JP4084229B2 - 製品データ管理システム及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品データ管理システム及びプログラムに関し、特に、企画、設計、製造等の複数のプロセスにおいて使用される製品データを統合的に管理する製品データ管理システム及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気、電子、機械等の種々の製品のデータ(製品データ)は、その製造会社等においては、殆どコンピュータにより管理される。しかし、企画、設計、製造、営業、サービス等の複数のプロセス(工程又は過程)において使用されるコンピュータシステムは、相互に異なるのが通常である。そこで、これらの製品データを全てのプロセスで共通に用いようとすると、各プロセス間で複数回のデータ変換処理を必要とする。
【0003】
例えば、製品の設計及び製造は、殆どコンピュータを用いて行なわれる。しかし、設計用のコンピュータシステムと製造用のコンピュータシステムとは、異なるのが通常である。そこで、例えば、図19に示すように、複数回のデータ変換処理を必要とする。
【0004】
即ち、CAD(Computer Aided Design )システム201により製品の設計を行い、この結果得た設計データ即ちCADデータをPDM(Product Data Management )システム202により所定の形式のデータ(以下、PDMデータという)に変換し、このPDMデータを更に個別のデータ変換装置203によりNCマシン等の製造装置204に入力可能な形式のデータ(製造データ、例えば、CSV(Comma Separated Value )形式のデータ)に変換し、これを用いて当該製造装置204による製品の製造を行なう。製造装置204は、実際には、複数の製造装置からなるFAシステム等の製造システムである。
【0005】
なお、CADシステムとPDMシステムとを連携させて、CADデータとPDMデータとを統合的に管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−113007号公報(第2頁〜第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、企画、設計、製造、営業、サービス等の複数のプロセスにおける製品データは、そのコンピュータシステムが異なるため、そのデータ形式が各々異なる。これらの製品データを共通化し、統合的に管理し、他のプロセスにおいても使用できれば非常に便利である。しかし、そのためには、極めて多くのデータ変換を繰り替えさなければならない。
【0008】
例えば、設計データから製造データを得るためには、CADデータを最終的には例えばCSV形式のデータに変換する必要がある。しかし、実際には、このようなデータ変換に非常に多くの手間を要しており、設計から製造までの円滑な業務の流れを阻害している。即ち、CADシステム201とPDMシステム202とは比較的統合して管理し易いが、CADシステム201からNCマシン等の製造装置204までを統合的に管理することは非常に困難であるとされている。
【0009】
例えば、通常、1つの工場でも、複数のメーカA社、B社、C社の異なるシステムからなるCADシステム201(PDMシステム202を含む)を使用しており、また、複数のメーカX社、Y社、Z社の異なるシステムからなる製造装置204を使用している。従って、CADシステム201の種類と製造装置204の種類の組み合わせの数だけデータ変換装置203を用意しなければならなかった。また、例えば製造装置204の管理者が、CSV形式のデータが必要になる都度、CADシステム201及び製造装置204の種類に基づいてデータ変換装置203を選択し、データ変換処理をしなければならなかった。
【0010】
以上とは別に、前述と同様の理由で、製品についての設計データと、製品を製造する製造ラインについてのデータ(製造データ)とを統合的に管理することができなかった。また、製造データに限らず、当該製品が企画されてから使用されなくなるまでの当該製品についての企画、設計、製造、購買、営業等の各々の工程(プロセス)毎のデータ(プロセスデータ)とを統合的に管理することができなかった。更に、また、設計データ及びプロセスデータ以外の種々のデータ(以下、知識又は知識データと言う)を、有効に管理することができなかった。例えば、設計においては採用した部品について購入データ等の設計データ以外のデータ(知識)が得られ、製造においては個々の部品の取り扱いのノウハウ等のプロセスデータ以外のデータ(知識)が得られる。これらの知識は、当該知識を得た者により例えば印刷物又は電子データとして残される場合がある。しかし、多くの場合、当該知識を得た者は、当該知識を必要とする者を知る手段を持たないか、又は、相当の労力を費やさなければ知ることができない。また、当該知識を必要とする者も、当該知識の存在を知る手段を持たないか、又は、相当の労力を費やさなければ知ることができない。このため、せっかく得た知識を含め製品データを有効に活用することができなかった。
【0011】
本発明は、複数のプロセスにおいて使用される製品データを統合的に管理する製品データ管理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の製品データ管理システムは、第1のデータ処理システムで入力された入力データを所定の形式で記述された製品データに変換する入力部と、前記製品データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データに変換してデータベースに格納し管理するデータベース管理部と、前記統合データのモデル構造であって当該統合データの採るべき階層構造を前記タグ付き言語のタグで記述したモデル構造を格納するモデル構造管理部と、前記統合データとモデル構造とを比較し、前記統合データの不足する部分を抽出する抽出部とを備える。
【0014】
本発明の製品データ管理システムによれば、異なるデータ処理システムを採用する企画、設計、製造、営業、サービス等の複数のプロセスにおける製品データを所定の形式で統合データに変換してデータベースに格納する。これにより、多くのデータ変換を繰り替えすことなく、製品データを共通化し、他のプロセスにおいても使用することができる。例えば、複数の異なるシステムからなるCADシステムにより得た設計データを、所定の形式で統合データに変換してデータベースに格納しているので、複数のメーカの異なるシステムからなる製造装置で使用可能な製造データに容易に変換して出力することができる。従って、製造データが必要になる都度、CADシステム及び製造装置の種類に基づいてデータ変換装置を選択し、データ変換処理を行う必要がない。これに加えて、本発明の製品データ管理システムによれば、前記統合データの採るべき階層構造を示すモデル構造を備え、統合データとモデル構造とを比較して不足部分を抽出する。これにより、製品データを統合的に管理し、他のプロセスにおける使用に耐えるものとすることができる。従って、製品データを共通化及び統合化して、複数のプロセスでの円滑な業務の流れを実現することができる。
【0015】
本発明の製品データ管理プログラムは、製品データ管理システムにおいて製品データを管理する製品データ管理プログラムであって、前記プログラムは、コンピュータに、第1のデータ処理システムで入力された入力データを所定の形式で記述された製品データに変換する処理と、前記製品データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データに変換してデータベースに格納し管理する処理と、前記統合データのモデル構造であって当該統合データの採るべき階層構造を前記タグ付き言語で記述したモデル構造を格納する処理と、前記統合データとモデル構造とを比較し、前記統合データの不足する部分を抽出する処理とを、実行させる。
【0016】
本発明の製品データ管理プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の製品データ管理システムを実現することができ、従って、製品データを共通化し、統合的に管理することができ、設計から製造までの円滑な業務の流れを実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は製品データ管理システム構成図であり、本発明の製品データ管理システムの構成を示す。
【0022】
製品データ管理システムは、複数のデータ処理システム11〜14、製品データ管理装置2を備える。製品データ管理装置2は、複数の入出力部31〜34、統合情報(5)を格納するデータベース5とこれを管理するデータベース(DB)管理部4、モデル構造7とこれを管理するモデル構造管理部6を備える。製品データ管理システムは、複数のデータ処理システム11〜14の間を、これらの間に設けられる統合情報基盤である製品データ管理装置2により統合的に管理する。
【0023】
複数のデータ処理システム11〜14は、各々が入力端末や表示装置その他の処理装置を備える1個の独立したコンピュータシステムであり、企画、設計、製造、営業、サービス等の複数のプロセス(工程又は過程)に設けられ、製品データ管理装置2にネットワーク(図示せず)、例えばLAN(Local Area Network)を介して接続される。1個のプロセスは1個のコンピュータシステムを備えるデータ処理の工程である。工程の数、種類はその製品毎、会社毎、当該製品データ管理システム毎に異なってもよい。この例では、データ処理システム11は製品の企画工程に設けられ、データ処理システム12は製品の設計工程に設けられ、データ処理システム13は製品の製造工程に設けられ、データ処理システム14は製品の検査工程に設けられる。製品の企画工程に設けられるデータ処理システム11を企画システム11とも言う(他も同様である)。
【0024】
データ処理システムが設けられる他のプロセスとしては、例えば製品の営業、サービス、購買等がある。例えば、営業システムが設けられる。これらの各システムにおいて処理されるデータが製品データである。これらの各システムのいずれか1個が製品データを入力する第1のデータ処理システムであり、各システムのいずれか他の1個が製品データを出力する第2のデータ処理システムである。また、例えば、第1製造システムと第2製造システムとが別に存在してもよい。この場合、第1のデータ処理システムである第1製造システムからの入力データが、第2のデータ処理システムである第2製造システムに出力される(逆も可能である)。第1製造システムと第2製造システムとは、物理的に隣接していても遠隔にあってもよい。
【0025】
データ処理システム11〜14には、種々の種類が存在する。例えば、企画システム11においては、そのデータ(企画データ)はXMLで記述され、入力され、出力される。検査システム14においても同様である。これに対して、設計システム12においては、そのデータ(設計データ)は、当該設計システム12を構成するCADシステム121毎に異なる言語で記述、入力、出力される。実際には、CADシステム121からのデータは、PDMシステム122においてデータ変換された後、製品データ管理装置2に入力される。製造システム13においては、そのデータ(製造データ)は、当該製造システム13を構成するNC装置毎に異なる言語で記述、入力、出力される。また、設計システム12においては、CADシステム121の設計データを直接製品データ管理装置2に入力されず、PDMシステム122で前処理(データ変換)した上で、製品データ管理装置2に入力する。他のデータ処理システムにおいてもこのような処理を必要に応じて行ってもよい。
【0026】
複数の入出力部31〜34は、入力及び出力インターフェイスであり、複数のデータ処理システム11〜14の各々に対応する。即ち、入出力部31〜34は、各々、ある(第1の)データ処理システムで入力された入力データを所定の形式で記述された製品データに変換して、DB管理部4に入力する(即ち、入力部である)。また、入出力部31〜34は、各々、ある(第1の)データ処理システムから入力された製品データに基づく統合データを、指定された形式で記述された出力データに変換して、他の(第2の)データ処理システムに出力する(即ち、出力部である)。
【0027】
DB管理部4は、製品データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データに変換して、DB5に格納し管理する。そこで、統合データ5とも言う。本発明においては、統合データ5をXMLで統一的に記述する。即ち、DB管理部4は、入力データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ5に変換してDB5に格納し管理する。具体的には、タグ付き言語としてXMLが用いられる。従って、統合データ5は、XMLにより記述され、少なくとも、階層構造を表すデータ(階層構造データ)と各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造データにより詳細データの各々をポイントする(図6参照)。階層構造データは、当該タグ付き言語のタグにより、当該階層構造を表す。
【0028】
前述のように、例えば、企画システム11では企画データはXMLで記述される。従って、対応する入出力部31はXMLデータである企画データを、統合データ5の階層構造に当て嵌めるのみである。検査システム14に対応する入出力部34おいても同様である。従って、企画システム11等についてのデータ変換は容易である。即ち、企画データ等は統合データ5と同一の言語であるXMLで記述され、入力時に統合データ5(モデル構造7)における位置(階層等)も指定されるので、入力された企画データ等を統合データ5における指定された位置に当てはめれば(繋げれば)よい。これが企画システム11等に対応する入出力部31等におけるデータ変換である。
【0029】
これに対して、設計システム12では設計データはCADシステム121及びPDMシステム122毎に異なる言語で記述等される。従って、設計システム12に対応する入出力部32は、特有の言語である設計データをデータ変換して、DB管理部4に入力する。これにより、当該設計データはXMLからなる統合データ5に変換される。製造システム13に対応する入出力部33は、統合データ5を当該製造システム13を構成するNC装置に特有の言語の製造データに変換して出力する。従って、設計システム12及び製造システム13についてのデータ変換は、各々が特有の言語によるので容易でない。そこで、図2等を参照して、製品データの中の特に設計データ及び製造データと統合データ5とのデータ変換について説明する。設計データ及び製造データのデータ変換は、当該システムに特有な言語で記述されているデータの統合データへの変換の一例として示される。
【0030】
図2は製品データ管理システム部分構成図であり、本発明の製品データ管理システムの一部を構成する設計システム/製造システムの構成を示す。
【0031】
設計システム12はCADシステム121とPDMシステム122とからなる。CADシステム121は当該システムに依存した形式のCADデータ111を出力する。製造システム13は、実際には、複数のNCマシン等の製造装置からなるFAシステム等の製造システムであり、当該システムで入力及び使用可能な形式の製造データ115を入力され、製品の製造を行なう。なお、以下において、データ111〜117は製品データ又はこれから得られるデータの一例であり、また、統合データ114は統合データ5の一例である。
【0032】
CADデータ111はPDMシステム122に入力される。PDMシステム122は、CADデータ111を所定の形式のPDMデータ112に変換して出力する。PDMデータ112は製品データ管理装置2に入力される。製品データ管理装置2は、設計データであるPDMデータ112を取り込んで格納し管理する。また、製品データ管理装置2は、これに接続された端末21から入力された知識データ116と、これに接続された端末22から入力されたプロセスデータ117とを、各々、取り込んで格納し管理する。即ち、製品データ管理装置2は、設計データ(PDMデータ112を変換したデータ)、知識データ116、プロセスデータ117を統合的に管理して、これらを用いて制御端末131からの指示入力に従う製造データ115を生成し、製造システム13(及び、必要に応じて制御端末131)に出力する。
【0033】
端末21及び22は、製品データ管理装置2に設けられる端末であっても、データ処理システム11〜14のいずれかに設けられる端末であってもよい。制御端末131は製造システム13にこれを制御する指示入力等を行うために設けられる端末である。
【0034】
ここで、設計データ111又は112とは、当該製品を製造するために使用される当該製品の製品データの一種である。従って、これらはCADシステム121(PDMシステム122を含む)から製品データ管理装置2に入力される。
【0035】
プロセスデータ117とは、設計データ111又は112以外のデータであって、当該製品が企画されてから使用されなくなるまでの当該製品の各々の工程(プロセス)毎のデータである。即ち、各々のプロセスにおいて当該プロセスのために使用されるデータ(当該プロセスの入力データ)又は当該プロセスの実行の結果を示すデータ(当該プロセスの出力データ)である。プロセスとは、例えば製品の企画、性能決定、評価、設計、生産計画、購買、出荷、(アフター)サービス、営業等の各々のプロセス(工程又は過程)を言う。設計プロセス(CADシステム121)の入力データは、プロセスデータ117としてではなく、CADシステム121にその入力として用意される。設計プロセスの出力データ即ち製造プロセス(製造システム13)の入力データは、前記設計データ111等であり、プロセスデータ117から除かれる。従って、プロセスデータ117は、例えば、企画、製造ライン、営業(設計を除く)の支店等の現場に設けられた端末22から製品データ管理装置2に入力される。
【0036】
知識データ116とは、設計データ111又は112及びプロセスデータ117以外のデータであって、各々のプロセスの出力データ及び設計データ111等(即ち、設計プロセスの出力データ)を当該プロセスの本来的な出力とすれば、各々のプロセスの実行により得られる付随的なデータである。即ち、知識データ116は、例えば設計上のノウハウ、製造上のノウハウ、部品の購入履歴、設計データのシミュレーション結果、製品の試験結果等である。換言すれば、知識データ116とは、当該プロセス又はそれ以外のプロセスの入力データにフィードバックし得るデータである。例えば、製造上の歩留り向上のノウハウは、購買プロセスにおける部品の購入、設計プロセスにおける設計、製造プロセスにおける製造等において活用することができる。従って、知識データ116は、企画、設計、製造、検査、営業、購買等の種々の現場に設けられた端末21から製品データ管理装置2に入力される。
【0037】
入出力部32は、入力された設計データ112を、所定の形式で記述された入力データ113に変換する。ここで、入力された設計データ112は、実際には、CADシステム121により得た設計データであるCADデータ111をPDMシステム122により前記所定の形式に変換して得たPDMデータ112である。入力データ113はDB管理部4に入力するための中間形式のデータであり、DB管理部4に入力される。
【0038】
CADデータ111は、図3に示すように、当該CADシステム121に依存する形式のデータである。即ち、設計者が使用するCADシステム121のメーカ(のツール)毎に定まる所定の形式を採る。PDMデータ112は、図3に示すように、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、CADそのままの形式を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造システム13が取り出し易いデータ形式とされている。入力データ113は、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、CADそのままの形式を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造システム13が加工及び編集したりできないデータ形式とされている。
【0039】
例えば、CADデータ111がA社、B社、C社、・・・のツールに依存するデータ形式の場合、PDMデータ112及び入力データ113もA社、B社、C社、・・・のデータ形式に従うものとなる。例えば、PDMデータ112及び入力データ113が同じガーバーデータ形式であると言っても、元のA社、B社、C社、・・・のデータ形式の影響を受けた形式のデータとなる。なお、本発明においては、統合データ114をXMLで統一的に記述するので、CADデータ111からPDMデータ112への変換を省略してもよい。即ち、PDMシステム122を省略して、CADデータ111をCADシステム121から入出力部32に入力してこれより直接入力データ113に変換するようにしてもよい。
【0040】
DB管理部4は、入力データ113を階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ114に変換してDB5に格納し管理する。タグ付き言語としてはXMLが用いられる。従って、統合データ114は、XMLにより記述され、前述のように、階層構造を表すデータと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造を表すデータにより詳細データの各々をポイントする(図6参照)。入力データ113は、図3に示すように、統合データ114において、入力データ113に対応する部分データ113’とされる。
【0041】
更に、DB管理部4は、前述のように、知識データ116とプロセスデータ117についても、各々、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ114に変換して、DB5に格納し管理する。即ち、知識データ116及びプロセスデータ117も、各々、XMLにより記述され、階層構造を表すデータと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造を表すデータにより詳細データの各々をポイントする(図7及び図8参照)。知識データ116及びプロセスデータ117は、図3に示すように、各々、統合データ114において、知識データ116に対応する部分データ116’及びプロセスデータ117に対応する部分データ117’とされる。
【0042】
入出力部33は、制御端末131からの指示入力に従って、DB管理部4から出力された統合データ114を、指定された形式で記述された製造データ115に変換して、製造システム13(及び必要に応じて制御端末131)に出力する。製造データ115は、図3に示すように、CSV形式、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、HPGL(形式)を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造システム13に応じて組み合わせられた統合データ114を変換したデータである。製造データ115は、統合データ114の部分データ113’、116’、117’から制御端末131からの指示入力に従って選択されたデータの集合である。
【0043】
このように、DB管理部4は、統合データ114をXMLにより記述して管理するので、DB管理部4におけるデータ変換のプログラムの種類を減らすことができる。例えば、CADデータ111(即ち、CADシステム121)が5種類あり、製造データ115(即ち、製造システム13)も5種類あるとする。本発明によれば、CADデータ111から統合(XML)データ114への変換に5種類のプログラム、統合(XML)データ114から製造データ115への変換に5種類のプログラムを用意すればよい。なお、従来の方法によれば、CADデータ111から製造データ115への変換に、その組み合わせの数である25種類のプログラムを用意しなければならない(図19参照)。
【0044】
ここで、DB管理部4及びDB5は、設計及び製造に関する殆ど全てのデータを、設計データ111(PDMデータ112を含む、以下同じ)と、プロセスデータ117と、知識データ116とに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ114として格納する。DB5は、知識データ116の詳細データの各々を、当該知識データ116の階層構造により管理すると共に、設計データ111の階層構造及びプロセスデータ117の階層構造により管理する。即ち、3重に管理する。これにより、DB5は、知識データ116についての3次元的な構造を備えることになる。
【0045】
設計データ111の階層構造は、タグ付き言語で記述された設計データの階層構造である。この階層構造は、DB管理部4により、設計データ111の階層構造を表す表形式データを変換することにより得られる。この階層構造はPDMデータ112においてもそのまま維持される。知識データ116の階層構造及びプロセスデータ117の階層構造も、同様にして得られる。
【0046】
例えば、図4に示すように、設計データであるCADデータ111(実際にはPDMデータ112、以下同じ)は、階層構造を表す表形式データTaと、個々の(即ち、複数の)設計データの詳細(詳細データの集合)Daとからなる。個々の設計データの詳細Daとしては、例えば上位階層として、実装図面関係データ、搭載データ、部品データ等がある。実装図面関係データは、その下位階層としての例えば配線図データ、マーキング図データ、レジスト図データ、シルク図データ等からなる。搭載データは、同様に、例えばX−Y座標データ、部品方向データ等からなる。部品データは、同様に、例えば外形寸法データ(部品表)、属性データ(部品対応表)、PIN番号データ、耐熱データ等からなる。
【0047】
プロセスデータ117も、同様に、階層構造を表す表形式データTpと、個々のプロセスデータの詳細Dpとからなる。個々のプロセスデータの詳細Dpとしては、例えば上位階層として、製造ライン構成データ等がある。製造ライン構成データは、その下位階層としての例えばマウンタ構成データ等からなる。
【0048】
知識データ116も、同様に、階層構造を表す表形式データTkと、個々の知識データの詳細Dkとからなる。個々の知識データの詳細Dkとしては、例えば上位階層として、事例データ、Q&A(質問及び回答)データ、実績データ等がある。事例データは、文章、図面、写真、動画、音等を含む。Q&Aデータは、説明、手順、質問等を含む。実績データは、評価データ、実験データ、シミュレーションデータ等を含む。なお、知識データ116は、上位階層として、設計関連知識データ、製造関連知識データ、検査関連知識データ、営業関連知識データ、購買関連知識データ等に分類するようにしてもよい。
【0049】
CADデータ111(及びPDMデータ112)の階層構造を表す表形式データTaは、図4に示すように、統合データ114(及び入力データ113)における階層構造(ツリー構造)Haに変換される。知識データ116及びプロセスデータ117の階層構造を表す表形式データTk及びTpも、同様に、統合データ114における階層構造Hk及びHpに変換される。CADデータ111の個々の設計データの詳細Daは、詳細Da’に変換され、それが属する階層に従って管理される。知識データ116及びプロセスデータ117の個々の知識データの詳細Dk及び個々のプロセスデータの詳細Dpも、同様に、詳細Dk’及びDp’に変換され、それらが属する階層に従って管理される。
【0050】
なお、CADデータ111の個々の設計データの詳細Daとプロセスデータ117の個々のプロセスデータの詳細Dpとが結合されて、統合データ114(の一部)とされる場合がある。例えば、CADデータ111の搭載図データは、部品表と共に、搭載図及び部品表なる統合データ114に変換される。
【0051】
以上のデータは、図4に示すように、統合データ114として管理され、制御端末131からの指示入力に従って、製造データ115として製造システム13(及び、必要に応じて制御端末131)に出力される。例えば、搭載図及び部品表、部品対応表及び座標データなるCADデータ111の統合データ114が選択され、これらの組み合わせに基づいて、実装図が作成され出力される。また、部品対応表なるCADデータ111の統合データ114とマウンタ構成データなるプロセスデータ117の統合データ114とが選択され、これらの組み合わせに基づいて、マウントデータが作成され出力される。
【0052】
図5は設計データ(CADデータ)111の表形式データTaの一例を示す。この表形式データTaは、図5から判るように、列の各々が階層の各々に対応するようにされ、行の各々において同一階層の詳細データは1個のみのが存在するようにされる。例えば、その詳細Daにおける最上位の階層の詳細データAの下には詳細データA1、A2等があり、詳細データA2の下には詳細データA2−1、A2−2等があり、詳細データ階層A2−2の下には詳細データA2−2−1、A2−2−2等があり、詳細データ階層A2−2−2の下には詳細データa、b、cがある。これにより、表形式データTaは階層構造を表す。
【0053】
図5の設計データ111の表形式データTaを変換することにより、図6に示す設計データ111の階層構造(ツリー構造)Haを得る。図5と図6との対比から判るように、図6の階層構造Haは、図5の表形式データTaの列の各々を階層構造の各々の階層に対応させることにより、直ちに得ることができる。同様にして、図7に示すプロセスデータ117の階層構造Hp、及び、図8に示す知識データ116の階層構造Hkを得ることができる。図6及び図7の階層構造Ha及びHpは、その各々の構成に応じた多くの階層を持つ構造となる。これに対して、図8の階層構造Hkは、最上位の「知識データ(K)」の下の階層「事例データ」「Q&Aデータ」「実績データ」の下に、すぐに個々の詳細データの階層が設けられる簡単な構造となる。即ち、事実上2つの階層からなる。各々の階層構造において、その生成後に、各々の階層の詳細データや知識データの詳細データを自由に追加することができる。
【0054】
なお、各々の階層構造において、その詳細データの各々の内容は、実際には、例えば図6に示すように、当該階層構造とは別に格納される。即ち、詳細データは、その内容が存在する格納位置(アドレス)をポイントするのみである(図6においては詳細データa及びKx等についてのみ例示する、他図においても同じ)。従って、統合データ114は、XMLにより、階層構造を記述し、各々の階層においては、当該詳細データ(の名前)及びその格納位置を記述する。
【0055】
また、各々の階層構造において、その生成時に、各々の階層の最後に、対応する表形式データには存在しなかった空の詳細データ(の格納領域)が追加される。この空の詳細データは、知識データ116の当該位置に格納すべき詳細データを格納するために設けられる。例えば、図6において、最上位の階層の詳細データAの下の階層の最後から2番目に存在する空の詳細データ(K1)には、当該詳細データAについての知識データの詳細データが格納される。なお、最上位の階層の詳細データAの下の階層の最後には、設計変更履歴の詳細データR1が存在するが、これについては後述する。
【0056】
例えば、ある知識データ116の詳細データKxが存在し、設計データ111の詳細データA1に関連する知識であり、プロセスデータ117の詳細データP2に関連する知識であり、Q&Aデータの詳細データK2であるとする。この場合、当該詳細データKxは、図6において詳細データA1の下の階層に位置付けられ、図7において詳細データP2の下の階層に位置付けられ、図8においてQ&AデータK2の下の階層に位置付けられる。これにより、当該詳細データKxは、図9に示すように、3次元的に管理される。即ち、設計データ111の階層(即ち、階層構造、以下同じ)を例えばX座標とし、プロセスデータ117の階層を例えばY座標とし、知識データ116の階層をZ座標とすれば、Kx=(X,Y,Z)=(A1,P2,K2)である。
【0057】
例えば、製品がパーソナルコンピュータ、A1がメインボード、P2がCPUのマウント条件、K2がマウントについてのノウハウであるとする。この場合、パーソナルコンピュータのメインボードの製造におけるCPUのマウント条件についてのノウハウを、当該製品に関係する者の共通の知識(知識データ)として、3次元構造における当該位置で管理することができる。
【0058】
このような知識データ116の3次元的な管理のために、DB管理部4は、知識データの詳細の各々を、知識データの階層構造に追加すると共に、設計データの階層構造の関連する位置及びプロセスデータの階層構造の関連する位置に追加する。このため、DB管理部4は、図10に示す入力画面を、知識データ116の処理を行う端末21に表示する。
【0059】
例えば、ある知識データ116の詳細データKxを得た者が、端末21から当該入力画面を参照する。当該入力画面は、例えば2分割され、左側に設計データ111、プロセスデータ117及び知識データ116の階層構造を選択的に表示し、右側に詳細データKxの設計データ111、プロセスデータ117及び知識データ116における階層をプルダウン方式で入力する3個の階層入力フィールドと、詳細データKxの内容を入力する内容入力フィールドとを備える。
【0060】
詳細データKxを得た者は、最初に、画面の左側に設計データ111の階層構造を表示させて、当該詳細データKxが詳細データA1の下の階層に位置付けられるべきものであることを知る。そこで、画面の右側の設計データ111の階層入力フィールドにおいて、プルダウンにより、A1を選択する。同様にして、画面の左側のプロセスデータ117の階層構造を見ながら、画面の右側のプロセスデータ117の階層入力フィールドにP2を入力し、次に、知識データ116の階層構造を見ながら、知識データ116の階層入力フィールドにK2を入力する。更に、画面の右側の内容入力フィールドに、当該詳細データKxの内容(文章、リスト、表、グラフ、図面、写真等)を入力する。
【0061】
これにより、当該詳細データKxは3個の階層構造の各々における前述の位置に追加され、その内容が所定の位置に格納され、3個の階層構造における各々の階層から当該内容の格納位置がポイントされる。以上により、当該詳細データKxは、図9に示すような3次元的な位置で管理され、その内容は1カ所に格納される。
【0062】
また、DB管理部4は、知識データの階層、設計データの階層及びプロセスデータの階層に基づいて、DB5を検索して、該当する知識データの詳細を抽出する。このため、DB管理部4は、図10に示す検索画面(従って、入力画面と同一である)を、知識データ116の処理を行う端末21に表示する。
【0063】
例えば、ある知識データ116の詳細データを得たいと考える者は、端末21から当該検索画面を参照するが、この時点で、当該詳細データが存在するか否かも知らない。当該詳細データを得たい者は、最初に、設計データ111の階層構造を見ながら、当該詳細データが(存在するとすれば(以下同じ))詳細データA1に関連するものであるので、その下の階層に位置付けられることを知り、設計データ111の階層入力フィールドにA1を入力する。同様にして、プロセスデータ117の階層構造を見ながら、プロセスデータ117の階層入力フィールドにP2を入力し、次に、知識データ116の階層構造を見ながら、知識データ116の階層入力フィールドにK2を入力する。
【0064】
これにより、図9に示す3次元の座標位置(X,Y,Z)=(A1,P2,K2)に存在する詳細データKxが抽出され、その内容が内容表示フィールド(内容入力フィールドと同一)に表示される。以上により、ある知識データ116の詳細データを得たい者は、当該詳細データと同一又は最も近い詳細データKxの内容を知ることができる。
【0065】
図1に戻って、モデル構造管理部6は、本発明に従って、統合データ5のモデル構造7であって、当該統合データ5の採るべき階層構造を統合データ5で使用するタグ付き言語のタグで記述したモデル構造7を格納する。即ち、モデル構造7はXMLのタグで記述される。従って、モデル構造7は、統合データ5と同一の階層構造を有し、統合データ5の作成の開始に先立って、予め作成され用意される。モデル構造7は、統合データ5においてある詳細データを変更した場合に他の詳細データに影響を与える範囲を示す影響範囲情報8を含む。
【0066】
抽出部41は、統合データ5とモデル構造7とを比較し、統合データ5の不足する部分を抽出する。即ち、予め用意されたモデル構造7は統合データ5の採るべき階層構造と同一の階層構造を有するので、統合データ5に不足部分があれば、これを抽出することができる。これにより、製品データ管理システムの利用者、特に、いずれかのプロセスにおいて製品データを入力した利用者は、自己の入力した製品プロセスの不足部分を知ることができる。この例では、抽出部41はDB管理部4に設けられるが、これに限られない。
【0067】
前述のように、モデル構造7と統合データ5とは同一の階層構造を有するので、モデル構造管理部6は、階層構造を表す階層構造データと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造を表すデータにより詳細データの各々をポイントするモデル構造7を格納する。但し、モデル構造7において、詳細データの内容は「空」とされる。
【0068】
モデル構造7の一例を図11に示す。図11のモデル構造7は、設計データのモデル構造7であって、図6の設計データ、具体的には設計データ111の階層構造(ツリー構造)Haに対応するモデル構造7である。図11と図6との対比から判るように、両者は同一の階層構造を有する。モデル構造7は、原則として、XMLのタグにより階層構造を表し内容は「空」であるので、これを添え字「(t)」で表している。なお、実際は、図12に示すように、モデル構造7の階層構造データは、本発明に従って、種々の情報を含む。また、図11は設計データのモデル構造7について示すが、プロセスデータ及び知識データについても、各々、図7及び図8に示すと同一の階層構造を有するモデル構造7(図示せず)が用意される。
【0069】
例えば、設計システム12の利用者であって階層A2−2の設計データの設計者が、詳細データa及びbと知識データK4を入力したが、詳細データcの入力を忘れたとする。従って、詳細データcの内容は「空」のままである。DB管理部4は、設計データ等の入力があると、入力された階層A2−2の設計データを送って、抽出部41に入力チェックを依頼する。抽出部41は、階層A2−2に対応するモデル構造7をモデル構造管理部6から獲得して、階層A2−2について図6の統合データ5と図11のモデル構造7とを比較し、統合データ5の不足する部分として内容が「空」である詳細データcを抽出する。この結果を、DB管理部4は、当該階層構造と共に、設計システム12の端末(図示せず)上に反転表示(図11では斜線で示す)する。これにより、当該設計者は詳細データcの入力を忘れたことを知ることができる。
【0070】
以上に加えて、モデル構造管理部6は、統合データ5において当該詳細データを変更した場合に他の詳細データに影響を与える範囲を示す影響範囲情報8を格納する。即ち、影響範囲情報8は、当該詳細データを設計変更等により変更した場合に、これに応じて変更しなければならない詳細情報(の範囲)を示す。この例では、影響範囲情報8は、モデル構造7において当該階層構造データにその一部として含まれる。更に、モデル構造7において、階層構造データの各々は、当該詳細データの属性を示す区分情報を当該階層構造データに含む。
【0071】
モデル構造7の階層構造データの一例を図12に示す。図12(A)は最下層でない階層(即ち、詳細データの内容をポイントしない階層)の階層構造データの構造を示し、図12(B)は最下層(即ち、詳細データの内容をポイントする階層)の階層構造データの構造を示す。
【0072】
最下層でない階層の階層構造データは、図12(A)に示すように、進捗情報、名称、影響範囲情報からなる。進捗情報は、2個のフラグの組み合わせからなり、モデル構造7においては「空」とされる。従って、製品データは、当該詳細データの作成についての進捗を示す進捗情報をその一部として、階層構造データの各々に含む。名称は当該階層のデータの名称(又は、総称)である。影響範囲情報は、2個のフラグの組み合わせからなり、モデル構造7において予め定められる。上位のフラグは主として製品グループを示し、下位のフラグはパターンを示す。パターンは影響の範囲が書類等に関連するか、どのような製造データに関連するか等を示す。これらのフラグの組み合わせにより、影響範囲を示すことができる。例えば、これらの組み合わせが「A1」であれば、「製品Aシリーズ等の手順書等」が当該詳細情報の影響範囲であることを示すことができる。
【0073】
DB管理部4は、統合データ5において、当該階層を示すタグが記述された(設けられた)時点で、その詳細情報又はその内容が入力されていないので、進捗情報を「11」とする。即ち、モデル構造7における図12に示す階層構造データをそのままコピーして、統合データ5における当該階層の階層構造データとする際、進捗情報を「空」から「11」とする。
【0074】
DB管理部4は、当該詳細データが最初に登録されると進捗情報を「01」とし、その後設計変更等により当該詳細データが変更されると進捗情報を「10」とし、他の詳細データの変更により当該詳細データの改版が必要になると(改版要求があると)進捗情報を「00」とする。即ち、DB管理部4は、ある詳細データを変更すると、当該詳細データの影響範囲情報に示されている範囲にある詳細情報の進捗情報を「01」から「00」とする。これにより、設計者等の利用者は、設計変更により改版が必要になったが未だ改版されていない詳細データが存在することを知ることができる。この後、DB管理部4は、進捗情報が「00」である詳細情報について、当該詳細データが変更されると進捗情報を「10」とする。
【0075】
最下層の階層構造データは、図12(B)に示すように、品番又は図番、名称、区分(区分情報)、ポインタからなる。品番又は図番は複数(この例では4個)の文字からなり、当該製品データの品番又は図番を示す。名称は当該階層のデータの名称(又は、総称)である。区分は、区分情報であり、複数(この例では4個)の文字からなり、当該製品データの属性を示す。例えば、「01」は当該製品データが電子部品に関するデータであることを示す。ポインタは当該詳細データの内容の格納されているアドレスを示す。
【0076】
従って、DB5又は統合データ5は、当該統合データ5の有する階層構造とは別に、詳細データの各々を当該階層構造データの影響範囲情報8と区分とにより管理することにより、詳細データについての2次元的な構造を備える。これにより、詳細データは、図13に示すように、2次元的に管理される。即ち、影響範囲を例えばX座標とし、区分を例えばY座標とすれば、詳細データ=(X,Y)=(影響範囲,区分)である。
【0077】
例えば、製品がパーソナルコンピュータ、影響範囲が手順書、区分が電子部品であるとする。この場合、パーソナルコンピュータの手順書の中で電子部品に関するものを、2次元構造(平面)における当該位置で管理することができる。これにより、例えば、上位の階層又は自己の階層における名称に手順書と記述されており、かつ、自己の階層の区分に電子部品と記述されている階層を、抽出することができる。従って、製品データ管理装置2は、製品データの階層構造について、前述のような3次元構造での管理体系とは別に、これに加えて2次元平面上の検索体系を有する。なお、図13に示すように、影響範囲と区分の2次元平面が複数存在するので、擬似的には3次元的な検索体系である。
【0078】
このような製品データの階層構造の2次元的な管理のために、DB管理部4は、モデル構造7における図12に示す階層構造データをそのままコピーして、統合データ5における当該階層の階層構造データとする。また、DB管理部4は、前述のように、進捗情報を必要に応じて更新する。
【0079】
また、DB管理部4が、影響範囲情報8と区分とに基づいて、DB5又は統合データ5を検索して、該当する製品データの詳細を抽出する。このために、DB管理部4は、図14に示す検索画面を、統合データ5の検索処理を行う端末21(又は22)に表示する。例えば、ある製品データを変更した者が、その影響範囲を知るために、端末21から当該検索画面を参照する。この時点で、検索者は影響範囲を知らない。当該検索画面は、例えば2分割され、左側に当該製品データの階層構造を選択的に表示し、右側に影響範囲(情報)及び区分をプルダウン方式で入力する2個の入力フィールドと、検索結果を表示する出力フィールドとを備える。
【0080】
当該検索者は、最初に、当該製品データを変更した際にその影響範囲が、例えば「A1」であることを知る。そこで、画面の左側に製品Aについての製品データの階層構造を表示させ、画面の右側において、影響範囲の入力フィールドにおいて、プルダウンにより、手順書を選択する。同様にして、区分の入力フィールドにおいて、プルダウンにより、電子部品を選択する。これにより、上位の階層又は自己の階層における名称に手順書と記述されており、かつ、自己の階層の区分に電子部品と記述されている(複数の)階層を、抽出することができる。即ち、図13に示すように、2次元の座標位置(X,Y)=(影響範囲,区分)に存在する階層構造データ又は詳細データが抽出され、その内容が出力フィールドに表示される。又は、画面の左側の階層構造において反転を表示される。以上により、設計変更等による影響を知りたい者は、その範囲及びその内容を知ることができる。
【0081】
なお、図6及び図11に示すように、モデル構造7及び統合データ5は、当該詳細データの作成についての進捗を示す進捗情報(設計変更履歴R1)をその一部として、最上位の階層の次の階層に含む。これを図15(A)に再度示す。この進捗情報は、図12に示す製品データの階層構造データの内部の(第1の)進捗情報とは異なる(第2の)進捗情報であり、設計変更履歴R1であって、その下位の階層に、図15(A)に示すように、複数の設計変更についての履歴情報を有する。
【0082】
図11から判るように、モデル構造7において、設計変更履歴R1の階層がそのタグR1(t)により定められている。従って、設計変更の履歴情報は、当該階層に集中的に記述されるので、利用者は設計変更について一見して知ることができる。タグR1(t)の下位の階層は1個とされ、設計変更の都度、その順に設計変更の履歴情報が当該階層に追加される。
【0083】
設計変更についての履歴情報は、各々、設計変更番号、名称、変更差異データからなる。設計変更番号は、図15(B)に示すように、当該設計変更の年月日(2003年6月17日)に変更の番号「008」を付加する。名称は、図15(C)に示すように、図12(A)と同様のものである。変更差異データは、図15(D)に示すように、変更影響範囲、変更差異、変更適用からなる。なお、当該設計変更に係る設計変更データは、図示しないが、その履歴情報(設計変更番号、名称、変更差異データ)と当該設計変更における実際の変更データとからなる。
【0084】
変更影響範囲は、図15(D)に示すように、図12(A)と同様の2個のフラグにより表される。変更差異は、図15(D)に示すように、2個の数字の組み合わせ(の羅列)により、変更のパターンを示す。例えば、「013118」はパターン01、31、18の変更である。パターン01は(設計)手法の変更であることを示す。変更適用は、図15(D)に示すように、下6桁の年月日を示す数字と、当該数字が適用期日又は終了年月日のいずれであるかを示す2個の数字とからなる。
【0085】
図16及び図17は、製品データ管理処理フローであり、製品データ管理装置2における製品データの管理処理について示す。
【0086】
製品データ管理装置2は、当該処理が入力処理であるか否かを調べ(ステップS11)、入力処理である場合、入力データのデータ形式の種類を選択し(ステップS12)、当該種類が入力処理可能であるか否かを調べる(ステップS13)。入力処理可能でない場合、製品データ管理装置2は、入力処理不可能であることを制御端末21又は22に表示し(ステップS14)、入力処理を終了するか否かを制御端末21等に問い合わせ(ステップS15)、入力処理を終了しない場合、ステップS12以下を繰り返す。入力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末21等に問い合わせる(ステップS16)。処理を終了する場合、製品データ管理装置2は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合(例えば、処理を継続したくなった場合等、以下同じ)、製品データ管理装置2は、ステップS11以下を繰り返す。
【0087】
ステップS13において当該入力データのデータ形式の種類が入力処理可能である場合、製品データ管理装置2は、当該入力データを変換し(ステップS17)、当該変換により統合データ114を入力ファイル(図示せず)に書き込み、当該入力ファイルの内容をDB5に格納する(ステップS18)。この後、製品データ管理装置2は、入力処理を終了するか否かを制御端末21等に問い合わせ(ステップS19)、入力処理を終了しない場合、ステップS12以下を繰り返す。入力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末21等に問い合わせる(ステップS110)。処理を終了する場合、製品データ管理装置2は、当該管理処理(この場合は入力処理)を終了する。処理を終了しない場合、製品データ管理装置2は、ステップS11以下を繰り返す。
【0088】
一方、ステップS11において入力処理でない(出力処理である)場合、製品データ管理装置2は、出力したいデータを選択し(ステップS111)、当該データが出力可能であるか否かを調べる(ステップS112)。出力可能でない場合(例えば、当該データが存在しない場合)、製品データ管理装置2は、出力不可能であることを制御端末131、21、22に表示し(ステップS113)、出力処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせ(ステップS114)、出力処理を終了しない場合、ステップS111以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせる(ステップS115)。処理を終了する場合、製品データ管理装置2は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、製品データ管理装置2は、ステップS11以下を繰り返す。ステップS112において出力可能である場合、製品データ管理装置2は、当該データを出力する際のデータ形式の種類を選択し(ステップS116)、当該種類のデータ形式での出力が可能であるか否かを調べる(ステップS117)。出力処理が可能でない場合、製品データ管理装置2は、出力処理不可能であることを制御端末131等に表示し(ステップS118)、出力処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせ(ステップS119)、出力処理を終了しない場合、ステップS111以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせる(ステップS120)。処理を終了する場合、製品データ管理装置2は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、製品データ管理装置2は、ステップS11以下を繰り返す。
【0089】
ステップS117において出力処理が可能である場合、製品データ管理装置2は、当該データの出力、即ち、当該データの当該データ形式から当該選択された形式への変換を行い(ステップS121)、当該変換により出力すべき製造データ115を出力ファイル(図示せず)に書き込む(ステップS122)。この後、製品データ管理装置2は、出力処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせ(ステップS123)、出力処理を終了しない場合、ステップS111以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末131等に問い合わせる(ステップS124)。処理を終了する場合、製品データ管理装置2は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、製品データ管理装置2は、ステップS11以下を繰り返す。
【0090】
図18は、データ変換処理フローであり、図16のステップS17において製品データ管理装置2が実行するデータ変換処理について示す。
【0091】
製品データ管理装置2は、ステップS11において入力されたある製品の製品情報の詳細情報(製品構成の情報)を取り込んで(ステップS21)、これを展開し、即ち、XMLによる記述に変換し(ステップS22)、XMLのタグをモデル構造7に基づいて付与する(以下、自動付与と言う)か否かを利用者に問い合わせる(ステップS23)。自動付与する場合、製品データ管理装置2は、モデル構造7に基づいてタグを付与する(ステップS24)。即ち、階層を決定する。自動付与しない場合、利用者が手入力によりタグを付与する(ステップS25)。この後、製品データ管理装置2は、全てのタグの処理が完了したか否かを調べ(ステップS26)、完了していない場合、当該未処理の部分についてステップS24を繰り返す。完了している場合、製品データ管理装置2は、処理を終了するか否かを問い合わせ(ステップS27)、終了する場合、当該入力処理を終了し、終了しない場合、ステップS21以下を繰り返す。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製品データ管理システムにおいて、異なるデータ処理システムを採用する企画、設計、製造、営業、サービス等の複数のプロセスにおける製品データを所定の形式で統合データに変換してデータベースに格納する。これにより、多くのデータ変換を繰り替えすことなく、製品データを共通化し、他のプロセスにおいても使用することができる。これに加えて、本発明の製品データ管理システムによれば、統合データの採るべき階層構造を示すモデル構造を備え、統合データとモデル構造とを比較して不足部分を抽出する。これにより、製品データを統合的に管理し、他のプロセスにおける使用に耐えるものとすることができる。従って、製品データを共通化及び統合化して、複数のプロセスでの円滑な業務の流れを実現することができる。
【0093】
本発明によれば、製品データを統合化して管理する製品データ管理プログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の製品データ管理システムを実現することができ、従って、製品データを共通化し、統合的に管理することができ、設計から製造までの円滑な業務の流れを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製品データ管理システムの構成を示す。
【図2】本発明の製品データ管理システムの一部を構成する設計システム/製造システムの構成を示す。
【図3】本発明における製品データの流れを示す図である。
【図4】本発明における製品データの流れを示す図である。
【図5】表形式データの一例を示す図である。
【図6】階層構造の一例を示す図である。
【図7】階層構造の一例を示す図である。
【図8】階層構造の一例を示す図である。
【図9】知識データの3次元構造を示す図である。
【図10】知識データの入力画面及び検索画面を示す図である。
【図11】モデル構造を示す図である。
【図12】モデル構造の階層構造データの一例を示す。
【図13】データ構造を示す図である。
【図14】影響範囲情報と区分との入力画面及び検索画面を示す図である。
【図15】設計変更履歴による管理を示す図である。
【図16】製品データ管理処理フローである。
【図17】製品データ管理処理フローである。
【図18】データ変換処理フローである。
【図19】従来技術説明図である。
【符号の説明】
2 製品データ管理装置
4 データベース(DB)管理部
5 データベース
6 モデル構造管理部
7 モデル構造
8 影響範囲情報
11〜14 データ処理システム
31〜34 入出力部

Claims (10)

  1. 第1のデータ処理システムで入力された入力データを所定の形式で記述された製品データに変換する入力部と、
    前記製品データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データに変換してデータベースに格納し管理するデータベース管理部と、
    前記統合データのモデル構造であって、当該統合データの採るべき階層構造を前記タグ付き言語のタグで記述したモデル構造を格納するモデル構造管理部と、
    前記統合データとモデル構造とを比較し、前記統合データの不足する部分を抽出する抽出部とを備える
    ことを特徴とする製品データ管理システム。
  2. 当該製品データ管理システムは、更に、
    前記第1のデータ処理システムから入力された製品データに基づく前記統合データを、指定された形式で記述された出力データに変換して第2のデータ処理システムに出力する出力部を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の製品データ管理システム。
  3. 前記統合データは、少なくとも、階層構造を表す階層構造データと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、前記階層構造を表すデータにより前記詳細データの各々をポイントする
    ことを特徴とする請求項1記載の製品データ管理システム。
  4. 前記モデル構造管理部は、更に、前記統合データにおいて当該詳細データを変更した場合に他の詳細データに影響を与える範囲を示す影響範囲情報を格納する
    ことを特徴とする請求項3記載の製品データ管理システム。
  5. 前記影響範囲情報は、前記モデル構造において当該階層構造データにその一部として含まれる
    ことを特徴とする請求項4記載の製品データ管理システム。
  6. 前記モデル構造において、前記階層構造データの各々は当該詳細データの属性を示す区分情報を当該階層構造データに含む
    ことを特徴とする請求項5記載の製品データ管理システム。
  7. 前記データベースは、前記詳細データの各々を当該階層構造データの前記影響範囲情報と区分とにより管理することにより、前記詳細データについての2次元的な構造を備える
    ことを特徴とする請求項6記載の製品データ管理システム。
  8. 前記データベースは、更に、
    製品データを、製品についての設計データと、前記設計データ以外のデータであって製品が企画されてから使用されなくなるまでのプロセス毎のデータであるプロセスデータと、前記設計データ及びプロセスデータ以外のデータである知識データとに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データとして格納し、
    前記知識データの詳細の各々を、当該知識データの階層構造により管理すると共に、前記設計データの階層構造及び前記プロセスデータの階層構造により管理することにより、前記知識データについての3次元的な構造を備える
    ことを特徴とする請求項7記載の製品データ管理システム。
  9. 前記製品データは、当該詳細データの作成についての進捗を示す進捗情報をその一部として含む
    ことを特徴とする請求項3記載の製品データ管理システム。
  10. 製品データ管理システムにおいて製品データを管理する製品データ管理プログラムであって、
    前記プログラムは、コンピュータに、
    第1のデータ処理システムで入力された入力データを所定の形式で記述された製品データに変換する処理と、
    前記製品データを階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データに変換してデータベースに格納し管理する処理と、
    前記統合データのモデル構造であって、当該統合データの採るべき階層構造を前記タグ付き言語で記述したモデル構造を格納する処理と、
    前記統合データとモデル構造とを比較し、前記統合データの不足する部分を抽出する処理とを、実行させる
    ことを特徴とする製品データ管理プログラム。
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