JP4084888B2 - 使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済みイオン交換樹脂、特に原子力発電所などの放射性物質取り扱い施設から発生する使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法に係わり、さらに詳しくは使用済み陰イオン交換樹脂を熱分解するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所などの放射性物質取り扱い施設においては、水を浄化するために多量のイオン交換樹脂が使用されている。イオン交換樹脂の交換容量には限りがあるため、一定期間使用したイオン交換樹脂は使用不可能な廃イオン交換樹脂となるが、この廃イオン交換樹脂には放射性物質が含まれているため、これを再生して再利用するのははなはだ困難である。このため、数々の使用済みイオン交換樹脂の処分方法がこれまでに検討されてきた。
【0003】
現在行われている最も一般的な処分方法は、セメント又はアスファルトで固化し所定の施設で管理保管するものである。しかしながらセメント固化では元の使用済み樹脂の体積に対して固化体の体積が数倍に増加してしまう。アスファルト固化も同様に体積が増加する上に、可燃物となるため管理がやっかいである。近い将来、放射性廃棄物の保管場所の確保が次第に困難になる可能性があり、使用済みイオン交換樹脂の減容と安定化を可能とする新たな処理方法が求められている。
【0004】
これまでに、使用済みイオン交換樹脂を減容安定化する処理方法として、酸分解法と焼却法が提案されている。酸分解法は、200〜350℃の温度で濃硫酸と硝酸もしくは過酸化水素を用いて樹脂を溶解酸化処理する方法であり、その詳細はたとえば特開昭53−88500号公報に示されている。酸分解法は焼却法に比べて装置が小さくなるといわれているが、濃硫酸等を扱うため材料面での制約が多く、また廃酸の処理などに問題が残る。
【0005】
一方、焼却法は廃イオン交換樹脂を焼却し、放射性物質を含む焼却灰は固化剤で固化して保管するというものである。焼却処理は一見容易に思えるが、使用済みイオン交換樹脂は50%近い水分を含んだスチレン系の高分子の粒子もしくは粉末であり、これを安定に燃焼させるのはかなり困難な作業である。このような難燃物の焼却には流動床が適しており、たとえば特開昭57−12400号公報には流動床焼却炉を用いた使用済みイオン交換樹脂の処理方法が示されている。
【0006】
しかしながら、流動床焼却は放射性物質を含む大量の燃焼排ガスが発生するため、排ガスフィルタの負荷が大きい、排ガスの脱硫、脱硝処理によって多量の二次放射性廃棄物が生じる等の問題があり、未だ実用に至っていない。
【0007】
このように、酸分解法、焼却法ともに未解決の問題を有しているため、これらに代わる方法として熱分解法が検討されている。熱分解法は使用済みイオン交換樹脂を還元雰囲気下で熱分解して炭素が主体の熱分解残渣にする方法である。熱分解残渣中には放射性物質が含まれており、これを固化剤で固化して保管する。熱分解残渣は元の使用済みイオン交換樹脂の1/4から1/10程度の体積に減容される上、80〜90重量%が炭素であり化学的にもきわめて安定である。また、熱分解残渣は使用済みイオン交換樹脂に比べて遥かに容易に燃焼させることができるので、流動床以外の形式の燃焼炉でも焼却処理が可能である。
【0008】
特開昭58−19600号公報には使用済みイオン交換樹脂を熱分解によって液化せしめ、さらにこの液化物を燃焼してガス化することを特徴とする処理方法が、また特開昭58−155399号公報には内部に分散媒体充填部を有する炉内で使用済みイオン交換樹脂を熱分解し、しかる後熱分解残渣を充填部より回収しこれを焼却処理する方法が開示されている。特開昭59−107300号公報には熱分解温度を変えて二段階で使用済みイオン交換樹脂を熱分解する方法が示されている。特開昭60−41000号公報には使用済みイオン交換樹脂を赤外線あるいはレーザー光線等で加熱して炭化し、さらに焼却する方法が記載されている。特開昭60−162999号公報では不活性ガス雰囲気下で350℃〜420℃の温度で熱分解を行うことを特徴とする熱分解方法が、特開昭60−235100号公報では残渣中の硫黄、窒素、水素原子の炭素原子に対するモル比が特定の範囲の値となることを特徴とする熱分解方法が示されている。特開昭61−205899号公報では特定の温度で熱分解を行った後、熱分解残渣を界面活性剤を添加した固化剤で固化することを特徴とする処理方法が開示されている。また、特開昭62−19798号公報では使用済みイオン交換樹脂を熱分解し、その残渣をホットプレスによってペレット化する処理方法が述べられている。特開昭62−297796号公報、特開昭62−297797号公報は使用済みイオン交換樹脂を特定範囲の温度、滞留時間で熱分解したのち残渣を焼却処理することを特徴とする処理方法と処理装置に関するものであり、特開昭62−297798号公報は熱分解タールを還元雰囲気で再分解してから焼却することを特徴とする処理方法に関するものである。特開平4−59600号公報には熱分解温度を変えて二段階で使用済みイオン交換樹脂を熱分解し、しかる後に残渣をホットプレスで成型する方法が述べられている。また、特開平5−88440号公報では、乾燥した使用済みイオン交換樹脂に炭素を加え通電加熱によって熱分解した後、残渣と炭素を焼却する処理方法が開示されている
上記の発明の中では種々の形式の熱分解装置が提案されている。特開昭58−19600号公報では連続式の充填塔反応器を提案している。特開昭58−155399号公報は分散媒体充填部を有する縦型焼却炉を想定しており、特開昭59−107300号公報および特開昭60−162999号公報では回分式の反応器を用いると述べている。特開昭60−235100号公報では流動床、ロータリーキルン、多段炉の連続式装置でも可能としながらも、熱分解の制御の点で回分式反応器が望ましいとしている。特開昭61−205899号公報および特開昭62−19798号公報は連続式ロータリーキルンと回分式反応器のどちらでも可能としている。特開昭62−297796号、297797号、297798号の各公報はスクリューキルンを実施例に示している。特開平4−59600号公報は回分式の反応器を提案しており、特開平5−88440号公報は通電加熱のための電極を有する縦型の流通反応器を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これまで述べたように、使用済みイオン交換樹脂の熱分解に関しては多くの研究がなされ、様々な方法が提案されている。にもかかわらず、放射性使用済みイオン交換樹脂を熱分解方法で処理する装置が実用化された例はいまだないのである。これにはいくつかの理由があるが、最も大きな理由は装置化にあたって樹脂および残渣の取り扱いが難しいという点にある。
【0010】
一般に、原子力施設で用いられている粒状のイオン交換樹脂は、粒径0.5〜1.0前後の粒子もしくは400メッシュ以上の微粉末である。その熱分解残渣もまた粒状もしくは微粉状の粉粒体である。同じ熱分解残渣でも陽イオン交換樹脂の熱分解残渣と陰イオン交換樹脂の熱分解残渣ではかなり性状が異なる。陽イオン交換樹脂の熱分解残渣は、体積は減少しているもののおおむね元の粒子の形状を保持しており、粒子間および容器や配管への付着性は強くない。
【0011】
一方、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣は大幅に密度が減少し、多孔質の粉体となる。陰イオン交換樹脂は熱分解過程において粒子が粘着性を帯びる時点があり、この時に粒子が塊になっているとそのままの形状で熱分解が進行し、残渣が軽石状の塊を形成することもある。また陰イオン交換樹脂の熱分解残渣は機器の壁面に容易に付着し、なかなか剥離しない。付着した残渣の上にさらに残渣が付着し、壁面が残渣でコーティングされたような状態になることもある。
【0012】
残渣が塊を形成した場合、熱分解装置内での残渣の移動および排出に重大な支障を及ぼす恐れがある。また、熱分解炉の内面が残渣で覆われた場合は、炉壁の伝熱係数が著しく低下して熱分解に必要な熱が樹脂に伝わらなくなり、熱分解装置の処理能力が大幅に低下する可能性がある。
【0013】
熱分解炉内において残渣の塊を機械的に粉砕することは可能である。また、炉壁に付着した残渣を機械的に掻き落とすことも可能である。しかしながらこれらの操作によって微細な残渣粉が発生し、この残渣粉が熱分解ガスの流れに乗って炉外に搬出される恐れがある。もしこのような事態が生じると、放射性物質が炉外に搬出されることになり好ましくない。
【0014】
すなわち、放射性使用済みイオン交換樹脂を熱分解法で処理する装置が実用化されるためには、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成したり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐ方法が不可欠なのである。しかるにこれまでの発明ではこの問題について何らの解決策も提示されておらず、樹脂および残渣の取り扱いは熱分解法の実用化の上で大きな障害となってきた。
【0015】
本発明の課題は、放射性使用済みイオン交換樹脂を熱分解法で処理する際に、熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成したり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは使用済みイオン交換樹脂の熱分解について多くの実験を行い、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成したり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐ熱分解方法を発見するに至った。
【0017】
本発明の熱分解方法は、使用済みの陰イオン交換樹脂を還元雰囲気で熱分解して減容する際に、熱分解残渣の粒子の核となる物質を添加して残渣粒子の形成を促進することを特徴とする熱分解方法である。本発明において熱分解残渣の粒子の核となる物質とは、粒径2.0mm以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂の熱分解残渣および粒径2.0mm以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣および粒径2.0mm以下0.2mm以上の炭素質の粒子および粒状の陽イオン交換樹脂を指す。
【0018】
熱分解残渣の粒子の核となる物質として添加されるものの粒径に下限を設けたのは、核となる粒子の粒径が小さすぎると、粒子が成長する前に壁面などに付着してしまう傾向があるためである。核となる粒子が0.2mm以上の大きさであれば付着力よりも自重の方が大きく、粒子の表面が陰イオン交換樹脂の残渣で覆われても粒子が壁面に付着したにはなりにくいことが実験で判明した。
【0019】
また、粒子1個で比較すれば、大きな粒子ほど付着防止には有効であるが、核となる粒子が大きいと同じ添加量では添加される粒子の数が減少し、添加される粒子の径が2.0mmを超えると、全体としての付着防止効果が減少することが同様に実験により明らかになった。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について詳細に述べる。本発明の熱分解方法は熱分解炉内部で全く樹脂が動かない静置式の熱分解炉ではその効果が発揮しにくい。本発明の熱分解方法は、撹拌槽型、移動床型、ロータリーキルン型等の、炉内で樹脂の移動もしくは撹拌がなされる熱分解炉で効果を発揮し、中でもロータリーキルン型の熱分解炉が最も好ましい。また、本発明の熱分解方法は回分操作、連続操作のいずれの場合でも有効である。
【0021】
本発明の熱分解方法では、使用済み陰イオン交換樹脂を還元雰囲気で熱分解して減容する際に、熱分解残渣の粒子の核となる物質を使用済み陰イオン交換樹脂に添加してから熱分解を行う。熱分解残渣の粒子の核となる物質は使用済み陰イオン交換樹脂を熱分解炉に投入する前に使用済み陰イオン交換樹脂に添加してもよいし、熱分解炉中で使用済み陰イオン交換樹脂に添加してもよい。ただし熱分解炉中で使用済み陰イオン交換樹脂の脱水が完了するまでには、使用済み陰イオン交換樹脂と熱分解残渣の粒子の核となる物質が均一に混合した状態になっていなければならない。
【0022】
本発明の熱分解方法では、熱分解残渣の粒子の核となる物質が、粒径2.0mm以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂の熱分解残渣の場合、その添加量は使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の3wt%以上、好ましくは5wt%以上20wt%以下である。陽イオン交換樹脂の熱分解残渣の添加量が使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の3wt%未満の場合、適度な粒径の粒子の形成が不十分となり、塊の形成や壁面への付着が十分に防止できない。陽イオン交換樹脂の熱分解残渣が使用済み陰イオン交換樹脂の20wt%より多い場合は適度な粒径のの粒子の形成には何ら問題を生じないが、使用済み陰イオン交換樹脂の熱分解処理量が減少し好ましくない。
【0023】
同様の理由により本発明の熱分解方法では、熱分解残渣の粒子の核となる物質が、粒径2.0mm以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣の場合、その添加量は使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の6wt%以上、好ましくは10wt%以上20wt%以下である。また、添加する陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣中の陽イオン交換樹脂熱分解残渣の割合は50wt%を下回ってはならない。
【0024】
同様に本発明の熱分解方法では熱分解残渣の粒子の核となる物質が、粒径2.0mm以下0.2mm以上の炭素質の粒子の場合、その添加量は使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の3wt%以上、好ましくは5wt%以上20wt%以下である。本発明において炭素質の粒子とは、石炭、木炭、コークス、活性炭等、炭素を主成分とする物質の粒子を指す。本発明に用いる炭素質の粒子は、灰分、窒素、硫黄の含有量が少ないものが好ましく、中でも石油コークス粒子が最も好ましい。
【0025】
また本発明の熱分解方法では、熱分解残渣の粒子の核となる物質が粒状の陽イオン交換樹脂の場合、その添加量(乾燥重量)は使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の10wt%以上、好ましくは15wt%以上30wt%以下である。
【0026】
本発明の熱分解方法では、使用済み陰イオン交換樹脂に熱分解残渣の粒子の核となる物質を添加するため、残渣の量が増加しせっかくの熱分解による減容効果が損なわれるように思えるかもしれない。しかしながら熱分解残渣の粒子の核となる物質として陽イオン交換樹脂の熱分解残渣もしくは陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣を添加する場合は、使用済み樹脂の熱分解によって生じた熱分解残渣を利用すれば、最終的に固化処理すべき熱分解残渣の量は全く増加しない。熱分解残渣の粒子の核となる物質として陽イオン交換樹脂を添加する場合も同様である。
【0027】
また、やむを得ず熱分解残渣の粒子の核となる物質として炭素粒子を添加する場合でも、添加量は高々30%であり残渣の増加は2〜3割増し程度で抑えられる。
【0028】
本発明の熱分解方法を用いれば、添加した物質を核として陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が粒径数mmから十数mmの残渣粒子を形成し、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成したり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐのである。以下で本発明の効果を実施例を用いて明らかにする。
【0029】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕
回分式の外熱式ロータリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。キルンは回転円筒の内径が80mm、ヒーターで加熱されている部分の長さが800mmである。さらに加熱部分の中央部400mmの両側を仕切板で仕切り、樹脂が中央部に留まるようにした。また中央部には回転円筒内壁に沿って軸方向に4枚の長方形の板が該内壁に取り付けてあり、円筒の回転に従って中の樹脂を掻き上げ、伝熱を促進するようになっている。
【0030】
このキルンに粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陰イオン交換樹脂190g(含水率50wt%)と粒子径0.5mmから0.3mmの石油コークス10gをよく混合してから仕込み、380℃まで昇温して1時間保持し、さらに500℃まで昇温して1時間保持した。加熱操作中は回転円筒を水平に保ち2rpmで回転させた。また、パージガスとして窒素ガス200cc/minを回転円筒中央部に一方より吹き込み、他方から熱分解ガスとパージガスを抜き出した。
【0031】
加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して円筒部を下流側に4度傾け、10rpmで円筒を回転させて熱分解残渣22gを回収した。残渣は粒径1mm以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定形の粒子となっていた。回転円筒内壁および長方形の板への残渣の付着はまったく観察されなかった。
【0032】
〔比較例1〕
実施例1と同じ装置を用いて、粒状陰イオン交換樹脂のみで熱分解試験を行った。仕込み量は200gで、他の操作は実施例1と同じである。加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して回転円筒内部を観察したところ、熱分解残渣の大部分が回転円筒内壁および長方形の板に均一に付着していた。回転円筒を4度傾けて10rpmで回転させても残渣6gが回収されただけで、付着した残渣は剥離せず、ほとんど回収できなかった。
【0033】
〔実施例2〕
連続式の外熱式ロータリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。このキルンは回転円筒の内径が150mm、ヒーターで加熱されている部分の長さが1200mmである。キルンの供給ホッパーに粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陰イオン交換樹脂9.0kg(含水率50wt%)と粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陽イオン交換樹脂1.0kg(含水率50wt%)をよく混合してから仕込み、スクリューフィーダーで供給速度1.5kg/毎時で回転円筒内に供給した。熱分解温度は回転円筒の前半分(樹脂移動方向の上流側)が380℃、後ろ半分(樹脂移動方向の下流側)が500℃に設定した。
【0034】
回転円筒は下流側が低くなるように2度傾け、1rpmで回転させた。樹脂は重力と回転によって回転円筒内を徐々に下流側に移動しながら熱分解してゆき、回転円筒下流側端に達すると残渣受器に落ち込む。一定時間間隔で受器に貯まった残渣を回収しその重量を秤量した。
【0035】
また、パージガスとして窒素ガス6.0ノルマルリットル/毎分を回転円筒上流側より吹き込み、下流側から熱分解ガスとパージガスを抜き出した。排気ポンプで熱分解ガスを吸引しているため、キルン内部は大気圧に対して水柱で50mm前後の負圧に保たれている。また、下流側の回転円筒固定部、受器、熱分解ガス出口は熱分解によって生じるタールおよび水蒸気の凝縮を防ぐため200℃に保温してある。
【0036】
樹脂の供給開始から1時間前後で残渣の排出が始まり、供給開始後2時間後以降は残渣排出量は130g/毎時前後でほぼ安定した。回収できた残渣は粒径1mm以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定形の粒子となっていた。供給開始後7時間弱でほぼ全量の樹脂が回転円筒内に供給された。さらに3時間運転を継続し、残渣排出量がほぼ0となった時点で運転を終了した。回収された残渣の総量は890gであった。装置が冷えてから回転円筒内部を観察したが、回転円筒内壁への残渣の付着はまったく観察されなかった。
【0037】
〔比較例2〕
実施例2のキルンで、陰イオン交換樹脂のみの熱分解試験を行った、。運転条件等は実施例2と同じである。運転開始後2時間以上経過しても残渣は10〜20g/毎時しか回収できなかった。運転終了後回転円筒内部を調べたところ、直径10cm前後、長さ20cm前後の円柱形をした残渣の塊が多数滞留していた。塊はスポンジ状で密度が小さく、熱分解は内部まで進行していた。
【0038】
〔実施例3〕
回分式の外熱式ロータリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。キルンは回転円筒の内径が80mm、ヒーターで加熱されている部分の長さが800mmである。さらに加熱部分の中央部400mmの両側を仕切板で仕切り、樹脂が中央部に留まるようにした。
【0039】
このキルンに粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陰イオン交換樹脂194g(含水率50wt%)と粒子径1.0mmから0.2mmの陰イオン交換樹脂の熱分解残渣6gをよく混合してから仕込み、380℃まで昇温して1時間保持し、さらに500℃まで昇温して1時間保持した。加熱操作中は回転円筒を水平に保ち2rpmで回転させた。また、パージガスとして窒素ガス200cc/minを回転円筒中央部に一方より吹き込み、他方から熱分解ガスとパージガスを抜き出した。
【0040】
加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して円筒部を下流側に4度傾け、10rpmで円筒を回転させて熱分解残渣19gを回収した。残渣は粒径1mm以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定形の粒子となっていた。回転円筒内壁への残渣の付着および残渣の塊状化はまったく観察されなかった。
【0041】
〔比較例3〕
実施例3と同じ装置を用いて、粒状陰イオン交換樹脂のみで熱分解試験を行った。仕込量は200gで、他の操作は実施例1と同じである。加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して回転円筒内部を観察したところ、長径15mm程度の楕円形の断面をした長さ100〜150mmの円柱状の残渣の塊3個が生成していた。回転円筒を4度傾けると残渣の塊は下流側に落ちてきた。回転円筒内壁の一部に残渣が付着しており、これは回転円筒を傾けても落ちてこなかった。回収された残渣の総量は16.5gであった。
【0042】
〔実施例4〕
実施例2の連続式の外熱式ロータリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。キルンの供給ホッパーに粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陰イオン交換樹脂9.0kg(含水率50wt%)と、粒子径1.5mmから0.5mmの、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣0.8kgをよく混合してから仕込み、スクリューフィーダーで供給速度1.5kg/毎時で回転円筒内に供給した。他の運転条件は実施例2に同じである。
【0043】
樹脂の供給開始から1時間前後で残渣の排出が始まり、供給開始後2時間後以降は残渣排出量は240g/毎時前後でほぼ安定した。回収できた残渣は粒径1mm以下の粒子が凝集した粒径10〜15mm前後の不定形の粒子となっていた。供給開始後7時間弱でほぼ全量の樹脂が回転円筒内に供給された。さらに3時間運転を継続し残渣排出量がほぼ0となった時点で運転を終了した。回収された残渣の総量は1.4kgであった。装置が冷えてから回転円筒内部を観察したが、回転円筒内壁への残渣の付着はまったく観察されなかった。
【0044】
【発明の効果】
実施例より明かなように、本発明の熱分解方法を用いることによってイオン交換樹脂を連続的に安定して熱分解することが可能となった。本発明の熱分解方法は放射性使用済みイオン交換樹脂の熱分解処理において残されていた樹脂のハンドリングの問題を解消し、熱分解処理の実用化が可能となった。

Claims (5)

  1. 使用済みの陰イオン交換樹脂を還元雰囲気で熱分解して減容する際に、熱分解残渣の粒子の核となる物質を添加することを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
  2. 残渣粒子の核となる添加物質が陽イオン交換樹脂の熱分解残渣であって、その粒径が0.2〜2.0mmであることを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
  3. 残渣粒子の核となる添加物質が陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣であって、その粒径が0.2〜2.0mmであることを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
  4. 残渣粒子の核となる添加物質が炭素質の粒子であって、その粒径が0.2〜2.0mm以上であることを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
  5. 残渣粒子の核となる添加物質が粒状の陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
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