JP4084168B2 - 設計製造データ管理システム及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設計製造データ管理システム及びプログラムに関し、特に、設計データを製造データに変換し易い形式のデータで関連するプロセスデータ及び知識データと共に管理する設計製造データ管理システム及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気、電子、機械等の種々の製品の設計及び製造は、殆どコンピュータを用いて行なわれる。しかし、設計用のコンピュータシステムと製造用のコンピュータシステムとは、異なるのが通常である。そこで、例えば、図12に示すように、複数回のデータ変換処理を必要とする。
【0003】
即ち、CAD(Computer Aided Design )システム101により製品の設計を行い、この結果得た設計データ即ちCADデータをPDM(Product Data Management )システム102により所定の形式のデータ(以下、PDMデータという)に変換し、このPDMデータを更に個別のデータ変換装置103によりNCマシン等の製造装置104に入力可能な形式のデータ(製造データ、例えば、CSV(Comma Separated Value )形式のデータ)に変換し、これを用いて当該製造装置104による製品の製造を行なう。製造装置104は、実際には、複数の製造装置からなるFAシステム等の製造システムである。
【0004】
なお、CADシステムとPDMシステムとを連携させて、CADデータとPDMデータとを統合的に管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−113007号公報(第2頁〜第6頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、設計データから製造データを得るためには、CADデータを最終的には例えばCSV形式のデータに変換する必要がある。しかし、実際には、このようなデータ変換に非常に多くの手間を要しており、設計から製造までの円滑な業務の流れを阻害している。即ち、CADシステム101とPDMシステム102とは比較的統合して管理し易いが、CADシステム101からNCマシン等の製造装置104までを統合的に管理することは非常に困難であるとされている。
【0007】
例えば、通常、1つの工場でも、複数のメーカA社、B社、C社の異なるシステムからなるCADシステム101(PDMシステム102を含む)を使用しており、また、複数のメーカX社、Y社、Z社の異なるシステムからなる製造装置104を使用している。従って、CADシステム101の種類と製造装置104の種類の組み合わせの数だけデータ変換装置103を用意しなければならなかった。また、例えば製造装置104の管理者が、CSV形式のデータが必要になる都度、CADシステム101及び製造装置104の種類に基づいてデータ変換装置103を選択し、データ変換処理をしなければならなかった。
【0008】
以上とは別に、前述と同様の理由で、製品についての設計データと、製品を製造する製造ラインについてのデータ(製造データ)とを統合的に管理することができなかった。また、製造データに限らず、当該製品が企画されてから使用されなくなるまでの当該製品についての企画、製造、購買、営業等の各々の工程(プロセス)毎のデータ(プロセスデータ)とを統合的に管理することができなかった。更に、また、設計データ及びプロセスデータ以外の種々のデータ(以下、知識又は知識データと言う)を、有効に管理することができなかった。例えば、設計においては採用した部品について購入データ等の設計データ以外のデータ(知識)が得られ、製造においては個々の部品の取り扱いのノウハウ等のプロセスデータ以外のデータ(知識)が得られる。これらの知識は、当該知識を得た者により例えば印刷物又は電子データとして残される場合がある。しかし、多くの場合、当該知識を得た者は、当該知識を必要とする者を知る手段を持たないか、又は、相当の労力を費やさなければ知ることができない。また、当該知識を必要とする者も、当該知識の存在を知る手段を持たないか、又は、相当の労力を費やさなければ知ることができない。このため、せっかく得た知識も、有効に活用することができなかった。
【0010】
発明は、設計データを製造データに変換し易い形式のデータで関連するプロセスデータ及び知識データと共に管理する設計製造データ管理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の設計製造データ管理システムは、設計及び製造に関するデータを、製品についての設計データと、前記設計データ以外のデータであって製品が企画されてから使用されなくなるまでのプロセス毎のデータであるプロセスデータと、前記設計データ及びプロセスデータ以外のデータである知識データとに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データとして格納するデータベースと、データベースを管理するデータベース管理部とを備える。前記データベースは、前記知識データの詳細の各々を、当該知識データの階層構造により管理すると共に、前記設計データの階層構造及び前記プロセスデータの階層構造により管理することにより、前記知識データについての3次元的な構造を備える。
【0016】
本発明の設計製造データ管理システムによれば、設計データ、プロセスデータ、知識データを統合的に管理することができる。従って、知識を得た者は、当該知識を電子データとして残すと共に、特に大きな負担もなしで、当該知識を必要とする者に提供することができる。また、当該知識を必要とする者も、特に大きな負担もなしで、当該知識の存在を知ることができ、知識を有効に活用することができる。
【0017】
本発明の設計製造データ管理プログラムは、設計製造データ管理システムにおいて少なくとも設計データを管理する設計製造データ管理プログラムであって、前記プログラムは、コンピュータに、設計及び製造に関するデータを、製品についての設計データと、前記設計データ以外のデータであって製品が企画されてから使用されなくなるまでのプロセス毎のデータであるプロセスデータと、前記設計データ及びプロセスデータ以外のデータである知識データとに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データとして格納するデータベースを管理させる。前記データベースが、前記知識データの詳細の各々を、当該知識データの階層構造により管理すると共に、前記設計データの階層構造及び前記プロセスデータの階層構造により管理することにより、前記知識データについての3次元的な構造を備える。
【0018】
本発明の設計製造データ管理プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の設計製造データ管理システムを実現することができ、従って、知識を得た者は、当該知識を電子データとして残すと共に、当該知識を必要とする者に提供することができ、また、当該知識を必要とする者も、当該知識の存在を知ることができ、知識を有効に活用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は統合情報システム構成図であり、本発明の設計製造データ管理システムを備える設計システム/製造システムの統合情報システムの構成を示す。
【0020】
統合情報システムは、CADシステム1と製造システム(FAシステム)である製造装置4とを、これらの間に設けられる統合情報基盤である設計製造データ管理システム3により統合的に管理する。CADシステム1はコンピュータからなる設計システムであり、当該システムに依存した形式のCADデータ11を出力する。製造装置4は、実際には、複数のNCマシン等の製造装置からなるFAシステム等の製造システムであり、当該システムで入力及び使用可能な形式の製造データ15を入力され、製品の製造を行なう。
【0021】
CADデータ11はPDMシステム2に入力される。PDMシステム2は、CADデータ11を所定の形式のPDMデータ12に変換して出力する。PDMデータ12は設計製造データ管理システム3に入力される。設計製造データ管理システム3は、設計データであるPDMデータ12を取り込んで格納し管理する。また、設計製造データ管理システム3は、これに接続された端末5から入力された知識データ16と、これに接続された端末6から入力されたプロセスデータ17とを、各々、取り込んで格納し管理する。即ち、設計製造データ管理システム3は、設計データ(PDMデータ12を変換したデータ)、知識データ16、プロセスデータ17を統合的に管理して、これらを用いて制御端末41からの指示入力に従う製造データ15を生成し、製造装置4(及び、必要に応じて制御端末41)に出力する。制御端末41は製造装置4にこれを制御する指示入力等を行うために設けられる端末である。
【0022】
ここで、設計データ11又は12とは、当該製品を製造するために使用される当該製品のデータである。従って、CADシステム1(PDMシステム2を含む)から設計製造データ管理システム3に入力される。
【0023】
プロセスデータ17とは、設計データ11又は12以外のデータであって、当該製品が企画されてから使用されなくなるまでの当該製品の各々の工程(プロセス)毎のデータである。即ち、各々のプロセスにおいて当該プロセスのために使用されるデータ(当該プロセスの入力データ)又は当該プロセスの実行の結果を示すデータ(当該プロセスの出力データ)である。プロセスとは、例えば製品の企画、性能決定、評価、設計、生産計画、購買、出荷、アフターサービス、営業等の各々のプロセスを言う。設計プロセス(CADシステム1)の入力データは、プロセスデータ17としてではなく、CADシステム1にその入力として用意される。設計プロセスの出力データ即ち製造プロセス(製造装置4)の入力データは、前記設計データ11等であり、プロセスデータ17から除かれる。従って、プロセスデータ17は、例えば、企画、製造ライン、営業(設計を除く)の支店等の現場に設けられた端末6から設計製造データ管理システム3に入力される。
【0024】
知識データ16とは、設計データ11又は12及びプロセスデータ17以外のデータであって、各々のプロセスの出力データ及び設計データ11等(即ち、設計プロセスの出力データ)を当該プロセスの本来的な出力とすれば、各々のプロセスの実行により得られる付随的なデータである。即ち、知識データ16は、例えば設計上のノウハウ、製造上のノウハウ、部品の購入履歴、設計データのシミュレーション結果、製品の試験結果等である。換言すれば、知識データ16とは、当該プロセス又はそれ以外のプロセスの入力データにフィードバックし得るデータである。例えば、製造上の歩留り向上のノウハウは、購買プロセスにおける部品の購入、設計プロセスにおける設計、製造プロセスにおける製造等において活用することができる。従って、知識データ16は、企画、設計、製造、検査、営業、購買等の種々の現場に設けられた端末5から設計製造データ管理システム3に入力される。
【0025】
設計製造データ管理システム3は、入力インターフェイスである入力部31、統合情報を格納するデータベース(DB)33を管理するデータベース管理部32、出力インターフェイスである出力部34を備える。
【0026】
入力部31は、入力された設計データ12を、所定の形式で記述された入力データ13に変換する。ここで、入力された設計データ12は、実際には、CADシステム1により得た設計データであるCADデータ11をPDMシステム2により前記所定の形式に変換して得たPDMデータ12である。入力データ13はこれをデータベース管理部32に入力するための中間形式のデータであり、データベース管理部32に入力される。
【0027】
CADデータ11は、図2に示すように、当該CADシステム1に依存する形式のデータである。即ち、設計者が使用するCADシステム1のメーカ(のツール)毎に定まる所定の形式を採る。PDMデータ12は、図2に示すように、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、CADそのままの形式を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造装置4が取り出し易いデータ形式とされている。入力データ13は、図2に示すように、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、CADそのままの形式を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造装置4が加工及び編集したりできないデータ形式とされている。
【0028】
例えば、CADデータ11がA社、B社、C社、・・・のツールに依存するデータ形式の場合、PDMデータ12及び入力データ13もA社、B社、C社、・・・のデータ形式に従うものとなる。例えば、PDMデータ12及び入力データ13が同じガーバーデータ形式であると言っても、元のA社、B社、C社、・・・のデータ形式の影響を受けた形式のデータとなる。なお、本発明においては、統合データ14をXMLで統一的に記述するので、CADデータ11からPDMデータ12への変換を省略してもよい。即ち、PDMシステム2を省略して、CADデータ11をCADシステム1から入力部31に入力してこれより直接入力データ13に変換するようにしてもよい。
【0029】
データベース管理部32は、入力データ13を階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ14に変換してDB33に格納し管理する。具体的には、タグ付き言語として、後述するようにXMLが用いられる。従って、統合データ14は、XMLにより記述され、階層構造を表すデータと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造を表すデータにより詳細データの各々をポイントする(図5参照)。入力データ13は、図2に示すように、統合データ14において、入力データ13に対応する部分データ13’とされる。
【0030】
更に、データベース管理部32は、前述のように、知識データ16とプロセスデータ17についても、各々、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ14に変換して、DB33に格納し管理する。即ち、知識データ16及びプロセスデータ17も、各々、XMLにより記述され、階層構造を表すデータと各々の項目の内容を表す詳細データとからなり、階層構造を表すデータにより詳細データの各々をポイントする(図6及び図7参照)。知識データ16及びプロセスデータ17は、図2に示すように、各々、統合データ14において、知識データ16に対応する部分データ16’及びプロセスデータ17に対応する部分データ17’とされる。
【0031】
出力部34は、制御端末41からの指示入力に従って、データベース管理部32から出力された統合データ14を、指定された形式で記述された製造データ15に変換して、製造装置4(及び必要に応じて制御端末41)に出力する。製造データ15は、図2に示すように、CSV形式、ガーバーデータ、DXF形式、PDF形式、HPGL形式を採るデータであり、当該データ変換により、製造現場系システムである製造装置4に応じて組み合わせられた統合データ14を変換したデータである。製造データ15は、統合データ14の部分データ13’、16’、17’から制御端末41からの指示入力に従って選択されたデータの集合である。
【0032】
このように、データベース管理部32は、統合データ14をXMLにより記述して管理するので、データベース管理部32におけるデータ変換のプログラムの種類を減らすことができる。例えば、CADデータ11(即ち、CADシステム1)が5種類あり、製造データ15(即ち、製造装置4)も5種類あるとする。本発明によれば、CADデータ11からXMLデータ14への変換に5種類のプログラム、XMLデータ14から製造データ15への変換に5種類のプログラムを用意すればよい。なお、従来の方法によれば、CADデータ11から製造データ15への変換に、その組み合わせの数である25種類のプログラムを用意しなければならない(図12参照)。
【0033】
ここで、データベース管理部32及びDB33は、本発明に従って、設計及び製造に関する殆ど全てのデータを、設計データ11(PDMデータ12を含む、以下同じ)と、プロセスデータ17と、知識データ16とに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データ14として格納する。DB33は、知識データ16の詳細データの各々を、当該知識データ16の階層構造により管理すると共に、設計データ11の階層構造及びプロセスデータ17の階層構造により管理する。即ち、3重に管理する。これにより、DB33は、知識データ16についての3次元的な構造を備えることになる。
【0034】
設計データ11の階層構造は、タグ付き言語で記述された設計データの階層構造である。この階層構造は、データベース管理部32により、設計データ11の階層構造を表す表形式データを変換することにより得られる。この階層構造はPDMデータ12においてもそのまま維持される。知識データ16の階層構造及びプロセスデータ17の階層構造も、同様にして得られる。
【0035】
例えば、図3に示すように、設計データであるCADデータ11(実際にはPDMデータ12、以下同じ)は、階層構造を表す表形式データTaと、個々の(即ち、複数の)設計データの詳細(詳細データの集合)Daとからなる。個々の設計データの詳細Daとしては、例えば上位階層として、実装図面関係データ、搭載データ、部品データ等がある。実装図面関係データは、その下位階層としての例えば配線図データ、マーキング図データ、レジスト図データ、シルク図データ等からなる。搭載データは、同様に、例えばX−Y座標データ、部品方向データ等からなる。部品データは、同様に、例えば外形寸法データ(部品表)、属性データ(部品対応表)、PIN番号データ、耐熱データ等からなる。
【0036】
プロセスデータ17も、同様に、階層構造を表す表形式データTpと、個々のプロセスデータの詳細Dpとからなる。個々のプロセスデータの詳細Dpとしては、例えば上位階層として、製造ライン構成データ等がある。製造ライン構成データは、その下位階層としての例えばマウンタ構成データ等からなる。
【0037】
知識データ16も、同様に、階層構造を表す表形式データTkと、個々の知識データの詳細Dkとからなる。個々の知識データの詳細Dkとしては、例えば上位階層として、事例データ、Q&A(質問及び回答)データ、実績データ等がある。事例データは、文章、図面、写真、動画、音等を含む。Q&Aデータは、説明、手順、質問等を含む。実績データは、評価データ、実験データ、シミュレーションデータ等を含む。なお、知識データ16は、上位階層として、設計関連知識データ、製造関連知識データ、検査関連知識データ、営業関連知識データ、購買関連知識データ等に分類するようにしてもよい。
【0038】
CADデータ11(及びPDMデータ12)の階層構造を表す表形式データTaは、図3に示すように、統合データ14(及び入力データ13)における階層構造(ツリー構造)Haに変換される。知識データ16及びプロセスデータ17の階層構造を表す表形式データTk及びTpも、同様に、統合データ14における階層構造Hk及びHpに変換される。CADデータ11の個々の設計データの詳細Daは、詳細Da’に変換され、それが属する階層に従って管理される。知識データ16及びプロセスデータ17の個々の知識データの詳細Dk及び個々のプロセスデータの詳細Dpも、同様に、詳細Dk’及びDp’に変換され、それらが属する階層に従って管理される。
【0039】
なお、CADデータ11の個々の設計データの詳細Daとプロセスデータ17の個々のプロセスデータの詳細Dpとが結合されて、統合データ14(の一部)とされる場合がある。例えば、CADデータ11の搭載図データは、部品表と共に、搭載図及び部品表なる統合データ14に変換される。
【0040】
以上のデータは、図3に示すように、統合データ14として管理され、制御端末41からの指示入力に従って、製造データ15として製造装置4(及び、必要に応じて制御端末41)に出力される。例えば、搭載図及び部品表、部品対応表及び座標データなるCADデータ11の統合データ14が選択され、これらの組み合わせに基づいて、実装図が作成され出力される。また、部品対応表なるCADデータ11の統合データ14とマウンタ構成データなるプロセスデータ17の統合データ14とが選択され、これらの組み合わせに基づいて、マウントデータが作成され出力される。
【0041】
図4は設計データ(CADデータ)11の表形式データTaの一例を示す。この表形式データTaは、図4から判るように、列の各々が階層の各々に対応するようにされ、行の各々において同一階層の詳細データは1個のみのが存在するようにされる。例えば、その詳細Daにおける最上位の階層の詳細データAの下には詳細データA1、A2等があり、詳細データA2の下には詳細データA2−1、A2−2等があり、詳細データ階層A2−2の下には詳細データA2−2−1、A2−2−2等があり、詳細データ階層A2−2−2の下には詳細データa、b、cがある。これにより、表形式データTaは階層構造を表す。
【0042】
図4の設計データ11の表形式データTaを変換することにより、図5に示す設計データ11の階層構造(ツリー構造)Haを得る。図4と図5との対比から判るように、図5の階層構造Haは、図4の表形式データTaの列の各々を階層構造の各々の階層に対応させることにより、直ちに得ることができる。同様にして、図6に示すプロセスデータ17の階層構造Hp、及び、図7に示す知識データ16の階層構造Hkを得ることができる。図5及び図6の階層構造Ha及びHpは、その各々の構成に応じた多くの階層を持つ構造となる。これに対して、図7の階層構造Hkは、最上位の「知識データ(K)」の下の階層「事例データ」「Q&Aデータ」「実績データ」の下に、すぐに個々の詳細データの階層が設けられる簡単な構造となる。即ち、事実上2つの階層からなる。各々の階層構造において、その生成後に、各々の階層の詳細データや知識データの詳細データを自由に追加することができる。
【0043】
なお、各々の階層構造において、その詳細データの各々の内容は、実際には、例えば図5に示すように、当該階層構造とは別に格納される。即ち、詳細データは、その内容が存在する格納位置(アドレス)をポイントするのみである(図5においては詳細データa及びKx等についてのみ例示する、他図においても同じ)。従って、統合データ14は、XMLにより、階層構造を記述し、各々の階層においては、当該詳細データ(の名前)及びその格納位置を記述する。
【0044】
また、各々の階層構造において、その生成時に、各々の階層の最後に、対応する表形式データには存在しなかった空の詳細データ(の格納領域)が追加される。この空の詳細データは、知識データ16の当該位置に格納すべき詳細データを格納するために設けられる。例えば、図5において、最上位の階層の詳細データAの下の階層の最後に存在する空の詳細データ(K1)には、当該詳細データAについての知識データの詳細データが格納される。
【0045】
例えば、ある知識データ16の詳細データKxが存在し、設計データ11の詳細データA1に関連する知識であり、プロセスデータ17の詳細データP2に関連する知識であり、Q&Aデータの詳細データK2であるとする。この場合、当該詳細データKxは、図5において詳細データA1の下の階層に位置付けられ、図6において詳細データP2の下の階層に位置付けられ、図7においてQ&AデータK2の下の階層に位置付けられる。これにより、当該詳細データKxは、図8に示すように、3次元的に管理される。即ち、設計データ11の階層(即ち、階層構造、以下同じ)を例えばX座標とし、プロセスデータ17の階層を例えばY座標とし、知識データ16の階層をZ座標とすれば、Kx=(X,Y,Z)=(A1,P2,K2)である。
【0046】
例えば、製品がパーソナルコンピュータ、A1がメインボード、P2がCPUのマウント条件、K2がマウントについてのノウハウであるとする。この場合、パーソナルコンピュータのメインボードの製造におけるCPUのマウント条件についてのノウハウを、当該製品に関係する者の共通の知識(知識データ)として、3次元構造における当該位置で管理することができる。
【0047】
このような知識データ16の3次元的な管理のために、データベース管理部32は、知識データの詳細の各々を、知識データの階層構造に追加すると共に、設計データの階層構造の関連する位置及びプロセスデータの階層構造の関連する位置に追加する。このため、データベース管理部32は、図9に示す入力画面を、知識データ16の処理を行う端末5に表示する。
【0048】
例えば、ある知識データ16の詳細データKxを得た者が、端末5から当該入力画面を参照する。当該入力画面は、例えば2分割され、左側に設計データ11、プロセスデータ17及び知識データ16の階層構造を選択的に表示し、右側に詳細データKxの設計データ11、プロセスデータ17及び知識データ16における階層をプルダウン方式で入力する3個の階層入力フィールドと、詳細データKxの内容を入力する内容入力フィールドとを備える。
【0049】
詳細データKxを得た者は、最初に、画面の左側に設計データ11の階層構造を表示させて、当該詳細データKxが詳細データA1の下の階層に位置付けられるべきものであることを知る。そこで、画面の右側の設計データ11の階層入力フィールドにおいて、プルダウンにより、A1を選択する。同様にして、画面の左側のプロセスデータ17の階層構造を見ながら、画面の右側のプロセスデータ17の階層入力フィールドにP2を入力し、次に、知識データ16の階層構造を見ながら、知識データ16の階層入力フィールドにK2を入力する。更に、画面の右側の内容入力フィールドに、当該詳細データKxの内容(文章、リスト、表、グラフ、図面、写真等)を入力する。
【0050】
これにより、当該詳細データKxは3個の階層構造の各々における前述の位置に追加され、その内容が所定の位置に格納され、3個の階層構造における各々の階層から当該内容の格納位置がポイントされる。以上により、当該詳細データKxは、図8に示すような3次元的な位置で管理され、その内容は1カ所に格納される。
【0051】
また、データベース管理部32は、知識データの階層、設計データの階層及びプロセスデータの階層に基づいて、DB33を検索して、該当する知識データの詳細を抽出する。このため、データベース管理部32は、図9に示す検索画面(従って、入力画面と同一である)を、知識データ16の処理を行う端末5に表示する。
【0052】
例えば、ある知識データ16の詳細データを得たいと考える者が、端末5から当該検索画面を参照するが、この時点で、当該詳細データが存在するか否かも知らない。当該詳細データを得たい者は、最初に、設計データ11の階層構造を見ながら、当該詳細データが(存在するとすれば(以下同じ))詳細データA1に関連するものであるので、その下の階層に位置付けられることを知り、設計データ11の階層入力フィールドにA1を入力する。同様にして、プロセスデータ17の階層構造を見ながら、プロセスデータ17の階層入力フィールドにP2を入力し、次に、知識データ16の階層構造を見ながら、知識データ16の階層入力フィールドにK2を入力する。
【0053】
これにより、図8に示す3次元の座標位置(X,Y,Z)=(A1,P2,K2)に存在する詳細データKxが抽出され、その内容が内容表示フィールド(内容入力フィールドと同一)に表示される。以上により、ある知識データ16の詳細データを得たい者は、当該詳細データと同一又は最も近い詳細データKxの内容を知ることができる。
【0054】
図10及び図11は、設計製造データ管理処理フローであり、設計製造データ管理システム3における設計製造データの管理処理について示す。
【0055】
設計製造データ管理システム3は、当該処理が入力処理であるか否かを調べ(ステップS1)、入力処理である場合、入力データのデータ形式の種類を選択し(ステップS2)、当該種類が入力処理可能であるか否かを調べる(ステップS3)。入力処理可能でない場合、設計製造データ管理システム3は、入力処理不可能であることを制御端末5又は6に表示し(ステップS4)、入力処理を終了するか否かを制御端末5等に問い合わせ(ステップS5)、入力処理を終了しない場合、ステップS2以下を繰り返す。入力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末5等に問い合わせる(ステップS6)。処理を終了する場合、設計製造データ管理システム3は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合(例えば、処理を継続したくなった場合等、以下同じ)、設計製造データ管理システム3は、ステップS1以下を繰り返す。
【0056】
ステップS3において当該入力データのデータ形式の種類が入力処理可能である場合、設計製造データ管理システム3は、当該入力データを変換し(ステップS7)、当該変換により統合データ14を入力ファイル(図示せず)に書き込み、当該入力ファイルの内容をDB33に格納する(ステップS8)。この後、設計製造データ管理システム3は、入力処理を終了するか否かを制御端末5等に問い合わせ(ステップS9)、入力処理を終了しない場合、ステップS2以下を繰り返す。入力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末5等に問い合わせる(ステップS10)。処理を終了する場合、設計製造データ管理システム3は、当該管理処理(この場合は入力処理)を終了する。処理を終了しない場合、設計製造データ管理システム3は、ステップS1以下を繰り返す。
【0057】
一方、ステップS1において入力処理でない(出力処理である)場合、設計製造データ管理システム3は、出力したいデータを選択し(ステップS11)、当該データが出力可能であるか否かを調べる(ステップS12)。出力可能でない場合(例えば、当該データが存在しない場合)、設計製造データ管理システム3は、出力不可能であることを制御端末41、5、6に表示し(ステップS13)、出力処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせ(ステップS14)、出力処理を終了しない場合、ステップS11以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせる(ステップS15)。処理を終了する場合、設計製造データ管理システム3は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、設計製造データ管理システム3は、ステップS1以下を繰り返す。ステップS12において出力可能である場合、設計製造データ管理システム3は、当該データを出力する際のデータ形式の種類を選択し(ステップS16)、当該種類のデータ形式での出力が可能であるか否かを調べる(ステップS17)。出力処理が可能でない場合、設計製造データ管理システム3は、出力処理不可能であることを制御端末41等に表示し(ステップS18)、出力処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせ(ステップS19)、出力処理を終了しない場合、ステップS11以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせる(ステップS20)。処理を終了する場合、設計製造データ管理システム3は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、設計製造データ管理システム3は、ステップS1以下を繰り返す。
【0058】
ステップS17において出力処理が可能である場合、設計製造データ管理システム3は、当該データの出力、即ち、当該データの当該データ形式から当該選択された形式への変換を行い(ステップS21)、当該変換により出力すべき製造データ15を出力ファイル(図示せず)に書き込む(ステップS22)。この後、設計製造データ管理システム3は、出力処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせ(ステップS23)、出力処理を終了しない場合、ステップS11以下を繰り返す。出力処理を終了する場合、更に、処理を終了するか否かを制御端末41等に問い合わせる(ステップS24)。処理を終了する場合、設計製造データ管理システム3は、当該管理処理を終了する。処理を終了しない場合、設計製造データ管理システム3は、ステップS1以下を繰り返す。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設計製造データ管理システムにおいて、設計データ、プロセスデータ、知識データを統合的に管理することができるので、知識を得た者は当該知識を必要とする者に提供することができ、また、当該知識を必要とする者も当該知識の存在を知ることができ、この結果、知識を有効に活用することができる。
【0062】
また、本発明によれば、設計製造データ管理プログラムにおいて、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の設計製造データ管理システムを実現することができ、従って、知識を得た者と当該知識を必要とする者との間で知識を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の設計製造データ管理システムを備える設計システム/製造システムの統合情報システムの構成を示す。
【図2】本発明における設計製造データの流れを示す図である。
【図3】本発明における設計製造データの流れを示す図である。
【図4】表形式データの一例を示す図である。
【図5】階層構造の一例を示す図である。
【図6】階層構造の一例を示す図である。
【図7】階層構造の一例を示す図である。
【図8】知識データの3次元構造を示す図である。
【図9】知識データの入力画面及び検索画面を示す図である。
【図10】設計製造データ管理処理フローである。
【図11】設計製造データ管理処理フローである。
【図12】従来技術説明図である。
【符号の説明】
3 設計製造データ管理システム
11 CADデータ
12 PDMデータ
13 入力データ
14 統合データ
15 製造データ
16 知識データ
17 プロセスデータ
31 入力部
32 データベース管理部
33 データベース(DB)
34 出力部

Claims (5)

  1. 設計及び製造に関するデータを、製品についての設計データと、前記設計データ以外のデータであって製品が企画されてから使用されなくなるまでのプロセス毎のデータであるプロセスデータと、前記設計データ及びプロセスデータ以外のデータである知識データとに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データとして格納するデータベースと、
    前記データベースを管理するデータベース管理部とを備え、
    前記データベースが、前記知識データの詳細の各々を、当該知識データの階層構造により管理すると共に、前記設計データの階層構造及び前記プロセスデータの階層構造により管理することにより、前記知識データについての3次元的な構造を備える
    ことを特徴とする設計製造データ管理システム。
  2. 前記データベース管理部が、前記知識データの詳細の各々を、前記知識データの階層構造に追加すると共に、前記設計データの階層構造の関連する位置及び前記プロセスデータの階層構造の関連する位置に追加する
    ことを特徴とする請求項に記載の設計製造データ管理システム。
  3. 前記データベース管理部が、前記知識データの階層、前記設計データの階層及び前記プロセスデータの階層に基づいて、前記データベースを検索して該当する知識データの詳細を抽出する
    ことを特徴とする請求項に記載の設計製造データ管理システム。
  4. 前記データベース管理部が、少なくとも、前記設計データの階層構造を表す表形式データを変換することにより、前記タグ付き言語で記述された前記設計データの階層構造を得る
    ことを特徴とする請求項記載の設計製造データ管理システム。
  5. 設計製造データ管理システムにおいて少なくとも設計データを管理する設計製造データ管理プログラムであって、
    前記プログラムは、コンピュータに、
    設計及び製造に関するデータを、製品についての設計データと、前記設計データ以外のデータであって製品が企画されてから使用されなくなるまでのプロセス毎のデータであるプロセスデータと、前記設計データ及びプロセスデータ以外のデータである知識データとに分類して、各々を、階層構造を表し得るタグ付き言語で記述された統合データとして格納するデータベースを管理させ、
    前記データベースが、前記知識データの詳細の各々を、当該知識データの階層構造により管理すると共に、前記設計データの階層構造及び前記プロセスデータの階層構造により管理することにより、前記知識データについての3次元的な構造を備える
    ことを特徴とする設計製造データ管理プログラム。
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