JP4083442B2 - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、更に詳しくは、光ビームを照射することにより相変化材料からなる記録層に光学的な変化を生じさせて、情報の記録再生を行う書換え可能な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザビーム照射による情報の記録、再生及び消去可能な光記録媒体の一つとして、結晶−非結晶間又は結晶−結晶間の相転移を利用する、いわゆる相変化型光ディスクが知られている。
このディスクは、単一ビームによるオーバライトが可能な為、コンピュータ関連や映像、音響に関する記録媒体として応用されている。
その記録材料としては、GeTe、GeTeSe、GeTeS、GeSeS、GeSeSb、GeAsSe、InTe、SeTe、SeAs、GeTe(Sn、Au、Pd)、GeTeSeSb、GeTeSb、AgInSbTe等がある。
特に、AgInSbTe系は、高感度でアモルファス部分の輪郭が明確であるという特徴を有し、マークエッジ記録用の記録層として開発されている(特開平3−231889号公報、特開平4−191089号公報、特開平4−232779号公報、特開平4−267192号公報、特開平5−345478号公報、特開平6−166266号公報等参照)。
また、特開平1−303643号公報には、Sb−Teを主成分とし、これにAg、In、Ga、Si等を添加した記録材料で単一なγ層を有するものが開示されている。
【0003】
上記特開平3−231889号公報には、IをI族元素、IIIをIII族元素、VをV族元素、VIをVI族元素として、I・(III - γγ)・VI型の一般式で表される記録層が開示されているが、このような記録層では、繰返し記録特性に問題がある。
また、上記特開平4−191089号公報に開示された光記録媒体に使用されている記録層によると、消去比の向上と高速記録とは達成されるものの、繰返し記録特性に課題が残っている。
更に、上記特開平4−232779号公報に開示された光記録媒体に使用されている記録層のみの記録部分(結晶化部分)の構造は、安定層(AgSbTe)とこの安定層の周囲に存在するアモルファス相とが混在したものとなっており、このため、繰返し記録特性は向上するものの、結晶化部に微細な結晶粒界が存在することになり、ノイズ発生の原因となる。
このノイズは、波長が780nm程度のレーザ光を記録再生に使用するCD−RW(Compact Disk−Rewritable)等のような比較的低い記録密度を有する光記録媒体の記録特性には重大な悪影響を与えないが、波長680nm以下のレーザ光を使用し、記録密度がCD−RWの約4倍であるDVD(Digital Versatile Disk)−RAMや、更に高密度なDVD−RW等では、高密度記録を実現する上で障害となる。
また、繰返し記録特性においても問題が残っている。
【0004】
上記特開平4−267192号公報で使用されている記録層の結晶化部分の構造は、一様なアモルファス相から相分離したAgSbTeとその他の相(安定相又はアモルファス相)との混相状態である。そして、その他の相がアモルファス相である場合には、上記特開平4−232779号公報に開示された記録媒体の場合と同様な問題があり、その他の相が安定結晶相である場合には、後述するように、良好な記録特性が得られないという課題がある。
また、上記特開平1−303643号公報において開示された記録媒体では、単一なγ層が得られ、良好な繰返し特性が得られたとしているが、このγ層がどのような結晶構造をしているかについては言及しておらず、今後の高線速、高密度対応の光記録媒体を実現する上で問題を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消した、高線速高密度化に対応可能で、繰返し特性と保存特性に優れた光記録媒体及びその製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、記録層の構造に着目して鋭意検討を重ねた結果、記録層を構成する元素の周囲の局所構造が、記録媒体の繰り返し特性や保存特性に大きな影響を与えることを解明し、この知見に基づいて上記課題が解決できるということを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は、次の1)〜6)の発明によって解決される。
1) 電磁波を照射することにより、記録層結晶相と非晶相の間で相転移させ情報の記録、再生、消去を行う相変化型記録媒体において、該記録層を構成する材料の組成式をAαBβSbγTeδとするとき、α、β、γ、δが、1≦α≦8、2≦β≦5、61≦γ≦79、14≦δ≦31の範囲にあり(ここで元素Aは、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Reの中から選ばれた少なくとも一つの元素、元素Bは、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Feの中から選ばれた少なくとも一つの元素であり、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100である。)、該記録層は、成膜後に、波長830nmの半導体レーザと波長650nmの半導体レーザを用いて初期結晶化されたことにより、結晶相と非晶相との相転移の際に、元素Aからみた(元素Aを中心とする)局所構造が、相転移前後で類似し、元素Bからみた(元素Bを中心とする)局所構造が、相転移前後で異なることを特徴とする光記録媒体。
2) 元素Aと元素Bが、Teに重みを置いて(主としてTeに)結合していることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) Sbの周囲の局所構造におけるSbと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.9±0.1Åであり、結晶相の場合に2.8±0.1Åと3.1±0.1Åの二種類であること、及び/又は、Sbの周囲の局所構造におけるSbの結合配位数が、非晶相の場合に3であり、結晶相の場合に2と4の二種類であることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) Teの周囲の局所構造におけるTeと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.8±0.1Åであり、結晶相の場合に2.9±0.1Åと3.1±0.1Åの二種類であること、及び/又は、Teの周囲の局所構造におけるTeの結合配位数が、非晶相の場合に2であり、結晶相の場合に2と1の二種類であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 元素A及び/又は元素Bの周囲の局所構造における元素A及び/又は元素Bと周囲の元素との結合距離が、Sb及びTeの周囲の局所構造におけるSb及びTeと周囲の元素との結合距離よりも短いことを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 電磁波を照射することにより、記録層を結晶相と非晶相の間で相転移させて情報の記録、再生、消去を行う相変化型光記録媒体の製造方法において、該記録層を構成する材料の組成式をAαBβSbγTeδとして、α、β、γ、δが、1≦α≦8、2≦β≦5、61≦γ≦79、14≦δ≦31の範囲にあり(ここで、元素Aは、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Reの中から選ばれた少なくとも一つの元素、元素Bは、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Feの中から選ばれた少なくとも一つの元素であり、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100である。)、該記録層を成膜した後、波長830nmの半導体レーザと波長650nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行うことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の光記録媒体の記録層は、SbとTeを含有し、これに元素Aと元素Bが添加され、前記本発明1のような局所構造を有するものであって、これにより高密度高線速に対応できる高速結晶化及び繰返し特性と保存特性に優れた光記録媒体を提供することができる。
本発明の光記録媒体は、SbとTeを含有するものであるが、SbとTeのみから成る記録材料は、結晶化温度が120℃前後の為、長期的にみると記録マークの結晶化が進み、マークが消失してしまうので保存特性に問題を有する。また、高線速化、例えば、線速が15m/s以上の線速に応じてオーバライトできる高速結晶化が困難であるという問題点を有する。
【0008】
そこで鋭意検討した結果、記録層の局所構造がこれらの問題を解決する為の鍵となっていることを突き止めた。
具体的には、SbとTeに元素Aを加えた記録層が結晶層と非晶相の間で相転移した際、この記録層の元素Aから見た(元素Aを中心とする)局所構造が、相転移前後で類似している時に、高速結晶化が達成されることが分った。これは、元素Aを添加しても、相転移の前後において、その周囲の局所構造に大きな変化を与えないこと、即ち、非晶構造から僅かの局所構造の変化で、結晶構造に移行できることを意味し、結晶化速度が速いことにつながる。なお、局所構造の解析には、EXAFS(広域X線吸収微細構造)を用いた。
上記のような特性を有する元素Aとしては、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Re等が挙げられる。
【0009】
一方、SbとTeに元素Bを加えた記録層が結晶層と非晶相の間で相転移した際、この記録層の元素Bから見た(元素Bを中心とする)局所構造が、相転移前後で異なるようにすれば、保存特性が向上することが分った。その理由については現在検討中であるが、相転移前後の局所構造が異なることにより、非晶相(記録状態)から結晶相(消去状態)への経時変化が難しくなり(抑制され)、非晶相が安定状態に保たれる為と考えられる。
上記のような特性を有する元素Bとしては、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Fe等が挙げられる。
また、元素Aと元素Bは、Teに重みを置いて、即ち、主にTeと結合させることにより、記録時のアモルファス化を容易にし、記録感度の向上を図ることができることが分った。更に、元素A及び/又は元素Bの局所構造における、元素A及び/又は元素Bと周囲の元素との結合距離を、Sb及びTeの周囲の局所構造におけるSb及びTeと周囲の元素との結合距離よりも短くすることにより、記録層全体の結合エネルギーを増加させることができるので、記録・消去の繰返しに対しても安定となり、繰返し特性を向上させることができる。
【0010】
更に、Sbの周囲の局所構造においては、Sbと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.9±0.1Å程度、結晶相の場合に2.8±0.1Å程度と3.1±0.1Å程度の二種類、そしてSbの結合配位数が、非晶相の場合に3程度、結晶相の場合に2と4程度の二種類とし、Teの周囲の局所構造においては、Teと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.83±0.1Å程度、結晶相の場合に2.9±0.1Åと3.1±0.1Å程度の二種類、そしてTeの結合配位数が、非晶相の場合に2程度、結晶相の場合に2と1程度の二種類とすることにより、繰返し特性の優れた記録層を得ることが出来る。しかし、このような結果が得られる理由については今のところ不明である。
【0011】
以上のような記録層の局所構造を実現するには、記録層を構成する材料の組成式をAαBβSbγTeδとするとき、α、β、γ、δが、1≦α≦8、2≦β≦5、61≦γ≦79、14≦δ≦31の範囲にある材料が望ましい。(ここで、元素Aは、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Reの中から選ばれた少なくとも一つの元素、元素Bは、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Feの中から選ばれた少なくとも一つの元素であり、α、β、γ、δは原子%で、α+β+γ+δ=100である。)
α、β、γ、δが上記組成範囲を外れると、局所構造が前述の構造と異なったものとなり、保存特性、繰返し特性が劣化し、高線速に対応した高速結晶化が難しくなる。
更に、波長の異なる二つの半導体レーザを用いて初期結晶化を行なうことにより、前述の局所構造を実現できる。また、成膜時のスパッタ用の希ガスとして、Arと、Ne、Kr、Xeの中から選ばれた少なくとも一つとの混合物を用いてもよい。但し、このような方法により、何故、前述の局所構造が現れるのかについては現在解明中である。
【0012】
次に、本発明の光記録媒体の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の光記録媒体の層構成の一例を示す断面図であり、基板1上に下部耐熱保護層2、記録層3、上部耐熱保護層4、反射放熱層5を有する。
耐熱保護層は、必ずしも記録層の両側に設ける必要はないが、基板1がポリカボネート樹脂のような耐熱性の低い材料からなる場合には、下部耐熱保護層を設けることが望ましい。
基板1の材料は、通常、ガラス、セラミックス又は樹脂であり、成形性、コストの点から樹脂基板が好適である。
樹脂の代表例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられるが、加工性、光学特性等の点からポリカーボネート樹脂が好ましい。また、基板の形状は、ディスク状、カード状又はシート状の何れであってもよい。
【0013】
耐熱保護層、即ち誘電体層は、(ZnS)・(SiO)を用いてスパッタ法により膜形成を行なう。
この誘電体層は、耐熱保護層としての機能と光干渉層としての機能を有することから、これらの機能を最大限に活かすことが必要であり、そのためには、膜厚を、200〜3000Å、好ましくは350〜2000Åとする。
200Å未満の場合は、耐熱保護層としての機能が失われ、又、3000Åを超えると界面剥離が生じ易くなるので好ましくない。
また、本発明の記録層は、一般的にはスパッタ法により膜形成を行う。
膜厚は、100〜1000Å、好ましくは200〜350Åとする。100Åより薄いと、光吸収能が低下して記録層としての機能を失うし、1000Åより厚いと、透過光が少なくなるため、干渉効果が期待できなくなる。
反射放熱層にはAg合金が用いられ、通常スパッタ法により膜形成を行う。
膜厚は、500〜2000Å、好ましくは700〜1500Åとする。
【0014】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1〜10、比較例1〜3
トラックピッチ0.7μm、溝深さ400Å、厚さ0.6mm、直径120mmΦのポリカーボネート基板上に、表1に示す各材料からなる下部耐熱保護層、記録層、上部耐熱保護層、反射放熱層を順次スパッタ法により設け、更に反射放熱層の上に、スピンコート法により環境保護層を設けて記録媒体を得た。
次に、得られた記録媒体に対し、波長830nmの半導体レーザと波長650nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行った。
一方、記録膜の構造解析用試料を別途作成し、EXAFS(広域X線吸収微細構造)により解析した。その結果を、実施例1と比較例1について表2に示す。
実施例2〜10のEXAFSによる局所構造の値は示していないが、Sb及びTeの周囲の結合距離、結合配位数の値は、請求項3、4に記載した値の範囲内にあり、元素A及びBの周囲の結合距離は、元素Aの場合、非晶相、結晶相何れも2.6±0.1Åの範囲内にあり、結合配位数は3±1である。また、元素Bの場合、結合距離は、非晶相で2.6±0.1Å、結晶相で2.7±0.1Åの範囲にあり、結合配位数は、非晶相で3±1、結晶相で2〜3の範囲にある。
図2、図3はEXAFSスペクトル、図4、図5は動径分布関数を示す。
図2、図3の横軸は照射X線エネルギー、縦軸は吸収量である。また、図4、図5の横軸は原子間距離、図4(a)の縦軸はSbのEXAFSのフーリエ変換、図4(b)の縦軸はTeのEXAFSのフーリエ変換、図5(a)の縦軸はGaのEXAFSのフーリエ変換、図5(b)の縦軸はGeのEXAFSのフーリエ変換である。
得られた記録媒体の評価としては、記録線速、記録パワーを11m/s(13mW)、13m/s(15mW)、15m/s(17mW)の三種とし、EFMランダムパターンでオーバライトの繰返しを行ない、3T信号のジッター値で記録マークの再生信号を評価した。また、保存特性については、オーバーライト1回記録の記録媒体を、80℃、85%温湿下で300時間保持した後の、オーバーライト1回目の記録マークの3T再生信号のジッター値で評価した。その結果を表3に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0004083442
【0017】
【表2】
Figure 0004083442
【0018】
【表3】
Figure 0004083442
【0019】
上記表2に示したように、実施例1及び比較例1の何れも、元素AであるGa、元素BであるGe、Fe共にTeとの結合が主であることが判明した。
結合距離と結合配位数については、本発明の組成範囲にある実施例1の場合、元素AであるGaの周囲の局所構造の結合距離と結合配位数は、非晶相と結晶相の間で殆んど違いがなく、局所構造は極めて類似していることが分る。また、元素BであるGeとFeの周囲の局所構造は、非晶相と結晶相の間で大きな差があることが分る(なお、Feの結晶相の結合配位数は、測定信号が小さい為に求められなかった)。
また、SbとTeの周囲の局所構造は、結晶相の場合は結合距離、結合配位数共に2種類あることが分り、これは本実施例の記録材料の構造が歪んでいることを示している。因みに、X線回折(スペクトルは示していない)によれば、本実施例の記録材料の構造はNaCl型であることが確認されているので、このNaCl型構造が歪んでいることを示唆している。
また、Ga、Ge、Fe共に、その結合距離は、Sb及びTeの結合距離よりも小さいことが分る。
【0020】
一方、比較例1の場合、実施例1の記録材料と同じ元素で構成されているが、その組成が本発明の組成範囲を外れているため、元素AであるGaの局所構造が非晶相と結晶相で異なり、元素BであるGeとFe周囲の局所構造は、非晶相と結晶相の間で比較的類似していて、実施例1と異なっていることが分る。
また、表3に示した信号特性の結果をみると、本発明の記録材料は、実施例1〜10の各記録媒体において、記録線速11m/sec、13m/sec、15m/secの何れについても、比較的低い記録パワーで記録できており、繰返し特性、保存特性も、比較例1に比べて極めて良好であることが分る。
これに対し、比較例2は、記録材料がGe、Sb、Teからなり元素Aに相当する元素を含まない場合であるが、この場合、信号特性は、記録線速が13m/s、15m/sの高線速になると記録ができないことが分る。
【0021】
また、比較例3は記録材料がGa、Sb、Teからなり元素Bに相当する元素を含まない場合であるが、この場合は、記録線速11m/s、13m/s、15m/sの何れにおいてもマークは書けるものの、繰返し特性及び保存特性が悪いことが分る。
比較例2、3については、局所構造の結果を示していないが、Ge及びGaの周囲の局所構造は、実施例1と同様の結果が得られており、このGeからみた局所構造が、相転移前後で変化が大きな構造となり、また、Gaからみた局所構造が、相転移前後で変化が少ない構造となることが、比較例2の場合の繰返し特性と保存特性が良好である結果となり、また、比較例3の場合の高線速記録が可能という結果となる。但し、比較例2は、高線速化に対応できず、比較例3は、繰返し特性と保存特性が悪い。
このような比較例の欠点を解決したのが本発明である。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、高線速高密度化に対応でき、繰返し特性と保存特性に優れた光記録媒体及びその製造方法を提供できるので、光情報記録分野の発展に寄与するところは極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の層構成の一例を示す断面図。
【図2】実施例1のGaGeFeSb73Te20の非晶相と結晶相のSbとTeのEXAFSスペクトル。
(a) SbのK吸収端スペクトル
(b) TeのK吸収端スペクトル
【図3】実施例1のGaGeFeSb73Te20の非晶相と結晶相のSbとTeのEXAFSスペクトル
(a) GaのK吸収端スペクトル
(b) GeのK吸収端スペクトル
【図4】実施例1のGaGeFeSb73Te20の非晶相と結晶相のSbとTeのEXAFSによる動径分布関数。
(a) SbのEXAFSのフーリエ変換
(b) TeのEXAFSのフーリエ変換
【図5】実施例1のGaGeFeSb73Te20の非晶相と結晶相のGaとGeのEXAFSによる動径分布関数。
(a) GaのEXAFSのフーリエ変換
(b) GeのEXAFSのフーリエ変換
【符号の説明】
1 基板
2 下部耐熱保護層
3 記録層
4 上部耐熱保護層
5 反射放熱層

Claims (6)

  1. 電磁波を照射することにより、記録層結晶相と非晶相の間で相転移させ情報の記録、再生、消去を行う相変化型記録媒体において、該記録層を構成する材料の組成式をAαBβSbγTeδとするとき、α、β、γ、δが、1≦α≦8、2≦β≦5、61≦γ≦79、14≦δ≦31の範囲にあり(ここで元素Aは、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Reの中から選ばれた少なくとも一つの元素、元素Bは、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Feの中から選ばれた少なくとも一つの元素であり、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100である。)、該記録層は、成膜後に、波長830nmの半導体レーザと波長650nmの半導体レーザを用いて初期結晶化されたことにより、結晶相と非晶相との相転移の際に、元素Aからみた(元素Aを中心とする)局所構造が、相転移前後で類似し、元素Bからみた(元素Bを中心とする)局所構造が、相転移前後で異なることを特徴とする光記録媒体。
  2. 元素Aと元素Bが、Teに重みを置いて(主としてTeに)結合していることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. Sbの周囲の局所構造におけるSbと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.9±0.1Åであり、結晶相の場合に2.8±0.1Åと3.1±0.1Åの二種類であること、及び/又は、Sbの周囲の局所構造におけるSbの結合配位数が、非晶相の場合に3であり、結晶相の場合に2と4の二種類であることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
  4. Teの周囲の局所構造におけるTeと周囲の元素との結合距離が、非晶相の場合に2.8±0.1Åであり、結晶相の場合に2.9±0.1Åと3.1±0.1Åの二種類であること、及び/又は、Teの周囲の局所構造におけるTeの結合配位数が、非晶相の場合に2であり、結晶相の場合に2と1の二種類であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
  5. 元素A及び/又は元素Bの周囲の局所構造における元素A及び/又は元素Bと周囲の元素との結合距離が、Sb及びTeの周囲の局所構造におけるSb及びTeと周囲の元素との結合距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
  6. 電磁波を照射することにより、記録層を結晶相と非晶相の間で相転移させて情報の記録、再生、消去を行う相変化型光記録媒体の製造方法において、該記録層を構成する材料の組成式をAαBβSbγTeδとして、α、β、γ、δが、1≦α≦8、2≦β≦5、61≦γ≦79、14≦δ≦31の範囲にあり(ここで、元素Aは、In、Sm、Al、Sn、Nd、Ga、Reの中から選ばれた少なくとも一つの元素、元素Bは、N、Ru、Rh、Ge、Cu、O、Feの中から選ばれた少なくとも一つの元素であり、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100である。)、該記録層を成膜した後、波長830nmの半導体レーザと波長650nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行うことを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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