JP4083461B2 - 多軸力検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3方向の力と3方向の偶力を同時に測定するための多軸力検出器に関し、特にX軸,Y軸周り偶力の内、一方の偶力が他方の偶力に比較して極めて大きい場合に好適に使用できる多軸力検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の多軸力検出器は従来から種々の方式が知られており、例えば特公平6−76933号公報に図3に示すような構成のものが開示されている。この多軸力検出器は枠体1の中央部に荷重受部2を配置し、枠体1とこの荷重受部2の間をX軸方向及びY軸方向を向く起歪部である計4個の角柱部3により連結している。そして、角柱部3の荷重受部2側には可撓性を有するフレクシャ4が形成され、角柱部3の各面に歪ゲージ5が貼り付けられている。
【0003】
また、この多軸力検出器はZ軸の周りに90゜回転対称の形状で、X軸、Y軸、Z軸方向の力を測定すると共に、X軸、Y軸、Z軸の周りの偶力を測定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような90゜回転対称形の多軸力検出器においては、例えばX軸周りの偶力がY軸周りの偶力に較べて極めて大きい場合には、この大きな偶力によってY軸上の起歪部3とこの起歪部3に連接するフレクシャ4に大きな曲げ力が加わり、特にフレクシャ4及びフレクシャ4と起歪部3との連接点は応力が集中して破壊され易く、これらの部分と関連する各部の機械的強度を増強する必要がある。
【0005】
従って、多軸力検出器をZ軸の周りに90゜回転対称な形状とする限り、X軸上の起歪部3とフレクシャ4も同等の機械的強度を保有した構造とならざるを得ず、装置が大掛かりとなり、或いは相対的に小さな曲げ力が加わるX軸上の起歪部の歪ゲージ出力が小さくなって、測定精度が低下するなどの問題が生ずる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、X軸、Y軸周りの一方の偶力が他方の偶力と比較して極めて大きい場合に、この大きい偶力に対応する部分の機械的強度を確保し、かつ各分力が精度良く測定可能な多軸力検出器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る多軸力検出器は、枠体の中央部に荷重受部を離隔的に配置し、該荷重受部の中心部で直交するX軸、Y軸に沿って前記荷重受部から外側に向けて4個の四角柱から成る起歪部を延伸し、これらの各起歪部の先端をフレクシャを介して前記枠体に連結し、前記起歪部に生ずる歪を検出するための歪ゲージを前記起歪部の各側面に貼付し、前記荷重受部と枠体の間に相対的に加えられる前記X軸、Y軸及びこれらの軸と直交するZ軸の各方向分力及びX、Y、Z軸各軸周りの偶力を前記歪ゲージの出力に基づいて測定する多軸力検出器において、前記荷重受部はX軸、Y軸の交点を中心とし、X軸方向に短くY軸方向に長い楕円形であり、前記枠体はX軸方向に短くY軸方向に長く、X軸及びY軸に関して対称な形状とし、X軸、Y軸に平行な同等の大きさの前記分力及び偶力に対し対応する前記歪ゲージの出力が同等となるように、前記起歪部及び前記フレクシャの寸法、形状を調整したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は多軸力検出器の平面図を示しており、金属ブロックを加工して形成されている。XY平面において、Y軸方向に長くX軸方向に短い楕円状の枠体11の中央部には、枠体11と離隔的にY軸方向を長軸としX軸方向を短軸とする楕円状の荷重受部12が配置されている。荷重受部12には、X軸、Y軸と直交し後述するZ軸方向に作用軸を連結するための剛性の大きい支柱13が、Z軸方向に突出して一体に形成され、支柱13には雄ねじ14が螺刻されている。
【0009】
荷重受部12からX軸、Y軸に沿って外側方向に、4個の四角柱から成る起歪部15x、15yが延伸され、これらの起歪部15x、15yの先端はT字状のフレクシャ16x、16yを介して枠体11に連結されている。そしてY軸方向の荷重受部12の中心部とフレクシャ16yの中央部Cy間の距離は、X軸方向の中心部とフレクシャ16xの中央部Cx間の距離よりも長く構成されている。
【0010】
枠体11の外側には略四角形の基台部17が形成され枠体11を補強しており、隅部に4個の孔18が設けられて取付部とされている。枠体11には、長溝20x、20yが基台部17の辺と平行に枠体11の厚み方向に貫通して設けられ、長溝20x、20yの荷重受部側の側面と、相対する空隙21x、21yの側面によって、T字状のフレクシャ16x、16yのT字の水平部22x、22yが、板状に形成され、これらフレクシャ16x、16yの中央部Cx、Cyと起歪部15x、15yの先端が、フレクシャ16x、16yのT字の垂直部23x、23yを介して連結されている。
【0011】
フレクシャ16x、16yは外力の内のX軸、Y軸に平行な分力をそれぞれの水平部22x、22yの撓みによって吸収し、X軸、Y軸周りの偶力を、それぞれフレクシャ16x、16yの垂直部23x、23yの捩りによって吸収することにより、それぞれ起歪部15y、15xの曲げ力として伝達するように構成されている。また、Z軸に平行な分力、Z軸周りの偶力は、いずれも起歪部15X、15Yの曲げ歪として伝達される。そして、各起歪部15x、15yの4つの側面には、外力によって生ずる曲げ歪を検出するための歪ゲージ24x、24yが貼付され、それらの出力信号が図示しないリード線によって外部に引き出されている。
【0012】
図2は斜視図であり、使用時には荷重受部12には支柱13を介して、図示しない作用軸が取り付けられ、作用軸は荷重受部12と一体となり、近似的に剛体に形成され、外力は枠体11と荷重受部12に相対的に加えられる。
【0013】
このように構成した実施の形態では、X軸方向の力はY軸上の起歪部15yの側面の歪ゲージ24yの出力として現れ、Y軸方向の力はX軸上の起歪部15xの側面の歪ゲージ24xの出力として現れ、Z軸方向の力はX軸、Y軸上の起歪部15x、15yの上下面の歪ゲージ24x、24yの出力として現れ、X軸周りの偶力はY軸上の起歪部15yの上下面の歪ゲージ24yの出力として現れ、Y軸周りの偶力はX軸上の起歪部15xの上下面の歪ゲージ24xの出力として現れ、Z軸周りの偶力はX軸、Y軸上の起歪部15x、15yの側面の歪ゲージ24x、24yの出力として現れる。
【0014】
X軸、Y軸周りの同等の大きさの偶力に対しては、フレクシャ16x、16yの中央部Cx、Cyには、それぞれY軸、X軸上の中央部Cy、Cxと荷重受部の中心部間の距離に反比例するようにZ軸方向の力が加わるので、X軸周りの偶力がY軸周りの偶力に比べて極めて大きい場合には、Y軸上の中央部Cyと中心部間の距離を、本実施の形態のように、X軸上の中央部Cxと中心部間の距離よりも大きくすることによって、Y軸上のフレクシャ16yの中央部に加わる力を相対的に緩和することが可能となり、Y軸上のフレクシャ16yと関連する各部の機械的な耐力を保持することが容易となる。
【0015】
また、Y軸上の中央部Cyと中心部間の距離を、X軸上の中央部Cxと中心部間の距離よりも大きくした上で、Y軸上及びX軸上の起歪部及びフレクシャの寸法、形状を、各分力のそれぞれに対する歪ゲージ24x、24yの出力と対比しながら、多軸力検出器の設計の目的に応じて調整することにより、構造上の強度を確保すると共に、必要とする測定精度を得ることが可能である。
【0016】
調整方法の第1の具体例としてはX軸、Y軸に平行な同等の大きさの力に対して、それぞれ対応する歪ゲージ24x、24yの出力をほぼ同等とするように、X軸上、Y軸上の起歪部15x、15y及びフレクシャ16x、16yの寸法、形状を調整することであり、調整方法の第2の具体例としてはX軸周り、Y軸周りの同等の大きさの偶力に対して、それぞれ対応する歪ゲージ24x、24yの出力をほぼ同等とするように、X軸上、Y軸上の起歪部15x、15y及びフレクシャ16x、16yの寸法、形状を調整することである。
【0017】
なお、本発明の多軸力検出器は6つの力測定が可能であるが、6つ未満の任意の数の測定を行うようにしてもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る多軸力検出器は、X軸周りの偶力がY軸周りの偶力に比較して極めて大きな場合に、予めY軸方向に大きい形状とすることにより、構成を必要以上に大きくすることなく、機械的強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面図である。
【図2】斜視図である。
【図3】従来例の平面図である。
【符号の説明】
11 枠体
12 荷重受部
13 支柱
15 起歪部
16 フレクシャ
17 基台部
22 水平部
23 垂直部
24 歪ゲージ

Claims (3)

  1. 枠体の中央部に荷重受部を離隔的に配置し、該荷重受部の中心部で直交するX軸、Y軸に沿って前記荷重受部から外側に向けて4個の四角柱から成る起歪部を延伸し、これらの各起歪部の先端をフレクシャを介して前記枠体に連結し、前記起歪部に生ずる歪を検出するための歪ゲージを前記起歪部の各側面に貼付し、前記荷重受部と枠体の間に相対的に加えられる前記X軸、Y軸及びこれらの軸と直交するZ軸の各方向分力及びX、Y、Z軸各軸周りの偶力を前記歪ゲージの出力に基づいて測定する多軸力検出器において、前記荷重受部はX軸、Y軸の交点を中心とし、X軸方向に短くY軸方向に長い楕円形であり、前記枠体はX軸方向に短くY軸方向に長く、X軸及びY軸に関して対称な形状とし、X軸、Y軸に平行な同等の大きさの前記分力及び偶力に対し対応する前記歪ゲージの出力が同等となるように、前記起歪部及び前記フレクシャの寸法、形状を調整したことを特徴とする多軸力検出器。
  2. 前記フレクシャはT字の水平部と該水平部に直交するT字の垂直部とから成り、X軸、Y軸に直交するZ軸方向の幅が大きい板状に形成し、前記起歪部の先端は前記垂直部に連結し、前記水平部の両端部は前記枠体に連結したことを特徴とする請求項1に記載の多軸力検出器。
  3. X軸及びY軸上の前記起歪部及び前記フレクシャの寸法、形状を、各軸方向の分力及び各軸周りの偶力のそれぞれに対応する前記歪ゲージの出力と対比して調節したことを特徴とする請求項1又は2に記載の多軸力検出器。
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