JP4083471B2 - 薄型ヒュ−ズ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄型ヒューズとその製造方法、特に薄型温度ヒューズとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
温度ヒューズにおいては、低融点可溶合金片をヒューズエレメントとして用い、機器に密接して取付け、機器の異常に基づく発熱で低融点可溶合金片を溶融させ、その溶融合金を表面張力で球状化分断させて機器への通電を遮断し、機器の致命的な損傷乃至は火災発生を未然に防止している。
通常、前記ヒューズエレメントにはフラックスを塗布して上記溶融合金の表面張力による球状化分断を既に溶融しているフラックスの共存のもとで促進するようにしている。
【0003】
近来、携帯電話、ノートパソコン等の携帯型電子機器の電源として、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等のエネルギー密度の大なる二次電池が使用されている。
これらの二次電池においては、エネルギー密度が大きいために、異常時の発熱温度が高く、かかる異常発熱を未然に防止するためのサーモプロテクターとして、作動温度が95℃程度(80℃〜120℃の間)の温度ヒューズが使用されている。
このサーモプロタクターにおいては、二次電池パックの小型化のために薄型であることが要求され、そこで、図6や図7に示す薄型温度ヒューズが知られている。
【0004】
図6の(イ)(一部を断面で示す平面図)及び図6の(ロ)〔図6の(イ)におけるロ−ロ断面図〕において、1’,1’は扁平リード導体、2’は両リード導体の先端部上面間に溶接等により接合したヒューズエレメントである。31’,32’は上下の樹脂フィルムであり、扁平リード導体1’,1’の前端部及びヒューズエレメント2’を挾み、水平保持の下側樹脂フィルム31’に上側樹脂フィルム32’の周囲部を封着してある。4’はフラックスである。
【0005】
また、図7の(イ)(一部を断面で示す平面図)及び図7の(ロ)〔図7の(イ)におけるロ−ロ断面図〕において、31’は樹脂ベースフィルムである。1’,1’は扁平リード導体であり、前端部をベースフィルム31’の裏面に固着すると共にその前端部の一部100’をベースフィルム31’の表面に現出させてある。2’は両扁平リード導体の現出部100’,100’間に溶接等により接合したヒューズエレメントである。32’は樹脂カバーフィルムであり、水平保持のベースフィルム31’に周囲部を封着してある。4’はフラックスである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のヒューズエレメントすなわち低融点可溶合金片2’と扁平リード導体1’,1’との接合は、エレメント中間部の原形、断面を元のままに保持させるために、スポット抵抗溶接やレーザ溶接等により行なわれ、溶接箇所のエレメント端部20’は、周囲がやや盛りあがったクレータ状にされている。
而るに、上記の上側樹脂フィルムまたは樹脂ベースフィルム32’においては、上記封着の際、ヒューズエレメント端部20’に干渉されて曲げられ、そのヒューズエレメント端部20’が上側樹脂フィルムまたは樹脂ベースフィルム32’で押え付けられる。而して、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差箇所またはカバーフィルムとベースフィルムとの交差箇所に臨んで鋭角入隅空間33’が発生している。
温度ヒューズのフラックスの融点は、ヒューズエレメントの融点よりも低く設定されており、平常時のヒートサイクル中にフラックス4’の液相化と固相化とが繰り返される。而るに、前記の鋭角入隅空間33’に、ヒートサイクル時に液相化されたフラックスが流入し、ヒューズエレメント周囲のフラックス量が減じられ、前記した溶融合金のフラックスによる分断促進効果が減退される畏れがある。
【0007】
上記の薄型温度ヒューズでは、前記した通り、ヒューズエレメントの扁平リード導体への溶接がスポット的であって溶接面積が小さく、それだけ電気抵抗が高く、抵抗値の低減が望まれる。
【0008】
また、上記の薄型温度ヒューズにおいては、上記したようにヒューズエレメント端部が上側フィルムまたはカバーフィルムで押え付けられているため、たとえ、ヒューズエレメント片端の溶接界面に剥離が生じても、ヒューズエレメントが元の位置のままに保持され得、その剥離を外観検査では摘出し難く、温度ヒューズの作動時、ヒューズエレメント両端における溶融合金の球状化がアンバランスに生じて円滑迅速な分断を保証し難い懸念がある。従って、溶接強度の向上が望まれる。
【0009】
本発明の目的は、上記の薄型温度ヒューズにおける封止箇所に望む鋭角入隅空間を、ヒューズエレメントと扁平リード導体との接合箇所の機械的安定化、接合電気抵抗の安定化等に寄与させて薄型温度ヒューズの信頼性向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る薄型ヒューズは、一対の扁平リード導体とそれらの先端部上面間に接合したヒューズエレメントを上下から樹脂フィルムで挾み、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差角を鋭角にして封止したヒューズにおいて、ヒューズエレメント端部を上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差箇所に臨む鋭角入隅空間に形状的に整合させたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る薄型ヒューズは、一対の扁平リード導体の前端部を樹脂ベースフィルムの裏面に固着すると共に一部をベースフィルム表面に現出させ、それらの現出部間にヒューズエレメントを接合し、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角にしてベースフィルム上を樹脂カバーフィルムで封止したヒューズにおいて、ヒューズエレメント端部を前記両フィルムの交差箇所に臨む鋭角入隅空間に形状的に整合させたことを特徴とする。
【0012】
請求項3では、上記ヒューズを温度ヒューズとしている。
【0013】
請求項4に係る薄型ヒューズの製造方法は、一対の扁平リード導体とそれらの先端部上面間に接合したヒューズエレメントを上下から樹脂フィルムで挾み、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差角を鋭角にして封止したヒューズの製造方法において、上下から樹脂フィルムで挾んだ状態で扁平リード導体を加熱することによりヒューズエレメント端部を溶融させて上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差箇所に臨む鋭角入隅空間にヒューズエレメント端部を流延させることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る薄型ヒューズの製造方法は、一対の扁平リード導体の前端部を樹脂ベースフィルムの裏面に固着すると共に一部をベースフィルム表面に現出させ、それらの現出部間にヒューズエレメントを接合し、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角にしてベースフィルム上を樹脂カバーフィルムで封止したヒューズの製造方法において、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角とした状態で扁平リード導体を加熱することによりヒューズエレメント端部を溶融させて両樹脂フィルムの交差箇所に臨む鋭角入隅空間にヒューズエレメント端部を流延させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は請求項1に係る薄型温度ヒューズの一実施例の一部を断面で示す平面図、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるローロ断面図である。
図1において、1,1は扁平リード導体である。2は両扁平リード導体1,1の先端部上面間に溶接等により接合したヒューズエレメントであり、溶接にはスポット抵抗溶接、レーザ溶接等を使用できる。31は下側樹脂フィルム、32は上側樹脂フィルムであり、前記両扁平リード導体1,1の前端部とヒューズエレメント2とをこれらの樹脂フィルム31,32で挾み、水平に保持した下側樹脂フィルム31に上側樹脂フィルム32の周囲部を封着してある。4はヒューズエレメント2の周囲に塗着したフラックスである。
図1において、上側樹脂フィルム32と扁平リード導体1との交差角θが鋭角とされ、ヒューズエレメント端部20が封止箇所に臨む鋭角入隅空間33に形状的に整合されている。
【0016】
而して、図6に示した従来の薄型温度ヒューズにおけるヒューズエレメント端部に隣接する鋭角入隅空間33’がヒューズエレメント材で占められており、ヒートサイクルによりフラックスが液相化されても、その鋭角入隅空間33’へのフラックスの流入を排除でき、ヒューズエレメント2周囲のフラックス量の減少をよく抑制できる。
また、鋭角入隅空間33を占めるヒューズエレメント部分20と扁平リード導体1との界面を接合させることにより、その接合界面部分だけヒューズエレメントと扁平リード導体との接合面積を増加でき、接合電気抵抗をそれだけ低くできる。更に、接合面積の増大により接合強度が高められるから、接合部の機械的安定性、信頼性も向上できる。
【0017】
請求項4により、上記の本発明に係る薄型温度ヒューズを製造するには、両扁平リード導体の先端部上面間にヒューズエレメントをスポット抵抗溶接やレーザ溶接等により接合し、次いで、図2の(イ)に示すように、両扁平リード導体1,1の前端部とヒューズエレメント2を上下の樹脂フィルム31,32で挾み、下側樹脂フィルム31を基台5上に水平に保持し、上側樹脂フィルム32の両端部を離型性チップ6,6、例えばセラミックチップで押圧して上側樹脂フィルム32の各端部を扁平リード導体10に加圧接触させ、上側樹脂フィルム32をヒューズエレメント端部20に干渉させて曲げ変形させる。
【0018】
この場合、圧接反力をp、その接触点の高さをv、接触点から鋭角入隅空間の奥端までの距離をL、この距離Lが両チップ間の間隔Wに対し、W≫L、上側樹脂フィルムの曲げ剛性をEIとすると、
【数1】
p=3EIv/L3
で与えられる。
【0019】
図2の(イ)に示すように、ヒューズエレメント端に圧接反力pが作用している状態で、扁平リード導体1,1を加熱し、この扁平リード導体1に熱的に接触されているヒューズエレメント端部20を溶融させる。このヒューズエレメント端部の溶融のもとで、図2の(ロ)に示すように、そのヒューズエレメント端部20が流延されて前記の鋭角入隅空間がヒューズエレメント材で埋められる。この際、ヒューズエレメント端の高さvが減少して圧接反力pが減少されると共に軟化された上側樹脂フィルムが曲げ応力により塑性曲げ変形されて圧接反力pがほぼ零にされる。このように圧接反力pが零になるまでは、前記鋭角入隅空間33に流入されたヒューズエレメント材部分200と扁平リード導体10との接触界面aが圧接反力pで加圧されるため、ろう接(母材同士を共に溶融する液相−液相接合の溶接に対し、ろう接は固相−液相接合である)によるある程度の接合強度が期待でき、接合強度の向上・安定化や接合電気抵抗の減少・安定化を図ることができる。
【0020】
上記扁平リード導体の加熱は、電磁誘導加熱、リード導体へのヒートプレートの接触等により行なうことができ、特に、電磁誘導加熱によれば、ヒューズエレメント端部に溶接されたリード導体先端部を下側または上側樹脂フィルムを経て高周波磁束を交鎖させて集中的に加熱できるので、熱効率上有利であり、また、その集中加熱のために、ヒューズエレメント端部から離れたヒューズエレメント中間部の加熱をよく抑え得、ヒューズエレメントの原形保持上、安全である。
【0021】
上記において、ヒューズエレメント端部以外のヒューズエレメント部分の加熱が軽度であり、ヒューズエレメント中間部の断面積をよく維持でき、ヒューズエレメント全体の電気抵抗を元の値に安定に保証できる。
【0022】
上記において、扁平リード導体1と各樹脂フィルム31,32との間の封着は、上記扁平リード導体加熱時の融着により行ない、上下樹脂フィルム31,32が直接に接する界面の封着は、超音波融着、高周波誘電加熱融着、ヒートプレート接触融着等により行なうことができ、前者の融着と後者の融着の順序は、何れを先にしてもよい。
【0023】
上記鋭角入隅空間のヒューズエレメント材による充填は、100%充填が理想的であるが、80%以上であれば前記の諸効果を充分に期待でき、80%以上の充填率で充填すればよい。
【0024】
図3の(イ)は請求項2に係る薄型温度ヒューズの一実施例の一部を断面で示す平面図、図3の(ロ)は図3の(イ)におけるローロ断面図である。
図3において、31は樹脂ベースフィルムである。1,1は扁平リード導体であり、前端部をベースフィルム31の裏面に固着すると共に前端部の一部100をベースフィルム31の上面に現出させてある。2は両扁平リード導体1,1の現出部100,100間に溶接等により接合したヒューズエレメントであり、溶接にはスポット抵抗溶接、レーザ溶接等を使用できる。32は樹脂カバーフィルムであり、水平に保持したベースフィルム31に周囲部を封着してある。4はヒューズエレメント2の周囲に塗着したフラックスである。
図3において、カバーフィルム32とベースフィルム31との交差角θが鋭角とされ、ヒューズエレメント端部20が封止箇所に臨む鋭角入隅空間33に形状的に整合されている。
【0025】
而して、図7に示した従来の薄型温度ヒューズにおけるヒューズエレメント端部に隣接する鋭角入隅空間33’がヒューズエレメント材で占められており、ヒートサイクルによりフラックスが液相化されても、その鋭角入隅空間33へのフラックス4の流入を排除でき、ヒューズエレメント2周囲のフラックス量の減少をよく抑制できる。
【0026】
上記の扁平リード導体前端部の一部100のベースフィルム31の表面への現出には、扁平リード導体前端部に予め絞り出し加工により凸部を成形し、このリード導体前端部を加熱下でベースフィルムの裏面に融着すると共に凸部をベースフィルムに貫通融着させる方法、扁平リード導体前端部を加熱下でベースフィルムの裏面に融着すると共にリード導体前端部の一部を絞り出し加工によりベースフィルム表面に現出させる方法等を使用できる。
【0027】
請求項5により、上記の本発明に係る薄型温度ヒューズを製造するには、図4の(イ)に示すように、基台5上において、樹脂ベースフィルム31の表面のリード導体現出部100,100間にヒューズエレメント2をスポット抵抗溶接やレーザ溶接等により接合し、次いで、樹脂カバーフィルム32の周囲部を離型性型枠6、例えばセラミック枠で押圧して樹脂カバーフィルム32をヒューズエレメント端部20に干渉させて曲げ変形させる。その結果、ヒューズエレメント端に隣接して鋭角入隅空間33が形成される。
【0028】
この場合、圧接反力をp、その接触点の高さをv、接触点から鋭角入隅空間奥端までの距離をL、この距離Lが両奥端間の間隔Wに対しW≫L、上側樹脂フィルム32の曲げ剛性をEIとすると、既述した通り
【数2】
p=3EIv/L3
で与えられ、この圧接反力pが作用している状態で、扁平リード導体を加熱し、この扁平リード導体1に熱的に接触されているヒューズエレメント端部20を溶融させる。このヒューズエレメント端部の溶融のもとで、図4の(ロ)に示すように、そのヒューズエレメント端部が流延されて前記の鋭角入隅空間33がヒューズエレメント材200で埋められる。この際、ヒューズエレメント端の高さvが減少して圧接反力pが減少すると共に軟化された上側樹脂フィルム32が曲げ応力により塑性曲げ変形されて圧接反力pがほぼ零になる。
【0029】
上記扁平リード導体1の加熱は、ヒートプレートの接触、電磁誘導加熱等により行なうことができる。上記カバーフィルム32の周囲のベースフィルム31への融着封止は、超音波融着、高周波誘電加熱融着、ヒートプレート接触融着等により行なうことができ、リード導体の加熱による鋭角入隅空間へのヒューズエレメント材の流延とカバーフィルム周囲のベースフィルムへの融着封止の順序は、何れを先にしてもよい。
【0030】
上記鋭角入隅空間のヒューズエレメント材による充填は、100%充填が理想的であるが、60%以上であれば前記の効果を充分に期待でき、60%以上の充填率で充填すればよい。
【0031】
本発明に係る薄型ヒュ−ズにおける樹脂フィルム(上下の樹脂フィルム、樹脂ベースフィルム、樹脂カバーフィルム)には、厚み100μm〜500μm程度のプラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンサルファイド、ポリサルホン等のエンジニアリングプラスチック、ホリアセタ−ル、ポリカ−ボネ−ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリエ−テルイミド等のエンジニアリングプラスチックやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、AS樹脂、ABS樹脂、アイオノマ−、AAS樹脂、ACS樹脂等のフィルムを使用できる。
【0032】
前記上下の樹脂フィルムには、図5の(イ)に示すように、一枚ものを使用することもでき、また、図5の(ロ)に示すように、チューブ状樹脂フィルムを使用することもできる。
また、前記の樹脂ベースフィルムと樹脂カバーフィルムにも、一枚ものを使用することができる。
【0033】
また、扁平リ−ド導体には、上記の各樹脂フィルムよりも薄い厚み50μm〜300μm程度の例えば、ニッケル、銅、ステンレス帯体を使用でき、ヒューズエレメントとの溶接性に優れた金属をめっき、またはクラッド等による複合化することもできる。
【0034】
本発明に係る薄型ヒューズのヒューズエレメントには、ヒューズの薄型化のため、線径100〜500μmφの丸線材やその丸線材の扁平化率50%以内の圧延線材が使用される(扁平化率50%を越えると、薄くなり過ぎ、製造中に破損し易くなる)。
本発明に係る薄型ヒューズはフラックス無しで電流ヒューズとして使用することもできるが、特に温度ヒューズとして好適に使用できる。この温度ヒューズのヒューズエレメントには、所定融点の可溶合金が使用され、融点は機器の保護温度に応じて選定されるが、通常、固相線温度が70℃〜120℃、液相線温度が80℃〜120℃である合金が使用される。例えばIn50〜55%、Sn25〜40%、残部Biの合金、In30〜75%、Sn5〜50%、Cd0.5〜25%の合金、更にこの合金組成にAu、Ag、Cu、Al、Biのうちの1種または2種以上を合計0.1〜5%添加した合金、Bi48〜53%、Pb28〜33%、Sn13〜19%の合金、In0.5〜4%、Bi50〜54%、Pb30〜34%、Sn14〜18%の合金等を例示できる。
【0035】
また、フラックスには、天然ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)及びこれらの精製ロジンにジエチルアミンの塩酸塩、ジエチルアミンの臭化水素酸塩等を添加したものを使用できる。
【0036】
温度ヒューズとして使用する場合、ヒューズエレメントのジュール発熱を無視できるときは、機器が許容温度Tmに達したときのヒューズエレメントの温度TxはTmより2℃〜3℃低くなり、ヒューズエレメントの融点を〔Tm−(2℃〜3℃)に設定すればよい。
しかしながら、ヒューズエレメントのジュール発熱を無視できないときは、ヒューズエレメントの電気抵抗をR、通電電流をI、機器とヒューズエレメント間の熱抵抗をHとすれば、
【数3】
Tx=Tm−(2℃〜3℃)+HRI2
が成立し、ヒューズエレメントの融点を上式に基づき設定することが有効である。
【0037】
【実施例】
〔実施例〕
図1に示す構成の薄型ヒューズであり、下側樹脂フィルム31及び上側樹脂フィルム32に厚さ200μm、巾5mm、長さ10mmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを、扁平リード導体1に厚さ150μm、巾3mm、長さ20mmの銅導体を使用した。ヒューズエレメント2には、In52%−Sn40%−Bi8%の組成(固相線温度89.7℃、液相線温度108.2℃)で、長さが4mm、外径が300μmのはんだ線を使用した。両扁平リード導体1の前端部とリード導体間に接続したヒューズエレメント2を樹脂フィルム31,32で挾んで基台上に配置し、各リード導体1,1に接する上側樹脂フィルム32の両端部をセラミックスチップで加圧し、次いで絶縁基台内に設けた電磁誘導加熱器でセラミックスチップ直下の扁平リード導体部分を加熱してヒューズエレメント端部を溶融させた。上側樹脂フィルム両端部に臨む鋭角入隅空間をヒューズエレメント材で充填できたことを確認したうえで、ヒートプレートによりフィルム同士の融着封止を行なった。この実施例品の製作個数は30箇である。
【0038】
〔比較例〕
扁平リード導体の加熱を行なわず、ヒートプレートによるフィルム同士の融着封止の際に、扁平リード導体と各フィルムとの融着を行なった以外、実施例と同じとした。この比較例品の製作個数は30箇である。
【0039】
これらの実施例品及び比較例品について、ヒューズ本体部にバイブレータを当接して振動を加えたのち、ヒューズエレメントの位置ずれの有無を肉眼観察により調査した。
その結果、比較例では、30箇中25箇に、ヒューズエレメント端部とリード導体間の溶接箇所が剥離してヒューズエレメントの位置ずれが認められたのに対し、実施例品では、ヒューズエレメントの位置ずれが全く認められなかった。
従って、本発明によれば、ヒューズエレメントと扁平リード導体との接合強度を増加できて機械的安定性を向上でき、また、接合界面の電気抵抗の安定化を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1によれば、一対の扁平リード導体とそれらの先端部上面間に接合したヒューズエレメントを上下から樹脂フィルムで挾んで封止し、ヒューズエレメントの周りをフラックスで覆い、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差角を鋭角としたヒューズにおいて、ヒューズエレメント端に隣接して鋭角入隅空間が残るのを排除でき、その鋭角入隅空間にヒューズエレメント周りのフラックスが流入することが起こり得ず、迅速・円滑なヒューズエレメントの溶融分断作動を保証できる。
【0041】
請求項2によれば、一対の扁平リード導体の前端部を樹脂ベースフィルムの裏面に固着すると共に一部をベースフィルム表面に現出させ、現出部間にヒューズエレメントを接合し、ヒューズエレメントの周りをフラックスで覆い、ベースフィルム上を樹脂カバーフィルムで封止し、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角としたヒューズにおいて、ヒューズエレメント端に隣接して鋭角入隅空間が残るのを排除でき、その鋭角入隅空間にヒューズエレメント周りのフラックスが流入することが起こり得ず、迅速・円滑なヒューズエレメントの溶融分断作動を保証できる。
【0042】
請求項4によれば、請求項1に係る薄型ヒューズを、鋭角入隅空間内のヒューズエレメント部分と扁平リード導体との間を充分な強度で接合した形態で製造できるから、迅速・円滑なヒューズエレメントの溶融分断作動を保証できるばかりか、ヒューズエレメントと扁平リード導体との接合強度を増加できて機械的安定性を向上でき、また、接合界面の電気抵抗の安定化を図って品質に優れた薄型ヒューズを製造できる。
【0043】
請求項5によれば、請求項2に係る薄型ヒューズを良好に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る薄型ヒューズの一実施例を示す図面である。
【図2】請求項4に係る薄型ヒューズの製造方法の一実施例を示す図面である。
【図3】請求項2に係る薄型ヒューズの一実施例を示す図面である。
【図4】請求項5に係る薄型ヒューズの製造方法の一実施例を示す図面である。
【図5】本発明に係る薄型ヒューズの上記とは別の異なる実施例を示す図面である。
【図6】従来の薄型ヒューズの一例を示す図面である。
【図7】従来の薄型ヒューズの上記とは別の例を示す図面である。
【符号の説明】
1 扁平リード導体
100 リード導体現出部
2 ヒューズエレメント
20 ヒューズエレメント端部
31 下側樹脂フィルムまたは樹脂ベースフィルム
32 上側樹脂フィルムまたは樹脂カバーフィルム
33 鋭角入隅空間
Claims (5)
- 一対の扁平リード導体とそれらの先端部上面間に接合したヒューズエレメントを上下から樹脂フィルムで挾み、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差角を鋭角にして封止したヒューズにおいて、ヒューズエレメント端部を上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差箇所に臨む鋭角入隅空間に形状的に整合させたことを特徴とする薄型ヒューズ。
- 一対の扁平リード導体の前端部を樹脂ベースフィルムの裏面に固着すると共に一部をベースフィルム表面に現出させ、それらの現出部間にヒューズエレメントを接合し、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角にしてベースフィルム上を樹脂カバーフィルムで封止したヒューズにおいて、ヒューズエレメント端部を前記両フィルムの交差箇所に臨む鋭角入隅空間に形状的に整合させたことを特徴とする薄型ヒューズ。
- ヒューズが温度ヒューズである請求項1または2記載の薄型ヒューズ。
- 一対の扁平リード導体とそれらの先端部上面間に接合したヒューズエレメントを上下から樹脂フィルムで挾み、上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差角を鋭角にして封止したヒューズの製造方法において、上下から樹脂フィルムで挾んだ状態で扁平リード導体を加熱することによりヒューズエレメント端部を溶融させて上側樹脂フィルムと扁平リード導体との交差箇所に臨む鋭角入隅空間にヒューズエレメント端部を流延させることを特徴とする薄型ヒューズの製造方法。
- 一対の扁平リード導体の前端部を樹脂ベースフィルムの裏面に固着すると共に一部をベースフィルム表面に現出させ、それらの現出部間にヒューズエレメントを接合し、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角にしてベースフィルム上を樹脂カバーフィルムで封止したヒューズの製造方法において、カバーフィルムとベースフィルムとの交差角を鋭角とした状態で扁平リード導体を加熱することによりヒューズエレメント端部を溶融させて両樹脂フィルムの交差箇所に臨む鋭角入隅空間にヒューズエレメント端部を流延させることを特徴とする薄型ヒューズの製造方法。
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