JP4084778B2 - 空気中可溶性ガス除去装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空気中可溶性ガス除去装置に関し、更に詳細には空気中に含まれる可溶性ガスを気液接触により除去する空気中可溶性ガス除去装置に関する。
一般大気中あるいは排ガスを伴うプラントからの排気空気中に含まれる可溶性ガス成分(NH3,SO2,HCl,H2S,HF等)が、清浄度を要求されるクリーンルーム内に外気供給装置を介して供給されると、クリーンルーム内で製造されている製品に種々の障害をもたらす。この障害については本出願人がその一つの対策を開示している(例えば、特許文献1参照。)。
このような障害を防止するためには、クリーンルーム内への外気供給系やプラント排気処理系において、障害をもたらす可溶性ガス成分の濃度を低減することが要求される。
このような可溶性ガス成分を除去する方法の一つに、水との気液接触を利用した処理法がある。この処理法によれば、可溶性ガス成分を含む空気と水とを効率よく接触させることにより、可溶性ガスを水に溶解させて除去する。
ここで吸収液として用いられる水は、空気が流通する空気流路に連続的に供給され、気液接触後に回収されて再び空気流路に供給され、循環している。この循環水中の可溶性ガス濃度は循環利用により徐々に高くなっていき、ある濃度以上になると可溶性ガス成分の吸収効率が低下し始める。
この吸収効率の低下を防止し常に安定した高い吸収効率を確保するためには、循環水の排水と新しい水の補給によって、循環水の可溶性ガス成分濃度を管理する必要がある。
従来、この循環水の可溶性ガス成分濃度の管理は、循環水の比抵抗値の管理、あるいはシリカ濃度の管理等によって行なっている。その原理は次の通りである。除去対象物質である可溶性ガス成分が水に溶け込むと水の比抵抗値が低下する。つまり、循環水の比抵抗値と除去物質の水中濃度には相関関係がある。したがって、循環水の比抵抗値を管理することにより、循環水の可溶性ガス成分濃度の管理が可能である。
また、空気中に含まれるシリカ成分が水に溶け込むと水中のシリカ濃度は増加する。このシリカ濃度を管理することによって間接的に循環水の水質を管理することができる。
しかしながら、従来の管理方法では次のような問題がある。空気中には、除去対象としての可溶性ガス成分の濃度よりも3桁以上も高い濃度の炭酸ガスが含まれており、この炭酸ガスは循環水中に吸収され、その結果、循環水中のHCO3 -イオン濃度が除去対象の可溶性ガス成分のイオン濃度よりも大きくなり、循環水の比抵抗値はHCO3 -イオン濃度に殆ど依存してしまう。したがって、循環水の比抵抗値による水質管理は余り有効な手段とは言えない。
また、酸系およびアルカリ系の可溶性ガスがバランスして吸収された場合には、吸収水の比抵抗値は低下するが、ガス吸収性能はほとんど低下しない。従って、比抵抗値の低下により補給する水量が増加するので無駄な水を使用してコストの上昇を招き、また、トータルの吸収ガス量が低く、且つ酸系若しくはアルカリ系のどちらか一方のガスのみが偏って吸収された場合には、比抵抗値はそれほど低下しないが、ガス吸収性能は低下する。従
って、補給水は供給されずガスの除去性能は低下してしまう。このため、循環水の比抵抗値による水質管理は余り有効な手段とは言えない。
一方、循環水のシリカ濃度と除去対象のガス成分濃度との間には何らかの相関関係がないので、常に安定したガス吸収効率を維持するための水質管理としては余りに有効手段ではない。
即ち、従来の循環水の水質管理法ではいずれの方法も、実際に管理している物質の物理量と除去対象ガス成分の濃度との間には殆ど関係がないので、循環水中の除去対象ガス成分の濃度が高くなり過ぎて吸収効率が低下する虞があり、或いはその逆に、まだ除去対象ガスを吸収することができるのに吸収能力が低下したと見なされて循環水を更新してしまい、循環水の使用量を増大させる虞がある。
また、従来の循環水の水質管理法では、1つの元素を代表させて計測する処方であり、半導体や液晶等を製造する工場の生産工程において多種の不純物(ケミカル・金属・有機物)が生じると、これらの多種不純物の除去を全体的に管理することは極めて困難である。
特開平7−60044号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、多種の不純物を含む可溶性ガス成分の除去効率を常時安定して高く維持できる空気中可溶性ガス除去装置を提供することを目的とする。
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。本発明は、空気中に含まれる可溶性ガスを気液接触により除去する空気中可溶性ガス除去装置であって、(イ)可溶性ガスを含む被処理空気が流通する空気流路と、(ロ)吸収液を空気流路に供給し、吸収液と被処理空気とを気液接触させて被処理空気中の可溶性ガスを吸収液中に溶解させ、可溶性ガスが溶在する吸収液を回収して再び空気流路内に供給する吸収液循環系と、(ハ)吸収液循環系に新しい吸収液を供給する吸収液供給系と、(ニ)吸収液循環系から吸収液を排出する吸収液排出系と、(ホ)流通する吸収液のpH値を検出するpH検出手段と、(へ)前記pH検出手段により検出されたpH値に基づいて、流通する吸収液のpH値を所定の範囲内にする制御手段と、を備えたことを特徴とする空気中可溶性ガス除去装置である。
空気流路内で吸収液循環系と被処理空気が気液接触して空気中の可溶性ガス成分が吸収液中に吸収されて除去される。これに従って、吸収液循環系の吸収液中の可溶性ガス成分濃度が徐々に高まり、また、可溶性ガスがアルカリ系よりも酸系の方が多い場合には循環する吸収液は酸性に偏るので酸性ガスの除去効率が低下するが、本発明では、吸収液のpH値を管理することにより、可溶性ガス吸収効率の低下を防止する。
本発明によれば、流通する吸収液の水質管理をpH値により行ない、検出されたpH値に基づいて制御系は流通する吸収液のpH値を所定の範囲内に収まるようにするので、吸収液循環系の吸収液は常に安定した高い可溶性ガス除去効率を維持することができるとともに、空気流通路内を流通する空気から可溶性ガスを確実に除去することができ、また、水質管理をpH値により行なうので、空気中に含まれる多種類の不純物である可溶性ガスの除去を全体的に管理することができる。
pH検出手段は吸収液循環系を流通する吸収液のpH値を検出し、制御手段はpH検出手段により検出されたpH値に基づいて、吸収液循環系の吸収液内の水素イオン濃度を変更させる液の供給を制御して吸収液循環系の吸収液のpH値を所定の範囲内にする場合には、吸収液循環系の吸収液に供給される補給水量は必要最小量で済むとともに、水素イオン濃度を直接変更させるので効果的に吸収液を所定範囲のpH値に戻すことができる。
また、液はアルカリ性溶液と酸性溶液であり、制御手段はpH検出手段により検出されたpH値に基づいて中性よりも偏りのある側と反対側のアルカリ性溶液又は酸性溶液のいずれかの液を選択し、この選択された液を吸収液循環系に供給する場合には、吸収液循環系の吸収液に供給される補給水量は必要最小量で済むとともに、より効果的に吸収液循環系内に流通する吸収液を所定範囲のpH値に戻すことができる。
本発明の空気中可溶性ガス除去装置は、空気中に含まれる可溶性ガスを気液接触により除去する空気中可溶性ガス除去装置であって、(イ)可溶性ガスを含む被処理空気が流通する空気流路と、(ロ)吸収液を空気流路に供給し、吸収液と被処理空気とを気液接触させて被処理空気中の可溶性ガスを吸収液中に溶解させ、可溶性ガスが溶在する吸収液を回収して再び空気流路内に供給する吸収液循環系と、(ハ)吸収液循環系に新しい吸収液を供給する吸収液供給系と、(ニ)吸収液循環系から吸収液を排出する吸収液排出系と、(ホ)流通する吸収液のpH値を検出するpH検出手段と、(へ)前記pH検出手段により検出されたpH値に基づいて、流通する吸収液のpH値を所定の範囲内にする制御手段と、を備える。
被処理空気中の可溶性ガス成分のうち除去対象となる可溶性ガス成分は多種多様である。そして、可溶性ガスが吸収液に溶解することにより吸収液のpH値が変化し、pH検出手段が予め定められたpH値の所定範囲外であることを検出したならば、pH値が所定範囲内になるように制御手段により調整する。
吸収液循環系において吸収液を空気流路内に供給する方法としては、吸収液を空気流路内に噴霧してもよいし、空気流路内に多数の平行板を設置してこの平行板の表面に沿って吸収液を流通させるようにしてもよい。要するに、空気流路内を流れる空気と吸収液が効率良く気液接触することができる手段であれば、その供給方法や構造は問わない。尚、吸収液を空気流路内で噴霧する場合には、気流に対向して或いは直交して噴霧することができる。また、可溶性ガスの吸収効率の観点から、吸収液は純水であることが好ましい。
本発明では、pH検出手段は吸収液循環系を流通する吸収液のpH値を検出し、制御手段はpH検出手段により検出されたpH値に基づいて、吸収液循環系の吸収液内の水素イオン濃度を変更させる液の供給を制御して、吸収液循環系の吸収液のpH値を所定の範囲内にすることができる。
pH検出手段は吸収液排出系を流通する吸収液のpH値を検出してもよい。この場合には、制御手段は吸収液供給系を制御して吸収液循環系の吸収液のpH値を所定の範囲内にすることが好ましい。
また、pH検出手段は吸収液循環系を流通する吸収液のpH値を検出してもよい。この場合には、制御手段は、吸収液供給系又は吸収液排出系を制御して吸収液循環系の吸収液のpH値を所定の範囲内にすることが好ましい。
前記液はアルカリ性溶液と酸性溶液であり、制御手段はpH検出手段により検出されたpH値に基づいて中性よりも偏りのある側と反対側のアルカリ性溶液又は酸性溶液のいずれかの液を選択してこの選択された液を吸収液に供給して吸収液のpH値を所定の範囲内にすることが好ましい。
また、液はpH緩衝液にすることができる。この場合には、制御手段はpH緩衝液を吸収液循環系に供給して吸収液のpH値の偏りを小さくする。pH検出手段は流通する吸収液のpH値を連続的に検出することが最も好ましいが、pH値を所定時間毎に間欠的に検出することも可能である。
本発明の空気中可溶性ガス除去装置は、屋外の新鮮な外気から可溶性ガスを除去してクリーンルーム等に給気する場合に用いることもできるし、有害ガスを含む排気から有害ガスを除去して排出する場合や室内空気循環系にも用いることもできる。
pH値を所定の範囲内に制御する制御手段をはじめとする本発明の構成要素は、ユニットとして一体化した構成でもよいし、既設のクリーンルームに本発明を適用する場合には、各要素を離間して設けることもできる。
以下、本発明に係る空気中可溶性ガス除去装置の参考及び実施の形態を、図1から図5に基づいて説明する。
〔第1の参考の形態〕
第1の参考の形態の空気中可溶性ガス除去装置(以下、「除去装置」と記す。)を図1を用いて説明する。図1は除去装置の構成図であり、この参考の形態は、屋外の外気から可溶性ガスを除去してクリーンルームに給気するエアウォッシャーに適用した態様である。
本態様での吸収液と被処理空気との気液接触はダクトに介在したチャンバー1内で行なう例にて説明する。被処理空気としての外気はチャンバー1内に図中矢印Aのように左から右に流通する。チャンバー1には吸収液としての水を循環供給する水循環系(吸収液循環系)3が設置されている。
水循環系3はチャンバー1内に設けられたピット5内に貯溜する水を供給ポンプ7によりポンプアップしてスプレーノズル9からチャンバー1内に噴霧するように構成されている。チャンバー1内にはピット5の下流側に飛散ミストを回収するエリミネータ11が設置されている。即ち、水循環系3は供給ポンプ7とスプレーノズル9とこれらを接続する配管13とから構成されている。
ピット5にはピット5に水を供給するための水供給系(吸収液供給系)15が設置されている。この水供給系15には制御弁17が設けられており、その開閉操作により水の流量を調整することができる。
また、ピット5にはピット5内に貯溜する水を外部に排出するための水排出系(吸収液排出系)19が設置されている。この水排出系19には排出される水中の水素イオン濃度の指数(以下、「pH値」と記す。)を検出するpH検出器(pH検出手段)21が設けられており、このpH検出器21は水のpH値を随時監視する。
pH検出器21はpH制御ユニット(制御手段)23と制御弁調整ユニット(制御手段)25を経由して制御弁(制御手段)17に電気的に直列に接続されており、pH制御ユニット23はpH検出器21からの検出値を処理するとともに連続的にこの検出値を記録し、制御弁調整ユニット25はpH検出器21により検出された検出値に基づいて制御弁17の開度を調整する。
要するに、制御弁17はpH検出器21の検出値の大きさに基づいてpH制御ユニット23と制御弁調整ユニット25を介して弁の開度が調整され、ピット5に供給する水の流量を制御して水循環系3内を流通する水のpH値を所定の範囲にする。即ち、制御系は制御弁17とpH制御ユニット23とpH検出器25から構成されている。
制御弁17の開度調整はpH検出器21の検出値に基づいて、例えば、比例制御、積分制御、微分制御、これらの複合制御等によって制御することができる。次に、除去装置の作用について説明する。
チャンバー1内には水がスプレーノズル9から連続的に噴霧され、チャンバー1を流通する外気と水が気液接触して、外気に含まれる可溶性ガスが水に溶解する。可溶性ガスを吸収した水はピット5に溜まり、このピット5に貯溜する水は供給ポンプ7によりポンプアップされて配管13を通り再びスプレーノズル9から連続的に噴霧される。従って、水排出系19の水中のpH値は経時的に変化する。
水中のpH値が所定範囲を越えた場合には可溶性ガスの吸収効率が低下するので、このpH値が所定範囲内になるように管理する必要がある。この参考の形態では、pH値の所定範囲の上限値を9.5とし下限値を4.5とした。尚、pH値の所定範囲を上限値を9.0にし下限値を5.0に設定して、水循環系3に流通する水のpH値を厳しく管理することもできる。
pH値が所定範囲外であるとpH検出器21が検出すると、pH制御ユニット23はこの検出値を記録するとともに処理し、この処理された検出値を制御弁調整ユニット25に送信し、制御弁調整ユニット25はこの検出値に基づいて制御弁17の弁の開度を決定した後に制御弁17の開度を制御する。即ち、制御弁17は弁の開度を大きくして補給水量を増加させる。この参考の形態では、補給水量Lの範囲を被処理空気の重量Gに対して次の(1)式の関係、
L/G=0.01〜0.03 (1)
にした場合、制御弁17の弁の開度を大きくした時の補給水量Lを0.03Gとする。そして、この補給水量Lの増加によりpH値が所定範囲内に戻ったことをpH検出器21が検出したならば、pH制御ユニット23によりこの検出値を処理した後に制御弁調整ユニット25に送信し、制御弁調整ユニット25は水供給系15からピット5に供給される水の流量を少なくするように制御弁17の開度を小さくなるように制御する。即ち、制御弁調整ユニット25は制御弁17の弁の開度を小さくして水の補給水量Lを0.01G(以下、「最低設定水量」と記す。)にする。
このようにして水排水系19中の水のpH値をpH検出器21によって管理することにより、外気中の多種の不純物の除去の管理をすることができ、水循環系3の水は常に安定した高い可溶性ガス除去効率を維持することができ、チャンバー1内を流通する可溶性ガスを確実に除去することができる。従って、可溶性ガスを除去した清純な空気をクリーンルームに給気することができる。
また、水排水系19の水のpH値が所定範囲内にある場合には、水供給系19から供給される水の流量は最低設定水量になるので、供給される水が必要最小量で済むのでランニングコストが低くなり極めて経済的である。
〔第2の参考の形態〕
次に、本発明に係る第2の参考の形態の空気中可溶性ガス除去装置を図2を用いて説明する。
本発明に係る第2の参考の形態の空気中可溶性ガス除去装置(以下、「除去装置」と記す。)は、pH検出器21を水循環系3に設けた点で、水排水系19にpH検出器21を設けた第1の参考の形態の除去装置と相違する。即ち、pH検出器21はピット5と供給ポンプ7とを連通する配管13の途中に設けられている。
その他の構成については第1の参考の形態の除去装置と同様なので、同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。ピット5に貯溜する水は供給ポンプ7によりポンプアップされ配管13を流通する際にpH検出器21によりpH値が検出される。
この検出されたpH値が所定範囲を越えた場合には可溶性ガスの吸収効率が低下するので、このpH値が所定範囲内になるように管理する必要がある。この参考の形態では、pH値の所定範囲の上限値は9.5でありその下限値は4.5とした。尚、pH値の所定範囲を上限値を9.0にし下限値を5.0に設定して、水循環系3に流通する水のpH値を厳しく管理することもできる。
第2の参考の形態の除去装置の作用は前記第1の参考の形態の除去装置に準じるのでその説明を省略する。水循環系中の水のpH値をpH検出器21によって管理することにより、第1の参考の形態の除去装置と同様の効果を得ることができる。
〔第3の参考の形態〕
次に、本発明に係る第3の参考の形態の空気中可溶性ガス除去装置を図3を用いて説明する。
本発明に係る第3の参考の形態の空気中可溶性ガス除去装置(以下、「除去装置」と記す。)は、水循環系3にpH検出器21を有し、水排出系19に三方弁27と排出ポンプ
29と還り管31を有し、水供給系15に流量調整器33を有する点で、水排出系19にpH検出器21を有し、水供給系15に制御弁21を有し、排出ポンプ29と還り管31と流量調整器33を有しない第1の参考の形態の除去装置と相違する。
第3の参考の形態の除去装置の水循環系3には、ピット5と供給ポンプ7とを連通する配管13の途中にpH検出器21が設けられている。水排水系19にはその上流側に排出ポンプ29が設けられており、この排出ポンプ29の下流側には水の排出流量を調整する三方弁27が設けられている。
この三方弁27は3つのポートを有し、三方弁27に水が流入する入口ポート35と、この流入した水の一部を排水ポンプ29よりも上流側に還す第1出口ポート37と、分流した残りの水を外部に排出する第2出口ポート39を有している。即ち、排出ポンプ29は配管41を介して入口ポート35に接続されている。第1出口ポート37には還り管31の一端が接続されており、この還り管31の他端は排水ポンプ29の上流側に接続された配管41の中間部に接続され、排水ポンプ29により排出された水の一部がこの還り管31を通って排水ポンプ29の上流側の配管41に還される。第2出口ポート39には外部に水を排水する配管41が接続されている。
三方弁27の内部には、第1出口ポート37と第2出口ポート39からそれぞれ流出する水の流量を調整する弁プラグ(図示せず)が設けられており、この弁プラグの位置を調整することにより、第1出口ポート37と第2出口ポート39からそれぞれ流出する水の流量を調整することができる。
その他の構成については第1の参考の形態の除去装置と同様なので、同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。次に、除去装置の作用について説明する。
除去装置が作動すると、流量調整器33によりピット5内に貯溜する水の水位にしたがって水の流量を調整しながらピット5に新しい水が供給され、また、排水ポンプ29と供給ポンプ7の羽根車は一定の回転数で回転する。
チャンバー1内の水が水循環系3を介してスプレーノズル9から噴霧する作用は前記第1の参考の形態の除去装置と同様なので、その説明を省略する。噴霧された水のpH値が所定範囲を越えた場合には可溶性ガスの吸収効率が低下するので、このpH値が所定範囲内になるように管理する必要がある。この参考の形態では、pH値の所定範囲の上限値は9.0でありその下限値は4.5とした。尚、pH値の所定範囲の下限値を5.0に設定して、水循環系に流通する水のpH値を厳しく管理することもできる。
pH値が所定範囲外であるとpH検出器21が検出すると、pH制御ユニット23はこの検出値を記録するとともに処理して、この処理された検出値を制御弁調整ユニット25に送信し、制御弁調整ユニット25はこの検出値に基づいて三方弁27の弁プラグの位置を決定した後に弁プラグの位置を制御する。
要するに、pH値が所定範囲を越えると、第2出口ポート39から排出される水の流量(以下、「排水量」と記す。)が多くなるように第2出口ポート39の開度を大きくする。この時、第1出口ポート37から流出し還り管31を流れる水の流量(以下、「還水量」と記す。)は減少する。
排水量は例えば最大L/G=0.03になるように制御する。一方、排水量の増加にともないピット5に供給される水の流量(以下、「給水量」と記す。)も増加する。この給水量の増加により、pH値が設定範囲内に戻ると、第2出口ポート39の開度を小さくし排水量を減らす。例えば、排水量の最低水量としてはL/G=0.01とする。従って、排水量の減少にともない給水量も減少する。
尚、排水は再生して純水製造プラントに戻すこともできる。その場合、排水は還水として再利用できる。このようにして水循環系3中の水のpH値をpH検出器21によって管理するとともに、水排出系19に三方弁27と排出ポンプ29を設けることにより、水排出系19から排出される水を必要最小量にすることができるので、結果的に新しい水の使用量が最小量となりランニングコストを低減することができる。
〔第の実施の形態〕
次に、本発明に係る第の実施の形態の空気中可溶性ガス除去装置を図4を用いて説明する。
本発明に係る第の実施の形態の空気中可溶性ガス除去装置(以下、「除去装置」と記す。)は、水循環系3の水のpH値を変更させる液を注入する液供給系43を有し、三方
弁27と還り管31を有しない点で、この液供給系43を有さず、三方弁27と還り管31を有する第3の参考の形態の除去装置と相違する。
液供給系43は、酸とアルカリが平衡している緩衝液を貯溜する緩衝液タンク45と、この緩衝液タンク45内の緩衝液をピット5に供給する緩衝液ポンプ47と、この緩衝液ポンプ47を経由して緩衝液タンク45とピット5とを連通する配管49、とから構成されている。
配管49の端部はピット5内に開口して配置されている。また、緩衝液ポンプ47はこのポンプ47内の羽根車の回転数を制御するポンプ制御ユニット51に電気的に接続されている。
その他の構成については第3の参考の形態の除去装置と同様なので、同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。次に、除去装置の作用について説明する。
除去装置が作動すると、排水ポンプ29と供給ポンプ7の羽根車は一定の回転数で回転する。ピット5には流量調整器33により所定の水位に常になるように給水される。尚、流量調整器33は、例えば、ボールタップ給水弁等の自動給水弁を使用することができる。
チャンバー1内の水が水循環系3を介してスプレーノズル9から噴霧する作用は第3の参考の形態の除去装置と同様なので、その説明は省略する。噴霧された水のpH値が所定範囲を越えた場合には可溶性ガスの吸収効率が低下するので、このpH値が所定範囲内になるように管理する必要がある。この実施の形態では、pH値の所定範囲の上限値は9.5でありその下限値は4.5とした。尚、pH値の所定範囲の上限値を9.0に設定して、水循環系に流通する水のpH値を厳しく管理することもできる。
pH値が所定範囲外であるとpH検出器21が検出すると、pH制御ユニット23はこの検出値を記録するとともに処理して、この処理された検出値をポンプ制御ユニット51に送信し、ポンプ制御ユニット51はこの検出値に基づいて緩衝液ポンプ47を作動させて、緩衝液タンク45内の緩衝液を配管49を介してピット5に供給する。ピット5内の水のpH値は緩衝液の供給により中性側に改善される。
尚、緩衝液ポンプ47の羽根車の回転数は一定であるが、検出されたpH値に基づいて、緩衝液ポンプ47の羽根車の回転数を制御してもよい。緩衝液の供給によりpH値が所定範囲内に戻ったことをpH検出21が検出したならば、pH制御ユニット23を介したポンプ制御ユニット51が緩衝液ポンプ47の運転を停止させる。
このようにしてピット5に緩衝液を供給する液供給系3を備えることにより、第1の参考の形態の除去装置と同様の効果を得ることができるとともに、水循環系3の水に供給される液は必要最小量で済むとともに、水素イオン濃度を直接変更させるのでpH値が効率的に所定範囲内に変更することができる。
〔第の実施の形態〕
次に、本発明に係る第の実施の形態の空気中可溶性ガス除去装置を図5を用いて説明
する。
本発明に係る第の実施の形態の空気中可溶性ガス除去装置(以下、「除去装置」と記す。)は、アルカリ性液供給系53と酸性液供給系55の2つの液供給系を有する点で、1つの液供給系43を有する第の実施の形態の除去装置と相違する。
アルカリ性液供給系53は、アルカリ性溶液を貯溜するアルカリ性溶液タンク57と、このアルカリ性溶液タンク57内のアルカリ性溶液をピット5に供給する第1ポンプ59と、この第1ポンプ59を経由してアルカリ性溶液タンク57とピット5とを連通する配管61からなり、酸性液供給系55は酸性溶液を貯溜する酸性溶液タンク63と、この酸性溶液タンク63内の酸性溶液をピット5に供給する第2ポンプ65と、配管61から分岐して酸性溶液タンク63とピット5とを連通する枝配管67からなる。
第1ポンプ59と第2ポンプ65はポンプ制御ユニット51に電気的に接続されている。その他の構成については第の実施の形態の除去装置と同様なので、同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
次に、除去装置の作用について説明する。除去装置の初期の作動条件とチャンバー1内の水が水循環系3を介してスプレーノズル9から噴霧する作用は、前記第の実施の形態の除去装置と同様なので、その説明は省略する。
噴霧された水のpH値が所定範囲を越えた場合には可溶性ガスの吸収効率が低下するので、このpH値が所定範囲内になるように管理する必要がある。この実施の形態では、pH値の所定範囲の上限値は9.0でありその下限値は5.0とした。尚、pH値の所定範囲の上限値を9.5にし、下限値を4.5に設定して、水循環系に流通する水のpH値の管理を緩めることもできる。
pH値が所定範囲外、例えば、水循環系3を流通する水が酸性側に偏ったことをpH検出器21が検出すると、pH制御ユニット23はこの検出値を記録するとともに処理して、この処理された検出値をポンプ制御ユニット51に送信し、ポンプ制御ユニット51はこの検出値に基づいて第1ポンプ59を作動させて、アルカリ性溶液タンク57内のアルカリ性溶液を配管61を介してピット5に供給する。ピット5内の水はこのアルカリ性溶液の注入によりpH値が所定範囲に戻される。
尚、第1ポンプ59の羽根車の回転数は一定であるが、検出されたpH値に基づいて、第1ポンプ59の羽根車の回転数を制御してもよい。アルカリ性溶液の注入によりpH値が所定範囲内に戻ったことをpH検出器21が検出したならば、pH制御ユニット23を介したポンプ制御ユニット51が第1ポンプ59の運転を停止させる。
また、水循環系3を流通する水がアルカリ性側に偏った場合は、前述した酸性側に偏った場合に準じて第2ポンプ65を作動させて酸性溶液タンク63内に貯溜する酸性溶液を枝配管67と配管61を介してピット5内に注入すればよいので、その説明は省略する。
このようにしてピット5にアルカリ性溶液又は酸性溶液を供給することにより、第1の参考の形態の除去装置と同様の効果を得ることができる。また、pH検出器21により検出されたpH値に基づいて中性よりも偏りのある側と反対側のアルカリ性溶液又は酸性溶液のいずれかの液をピット5に注入することにより、効果的に水循環系3内に流通する水を所定範囲のpH値に戻すことができる。
〔その他の実施の形態〕
本発明は排水のpH値を検出し、この検出値に基づいて排水の排水量を制御して吸収液のpH値を所定の範囲内にしてもよい。
また、吸収液排出系内を流れる水のpH値を制御するとともに緩衝液の注入量を制御して、吸収液のpH値を所定の範囲内にしてもよい。さらに、吸収液排出系内を流れる水のpH値を制御するとともにアルカリ性溶液又は酸性溶液のいずれかの液の注入量を制御して、吸収液のpH値を所定の範囲内にしてもよい。
本発明の第1の参考の形態における空気中可溶性ガス除去装置の構成図である。 本発明の第2の参考の形態における空気中可溶性ガス除去装置の構成図である。 本発明の第3の参考の形態における空気中可溶性ガス除去装置の構成図である。 本発明の第の実施の形態における空気中可溶性ガス除去装置の構成図である。 本発明の第の実施の形態における空気中可溶性ガス除去装置の構成図である。
符号の説明
1 チャンバー(空気流路)
3 水循環系(吸収液循環系)
15 水供給系(吸収液供給系)
17 制御弁(制御手段)
19 水排出系(吸収液排出系)
21 pH検出器(pH検出手段)
23 pH制御ユニット(制御手段)
25 制御弁調整ユニット(制御手段)
51 ポンプ制御ユニット(制御手段)

Claims (4)

  1. 空気中に含まれる可溶性ガスを気液接触により除去する空気中可溶性ガス除去装置であって、
    (イ)可溶性ガスを含む被処理空気が流通する空気流路と、
    (ロ)吸収液を空気流路に供給し、吸収液と被処理空気とを気液接触させて被処理空気中の可溶性ガスを吸収液中に溶解させ、可溶性ガスが溶在する吸収液を回収して再び空気流路内に供給する吸収液循環系と、
    (ハ)吸収液循環系に新しい吸収液を供給する吸収液供給系と、
    (ニ)吸収液循環系から吸収液を排出する吸収液排出系と、
    (ホ)流通する吸収液のpH値を検出するpH検出手段と、
    (へ)前記pH検出手段により検出されたpH値に基づいて、流通する吸収液のpH値を所定の範囲内にする制御手段と、
    を備え
    被処理空気は屋外からクリーンルームへ給気される外気であり、
    前記吸収液は純水であり、
    前記pH検出手段は、吸収液循環系を流通する吸収液のpH値を検出し、
    前記制御手段は、pH検出手段により検出されたpH値に基づいて、吸収液循環系の吸収液内の水素イオン濃度を変化させる液の供給を制御して吸収液循環系の吸収液のpH値を所定の範囲内にすることを特徴とする空気中可溶性ガス除去装置。
  2. 前記液はアルカリ性溶液と酸性溶液であり、前記制御手段は前記pH検出手段により検出されたpH値に基づいて中性よりも偏りのある側と反対側のアルカリ性溶液又は酸性溶液のいずれかの液を選択し、この選択された液を吸収液循環系の吸収液に供給することを特徴とする請求項に記載の空気中可溶性ガス除去装置。
  3. 前記pH検出手段は、吸収液排出系に三方弁と排出ポンプと還り管を有すると共に吸収液供給系に流量調整器を有することを特徴とする請求項1に記載の空気中可溶性ガス除去装置。
  4. 前記pH値は、4.5〜9.5の範囲下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気中可溶性ガス除去装置。
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