JP4084438B2 - マグネットパイプコンベヤー - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は、工作機械より排出された磁性材切粉を非磁性円筒体表面上を磁気吸着して搬送するマグネットパイプコンベヤーの改良に係り、搬送終端のスクレパーの当接位置の非磁性円筒体表面に小さな穴からなる凹部を多数個配設することにより、工作機械の切削油を含む切粉の掻き落とし効率を著しく向上させて、非磁性円筒体表面への切粉残留を防止したマグネットパイプコンベヤーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、歯切り盤、ホブ盤などの工作機械は、加工には切削油等が不可欠であり、また加工時に発生する磁性材切粉は比較的細かな切粉であるため、切削油等と一緒に排出されることになる。従って、この磁性材切粉はその搬出に際して出来るだけ切削油等を含まないようにするとともに、搬出した切粉から切削油等を分離する必要があり、また一般に、工作機械下部のピット内に切粉受容器が配置されることから、ピット内から工場床上の遠心分離するための脱油装置へ上昇移送するために、マグネットパイプコンベヤーが多用されていた。
【０００３】
マグネットパイプコンベヤーは、図１に示すごとく、傾斜配置したフレーム１内に固定配置した非磁性円筒体５内に、小径の円筒体外周面に螺旋状に永久磁石７を配列した磁石体６を回転自在に収納し、フレーム上部の電動機４で磁石体６を回転させる構成からなる。
【０００４】
例えば、フレーム１下部のホッパー２内に落下した磁性材切粉８は、非磁性円筒体５表面で内蔵の磁石体６の永久磁石７に磁気吸着され、磁石体６の回転に伴う螺旋状軌跡に沿って、非磁性円筒体５表面を移動して上端部で図示しないスクレパーにより掻き落とされて、脱油装置のホッパー９へ落下させる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマグネットパイプコンベヤーでは、傾斜した非磁性円筒体５の終端下面側にスクレパーを当接させて、磁力から解放された磁性材切粉８を掻き落とすように構成しているが、磁力から解放されたにもかかわらず、前記の比較的小さな磁性材切粉の如く、切粉の形状や付着している切削油の状態や量によっては、掻き落とすことができずにこれが残留することが多かった。
【０００６】
この発明は、マグネットパイプコンベヤーにおける切粉の残留、特に切削油の付着した切粉の掻き取り不良の発生に鑑み、切粉の掻き落とし効率を著しく向上させて、切粉の残留を防止したマグネットパイプコンベヤーの提供を目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、マグネットパイプコンベヤーにおける切粉の残留現象について種々検討したところ、当接面に鋭角になるようにスクレパーの形状を変更しても掻きとり効果が向上せず、また、非磁性円筒体の当該表面に切粉寸法よりはるかに小さな溝寸法のローレット加工を施しても、切粉が全く移動しなくなり逆効果であることを知見し、さらに検討を加えた結果、非磁性円筒体の当該表面に、例えば、比較的小さな磁性材切粉の場合、切粉寸法と同等前後の内径の浅い凹みを多数配置することにより、磁性材切粉との接触面積を減少させて、実質的にクーラント液、切削油などの表面張力を小さくすることができ、切粉の形状や付着している切削油等の状態や量にかかわらず、切粉の掻き落とし効率を著しく向上させて、切粉の残留を防止できることを知見し、この発明を完成した。
【０００８】
すなわち、この発明は、螺旋状に永久磁石を配列した磁石体を傾斜配置した非磁性円筒体内に回転自在に収納して、磁石体を回転させて円筒体下部の外周面上に磁気吸着した磁性材を円筒体下部より上部へと移送し、上部に付設したスクレパーにて掻き落として搬送を完了するマグネットパイプコンベヤーにおいて、スクレパーは、円筒体の回転軸と略平行な方向に設けてあり、スクレパーが円筒体に当接する周面の一部に、開口径より小さな深さの円形凹部を多数配設したマグネットパイプコンベヤーである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
この発明において、非磁性円筒体表面に設ける多数の凹部は、実施例に示す等間隔配置する円形凹みの他、三角、矩形、多角形、楕円等、あるいはこれらの組合せや、寸法違いの組合せであってもよく、搬送対象の磁性材切粉の形状、寸法、使用するクーラント液、切削油等の種類と量、さらには磁性材切粉の材質や搬送時の磁化の影響などに応じて、凹みの形状寸法や配置ピッチ、組合せなどを適宜選定するとよい。また、凹部深さは、磁石体を内蔵する非磁性円筒体の厚みが限定されるため、必要以上に深い穴にすることはできず、磁性材切粉の形状、寸法等の上記条件に応じて適宜選定するとよい。
【００１０】
例えば、実施例の歯切り切粉のごとく、平均４〜５ｍｍ前後の長さの磁性材切粉の場合は、切粉長さと同等、あるいは形状によっては切粉長さ前後の内径が好ましく、深さは凹部の最大径以下、１／２以下、さらに１／４以下が好ましい。また、使用する磁石体の磁力が比較的強力な場合は、非磁性円筒体表面に凹部を機械加工にて形成する方法に変えて、パンチングメタルなどを張り付けて形成することもできる。
【００１１】
この発明において、スクレパーは、公知の形状や構成を採用することができ、上記の非磁性円筒体表面の凹部を有することにより、いずれの構成からなるスクレパーにおいても極めて容易に円筒体表面より離脱させることが可能である。また、前記凹部の設置箇所、面積も採用したスクレパーの構成に応じて適宜選定するが、少なくともスクレパーの当接長さ内の一部に設け、さらに当接長さ全部にわたって所要周方向範囲に設置する他、スクレパーの当接範囲を越えて設置することも可能である。
【００１２】
【実施例】
前述した図１のマグネットパイプコンベヤーにおいて、図２、図３に示すごとく、傾斜したフレーム１上部の排出口３に面した、非磁性円筒体５の終端下面側にスクレパー１０を当接させてあり、スクレパー１０は帯板材の一部を折り曲げて傾斜の下側に配置してある。
【００１３】
クレパー１０を当接配置した非磁性円筒体５の表面には、ここでは、凹部１１として内径４ｍｍ、深さ１ｍｍの穴を、軸方向に１０ｍｍ間隔、隣接の軸方向列を半ピッチずつずらせて当接長さ全部にわたって配置した。
【００１４】
歯切り盤から排出された切削油を含む４ｍｍ程度の鉄粉を被搬送物として、上記のこの発明によるマグネットパイプコンベヤーと非磁性円筒体に凹部を設けない従来のマグネットパイプコンベヤーを用いて搬送試験を行ったところ、従来構成では残留鉄粉が多く、これらがスクレパー１０の折り曲げ部より傾斜下方へ回り込み同部付近で鉄粉が団子状態となるのに対して、この発明の構成では鉄粉の回り込み残留が皆無となった。
【００１５】
【発明の効果】
この発明によるマグネットパイプコンベヤーは、搬送終端のスクレパーの当接位置の非磁性円筒体表面に小さな穴からなる凹部を多数個配設することにより、磁性材切粉との接触面積を減少させて、クーラント液、切削油などの表面張力を小さくすることができ、工作機械の切削油を含む切粉の掻き落とし効率を著しく向上させることができ、切削油の影響による磁性材切粉の付着残留を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明によるマグネットパイプコンベヤーの構成を示す縦断説明図である。
【図２】この発明によるマグネットパイプコンベヤーの排出口の詳細を示す要部下面説明図である。
【図３】図２の排出口の縦断説明図である。
【符号の説明】
１ フレーム
２ ホッパー
３ 排出口
４ 電動機
５ 非磁性円筒体
６ 磁石体
７ 永久磁石
８ 磁性材切粉
９ ホッパー
１０ スクレパー
１１ 凹部

Claims (1)

1. 螺旋状に永久磁石を配列した磁石体を傾斜配置した非磁性円筒体内に回転自在に収納して、磁石体を回転させて円筒体下部の外周面上に磁気吸着した磁性材を磁石体を円筒体下部より上部へと移送し、上部に付設したスクレパーにて掻き落として搬送を完了するマグネットパイプコンベヤーにおいて、
   前記スクレパーは、前記円筒体の回転軸と略平行な方向に設けてあり、
   前記スクレパーが前記円筒体に当接する周面の一部に、開口径より小さな深さの円形凹部を多数配設してあるマグネットパイプコンベヤー。

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