JP4084001B2 - 送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、羽根車の回転運動によって吸込み口から吸込まれた空気を吹出し口から吹出す送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、吸込み口及び吹出し口を有するハウジング内に羽根車を設け、羽根車の回転運動によって吸込み口から吸込まれた空気を吹出し口から吹出す送風機が知られている。この送風機は、塵芥、落葉や木片等を吹き飛ばす吹出し作業、あるいは塵芥、小さな木片等を集める吸込み作業に用いられる。
【0003】
吹出し作業に送風機を用いる場合、吹出し口には付属品のノズルが取り付けられ、吸込み口には何も取り付けられない。一方、吸込み作業に送風機を用いる場合、吹出し口には付属品の集塵袋が取り付けられ、吸込み口には付属品のノズルが取り付けられる。ハウジングに形成された吸込み口は、付属品のノズル等を着脱可能なようにハウジングの側面から筒状に突出して形成される。
【0004】
図9は、ファンハウジング30に形成された吸込み口31の断面図を示す。吸込み口31の基部には、ファンハウジング30内に収納された羽根車に指が当たらないように網状のリブ32が形成される。また、吸込み口31の外周面あるいは内周面には付属品のノズルを取り付けるための鉤形の取付け溝が形成される(図1と図2参照)。吸込み口31の内周面あるいは外周面に形成された取付け溝にノズル21に形成された突起を嵌め込み、ノズル21を回転することで、ノズル21が吸込み口31に取り付けられる。
【0005】
図10は、吸込み口31を成形するための金型の見切りを示す。上型33と下型34との間には、ファンハウジング30及び吸込み口31を成形するためのキャビティ35が形成される。また下型34にはリブを成形するためのキャビティ36が形成される。上型33と下型34の見切り線は、リブ32の上面32a(すなわちリブ32の先端側の面)に略位置する。キャビティ35,36に樹脂を充填した後、上型33はこのリブ32の上面32aから上方向に引き抜かれ、下型34は下方向に引き抜かれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような製造工程を経る送風機にあっては、上型33をリブ32の上面32aから上方向に引き抜き易くするために、図9に示すように、吸込み口31の先端部31aの内径Xがリブ32の上面32aでの吸込み口31の内径Yよりも大きくされる。吸込み口31の先端部31aの内径Xはノズルの径によって一定に決められるので、X>Yとなることにより、リブ32の上面32aでの吸込み口31の内径が小さくなる。これにより、吸込み口31の空気の通路断面積もリブ32の上面32aで小さくなり、吸込み能力が低下するという問題が生じる。特に送風機の吸込み口31には圧力を高めるために多量の空気が吸い込まれるので、吹出し口に比べ通路断面積が小さくなることによる影響が大きい。
【0007】
そこで、本発明は、吸込み能力を向上させることができる送風機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は、吸込み口と吹出し口とを有するファンハウジングと、このファンハウジング内に収納された羽根車とを備え、前記羽根車の回転運動によって前記吸込み口から吸込まれた気体を前記吹出し口から吹出す送風機であって、前記吸込み口は、前記羽根車の軸線上に配置され、前記吸込み口から吸込まれた気体が向きを変え、前記羽根車の軸線と略直交する前記ファンハウジングの内側面に沿って流れ、前記吸込み口周囲のファンハウジングの内側面に、吸込み口の全周にわたり又は全周の一部に前記羽根車の軸線方向に突出する突部が形成され、前記突部は、その先端部が前記ファンハウジングの内側面に沿うように丸みを帯びて円弧状に形成されていることを特徴とする送風機により、上述した課題を解決した。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る送風機について説明する。図1は送風機の平面図(一部断面を含む)を示し、図2は送風機の側面図(一部断面図を含む)を示す。送風機は、送風機本体4と、該送風機本体4に結合されるハンドル5とを備える。この送風機は、電動工具の一種として用いられるもので、手持ち可能なように小型で軽量に構成されている。
【0013】
送風機本体4は、吸込み口7及び吹出し口8を有するファンハウジング3と、ファンハウジング3内に収納される羽根車2と、羽根車2に結合される駆動軸6と、駆動軸6に直結される電動機1とを備える。羽根車2の回転運動によって、吸込み口7から吸込まれた空気を吹出し口8から吹出す。
【0014】
ファンハウジング3は、羽根車2を軸線方向の両側から挟み、羽根車2の軸線と直交する円板状の一対の側壁16,16と、一対の側壁16,16の外周を繋ぐ周壁17とから構成される。この側壁16,16及び周壁17とによって、羽根車2を収納するスペース、及び羽根車2から出た空気を集めて吹出し口8に導くうず形室9が形成される。
【0015】
吸込み口7は羽根車2の軸線上におけるファンハウジング3の側面(より詳しくは側壁16の外側面)から筒状に突出するように形成される。吸込み口7の基部7aには、ファンハウジング3内に収納された羽根車2に指が当たらないように安全のための網状のリブ19が形成される。また、吸込み口7の内周面には付属品のノズルを取り付けるための鉤形の取付け溝20が形成される。取付け溝20にノズル21に形成された突起21aを嵌め込み、ノズル21を回転することで、ノズル21が吸込み口7に取り付けられる。吸込み口7の詳細な構成については後述する(図3ないし図5参照)。
【0016】
吹出し口8はうず形室9から羽根車2の接線方向に延びるように形成される。吹出し口8の先端側には、集塵袋あるいはノズル等の付属品が取り付けられる取付け部8aが形成される。
【0017】
吸込み口7の周囲のファンハウジング3の内側面16cには、吸込み口7の全周にわたり羽根車2の軸線方向に突出する突部18が形成される。この突部18は、羽根車2の軸線と直交する平坦な内側面16cよりも寸法Zだけ羽根車2側に突出する(図8参照)。この突部18は、内側面16cと吸込み口7の内周面7cとの交差位置近傍に設けられ、吸込み口7の内周面7cよりも吸込み口7の半径方向内側には突出しない。突部18の表面形状は滑らかな円弧状に形成される。また、この実施形態では、突部18は吸込み口7の周囲の全周に設けられているが、吸込み口7の全周の一部に部分的に設けられても良い。
【0018】
ファンハウジング3の周壁17には、羽根車2の軸線と直交する方向に延びる分割面17aが形成され、この分割面17aによりファンハウジング3は羽根車2の軸線の方向に2分割される。ファンハウジング3の各分割体3a,3bは、ポリカーボネート、ナイロン等のエンジニアリングプラスチックを射出成形等することにより製造され、ボルト等の結合手段によって結合される。
【0019】
ファンハウジング3内に収納される羽根車2は、吸い込まれた空気に羽根車2の軸線に対して垂直外向きの流れを生じさせる所謂遠心羽根車からなる。羽根車2の回転運動によって、吸込み口7内を羽根車2の軸線方向に流れる空気は、羽根車2内で向きを略90度変え、羽根車2の半径方向に流れる(図8参照)。
【0020】
羽根車2の中心には、圧入、ボルト結合等の固定手段によって駆動軸6が固定される。この駆動軸6は電動機1の内部まで延びる。駆動軸6は、その一端側が電動機1に設けたベアリングによって回転自在に支持され、他端側がファンハウジング3に設けたベアリングによって回転自在に支持されている。
【0021】
電動機1は、ボルト等によってファンハウジング3に結合される略円筒状のモータハウジング11と、モータハウジング11内に取り付けられた固定子12と、駆動軸6に結合されると共に固定子12の内側に配置される回転子13とを備える。
【0022】
この送風機は、吹出し作業又は吸込み作業を行うのに用いられる。図3は、吹出し作業を行うために、吹出し口8にノズル21を取り付けた送風機を示す。図4及び図5は、吸込み作業を行うために、吹出し口8に集塵袋22を取り付けた送風機を示す。例えば塵芥、小さな木片等を吹き飛ばす吹出し作業に用いる場合、図3に示すように、送風機の吹出し口8には付属品のノズル21が取り付けられる。そして、ノズル21の先端を塵芥、小さな木片等の対象物に向け、ノズル21から圧力を高めた空気を吹出す。一方、塵芥、小さな木片等を集める吸い込み作業に用いる場合、送風機の吹出し口8には付属品の集塵袋22が取り付けられ、吸込み口7には付属品のノズル21が取り付けられる。そして、ノズル21の先端を塵芥、小さな木片等の対象物に向け、対象物を吸い込み、集塵袋22に集める。
【0023】
図6は、吸込み口7の詳細図を示す。リブ19の上面19a(すなわち吸込み口7の先端部7b側の面)での前記吸込み口7の内径Yは、吸込み口7の先端部7bの内径Xよりも大きくされる。そして、吸込み口7の内周面7cは、リブ19から吸込み口7の先端部7bに向かって徐々に幅が狭くなるテーパに形成される。ここで、リブ19から吸込み口7の先端7dまでが徐々に幅が狭くなるテーパに形成されるのが最も望ましいが、リブ19から先端7dに向かう途中までが徐々に幅が狭くなるテーパに形成され、その途中から先端7dまでが徐々に幅が広くなるテーパに形成されてもよい。
【0024】
図7はファンハウジング3の吸込み口7を成形するための金型の見切りを示す。上型23と下型24との間にはファンハウジング3及び吸込み口7を成形するためのキャビティ25が形成される。また下型24にはリブ19を成形するためのキャビティ26が形成される。リブ19近傍において、上型23と下型24の見切り線27は、リブ19の上面19aに略位置する。なお、上記実施形態では、リブ19近傍において、上型23と下型24の見切り線27がリブ19の上面19aに略位置しているが、バリ取り作業の容易性を考慮して、見切り線27をリブ19の上面19aから僅かに先端部7b側に位置させてもよい。
【0025】
また、吸込み口7の内周面7cの縁は主に下型24によって形成され、吸込み口7の内周面7cを形成する下型24の外周面24aは先端に向かって徐々に幅が狭くなるテーパに形成される。バリ取り作業の容易性等を考慮して、上型23の一部23aも吸込み口7の内周面7cの縁を形成する。吸込み口7の内周面7c近傍では、上型23と下型24との見切り線28は、吸込み口7の先端7dよりも僅かに基部7a側に位置している。また、鉤形の取付け溝20は上型23及び下型24それぞれに形成される。
【0026】
キャビティ25,26に樹脂を充填した後、上型23は見切り線27,28から上方向に引き抜かれ、下型34は下方向に引き抜かれる。
【0027】
図8に示すように、羽根車2を回転させると、吸込み口7から空気が吸い込まれる。リブ19の上面19aでの吸込み口7の内径Yが、吸込み口7の先端部7bの内径Xよりも大きいので、リブ19の上面19aでの空気の通路の断面積を確保することができ、吸込み風量を増やすことができる。また、吸込み口7の内周面7cがテーパに形成されるので、空気の流れがスムーズになり、風量の損失を低減することができる。
【0028】
吸込まれた空気は90度向きを変え、羽根車2の半径方向に流れる。吸込み口から吸込まれる空気が、略90度向きを変える位置に突部18を形成したので、空気の流れがスムーズになり、風量の損失を低減することができる。これにより、吸込み風量が増え、また音も低減することが実験により確かめられた。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態の送風機に限られず、他の実施形態の送風機にも適用可能である。例えば、上記実施形態では、吸込み口7の内周面7cに取付け溝20を形成し、吸込み口7の内側にノズル21を嵌め合わせているが、吸込み口7の外側に取付け溝20を形成し、ノズルを嵌め合わせてもよい。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、吸込み口から吸込まれる気体が、ファンハウジングの内側面に沿って流れるように略90度向きを変える位置に突部を形成したので、気体の流れがスムーズになり、風量の損失を低減することができる。これにより、吸込み風量が増え、また音も低減する。したがって、吸込み能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における送風機を示す平面図(一部断面を含む)。
【図2】上記送風機の側面図(一部断面を含む)。
【図3】ノズルを取り付けた送風機を示す側面図。
【図4】集塵袋を取り付けた送風機を示す側面図。
【図5】集塵袋を取り付けた送風機を示す平面図。
【図6】吸込み口の断面図。
【図7】金型の見切り図。
【図8】羽根車を回転させたときの空気の流れを示す図。
【図9】従来の吸込み口を示す断面図。
【図10】従来の金型の見切り図。
【符号の説明】
2 羽根車
3 ファンハウジング
7 吸込み口
7a 基部
7b 先端部
7c 内周面
8 吹出し口
16c 内側面
18 突部
19 リブ
Claims (1)
- 吸込み口と吹出し口とを有するファンハウジングと、このファンハウジング内に収納された羽根車とを備え、前記羽根車の回転運動によって前記吸込み口から吸込まれた気体を前記吹出し口から吹出す送風機であって、前記吸込み口は、前記羽根車の軸線上に配置され、前記吸込み口から吸込まれた気体が向きを変え、前記羽根車の軸線と略直交する前記ファンハウジングの内側面に沿って流れ、前記吸込み口周囲のファンハウジングの内側面に、吸込み口の全周にわたり又は全周の一部に前記羽根車の軸線方向に突出する突部が形成され、前記突部は、その先端部が前記ファンハウジングの内側面に沿うように丸みを帯びて円弧状に形成されていることを特徴とする送風機。
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