JP4087189B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルムと記録媒体に被写体画像を同時に記録可能な撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真フィルムに被写体像を記録するいわゆる銀塩カメラと、撮像素子によって得られた画像データをメモリ等の記録媒体に電子データとして記録するいわゆる電子カメラの双方を備え、それぞれの長所を利用することができる撮像装置(以下、複合型撮像装置と称する。)が提案されている。
【0003】
このような複合型撮像装置を用いれば、例えば、銀塩カメラによって撮像された画像の構図が適切であるか否かを、同時に撮影された電子カメラの画像を参照して判断することができるため、必要に応じて取り直しを行うことができて便利である。
【0004】
ところで、このような複合型撮像装置でフラッシュ撮影を行う場合には、同一の照明光によって双方のカメラに画像を記録する必要が生じるが、それぞれのカメラの光学特性(例えば、ガイドナンバ)が異なるため、各カメラにおいて露出が最適になるように調整する必要が生じる。
【0005】
このような調整を行うための発明が、例えば、特開2000−341581号公報に開示されている。この発明では、写真フィルムに対して最適となるようにフラッシュの発光量を設定し、これに対応するように電子カメラのレンズのF値、シャッタ速度および増幅率(撮像素子のISO感度)を設定することにより、双方のカメラの露出が最適になるように調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、構図のみならず、露出の適否を電子カメラによって撮像された画像を参照して判断することができれば好適であるが、そのような判断を行うためには、銀塩カメラと電子カメラの露出量が一致している必要がある。
【0007】
しかしながら、銀塩カメラの場合には、写真フィルムの現像段階において露出量の補正を行うことができることから、銀塩カメラの露出量の許容範囲(ラティチュード)は、電子カメラのそれよりも一般的に広い傾向にある。したがって、同一の露出になるように双方のカメラを設定した場合、銀塩カメラでは露出が適正な場合であっても、電子カメラでは不適正な場合が生じ、双方のカメラによって得られる画像のイメージが一致しない場合があるという問題点がある。
【0008】
また、このような複合型撮像装置を安価に実現するためには、部品点数を減らす必要がある。そこで、例えば、銀塩カメラを固定絞りかつ固定焦点とし、また、電子カメラも固定絞りかつ固定焦点とすれば、部品点数を減らし、結果的に、低価格化を図ることが可能になる。
【0009】
しかしながら、そのような構成によってフラッシュ撮影を行う場合、電子カメラについては撮像素子の感度を調整することにより露出を最適化する必要があるが、撮像素子の感度はISO感度で表記するとISO100〜400程度の範囲内でしか設定ができないため、ISO100〜1600程度の範囲でフィルムの選択が可能な銀塩カメラに比較して、感度調整範囲が限られてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、銀塩カメラと電子カメラを有する撮像装置において、双方のカメラによって得られる画像の一致性を高めるとともに、このような撮像装置を安価に提供しよう、とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、被写体像を写真フィルムに結像させて記録する第1の記録手段と、被写体像を撮像素子に結像させ、得られた画像データを記録媒体に記録する第2の記録手段と、被写体を照明する照明手段と、を有する撮像装置において、第1の記録手段の写真フィルムに対して適正な露出量が与えられるように、第1の記録手段の設定に基づいて照明手段を制御する照明制御手段と、第1の記録手段による画像記録動作を制御するとともに、第1の記録手段における露出制御情報を出力する第1の制御手段と、第1の制御手段から提供される露出制御情報を参照し、第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まっている場合には、第2の記録手段の露出量も許容範囲内に収まるように制御する第2の制御手段と、を具備することとしたものである。
【0022】
このため、第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まっている場合には、第2の記録手段においても露出量が許容範囲内に収まるように制御されるので、第1の記録手段と、第2の記録手段の双方によって得られる画像の一致性を高めることが可能になる。また、銀塩カメラを固定絞りかつ固定焦点とし、また、電子カメラも固定絞りかつ固定焦点としたものにこの発明を適用でき、その構成とすれば、部品点数を減らし、結果的に、低価格化を図ることが可能になる。
【0023】
また、他の発明は、上述の発明に加え、第2の制御手段は、第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まらない場合には、第2の記録手段の露出量も許容範囲から相応する分だけずれを有するように制御することとしたものである。
【0024】
このため、第2の記録手段が露出量の許容範囲を外れた場合には、第2の記録手段の露出量も許容範囲を外れることとなることから、第2の記録手段によって撮像された画像を参照することにより、第1の記録手段により記録された画像の露出量の適否を判断することができる。
【0025】
また、他の発明は、上述の発明に加え、第2の制御手段は、第1の記録手段の露出量と、第2の記録手段の露出量との対応関係を示すテーブルを有しており、テーブルを参照して第2の記録手段の露出量を制御することとしたものである。
【0026】
このため、テーブルを参照することで、第2の記録手段の露出量を簡易に制御することが可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の動作原理を説明する原理図である。この図に示すように、本発明の撮像装置は、第1の記録手段2、第2の記録手段3、照明手段4、照明制御手段5、第1の制御手段6および第2の制御手段7によって構成されている。
【0028】
ここで、第1の記録手段2は、被写体1の光画像である被写体像を写真フィルムに結像させて記録する。第2の記録手段3は、被写体像を撮像素子に結像させ、得られた画像データを電子データとして記録媒体に記録する。照明手段4は、被写体1を照明する。
【0029】
なお、第1の記録手段2が必要とする照明のガイドナンバは、第2の記録手段3が必要とする照明のガイドナンバよりも大きくなるようにF値(口径比)等が設定されている。
【0030】
照明制御手段5は、第1の記録手段2および第2の記録手段3の双方によって同時に被写体像を記録する場合に、第1の記録手段2の写真フィルムに対して適正な露出量が与えられるように、第1の記録手段2の設定に基づいて照明手段4を制御する。
【0031】
第1の制御手段6は、第1の記録手段2による画像記録動作を制御するとともに、第1の記録手段における露出制御情報を第2の制御手段7に対して出力する。この露出制御情報は、第1の制御手段6と第2の制御手段7がそれぞれ個別に得るようにしたり、共通の露出制御手段を別に設け、その露出制御手段からそれぞれの露出制御情報を得たりするようにしてもよい。
【0032】
第2の制御手段7は、第1の制御手段6から提供される露出制御情報に基づいて第2の記録手段3が有する電子シャッタの開閉タイミングを制御することにより露出時間を制御する。
【0033】
次に、以上の原理図の動作について説明する。
【0034】
被写体1を第1の記録手段2および第2の記録手段3によって同時に記録する場合、第1の制御手段6は、使用するフィルムのISO値を読み込むとともに、被写体1の輝度値を取得し、露出量を算出する。
【0035】
そして、第1の制御手段6は、演算によって得られた露出量に対応した露出制御情報を、第2の制御手段7および照明制御手段5に供給する。
【0036】
照明制御手段5は、第1の制御手段6から供給された露出制御情報に基づいて、第1の記録手段2のフィルムに対して最適な露出が与えられるように、照明手段4の発光量を制御する。
【0037】
第1の記録手段2は、照明手段4から照射され、被写体1によって反射された反射光を入力し、写真フィルムに結像させてこれを記録する。そして、フィルムに対する露出量が適切な値になった場合には、照明制御手段5が照明手段4の発光を停止させる。その結果、第1の記録手段2のフィルムには、被写体1の被写体像が記録されることになる。
【0038】
一方、第2の記録手段3でも同様にして被写体1からの反射光を入力し、撮像素子に結像させ、得られた画像データを記録媒体に記録する。このとき、第2の記録手段3のガイドナンバは、第1の記録手段2のそれよりも小さくなるように設定されているので、第1の記録手段2の撮像が終了する前に、最適な露出量に到達する。したがって、第2の制御手段7は、最適な露出に到達した時点で、第2の記録手段3が有している電子シャッタを閉じ、露出を終了する。
【0039】
以上のような動作によれば、第2の記録手段3は、電子シャッタを開閉することにより、露出量を制御することができる。電子シャッタの開閉のタイミングは任意に設定することができるので、撮像素子の感度を調整するよりも広範囲で露出量を制御することが可能になる。
【0040】
また、第1の記録手段2および第2の記録手段3が固定絞りでかつ固定焦点である場合においても、第1の記録手段2および第2の記録手段3の双方が最適な露出量を確保しつつ被写体1の撮影を行うことが可能になる。
【0041】
次に、図2〜5を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
【0042】
図2は、本発明の撮像装置の構成例を示す図である。この図に示すように、本発明の撮像装置は、CPU(Central Processing Unit)20、昇圧回路21、ISO情報読取回路22、シャッタ駆動部23、フィルム給送部24、操作スイッチ群25、測光回路26、通信部27、適正露出量比較回路28、フラッシュ反射光検出・積分回路29、DSP(Digital Signal Processor)30、適正露出量比較回路31、固体撮像素子回路部32、昇圧回路33、メモリ34、LCD(Liquid Crystal Display)モニタ35、照明手段に相当するストロボ回路40および電池55によって構成されている。
【0043】
ここで、CPU20は、昇圧回路21から供給される電源によって動作し、銀塩カメラ側の制御を行う。このCPU20は、図1の原理図の照明制御手段5、第1の制御手段6および第2の制御手段7の各機能を担うものとなる。
【0044】
昇圧回路21は、電池55から供給される直流電圧を昇圧してCPU20に電源として供給する。
【0045】
ISO情報読取回路22は、第1の制御手段6の一部として機能するもので、銀塩カメラ側にセットされた写真フィルムのISO情報を読み取ってCPU20に供給する。
【0046】
シャッタ駆動部23は、第1の制御手段6の一部として機能するもので、CPU20の制御に応じて銀塩カメラのシャッタを駆動する。
【0047】
フィルム給送部24は、第1の制御手段6の一部として機能するもので、銀塩カメラ側において1駒の撮影が終了した場合には、CPU20の制御に従って第1の記録手段2となるフィルムを給送する。
【0048】
操作スイッチ群25は、第1の制御手段6と第2の制御手段7の一部として機能するものであり、レリーズスイッチ、撮影モード切り替えスイッチ等によって構成されており、所定のスイッチが操作された場合には、対応する情報が生成されてCPU20に供給される。
【0049】
測光回路26は、第1の制御手段6と第2の制御手段7の一部として機能するものであり、例えば、フォトダイオード等によって構成され、被写体の輝度を測定してCPU20に通知する。
【0050】
通信部27は、CPU20とDSP30の間でデータを授受する際に、インタフェースとして動作する。
【0051】
適正露出量比較回路28は、第1の制御手段6の一部として機能するもので、フラッシュ反射光検出・積分回路29から出力される検出信号の電圧と、CPU20から供給される基準電圧VrefAとを比較し、これらが等しくなった場合には、CPU20に通知する。
【0052】
フラッシュ反射光検出・積分回路29は、第1の制御手段6と第2の制御手段7の一部として機能するものであり、ストロボ回路40から照射され、被写体で反射されたフラッシュ反射光の光量を検出するとともに、積分し、適正露出量比較回路28,31に供給する。
【0053】
DSP30は、第2の制御手段7の一部として機能するもので、昇圧回路33から供給される電源電圧によって動作し、電子カメラ側の動作を制御する。
【0054】
適正露出量比較回路31は、第2の制御手段7の一部として機能するもので、フラッシュ反射光検出・積分回路29から出力される検出信号の電圧と、CPU20から供給される基準電圧VrefBとを比較し、これらが等しくなった場合には、DSP30に通知する。
【0055】
固体撮像素子回路部32は、第2の制御手段7の一部として機能するもので、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)によって構成されている。なお、固体撮像素子回路部32は、CMOSならグローバルシャッタ方式、CCDならプログレッシブ方式を採用している。
【0056】
ここで、グローバルシャッタ方式およびプログレッシブ方式とは、固体撮像素子の全画素を電気的に一旦リセットし、全画素の同時露出を開始するとともに、全画素の同時露出を終了することができる、いわゆる、電子シャッタ方式である。
【0057】
昇圧回路33は、第2の制御手段7の一部として機能するもので、電池55からの直流電圧を昇圧し、電源としてDSP30に供給する。
【0058】
メモリ34は、第2の記録手段3に相当するもので、例えば、フラッシュメモリによって構成されており、固体撮像素子回路部32の撮像素子によって撮像され、所定の方式でデータ圧縮された画像データを記録する。
【0059】
LCDモニタ35は、固体撮像素子回路部32の撮像素子によって撮像された画像データを表示する。
【0060】
ストロボ回路40は、昇圧回路41、ダイオード42、電解コンデンサ43、コンデンサ44、抵抗45、サイリスタ46、抵抗47、コンデンサ48、トリガトランス49、放電管50、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)51および抵抗52によって構成されており、CPU20の制御に応じて放電管50を発光させる。
【0061】
ここで、昇圧回路41は、電池55の直流電圧を、例えば、300V程度の交流電圧に変換し、出力する。
【0062】
ダイオード42は、昇圧回路41から出力される交流電圧を整流し、電解コンデンサ43に供給する。
【0063】
電解コンデンサ43は、ダイオード42より供給される電荷を蓄積し、放電管50に供給する。
【0064】
コンデンサ44および抵抗45は、サイリスタ46のゲートとアース間に挿入されており、サイリスタ46の保護回路として機能する。
【0065】
サイリスタ46は、CPU20のST端子が“H”(High)の状態になった場合に導通状態となり、コンデンサ48に蓄積されている電荷をトリガトランス49を介して放電させる。
【0066】
抵抗47は、コンデンサ48をチャージするための抵抗である。また、トリガトランス49は、コンデンサ48に蓄積されている電荷によって高電圧を発生し、放電管50を発光させる際のトリガ電圧を発生する。
【0067】
放電管50は、例えば、キセノンランプによって構成され、トリガトランス49によって励起され、電解コンデンサ43に蓄積された電荷を放電することにより発光する。
【0068】
IGBT51は、CPU20によって制御され、主に、放電管50の放電を停止する制御を行う。即ち、IGBT51は、CPU20のSS端子が“H”の状態である場合には導通状態となって放電管50に電荷を供給し、一方、SS端子が“L”(Low)の状態である場合には切断状態となって放電を停止させる。
【0069】
抵抗52は、IGBT51のゲートとアース間に挿入されており、保護抵抗として機能する。
【0070】
次に、以上の実施の形態の動作について説明する。なお、以下では、銀塩カメラおよび電子カメラは、レンズの絞り値(F値)を固定とし、また、絞り値に対応する過焦点位置にレンズをセットすることにより、近側から無限遠までの錯乱円を許容範囲に収める、いわゆる、パンフォーカス(固定焦点)のカメラとして説明を行う。
【0071】
(1)周辺光がほとんど存在しない場合の動作
【0072】
まず、周辺光がほとんど存在しない場合の動作について説明する。この場合、CPU20は、測光回路26の出力を参照し、ストロボの使用が必要であることを認識する。
【0073】
このとき、ストロボ回路40では、昇圧回路41によって電池55の直流電圧が300V程度に昇圧され、ダイオード42によって整流され、電解コンデンサ43がチャージされた状態となっている。
【0074】
CPU20は、装着されている写真フィルムのISO情報をISO情報読取回路22から取得する。そして、測光回路26によって測定された被写体の輝度情報に基づいて露出量を演算し、内部のレジスタに保持する。
【0075】
ISO情報は、通信部27を介してDSP30にも供給されるので、DSP30は、このISO情報を参照して、電子カメラの露出量を演算し、内部のレジスタに保持する。
【0076】
このような状態において、操作スイッチ群25に含まれているレリーズスイッチが操作されると、CPU20は、シャッタ駆動部23に制御信号を供給し、図3に示すように、銀塩カメラのシャッタを開いた状態にする。また、DSP30もCPU20からの信号によりシャッタが開いた状態にされたことを了知し、固体撮像素子回路部32に対して制御信号を供給し、固体撮像素子の露出を開始する。
【0077】
シャッタを開いてから所定の時間が経過すると、CPU20はST端子とSS端子をともに“H”の状態にする。その結果、サイリスタ46が導通状態になるので、コンデンサ48に蓄積されている電荷がトリガトランス49の一次側を介して放電され、トリガトランス49の二次側には高電圧が発生する。その結果、図3に示すように、放電管50が放電を開始する(フラッシュ発光開始)。
【0078】
放電管50から照射された光は、被写体によって反射され、フラッシュ反射光検出・積分回路29に入射される。フラッシュ反射光検出・積分回路29は、入射された光を電気信号に変換して積分する。したがって、フラッシュ反射光検出・積分回路29からの出力信号は、反射光量を累積加算した値に対応した信号となる。
【0079】
適正露出量比較回路28は、CPU20から供給される基準電圧VrefAと、フラッシュ反射光検出・積分回路29の出力信号を比較し、これらが等しくなった場合にはCPU20に通知する。
【0080】
ここで、固定のF値をF8とし、ガイドナンバGNoを10(ISO100の場合)とする。また、被写体輝度が低く、フィルムの露出がフラッシュ光のみで決定される場合のVrefAをVref1とする。
【0081】
Vref1は、例えば、被写体までの距離を1mとすると、
【数1】
GNo=距離(m)×F値=1×8=8 ・・・(1)
となる場合にフラッシュの発光が停止する電圧に設定する。ここで、GV=2×logGNo/log2としているので、GVは、GV=2×log8/log2=6となる。なお、GNoの一般式は、以下の式で表される。ただし、SQRは平方根を示す。
【0082】
【数2】
GNo=距離(m)×F値/SQR(ISO値/100) ・・・(2)
ここで、以上と同様の条件においてISOが200になると、ガイドナンバGNo’=8/SQR(2)=5.66となる。このとき、GV’は、GV’=2×log5.66/log2=5となる。
【0083】
ここで、被写体からの反射光量の対数比は、GNoをGVに置換したGV差(ΔGV)となる。したがって、反射光量積分値の対数比もΔGVとなるので、ISO200の時の基準電圧VrefAをVref2とすると、以下の式が成立する。
【0084】
【数3】
log(Vref1/Vref2)/log2=GV−GV’=6−5=1・・・(3)
【0085】
その結果、log(Vref1/Vref2)=1×log2=0.301となる。したがって、Vref1/Vref2=100.301=2であることから、Vref2=0.5×Vref1となるように設定すればよい。
【0086】
以上のようにして算出されたVrefAの値と、フラッシュ反射光検出・積分回路29の出力電圧が等しくなった場合には、適正露出量比較回路28から停止信号が出力されるので、CPU20がこれを検知し、SS端子を“L”の状態にする。その結果、IGBT51が切断状態となり、放電管50の放電が停止する(図3参照)。
【0087】
放電管50の放電が停止してから一定の時間が経過すると、CPU20は、シャッタ駆動部23を制御して、シャッタを閉じる。そして、フィルム給送部24を制御して、次の駒の撮像が可能になるようにフィルムを給送する。
【0088】
一方、電子カメラでは、放電管50が放電を開始すると、適正露出量比較回路31が、フラッシュ反射光検出・積分回路29の出力電圧と、CPU20から出力される基準電圧VrefBとを比較し、これらが一致した場合には、停止信号をDSP30に出力する。
【0089】
ここで、被写体輝度が低く、フィルムの露出がフラッシュ光のみで決定される場合、前述したように、銀塩カメラのF値をF8とし、フラッシュのガイドナンバGNo10とすると、銀塩カメラのフィルムに適正露出が得られる最遠撮影距離Dは、D=10/8=1.25m(ただし、ISO100の場合)となる。
【0090】
ところで、カラーネガフィルムの場合、EV(Exposure Value)値が2段だけアンダーである場合、すなわち、−2EVの場合には、プリント時の処理によって、実質上問題ない写真として仕上げることができる。したがって、−2EVを許容する場合の最遠撮影距離は、1.25×2=2.5mとなる。同様の計算を各ISOの値に対して行うと、図4(A)のような結果を得る。
【0091】
銀塩フィルムの露出許容範囲(ラティチュード(Latitude))と比較すると、固体撮像素子のラティチュードは狭く、±0.3EV程度の範囲となる。したがって、銀塩カメラによって撮像された画像と、電子カメラによって撮像された画像の見え方を一致させるためには、ラティチュードの差を考慮して露光量を制御する必要がある。
【0092】
仮に、固体撮像素子の感度が銀塩カメラのISO100に相当する場合には、レンズのF値をF4程度に設定する。このように設定すると、電子カメラの最遠撮影距離Ddは、Dd=10/4=2.5mとなり、銀塩カメラにおいて−2EVに該当する撮影距離を0EVの誤差で露出することが可能になる。図4(B)は、以上のような設定をした場合における電子カメラのISO値と最遠撮影距離との関係を示す図である。
【0093】
したがって、以上のような設定を行うと、銀塩カメラのフィルムのISO値と、電子カメラの撮像素子のISO値とを一致させることにより、フラッシュ撮影時の最遠撮影距離の露出量を一致させることが可能になる。
【0094】
なお、以上は、露出がアンダーの場合の設定例であるが、露出がオーバーの場合にも同様にして露出量を一致させることができる。図5は、銀塩カメラと電子カメラのEV値の対応関係を示す図である。この図に示すように、銀塩カメラにおいて−2EVから+3EVの範囲については、プリント時の処理によって補正することが可能であるので、この範囲については、電子カメラは0EVの露出量で撮影するように設定する。
【0095】
また、この範囲から外れた場合には、電子カメラによって得られる画像と、銀塩カメラによって得られる画像の見え方が一致するようにEV値を設定する。例えば、この例では、銀塩カメラの露出が+4EVである場合には、電子カメラは+0.8EVに設定する。また、銀塩カメラの露出が−3EVである場合には、電子カメラは−0.7EVに設定する。
【0096】
なお、このようなテーブル(図5に示すテーブル)は、例えば、CPU20に接続されている図示せぬメモリ等に格納しておき、撮影時に参照することで電子カメラの露出量を決定することができる。
【0097】
以上のようにして露出量が決定されると、CPU20は、基準電圧VrefBを決定する。例えば、電子カメラの露出量がフラッシュ光のみによって決定される場合のVrefBをVrefB1とすると、電子カメラのF値はF4であるので、被写体までの距離が1mである場合に必要なガイドナンバGNoは、ISO100であるとすると、GNo=1×4=4となり、GVも4となる。
【0098】
同一距離における銀塩カメラのGVは6であることから、ΔGV=6−4=2となる。したがって、log(Vref1/VrefB1)=2×log2=0.602となるので、VrefB1=0.25×Vref1となる。その結果、銀塩カメラの基準電圧VrefAの1/4の電圧になるようにVrefBを設定すればよい。
【0099】
適正露出量比較回路31は、フラッシュ反射光検出・積分回路29からの出力電圧と、CPU20からの基準電圧VrefBとを比較し、これらが等しくなった場合には、DSP30に対して停止信号を出力する。
【0100】
その結果、DSP30は、固体撮像素子回路部32の電子シャッタを閉じ、固体撮像素子の露出を停止する(図3参照)。
【0101】
なお、フラッシュの発光開始のタイミングは、図3に示すように、固体撮像素子の露出が終了するよりも時間τだけ前になるように設定されている。一般的に、コンパクトカメラに使用されているフラッシュは、発光後1msec程度で全発光量の90%以上の光量を放出することから、本実施の形態では、τ=1msecに設定されている。
【0102】
ところで、被写体までの距離が短い場合には、露出量がより速く最適値に到達してしまうことから、露出時間は最大で1msecだけ短くなってしまう。このように、露出時間が短くなると、これは露出時間の誤差となってしまう。
【0103】
しかしながら、前述のように固体撮像素子の露出精度は、±0.3EV以内に収める必要があるが、この1msecが、シャッタ速度=1/2TVで表されるTV値として0.3TVの誤差となるシャッタ時間tを求めると、5.35msec(約1/200秒)となり、フラッシュ撮影が行われる場合には、シャッタ速度は1/100秒より長くなるので、このTV誤差は問題とならない。
【0104】
以上のようにして、固体撮像素子回路部32による撮影が終了すると、得られた画像データは、DSP30によって圧縮され、メモリ34の所定の領域に格納されるとともに、LCDモニタ35に供給されて表示される。その結果、ユーザは、LCDモニタ35に表示された画像を参照することにより、撮影した画像の露出が適正であるか否かを判断することができる。
【0105】
(2)周辺光が存在する場合の動作
被写体の輝度が高い場合には、銀塩カメラについてはラティチュードが広いので、周辺光とフラッシュ光の各適正値を加算した結果として、1EV程度のオーバー露出となっても問題とはならない。
【0106】
しかし、電子カメラの場合には、1EVの露出オーバーは、許容できないので、いわゆる、ミックス露出を行う必要がある。
【0107】
このような場合、被写体の輝度に対してフラッシュ光の露出への寄与率を定め、得られた寄与率に基づいてフラッシュの光量を決定する。具体的には、例えば、周辺光の光量を50%とし、フラッシュの光量を50%とし、全体で100%とするならば、フラッシュの光量は通常の半分でよく、GVで表すとΔGV=−1となる。
【0108】
このときのVrefBをVrefB2とすると、以下の式が成立する。
【数4】
log(VrefB2/VrefB1)=−1×log2=−0.301・・・(4)
【0109】
したがって、VrefB2=0.5×VrefB1となる。その結果、先に示したように、上述の例では、VrefBは、VrefAの1/4の電圧とされたので、上記1/2、すなわち、銀塩カメラの基準電圧VrefAの1/8の電圧に電子カメラの基準電圧VrefBを設定すればよい。
【0110】
なお、これ以外の動作は、前述した「(1)周辺光がほとんど存在しない場合の動作」と同様である。
【0111】
なお、図3では、電子カメラすなわち固体撮像素子の露出終了は、フラッシュの発光停止より手前で行われている。これは銀塩カメラ側が−2EVフラッシュ露光に対してアンダーとなる状況において、電子カメラ側を適正露光に保つことにより必然的に生ずることである。すなわち、同一距離では銀塩カメラ側が必要とするGNoに対して、電子カメラ側が必要とするGNoが小さいことによる。
【0112】
ここで、銀塩カメラ側が必要とするGNoをGNocとし、電子カメラ側が必要とするGNoをGNodとすると、GNoc>GNodが成立することとなる。GNoの一般式は、前述したように式(2)のように、GNo=距離(m)×F値/SQR(ISO/100)で示される。したがって、被写体距離は銀塩カメラ側と電子カメラは同一であるから、
【数5】
Fc/SQR(ISOc/100)>Fd/SQR(ISOd/100)・ ・・(5)
が成立する。但し、
Fc:銀塩カメラ側F値
ISOc:銀塩カメラ側フィルム感度
Fd:電子カメラ側F値
ISOd:電子カメラ側固体撮像素子の感度
である。
【0113】
これにより、銀塩フィルムに写し込まれた画像と等価な露出画像を電子カメラに取り込むことが可能になる。
【0114】
このように、本実施の形態の撮像装置では、数μsec〜数十μsecで実行できるシャッタの高速動作に着目し、電子カメラ側のフラッシュ光量が適正となった時点で、全画素の同時露光終了を行うことにより、適正露光量を得ている。
【0115】
更に、この制御を行うにあたり、電子写真と銀塩写真の露出に対するラティチュードを考慮し、上述の式(5)の条件となるようにしている。
【0116】
このような構成にすることにより、銀塩カメラと電子カメラの双方のフラッシュ光に対する露光の一致性を確保することができる。
【0117】
以上に説明したように、本発明の実施の形態では、銀塩カメラに最適となるようにフラッシュの設定を行い、電子カメラについては、電子シャッタを用いてフラッシュの発光量の一部を用いて撮影を行うようにしたので、露出の制御を簡易に行うことができる。
【0118】
また、本発明の実施の形態では、銀塩カメラの露出量が許容範囲内にある場合には、電子カメラの露出量も許容範囲内に収まるように制御し、銀塩カメラの露出量が許容範囲から外れた場合には、電子カメラの露出量も相応する分だけずれを有するように制御するようにしたので、例えば、電子カメラで撮影した画像を参照し、銀塩カメラで撮影した画像の露出の適否を判断することができる。
【0119】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、以上の実施の形態では、説明を簡略化するために、パンフォーカスの場合を例に挙げて説明したが、プログラムシャッタや、絞り優先シャッタの場合でも本発明を適用することができる。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、照明制御手段によって第1の記録手段の写真フィルムに対して適正な露出量が与えられるように制御し、第1の制御手段によって第1の記録手段による画像記録動作を制御し、第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まっている場合には、第2の記録手段においても露出量が許容範囲内に収まるように制御されるので、第1の記録手段と、第2の記録手段の双方によって得られる画像の一致性を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動作原理を説明するための原理図である。
【図2】本発明の実施の形態の構成例を示す図である。
【図3】銀塩フィルムの露出のタイミングと、固体撮像素子の露出のタイミングと、フラッシュの発光タイミングの関係を示す図である。
【図4】銀塩カメラと電子カメラのそれぞれの感度と最遠撮影距離との関係を示す図である。
【図5】銀塩カメラの露出量と、電子カメラの露出量の対応関係を示す図である。
【符号の説明】
1 被写体
2 第1の記録手段
3 第2の記録手段
4 照明手段
5 照明制御手段
6 第1の制御手段
7 第2の制御手段
20 CPU(第1の制御手段)
21 昇圧回路
22 ISO情報読取回路
23 シャッタ駆動部(第1の記録手段)
24 フィルム給送部
25 操作スイッチ群
26 測光回路
27 通信部
28 適正露出量比較回路
29 フラッシュ反射光検出・積分回路
30 DSP(第2の記録手段)
31 適正露出量比較回路
32 固体撮像素子回路部(第2の記録手段)
33 昇圧回路
34 メモリ
35 LCDモニタ
40 ストロボ回路
55 電池
Claims (3)
- 被写体像を写真フィルムに結像させて記録する第1の記録手段と、上記被写体像を撮像素子に結像させ、得られた画像データを記録媒体に記録する第2の記録手段と、被写体を照明する照明手段と、を有する撮像装置において、
上記第1の記録手段の写真フィルムに対して適正な露出量が与えられるように、上記第1の記録手段の設定に基づいて上記照明手段を制御する照明制御手段と、
上記第1の記録手段による画像記録動作を制御するとともに、上記第1の記録手段における露出制御情報を出力する第1の制御手段と、
上記第1の制御手段から提供される上記露出制御情報を参照し、上記第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まっている場合には、上記第2の記録手段の露出量も許容範囲内に収まるように制御する第2の制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。 - 前記第2の制御手段は、前記第1の記録手段の露出量が許容範囲内に収まらない場合には、前記第2の記録手段の露出量も許容範囲から相応する分だけずれを有するように制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記第2の制御手段は、前記第1の記録手段の露出量と、前記第2の記録手段の露出量との対応関係を示すテーブルを有しており、上記テーブルを参照して前記第2の記録手段の露出量を制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
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