JP4082316B2 - 自動車用シート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用シート装置に関する。
従来、自動車において、スペアタイヤの収納用凹部を自動車用シート装置の下方のフロア面に形成することが知られている。(例えば、特許文献1参照)
特開平6−179381号公報(図1)
上述したスペアタイヤの収納用凹部においてタイヤを出し入れする場合、自動車用シート装置を折り畳んだ後、自動車用シート装置を起立させて収納用凹部の上方から移動させて収納用凹部を開放し、その状態で収納用凹部からスペアタイヤを取り出し、また、取り替えたタイヤを収納用凹部に収容し、その後、折り畳んだ自動車用シート装置を収納用凹部の上方に戻した後、自動車用シート装置を折り畳み状態から着座可能な状態に戻す作業となる。
このように、タイヤの交換自体面倒な作業であるのに、これに加えて、自動車用シート装置を折り畳んでさらに移動させる作業が必要であり、作業が面倒であった。
本発明は、上述のような従来の問題点に着目して成されたもので、下方のフロアに形成された収納用凹部にタイヤを出し入れするのが容易な自動車用シート装置を提供することを目的としている。
上述の目的を達成するべく、本願請求項1に記載の発明は、
フロアを下方に凹ませて形成されたタイヤを収納する収納用凹部の上方に配置された自動車用シート装置において、シートクッションが、このシートクッション上にシートバックが回動されて重ねられるとともに前記収納用凹部の側に位置する折畳位置と、前記収納用凹部の上方に位置するシート状態位置とに移動可能に設けられ、前記収納用凹部は、標準タイヤが収納可能な大きさを有し、その上部全体を開口して形成し、前記シートクッションは、クッション材と、このクッション材の下面を支持する支持体とを備え、前記支持体に、シートクッション前部から後部へ向けて下方に傾斜した傾斜部を設け、前記クッション材の前部の厚みよりも後部の厚みを厚く形成するとともに、シートクッションの前端下面とフロアとの間に、前記標準タイヤが出し入れできる寸法のタイヤ出し入れ用のタイヤ出入用開口部を設け、前記シート状態位置にあるときシートクッションの下面と前記収納用凹部との間に空間が形成され、該空間は、前記収納用凹部と連なるとともに前記折畳位置として利用される空間を形成し、該空間から前記タイヤ出入用開口部を通して前記標準タイヤが出し入れされることを特徴とする手段とした。
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の自動車用シート装置において、
前記フロアを前記収納用凹部の後端位置で立ち上げ、前記シート装置の後方にラゲッジフロアを形成し、該ラゲッジフロアと前記シート装置との間に空間を形成するとともに、該空間と前記ラゲッジフロア上面には、ラゲッジリッドが取り外し自在に敷かれていることを特徴とする手段とした。
本発明の自動車用シート装置によれば、自動車用シート装置の下方のフロアに形成した収納用凹部へのタイヤの出し入れは、シートクッション前端下面とフロアとの間に形成したタイヤ出入用開口部から行う。
したがって、タイヤの出し入れの際に自動車用シート装置を折り畳む作業および自動車用シート装置を移動させる作業が不要となり、作業性に優れるという効果が得られる。
また、シートクッションのクッション材の下面を支持する支持体に、シートクッション前部から後部へ向けて下方に傾斜した傾斜部を設け、前記クッション材の前部の厚みよりも後部の厚みを厚く形成したため、タイヤ出入用開口部を確保することとシートクッション座面が高くならないようにすることを両立させるべく、着座者の脚を支持するシートクッション前部のクッション材の厚みを薄くしても、着座者の臀部を支持するシートクッション後部のクッション材の厚みを相対的に厚くして、座面の高さを抑えつつタイヤ出入用開口部の十分な面積を確保することと、良好な座り心地を確保することの両立を図ることができるという効果が得られる。
また、請求項2に記載の発明にあっては、シート装置の下方に形成した収納用凹部に収納した、いわゆるテンパータイヤと呼ばれる自動車に装着された標準タイヤよりも幅の小さなスペアタイヤは、シートクッションの前端下面とフロアとの間に形成されたタイヤ出入用開口部、あるいは、ラゲッジリッドを外してシート装置とラゲッジフロアとの間に形成した空間から出し入れすることができるという効果が得られる。

以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の自動車用シート装置を示す斜視図、図2は実施の形態1の自動車用シート装置を示す側方から見た断面図、図3は実施の形態1の自動車用シート装置を折り畳んだ状態を側方から見た断面図である。
この実施の形態1の自動車用シート装置Sは、車体のフロアFの上に前後方向に複数並べられた自動車用シート装置の後端に配置されたものであり、例えば、2列目あるいは3列目のシートとして用いられている。
前記フロアFにおいて、前記自動車用シート装置Sの下方位置には、フロアパネル1を下方に凹ませて図外のテンパータイヤと呼ばれる幅狭のスペアタイヤおよび自動車に装着されている標準タイヤTを収納する収納用凹部1aが形成されている。
前記収納用凹部1aには、タイヤ固定具11が設けられている。このタイヤ固定具11は、収納用凹部1aを形成するフロアパネル1に固定された固定ブラケット11aと、この固定ブラケット11aに溶接された溶接ナット11bと、この溶接ナット11bに螺子合わされた螺子部材11cと、この螺子部材11cの上端部に固定された押さえ部11dおよび把持部11eとを備え、図外のスペアタイヤのホイールを前記固定ブラケット11aと押さえ部11dとで挟んで固定するよう構成されている。
また、前記収納用凹部1aは、リッド12により開閉されるもので、前記収納用凹部1aの上部には、リッド12を支持する支持ブラケット13が複数設けられている。
なお、前記フロアパネル1は、前記収納用凹部1aの後端位置で立ち上げられて、自動車用シート装置Sの後方に荷物積載用のラゲッジルームLRを形成するラゲッジフロア1bが形成されている。前記ラゲッジフロア1b上面には、樹脂板・合板などで形成されたラゲッジリッド4が取り外し自在に敷かれている。
また、前記収納用凹部1aよりも前方では、前記フロアパネル1の上に遮音および吸振用のインシュレータ2が敷かれ、その上にカーペット3が敷かれている。
前記自動車用シート装置Sは、シートクッション5とシートバック6とヘッドレスト7とを備えている。
前記シートクッション5は、フロアパネル1の左右に固定された支持ブラケット8に、図1および図2に示すシート状態位置と図3に示す折畳位置とに移動可能に支持されている。すなわち、前記シートクッション5の前部左右に設けられた前部リンク9,9が前記支持ブラケット8に対して回動するとともに、前記シートクッション5の後端部左右が前記支持ブラケット8の上端に湾曲して形成されたガイド面8aに沿って移動することにより、前記シート状態位置と折畳位置とに移動する。
また、前記シートバック6は、前記支持ブラケット8に設けられた折畳デバイス(図示省略)により前後に回動可能に支持されているとともに、前記シートバック6の下端部と前記シートクッション5の後端部とが後部リンク10により連結されて、図1および図2に示すシート状態位置と図3に示す折畳位置とにシートクッション5と連動して回動するもので、折畳位置では、シートバック6はシートクッション5に重なるとともに、シートバックフレーム6aに固定されてシートバック6の背面に設けられた延長ラゲッジボード6bが前記ラゲッジリッド4と略同一面に配置される。
なお、前記支持ブラケット8には、シートバック6をシート状態位置に配置させた状態でシートバック6の回動を規制するロック機構が設けられている。
前記ヘッドレスト7は、ヘッドレストステー71をシートバック6に抜き差しすることでシートバック6に着脱可能となっている。
前記シートクッション5は、シートクッション5の骨格となる支持体51と、この支持体51に支持された例えば発泡ウレタンにより形成されクッション材52と、このクッション材52の表面を覆う表皮53とを備えている。
前記支持体51は、フレーム54とクッション板55とを備えている。
前記フレーム54は、金属などのパイプ材により形成され、シートクッション5の左右側部において前後方向に延在された横パイプ54a,54aと、シートクッション5の前部において左右方向に延在されて左右端部が前記横パイプ54a,54aの前端部と一体となった前パイプ54bと、シートクッション5の後部において左右方向に延在されて左右端部が前記横パイプ54a,54aの後端部と一体となった後パイプ54cとにより上方から見て略ロの字形状を成すように形成されている。また、前記横パイプ54a,54aの前部には、前側ほど高く後側ほど低くなるように傾斜した傾斜部54dが形成されている。
前記クッション板55は、前記クッション材52の下面を支持するための金属などにより形成された小幅の板材であり、前記前パイプ54bと後パイプ54cとの間に掛け渡されて前後方向に延在されて、車幅方向に複数並んで設けられている。このクッション板55の前部にあっても、前側ほど高く後側ほど低くなるように傾斜した傾斜部55dが形成されている。
さらに、前記クッション板55の傾斜部55dの上面に配置されて複数のワイヤ56が左右の前記横パイプ54a,54aの間に掛け渡されている。
前記クッション材52は、上述のようにこのクッション材52を支持する支持体51を構成する横パイプ54aおよびクッション板55に傾斜部54d,55dを設けた結果、支持体15上の前部に配置される部分の厚みHFに比べて後部に配置される部分の厚みHRの方が厚く形成されている。
前記シートクッション5の前端部とフロアFとの間に、前記収納用凹部1aにタイヤを出し入れさせるタイヤ出入用開口部20が形成されている。この前記タイヤ出入用開口部20は、一般にテンパータイヤと呼ばれるスペアタイヤ、ならびに自動車の4輪に装着されている標準タイヤTの両方を出し入れできる寸法に形成されている。すなわち、前記シートクッション5は、その前端下部の位置決めをするフレーム54の前パイプ54bが、シートクッション5の左右側部57,57の下面57aに対して相対的に高く配置されて、前方から見た形状が略門形状に形成され、前端部には前記タイヤ出入用開口部20の上部を形成する出入用凹部59が形成されて、前記タイヤ出入用開口部20の上下寸法を十分に確保している。
以上のように構成された実施の形態1の自動車用シート装置によれば、自動車用シート装置Sの下方のフロアFに形成した収納用凹部1aに収納した、いわゆるテンパータイヤと呼ばれる自動車に装着された標準タイヤTよりも幅の小さなスペアタイヤは、シートクッション5の前端下面とフロアFとの間に形成されたタイヤ出入用開口部20、あるいは、ラゲッジリッド4を外して自動車用シート装置Sとラゲッジフロア1bとの間に形成した空間から出し入れすることができる。
一方、自動車から外した標準タイヤTは、前記タイヤ出入用開口部20から収納用凹部1aへ出し入れする。
したがって、タイヤを収納用凹部1aへ出し入れする際には、自動車用シート装置Sを折り畳む作業および自動車用シート装置Sを移動させる作業が不要であり、作業性に優れるという効果が得られる。
また、実施の形態1の自動車用シート装置Sにあっては、シートクッション5のクッション材52の下面を支持する支持体51を構成する横パイプ54a,54aならびにクッション板55に、シートクッション5の前部から後部へ向けて下方に傾斜した傾斜部54d,55dを設け、前記クッション材52の前部の厚みよりも後部の厚みを厚く形成したため、タイヤ出入用開口部20を確保することとシートクッション5の座面が高くならないようにすることを両立させるべく、着座した人の脚を支持するシートクッション5の前部のクッション材52の厚みを薄くしても、着座した人の臀部を支持するシートクッション5の後部におけるクッション材52の厚みを十分に確保して、座面の高さを抑えつつタイヤ出入用開口部20の十分な面積を確保することと、良好な座り心地を確保することの両立を図ることができるという効果が得られる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の自動車用シート装置について説明するが、この実施の形態2を説明するにあたり実施の形態1と同様の構成については実施の形態1と同じ符号を付けて説明を省略する。
図4は実施の形態2の自動車用シート装置S2を示す斜視図である。
この実施の形態2の自動車用シート装置S2にあっては、シートクッション5の前面に表皮53と同じ素材で形成されて前記シートクッション5の前端部に形成された出入用凹部59を覆うカバー58が設けられている。
そして、このカバー58の上縁には、上方に折り曲げる折れ部58aが設けられ、カバー58の左右とシートクッション5の左右側部57,57とを繋ぎ止めたり外したりするチャック58b、58bが設けられ、タイヤ出入用開口部20を開閉可能としている。
以上のように、実施の形態2の自動車用シート装置にあっては、カバー58を設け、タイヤを出し入れする時以外は、出入用凹部59を覆い隠すようにしたため、外観品質を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の請求項に記載した発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施の形態では、自動車用シート装置を折畳可能とした例を示したが、折畳可能とする場合でも、実施の形態で示したようにシートクッションを平行移動させる構造に限定されるものではなく、跳ね上げ形式など他の手段を用いてもよい。
また、実施の形態では、クッション材を支持する支持体として、パイプ製のフレーム、クッション板、ワイヤで構成されたものを示したが、この支持体としては、シートクッションとしての形状を保ってクッション材を支持できるものであれば、パネルで形成したものなど他の手段を用いてもよい。

実施の形態1の自動車用シート装置を示す斜視図である。 実施の形態1の自動車用シート装置のシート状態を示す断面図である。 実施の形態1の自動車用シート装置の折畳状態を示す断面図である。 実施の形態2の自動車用シート装置を示す斜視図である。
符号の説明
1 フロアパネル
1a 収納用凹部
1b ラゲッジフロア
2 インシュレータ
3 カーペット
4 ラゲッジリッド
5 シートクッション
6 シートバック
6a シートバックフレーム
6b 延長ラゲッジボード
7 ヘッドレスト
8 支持ブラケット
8a ガイド面
9,9 前部リンク
10 後部リンク
11 タイヤ固定具
11a 固定ブラケット
11e 把持部
11b 溶接ナット
11c 螺子部材
11d 押さえ部
12 リッド
13 支持ブラケット
20 タイヤ出入用開口部
51 支持体
52 クッション材
53 表皮
54 フレーム
54a,54a 横パイプ
54b 前パイプ
54c 後パイプ
54d 傾斜部
55 クッション板
55d 傾斜部
56 ワイヤ
57,57 左右側部
57a 下面
58 カバー
58b チャック
58a 折れ部
59 出入用凹部
71 ヘッドレストステー
F フロア
LR ラゲッジルーム
S 自動車用シート装置
S2 自動車用シート装置
T 標準タイヤ
HF 前部クッション材厚み
HR 後部クッション材厚み

Claims (2)

  1. フロアを下方に凹ませて形成されたタイヤを収納する収納用凹部の上方に配置された自動車用シート装置において、シートクッションが、このシートクッション上にシートバックが回動されて重ねられるとともに前記収納用凹部の側に位置する折畳位置と、前記収納用凹部の上方に位置するシート状態位置とに移動可能に設けられ、前記収納用凹部は、標準タイヤが収納可能な大きさを有し、その上部全体を開口して形成し、前記シートクッションは、クッション材と、このクッション材の下面を支持する支持体とを備え、前記支持体に、シートクッション前部から後部へ向けて下方に傾斜した傾斜部を設け、前記クッション材の前部の厚みよりも後部の厚みを厚く形成するとともに、シートクッションの前端下面とフロアとの間に、前記標準タイヤが出し入れできる寸法のタイヤ出し入れ用のタイヤ出入用開口部を設け、前記シート状態位置にあるときシートクッションの下面と前記収納用凹部との間に空間が形成され、該空間は、前記収納用凹部と連なるとともに前記折畳位置として利用される空間を形成し、該空間から前記タイヤ出入用開口部を通して前記標準タイヤが出し入れされることを特徴とする自動車用シート装置。
  2. 請求項1に記載の自動車用シート装置において、
    前記フロアを前記収納用凹部の後端位置で立ち上げ、前記シート装置の後方にラゲッジフロアを形成し、該ラゲッジフロアと前記シート装置との間に空間を形成するとともに、該空間と前記ラゲッジフロア上面には、ラゲッジリッドが取り外し自在に敷かれていることを特徴とする自動車用シート装置。
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