタン1Hは表示操作計器1に設けられ、ディスクリート方式指令押しボタン1Gは、ディスクリート方式の弁開操作指令nとディスクリート方式の弁閉操作指令mとを選択し、アナログ方式指令押しボタン1Hは弁開操作指令jと弁閉操作指令kとを選択する。
【0059】
また、フリップフロップ回路19はディスクリート方式指令押しボタン1Gが押されると、セット信号を操作指令信号切換器15および接点信号ブロック回路17に出力し、アナログ方式指令押しボタン1Hが押されるとリセット信号を操作指令信号切換器15および接点信号ブロック回路17に出力する。
【0060】
操作指令信号切換器15はフリップフロップ回路19からのセット信号を入力すると、弁開操作指令jをディスクリート方式弁開操作指令nに切り換え、かつ弁閉操作指令kもディスクリート方式弁閉操作指令mに切り換える。同様に、接点信号ブロック回路17は、フリップフロップ回路19からのセット信号を入力すると接点を開き、下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10へ出力することを禁止すると共に、上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止する。
【0061】
初期状態として表示操作計器1のアナログ方式指令押しボタン1Hが押されているものとする。この状態ではフリップフロップ回路19はリセット信号を出力している。従って、この状態で開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fが押されると、弁開操作指令jまたは弁閉操作指令kが選択される。
【0062】
例えば、開指令押しボタン1Eが押されたとすると、その開指令は操作指令信号切換器15を通って弁開操作指令jとして出力され、その出力信号は開度指令値演算回路4で演算されて、偏差演算器5によりその演算結果の開度指令値aと弁開度bとの偏差eが演算される。その演算出力値である偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域内に入ってないときは、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ信号が出力され、または上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ信号が出力される。そして、その出力信号を演算して閉方向インク一ロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9はインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。
【0063】
一方、ディスクリート方式指令押しボタン1Gが押されると、フリップフロップ回路19はセット信号を出力する。そのセット信号を接点信号ブロック回路17が入力すると、接点信号ブロック回路17は下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ出力する信号と上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ出力する信号との出力を禁止し、アナログ方式の操作指令信号j、kは遮断される。操作指令信号切換器15もこのセット信号を入力すると、開指令押しボタン1Eの開指令の信号を弁開操作指令jからディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換え、閉指令押しボタン1Fの閉指令の信号も弁閉操作指令kからディスクリート方式の弁閉操作指令mにそれぞれ切り換える。
【0064】
そして開指令押しボタン1Eの開指令の信号はディスクリート方式の弁開操作指令nとして出力され、直接開方向インターロック演算回路9に入力される。また閉指令押しボタン1Fの操作指令の信号もディスクリート方式の弁閉操作指令mとして出力され、直接閉方向インターロック演算回路10に入力される。
【0065】
閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9は、ディスクリート方式の弁開操作指令nまたは弁閉操作指令mに基づいてインチング操作型電動弁へ指令を出力する。
【0066】
このように、参考例3では、ディスクリート方式指令押しボタン1Gを押すことで開指令押しボタン1Eの出力指令は弁開操作指令jからディスクリート方式の弁開操作指令nに切り換わり、かつ閉指令押しボタン1Fの出力指令も弁閉操作指令kからディスクリート方式の弁閉操作指令mへ切り換わる。反対にアナログ方式指令押しボタン1Hを押すと、開指令押しボタン1Eの出力指令はディスクリート方式の弁開操作指令nから弁開操作指令jへ切り換わり、かつ閉指令押しボタン1Fの出力指令もディスクリート方式の弁閉操作指令mから弁閉操作指令kへ切り換わる。
【0067】
また、ディスクリート方式指令押しボタン1Gを押すことで接点信号ブロック回路17は、下方制限検出器7の出力信号を閉方向インターロック演算回路10へ出力することを禁止し、かつ上方制限検出器8の出力信号も開方向インターロック演算回路9へ出力することを禁止することができる。
【0068】
従って、オペレータの任意選択によってアナログ方式とディスクリート方式のいずれかの制御タイプに切り換えることができるので、適正な制御を選択することができ操作性が向上する。
【0069】
次に、本発明の第1の実施の形態を説明する。図4は本発明の第1の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0070】
この第1の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、インチング操作型電動弁14へ出力する弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dに基づいてインチング操作型電動弁14の弁開度を模擬し模擬弁開度qを演算する弁開度演算回路20と、弁開度bが異常となったことを検出する弁開度異常検出回路16と、弁開度bが異常になったときは偏差演算器5に入力される信号を弁開度bから弁開度演算回路20で得られた模擬弁開度qに切り換える弁開度信号切換回路15aとを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0071】
図4において、弁開度異常検出回路16は弁開度bが異常になったことを検出したときは、その弁開度異常信号xを弁開度演算回路20に出力する。弁開度演算回路20は、弁開度bの正常には弁開度bと弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dとを入力して、インチング操作型電動弁14の開度を模擬演算しており模擬弁開度qを弁開度信号切換器15aに出力している。
【0072】
一方、弁開度異常信号xを入力すると、弁開度演算回路20は弁開度切換信号rを弁開度信号切換器15aに出力する。弁開度信号切換器15aは弁開度切換信号rを入力すると、偏差演算器5に入力する信号を弁開度bから模擬弁開度qに切り換える。
【0073】
いま、初期状態として弁開度bが異常でなく、表示操作計器1にある開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令があるとする。この場合、偏差演算器5は開度指令値演算回路4の開度指令値aと弁開度bとの偏差eを演算し、この演算信号である偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域に入ってないときは、下方制限検出器7を介して閉方向インターロック演算回路10にて、または上方制限検出器8を介して開方向インターロック演算回路9にて、それぞれ演算される。そして、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁に指令として出力される。
【0074】
一方、弁開度bが異常になると、弁開度異常検出回路16は弁開度bが異常になったことを検出し、弁開度異常信号xを弁開度演算回路20に出力する。弁開度演算回路20はその弁開度異常信号xを入力すると、弁開度切換信号rを弁開度信号切換器15aに出力する。
【0075】
弁開度信号切換器15aでは、弁開度切換信号rを入力すると、偏差演算器5に入力していた弁開度bを弁開度演算回路20で演算された模擬弁開度qに切り換える。そして、偏差演算器5は弁開度bの代わりにこの模擬弁開度qを用いて偏差eを演算し、その演算出力値が不感帯制限器6の不感帯領域内に入ってないときは、下方制限検出器7から閉方向インターロック演算回路10へ信号が出力され、または上方制限検出器8から開方向インターロック演算回路9へ信号が出力される。そして、これらの出力信号を演算して閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9はインチング操作型電動弁14へ指令を出力する。
【0076】
この第1の実施の形態によれば、弁開度演算回路20はインチング操作型電動弁14へ出力する弁開操作指令cと弁閉操作指令dとを入力することで弁開度を模擬することができ、また弁開度異常検出回路16が弁開度bの異常を検出し、弁開度異常信号xを出力すると弁開度信号切換器は偏差演算器に入力される信号を実弁開度から模擬弁開度qに切り換えることができる。従って、弁開度bに異常が起こっても弁開度bから弁模擬開度qに信号を切り換えることで、制御を続行することができ、制御の信頼性が向上する。
【0077】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0078】
この第2の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、開度指令値aの前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路53と、開度指令値変化分が負の値のときは閉方向インターロック演算回路10へ信号を出力する下方制限検出手段7aと、開度指令値変化分が正の値のときは開方向インターロック演算回路9へ信号を出力する上方制限検出手段8aと、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ開度指令値変化分を上方制限検出手段8aおよび下方制限検出手段7aに出力することを禁止する信号ブロック回路17aとを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0079】
図5において、指令値微分回路53は前回値保持器21と偏差演算器5aとで構成され、前回値保持器21で保持された前回の開度指令値ai-1と今回の開度指令値aiとの偏差を偏差演算器5aで求め、開度指令値変化分を求めるものである。
【0080】
信号ブロック回路17aは、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき、指令値微分回路53での1演算回数のみ、開度指令値変化分を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aとに出力しないものである。
【0081】
下方制限検出手段7aは開度指令値変化分を入力して、その値が負の値であれば接点信号を閉方向インターロック演算回路10に出力するものであり、上方制限検出器8aは開度指令値変化分を入力して、その値が正の値であれば接点信号を開方向インターロック演算回路9に出力するものである。
【0082】
初期状態として開度指令値aと弁開度bとを偏差演算器5で演算し、この演算信号である偏差eが不感帯領域に入るまでは不感帯制限器6から信号を出力する。この信号は下方制限検出器7または上方制限検出器8で検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算されて、その演算結果として弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0083】
次に、偏差演算器5の演算信号である偏差eが不感帯領域に入ると不感帯制限器6から信号が出力されないので、不感帯領域内に入ったらインチング操作型電動弁14は指令値微分回路53からの指令で制御されるようになる。この指令値微分回路53は前回値保持器21で保持されている開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差を偏差演算器5aで演算して開度指令値変化分を求め、信号ブロック回路17aに出力する。
【0084】
この信号は下方制限検出手段7aまたは上方制限検出手段8aで検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算されて、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁開指令信号dがインチング操作型電動弁に指令として出力される。
【0085】
ここで、開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令が出力された後、完了遅延タイマ3の設定された所定時間によって開度指令値演算回路4の開度指令値aが弁開度bにトラッキングされると、開度指令値aの変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、信号ブロック回路17aによって1演算回数のみ出力することを禁止する。これによって、逆方向の演算信号を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aに出力することがなくなる。
【0086】
このように、開度指令値aと弁開度bとの偏差をとってインチング操作型電動弁に指令を出力し調整する方法と、開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差をとってインチング操作型電動弁に指令を出力し微調整する方法との2つの方法でインチング操作型電動弁を制御することができ、制御性の向上を図ることができる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0088】
この第3の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、開度指令値aの前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路53と、開度指令値変化分が負の値のときは閉方向インターロック演算回路10へ信号を出力する下方制限検出手段7aと、開度指令値変化分が正の値のときは開方向インターロック演算回路9へ信号を出力する上方制限検出手段8aと、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を上方制限検出手段8aおよび下方制限検出手段7aに出力する信号出力回路17bとを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0089】
図6において、指令値微分回路53は前回値保持器21と偏差演算器5aとで構成され、前回値保持器21で保持された前回の開度指令値ai-1と今回の開度指令値aiとの偏差を偏差演算器5aで求め、開度指令値変化分を求めるものである。
【0090】
信号出力回路17bは、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき、指令値微分回路53での1演算回数のみ、零の開度指令値変化分を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aとに出力するものである。すなわち、指令値微分回路53の前回値保持器21で保持されている開度指令値aの前回値ai-1を今回値a1に書き換え、1演算回数のみ偏差演算器5aの出力を零とするものである。
【0091】
下方制限検出手段7aは開度指令値変化分を入力して、その値が負の値であれば接点信号を閉方向インターロック演算回路10に出力するものであり、上方制限検出器8aは開度指令値変化分を入力して、その値が正の値であれば接点信号を開方向インターロック演算回路9に出力するものである。
【0092】
初期状態として開度指令値aと弁開度bとを偏差演算器6で演算し、この演算信号である偏差eが不感帯領域に入るまでは不感帯制限器6から信号を出力する。この信号は下方制限検出器7または上方制限検出器8で検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算され、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0093】
次に、偏差演算器5の演算信号である偏差eが不感帯領域に入ると不感帯制限器6から信号が出力されないので、不感帯領域内に入ったらインチング操作型電動弁14は指令値微分回路53からの指令で制御されるようになる。この指令値微分回路53は前回値保持器21で保持されている開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差を偏差演算器5aで演算して開度指令値変化分を求め、信号ブロック回路17aに出力する。
【0094】
この信号は下方制限検出手段7aまたは上方制限検出手段8aで検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算され、この演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁に指令として出力される。
【0095】
ここで、開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令が出力された後、完了遅延タイマ3の設定された所定時間によって開度指令値演算回路4の開度指令値aが弁開度bにトラッキングされると、開度指令値aの変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、信号出力回路17bによって1演算回数のみ前回値保持器21で保持されている開度指令値aの前回値ai-1を今回値aiに書き換える。これにより、1演算回数のみ開度指令値変化分が零となり、指令値微分回路53は逆方向の演算信号を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aに出力することがなくなる。
【0096】
このように、開度指令値aと弁開度bとの偏差をとってインチング操作型電動弁に指令を出力し調整する方法と、開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差をとってインチング操作型電動弁14に指令を出力し微調整する方法との2つの方法でインチング操作型電動弁14を制御することができ、制御性の向上を図ることができる。
【0097】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図7は本発明の第4の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0098】
この第4の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、開度指令値aの前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路53と、偏差演算器5で演算された開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域内に存在することが検出されたとき開度指令値aを指令値微分回路53に出力する信号切換回路17cと、開度指令値変化分が負の値のときは閉方向インターロック演算回路10へ信号を出力する下方制限検出手段7aと、開度指令値変化分が正の値のときは開方向インターロック演算回路9へ信号を出力する上方制限検出手段8aと、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ開度指令値変化分を上方制限検出手段8aおよび下方制限検出手段7aに出力することを禁止する信号ブロック回路17aとを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0099】
図7において、指令値微分回路53は前回値保持器21と偏差演算器5aとで構成され、前回値保持器21で保持された前回の開度指令値ai-1と今回の開度指令値aiとの偏差を偏差演算器5aで求め、開度指令値変化分を求めるものである。
【0100】
信号切数器17cは、偏差演算器5で演算された開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域内に存在することが検出されたときに、開度指令値aを指令値微分回路53に出力するものである。また、信号ブロック回路17aは、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき、指令値微分回路53での1演算回数のみ、開度指令値変化分を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aとに出力しないものである。
【0101】
下方制限検出手段7aは開度指令値変化分を入力して、その値が負の値であれば接点信号を閉方向インターロック演算回路10に出力するものであり、上方制限検出器8aは開度指令値変化分を入力して、その値が正の値であれば接点信号を開方向インターロック演算回路9に出力するものである。
【0102】
初期状態として開度指令値aと弁開度bとを偏差演算器5で演算し、この演算信号である偏差eが不感帯領域に入るまでは不感帯制限器6から信号を出力する。この信号は下方制限検出器7または上方制限検出器8で検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算され、その演算結果として弁関指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0103】
次に、偏差演算器5の演算信号である偏差eが不感帯領域に入ると不感帯制限器6から信号が出力されないので、不感帯領域内に入ったらインチング操作型電動弁14は指令値微分回路53からの指令で制御されるようになる。
【0104】
そして、不感帯領域に入ると不感帯制限器6から信号切換器17cに領域内存在検知信号sが出力され、この領域内存在検知信号sを信号切換器17cが入力すると、信号切換器17cは接点を閉じ開度指令値aを指令値微分回路53に出力する。指令値微分回路53では、信号切換器17cを介して開度指令値aが入力されると、前回値保持器21に保持されている開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差を偏差演算器5aで演算し、その偏差を信号ブロック回路17aに出力する。
【0105】
この信号は下方制限検出手段7aまたは上方制限検出手段8aで検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算されて、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0106】
ここで、開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令が出力された後、完了遅延タイマ3の設定された所定時間によって開度指令値演算回路4の開度指令値aが弁開度bにトラッキングされると、開度指令値aの変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、信号ブロック回路17aによって1演算回数のみ出力することを禁止する。これによって、逆方向の演算信号を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aに出力することがなくなる。
【0107】
このように、第4の実施の形態では、不感帯制限器6の領域範囲で制御方法を切り換えるので、偏差eが不感帯領域内に入ると制御不可能な動作範囲が存在したが、指令値微分回路53を適用することによって不感帯領域内の制御が可能となり、インチング操作型電動弁14の微調整を容易にすることができ、制御性の向上を得ることができる。
【0108】
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図8は本発明の第5の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0109】
この第5の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、開度指令値aの前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路53と、偏差演算器5で演算された開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域内に存在することが検出されたとき開度指令値aを指令値微分回路53に出力する信号切換回路17cと、開度指令値変化分が負の値のときは閉方向インターロック演算回路10へ信号を出力する下方制限検出手段7aと、開度指令値変化分が正の値のときは開方向インターロック演算回路9へ信号を出力する上方制限検出手段8aと、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を上方制限検出手段8aおよび下方制限検出手段7aに出力する信号出力回路17bとを追加して設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0110】
図8において、指令値微分回路53は前回値保持器21と偏差演算器5aとで構成され、前回値保持器21で保持された前回の開度指令値ai-1と今回の開度指令値aiとの偏差を偏差演算器5aで求め、開度指令値変化分を求めるものである。
【0111】
信号切換回路17cは、偏差演算器5で演算された開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域内に存在することが検出されたときに開度指令値aを指令値微分回路53に出力するものである。
【0112】
信号出力回路17bは、開度指令値演算回路4で開度指令値aが弁開度bにトラッキングされたことを検知したとき、指令値微分回路53での1演算回数のみ、零の開度指令値変化分を下方制限検出手段7aと上方制限検出手段8aとに出力するものである。すなわち、指令値微分回路53の前回値保持器21で保持されている開度指令値aの前回値ai-1を今回値aiに書き換え、1演算回数のみ偏差演算器5aの出力を零とするものである。
【0113】
下方制限検出手段7aは開度指令値変化分を入力して、その値が負の値であれば接点信号を閉方向インターロック演算回路10に出力するものであり、上方制限検出器8aは開度指令値変化分を入力して、その値が正の値であれば接点信号を開方向インターロック演算回路9に出力するものである。
【0114】
初期状態として開度指令値aと弁開度bとを偏差演算器6で演算し、この演算信号である偏差eが不感帯領域に入るまでは不感帯制限器6から信号を出力する。この信号は下方制限検出器7または上方制限検出器8で検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算され、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0115】
次に、偏差演算器5の演算信号である偏差eが不感帯領域に入ると、不感帯制限器6から信号が出力されないので、不感帯領域内に入ったらインチング操作型電動弁14は指令値微分回路53からの指令で制御されるようになる。不感帯領域に入ると、不感帯制限器6から信号切換器17cに領域内存在検知信号sが出力され、この領域内存在検知信号sを信号切換器17cが入力すると、信号切換器17cは接点を閉じ開度指令値aを指令値微分回路53に出力する。
【0116】
指令値微分回路53では、信号切換器17cを介して開度指令値aが入力されると、前回値保持器21に保持されている開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差を偏差演算器5aで演算し、その偏差を信号ブロック回路17aに出力する。この信号は下方制限検出手段7aまたは上方制限検出手段8aで検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算されて、その演算結果の弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0117】
ここで、開指令押しボタン1Eまたは閉指令押しボタン1Fからの操作指令が出力された後、完了遅延タイマ3の設定された所定時間によって開度指令値演算回路4の開度指令値aが弁開度bにトラッキングされると、開度指令値aの変化率が所望の値とは逆方向に生成されるので、1演算回数のみ信号出力回路17bによって前回値保持器21の開度指令値aの前回値ai-1を今回値aiに書き換える。これにより、指令値微分回路53の出力信号である1演算回数のみ開度指令値変化分は零となり、指令値微分回路53は逆方向の演算信号を下方制限検出器7と上方制限検出器8に出力することがない。
【0118】
このように、第5の実施の形態では、開度指令値aと弁開度bとの偏差をとってインチング操作型電動弁14に指令を出力し調整する方法と、開度指令値aの前回値ai-1と今回値aiとの偏差をとってインチング操作型電動弁14に指令を出力し微調整する方法との2つの方法で、インチング操作型電動弁14を制御することができ、制御性の向上を得ることができる。
【0119】
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。図9は本発明の第6の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0120】
この第6の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、トラッキング回路52に代えて、開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域に入ったとき、その不感帯の領域内存在検知信号sを所定時間遅延させて開度指令値演算回路4にトラッキング指令として出力する開始遅延タイマ3aを設けたものである。その他の構成は、図11に示した従来例と同一であるので、同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0121】
図9において、開始遅延タイマ3aは開度指令値aと弁開度bとの偏差eが不感帯制限器6の不感帯領域に入ったとき、所定時間後に不感帯の領域内存在検知信号sを出力するものである。
【0122】
初期状態として、開度指令値aと弁開度bとを偏差演算器5で演算し、この演算信号である偏差eが不感帯領域に入るまで不感帯制限器6は信号を出力し続ける。この信号は下方制限検出器7または上方制限検出器8で検出され、検出された信号は閉方向インターロック演算回路10または開方向インターロック演算回路9で演算され、その演算結果の弁開指指令信号cまたは弁閉指令信号dがインチング操作型電動弁14に指令として出力される。
【0123】
次に、偏差eが不感帯領域内に入るとインチング操作型電動弁14に指令を出すことが止む。同時に不感帯制限器6から領域内存在検知信号sが出力され、この信号を開始遅延タイマ3aが入力して所定時間後にトラッキング指令信号tを出力する。この信号tが開度指令値演算回路4に入力されると、開度指令値aが弁開度bにトラッキングされる。これによって、開度指令値aがオペレータ操作完了後の所定時間経過時点で大きく不連続に変動することがないことが保証でき、オペレータに与える心理的負担を軽減させることができる。
【0124】
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。図10は本発明の第7の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図である。
【0125】
この第7の実施の形態は、図11に示した従来例に対し、インチング操作型電動弁14への弁開指令信号cまたは弁閉指令信号dとインチング操作型電動弁14の弁開度bとを入力しインチング操作型電動弁14の弁動作変化率uを演算するレート演算回路22と、レート演算回路22が出力する弁動作変化率信号uを開度指令値演算回路4のレート設定値に書き込むための信号を出力する信号出力回路17bとを追加して設けたものである。
【0126】
図10おいて、レート演算回路22は弁開指令信号cと弁閉指令信号dと弁開度bとを入力することで、測定時間の開始時の弁開度bの位置と測定時間後の弁開度bの位置と測定時間と無駄時間とを求め、これを使って弁動作変化率uを演算する。信号出力回路17bは開度指令値演算回路4のレート設定値をレート演算回路22の弁動作変化率信号uに書き換えるものである。
【0127】
初期状態として、開度指令値演算回路4はインチング操作型電動弁14の動作変化率よりも大きい値が設定されているので、開度指令値aは弁開度bが変化するよりも早く変化する。従って、開度指令値aと弁開度bとの差は大きくなる。そして、開度指令値aに対する指令が止み、後は開度指令値aと弁開度bとの差が不感帯領域に入るまで不感帯制限器6は信号を出力し続け、その間、弁開度bがその開度指令値aに近づいていく。しかし、不感帯制限器6の不感帯領域内に入ってから所定時間後に開度指令値演算回路4の開度指令値aが弁開度bにトラッキングされ、開度指令値aが大きく不連続に変動する。
【0128】
次に、インチング操作型電動弁14の動作レートに開度指令値aを合わせると、信号出力回路17bはレート演算回路22で演算された弁動作変化率信号uを開度指令値演算回路4のレート設定値に書き換える。これによって、オペレータが操作指令を出力したとき、開度指令値aと弁開度bとの差は一定間隔で動作し、インチング操作型電動弁14が実際に開度指令値aの出力信号によって動作していることが確認でき、開度指令値aがオペレータ操作完了後の所定時間経過時点で大きく不連続に変動することがないことが保証でき、それによってオペレータに与える心理的負担を軽減させることができる。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インチング操作型電動弁の制御において、アナログ方式の制御ロジックの特長とディスクリート方式の制御ロジックの特長の双方を備え持つので、優れた制御特性を得ることができる。
【0130】
請求項1の発明によれば、弁開度が異常になっても実弁開度から模擬弁開度に切り換えられるので制御を継続することができる。請求項2乃至請求項5の発明によれば、インチング操作型電動弁の微調整制御や不感帯領域内の制御が可能となり、制御性の向上を得ることができる。請求項6、請求項7の発明によれば、開度指令値がオペレータ操作完了後の所定時間経過時点で大きく不連続に変動することがないことが保証でき、それによってオペレータに与える心理的負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図2】 本発明の参考例2に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図3】 本発明の参考例3に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図5】 本発明の第2の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図6】 本発明の第3の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図7】 本発明の第4の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図8】 本発明の第5の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図9】 本発明の第6の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図10】 本発明の第7の実施の形態に係わるインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図11】 従来のアナログ式のインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
【図12】 従来のディスクリート式のインチング操作型電動弁制御装置の構成図。
Claims (7)
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記インチング操作型電動弁へ出力する弁開指令信号または弁閉指令信号に基づいて前記インチング操作型電動弁の弁開度を模擬し模擬弁開度を演算する弁開度演算回路と、前記弁開度が異常となったことを検出する弁開度異常検出回路と、前記弁開度が異常になったときは前記偏差演算器に入力される信号を弁開度から前記弁開度演算回路で得られる模擬弁開度に切り換える弁開度信号切換回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ前記開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力することを禁止する信号ブロック回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記偏差演算器で演算された開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域内に存在することが検出されたとき前記開度指令値を前記指令値微分回路に出力する信号切換回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ前記開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力することを禁止する信号ブロック回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記開度指令値の前回値と今回値との偏差から開度指令値変化分を演算する指令値微分回路と、前記偏差演算器で演算された開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域内に存在することが検出されたとき前記開度指令値を前記指令値微分回路に出力する信号切換回路と、前記開度指令値変化分が負の値のときは前記閉方向インターロック演算回路へ信号を出力する下方制限検出手段と、前記開度指令値変化分が正の値のときは前記開方向インターロック演算回路へ信号を出力する上方制限検出手段と、前記開度指令値演算回路で開度指令値が弁開度にトラッキングされたことを検知したとき1演算回数のみ零の開度指令値変化分を前記上方制限検出手段および前記下方制限検出手段に出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記トラッキング回路に代えて、前記開度指令値と弁開度との偏差が前記不感帯制限器の不感帯領域に入ったときその不感帯領域内存在検知信号を所定時間遅延させて前記開度指令値演算回路にトラッキング指令として出力する開始遅延タイマを設けたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
- 開指令押しボタンから与えられた開指令または閉指令押しボタンから与えられた閉指令に基づいてインチング操作型電動弁の開度指令値を演算する開度指令値演算回路と、前記開度指令値を所定の時間後に弁開度にトラッキングさせるためのトラッキング回路と、前記開度指令値と前記インチング操作型電動弁の弁開度との偏差を演算する偏差演算器と、不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて下方制限を加える下方制限検出器と、下方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁閉指令信号を出力する閉方向インターロック演算回路と、前記不感帯制限器で制限された前記偏差に基づいて上方制限を加える上方制限検出器と、上方制限が加えられた前記偏差に基づいて弁開指令信号を出力する開方向インターロック演算回路とを備えたインチング操作型電動弁制御装置において、前記インチング操作型電動弁への弁開指令信号または弁閉指令信号と前記インチング操作型電動弁の弁開度とを入力し前記インチング操作型電動弁の動作変化率を演算するレート演算回路と、前記レート演算回路が出力する弁動作変化率信号を開度指令値演算回路のレート設定値に書き込むための信号を出力する信号出力回路とを備えたことを特徴とするインチング操作型電動弁制御装置。
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