JP4084058B2 - 受信レベル測定回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムの受信機で用いられる受信レベル測定回路に係り、特に受信レベルの測定精度を向上できる受信レベル測定回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信システムにおいては、限られた周波数等の資源を有効に利用する方法としてさまざまな多元接続の方法が考案されており、CDMA(Direct Sequence-Code Division Multiple Access :符号分割多元接続)方式と称される方法が注目されている。
CDMA方式の中で、特に通信する各チャネル毎に個別の拡散符号を割り当て多重化し、また、送信シンボルにパイロットシンボルを挿入して伝送し、受信側ではパイロットシンボルの逆拡散信号から振幅位相変動を抽出し、それを用いて受信シンボルの補正を行い検波するDS−CDMA(Direct Sequence Code Division Multiple Access :直接拡散符号分割多元接続)方式では、その方式に特有の閉ループ制御型送信電力制御を行うために受信機において受信波のレベル測定を行う必要があることが知られている。
【0003】
まず、従来のCDMA受信機における受信レベル測定回路の構成例について、図6を使って説明する。図6は、従来の受信レベル測定回路の一構成例を示すブロック図である。
従来の受信レベル測定回路は、図6に示すように、RSSI検出部1と、A/D変換部2と、RSSI平均化部3と、電圧/dB変換部4とから構成されている。
【0004】
従来の受信レベル測定回路の各部について説明する。
RSSI検出部1は、無線周波数帯域の受信信号の受信信号電界強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)を検出し、電圧出力するものである。尚、この部位は、市販のRSSI検出用のIC等で実現されている。
A/D変換部2は、電圧出力されたRSSIのアナログ値をディジタル値に変換するものである。
RSSI平均化部3は、検出されたRSSIを平均化するものである。
電圧/dB変換部4は、平均化されたRSSIの電圧値をdB値に変換するものである。尚、この部位は、RSSIの電圧値対RSSIのdB値の変換テーブルを予め作成しておき、それを参照することで実現できる。
【0005】
次に、従来のレベル測定回路の動作について図6を使って説明する。
従来のレベル測定回路では、受信機に入力された無線周波数帯域の受信信号が、RSSI検出部1に入力され、受信信号のRSSIが検出されてアナログの電圧値で出力され、A/D変換部2でディジタル値に変換され、RSSI平均化部3において所定の平均化を施され、電圧/dB変換部4にてdB値に変換されて、受信機に入力された信号の受信レベルの測定結果がRSSIのdB値で出力されるようになっていた。
これにより、受信機に入力された信号の受信品質を測定することができた。
【0006】
しかしながら、上記従来の受信レベル測定回路では、DS−CDMA方式において複数の送受信機がそれぞれ同一の無線周波数帯域を使用して通信を行うため、受信機に入力された信号の全てが希望波レベルとは限らず、干渉波レベルを含んでいるにもかかわらず、単一に受信レベルとして測定されてしまうという問題点があった。
また、無線周波数帯域におけるRSSI測定では、理論的に受信機無線部の帯域内雑音以下のレベルは測定できず、全レベルで正確な受信レベルが測定できないという問題点があった。
【0007】
この問題点を解決する技術として、平成13年10月12日公開の特開2001−285209号「受信レベル測定方法及び受信レベル測定回路」(出願人:株式会社日立国際電気、発明者:石井 崇人)が提案されている。
この従来技術は、受信信号の電界強度を検出すると共に、受信信号を直交検波してベースバンド信号から各拡散符号毎に希望波及び干渉波を検出し、複数の希望波成分を合成して電力化し、合成された希望波レベルに対して、受信電界強度が帯域内雑音以下のレベルでは当該希望波レベルをそのまま用い、帯域内雑音以上のレベルでは、希望波レベルに無線部検出の受信電界強度を加えて補正し、受信レベル測定結果とする受信レベル測定方法及び受信レベル測定回路である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術である特開2001−285209号の受信レベル測定回路は、希望波レベル、干渉波レベルを分離して測定し、受信電界強度が特定値以下(帯域内雑音以下)の場合には希望波電力のレベルを希望波受信レベルとし、特定値を上回る(帯域内雑音以上)場合には、希望波電力のレベルに電界強度のレベルを加算して補正し、希望波受信レベルとしているので、受信機無線部の帯域内雑音以下のレベルまで希望波受信レベルを測定可能とすることができる基本的な構成を有するものである。
【0009】
本発明は、送受信機に具備される発振器の周波数誤差に起因する位相回転の補正を施し、また希望波が存在しない状況下に不適切な補正を施さないようにして、受信レベルの測定精度を向上できる受信レベル測定回路を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、受信レベル測定回路において、受信信号電界強度検出手段で受信信号の電界強度を検出し、直交検波手段で受信信号を直交検波し、希望波/干渉波検出手段で直交検波された受信信号から複数のスカラーの希望波成分と複数の干渉波成分と複数の周波数誤差ベクトルとを検出し、周波数誤差補正値取得手段で予めテーブルに周波数誤差に対応する補正値を記憶しておき、希望波/干渉波検出手段において検出された複数の周波数誤差ベクトルを加算し平均化し単位変換した周波数誤差に対応する補正値をテーブルから取得し、周波数誤差補正手段で、希望波/干渉波検出手段において検出された複数のスカラーの希望波成分を加算し、補正値を用いて加算されたスカラーの希望波成分を補正し、希望波成分電力化手段で補正されたスカラーの希望波成分を電力化し希望波電力のレベルを求め、希望波レベル補正手段で検出された電界強度が予め定められた特定値以下となった場合は、希望波電力のレベルを希望波受信レベルとして出力し、検出された電界強度が特定値を上回った場合は、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波受信レベルとして出力するものなので、希望波レベル、干渉波レベルを分離して測定し、受信電界強度が特定値以下(帯域内雑音以下)の場合には希望波電力のレベルを希望波受信レベルとし、特定値を上回る(帯域内雑音以上)場合には、希望波電力のレベルに電界強度のレベルを加算して補正し、希望波受信レベルとする際に、送受信機に具備される発振器の周波数誤差に起因する位相回転の補正を施し、希望波受信レベルの測定精度を向上できる。
【0011】
また、本発明は、受信レベル測定回路において、干渉波成分平均化手段で、希望波/干渉波検出手段において検出された複数の干渉波成分を平均化して干渉波受信レベルを出力し、希望波電力対干渉波電力比測定手段で、干渉波成分平均化手段からの干渉波受信レベルと希望波電力のレベルとから希望波電力対干渉波電力比を求め、希望波レベル補正手段で、特定値を基準とした補正の際に、検出された電界強度が特定値を上回った場合において、希望波電力対干渉波電力比がゼロより大きい場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波電力対干渉波電力比がゼロ以下の場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行わないものなので、希望波が存在しない場合の不適切な補正を回避して、希望波成分の測定精度を向上できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0013】
本発明に係る受信レベル測定回路は、希望波/干渉波検出手段で直交検波された受信信号から複数の希望波成分と複数の干渉波成分と複数の周波数誤差ベクトルとを検出し、周波数誤差補正値取得手段で予め周波数誤差に対応する補正値を記憶しておき、希望波/干渉波検出手段において検出された複数の周波数誤差ベクトルを加算し平均化し単位変換した周波数誤差に対応する補正値を取得し、周波数誤差補正手段で、希望波/干渉波検出手段において検出された複数の希望波成分を加算し、補正値を用いて希望波成分を補正するものなので、送受信機に具備される発振器の周波数誤差に起因する位相回転の補正を施し、希望波受信レベルの測定精度を向上できるものである。
【0014】
また、本発明の受信レベル測定回路は、希望波電力対干渉波電力比測定手段で、干渉波受信レベルと希望波電力のレベルとから希望波電力対干渉波電力比を求め、希望波レベル補正手段で、特定値を基準とした補正の際に、検出された電界強度が特定値を上回った場合において、希望波電力対干渉波電力比がゼロより大きい場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波電力対干渉波電力比がゼロ以下の場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行わないものなので、希望波が存在しない場合の不適切な補正を回避して、希望波成分の測定精度を向上できるものである。
【0015】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1の各部との対応を示すと、受信信号電界強度検出手段は、RSSI検出部1、A/D部2、RSSI平均化部3、電圧/dB変換部4に相当し、直交検波手段は、AGC部5、直交検波部6、発振器7、A/D部8に相当し、希望波/干渉波検出手段は、希望波/干渉波検出部9-1、9-2、…9-Nに相当し、周波数誤差補正値取得手段は、加算器50、周波数誤差平均化部51、アークタンジェント演算部52,周波数誤差補正テーブル53に相当し、周波数誤差補正手段は、加算器10、パイロットゲイン補正部41、周波数誤差補正部42に相当し、希望波成分電力化手段は、希望波成分電力化部11、dB変換部15に相当し、干渉波成分平均化手段は、干渉波成分平均化部13、dB変換部15に相当し、希望波レベル補正手段は、希望波レベル補正部12に相当し、干渉波レベル補正手段は、干渉波レベル補正部14に相当し、希望波電力対干渉波電力比測定手段はSIR測定部43に相当している。
【0016】
まず、本発明に係る受信レベル測定回路の構成について図1を使って説明する。図1は、本発明に係る受信レベル測定回路の構成ブロック図である。尚、図6と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
【0017】
本発明の受信レベル測定回路は、従来の受信レベル測定回路と同様の部分として、RSSI検出部1と、A/D変換部2と、RSSI平均化部3と、電圧/dB変換部4とから構成され、更に本発明の特徴部分として、AGC部5と、直交検波部6と、発振器7と、A/D部8と、複数の希望波/干渉波検出部9と、加算器10と、パイロットゲイン補正部41と、周波数誤差補正部42と、希望波成分電力化部11と、dB変換部15と、希望波レベル補正部12と、干渉成分平均化部13と、干渉波レベル補正部14と、SIR測定部43と、加算器50と、周波数誤差平均化部51と、アークタンジェント演算部52と、周波数誤差補正テーブル53とが設けられている。
【0018】
次に、本装置の各部について具体的に説明するが、従来と同様に無線部RSSIを検出するため構成であるRSSI検出部1とA/D変換部2とRSSI平均化部3と電圧/dB変換部4は、動作も従来と全く同様であるので説明を省略し、本発明の特徴部分について具体的に説明する。
【0019】
AGC部5は、自動利得制御(Automatic Gain Control:AGC)を行うもので、RSSI検出部1において検出されたRSSI電圧を用いて、受信電力を一定にするよう増幅(又は減衰)するものである。
直交検波部6は、無線周波数帯域の受信信号を復調し、ベースバンドの同相、直交成分にダウンコンバートするものである。
発振器7は、直交検波部6に搬送波を出力するものである。
A/D部8は、直交検波部6においてダウンコンバートされたアナログベースバンド受信信号をディジタル値に変換するものである。
【0020】
希望波/干渉波検出部9は、ディジタル変換されたベースバンド受信信号から希望波成分、干渉波成分、周波数誤差ベクトルを検出するもので、拡散符号毎に複数設けられている。DC−CDMA方式においては、マルチパスを分離して、各パス毎に希望波成分、干渉波成分、周波数誤差ベクトルを検出するのに用いられる。尚、内部の詳細については、後述する。
【0021】
加算器50は、複数の希望波/干渉波検出部9からの周波数誤差ベクトルを加算して合成するものである。
周波数誤差平均化部51は、加算後の周波数誤差ベクトルを平均化するものである。これは、各希望波/干渉波検出部9からの周波数誤差ベクトルが1シンボル時間における位相回転量であり、フェージング等の要因による位相回転量を含んでいるため、周波数誤差平均化部51で長時間の平均化を行うことによりフェージングによる位相回転の成分を消し、固定的な周波数誤差による位相回転量として検出するためのものである。
【0022】
アークタンジェント演算部(図ではarctan演算部)52は、平均化後の周波数誤差ベクトルにarctan演算を施して、周波数誤差(Hz)に単位変換を行うものである。具体的には、平均化後の周波数誤差ベクトルに対してarctan演算を施してΔθが求められ、更に1シンボル時間長から周波数誤差(Hz)が求められて単位変換されることになる。
周波数誤差補正テーブル53は、周波数誤差に対応する補正値をテーブル形式で記憶している補正テーブルを具備して、アークタンジェント演算部52の出力である周波数誤差(Hz)を入力とし、それに該当する補正値を出力するである。尚、補正テーブルの詳細については、後述する。
【0023】
加算器10は、複数の希望波/干渉波検出部9から出力される希望波成分を加算して合成するものである。
パイロットゲイン補正部41は、送信側で加えられたパイロットシンボル部分のオフセットを補正するものである。即ち、送信側において、パイロットシンボル部分にデータシンボル部分の電力に対して電力オフセットを加えて(パイロットゲイン)送信する場合を考慮し、このパイロットゲイン分の補正を行う。例えばデータシンボルに対してパイロットシンボルが1/2の電力で送信されている場合、パイロットゲイン補正部41では、合成後の希望波成分を√2倍することによりパイロットゲインを補正するようになっている。
周波数誤差補正部42は、加算し、パイロットゲインを補正した希望波成分に対し、周波数誤差補正テーブル53の出力である周波数誤差補正値を用いて周波数誤差を補正するものである。
希望波成分電力化部11は、周波数誤差補正後の希望波成分を電力化するものである。
【0024】
干渉成分平均化部13は、複数の希望波/干渉波検出部9からの干渉波成分を平均化するものである。
dB変換部15は、希望波成分電力化部11の出力である希望波成分電力と、干渉成分平均化部13の出力である干渉波成分電力をそれぞれdB変換するものである。
【0025】
SIR測定部43は、dB変換部15でdB変換された希望波成分電力、干渉波成分電力から希望波電力対干渉波電力比(Signal-to-Interference Ratio:SIR)を求めるものである。
【0026】
希望波レベル補正部12は、電圧/dB変換部4においてdB変換された平均化後のRSSIと、送信側での拡散変調により拡散された信号の拡散率と、受信機において測定された希望波成分電力を絶対電力値に補正するための固定補正値と、SIR測定部43において測定されたSIR値とを入力とし、dB変換部15から出力される希望波成分電力を補正し、希望波受信レベルを出力するものである。補正の詳細については、後述する。
【0027】
干渉波レベル補正部14は、電圧/dB変換部4においてdB変換された平均化後のRSSIと、送信側での拡散変調により拡散された信号の拡散率と、受信機において測定された希望波成分電力を絶対電力値に補正するための固定補正値と、SIR測定部43において測定されたSIR値とを入力とし、dB変換部15から出力される干渉波成分電力を補正し、干渉波受信レベルを出力するものである。補正の詳細については、後述する。
【0028】
次に、本発明の受信レベル測定回路の希望波/干渉波検出部9の内部構成について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の希望波/干渉波検出部9の内部構成を示すブロック図である。
本発明の希望波/干渉波検出部9の内部は、図2に示すように、符号生成部21と、逆拡散部22と、ディジタルAGC部23と、参照用パイロットシンボル生成部25と、複素乗算器26と、希望波成分平均化部27と、加算器28と、ベクトル/スカラー変換部30と、干渉波成分電力化部31と、指数重み付け平均化部32と、遅延器(図ではDelay)34と、複素乗算器35とから構成されている。
【0029】
希望波/干渉波検出部9の内部の各部について説明する。
符号生成部21は、参照用の拡散符号を生成するもので、各希望波/干渉波検出部9-1〜9-Nで異なる拡散符号が生成される。
逆拡散部22は、A/D部8の出力であるベースバンドの受信信号と、符号生成部21の出力である参照用拡散符号との相関演算を行い逆拡散するものである。
【0030】
ディジタルAGC部23は、逆拡散後の信号を送信側の拡散率に応じてシフトアップするものである。例えば逆拡散前の信号の振幅をAとすると、逆拡散後の振幅と送信側の拡散率との関係は理想的には[表1]の通りになる。
【0031】
【表1】
Figure 0004084058
【0032】
[表1]に示すように拡散率により逆拡散後の振幅が異なり、拡散率が低い程、逆拡散後の振幅が小さくなる、即ち信号のビット数が少なくなる。これより後段の処理を固定小数点演算で取り扱うことを想定した場合、ビット数の減少は特性劣化を招く要因になる。そこで、ディジタルAGC部23では、逆拡散後のビット数が一定になるように拡散率に応じたシフトアップを行い、演算ビット数の減少による劣化を防ぐことが可能である。
【0033】
参照用パイロットシンボル生成部25は、後述する振幅位相変動量を求めるための参照用パイロットシンボルを生成するものである。
複素乗算器26は、ディジタルAGC後の受信信号と参照用パイロットシンボルとの複素共役乗算を行い振幅位相変動量を求め、希望波成分ベクトルとするものである。
【0034】
希望波成分平均化部27は、複素乗算器26からの希望波成分ベクトルを平均化するものである。
ベクトル/スカラー変換部30は、希望波成分ベクトルをスカラーに変換するものである。
【0035】
加算器28は、希望波成分平均化部27の出力である平均化後の希望波成分ベクトルと、平均前の希望波成分ベクトルとの差分を求め、干渉波成分ベクトルとするものである。
干渉波成分電力化部31は、干渉波成分ベクトルの電力を求め、更に所定のパイロットシンボル数分の平均化を行うものである。
指数重み付け平均化部32は、電力化された干渉波成分を長区間にわたり指数重み付け平均するものである。
【0036】
遅延器(図ではDelay)34は、入力される信号を1シンボル時間遅延させるものである。
複素乗算器35は、あるシンボルにおける振幅位相変動量と、その前のシンボルにおける振幅位相変動量との複素乗算を行い、1シンボル時間における位相回転量を周波数誤差ベクトルとして求めるものである。
【0037】
次に、本発明の受信レベル測定回路の動作について、図1,図2を用いて説明する。
本発明の受信レベル測定回路では、受信機に入力された無線周波数帯域の受信信号が、従来と同様に、RSSI検出部1に入力され、RSSIが検出されてアナログの電圧値で出力され、A/D変換部2でディジタル値に変換され、RSSI平均化部3において所定の平均化を施され、電圧/dB変換部4にてdB値に変換されて、受信機に入力された無線信号の受信レベルの測定結果がRSSIのdB値で出力される。
【0038】
一方、入力された無線周波数帯機の受信信号は、RSSI検出部1で検出されたRSSI電圧を用いて、AGC部5にて利得制御が行われ、受信電力が一定になるように制御される。そして、さらに直交検波部6において、発振器7からの搬送波によりベースバンドの同相、直交成分にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされたベースバンドの受信信号は、A/D部8でディジタル信号に変換され、複数の希望波/干渉波検出部9に並列に入力される。
【0039】
ここで、各希望波/干渉波検出部9内部における動作について説明する。
各希望波/干渉波検出部9の内部では、入力されたベースバンドのディジタル受信信号が逆拡散部22に入力され、各符号生成部21から出力されるの参照用の拡散符号との相関演算が行われて逆拡散され、逆拡散後の受信シンボルが、ディジタルAGC部23に入力される。
【0040】
そして、ディジタルAGC部23では、送信側の拡散変調における拡散率に応じて逆拡散後の信号がシフトアップされて定振幅にされ、ディジタルAGC後の受信シンボルのうちパイロットシンボル部分は、参照用パイロットシンボル生成部25から出力される参照用パイロットシンボルと複素乗算器26にて複素共役乗算を施され、その計算結果が振幅位相変動量、すなわち希望波成分ベクトルとして出力され、希望波成分平均化部27にて所定のパイロットシンボル数分の平均化が行われ、ベクトル/スカラー変換部30にてその大きさ(スカラー)が求められて出力される。
【0041】
また、複素乗算器26から出力される平均前の希望波成分ベクトルと、希望波成分平均化部27から出力される平均化後の希望波成分ベクトルとの差分が加算器28でとられ、これが干渉波成分ベクトルとなり、干渉波成分電力化部31で電力化及び所定のパイロットシンボル数分の平均化が行われ、更に指数重み付け平均化部32において長区間にわたる平均化が行われて出力される。
【0042】
ここで、この希望波成分及び干渉波成分について図3,図4と式を用いて説明する。図3は、フレームフォーマットの例を示すフィーマット図であり、図4は、希望波成分ベクトルの平均化の様子を示す説明図である。
受信した信号には、図3に示すようにパイロットシンボルP1〜P4が周期的に挿入されていることにする。そして、パイロットシンボルP1〜P4における希望波成分ベクトルを図4に示すベクトルP1〜ベクトルP4であるとすると、平均化後の希望波成分ベクトルは、図4に示すベクトルRになる。
【0043】
また、希望波成分平均化部27で平均化された希望波成分ベクトルを、数式で表すと[数1]のように表される。
【0044】
【数1】
Figure 0004084058
【0045】
そして、更に、希望波成分ベクトルに対してベクトル/スカラー変換部30においてベクトル/スカラー変換を行うと、その出力Sは、[数2]で表すことができる。
【0046】
【数2】
Figure 0004084058
【0047】
一方、平均化後の希望波成分ベクトルRに対する平均前の希望波成分ベクトルP1〜P4の分散、すなわち干渉波成分ベクトルで表される干渉波成分Iは、干渉波成分電力化部31からの出力であり、数式で表すと[数3]のように表される。
【0048】
【数3】
Figure 0004084058
【0049】
更に、干渉波成分は指数重み付け平均化部32において長区間にわたり平均化が行われ、複数の希望波/干渉波検出部9において、各々希望波成分(S)、干渉波成分(I)を求めることができる。
【0050】
一方、受信機において受信した信号には、送信側の発振器と受信側の発振器の周波数誤差に起因する位相回転が含まれている。これを補正するために、複素乗算器26から出力されるあるシンボルにおける振幅位相変動量(希望波成分ベクトル)と、遅延器34で1シンボル時間遅延された前シンボルにおける振幅位相変動量(希望波成分ベクトル)とを複素乗算器35により複素乗算することによりその差分を求め、1シンボル時間における位相回転量が周波数誤差ベクトルとして求められる。
以上が各希望波干渉波検出部9における動作例である。
【0051】
DS−CDMA方式においては、マルチパスを逆拡散により分離することが可能なので、分離された遅延波をそれぞれ希望波/干渉波検出部9に割り当ててやることにより、各パス毎の希望波成分(S)、干渉波成分(I)を求め、それを合成、平均することにより求める希望波レベル、干渉波レベルを得ることができる。
【0052】
次に複数の希望波/干渉波検出部9からの希望波成分(S)、干渉波成分(I)から、合成、平均後の希望波受信レベル、干渉波受信レベルを得る動作について説明する。
希望波成分(S)に関しては、各希望波/干渉波検出部9において検出された希望波成分([数2])が、加算器10で加算され、これにより分離された各パスの希望波成分の和が求められて、合成後の希望波成分を求めることができる。
【0053】
そして、本発明の特徴の1つとして、合成後の希望波成分は、送信側でパイロットシンボル部分にデータシンボル部分の電力に対して電力オフセット(パイロットゲイン)を加えて送信されている場合を考慮して、パイロットゲイン補正部41で送信側で加えられているパイロットゲイン分の補正が行われる。
【0054】
そして、更に本発明の特徴の2つ目として、パイロットゲイン分の補正後の合成された希望波成分に対して周波数誤差の補正が行われる。
具体的には、各希望波/干渉波検出部9から出力される周波数誤差ベクトルが加算器50で加算され、合成後の周波数誤差ベクトルが求められ、更に周波数誤差平均化部51で長区間の平均化が行われて、フェージングによる位相回転の成分が消されて、固定的な周波数誤差による位相回転量として検出される。
【0055】
そして、平均化後の周波数誤差ベクトルに対してアークタンジェント演算部52でarctan演算が施されて周波数誤差(Hz)が求められ、周波数誤差補正テーブル53で周波数誤差に対応する補正値が求められる。
【0056】
ここで、周波数誤差補正テーブル53に具備されている補正テーブルについて、詳しく説明する。
まず、周波数誤差のない理想状態について考える。
希望波成分平均化部27における平均化後の希望波成分ベクトルをRとすると、
R(1、0)
である。
【0057】
それに対して、周波数誤差f、平均化するシンボル数Nとすると、i番目のシンボルの希望波成分ベクトルR′は、次の式で表すことができる。
R′=(I+jQ)×(Cos(2πft)+jSin(2πft))…(数4)
【0058】
よって、例えば、周波数誤差が200Hzあり、平均化シンボル数4、シンボルレート15kspsのとき、振幅方向の変動が無いと仮定すると、上式においてf=200、t=N×(1/15000)、I=1、Q=0とすると、それぞれの希望波成分ベクトルR′、R′、R′、R′は、
R′(1、0)
R′(0.996493、0.083678)
R′(0.985996、0.166769)
R′(0.968583、0.24869)
となる。
【0059】
よって上記4シンボル分の平均化後の希望波成分ベクトルR′は、[数2]から
R′(0.987768、0.124784)
となりその大きさは、
|R′|=0.995619
となって、周波数誤差が無い場合に対して0.995619倍の大きさとなる。
そこで、補正テーブルでは上記値を大きさ1に補正する値、すなわち
200Hzにおけるテーブル補正値=1/0.995619=1.004401
を周波数誤差200Hzに対する補正値として対応付けることができる。
【0060】
上記示したような形で、複数の周波数誤差についてあらかじめ補正値を求め、補正テーブルとして記憶しておく。
そして、周波数誤差補正テーブル53ではアークタンジェント演算部52からの周波数誤差に対応する補正値を周波数誤差補正部42に出力するようになっている。
【0061】
そして、周波数誤差補正テーブル53で周波数誤差に対応付けて求められた補正値が周波数誤差補正部42に出力され、周波数誤差補正部42でパイロットゲイン補正部41からの合成後の希望波成分に補正値が乗算されて補正され、更に希望波成分電力化部11で補正後の希望波成分が電力化される。
【0062】
一方、干渉波成分(I)は、各パス毎の干渉波成分([数3])が、干渉成分平均化部13にて更に平均化される。
これは、逆拡散により分離された各パスを合成する、いわゆるRAKE合成によって、希望波成分は合成され、また、干渉成分は各パス独立なので合成後は平均化されて抑圧されることを利用したものである。
【0063】
そして、希望波成分電力化部11から出力される希望波成分電力、及び干渉成分平均化部13から出力される干渉波成分電力は、それぞれdB変換部15でdB変換される。dB変換された希望波成分電力及び干渉波成分電力は、SIR測定部43にてその希望波電力対干渉波電力比(SIR)が求められる。
【0064】
次に、希望波成分、干渉波成分の補正方法の概念について図5を用いて説明する。図5は、ベースバンド検出の希望波成分とRSSIの関係を模式的に示す説明図である。
図5に示すように、受信電界が帯域内雑音レベル近傍になると(図中領域A)、RSSI検出部1〜電圧/dB変換部4で検出される無線部検出のRSSIは、フロアを引いてしまい正しく検出されなくなり、無線部AGCも適切にはかからなくなる。一方、ベースバンドでの希望波成分は、領域Aでは線形に検出することができる。
【0065】
それに対して、図中領域Bだと、無線部RSSIが正しく検出できるために、無線部AGCが正しくかかり、そのため、ベースバンドでの希望波成分は飽和してしまい正しく検出できない。
そこで、ベースバンドで検出された希望波成分と、RSSI検出部1〜電圧/dB変換部4で検出される無線部検出のRSSIとを用いて、領域Aではベースバンドで検出された希望波成分をそのまま利用し、領域Bではベースバンドで検出された希望波成分に無線部のRSSIを補正値として加えることにより、全受信電界領域において適切なる受信レベル検出を行うことができる。
【0066】
上記補正方法を実現する具体的な方法について説明する。
まずRSSI検出部1〜電圧/dB変換部4で検出できる無線部のRSSIの下限値をアナログのパラメータとして予め希望波レベル補正部12に保持しておく。図5においては、RSSIの曲線が、領域Aと領域Bとの境界線と交わる当たりの値をRSSIの下限値とする。そして、検出された無線部のRSSIが、この下限値に達して下限値以下になると無線部RSSIによる補正を行わないようにする。すなわち、
Figure 0004084058
である。この(数5)により、無線部において正しくAGCがかからない領域(図5中領域A)ではRSSIの値の信頼性は低いのでRSSIによる補正は行わずに、正しくAGCがかかる領域(図5中領域B)ではRSSIによる補正が実現できる。
【0067】
更に、希望波レベル補正部12では、ベースバンド検出の希望波レベルを絶対電力に直す補正を行う。これは、送信側で拡散変調することにより得られる拡散利得と、希望波/干渉波検出部9のディジタルAGC部23に対する固定の補正値とをパラメータとして保持しておき、これを上記無線部RSSIによる補正の後に、希望波レベルに加えることにより、求める希望波レベルの絶対電力値を得ることができる。
【0068】
ここで、上記希望波/干渉波検出部9のディジタルAGC部23に対する固定の補正値の一例について説明する。
今、受信機で受信した受信波に干渉が無い場合を考える、すなわち受信電力はすべて希望波である。この場合ベースバンドで逆拡散を行うと拡散利得が得られる。すなわち
理想希望波レベル=干渉が無い場合の無線部RSSI …(数6)
である。この理想希望波レベルに対してベースバンドで検出する希望波レベルは、演算時のフォーマットや実現法によって固定のオフセットがかかる。このオフセットを吸収するために、干渉が無い状態である受信信号を入力したときの理想希望波レベルと測定希望波レベルの差を固定の補正値パラメータとして保持しておき、測定希望波レベルにこの補正値を加えることによって、絶対電力値に直すことができる。
【0069】
また、希望波レベルと干渉波レベルとのSIRの関係は次式で表すことができる。
SIR(dB)=希望波レベル−干渉波レベル+拡散利得 …(数7)
そこで、干渉波レベル補正部14では、希望波レベル補正部12で行った補正に対して、(数7)の関係が保たれるような絶対電力値に補正されるようになっている。
【0070】
また、DS−CDMA方式では、複数の送受信機がそれぞれ同一の無線周波数帯域を使用して通信を行うため、受信機に入力された信号のすべてが希望波成分とは限らず、干渉波成分を含んでいるということは従来技術のところで述べた。このため、希望波レベル補正部12における補正において、受信電界が帯域内雑音以上のレベルである場合に、(数5)に従って希望波レベルに無線部検出のRSSIを加えて補正し受信レベル測定結果とすると、受信信号に希望波が存在しないような場合であっても補正を施してしまい、希望波が存在しないにもかかわらず、あたかも希望波が存在するかのようなレベルと測定されてしまう恐れがある。
【0071】
そこで、本発明の3つ目の特徴として、SIR測定部43で測定されたSIRを用いて、例えばSIRが「0dB」以下の場合は(数5)の補正を行わないで、「0dB」より大きい場合には行うというように、SIR値を補正のしきい値に利用することにより、希望波が存在しないような場合の不適切な補正を防ぐことができる。
【0072】
尚、上記説明した受信レベル測定回路に関して、DSP(Digital Signal Processor)にて実現可能である。
【0073】
本発明の実施の形態の受信レベル測定回路によれば、複数の希望波/干渉波検出部9において、逆拡散によりマルチパスを分離し、分離された遅延波から各パス毎の希望波成分と干渉波成分を検出し、各希望波/干渉波検出部9で検出された希望波成分は加算器10で合成し、干渉波成分は、干渉成分平均化部13で平均化してしているので、希望波レベル、干渉波レベルを別々に測定でき、受信波に含まれる不要な干渉波成分を除いた希望波成分のレベルを受信レベルとして取得できる効果がある。
【0074】
また、本発明の受信レベル測定回路によれば、各希望波/干渉波検出部9で検出された希望波成分を合成した希望波レベルに対して、希望波レベル補正部12において、受信電界が帯域内雑音以下のレベルでは、希望波レベルをそのまま用い、帯域内雑音以上のレベルでは、希望波レベルに無線部検出のRSSIを加えて補正し、受信レベル測定結果としているので、受信機無線部の帯域内雑音以下のレベルまで測定可能な受信レベル測定回路を実現できる効果がある。
【0075】
また、本発明の受信レベル測定回路によれば、上記のように帯域内雑音以上のレベルで、希望波レベルに無線部検出のRSSIを加えて補正し受信レベル測定結果とする場合、受信信号に希望波が存在しないにもかかわらず不適切な補正を行わないように、SIR測定部43で希望波電力対干渉波電力比(SIR)を求め、希望波レベル補正部12においてSIRを閾値としてRSSIを加算する補正を行うか否かを判断するので、希望波が存在しない場合の不適切な補正を回避して、希望波成分の測定精度を向上できる効果がある。
【0076】
そして、更に本発明の受信レベル測定回路によれば、送信側の発振器と受信側の発振器の周波数誤差に起因する位相回転を補正するために、各希望波/干渉波検出部9において、シンボル間の位相回転量を周波数誤差ベクトルとして求め、予め記憶している周波数誤差に対応する補正値を用いて周波数誤差補正部42で希望波成分を補正するので、希望波成分の測定精度を向上できる効果がある。
【0077】
また、本発明の受信レベル測定回路によれば、各希望波/干渉波検出部9で求めた周波数誤差ベクトルにはフェージング等の要因による位相回転量を含んでいるので、加算器50で各希望波/干渉波検出部9からの周波数誤差ベクトルが合成された後に、周波数誤差平均化部51で長区間の平均化が行われ、フェージングによる位相回転の成分が消されて、固定的な周波数誤差による位相回転量として検出されるので、周波数誤差の補正精度が向上され、希望波成分の測定精度を向上できる効果がある。
【0078】
また、本発明の受信レベル測定回路によれば、送信側で加えられたパイロットシンボル部分のオフセット(パイロットゲイン)を補正するために、パイロットゲイン補正部41で送信側で加えたパイロットゲインに応じて合成後の希望波成分を補正するので、パイロットシンボルを用いて測定した希望波受信レベルをよりデータシンボルの希望波受信レベルの近づけることができ、希望波受信レベルの精度を向上できる効果がある。
【0079】
そして、本発明の受信レベル測定回路をCDMA無線通信システムの基地局及び移動局に採用することによって、検出された電界強度が予め定められた特定値(RSSIの下限値)以下となった場合は、希望波電力のレベルを希望波受信レベルとして出力し、検出された電界強度が特定値を上回った場合は、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波受信レベルとして出力するので、受信レベルを全受信電界にわたって精度良く測定でき、閉ループ制御型の送信電力制御を有効に行うことができる効果がある。
具体的には、本発明の受信レベル測定回路を備え、送信電力の制御に受信レベル測定回路からの出力を利用する送受信機を、基地局又は移動局に設置することで実現できる。
【0080】
また、上記基本的な補正に加えて、希望波が存在しない場合の補正の有無の判断、又は送信側の発振器と受信側の発振器の周波数誤差の補正、或いはパイロットゲインの補正などをも施すことによって希望波受信レベル及び干渉波受信レベルの測定精度を向上し、閉ループ制御型の送信電力制御を有効に行うことができる効果がある。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、希望波/干渉波検出手段で直交検波された受信信号から複数のスカラーの希望波成分と複数の干渉波成分と複数の周波数誤差ベクトルとを検出し、周波数誤差補正値取得手段で予めテーブルに周波数誤差に対応する補正値を記憶しておき、希望波/干渉波検出手段において検出された複数の周波数誤差ベクトルを加算し平均化し単位変換した周波数誤差に対応する補正値をテーブルから取得し、周波数誤差補正手段で、希望波/干渉波検出手段において検出された複数のスカラーの希望波成分を加算し、補正値を用いて加算されたスカラーの希望波成分を補正する受信レベル測定回路としているので、送受信機に具備される発振器の周波数誤差に起因する位相回転の補正を施し、希望波受信レベルの測定精度を向上できる効果がある。
【0082】
また、本発明によれば、希望波電力対干渉波電力比測定手段で、干渉波受信レベルと希望波電力のレベルとから希望波電力対干渉波電力比を求め、希望波レベル補正手段で、特定値を基準とした補正の際に、検出された電界強度が特定値を上回った場合において、希望波電力対干渉波電力比がゼロより大きい場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波電力対干渉波電力比がゼロ以下の場合には、希望波電力のレベルに検出された電界強度のレベルを加算する補正を行わない受信レベル測定回路としているので、希望波が存在しない場合の不適切な補正を回避して、希望波成分の測定精度を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る受信レベル測定回路の構成ブロック図である。
【図2】本発明の希望波/干渉波検出部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】フレームフォーマットの例を示すフィーマット図である。
【図4】希望波成分ベクトルの平均化の様子を示す説明図である。
【図5】ベースバンド検出の希望波成分とRSSIの関係を模式的に示す説明図である。
【図6】従来の受信レベル測定回路の一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…RSSI検出部、 2…A/D変換部、 3…RSSI平均化部、 4…電圧/dB変換部、 5…AGC部、 6…直交検波部、 7…発振器、 8…A/D部、 9…希望波/干渉波検出部、 10…加算器、 11…希望波成分電力化部、 12…希望波レベル補正部、 13…干渉成分平均化部、 14…干渉波レベル補正部、 15…dB変換部、 21…符号生成部、 22…逆拡散部、 23…ディジタルAGC部、 25…参照用パイロットシンボル生成部、 26…複素乗算器、 27…希望波成分平均化部、 28…加算器、 30…ベクトル/スカラー変換部、 31…干渉波成分電力化部、 32…指数重み付け平均化部、 34…遅延器、 35…複素乗算器、 41…パイロットゲイン補正部、 42…周波数誤差補正部、 43…SIR測定部、 50…加算器、 51…周波数誤差平均化部、 52…アークタンジェント演算部、 53…周波数誤差補正テーブル

Claims (3)

  1. 受信信号の電界強度を検出する受信信号電界強度検出手段と、
    受信信号を直交検波する直交検波手段と、
    前記直交検波された受信信号から複数のスカラーの希望波成分と複数の干渉波成分と複数の周波数誤差ベクトルとを検出する希望波/干渉波検出手段と、
    予め周波数誤差に対応する補正値をテーブルに記憶し、前記検出された複数の周波数誤差ベクトルを加算し平均化し単位変換した周波数誤差に対応する補正値を前記テーブルから取得する周波数誤差補正値取得手段と、
    前記検出された複数のスカラーの希望波成分を加算し、前記補正値を用いて前記加算されたスカラーの希望波成分を補正する周波数誤差補正手段と、
    前記補正されたスカラーの希望波成分を電力化し希望波電力のレベルを求める希望波成分電力化手段と、
    前記検出された電界強度が予め定められた特定値以下となった場合は、前記希望波電力のレベルを希望波受信レベルとして出力し、前記検出された電界強度が前記特定値を上回った場合は、前記希望波電力のレベルに前記検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、希望波受信レベルとして出力する希望波レベル補正手段とを備えることを特徴とする受信レベル測定回路。
  2. 希望波/干渉波検出手段で検出された複数の干渉波成分を平均化して干渉波受信レベルを出力する干渉波成分平均化手段と、
    前記干渉波成分平均化手段からの干渉波受信レベルと、希望波電力のレベルとから希望波電力対干渉波電力比を求める希望波電力対干渉波電力比測定手段とを設け、
    希望波レベル補正手段は、特定値を基準とした補正の際に、検出された電界強度が前記特定値を上回った場合において、前記希望波電力対干渉波電力比がゼロより大きい場合には、前記希望波電力のレベルに前記検出された電界強度のレベルを加算する補正を行い、前記希望波電力対干渉波電力比がゼロ以下の場合には、前記希望波電力のレベルに前記検出された電界強度のレベルを加算する補正を行わない手段であることを特徴とする請求項1記載の受信レベル測定回路。
  3. 希望波/干渉波検出手段は、
    参照用の拡散符号を生成する符号生成部と、
    ディジタル変換されたベースバンドの受信信号と前記符号生成部の出力である参照用符号との相関演算を行い、逆拡散する逆拡散部と、
    逆拡散後の信号を送信側の拡散率に応じてシフトアップするディジタルAGC部と、
    参照用パイロットシンボルを生成する参照用パイロットシンボル生成部と、
    前記ディジタルAGC部からの信号と前記参照用パイロットシンボルとの複素共役乗算を行い、振幅位相変動量を求め、希望波成分ベクトルとする複素乗算器と、
    前記希望波成分ベクトルを1シンボル時間遅延させる遅延器と、
    任意のシンボルにおける前記希望波成分ベクトルと、前記遅延器からの1シンボル前の希望波成分ベクトルとの複素乗算を行い、1シンボル時間における位相回転量を求め、周波数誤差ベクトルとして出力する複素乗算器と、
    前記希望波ベクトルを平均化する希望波成分平均化部と、
    前記平均化された希望波ベクトルと平均化前の希望波ベクトルとの差分を求め、干渉波成分ベクトルを出力する加算器と、
    前記希望波成分平均化部からの希望波成分ベクトルをスカラーに変換して希望波成分として出力するベクトル/スカラー変換部と、
    前記加算器からの干渉波成分ベクトルの電力を求める干渉波成分電力化部と、
    前記電力化された干渉波成分を指数重み付け平均化して干渉波成分として出力する指数重み付け平均化部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の受信レベル測定回路。
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