JP4086916B2 - 電気バリカン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、握り性の向上を図った電気バリカンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気バリカンは、前後方向に長い筒形状の本体ケースの握り部より前端側に、固定刃および可動刃を有する刃ユニットが刃先を本体ケースの上面先端部に位置させ、刃裏面を下向きにして装着されていて、かかる刃装着状態の下で本体ケースの握り部を握って丸刈りやカットが行われる。すき刈り、うぶ毛剃り、前髪を揃えるカットなどに際しては刃裏面が上向きになるように上下反転させて使用する。こうした電気バリカンにおいて取り落とし防止手段が講じられたものが少ない。もっぱら、本体ケースの刃裏面と一致する外表面にすじ目を付けることにより指の滑り止めを講じたものに過ぎない(例えば、実公平2−10986号公報)。そのほか、本体ケースの握り部の後端に膨出部を設け、この膨出部に小指の指頭が引っ掛かるようにして滑り落とすことのないようにしたもの(特公昭62−58272号公報)がある程度である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したすじ目による滑り止め手段では、握り部の片面のほぼ全体にすじ目が小ピッチで設けられているため、指の指頭のみを局部的に滑り止めする効果が低く、また使用に伴い握り部の外表面が汚れたとき清掃するにしてもすじ目間の汚れは十分に拭き取れず、衛生管理上好ましくない。また膨出部による指先の引っ掛け手段ではその膨出部は握り部の後端部にのみ設けられているため、握り部から小指が抜け出るのを規制できるに過ぎず、他の指の指頭の滑り止め効果は得られない。いずれにおいても、握り部の外表面上で指頭のみを定位置に落ちつかせるつかみ方が容易でないため、特に、丸刈りやカット時のように指頭のみを握り部の外表面上に強く押し付けて手のひらを握り部の外表面から浮かし気味にし、本体ケースを軽くつかんで手首を自由にする握り方を採る場合、滑り落としたり、刃先を思うように運ぶことが困難であり、相当の熟練を要するのであった。
【0004】
本発明の目的は、こうした問題を解消するためになされたもので、握り部の外形形状に工夫を凝らすことにより素人でも確りと常に安定よくつかむことのできる電気バリカンを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気バリカンは、前後方向に長い筒形状の本体ケース1の握り部23の前端側に、固定刃3および可動刃4を有する刃ユニット5が刃先を本体ケース1の上面先端部に位置させ、刃裏面を下向きにして装着されている。かかる電気バリカンにおいて、本発明では本体ケース1の握り部23の下面25に、握り部23の後端26から前方へ向けて、左右両側縁27b・27cからなだらかな円弧を描くよう凹む断面円弧形状の指当て用凹曲面27が形成されており、この指当て用凹曲面27は平面視において弾頭形状を呈し、これの左右方向中央の最深部27aがこれの前後方向全長にわたって下ケース1bの握り部23の下面25の基準面25aとほぼ面一に形成されており、指当て用凹曲面27の左右両側縁27b・27cが、握り部23の後端26に向けて、握り部23の下面25より徐々に高くなるよう肉盛り状に形成されていることを特徴とする。
上記握り部23の左右両側の前方部位にはそれぞれ指掛け用凹部31・32を凹設する。左右の指掛け用凹部31・32の一方または両方にスイッチ操作つまみ33を配設する。
【0006】
【作用】
丸刈りやカットをするときは、図5に示すように、本体ケース1の上面を上にして刃先を前方上向きに、刃裏面を下向きにする状態で握り部23を握るが、このとき握り部23の指当て用凹曲面27を有する面とは反対側の面上および後縁に手のひらを当てがい、親指と人差し指とで握り部23の左右両側面29・30をつかみ、残りの三本の指、中指、薬指、小指の各指尖球を指当て用凹曲面27に当てがうという握り方を採ることができる。中指、薬指、小指は各指尖球の曲面を指当て用凹曲面27に沿うようフイットする面接触状態に当てがうことができるため、これら指頭の滑り止め効果を上げることができる。従って、手首が自由になるように握り部23を軽くつかんでも、取り落とすようなことがなく、安全確実にカットや丸刈りを行うことができる。
【0007】
その際、握り部23の左右両側面29・30の前方部位にそれぞれ指掛け用凹部31・32が凹設されていると、それら指掛け用凹部31・32に親指および人差し指の各指尖球を掛けることができてより安定確実につかむことができる。左右の指掛け用凹部31・32の少なくとも一方の内部にスイッチ操作つまみ33を配設してあると、散髪しながらスイッチ操作つまみ33を指先で操作することができる。
【0008】
刃裏面が上向きになるよう本体ケース1を上下反転させて前髪を揃えるカットを行うときは、図7に示すごとく握り部23の指当て用凹曲面27に人差し指を当てがうとともに、握り部23の左右両側面29・30を親指と中指、薬指でつかむことで、人差し指の腹全面が凹曲面27の曲面にフィットして本体ケース1を安定的につかむことができ、肘を電気バリカンの高さよりも低位置にし、視線を被散髪者の前髪の高さに合わせて被散髪者の正面から当該者の前髪に刃先を真っ直ぐに持って行き易くなる。同じように刃裏面が上向きになるよう上下反転させてすき刈りを行うときは、図8に示すごとく握り部23の上向き面上の指当て用凹曲面27に親指を平行に当てがい、握り部23の下向き面上に他の4本の指の指頭を当てがうことで確りとつかむことができてすき刈りが行い易くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は刃裏面を上向きにした状態で示す斜視図、図2は刃先を上向きに、刃裏面を下向きにする状態で示す側面図、図3は図2におけるA−A線拡大断面図、図4は上ケースを外して内部を示す平面図である。
【0010】
図1および図4において、この電気バリカンの本体ケース1は前後方向に長い筒形状に形成され、プラスチック製の上ケース1aと下ケース1bとを突き合わせてねじ2で一体的に結合されてなる。本体ケース1の前部下面側に固定刃3および可動刃4を有する刃ユニット5が、刃先を本体ケース1の上面先端部に位置させ、刃裏面を下向きにして着脱可能に装着され、刃ユニット5より後方の本体ケース1内に可動刃4を駆動するためのモータ6および充電式電池7などが収納配備されている。
【0011】
図2および図4において、前記刃ユニット5は前方上向き傾斜壁部9aとこの後端に連設する水平壁部9bとからなる屈曲形状の底壁9と、この底壁9の左右端に連設した側壁10・11とを有する断面コ字形の固定刃ホルダー12を有し、この固定刃ホルダー12の内面上に櫛形の固定刃3をこれの刃先が前方上向きに突出するよう固着してある。そして可動刃サポート13に櫛形の可動刃4が固着され、この可動刃4が固定刃ホルダー12の内面上に装着したねじりコイルばね14にて固定刃3の上面に左右方向に摺動自在に押圧付勢されている。可動刃サポート13の上面からピン受溝15を有する受動突起16を突設する一方、モータ6の軸17上に偏心カム19を固着し、この偏心カム19に植設した偏心ピン20を前記ピン受溝15に係合する。刃ユニット5は、固定刃ホルダー12を本体ケース1の前部下面側に前後スライドさせることで着脱自在となっており、固定刃ホルダー12の左右両側壁10・11には指掛け用ローレット35を形成している。また、偏心ピン20の延出方向およびピン受溝15との着脱方向は、固定刃ホルダー12の着脱方向と一致するようにしている。しかるときは、モータ6の回転運動が偏心ピン20およびピン受溝15を介して可動刃4の左右往復運動に変換される。なお、図1において、36は刈り高さ調整用アタッチメントであって、その左右両端に形成された装着壁37の内面に係合凸部39を設ける一方、固定刃ホルダー12の左右側壁10・11の前記指掛け用ローレット35の前方部位に係合穴部40を形成して、この係合穴部40に前記係合凸部39を係合させることで、刈り高さ調整用アタッチメント36を刃ユニット5の底壁9に沿わせて着脱自在に装着できる。
【0012】
かかる構造の電気バリカンにおいて、本発明では使用時にこの電気バリカンを取り落とすことのないように本体ケース1の外観形状に工夫が施される。図2および図3に示すように、刃ユニット5の上方に対応する上ケース1aの上面前部に、前方下り傾斜面21が形成され、この前方下り傾斜面21の後端部位に、前後方向からみて円弧形の上向き隆起リブ22が左右方向にわたって形成され、この上向き隆起リブ22より後方領域が握り部23とされる。一方、下ケース1bの下面前部の刃ユニット5より少し後方部位に、下向き隆起リブ24が左右方向にわたって上向き隆起リブ22とほぼ上下対称位置関係になるよう形成され、この下向き隆起リブ24より後方領域が握り部23とされる。したがって、刃ユニット5により切断された毛くずは、傾斜面21上にある程度溜まっても、上向き隆起リブ22の存在により握り部23側には移行しにくい構造となっている。
【0013】
図1および図2において、下ケース1bの握り部23の下面25に、握り部23の後端26から前後方向中間付近にかけて左右両側縁からなだらかな円弧を描くよう凹む断面円弧形の指当て用凹曲面27が形成される。この指当て用凹曲面27は平面視において弾頭形状を呈し、これの左右方向中央の最深部27aがこれの前後方向全長にわたって下ケース1bの握り部23の下面25の基準面25aとほぼ面一に形成され、指当て用凹曲面27の左右両側縁27b・27cは最深部27aより左右方向に前記基準面25aより徐々に高く、かつ握り部23の後端26に向けて徐々に高くなるよう肉盛り状に形成される。
指当て用凹曲面27の前端部と上下向き隆起リブ22・24との間に対応する上下ケース1a・1bの握り部23の左右両側面29・30の各前部には、前後方向に円弧を描くよう凹む指掛け用凹部31・32が上下方向にわたって形成される。この左右の指掛け用凹部31・32の両方または一方に、モータ6の駆動を制御する前後スライド式のスイッチ操作つまみ33を配設する。
【0014】
丸刈り、カットあるいはうぶ毛剃りなどを行う場合は、図5に示すごとく固定刃3および可動刃4の両刃先が前方上向きに、刃裏面が下向きになるように握り部23を握って使用する。このとき、図5および図6に示すように、握り手の手のひらを握り部23の上面34および後縁に当てがい、左右の指掛け用凹部31・32にそれぞれ親指と人差し指の各指頭を掛けて握り部23の左右両側面29・30をつかむとともに、残りの三本の指、中指、薬指、小指の各指尖球を握り部23の下面25の指当て用凹曲面27に当てがうことによって握り部23を軽くつかむ、という握り方を採る。かかる握り方により手首が自由自在に曲げられるため、容易にカット、丸刈りあるいはうぶ毛剃りなどが行える。特に、こうした軽くつかむ握り方を採る場合も、中指、薬指、小指の三本の指尖球は指当て用凹曲面27に沿うようフイットして面接触状態にはまり込むことで握り部23の下面25上に左右方向に滑り止め状に位置決め固定される。同時に、親指と人差し指の二本の指尖球は指掛け用凹部31・32に当てがわれることで握り部23の左右両側面29・30上で前後方向に滑り止め状に位置決め固定される。従って使用中に取り落とすことなく、安全かつ確実に握ることができる。その際、左右の指掛け用凹部31・32の少なくとも一方に配設してあるスイッチ操作つまみ33は、散髪しながら指先で操作することができて使い勝手が頗る良い。
【0015】
指当て用凹曲面27の左右両側縁27b・27cは最深部27aより左右方向に握り部23の下面25の基準面25aより徐々に高く肉盛り状に形成してあるので、中指、薬指、小指の三本の指尖球の曲面を指当て用凹曲面27にこの左右一側方から無理なく自然的に沿わせ易い。しかもこのような指当て用凹曲面27の肉盛り状の左右両側縁27b・27cは後端26に向けて徐々に高くなるように形成してあるので、その左右両側縁27b・27cの一方を跨ぐ三本の中指、薬指、小指がその一側縁27cに後方へ抜け止め状に引っ掛けられて一層有利である。
【0016】
前髪を揃えるカットを行う場合は、刃ユニット5の刃裏面が上向きになるよう上下反転させて握り部23を握って使用する。このときは、図7に示すように、指当て用凹曲面27に人差し指を当てがい、握り部23の左右両側面29・30を親指と中指、薬指でつかむことにより、人差し指の腹全面が凹曲面27の曲面にフィットして本体ケース1を安定的に握ることができ、肘を電気バリカンの高さよりも低位置にし、視線を被散髪者の前髪の高さに合わせて被散髪者の正面から当該者の前髪に刃先を真っ直ぐに持ってゆき易くなり、前髪揃えカットが行い易い。
【0017】
同じように刃裏面が上向きになるよう上下反転させてすき刈りを行うときは、刃先にすき刈りアタッチメント(図示省略)をセットし、図8に示すように握り部23の上向き面上の指当て用凹曲面27に親指を平行に当てがい、握り部23の下向き面上に他の4本の指の指頭を当てがうことで確りとつかむことができてすき刈りが行い易くなる。
【0018】
図2および図3に示すように握り部23の下面25の前部に下向き隆起リブ24を設け、かつその下面25と左右両側面29・30の交わる角にアールRを付けることにより、この電気バリカンを使用途上でテーブルなどの載置面T上に握り部23の下面25が下向きになるように置く時に下面25と載置面Tとの間に、指先を入れやすい空間Sが生じるため、その空間部Sに指先を入れて握り部23をつかみ取りやすくて使い勝手が良くなる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、刃ユニット5の両刃先が前方上向きに、刃裏面が下向きになるように握って丸刈りやカットをするときは中指、薬指、小指の指尖球を指当て用凹曲面27に当てがうことによりこれら中指、薬指、小指の指尖球の滑り止め状態が得られて握り部23をしっかりと握ることができ、滑り落とすことなく安全に丸刈りやカットを行うことができる。握り部23の左右両側の前方部位にそれぞれ指掛け用凹部31・32を凹設してあるので、それら指掛け用凹部31・32に親指および人差し指の指尖球を掛けることができてより安定よく確実に握ることができる。左右の指掛け用凹部31・32の少なくとも一方の内部にスイッチ操作つまみ33を配設してあるので、散髪しながらスイッチ操作つまみ33を操作することができて使い勝手が頗る良い。
【0020】
刃裏面が上向きになるよう上下反転させて前髪を揃えるカットを行うときは、指当て用凹曲面27に人差し指を当てがうことにより、本体ケース1を安定的に握ることができて狙いを定め易く、前髪揃えカットが行い易い。指当て用凹曲面27は指尖球がはまり込む程度の大きさを持つ断面円弧形に形成してあるので、握り部23の外表面に付着した汚れを拭き取る場合もその指当て用凹曲面27を含めて容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】刃裏面を上向きにした状態で示す斜視図である。
【図2】刃先を上向きに、刃裏面を下向きにする状態で示す側面図である。
【図3】図2におけるA−A線拡大断面図である。
【図4】上ケースを外して内部を示す平面図である。
【図5】丸刈りやカットする時の握り方を示す側面図である。
【図6】丸刈りやカットする時の握り方を示す底面図である。
【図7】前髪を揃えるカットを行う時の握り方を示す平面図である。
【図8】すき刈りを行う時の握り方を示す平面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
3 固定刃
4 可動刃
5 刃ユニット
23 握り部
26 後端
27 指当て用凹曲面
31・32 指掛け用凹部
33 スイッチ操作つまみ
Claims (3)
- 前後方向に長い筒形状の本体ケース(1)の握り部(23)の前端側に、固定刃(3)および可動刃(4)を有する刃ユニット(5)が刃先を本体ケース(1)の上面先端部に位置させ、刃裏面を下向きにして装着された電気バリカンにおいて、
本体ケース(1)の握り部(23)の下面(25)に、握り部(23)の後端(26)から前方へ向けて、左右両側縁(27b)・(27c)からなだらかな円弧を描くよう凹む断面円弧形状の指当て用凹曲面(27)が形成されており、
この指当て用凹曲面(27)は、平面視において弾頭形状を呈し、これの左右方向中央の最深部(27a)がこれの前後方向全長にわたって下ケース(1b)の握り部(23)の下面(25)の基準面(25a)とほぼ面一に形成されており、
指当て用凹曲面(27)の左右両側縁(27b)・(27c)が、握り部(23)の後端(26)に向けて、握り部(23)の下面(25)より徐々に高くなるよう肉盛り状に形成されていることを特徴とする電気バリカン。 - 握り部(23)の左右両側の前方部位にそれぞれ指掛け用凹部(31)・(32)が凹設されている請求項1記載の電気バリカン。
- 左右の指掛け用凹部(31)・(32)の少なくとも一方にスイッチ操作つまみ(33)を配設してある請求項2記載の電気バリカン。
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JP19842796A JP4086916B2 (ja) | 1996-07-08 | 1996-07-08 | 電気バリカン |
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JP19842796A Expired - Lifetime JP4086916B2 (ja) | 1996-07-08 | 1996-07-08 | 電気バリカン |
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