JP4084673B2 - 電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、イオン伝導性薄膜を備える電解コンデンサに関するものである。さらに詳しくは、基体上に設けた化学吸着膜が、特定の結合若しくは官能基とイオンを含み、かつイオン伝導性を有するイオン伝導性薄膜を備える電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン伝導性とは、イオンが電荷担体となって大きな電気伝導度をもつことをいう。特に一般的には、食塩水や希硫酸と同程度以上の導電率を有する場合を指す。
【0003】
イオン伝導性を示す典型的な物質は、電解質を液体に溶かした溶液であり、電気化学反応を利用した素子、例えば電池、電解コンデンサ等に広く利用されている。電荷担体の種類により、陽イオン伝導体と陰イオン伝導体とに分けられ、前者は、アルカリ、銀、銅の各イオンおよびプロトン伝導体が、また後者はフッ化物および酸化物イオン伝導体が主である。
【0004】
一方、固体で高いイオン伝導性を有する物質は、大きく分けて二つに分類できる。一つは、無機の固体電解質と呼ばれる一群で、例えばNa−β−Al2O3やNa1+nZr2P3-nSinO12(0≦n≦3)等が良好なイオン伝導性を有することをジャーナル オブ ケミカル フィジックス第54巻414ページ(M. S. Whttingham et. al., J. Chem. Phys., 54, 414 (1971))に報告されている。また、上記の伝導体が特開平3−297068号公報にある全固体二次電池や特開昭55−123920号公報にある燃焼表示装置等に既に応用されている。
【0005】
もう一つは有機高分子にイオン性添加物を分散させたもので、例えばポリエチレンオキサイド(以下PEOと略記)やポリプロピレンオキサイド(以下PPOと略記)のようなポリエーテルと種種のアルカリ金属塩とからなる錯体がファスト イオン トランスポート イン ソリッドの131ページ(P. Vashista et al., Fast Ion Transport in Solids, 131, North-Holland, New York (1979) )に、またポリアクリロニトリルとLiClO4およびエチレンカルボネートとの複合膜がジャーナル オブ ポリマー サイエンス(J. Polym. Sci., A2, 21, 939 (1983))等に報告されている。これらの系では、有機高分子特有の粘弾性、柔軟性を有しており、そのため電極とのイオン電子交換過程で生じる体積変化に適応できることが確認されている。また、加工性も良好であり、さらに保存安定性も良好であるので、現在既に様々に応用されている。しかし例えば、特開平3−231229号公報にある電気化学発色素子等に応用されているが、実用素子に至るにはイオン伝導度が小さく、特開平3−129603号公報にある固体電解質のように、無機の固体電解質と複合させたり、特開昭63−164176号公報にある有機二次電池のように、電解質溶液を架橋高分子フィルムに含浸させてイオン伝導度を向上させている。
【0006】
上記のようなイオン伝導度が小さな物質でも、薄膜化できれば抵抗値を下げることは容易に判断できる。従来、キャスティング法により薄膜化を行なっていたのが一般的であったが、最近特開平2−262267号公報にある薄膜イオン伝導性被膜のようにRFスパッタリング法によって薄膜を形成するものや、プラズマ重合により薄膜を形成する方法(Z. Ogumi et al., Chem. Lett., 1988, 1811(1988))が試みられている。しかし、これらの方法によって形成された薄膜の厚さは、μmオーダーが限界であり、それ以上薄くするとピンホールが発生する。なおこの点は、無機の固体電解質では合成温度が高く、薄膜形成中にアルカリ金属酸化物が蒸発し組成制御が困難であること等から、やはり薄膜化は困難であった。
【0007】
以上の通り、現在のところイオン伝導性を有するオングストロームオーダーの厚さの薄膜は報告例がない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電解質溶液は、水若しくは有機溶媒に電解質を溶解させた溶液であり、そのため液体状であるがための問題が多かった。
【0009】
例えば、収容する容器が不可欠であるため、小型化、簡素化が困難であった。また、その容器に収容しても漏液防止の対策が必要であった。さらに、腐食性が高く、耐久性にも問題があった。
【0010】
また、前記欠点が多少なりとも改善されている従来の固体電解質においては、特殊な結晶構造が必要であり、加工が困難であるという点と、機械的強度が著しく弱いという点が致命的問題であった。
【0011】
そして、有機高分子にイオン性添加物を分散させたものでは、前記欠点は全てと言ってよい位解消されたが、イオン伝導度が現在のレベルでは小さいという最大の欠点があった。特に、この系のイオン伝導度は、温度依存性が高く、例えばPEOに金属イオンを分散させた系では、80℃において約10-3S/mという良好なイオン伝導性を示すものの、室温付近では著しく低下してしまっていた。そのため広い温度範囲でも使用可能な汎用性のある機器に組み込むことは困難であった。
【0012】
しかし、前記した通り、イオン伝導度が小さな物質でも薄膜化できれば抵抗値を下げることができるので、薄膜化が盛んに検討されている。現在の手法によればμmオーダーが限界であり、それ以上薄くするとピンホールが発生してしまいイオン伝導が得られなくなる。
【0013】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、オングストロームオーダーの厚さの成膜および膜厚制御が可能で、そのため透明性が良好でかつピンホールフリー、しかも強固に基体と結合しているイオン伝導性薄膜を備える電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の電界コンデンサは、基体、下部電極、イオン伝導性の薄膜、および上部電極をこの順に備える電解コンデンサであって、前記薄膜は、前記アルミニウムからなる下部電極の表面と共有結合されており、エーテル結合を含み、かつ一般式(化1)及び一般式(化2)から選ばれる少なくとも一つのイオンを含むことを特徴とする。
(化1)
Mn+
(但し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、Cu、Ag、Zn、Pb、Hg、H若しくは4級アンモニウム、n=1または2)
(化2)
X-
(但し、Xはハロゲン、CF3SO3、ClO4、F4、PF6、SCN若しくはAsF6)
【0020】
前記構成においては、前記イオン伝導性薄膜が、単分子累積膜であることが好ましい。
【0021】
【作用】
前記した本発明の構成によれば、オングストロームオーダーの厚さの成膜および膜厚制御が可能で、そのため透明性が良好でかつピンホールフリー、しかも強固に基体と結合しているイオン伝導性薄膜とすることができる。すなわち、本発明によれば、イオン伝導性を有するエーテル結合しているために、極薄でかつイオン伝導性に優れたものとなる。さらに、透明性、耐久性の保持は勿論、基体に損傷を与えることなく優れたイオン伝導性を付与できる。
【0022】
また、イオン伝導性薄膜が単分子膜または単分子累積膜であると、膜厚が均一なものとすることができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0025】
本発明のイオン伝導性薄膜は、基体に直接若しくは内層膜を介して間接的に共有結合により強固に固定されており、また原理的にオングストロームオーダーの成膜および膜厚制御が可能で、そのため透明性が良好でかつピンホールフリーなイオン伝導性薄膜になる。
【0026】
ところで、オングストロームオーダーの成膜および膜厚制御が可能である薄膜としては、現在ラングミュア・ブロジェット(LB)法および化学吸着法の2方法から作成される膜が有力である。但し、イオン伝導に関する本発明の基本的考えは、膜構成分子自身は動かずに膜構成分子のセグメント運動によりイオンが動き、電荷が運ばれるというものであるため、膜が強固に基体に固定されていることが必要になってくる。そのためには、基体と共有結合により固定されているという化学吸着法によって作成された膜の方が適当であると言える。
【0027】
なお、化学吸着法の基本的技術は、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティー第102巻92ページ(J. Sagiv, J. Am. Chm. Soc., 102, 92 (1980))およびラングミュアー第6巻851ページ(K. Ogawa et al., Langmuir, 6, 851 (1990))等に掲載されている。この化学吸着法は、クロロシリル基を有する化学吸着剤と呼ばれる分子を、その表面に水酸基を有する基体上に脱塩化水素反応を経て固定させる方法である。
【0028】
化学吸着剤としては、下記式(化11)で示される官能基、下記式(化12)で示される官能基、下記式(化13)で示されるハロゲン化スルフォニル基、下記式(化14)で示されるハロゲン化スルフィニル基、またはシアノ基(−CN)から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する分子がなり得るが、これらに限定されない。但し、ここで言うハロゲンはCl、Br若しくはIが挙げられるが、反応性の点ではClが好ましいが、BrやIであっても同様の化学吸着膜を得られる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0029】
前記の化学吸着膜を固定する先の基体としては、その表面に、水酸基、カルボキシル基、スルフィン酸基、スルフォン酸基、リン酸基、亜リン酸基、第四級アンモニウム基、第四級ホスフォニウム基、チオール基、アミノ基から選ばれる少なくとも1つの官能基および/若しくは水酸基、カルボキシル基、スルフィン酸基、スルフォン酸基、リン酸基、亜リン酸基、第四級アンモニウム基、第四級ホスフォニウム基、チオール基、アミノ基から選ばれる少なくとも1つの官能基のHがアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属で置換された官能基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有するもの、および前記した官能基を有する基体上に既に固定され、かつ前記した官能基を膜上に有している化学吸着膜が挙げられるが、これらに限定されないことは勿論である。
【0030】
基体表面に前記した官能基がないか、若しくは少ない場合にはUV/オゾン処理、酸素プラズマ処理、過マンガン酸カリウム液等の化合物酸化剤処理等を行って表面改質を施し、前記官能基を作り出すか若しくは増加させると効果的である。また、前記化学吸着膜を前記基体に固定させる方法として、液体状および/若しくは気体状の前記化学吸着剤若しくは前記化学吸着剤を溶解させた溶液に基体を接触させる方法が挙げられるが、これらに限定されないことは勿論である。
【0031】
ここで溶液として供する場合、用いる溶媒としては、活性な水素が含まれていない分子から成るのが適当である。例えば、化学吸着剤が長鎖のアルキル基を有する場合には、炭化水素類とハロゲン化炭素類等の混合溶媒を、カルボニル基を有する場合には、ハロゲン化炭化水素類や芳香族類等を用いるのが適当であるが、これらに限定されないことは勿論である。
【0032】
化学吸着膜を基体上に固定させた後には、未反応の分子を除去するという工程を加える方が単分子膜および単分子累積膜を作成し易いので好ましい。その洗浄除去の際用いる溶媒としては、非プロトン系溶媒が好ましい。例えば、ハロゲン化炭素類、エーテル類、ラクトン類、エステル類、ニトリル類、アミド類等が挙げられるが、これらに限定されないことは勿論である。
【0033】
イオン伝導性化学吸着膜のイオンを導入する前までの製造工程の種類としては、基本的に3つの方法がある。
【0034】
その1つは、エーテル結合を有する化学吸着剤をはじめから用いて化学吸着膜を形成する方法で、次の1つの方法は、まず化学吸着膜を形成し、その化学吸着膜表面上に化学反応によりエーテル結合を有する分子を固定するという方法で、もう1つの方法は、まず化学吸着膜を形成し、その化学吸着膜上で化学反応を起こし、エーテル結合を作り出すという方法である。
【0035】
前記の方法により形成された化学吸着膜内に導入するイオンとしては、前記式(化1)若しくは前記式(化2)で示されるイオンが挙げられるが、これらに限られないことは勿論である。
【0036】
また、前記イオンの導入方法については、化学吸着膜を有する基体を前記イオンを含む溶液に浸漬させる方法、若しくはイオン注入法が適当であるが、これらに限られないことは勿論である。
【0037】
前記イオンの導入方法について、化学吸着膜を有する基体を前記イオンを含む溶液に浸漬させる方法を用いた場合には、前記イオンはLiI、CF3SO3Li、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiSCN、LiAsF6、AgI、CF3SO3Ag、AgClO4、AgBF4、AgPF6、AgSCN、AgAsF6等の塩を水等に溶解させることにより導入するのが適当であるが、利用できる塩はこれらに限られないことは勿論である。
【0038】
また、本発明のイオン伝導性薄膜に水等の極性溶媒を含有させることにより、伝導率を向上させることも可能である。
【0039】
以下に、本発明のイオン伝導性薄膜およびその製造方法について、より詳細に説明する。但し、本発明は以下の具体的実施例に限定されない。
【0040】
(実施例1)
はじめに、吸着溶液Aを調製した。
【0041】
金属ナトリウムの存在化で数回蒸留を繰り返し、極力水分を除いたトルエンに、化学吸着剤であるカルボメトキシエチルトリクロロシランを約1vol.%の濃度で溶解し、これを吸着溶液Aとした。
【0042】
ガラス上にアルミニウムを蒸着した基板を有機溶媒で洗浄した後、10分間UV/オゾン処理をし、表面にごく薄い酸化層を形成したものを基板とした。
【0043】
基板を吸着溶液Aに1時間浸漬させた。この処理により、アルミニウム表面の酸化層の−OH基と、カルボメトキシエチルトリクロロシランのシリル基とが脱塩化水素反応し、共有結合が形成される。続いて、10分間のトルエン洗浄を行ない、未反応の化学吸着剤を除去した。次いで水分と反応させた。この処理により、図1に示すような化学吸着単分子膜1が形成できた。
【0044】
なお、この化学吸着単分子膜1の形成は、フーリエ変換赤外吸収(FTIR)スペクトル測定により、2920、2860(帰属:−CH2−)、1740(帰属:C=O)、1080(帰属:Si−O)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0045】
次に、この化学吸着単分子膜1を有する基板を平均分子量350のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(略:PEO350)にごく少量の硫酸を加えたものに、100℃で5時間浸漬させた。続いて10分間の水洗を行ない、未反応のPEO350を除去した。この処理により、図2に示すようなポリ(アルキレンエーテル)基を有する化学吸着単分子累積膜2が形成された。図2においてnは重合度を示す。
【0046】
なお、この化学吸着単分子累積膜2の形成は、FTIRスペクトル測定により、2920、2860(帰属:−CH2−)cm-1のシグナルが増加し、また新たに1140(帰属:C−O−C)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0047】
この化学吸着単分子累積膜2を有する基板をLiClO4の1wt.%アセトン溶液に数分間浸した後、溶液から引き上げ、乾燥させた。この処理により、LiClO4が化学吸着単分子累積膜2中に、Li/エチレンオキシド繰り返し単位=0.1の割合で導入された。
【0048】
なお、このLiClO4の導入は、FTIRスペクトル測定により、新たに1150(帰属:Cl−O)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0049】
このLiClO4を導入した化学吸着単分子累積膜2を有する基板に10-5Torrの真空下で1mm×1mmのアルミニウム上部電極を蒸着した。この上部電極と基板のアルミニウムにリード線を取り付け、LCRメータで等価並列容量及び等価並列抵抗を測定した。その結果、1MHzにおける容量は1.8×10-8F、抵抗値は20Ωであった。エリプソメトリーより求めた化学吸着単分子累積膜2の膜厚が2×10-9mであるので、抵抗値20Ωは1×10-6Scm-1に相当する。
【0050】
(実施例2)
実施例1と同様にして、吸着溶液Aおよび基板を用意し、続いて化学吸着単分子膜1を形成した。
【0051】
なお、この化学吸着単分子膜1の形成は、やはりFTIRスペクトル測定によりこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0052】
次に、この化学吸着単分子膜1を有する基板を平均分子量750のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(略:PEO750)にごく少量の硫酸を加えたものに、100℃で5時間浸漬させた。続いて10分間の水洗を行ない、未反応のPEO750を除去した。この処理により、図3に示すようなポリ(アルキレンエーテル)基を有する化学吸着単分子累積膜3が形成された。図3においてmは重合度を示す。
【0053】
なお、この化学吸着単分子累積膜3の形成は、FTIRスペクトル測定により、2920、2860(帰属:−CH2−)cm-1のシグナルが増加し、また新たに1140(帰属:C−O−C)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0054】
この化学吸着単分子累積膜3を有する基板をLiClO4の1wt.%アセトン溶液に数分間浸した後、溶液から引き上げ、乾燥させた。この処理により、LiClO4が化学吸着単分子累積膜3中に、Li/エチレンオキシド繰り返し単位=0.1の割合で導入された。
【0055】
なお、このLiClO4の導入は、FTIRスペクトル測定により、新たに1150(帰属:Cl−O)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0056】
このLiClO4を導入した化学吸着単分子累積膜3を有する基板に10-5Torrの真空下で1mm×1mmのアルミニウム上部電極を蒸着した。この上部電極と基板のアルミニウムにリード線を取り付け、LCRメータで等価並列容量及び等価並列抵抗を測定した。その結果、1MHzにおける容量は2.2×10-8F、抵抗値は24Ωであった。エリプソメトリーより求めた化学吸着単分子累積膜3の膜厚が3.2×10-9mであるので、抵抗値24Ωは7.5×10-7Scm-1に相当する。
【0057】
(実施例3)
まず実施例2と同様にして、化学吸着単分子累積膜3を形成した。
【0058】
なお、この化学吸着単分子累積膜3の形成は、やはりFTIRスペクトル測定によりこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0059】
この化学吸着単分子累積膜3を有する基板をCF3SO3Liの1wt.%アセトン溶液に数分間浸した後、溶液から引き上げ、乾燥させた。この処理により、CF3SO3Liが化学吸着単分子累積膜3中に、Li/エチレンオキシド繰り返し単位=0.2の割合で導入された。
【0060】
なお、このCF3SO3Liの導入は、FTIRスペクトル測定により、新たに1350(帰属:O=S=O)、1320(帰属:CF3)cm-1にこの構造に特徴的なシグナルを得たことで確認できた。
【0061】
このCF3SO3Liを導入した化学吸着単分子累積膜3を有する基板に10-5Torrの真空下で1mm×1mmのアルミニウム上部電極を蒸着した。この上部電極と基板のアルミニウムにリード線を取り付け、LCRメータで等価並列容量及び等価並列抵抗を測定した。その結果、1MHzにおける容量は2.6×10-8F、抵抗値は29Ωであった。エリプソメトリーより求めた化学吸着単分子累積膜3の膜厚が3.2×10-9mであるので、抵抗値29Ωは9.1×10-7Scm-1に相当する。
【0062】
なお、上述した実施例1から3と同様の条件において、請求項1に挙げたイオンや官能基、結合および請求項2に挙げた官能基を用いて、同様のイオン伝導性薄膜を製造できた。
【0063】
以上説明した通り、本発明のイオン伝導性膜は実用に供するに充分なイオン伝導性を有しており、そのため本発明のイオン伝導性薄膜の実用性は極めて高い。例えば、超小型軽量の一次電池、二次電池、電解コンデンサ、センサ、エレクトロクロミック表示素子等に利用できる。
【0064】
一方本発明の薄膜は、原理的に活性な水素、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属がその基体の表面にありさえすれば形成できるので、従来イオン伝導性が望まれていたにも関わらず、化学的に、また諸々の事情によってそれが困難であった用途へも本発明のイオン伝導性薄膜は使用できる。特に例えば、小型化、軽量化等を目指した用途に十分利用可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、エーテル結合を含み、かつ一般式(化1)及び一般式(化2)から選ばれる少なくとも一つのイオンを含み、かつイオン伝導性を有する化学吸着膜としたことにより、オングストロームオーダーの厚さの成膜および膜厚制御が可能で、そのため透明性が良好でかつピンホールフリー、しかも強固に基体と結合しているイオン伝導性薄膜とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の化学吸着単分子膜の要部拡大図
【図2】 本発明の実施例1の化学吸着単分子累積膜の要部拡大図
【図3】 本発明の実施例2〜3の化学吸着単分子累積膜の要部拡大図
【符号の説明】
1 化学吸着単分子膜
2 ポリ(アルキレンエーテル)基を有する化学吸着単分子累積膜
3 ポリ(アルキレンエーテル)基を有する化学吸着単分子累積膜
Claims (2)
- 基体、アルミニウムからなる下部電極、イオン伝導性の薄膜、およびアルミニウムからなる上部電極をこの順に備える電解コンデンサであって、
前記薄膜は、前記アルミニウムからなる下部電極の表面と共有結合されており、エーテル結合を含み、かつ一般式(化1)及び一般式(化2)から選ばれる少なくとも一つのイオンを含むことを特徴とする電解コンデンサ。
(化1)
Mn+
(但し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、Cu、Ag、Zn、Pb、Hg、H若しくは4級アンモニウム、n=1または2)
(化2)
X-
(但し、Xはハロゲン、CF3SO3、ClO4、F4、PF6、SCN若しくはAsF6) - 前記薄膜が、単分子累積膜である請求項1に記載の電解コンデンサ。
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