JP4086411B2 - トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット等に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報および特公昭43−24748号公報等に記載されているように多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現像し、必要に応じて中間転写体を介して、又は、介さずに紙の如き転写材にトナー像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し複写物又はプリントを得るものである。さらに感光体上に転写されず残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】
近年、このような複写装置又はプリンターは、小型化、軽量化そして高速化、高信頼性が厳しく追及されてきており、その結果トナーに要求される性能もより高度になってきている。例えばトナー像を紙の如きシート上に定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラーによる加熱圧着方式である。熱ローラーによる加熱圧着方式は、トナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した熱ローラーの表面に、被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行うものである。この方法は、熱ローラーの表面と被定着シートのトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に定着する際の熱効率が極めて良好であり迅速に定着を行うことができ、高速電子写真複写機において非常に有効である。
【0004】
しかしながら、上述の従来多用されてきた熱ローラー定着では、下記問題が発生しやすい。
(1)熱ローラーが所定温度に達するまでの画像形成作動禁止の時間、所謂ウエイト時間がある;
(2)転写材の通過あるいは他の外的要因で加熱ローラーの温度が変動することによる定着不良、および、加熱ローラーへのトナーの転移によるオフセット現象を防止するために加熱ローラーを最適な温度に維持する必要があり、このためには加熱ローラーあるいは加熱体の熱容量を大きくしなけらばならず、これには大きな電力を要すると共に、画像形成装置内の機内昇温の原因ともなる;
(3)加熱ローラーが高温度であるため、転写材が加熱ローラーを通過排出される際は、転写材および転写材上の定着画像が緩慢に冷却され、トナー及び定着画像は粘着性を有し、加熱ローラーにオフセットしたりあるいは転写材を巻き込むことによる紙づまりを生ずることがある。
【0005】
特開昭63−313182号公報においては、パルス状に通電発熱させた低熱容量の発熱体によって移動する耐熱性シートを介してトナー像を加熱し、記録材へ定着させる定着装置によってウエイト時間が短く低消費電力の画像形成装置が提案されている。特開平1−187582号公報においては、トナー像を耐熱性シートを介して記録材へ加熱定着する定着装置において、該耐熱性シートが耐熱層と離型層あるいは低抵抗層を有することで、オフセット現象を有効に防止する定着装置が提案されている。
【0006】
一方、細密画像の潜像部分では、露光部と非露光部の境界において電気力線が集中し、見掛け上感光体の表面電位が上がる。特に、デジタルプリンターにおいては、潜像がON−OFFの2値の基本画素により構成されるため、露光部と非露光部との境界部における電気力線の集中が大きく、現像工程において基本画素により構成されたライン潜像に現像される単位面積あたりのトナー量が、通常のアナログ画像上のトナー量より多い。従ってこのような画像の定着においては、今まで以上に定着性や耐オフセット性の良好なトナーが要求されているのが現状である。
【0007】
また、プリンターとしての使われ方は、同レベルの複写機の3〜5倍のコピー量であり、同時に現像の高耐久性及び高画像安定性も要求されている。
【0008】
このように、近年、プリンターに要求される性能はより高度になってきており、トナーによる定着性、耐オフセット性及び高画質安定性等の改良は必要不可欠なものとなってきている。
【0009】
これまで、トナー性能の改良のために多くの検討がなされている。トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させるために、ポリオレフィンの如き低軟化点離型剤(ワックス)をトナーに含有させることが知られている。
【0010】
特開平6−324513号公報、特開平7−36218号公報及び特開平7−64323号公報に、特定のDSC吸熱ピークを有するポリエチレンワックスを含有するトナーが提案されている。しかし、これらのトナーは低温定着性と耐オフセット性を更に改良させる必要があり、また、現像性も向上させる必要がある。
【0011】
また、特開昭51−14333号公報、特開昭57−148752号公報、特開昭58−97056号公報、特開昭60−247250号公報、特開平4−362953号公報及び特開平6−230600号公報に、離型剤として固形シリコーンワニス、高級脂肪酸系ワックス、高級アルコール系ワックス、植物系天然ワックス(カルナバ、ライス)、モンタン系エステルワックスが記載されている。しかしながら、トナーの低温定着性と耐オフセット性を更に改良する必要があり、また、これらのトナーの現像性(帯電性)及び耐久性も向上させる必要がある。一般にこの様な低軟化点離型剤をトナーに含有させると、トナーの流動性が低下するため、現像性や転写性が低下する。また、帯電性、耐久性及び保存性にも悪影響を及しやすい。
【0012】
これらの問題に対し、各種モノマーでグラフト或いはブロック共重合せしめた変性ワックスが提案されている。特開昭59−121052号公報には、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステルモノマーによりグラフト/ブロック共重合せしめたポリオレフィンを使用することが提案され、特開昭56−15470号公報、特開昭59−121053号公報、特開昭60−93456号公報及び特開昭53−34550号公報には、芳香族ビニルモノマーによりグラフト/ブロック共重合せしめたポリオレフィンを使用することが提案されている。これらのトナーは流動性に関し改善されているが、耐オフセット性に劣り、さらに現像性(帯電性)及び耐久性をさらに向上させる必要がある。
【0013】
特開昭62−226260号公報、特開昭63−139365号公報、特開平3−50559号公報及び特開平6−208244号公報では、カルボン酸又はマレイン酸で変性されたポリプロピレンを含有したトナー或いはトナー用樹脂組成物が提案されている。これらのトナーでは、定着温度領域の向上がさらに望まれる。
【0014】
定着領域(非オフセット領域)の拡大のため、2種以上の離型剤をトナーに含有させることが特開昭60−93457号公報、特開平4−274247号公報、特開平4−299357号公報、特開平4−337737号公報、特開平6−208244号公報及び特開平7−281478号公報に提案されている。これらのトナーにおいては、離型剤のトナー粒子への均一分散に未だ問題がある。
【0015】
特開平8−166686号公報では、ポリエステル樹脂と、それぞれ酸価を有し軟化点の異なる2種類のオフセット防止剤を含有したトナーが提案されている。しかし、このトナーでは現像性に未だ問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の問題点を解消したトナーを提供することにある。
【0017】
本発明の目的は、低温定着性と耐オフセット性を向上し、高品質なトナー画像を形成し、長期の耐久においてもカブリがなく安定した帯電性能を有し、長期の保存性に優れているトナーを提供することにある。
【0018】
更に本発明の目的は、トナー粒子中に各成分が均一に分散し、長期間の使用においても、初期と同様な優れた画像特性を持つトナーを提供することにある。
【0019】
更に本発明の目的は、長期間の使用においても、定着部材へのトナー付着を起こさないトナーを提供することにある。
【0020】
更に本発明の目的は、高速なプロセススピードにおいてもトナーの低温定着性と高耐久性を両立するトナーを提供することにある。
【0021】
更に本発明の目的は、より高解像、高精細画像の形成が可能なトナーを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、少なくともスチレン系重合体、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
該ワックスは、低分子量ポリエチレンワックスと無水マレイン酸とを反応させて得られたワックスであり、
該ワックスの酸価が1乃至30mgKOH/gであり、該ワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、少なくとも2つの吸熱ピークを有し、それら吸熱ピークの中で最大及び2番目に大きい吸熱ピークに関して、高温側の吸熱ピークP1が100乃至140℃であり、低温側の吸熱ピークP2が70乃至100℃であることを特徴とするトナーに関する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明者らは鋭意検討の結果、ワックスが上記酸価を有し、且つ上記熱特性を有することによって、トナーの諸特性を飛躍的に向上させることができることを見いだした。
【0024】
すなわち、ワックス成分が比較的高温で、吸熱ピークを有することで、トナーの耐オフセット性を向上させることができる。更に、ワックス成分が比較的低温に吸熱ピークを有することで、トナーの低温定着性が向上する。この様に、低温側と高温側に2つ以上の吸熱ピークを有することで、トナーの定着温度領域を効果的に広げることが可能となる。また、本発明の特徴とするワックスのように、幅広い温度領域で吸熱ピークを有するワックスは、ワックス成分中の粘性にも分布があるために、結着樹脂との分散に偏りが生じてトナーの帯電特性を低下させ、現像性を悪化させる傾向にあるが、本発明のワックス成分は酸価を有していることで結着樹脂との相溶性が高まり、トナー中へのワックス成分の均一な分散が可能となり、トナーの現像性が向上する。
【0025】
本発明においては、ワックスの酸価が1乃至70mgKOH/g、好ましくは1乃至30mgKOH/g、より好ましくは1乃至10mgKOH/gであることにより、ワックスのトナー中への分散を向上させることができる。ワックスの酸価が1mgKOH/g未満だと、ワックスのトナー中への分散が不十分となり、トナーの現像性が悪化する。ワックスの酸価が70mgKOH/gより大きいと、トナーが湿度の影響を受けやすくなり、帯電が不均一になって現像性が悪化する。
【0026】
本発明におけるワックスの酸価は以下の測定方法により測定された。
【0027】
<ワックスの分取>
トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製NO.86R)に入れて、溶媒としてトルエン100〜200mlを用いて20時間ソックスレー抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥する。得られた抽出物にクロロホルム20mlを加え、1時間静置した後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、乾燥させてワックス成分を得る。
【0028】
<酸価の測定>
・装置及び器具
直示天秤
三角フラスコ(200ml)
メスシリンダー(100ml)
ミクロビュレット(10ml)
電熱器
・試薬
キシレン
ジオキサン
N/10水酸化カリウム標準メタノール溶液
1%フェノールフタレイン溶液(指示薬)
・測定法
三角フラスコにワックス1〜1.5gを精秤し、これにキシレン20mlを加えた後、加熱溶解する。溶解後ジオキサン20mlを加え、液が濁り又はかすみを生じない間にN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液で1%フェノールフタレイン溶液を指示薬としてできるだけ早く滴定する。同時に空試験を行う。
・計算式
酸価=[5.61×(A−B)×f]/S
但し、A:本試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のml数
B:空試験に要したN/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のml数
f:N/10水酸化カリウム標準メタノール溶液のファクター
S:試料(g)
【0029】
更に、本発明においては、示差走査熱量計により測定したDSC曲線の昇温時のデータを解析することによって、炭化水素系ワックスの相転移、融解に伴う吸熱ピークが観測され、ワックスに熱を与えた時の変化を見ることができる。
【0030】
本発明で用いるワックスの、高温側の吸熱ピークP1が100乃至150℃、好ましくは100乃至140℃、より好ましくは100乃至130℃であることにより、トナーの耐オフセット性を向上させることができる。吸熱ピークP1が100℃未満だと、トナーに十分な耐オフセット性を付与することができない。吸熱ピークP1が150℃より大きいと、トナー中でのワックスの分散が不十分となり、トナーの現像性が低下する。
【0031】
更に、本発明で用いるワックスの、低温側の吸熱ピークP2が60乃至100℃、好ましくは70乃至100℃、より好ましくは80乃至100℃であることにより、ワックスがトナーを効果的に可塑化することができ、トナーの低温定着性が向上する。吸熱ピークP2が60℃未満だと、トナーの耐ブロッキング性が低下する。吸熱ピークP2が100℃を超えると、トナーに十分な低温定着性を付与することができない。
【0032】
更に、本発明においては、ワックスの吸熱ピークP1の半値幅が20℃以内、好ましくは15℃以内であることが好ましい。それにより、トナーの耐オフセット性と現像性を効果的に向上させることができる。吸熱ピークP1の半値幅が20℃を超えると、トナーの現像性が低下する傾向にある。
【0033】
更に、本発明においては、ワックスの吸熱ピークP2の半値幅が20℃より大きいことが好ましい。すなわち、吸熱ピークP2の半値幅が広く、ブロードであることによって、比較的高温に吸熱ピークP1を有するワックス成分と低融点ワックス成分の粘性が近くなり、低融点ワックスと高融点ワックスの相溶性が向上し、ワックス成分がトナー中で均一に分散され、トナーが定着部材に付着、蓄積し、それが被定着シートヘ移ることによる画像汚れを、長期にわたって防止することができる。つまり、比較的高融点のワックス成分は定着部材との離型性が高いので、トナーが溶融した際に定着部材とトナーの界面で離型効果を発揮しやすいが、本発明においては、比較的高融点のワックス成分がトナー中に均一に分散されていることによって、ワックスの定着部材に対する離型効果が長期にわたって働くのである。吸熱ピークP2の半値幅が20℃以内だと、長期のトナー使用の後に、定着部材にトナーが付着し、画像汚れを起こす傾向にある。
【0034】
本発明においてDSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0035】
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線は、1回昇温,降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。各温度の定義は次のように定める。プラス方向を吸熱とする。
(a)最大の吸熱ピーク:昇温時曲線で、ベースラインからピークトップまでの高さが最大となる吸熱ピークである。
(b)2番目に大きな吸熱ピーク:高さが最大吸熱ピークに次ぐ高さを有する吸熱ピークである。
(c)低温側吸熱ピークのピーク温度(P2):昇温時に最大あるいは2番目に大きな吸熱ピークの内、低温側にある吸熱ピークのピークトップ温度である。
(d)低温側の吸熱ピークの半値幅:低温側の吸熱ピークの、ベースラインからピークトップまでの高さの2分の1の高さの温度幅である。
(e)高温側の吸熱ピークのピーク温度(P1):昇温時に最大あるいは2番目に大きな吸熱ピークの内、高温側にあるピークのピークトップ温度である。
(f)高温側の吸熱ピークの半値幅:低温側の吸熱ピークの半値幅の場合に準ずる。
【0036】
本発明に使用するワックスは、炭化水素系ワックスが、本発明の特徴とするDSC特性を得るためには好ましい。特に、低分子量ポリエチレン系ワックス、低分子量ポリプロピレン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。その中でも特に低分子量ポリエチレン系ワックスが好ましい。
【0037】
低分子量ポリエチレン系ワックスとしては、エチレンの低分子量(共)重合体;高分子量ポリエチレン系樹脂の熱減成物;この熱減成物を更にスチレン系モノマー(スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル等]、マレイン酸アルキルエステル(マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、マレイン酸ジブチルエステル等)、ビニルシアニド[(メタ)アクリロニトリル等]、特開平3−174163号公報記載の有機シラン化合物または特開平3−213873号公報記載の有機弗素化合物等のカルボキシル基を有しないモノマーでグラフトした物が挙げられる。
【0038】
前記の高分子量ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体;エチレンと他のオレフィン(プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなど)との共重合体;並びに、これらの重合体を前述の、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、ビニルシアニド、有機シラン化合物あるいは有機弗素化合物などのカルボキシル基を有しないモノマーでグラフトしたものが挙げられる。
【0039】
前記熱減成物は、熱分解によって分子量が減じられたものをいい、例えば該高分子量ポリエチレン系樹脂を、熱の加わり方が均一である管状反応管を用し、250〜450℃で0.5〜10時間通過させることにより得られる。熱減成物の溶融粘度は、熱減成温度と熱減成時間で調整することができる。250℃未満では熱減成に長時間を要し、450℃を超えると熱減性が短時間となりすぎるため、溶融粘度の調整が難しくなる。
【0040】
その他に、本発明のトナーに用いることのできるワックスとしては、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0041】
本発明において、酸価を有するワックスを構成する不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの混合物などがあげられる。好ましくはマレイン酸である。不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水ナジック酸、およびそれらの混合物などがあげられる。好ましくは無水マレイン酸である。また、該不飽和カルボン酸とその無水物を併用することもできる。
【0042】
本発明において、酸価を有するワックスは、例えばポリエチレン系ワックスに、不飽和カルボン酸および/またはその無水物を、過酸化物触媒存在下もしくは無触媒下で、該ポリエチレン系ワックスの融点以上300℃以下で、好ましくは融点以上250℃以下で、1〜20時間付加反応またはグラフトすることにより得ることができる。また、不飽和カルボン酸および/またはその無水物とともに、必要によりその他のラジカル重合性を有するモノマー[前述のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、ビニルシアニド、有機シラン化合物、有機弗素化合物など]を用いることができる。
【0043】
前記付加またはグラフト反応に用いられる過酸化物触媒としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンがあげられる。
【0044】
本発明は、酸価を有するワックスの他に、酸価を持たない離型剤を併用することも可能である。
【0045】
本発明のワックスは、結着樹脂100重量部に対して0.5乃至20重量部、好ましくは1乃至15重量部、より好ましくは1乃至10重量部用いられるのが良い。
【0046】
本発明においては、結着樹脂としてスチレン系重合体が用いられる。スチレン系重合体と本発明の特徴とする酸価及び熱特性を有するワックスとを組み合わせて用いることで、トナーの高温高湿環境下での現像性が向上する。
【0047】
本発明のトナーに使用されるスチレン系重合体としては、例えば下記の結着樹脂が挙げられる。
【0048】
例えば、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体が挙げられる。
【0049】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独もしくは2つ以上スチレンモノマーと共に用いられる。
【0050】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよくまた混合樹脂でもかまわない。
【0051】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合物として用いられる。
【0052】
結着樹脂の合成方法としては、例えば、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法及び乳化重合法のいずれでも良い。
【0053】
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発明で用いる結着樹脂の低分子量重合体を得るのに好ましい。
【0054】
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼン等が挙げられる。スチレンモノマー又はスチレンモノマーと他のモノマーとの混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ましい。
【0055】
反応温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、重合するモノマーによって異なるが、70〜230℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100重量部に対してモノマー30〜400重量部で行なうのが好ましい。
【0056】
更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体を均一に混合できる。
【0057】
高分子量成分やゲル成分を得る重合法としては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0058】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶のモノマーを乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易である。
【0059】
しかし、使用した乳化剤のため生成重合体が不純物を含有し易く、重合体を水相から分離するには塩析の如き操作が必要であるので、懸濁重合法がより簡便な方法である。
【0060】
懸濁重合法においては、水系溶媒100重量部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行なうのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられる。水系溶媒に対する分散剤は、一般に水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する重合開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。重合開始剤としては、水に不溶或は難溶のものであれば用いることが可能である。
【0061】
重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用できる。
【0062】
その使用量はモノマー100重量部に対し、0.05重量部以上(好ましくは0.1〜15重量部)の濃度で用いられる。
【0063】
本発明に使用される結着樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布で分子量105以上の領域にピークを有することが好ましく、更に分子量3×103〜5×104の低分子量領域にもピークを有することが定着性及び耐久性の点で好ましい。
【0064】
負帯電性トナーの場合には、結着樹脂として、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体及びこれらのもとマレイン酸モノエステルとの共重合体、及び、これらのブロック共重合体、グラフト化物、ブレンド樹脂が、現像性の点で好ましい。正帯電性トナーの場合には、結着樹脂として、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、及び、これらのブロック共重合体、グラフト化物、ブレンド樹脂が好ましい。
【0065】
加熱定着用トナーの場合には、ワックスの効果を十分に発揮させるとともに可塑効果による弊害である耐ブロッキング性及び現像性の低下を防ぐために、以下のようなトナー構成が好ましい。
【0066】
トナーのGPCによる分子量分布において、分子量3×103〜5×104の領域、好ましくは分子量3×103〜3×104の領域、特に好ましくは分子量5×103〜2×104の低分子量領域に少なくともひとつのピークが存在することで、良好な定着性,現像性,耐ブロッキング性を得ることができる。分子量105以上の領域、好ましくは分子量3×105〜5×106の高分子量領域に少なくともひとつのピークが存在し、分子量3×105〜2×106の領域に分子量105以上の高分子量での最大ピークがあることが特に好ましく、良好な耐高温オフセット性,耐ブロッキング性,現像性が得られる。このピーク分子量は、大きいほど高温オフセットに対しては強くなるが、分子量5×106を超える領域ピークが存在する場合には、大きい圧力のかけることのできる熱ロールでは問題ないが、大きい圧力のかけられない時には、トナーの弾性が大きくなり定着性に影響を及ぼすようになる。従って、中低速機で用いられる比較的圧力の低い加熱定着においては、分子量3×105〜2×106領域にピークが存在し、このピークが分子量105以上の高分子量領域での最大ピークであることが好ましい。
【0067】
分子量105以下の低分子量領域の成分を50%以上、好ましくは60〜90%、特に好ましくは65〜85%とするのが良い。この範囲内にあることで、良好な定着性を示す。50%未満では、定着性が低下しトナー製造時の粉砕性も劣るようになる。また90%を超えるような場合には、ワックス添加による可塑効果の弊害に対して弱くなる傾向にある。
【0068】
本発明において、トナーのGPCによるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。
【0069】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムをしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合わせを挙げることができる。
【0070】
また、試料は以下の様にして作製する。
【0071】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への試料の放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター〔ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5(東ソー社製)、エキクロディスク25CR(ゲルマン サイエンス ジャパン社製)などが使用できる。〕を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が、0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0072】
本発明のトナー中には上記スチレン系重合体の他に、該スチレン系重合体の含有量より少ない割合で以下の物質を含有させてもよい。例えばシリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフィンの共重合体が挙げられる。
【0073】
本発明のトナーには荷電制御剤を含有することが好ましい。
【0074】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記化合物が挙げられる。
【0075】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0076】
中でも、下記一般式(1)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0077】
【化1】
Figure 0004086411
【0078】
特に中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0079】
あるいは次の一般式(2)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与える荷電制御剤として好ましい。
【0080】
【化2】
Figure 0004086411
【0081】
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0082】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の化合物がある。
【0083】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(3)
【0084】
【化3】
Figure 0004086411
で表わされるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0085】
特に下記一般式(4)で表わされる化合物が本発明の正荷電制御剤として好ましい。
【0086】
【化4】
Figure 0004086411
【0087】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で用いられる。
【0088】
本発明のトナーには、無機微粉体または疎水性無機微粉体が外添されることが好ましい。例えば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末又はそれらの疎水化物が挙げられる。それらは、単独あるいは併用して用いることが好ましい。
【0089】
シリカ微粉体としてはケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ及び水ガラス等から製造される湿式シリカの両方が挙げられるが、表面及び内部にあるシラノール基が少なく製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。
【0090】
さらにシリカ微粉体は疎水化処理されているものが好ましい。疎水化処理するには、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ微粉体をシランカップリング剤で処理した後、あるいはシランカップリング剤で処理すると同時にシリコーンオイルのごとき有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
【0091】
疎水化処理に使用されるシランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0092】
有機ケイ素化合物としては、シリコーンオイルが挙げられる。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30〜1000センチストークスのものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0093】
シリコーンオイル処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。
【0094】
シリカ微粉体の好ましい疎水化処理として、ジメチルジリクロロシランで処理し、次いでヘキサメチルジシラザンで処理し、次いでシリコーンオイルで処理することにより調製する方法が挙げられる。
【0095】
上記のようにシリカ微粉体を2個以上のシランカップリング剤で処理し、後にオイル処理することが疎水化度を効果的に上げることができ、好ましい。
【0096】
上記シリカ微粉体における疎水化処理、更には、オイル処理を酸化チタン微粉体に施したものも、シリカ系同様に好ましい。
【0097】
本発明のトナーには、必要に応じてシリカ微粉体又は酸化チタン微粉体以外の添加剤を外添してもよい。
【0098】
例えば帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
【0099】
樹脂微粒子としては、その平均粒径が0.03〜1.0μmのものが好ましい。その樹脂を構成する重合性単量体としては、スチレン;o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,p−エチルスチレン誘導体;アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸インブチル,アクリル酸n−プロピル,アクリル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸2−クロルエチル,アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−プロピル,メタクリル酸n−ブチル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸n−オクチル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル;アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0100】
重合法としては、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー重合が挙げられる。より好ましくは、ソープフリー重合によって得られる粒子が良い。
【0101】
特に、上記樹脂微粒子は、一次帯電装置としてローラ、ブラシあるいは、ブレードの如き接触帯電手段において、トナーの感光ドラム融着防止に多大な効果をもたらすことが確認されている。
【0102】
その他の微粒子としては、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤(中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);酸化チタン、酸化アルミニウムの如き流動性付与剤(中でも特に疎水性のものが好ましい);ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤が挙げられる。さらに、トナーと逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
【0103】
トナーと混合される樹脂微粒子または無機微粉体または疎水性無機微粉体は、トナー100重量部に対して0.1〜5重量部(好ましくは、0.1〜3重量部)使用するのが良い。
【0104】
本発明のトナーは磁性材料をトナー粒子中に含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。磁性トナーに使用される磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
【0105】
本発明においては、着色剤として、ケイ素元素の含有率が鉄元素を基準として0.4乃至2.0重量%であり、かつ最表面におけるFe/Si原子比が1.2乃至4.0である磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄の表面近傍にSi原子が多く存在することで、本発明の酸価を有するワックスと磁性酸化鉄の相溶性が高まり、磁性酸化鉄の分散性が向上し、低温低湿環境下における画像カブリを低減することができる。
【0106】
本発明において、磁性酸化鉄粒子の最表面におけるFe/Si原子比は、XPS測定により求める。
【0107】
その条件は、
XPS測定装置;VG社製ESCALAB,200−X型
X線光電子分光装置
X線源;Mg Kα(300W)
分析領域;2×3mm
とする。
【0108】
これらの磁性材料は平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100重量部に対し20〜200重量部、特に好ましくは結着樹脂100重量部に対し40〜150重量部が良い。
【0109】
本発明のトナーに使用し得るその他の着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等が挙げられる。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、結着樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の添加量が良い。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン染料、キサンテン系染料、メチン系染料等が挙げられる。染料は結着樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の添加量が良い。
【0110】
本発明のトナーを作製するには結着樹脂、着色剤又は磁性材料、ワックス、更に必要により、荷電制御剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して結着樹脂及びワックスを互いに相溶せしめた中に着色剤又は磁性体を分散せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを生成することができる。
【0111】
本発明のトナーを得るための他の方法として、重合法によってトナーを製造することが可能である。この重合法トナーは重合性単量体、ワックス、帯電制御剤、顔料又は染料、磁性酸化鉄、重合開始剤(更に必要に応じて架橋剤及びその他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物あるいは、この単量体組成物をあらかじめ重合したものを分散安定剤を含有する連続相(例えば水)中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子としたものである。重合法では磁性酸化鉄を使用する場合、あらかじめ疎水化処理することが好ましい。
【0112】
更に必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、本発明のトナーを得ることもできる。
【0113】
本発明のトナーは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものが使用可能である。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径20〜300μmの粒子がキャリア粒子として使用される。
【0114】
キャリア粒子の表面は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂の如き物質を付着または被覆されているものが好ましい。
【0115】
トナーの粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0116】
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、100μmアパーチャーを用いて測定した。トナー粒子の体積径及び個数を測定して、体積分布と、個数分布とを算出した。それから体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均径を体積分布から求めた。
【0117】
【実施例】
以下具体的実施例によって、本発明を説明する。
【0118】
(ワックス製造例1)
低分子量ポリエチレンワックス(DSC吸熱ピーク90℃、109℃)500重量部と無水マレイン酸4重量部を窒素ガス気流下で、220℃で12時間反応させて、95℃と114℃に吸熱ピークを有し、酸価が3.2mgKOH/gのワックスAを得た。ワックスAの物性を表1に示す。
【0119】
(ワックス製造例2〜
用いた低分子量ポリエチレンワックス種を変え、更に無水マレイン酸の量を変えた以外はワックス製造例1と同様にしてワックスB、D、E、F、G、Hを得た。それらの物性を表1に示す。
【0120】
(ワックス製造例
カルナバワックス(酸価4.0mgKOH/g、DSC吸熱ピーク85℃)とポリプロピレンワックスを酸変性したワックス(酸価3.5mgKOH/g、DSC吸熱ピーク145℃)を1:1で混合して、ワックスIを得た。ワックスIの物性を表1に示す。
【0121】
[実施例1]
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=84/16、
分子量10000、700000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=1.08%、最表面Fe/Si比=1.9)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスA 4重量部
上記混合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して分級粉を生成した。さらに、得られた分級粉をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去して重量平均粒径(D4)6.8μmの負帯電性磁性トナー1を得た。
【0122】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤1を調製した。
【0123】
[実施例2]
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=85/15、
分子量12000、800000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=1.70%、最表面Fe/Si比=1.5)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスB 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.7μmの負荷電性磁性トナー2を得た。
【0124】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤2を調製した。
【0127】
参考例
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=83/17、
分子量11000、780000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=0.71%、最表面Fe/Si比=2.7)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスD 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.6μmの負荷電性磁性トナー4を得た。
【0128】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤4を調製した。
【0129】
[実施例
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=85/15、
分子量18000、830000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=0.48%、最表面Fe/Si比=3.6)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスE 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.8μmの負荷電性磁性トナー5を得た。
【0130】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤5を調製した。
【0131】
[実施例
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=84/16、
分子量10000、700000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=0.26%、最表面Fe/Si比=4.3)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスA 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.8μmの負荷電性磁性トナー6を得た。
【0132】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤6を調製した。
【0133】
[比較例1]
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=84/16、
分子量12000、750000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=1.09%、最表面Fe/Si比=1.7)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスF 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.9μmの負荷電性磁性トナー7を得た。
【0134】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤7を調製した。
【0135】
[比較例2]
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=83/17、
分子量14000、830000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=1.64%、最表面Fe/Si比=1.4)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスG 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.8μmの負荷電性磁性トナー8を得た。
【0136】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤8を調製した。
【0137】
[比較例3]
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体 100重量部
(スチレン/ブチルアクリレート=84/16、
分子量16000、780000にピーク)
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=0.92%、最表面Fe/Si比=2.2)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスH 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.7μmの負荷電性磁性トナー9を得た。
【0138】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤9を調製した。
【0139】
[比較例4]
・ポリエステル樹脂(分子量5000にピーク) 100重量部
・磁性酸化鉄 100重量部
(ケイ素元素含有率=0.23%、最表面Fe/Si比=4.5)
・モノアゾ鉄錯体 2重量部
・ワックスI 4重量部
上記材料を用い、実施例1と同様にして、重量平均粒径(D4)6.8μmの負荷電性磁性トナー10を得た。
【0140】
この磁性トナー100重量部と疎水性シリカ微粉体1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合して現像剤10を調製した。
【0141】
次に、この調製された現像剤を以下に示すような方法によって評価した。評価結果を表2に示す。
【0142】
<画出し試験>
上記トナーをプロセスカートリッジに入れ、キヤノン製レーザービームプリンターLBP−930をA4横送りで24枚/分から40枚/分に改造し、更に定着器の加熱ローラーと加圧ローラー間の総圧を30kg、ニップを8mmに設定した。この時のプロセススピードは200mm/secであった。
【0143】
以上の設定条件で高温高湿環境下(32.5℃,80%RH)及び低温低湿環境下(15℃,10%RH)において画出し試験を行い、得られた画像を下記の項目について評価した。プリントモードは2枚/20secとした。
【0144】
(1)画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に12000枚プリントアウトし、開始時及び終了時の画像濃度の評価を行った。なお、画像濃度は「マクべス反射濃度計」(マクべス社製)を用いて、現行濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。なお、環境は高温高湿環境下(32.5℃,80%RH)とし、プリントモードは2枚/20secとした。
【0145】
(2)カブリ
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に12000枚プリントアウトし、開始時及び終了時のカブリの評価を行った。リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定した転写紙の白色度と、ベタ白をプリント後の転写上の白色度との比較からカブリを算出した。環境は、低温低湿下(15℃,10%RH)とし、プリントモードは2枚/20secとした。
【0146】
(3)定着部材へのトナー付着に起因する画像黒ポチ評価
低温低湿環境下での500000枚の画出しの後の加圧ローラー及び画像を目視で評価した。
◎黒ポチは見られない。
〇定着ローラーにトナー付着が見られるが、画像上には現れない。
△画像上に1〜2点の黒ポチが見られる。
×画像上に3点以上の黒ポチが見られる。
【0147】
<低温定着性、耐高温オフセット性>
上記トナーをプロセスカートリッジに入れ、キヤノン製レーザービームプリンターLBP−930をA4横送りで24枚/分から40枚/分に改造し、更に加熱加圧ローラー定着器の加熱ローラーの表面温度を120〜250℃まで外部から変更できるように改造する以外は上述の画出し試験機と同様の条件を設定し、設定温度を5℃刻みに変更させながら常温常湿環境下(25℃,60%RH)にて画像サンプルのプリントアウトを行った。
【0148】
(4)低温定着性
50g/cm2の加重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)が10%以下である最低の温度を最低定着温度として評価を行った。なお、試験紙として定着性に厳しい複写機用普通紙(90g/m2)を使用した。
【0149】
(5)耐高温オフセット性
画像面積率約5%のサンプル画像をプリントアウトし、画像上の汚れの程度により評価した。画像上の汚れの発生しない最高温度を示した。なお、試験紙としてオフセットの発生しやすい複写機用普通紙(60g/m2)を使用した。
【0150】
<耐ブロッキング性試験>
約1gのトナーを100ccポリコップに入れ、50℃で3日放置した後、目視で評価した。
◎凝集物は見られない。
〇凝集物は見られるが、容易に崩れる。
△凝集物は見られるが、振れば崩れる。
×凝集物をつかむことができ、用意に崩れない。
【0151】
【表1】
Figure 0004086411
【0152】
【表2】
Figure 0004086411
【0153】
【発明の効果】
本発明によれば、低温定着性、耐高温オフセット性を高度に満足し、且つ高温高湿、低温低湿のような厳しい環境下においても高い現像性を維持し、耐ブロッキング性に優れ、定着部材へのトナー付着を起こさないトナーを提供することができる。

Claims (6)

  1. 少なくともスチレン系重合体、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
    該ワックスは、低分子量ポリエチレンワックスと無水マレイン酸とを反応させて得られたワックスであり、
    該ワックスの酸価が1乃至30mgKOH/gであり、該ワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、少なくとも2つの吸熱ピークを有し、それら吸熱ピークの中で最大及び2番目に大きい吸熱ピークに関して、高温側の吸熱ピークP1が100乃至140℃であり、低温側の吸熱ピークP2が70乃至100℃であることを特徴とするトナー。
  2. 該ワックスの吸熱ピークP1の半値幅が20℃以内であり、吸熱ピークP2の半値幅が20℃より大きいことを特徴とする請求項に記載のトナー。
  3. 該ワックスの酸価が1乃至10mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該ワックスの吸熱ピークP1が100乃至130℃であり、吸熱ピークP2が80乃至100℃であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  5. 該ワックスの吸熱ピークP1の半値幅が15℃以内であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  6. 該着色剤が磁性酸化鉄であり、磁性酸化鉄のケイ素元素の含有率が鉄元素を基準として0.4乃至2.0重量%であり、かつ最表面におけるFe/Si原子比が1.2乃至4.0であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
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