JP2000056092A - 使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法 - Google Patents

使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法

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JP2000056092A JP10222957A JP22295798A JP2000056092A JP 2000056092 A JP2000056092 A JP 2000056092A JP 10222957 A JP10222957 A JP 10222957A JP 22295798 A JP22295798 A JP 22295798A JP 2000056092 A JP2000056092 A JP 2000056092A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射性使用済みイオン交換樹脂を熱分解法で
処理する際に、熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成した
り、炉壁に付着したりすることを防ぐ。 【解決手段】 使用済みの陰イオン交換樹脂を還元雰囲
気で熱分解して減容する際に、使用済みの陰イオン交換
樹脂に、熱分解残渣の粒子の核となる物質を添加して残
渣粒子の形成を促進する。添加する物質としては、粒状
の陽イオン交換樹脂や、粒径0.2〜2.0mmの、陽
イオン交換樹脂の熱分解残渣,陽イオン交換樹脂と陰イ
オン交換樹脂の混合物の熱分解残渣,および炭素質の粒
子などがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済みイオン交
換樹脂、特に原子力発電所などの放射性物質取り扱い施
設から発生する使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法に
係わり、さらに詳しくは使用済み陰イオン交換樹脂を熱
分解するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所などの放射性物質取り扱い
施設においては、水を浄化するために多量のイオン交換
樹脂が使用されている。イオン交換樹脂の交換容量には
限りがあるため、一定期間使用したイオン交換樹脂は使
用不可能な廃イオン交換樹脂となるが、この廃イオン交
換樹脂には放射性物質が含まれているため、これを再生
して再利用するのははなはだ困難である。このため、数
々の使用済みイオン交換樹脂の処分方法がこれまでに検
討されてきた。
【0003】現在行われている最も一般的な処分方法
は、セメント又はアスファルトで固化し所定の施設で管
理保管するものである。しかしながらセメント固化では
元の使用済み樹脂の体積に対して固化体の体積が数倍に
増加してしまう。アスファルト固化も同様に体積が増加
する上に、可燃物となるため管理がやっかいである。近
い将来、放射性廃棄物の保管場所の確保が次第に困難に
なる可能性があり、使用済みイオン交換樹脂の減容と安
定化を可能とする新たな処理方法が求められている。
【0004】これまでに、使用済みイオン交換樹脂を減
容安定化する処理方法として、酸分解法と焼却法が提案
されている。酸分解法は、200〜350℃の温度で濃
硫酸と硝酸もしくは過酸化水素を用いて樹脂を溶解酸化
処理する方法であり、その詳細はたとえば特開昭53−
88500号公報に示されている。酸分解法は焼却法に
比べて装置が小さくなるといわれているが、濃硫酸等を
扱うため材料面での制約が多く、また廃酸の処理などに
問題が残る。
【0005】一方、焼却法は廃イオン交換樹脂を焼却
し、放射性物質を含む焼却灰は固化剤で固化して保管す
るというものである。焼却処理は一見容易に思えるが、
使用済みイオン交換樹脂は50%近い水分を含んだスチ
レン系の高分子の粒子もしくは粉末であり、これを安定
に燃焼させるのはかなり困難な作業である。このような
難燃物の焼却には流動床が適しており、たとえば特開昭
57−12400号公報には流動床焼却炉を用いた使用
済みイオン交換樹脂の処理方法が示されている。
【0006】しかしながら、流動床焼却は放射性物質を
含む大量の燃焼排ガスが発生するため、排ガスフィルタ
の負荷が大きい、排ガスの脱硫、脱硝処理によって多量
の二次放射性廃棄物が生じる等の問題があり、未だ実用
に至っていない。
【0007】このように、酸分解法、焼却法ともに未解
決の問題を有しているため、これらに代わる方法として
熱分解法が検討されている。熱分解法は使用済みイオン
交換樹脂を還元雰囲気下で熱分解して炭素が主体の熱分
解残渣にする方法である。熱分解残渣中には放射性物質
が含まれており、これを固化剤で固化して保管する。熱
分解残渣は元の使用済みイオン交換樹脂の1/4から1
/10程度の体積に減容される上、80〜90重量%が
炭素であり化学的にもきわめて安定である。また、熱分
解残渣は使用済みイオン交換樹脂に比べて遥かに容易に
燃焼させることができるので、流動床以外の形式の燃焼
炉でも焼却処理が可能である。
【0008】特開昭58−19600号公報には使用済
みイオン交換樹脂を熱分解によって液化せしめ、さらに
この液化物を燃焼してガス化することを特徴とする処理
方法が、また特開昭58−155399号公報には内部
に分散媒体充填部を有する炉内で使用済みイオン交換樹
脂を熱分解し、しかる後熱分解残渣を充填部より回収し
これを焼却処理する方法が開示されている。特開昭59
−107300号公報には熱分解温度を変えて二段階で
使用済みイオン交換樹脂を熱分解する方法が示されてい
る。特開昭60−41000号公報には使用済みイオン
交換樹脂を赤外線あるいはレーザー光線等で加熱して炭
化し、さらに焼却する方法が記載されている。特開昭6
0−162999号公報では不活性ガス雰囲気下で35
0℃〜420℃の温度で熱分解を行うことを特徴とする
熱分解方法が、特開昭60−235100号公報では残
渣中の硫黄、窒素、水素原子の炭素原子に対するモル比
が特定の範囲の値となることを特徴とする熱分解方法が
示されている。特開昭61−205899号公報では特
定の温度で熱分解を行った後、熱分解残渣を界面活性剤
を添加した固化剤で固化することを特徴とする処理方法
が開示されている。また、特開昭62−19798号公
報では使用済みイオン交換樹脂を熱分解し、その残渣を
ホットプレスによってペレット化する処理方法が述べら
れている。特開昭62−297796号公報、特開昭6
2−297797号公報は使用済みイオン交換樹脂を特
定範囲の温度、滞留時間で熱分解したのち残渣を焼却処
理することを特徴とする処理方法と処理装置に関するも
のであり、特開昭62−297798号公報は熱分解タ
ールを還元雰囲気で再分解してから焼却することを特徴
とする処理方法に関するものである。特開平4−596
00号公報には熱分解温度を変えて二段階で使用済みイ
オン交換樹脂を熱分解し、しかる後に残渣をホットプレ
スで成型する方法が述べられている。また、特開平5−
88440号公報では、乾燥した使用済みイオン交換樹
脂に炭素を加え通電加熱によって熱分解した後、残渣と
炭素を焼却する処理方法が開示されている上記の発明の
中では種々の形式の熱分解装置が提案されている。特開
昭58−19600号公報では連続式の充填塔反応器を
提案している。特開昭58−155399号公報は分散
媒体充填部を有する縦型焼却炉を想定しており、特開昭
59−107300号公報および特開昭60−1629
99号公報では回分式の反応器を用いると述べている。
特開昭60−235100号公報では流動床、ロータリ
ーキルン、多段炉の連続式装置でも可能としながらも、
熱分解の制御の点で回分式反応器が望ましいとしてい
る。特開昭61−205899号公報および特開昭62
−19798号公報は連続式ロータリーキルンと回分式
反応器のどちらでも可能としている。特開昭62−29
7796号、297797号、297798号の各公報
はスクリューキルンを実施例に示している。特開平4−
59600号公報は回分式の反応器を提案しており、特
開平5−88440号公報は通電加熱のための電極を有
する縦型の流通反応器を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これまで述べたよう
に、使用済みイオン交換樹脂の熱分解に関しては多くの
研究がなされ、様々な方法が提案されている。にもかか
わらず、放射性使用済みイオン交換樹脂を熱分解方法で
処理する装置が実用化された例はいまだないのである。
これにはいくつかの理由があるが、最も大きな理由は装
置化にあたって樹脂および残渣の取り扱いが難しいとい
う点にある。
【0010】一般に、原子力施設で用いられている粒状
のイオン交換樹脂は、粒径0.5〜1.0前後の粒子も
しくは400メッシュ以上の微粉末である。その熱分解
残渣もまた粒状もしくは微粉状の粉粒体である。同じ熱
分解残渣でも陽イオン交換樹脂の熱分解残渣と陰イオン
交換樹脂の熱分解残渣ではかなり性状が異なる。陽イオ
ン交換樹脂の熱分解残渣は、体積は減少しているものの
おおむね元の粒子の形状を保持しており、粒子間および
容器や配管への付着性は強くない。
【0011】一方、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣は大
幅に密度が減少し、多孔質の粉体となる。陰イオン交換
樹脂は熱分解過程において粒子が粘着性を帯びる時点が
あり、この時に粒子が塊になっているとそのままの形状
で熱分解が進行し、残渣が軽石状の塊を形成することも
ある。また陰イオン交換樹脂の熱分解残渣は機器の壁面
に容易に付着し、なかなか剥離しない。付着した残渣の
上にさらに残渣が付着し、壁面が残渣でコーティングさ
れたような状態になることもある。
【0012】残渣が塊を形成した場合、熱分解装置内で
の残渣の移動および排出に重大な支障を及ぼす恐れがあ
る。また、熱分解炉の内面が残渣で覆われた場合は、炉
壁の伝熱係数が著しく低下して熱分解に必要な熱が樹脂
に伝わらなくなり、熱分解装置の処理能力が大幅に低下
する可能性がある。
【0013】熱分解炉内において残渣の塊を機械的に粉
砕することは可能である。また、炉壁に付着した残渣を
機械的に掻き落とすことも可能である。しかしながらこ
れらの操作によって微細な残渣粉が発生し、この残渣粉
が熱分解ガスの流れに乗って炉外に搬出される恐れがあ
る。もしこのような事態が生じると、放射性物質が炉外
に搬出されることになり好ましくない。
【0014】すなわち、放射性使用済みイオン交換樹脂
を熱分解法で処理する装置が実用化されるためには、陰
イオン交換樹脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成し
たり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐ方法が不
可欠なのである。しかるにこれまでの発明ではこの問題
について何らの解決策も提示されておらず、樹脂および
残渣の取り扱いは熱分解法の実用化の上で大きな障害と
なってきた。
【0015】本発明の課題は、放射性使用済みイオン交
換樹脂を熱分解法で処理する際に、熱分解残渣が熱分解
炉内で塊を形成したり、炉壁に付着したりすることを未
然に防ぐにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは使用
済みイオン交換樹脂の熱分解について多くの実験を行
い、陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を
形成したり、炉壁に付着したりすることを未然に防ぐ熱
分解方法を発見するに至った。
【0017】本発明の熱分解方法は、使用済みの陰イオ
ン交換樹脂を還元雰囲気で熱分解して減容する際に、熱
分解残渣の粒子の核となる物質を添加して残渣粒子の形
成を促進することを特徴とする熱分解方法である。本発
明において熱分解残渣の粒子の核となる物質とは、粒径
2.0mm以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂の熱
分解残渣および粒径2.0mm以下0.2mm以上の陽
イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残
渣および粒径2.0mm以下0.2mm以上の炭素質の
粒子および粒状の陽イオン交換樹脂を指す。
【0018】熱分解残渣の粒子の核となる物質として添
加されるものの粒径に下限を設けたのは、核となる粒子
の粒径が小さすぎると、粒子が成長する前に壁面などに
付着してしまう傾向があるためである。核となる粒子が
0.2mm以上の大きさであれば付着力よりも自重の方
が大きく、粒子の表面が陰イオン交換樹脂の残渣で覆わ
れても粒子が壁面に付着したにはなりにくいことが実験
で判明した。
【0019】また、粒子1個で比較すれば、大きな粒子
ほど付着防止には有効であるが、核となる粒子が大きい
と同じ添加量では添加される粒子の数が減少し、添加さ
れる粒子の径が2.0mmを超えると、全体としての付
着防止効果が減少することが同様に実験により明らかに
なった。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
詳細に述べる。本発明の熱分解方法は熱分解炉内部で全
く樹脂が動かない静置式の熱分解炉ではその効果が発揮
しにくい。本発明の熱分解方法は、撹拌槽型、移動床
型、ロータリーキルン型等の、炉内で樹脂の移動もしく
は撹拌がなされる熱分解炉で効果を発揮し、中でもロー
タリーキルン型の熱分解炉が最も好ましい。また、本発
明の熱分解方法は回分操作、連続操作のいずれの場合で
も有効である。
【0021】本発明の熱分解方法では、使用済み陰イオ
ン交換樹脂を還元雰囲気で熱分解して減容する際に、熱
分解残渣の粒子の核となる物質を使用済み陰イオン交換
樹脂に添加してから熱分解を行う。熱分解残渣の粒子の
核となる物質は使用済み陰イオン交換樹脂を熱分解炉に
投入する前に使用済み陰イオン交換樹脂に添加してもよ
いし、熱分解炉中で使用済み陰イオン交換樹脂に添加し
てもよい。ただし熱分解炉中で使用済み陰イオン交換樹
脂の脱水が完了するまでには、使用済み陰イオン交換樹
脂と熱分解残渣の粒子の核となる物質が均一に混合した
状態になっていなければならない。
【0022】本発明の熱分解方法では、熱分解残渣の粒
子の核となる物質が、粒径2.0mm以下0.2mm以
上の陽イオン交換樹脂の熱分解残渣の場合、その添加量
は使用済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の3wt%以
上、好ましくは5wt%以上20wt%以下である。陽
イオン交換樹脂の熱分解残渣の添加量が使用済み陰イオ
ン交換樹脂の乾燥重量の3wt%未満の場合、適度な粒
径の粒子の形成が不十分となり、塊の形成や壁面への付
着が十分に防止できない。陽イオン交換樹脂の熱分解残
渣が使用済み陰イオン交換樹脂の20wt%より多い場
合は適度な粒径のの粒子の形成には何ら問題を生じない
が、使用済み陰イオン交換樹脂の熱分解処理量が減少し
好ましくない。
【0023】同様の理由により本発明の熱分解方法で
は、熱分解残渣の粒子の核となる物質が、粒径2.0m
m以下0.2mm以上の陽イオン交換樹脂と陰イオン交
換樹脂の混合物の熱分解残渣の場合、その添加量は使用
済み陰イオン交換樹脂の乾燥重量の6wt%以上、好ま
しくは10wt%以上20wt%以下である。また、添
加する陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の
熱分解残渣中の陽イオン交換樹脂熱分解残渣の割合は5
0wt%を下回ってはならない。
【0024】同様に本発明の熱分解方法では熱分解残渣
の粒子の核となる物質が、粒径2.0mm以下0.2m
m以上の炭素質の粒子の場合、その添加量は使用済み陰
イオン交換樹脂の乾燥重量の3wt%以上、好ましくは
5wt%以上20wt%以下である。本発明において炭
素質の粒子とは、石炭、木炭、コークス、活性炭等、炭
素を主成分とする物質の粒子を指す。本発明に用いる炭
素質の粒子は、灰分、窒素、硫黄の含有量が少ないもの
が好ましく、中でも石油コークス粒子が最も好ましい。
【0025】また本発明の熱分解方法では、熱分解残渣
の粒子の核となる物質が粒状の陽イオン交換樹脂の場
合、その添加量(乾燥重量)は使用済み陰イオン交換樹
脂の乾燥重量の10wt%以上、好ましくは15wt%
以上30wt%以下である。
【0026】本発明の熱分解方法では、使用済み陰イオ
ン交換樹脂に熱分解残渣の粒子の核となる物質を添加す
るため、残渣の量が増加しせっかくの熱分解による減容
効果が損なわれるように思えるかもしれない。しかしな
がら熱分解残渣の粒子の核となる物質として陽イオン交
換樹脂の熱分解残渣もしくは陽イオン交換樹脂と陰イオ
ン交換樹脂の混合物の熱分解残渣を添加する場合は、使
用済み樹脂の熱分解によって生じた熱分解残渣を利用す
れば、最終的に固化処理すべき熱分解残渣の量は全く増
加しない。熱分解残渣の粒子の核となる物質として陽イ
オン交換樹脂を添加する場合も同様である。
【0027】また、やむを得ず熱分解残渣の粒子の核と
なる物質として炭素粒子を添加する場合でも、添加量は
高々30%であり残渣の増加は2〜3割増し程度で抑え
られる。
【0028】本発明の熱分解方法を用いれば、添加した
物質を核として陰イオン交換樹脂の熱分解残渣が粒径数
mmから十数mmの残渣粒子を形成し、陰イオン交換樹
脂の熱分解残渣が熱分解炉内で塊を形成したり、炉壁に
付着したりすることを未然に防ぐのである。以下で本発
明の効果を実施例を用いて明らかにする。
【0029】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕回分式の外熱式ロー
タリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。
キルンは回転円筒の内径が80mm、ヒーターで加熱さ
れている部分の長さが800mmである。さらに加熱部
分の中央部400mmの両側を仕切板で仕切り、樹脂が
中央部に留まるようにした。また中央部には回転円筒内
壁に沿って軸方向に4枚の長方形の板が該内壁に取り付
けてあり、円筒の回転に従って中の樹脂を掻き上げ、伝
熱を促進するようになっている。
【0030】このキルンに粒子径1.0mmから0.5
mmの粒状陰イオン交換樹脂190g(含水率50wt
%)と粒子径0.5mmから0.3mmの石油コークス
10gをよく混合してから仕込み、380℃まで昇温し
て1時間保持し、さらに500℃まで昇温して1時間保
持した。加熱操作中は回転円筒を水平に保ち2rpmで
回転させた。また、パージガスとして窒素ガス200c
c/minを回転円筒中央部に一方より吹き込み、他方
から熱分解ガスとパージガスを抜き出した。
【0031】加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外
して円筒部を下流側に4度傾け、10rpmで円筒を回
転させて熱分解残渣22gを回収した。残渣は粒径1m
m以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定形の粒
子となっていた。回転円筒内壁および長方形の板への残
渣の付着はまったく観察されなかった。
【0032】〔比較例1〕実施例1と同じ装置を用い
て、粒状陰イオン交換樹脂のみで熱分解試験を行った。
仕込み量は200gで、他の操作は実施例1と同じであ
る。加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して回転
円筒内部を観察したところ、熱分解残渣の大部分が回転
円筒内壁および長方形の板に均一に付着していた。回転
円筒を4度傾けて10rpmで回転させても残渣6gが
回収されただけで、付着した残渣は剥離せず、ほとんど
回収できなかった。
【0033】〔実施例2〕連続式の外熱式ロータリーキ
ルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。このキル
ンは回転円筒の内径が150mm、ヒーターで加熱され
ている部分の長さが1200mmである。キルンの供給
ホッパーに粒子径1.0mmから0.5mmの粒状陰イ
オン交換樹脂9.0kg(含水率50wt%)と粒子径
1.0mmから0.5mmの粒状陽イオン交換樹脂1.
0kg(含水率50wt%)をよく混合してから仕込
み、スクリューフィーダーで供給速度1.5kg/毎時
で回転円筒内に供給した。熱分解温度は回転円筒の前半
分(樹脂移動方向の上流側)が380℃、後ろ半分(樹
脂移動方向の下流側)が500℃に設定した。
【0034】回転円筒は下流側が低くなるように2度傾
け、1rpmで回転させた。樹脂は重力と回転によって
回転円筒内を徐々に下流側に移動しながら熱分解してゆ
き、回転円筒下流側端に達すると残渣受器に落ち込む。
一定時間間隔で受器に貯まった残渣を回収しその重量を
秤量した。
【0035】また、パージガスとして窒素ガス6.0ノ
ルマルリットル/毎分を回転円筒上流側より吹き込み、
下流側から熱分解ガスとパージガスを抜き出した。排気
ポンプで熱分解ガスを吸引しているため、キルン内部は
大気圧に対して水柱で50mm前後の負圧に保たれてい
る。また、下流側の回転円筒固定部、受器、熱分解ガス
出口は熱分解によって生じるタールおよび水蒸気の凝縮
を防ぐため200℃に保温してある。
【0036】樹脂の供給開始から1時間前後で残渣の排
出が始まり、供給開始後2時間後以降は残渣排出量は1
30g/毎時前後でほぼ安定した。回収できた残渣は粒
径1mm以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定
形の粒子となっていた。供給開始後7時間弱でほぼ全量
の樹脂が回転円筒内に供給された。さらに3時間運転を
継続し、残渣排出量がほぼ0となった時点で運転を終了
した。回収された残渣の総量は890gであった。装置
が冷えてから回転円筒内部を観察したが、回転円筒内壁
への残渣の付着はまったく観察されなかった。
【0037】〔比較例2〕実施例2のキルンで、陰イオ
ン交換樹脂のみの熱分解試験を行った、。運転条件等は
実施例2と同じである。運転開始後2時間以上経過して
も残渣は10〜20g/毎時しか回収できなかった。運
転終了後回転円筒内部を調べたところ、直径10cm前
後、長さ20cm前後の円柱形をした残渣の塊が多数滞
留していた。塊はスポンジ状で密度が小さく、熱分解は
内部まで進行していた。
【0038】〔実施例3〕回分式の外熱式ロータリーキ
ルンを用いて本発明の熱分解方法を実施した。キルンは
回転円筒の内径が80mm、ヒーターで加熱されている
部分の長さが800mmである。さらに加熱部分の中央
部400mmの両側を仕切板で仕切り、樹脂が中央部に
留まるようにした。
【0039】このキルンに粒子径1.0mmから0.5
mmの粒状陰イオン交換樹脂194g(含水率50wt
%)と粒子径1.0mmから0.2mmの陰イオン交換
樹脂の熱分解残渣6gをよく混合してから仕込み、38
0℃まで昇温して1時間保持し、さらに500℃まで昇
温して1時間保持した。加熱操作中は回転円筒を水平に
保ち2rpmで回転させた。また、パージガスとして窒
素ガス200cc/minを回転円筒中央部に一方より
吹き込み、他方から熱分解ガスとパージガスを抜き出し
た。
【0040】加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外
して円筒部を下流側に4度傾け、10rpmで円筒を回
転させて熱分解残渣19gを回収した。残渣は粒径1m
m以下の粒子が凝集した粒径10mm前後の不定形の粒
子となっていた。回転円筒内壁への残渣の付着および残
渣の塊状化はまったく観察されなかった。
【0041】〔比較例3〕実施例3と同じ装置を用い
て、粒状陰イオン交換樹脂のみで熱分解試験を行った。
仕込量は200gで、他の操作は実施例1と同じであ
る。加熱操作終了後に回転円筒内の仕切板を外して回転
円筒内部を観察したところ、長径15mm程度の楕円形
の断面をした長さ100〜150mmの円柱状の残渣の
塊3個が生成していた。回転円筒を4度傾けると残渣の
塊は下流側に落ちてきた。回転円筒内壁の一部に残渣が
付着しており、これは回転円筒を傾けても落ちてこなか
った。回収された残渣の総量は16.5gであった。
【0042】〔実施例4〕実施例2の連続式の外熱式ロ
ータリーキルンを用いて本発明の熱分解方法を実施し
た。キルンの供給ホッパーに粒子径1.0mmから0.
5mmの粒状陰イオン交換樹脂9.0kg(含水率50
wt%)と、粒子径1.5mmから0.5mmの、陽イ
オン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣
0.8kgをよく混合してから仕込み、スクリューフィ
ーダーで供給速度1.5kg/毎時で回転円筒内に供給
した。他の運転条件は実施例2に同じである。
【0043】樹脂の供給開始から1時間前後で残渣の排
出が始まり、供給開始後2時間後以降は残渣排出量は2
40g/毎時前後でほぼ安定した。回収できた残渣は粒
径1mm以下の粒子が凝集した粒径10〜15mm前後
の不定形の粒子となっていた。供給開始後7時間弱でほ
ぼ全量の樹脂が回転円筒内に供給された。さらに3時間
運転を継続し残渣排出量がほぼ0となった時点で運転を
終了した。回収された残渣の総量は1.4kgであっ
た。装置が冷えてから回転円筒内部を観察したが、回転
円筒内壁への残渣の付着はまったく観察されなかった。
【0044】
【発明の効果】実施例より明かなように、本発明の熱分
解方法を用いることによってイオン交換樹脂を連続的に
安定して熱分解することが可能となった。本発明の熱分
解方法は放射性使用済みイオン交換樹脂の熱分解処理に
おいて残されていた樹脂のハンドリングの問題を解消
し、熱分解処理の実用化が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片倉 正彦 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内 (72)発明者 長原 聰 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用済みの陰イオン交換樹脂を還元雰囲
    気で熱分解して減容する際に、熱分解残渣の粒子の核と
    なる物質を添加することを特徴とする使用済みイオン交
    換樹脂の熱分解方法。
  2. 【請求項2】 残渣粒子の核となる添加物質が陽イオン
    交換樹脂の熱分解残渣であって、その粒径が0.2〜
    2.0mmであることを特徴とする請求項1記載の使用
    済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
  3. 【請求項3】 残渣粒子の核となる添加物質が陽イオン
    交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物の熱分解残渣であ
    って、その粒径が0.2〜2.0mmであることを特徴
    とする請求項1記載の使用済みイオン交換樹脂の熱分解
    方法。
  4. 【請求項4】 残渣粒子の核となる添加物質が炭素質の
    粒子であって、その粒径が0.2〜2.0mm以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の使用済みイオン交換
    樹脂の熱分解方法。
  5. 【請求項5】 残渣粒子の核となる添加物質が粒状の陽
    イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1記載の
    使用済みイオン交換樹脂の熱分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007198736A (ja) * 2006-01-23 2007-08-09 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 有機物含有放射性固体廃棄物の処理方法

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