JP2003334416A - 可溶性ガス成分の除去装置及びその運転方法 - Google Patents

可溶性ガス成分の除去装置及びその運転方法

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JP2003334416A
JP2003334416A JP2002141133A JP2002141133A JP2003334416A JP 2003334416 A JP2003334416 A JP 2003334416A JP 2002141133 A JP2002141133 A JP 2002141133A JP 2002141133 A JP2002141133 A JP 2002141133A JP 2003334416 A JP2003334416 A JP 2003334416A
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water
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liquid
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English (en)
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Hitoshi Inaba
仁 稲葉
Yuzo Tanaka
雄造 田中
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Takasago Thermal Engineering Co Ltd
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Takasago Thermal Engineering Co Ltd
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  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Gas Separation By Absorption (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気液接触によって可溶性ガス成分を除去する
にあたり,除去性能を従来より向上させる。 【解決手段】 チャンバ2内に,第1の気液接触部3と
第2の気液接触部4とが直列に配置されている。第1の
気液接触部3と第2の気液接触部4で各々気液接触させ
た後の吸収液は各々ピット5,6によって独立して回収
され,独立した循環系配管31,33によって,対応す
るスプレーノズル11,12に供給される。外部からの
補給水は,電解水製造装置41によって酸性水とアルカ
リ水とに分離され,一方はピット5に,他方はピット6
に補給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,気体中の可溶性ガ
ス成分を除去する除去装置及びその運転方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】気中不純物除去装置は,高い清浄度が要
求されるクリーンルームの外気供給系に使われており,
特許第3179700号において開示されたような装置
がよく知られている。これら気液接触により気中の可溶
性ガス成分を除去する装置では,吸収液中での生物体の
発生によるメンテナンス頻度の増大を抑制するために,
一般に生物体の栄養源となる溶解物質が排除された純水
が補給水として使用されている。そのため気中のガス成
分及び濃度によっては,吸収液のpH値が酸性側あるい
はアルカリ性側への偏りが生じやすく,安定したガス除
去性能が得られないという欠点がある。
【0003】一方,このようなガス除去性能の劣化対策
として,pH調整剤を投入することで吸収液のpH値を
制御する方法(特開平10−309432)や過剰な極
性のイオン成分を選択的に除去することで吸収液のpH
値を制御する方法(特開2000−79319)が提案
され一部で実施されている。そして特開2000−79
319に開示されたpH制御方法は,pH値を全く制御
しない従来方式に比べて,ガス除去性能を10〜30%
も改善できその有効性が確認されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,1つの
除去装置で酸性およびアルカリ性のガスを同時に除去す
る特開2000−79319の方式には除去性能に限界
があり,年間平均除去率が80%までであり,さらなる
向上が望まれるところである。また,気中のガス濃度が
一方の極性の方のみ10倍以上高くなった場合は,最適
なpH値に制御できなくなり,除去性能が70%以下に
低下するという点もあった,さらに,気中可溶性成分が
吸収液に溶解することで,一般水補給時ほどではないが
吸収液中に細菌などの生物体が発生し,吸収液循環配管
系のフィルタの目詰まりを早めてしまう可能性もあり,
この点改善の余地があった。
【0005】本発明は,かかる点に鑑みてなされたもの
であり,年間を通じて例えば80%以上の高い除去性能
を維持し,かつ細菌などの生物体を防止する可溶性ガス
成分の除去装置,並びにその運転方法を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め,本発明の可溶性ガス成の除去装置は,可溶性ガス成
分を含む気体が流通する流路と,前記流路に配置された
第1の気液接触部と,当該第1の気液接触部の下流側に
配置された第2の気液接触部と,第1の気液接触部と第
2の気液接触部で各々気液接触させた後の吸収液を各々
独立して回収して,再び第1の気液接触部と第2の気液
接触部に独立して供給する吸収液の循環系とを有し,外
部から供給する補給水から酸性水とアルカリ水とを生成
し,生成した酸性水を一方の気液接触部の吸収液の循環
系に補給し,生成したアルカリ水を他方の気液接触部の
吸収液の循環系に補給するようにしたことを特徴として
いる。
【0007】かかる構成を有する本発明によれば,外部
から供給する補給水から酸性水とアルカリ水とを生成
し,生成した酸性水を一方の気液接触部の吸収液の循環
系に補給し,生成したアルカリ水を他方の気液接触部の
吸収液の循環系に補給するようにしたので,例えば第1
の気液接触部の循環系にアルカリ水を補給し,第2の気
液接触部の循環系に酸性水を補給すると,上流側では気
中の酸性成分のガスを高効率で除去でき,下流側ではア
ルカリ性のガスを高効率で除去できる。したがって,例
えば年間を通じて例えば80%以上の高い除去性能を維
持することも可能である。
【0008】しかも各気液接触部内で循環する吸収液の
pH値は,それぞれpH8以上,pH5以下に常に維持
することもできるから,多くの生物体の繁殖域であるp
H5〜8にはならず,したがって生物体発生の発生を防
止できる。その結果メンテナンス頻度の上昇も抑えるこ
とができる。また,従来のように,コストのかかる純水
の製造も必要ないので,運転コストの大幅な削減も可能
である。
【0009】前記補給水からの酸性水とアルカリ水の生
成は,電気分解を利用した電解水製造装置(例えば,出
願人が先に開示した特開2001−104739)で行
われてもよく,またイオン交換カートリッジを用いても
よい。その場合,前記補給水の導入経路を分割して,一
方はアニオンのみを除去するイオン交換カートリッジに
通水させ,他方はカチオンのみを除去するイオン交換カ
ートリッジに通水させて,酸性水とアルカリ水が生成さ
れるようにしてもよい。またアニオンのみを除去するイ
オン交換カートリッジの下流側と,カチオンのみを除去
するイオン交換カートリッジの下流側に,各々pHセン
サを配置すれば,イオン交換カートリッジの寿命を事前
に知ることができる。
【0010】前記した発明は,補給水から酸性水とアル
カリ水を生成していたが,第1の気液接触部と第2の気
液接触部で各々気液接触させた後の吸収液を一緒に回収
し,回収した吸収液から酸性水とアルカリ水を生成し
て,生成した酸性水を一方の気液接触部に供給し,生成
したアルカリ水を他方の気液接触部に供給する吸収液の
循環系を有する構成としてもよい。
【0011】この場合には,外部から補給水を補給する
必要はなく,全て吸収液を回収した循環系でまかなうこ
とができ,装置や配管系を簡素化することができ,しか
もポンプなどの機器数を必要最小限に抑えることができ
る。この場合も回収した吸収液からの酸性水とアルカリ
水の生成は,電気分解を利用した電解水製造装置で行っ
てもよい。
【0012】本発明で使用される吸収液は,水が適して
いるが,水の中でも市水,井水,工水,中水などの一般
水はイオン成分が純水よりはるかに高濃度であり,原水
中の両極性のイオン(正イオン=カチオンと負イオン=
アニオン)を,カチオン成分だけの水とアニオン成分だ
けの水,あるいはカチオン成分がリッチな水とアニオン
成分がリッチな水に分離して,酸性水(アニオン過剰の
水)とアルカリ水(カチオン過剰の水)を製造すること
が容易である。したがって,吸収液となる補給水には,
これら一般水や,純水を製造する際に排出される濃縮イ
オン水を用いることが適しており,またコスト面でも有
利である。
【0013】ところで,電解水製造装置を使用する場
合,電界印加極性を同じままで長期間使用すると,片方
の電極側あるいは膜側にスケールが蓄積し,これが絶縁
抵抗体となり次第に電解水製造能力が低下するという不
具合が発生する。したがって,電解水製造装置での極性
を適当な時間的な間隔で変更する,すなわち電界印加極
性を逆転させれば,そのような不具合を防止することが
できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に,本発明の好ましい実施の
形態を図面に基いて説明する。図1は,第1の実施の形
態にかかる除去装置1の構成の概略を示している。この
除去装置1は,クリーンルーム(図示せず)の外気導入
系に設置した例である。
【0015】この除去装置1は,空気の流路を構成する
チャンバ2内に,処理空気の流れと直角方向に配置され
た上流側の第1の気液接触部3と,第2の気液接触部4
とを有している。第1の気液接触部3,第2の気液接触
部4は,所定の気液接触効率が得られるものであれば特
に構造等は限定されない。本実施の形態では,水加湿器
として従来から使用されている親水性素材から構成され
るハニカム構造体が用いられている。
【0016】第1の気液接触部3の上方にはスプレーノ
ズル11が,第2の気液接触部4の上方にはスプレーノ
ズル12が各々配置され,各ノズルに供給される吸収液
を各々の対応する気液接触部の上部に対して噴霧するよ
うになっている。
【0017】チャンバ2内における第1の気液接触部
3,第2の気液接触部4の下方には,第1の気液接触部
3,第2の気液接触部4から落下する吸収液を各々受水
して回収するためのタンクとしてピット5,6が設けら
れている。本実施の形態では,単一のピットを仕切板7
で仕切って,第1の気液接触部3,第2の気液接触部4
から落下する吸収液を独立して回収するようになってい
る。
【0018】ピット5の底部には排水管21が接続さ
れ,ポンプ22によって排水される。排水量はバルブ2
3によって制御される。ピット6の底部にも排水管24
が接続され,ポンプ25によって排水される。排水量は
バルブ26によって制御される。ピット5,6からの排
水は,通常連続排水される。排水量は,処理する空気中
の不純物濃度範囲によって決定され,通常,処理空気質
量に対して1/1000〜1/50の範囲で設定され
る。
【0019】排水管21におけるバルブ23の上流側に
は,循環系配管33が接続され,バルブ34を開放し
て,ピット5からの排水をスプレーノズル11に対して
供給できるようになっている。これによって第1の気液
接触部3の吸収液の循環系が構成される。排水管24に
おけるバルブ26の上流側には,循環系配管31が接続
され,バルブ32を開放して,ピット6からの排水をス
プレーノズル12に対して供給できるようになってい
る。これによって第2の気液接触部34吸収液の循環系
が構成される。スプレーノズル11,12からの噴霧水
量は,前記バルブ34,32で各々所定流量に調整され
る。
【0020】循環系配管31,33を通じて循環する循
環水量は,第1の気液接触部3,第2の気液接触部4の
構造等によって異なり,通常,処理空気質量に対して1
/100〜1.5の範囲で設定される。そしスプレーノ
ズル11,12からの噴霧によって第1の気液接触部
3,第2の気液接触部4の上部に循環水は給水され,常
に第1の気液接触部3,第2の気液接触部4において濡
れ面を維持すると共に,ガスを吸収した循環水(すなわ
ち,吸収液)はピット5,6に各々独立して回収され
る。
【0021】なお循環水の気液接触部への給水方法は,
前記したように第1の気液接触部3,第2の気液接触部
4の上部に配置したスプレーノズル11,12からの噴
霧による方法に限らず,例えば第1の気液接触部3,第
2の気液接触部4の上部に循環水を滴下するように適宜
の給水管を第1の気液接触部3,第2の気液接触部4の
上部に設けてもよく,その他,例えば第1の気液接触部
3,第2の気液接触部4の各上流側にスプレーノズルを
配置して,第1の気液接触部3,第2の気液接触部の各
上流側の面に対して噴霧するようにしてもよい。また各
気液接触部の下流側にスプレーノズルを配置して気流と
対向して噴霧し,各気液接触部の下流側を濡らしてもよ
い。
【0022】ピット5,6への補給水は,電解水製造装
置41で製造されたイオン水が充てられる。すなわち,
ピット5には,電解水製造装置41で製造されたアルカ
リ性イオン(カチオン)が選択的に濃縮されたアルカリ
水が,補給管42を通じて供給され,ピット6には逆の
酸性イオン成分(アニオン)が選択的に濃縮された酸性
水が,補給管43を通じて供給される。
【0023】そのような補給水の供給は,各ピット5,
6の水位が常に一定となるように自動給水される。本実
施の形態では,ピット5,6内に各々設置されたフロー
ト44,45を利用したバルブ(ボールタップ)によっ
て補給管42,43からの供給が制御されている。もち
ろんピット内の水位に基づいて適宜の流量制御できるも
のであれば,かかる機構に限られない。補給水量は,排
水量+気液接触処理時の蒸発分である。
【0024】電解水製造装置41に供給される補給水と
しては,市水や井水,工水,中水(排水を浄化処理した
水)又は,純水プラントにおいて純水を製造する時に排
水される濃縮イオン水など,容易にかつ安価に入手でき
る水を用いる。本実施の形態では市水(上水)を用いて
いる。
【0025】第1の実施の形態にかかる除去装置1は,
以上の構成を有しており,次にその作用について説明す
ると,まずポンプ22を作動させてピット5内の循環水
をスプレーノズル11に供給し,上流側に位置する第1
の気液接触部3に噴霧し,またポンプ25を作動させて
ピット6内の循環水をスプレーノズル12に供給し,下
流側に位置する第2の気液接触部4に噴霧させる。これ
によって,上流側の第1の気液接触部3においては,そ
の表面がカチオン成分リッチなアルカリ水によって濡れ
た状態となっており,一方,下流側の第2の気液接触部
4においては,その表面がアニオン成分リッチな酸性水
によって濡れた状態となっている。
【0026】そして処理空気が第1の気液接触部3を通
過する際に,処理空気中の酸性ガス成分は高効率で除去
される。ただしこの段階では,アルカリ性ガス成分はあ
まり除去されない。次いで処理空気が第2の気液接触部
4を通過する際に,処理空気中のアルカリ性ガス成分は
高効率で除去される。このような2段の処理により,処
理空気中の酸性及びアルカリ性ガス共に,高効率に除去
された清浄な空気が生成されクリーンルームに清浄な新
鮮空気として給気されるのである。
【0027】次に,前記除去装置1の連続運転時におけ
る電解水製造装置41のメンテナンス軽減手段について
説明する。電解水製造装置41の電界印加極性を同じま
まで長期間使用すると,片方の電極側あるいは膜側にス
ケールが蓄積し,これが絶縁抵抗体となり次第に電解水
製造能力が低下するという不具合が発生する。このよう
な劣化の防止手段として,例えば電界印加極性をある時
間的な間隔で逆転させる方法が提案できる。すなわち,
電解水製造装置41における極性を適宜間隔で逆転さ
せ,ピット5にはアニオン成分リッチな酸性水を供給
し,ピット6にはカチオン成分リッチなアルカリ性水を
供給するのである。
【0028】極性を変える時間的な間隔は,印加電圧と
補給水の水質に大きく依存する。スケール成分の多い井
水などでは2日以内,スケール成分の少ない雨水では2
週間以内,といったように,水の種類に応じた最適値を
選択する。なお,極性が変わった直後は一時的に,酸性
側およびアルカリ性側共に中性域となり,除去性能は従
来技術並になるが,10〜数十分程度の時間であれば特
に大きな問題とはならない。
【0029】次に,酸性及びアルカリ性ガス濃度を所定
の濃度に調整した空気を実際に処理したときの除去性能
結果を,図2に示したpH制御機能付きの除去装置10
1の結果と共に図3の表に示す。
【0030】図2の除去装置101は発明者が開発し実
用化したものであり,チャンバ22内には,気液接触部
103が配置され,その下方にピット104が設けられ
ている。ピット104の回収水は一部は排水管105に
よって排水され,一部は循環系配管106を通じてポン
プ107によってスプレーノズル108に供給される。
補給水は補給管109によって循環系配管106に補給
される。循環系配管106には,pH調整用の配管11
0,111が並列に配管されており,配管110には,
カチオン用イオン交換カートリッジ112が設けられて
いる。配管111には,アニオン用イオン交換カートリ
ッジ113が設けられている。ピット104には,回収
した水のpHを測定するpHセンサ114が設けられ,
その測定値に基づいて,補給管109のバルブ121,
配管110のバルブ122,配管111のバルブ123
の開閉を,pH制御ユニットがコントロールするように
なっている。すなわち,ピット104内の回収水がアル
カリ性に偏った場合には,配管110のバルブ122を
閉鎖して配管111のバルブを開放してアニオン成分リ
ッチな酸性水をスプレーノズル108に供給して,アル
カリ成分の除去性能の低下を補償するように構成された
ものである。
【0031】なお本実施の形態にかかる除去装置1と図
2の除去装置1との評価比較においては,アルカリ性ガ
スとしてアンモニアガス(NH),酸性ガスとして二
酸化硫黄ガス(SO)を上流空気中に所定量添加し
て,対象処理空気としている。
【0032】図3の表からわかるように,図2の従前の
技術でのアルカリ性ガス及び酸性ガスの除去率に対し
て,本実施例での除去率が飛躍的に改善していることが
実証された。アルカリ性ガスにおいては80.7%から
93.3%と約13%改善,酸性ガスにおいては70%
から92.5%と約23%も改善した。本実施の形態で
の,各気液接触分での除去率を見ると,期待される結果
が得られている。つまり,アルカリ水が補給されている
上流側(第1の気液接触部3)においては酸性ガスの除
去率が,酸性水が給水されている下流側(第2の気液接
触部4)においては,アルカリ性ガスの除去率がそれぞ
れ極めて高くなっている。
【0033】1ヶ月の長期連続運転により,細菌類の発
生状況を評価した結果,実施の形態にかかる除去装置1
では,循環水中の菌数が常時103個/cc以下であっ
た。また循環水系内の目視評価でも,ピット内壁面上な
どに「ぬめり」等は全く確認されなかった。一方,図2
に示した除去装置101においては,一般水を補給水に
使用した場合は,水中の菌数は104〜105個/c
c,「ぬめり」も1週間ほどで確認できるほどに蓄積す
ることが知見できた。このように,防菌に対しても本発
明の技術の有効性が確認できた。
【0034】次に第2の実施の形態にかかる除去装置を
図4に基づいて説明する。この第2の実施の形態にかか
る除去装置51は,チャンバ2内において第1の気液接
触部3,第2の気液接触部4の下方に設置する回収用の
ピット52を単一のものとし,排水管53も1つの系統
として,排水管53の吸い込み口となる開口面53をピ
ット52内の所定位置に設定して,これによってピット
52内の水位が一定となるように制御される。そして排
水管53とは別に,ピット52と電解水製造装置41と
の間には,配管54が接続されている。そしてこの配管
54に補給水を補給する補給管55が接続されている。
電解水製造装置41にはポンプ56によってピット52
内の回収水が送られる。
【0035】そして電解水製造装置41の出口側には,
陽極側,陰極側に各々独立した供給管57,58が接続
され,供給管57から供給されるカチオン成分リッチな
アルカリ性水は,スプレーノズル59を介して,上流側
に位置する第1の気液接触部3の上流側面に対して噴霧
される。一方,供給管58から供給されるアニオン成分
リッチな酸性水は,スプレーノズル60を介して,下流
側に位置する第2の気液接触部4の上流側面に対して噴
霧されるようになっている。したがって,この除去装置
51では,循環系に電解水製造装置41が介在した構成
を有し,かつ補給水を電解水製造装置41の上流側に導
入することで,循環水と補給水を同時に処理するように
なっている。なお配管54にはバルブ61が設けられ,
補給管55にはバルブ62が設けられている。
【0036】この第2の実施の形態にかかる除去装置5
1においても,先の実施の形態にかかる除去装置1と同
様,処理空気が第1の気液接触部3を通過する際に,処
理空気中の酸性ガス成分は高効率で除去され,次いで処
理空気が第2の気液接触部4を通過する際に,処理空気
中のアルカリ性ガス成分は高効率で除去される。そして
第2の実施の形態にかかる除去装置51によれば,電解
水製造装置41を循環配管系に設けたので,ポンプを1
台に,給水配管を1箇所に削減することができ,さらに
また循環配管も簡素化できる。
【0037】この第2の実施の形態にかかる除去装置5
1においても,第1の実施の形態にかかる除去装置1と
同様,電解水製造装置41の極性を変えて運転すること
も可能であるが,極性を変化させた後の性能について
は,第1の実施の形態にかかる除去装置1よりも優れて
いる。すなわち第2の実施の形態にかかる除去装置51
では,電解水製造装置41の極性を変えた直後から噴霧
水のpH値はアルカリ水から酸性水に,酸性水からアル
カリ水に変わるので,ほんの数分で第1の気液接触部
3,第2の気液接触部4におけるガス除去部のpH値も
追従する。したがって,この点において,第1の実施の
形態にかかる除去装置1よりも短時間で所期の除去効率
を達成できる。
【0038】次に第3の実施の形態にかかる除去装置を
図5に基づいて説明する。この第3の実施の形態にかか
る除去装置71は,アルカリ水および酸性水の製造方法
が先の実施の形態の除去装置1,51とは異なってい
る。すなわちこの第3の実施の形態にかかる除去装置7
1では,ピット5に補給水を供給する補給管42にpH
センサ72とその上流側にアニオン除去用イオン交換カ
ートリッジ73を設け,ピット6に補給水を供給する補
給管43にpHセンサ74とその上流側にカチオン除去
用イオン交換カートリッジ75を設けている。そして各
pHセンサ72,74からの測定値は,pH監視装置7
6に出力される。
【0039】かかる構成の第3の実施の形態にかかる除
去装置71によれば,アニオン除去用イオン交換カート
リッジ73,カチオン除去用イオン交換カートリッジ7
5を通過することで,それぞれアルカリ水と酸性水を得
ることができ,前記した核実施の形態と同様,第1の気
液接触部3で酸性ガス成分を除去し,次段の第2の気液
接触部4でアルカリ性ガス成分を除去することができ
る。また電解水製造装置を用いていないので,同極性の
連続使用に起因する問題等も生じない。なお循環水およ
び排水等の運転条件,および補給水水質は先の実施の形
態と同様である。
【0040】ただし,イオン交換カートリッジの寿命に
よる交換が必要となるが,第3の実施の形態にかかる除
去装置71では,個々のカートリッジ下流の処理水のp
H値pHセンサ72,74によって測定しており,その
結果がpH監視装置76で確認できる。したがって,例
えば,アニオン除去用イオン交換カートリッジ73の下
流では,寿命前の処理水pH値は8〜9以上であること
から,例えばpH値が8.5以下になった場合に交換警
報を発報するようにしておけば,事前にカートリッジの
交換時期を知ることができ,常に所定のアルカリ水を得
ることができる。他方,カチオン除去用カートリッジ7
5についても,例えば,pH値が5以上になった場合に
交換警報を発報するように設定しておけば,常に所定の
酸性水を得ることができる。
【0041】なお発明者らが第3の実施の形態にかかる
除去装置71を使用してガス除去性能を検証したとこ
ろ,NHガスでは94%,SOガスでは93.5%
の除去性能が得られた。このように,第1の実施の形態
にかかる除去装置1よりもさらに除去性能が向上した理
由は,イオン交換カートリッジにより得られるアルカリ
水および酸性水のpH値が,各々第1の実施の形態にか
かる除去装置1より,強アルカリ水側および強酸性側に
なるためである。
【0042】次に,図2に示したpH制御機能のある除
去装置101とのコスト比較結果(試算結果)を表2に
示す。平均的なLSI量産工場(クリーンルーム面積1
0000m)の外気処理系に適用した場合を仮定して
試算した。この場合処理風量を300000m/h,
原水費には使用後の排水を原水レベルまで再生する費用
だけを考慮して50円/mとした。現在,多くの工場
では水はリサイクル率80〜90%になっているためこ
のように安価で済む。
【0043】イニシャルコストは,第1の実施の形態に
かかる除去装置1ではpH制御が不要な分,減額する
が,気液接触部を2倍およびポンプが2台となる分増額
となり合計では若干高くなる。一方,第3の実施の形態
にかかる除去装置71では,第1の実施の形態にかかる
除去装置1以上に高くなる。
【0044】一方,ランニングコストについてみれば,
両者とも大幅に削減でき,電解水製造装置41を利用し
た第1の実施の形態にかかる除去装置1では1/6,カ
ートリッジ法を利用した第3の実施の形態にかかる除去
装置71では1/3のランニングコストになる。従っ
て,イニシャルコスト増額分は,第1の実施の形態にか
かる除去装置1では半年,第3の実施の形態にかかる除
去装置71でも1年半で償却できることになる。
【0045】さらに,このランニングコスト差の大部分
は純水製造に関するものであり,純水製造には多くの電
力を要することから,本発明を用いれば,二酸化炭素の
大幅な削減にもなり,環境保全に対しても貢献できるも
のである。
【0046】なお前記各実施の形態はいずれも,第1の
気液接触部3,第2の気液接触部4を空気流路を構成す
るチャンバ内で直列二段に配置したものであったが,本
発明では,気液接触部を3段以上設置してもよく,少な
くとも2段が各々アルカリ性ガス除去,酸性ガス除去と
して機能していれば,付加する気液接触部はいずれの機
能を採用しても良く,したがって付加する当該気液接触
部に補給する補給水の水質は特に限定する必然性はな
い。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば,可溶性の酸性ガス成分
およびアルカリ性ガス成分の除去性能を従来より改善す
ることができる。しかも生物体の発生を防止して,その
分清掃等のメンテナンス頻度の大幅な削減が達成でき
る。さらに補給水として一般水が使用でき,大幅なコス
ト削減および省エネが達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる除去装置の
構成の概略を示す説明図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる除去装置との効果を
比較するための除去装置の構成の概略を示す説明図であ
る。
【図3】第1の実施の形態にかかる除去装置と図2の除
去装置との除去効率を比較した結果を示す図表である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる除去装置の
構成の概略を示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる除去装置の
構成の概略を示す説明図である。
【図6】本発明の除去装置と図2の除去装置とのコスト
を比較した図表である。
【符号の説明】
1,51,71 除去装置 2 チャンバ 3 第1の気液接触部 4 第2の気液接触部 5,6 ピット 11,12 スプレーノズル 21,24 排水管 22,25 ポンプ 31,33 循環系配管 41 電解水製造装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D020 AA06 AA10 BA23 BA30 BB03 BC03 CB08 CB25 CC02 CC30 DA02 DB08 4D025 AA01 AA04 AA10 BA24 CA03 4D061 DA01 DA10 DB07 EA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体中に含まれる可溶性ガス成分を,吸
    収液との気液接触によって除去する装置であって,可溶
    性ガス成分を含む気体が流通する流路と,前記流路に配
    置された第1の気液接触部と,当該第1の気液接触部の
    下流側に配置された第2の気液接触部と,第1の気液接
    触部と第2の気液接触部で各々気液接触させた後の吸収
    液を各々独立して回収して,再び第1の気液接触部と第
    2の気液接触部に独立して供給する吸収液の循環系とを
    有し,外部から供給する補給水から酸性水とアルカリ水
    とを生成し,生成した酸性水を一方の気液接触部の吸収
    液の循環系に補給し,生成したアルカリ水を他方の気液
    接触部の吸収液の循環系に補給するようにしたことを特
    徴とする,可溶性ガス成分の除去装置。
  2. 【請求項2】 前記補給水からの酸性水とアルカリ水の
    生成は,電気分解を利用した電解水製造装置で行われる
    ことを特徴とする,請求項1に記載の可溶性ガス成分の
    除去装置。
  3. 【請求項3】 前記補給水からの酸性水とアルカリ水の
    生成はイオン交換カートリッジを用いて行われることを
    特徴とする,請求項1に記載の可溶性ガス成分の除去装
    置。
  4. 【請求項4】 前記補給水の導入経路を分割して一方
    は,アニオンのみを除去するイオン交換カートリッジに
    通水させ,他方はカチオンのみを除去するイオン交換カ
    ートリッジに通水させて,酸性水とアルカリ水が生成さ
    れるように構成されたことを特徴とする,請求項3に記
    載の可溶性ガス成分の除去装置。
  5. 【請求項5】 アニオンのみを除去するイオン交換カー
    トリッジの下流側と,カチオンのみを除去するイオン交
    換カートリッジの下流側に,各々pHセンサを有するこ
    とを特徴とする,請求項4に記載の可溶性ガス成分の除
    去装置。
  6. 【請求項6】 気体中に含まれる可溶性ガス成分を,吸
    収液との気液接触によって除去する装置であって,可溶
    性ガス成分を含む気体が流通する流路と,前記流路に配
    置された第1の気液接触部と,当該第1の気液接触部の
    下流側に配置された第2の気液接触部と,第1の気液接
    触部と第2の気液接触部で各々気液接触させた後の吸収
    液を一緒に回収し,回収した吸収液から酸性水とアルカ
    リ水を生成して,生成した酸性水を一方の気液接触部に
    供給し,生成したアルカリ水を他方の気液接触部に供給
    する吸収液の循環系を有することを特徴とする,可溶性
    ガス成分の除去装置。
  7. 【請求項7】 前記回収した吸収液からの酸性水とアル
    カリ水の生成は,電気分解を利用した電解水製造装置で
    行われることを特徴とする,請求項6に記載の可溶性ガ
    ス成分の除去装置。
  8. 【請求項8】 前記補給水は,市水,井水,工水,中
    水,又は純水を製造する際に排出される濃縮イオン水で
    あることを特徴とする,請求項1,2,3,4又は5の
    いずれかに記載の可溶性ガス成分の除去装置。
  9. 【請求項9】 請求項2又は7の可溶性ガス成分の除去
    装置を用いて気体中に含まれる可溶性ガス成分を除去す
    るにあたり,電解水製造装置での極性を所定の時間ごと
    に変更することを特徴とする,可溶性ガス成分の除去装
    置の運転方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007155144A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Sanyo Electric Co Ltd 貯蔵庫
JP2008104907A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Shimizu Corp 湿式空気浄化システムの制御方法
JP2011104531A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Japan Organo Co Ltd 空気の浄化装置
CN102216217B (zh) * 2008-11-20 2015-12-02 卢尔吉有限公司 从包含nh3和酸性气体的混合物中获得nh3的方法和装置
JP2017035275A (ja) * 2015-08-10 2017-02-16 株式会社クボタ 空気清浄装置

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