JP4081954B2 - 漏液検出器および漏液検出システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物内部の壁面、床面、装置表面、その他に付着する水、薬液、その他の液体(流動体、半流動体等を含む)を検知する漏液検出システムおよびこれに用いる漏液検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、漏液検出箇所に配置される漏液センサと、漏液センサの出力から漏液を検出する漏液検出器とを備えた漏液検出システムがある。このシステムで用いられる漏液センサには、絶縁被膜内に2本の導体を一定の間隔を保って収納するとともに、その絶縁被膜を前記両導体両側縁で部分的に欠如させることで両導体を部分的に外部に露出させ、それぞれの露出導体部分を一対の漏液検知電極として構成された漏液検知帯がある。
【0003】
このような漏液検知帯を漏液センサとして用いた漏液検出システムにおいては、一対の漏液検知電極の一方の漏液検知電極に、漏液検出用信号を与えておき、薬液などが漏液していない状態では、一対の漏液検知電極間が電気的に開放しているので、他方の漏液検知電極から前記漏液検出用信号に対応した出力が得られず、また、薬液などが漏液して一対の漏液検知電極が薬液で電気的に短絡すると、他方の漏液検知電極から前記漏液検出用信号に対応する出力が得られることになり、これによって漏液を検出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来例の漏液検出システムでは、漏液検知帯と漏液検出器との間の配線が断線している場合には、漏液が生じていても、それを検出することができず、あたかも漏液が生じていない正常な状態であると誤って判断されることになる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、断線を検出できる漏液検出器およびそれを用いた漏液検出システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
すなわち、本発明の漏液検出器は、一対の漏液検知電極の終端側が終端素子を介して接続された前記両漏液検知電極の始端側が接続されるものであって、一方の漏液検知電極に前記終端素子で遮断される漏液検出用信号を送信するとともに、他方の漏液検知電極からの信号を受信して漏液を検出する漏液検出モードと、一方の漏液検知電極に前記終端素子を通過する断線検出用信号を送信するとともに、他方の漏液検知電極からの信号を受信して断線を検出する断線検出モードとを備え、さらに、前記一方の漏液検知電極に前記漏液検出用信号および前記断線検出用信号を送信する信号送信部と、他方の漏液検知電極からの信号を受信する第1信号受信部と、第2信号受信部とを備え、前記両漏液検知電極の前記始端側が、配線用ケーブルを介して接続されるものであり、該配線用ケーブル内の複数の芯線のうちの1つの芯線(送信芯線)の一端側が前記信号送信部に接続されるとともに、前記送信芯線の他端側が一方の漏液検知電極の始端側に接続され、前記複数の芯線のうちの別の芯線(第1受信芯線)の一端側が前記第1信号受信部に接続されるとともに、前記第1受信芯線の他端側が他方の漏液検知電極の始端側に接続され、前記複数の芯線のうち残りの芯線(第2受信芯線)の一端側が前記第2信号受信部に接続されるとともに、前記第2受信芯線の他端側が前記両漏液検知電極のいずれに対しても無接続とされ、前記両受信芯線それぞれの一端側より前記両信号受信部に個別に入力されたときの各ノイズ成分が、前記各芯線間の浮遊容量により同相状態となるようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明によると、漏液検出モードでは、漏液検出用信号が終端素子で遮断されるので、漏液が生じて一対の漏液検知電極が液体で電気的に短絡していない限り、一方の漏液検知電極に送信された漏液検出用信号に対応した出力が他方の漏液検知電極から得られることがなく、したがって、漏液を検出できることになり、また、断線検出モードでは、断線検出用信号が終端素子を通過するので、断線が生じていない限り、一方の漏液検知電極に送信された断線検出用信号に対応した出力が他方の漏液検知電極から得られることになり、したがって、断線を検出できることになる。すなわち、漏液検出モードでは、漏液を検出できる一方、断線検出モードでは、断線を検出できることになる。
また、本発明によると、前記両受信芯線それぞれの他端側より前記信号受信部に入力されたときの各ノイズ成分が、前記各芯線間の浮遊容量により同相状態となるようにしたので、互いに同相状態で受信した両ノイズ成分を相殺除去して漏液検出を高精度で行える。
【0009】
本発明の一実施態様においては、前記終端素子が、ツェナーダイオードである。
【0010】
本発明によると、断線検出モードでは、漏液検出用信号よりも電圧レベルの高い断線検出用信号を送信することにより、ツェナーダイオードを導通させて断線を検出することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記漏液検出モードを、所定の時間間隔で前記断線検出モードに切り換えるものである。
【0012】
本発明によると、漏液が生じたときには、漏液検出モードで検出できる一方、断線が生じたときには、断線検出モードで検出できることになり、所定の時間間隔の設定によって、漏液および断線のいずれも迅速に検出できる。
【0015】
本発明の漏液検出システムは、一対の漏液検知電極を有して漏液検知箇所に配置される漏液センサと、前記一対の漏液検知電極の終端側を接続する終端素子と、前記一対の漏液検知電極の始端側が接続される本発明に係る漏液検出器とを備えている。
【0016】
本発明によると、漏液検出モードで漏液を検出することができるとともに、断線検出モードで断線を検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態の漏液検知システムは、漏液センサとしての漏液検知帯1と、配線用ケーブルとしての平衡3芯ケーブル2と、本発明に係る漏液検出器3とを有している。
【0019】
漏液検知帯1は、例えば特開平5−187955号公報にも記述されているように絶縁被膜4内に2本の導体5,6が互いに対して一定の間隔を保って収納されるとともに、その絶縁被膜4が前記両導体5,6それぞれの側縁で部分的に欠如されることで両導体5,6を部分的に外部に複数箇所にわたって露出され、それぞれの露出箇所7,8で露出されている導体部分を漏液検知電極5a,6aとしてなる。
【0020】
この漏液検知帯1は、建物内部の壁面、床面、装置表面など各種漏液検出箇所に配設される。平衡3芯ケーブル2は、相互に絶縁されて平衡状態にある3つの芯線を備えており、それら芯線のうち、任意に選択されたいずれか1つの芯線を漏液検出のための所定電圧の矩形波信号の送信に用いる送信芯線9とされ、残りの2つの芯線をそれぞれ第1および第2受信芯線10,11とされている。なお、本実施の形態では平衡3芯ケーブルとしているが、芯線の数は3以上あっても構わない。そして、送信芯線9の一端側は導体5を介して一方の漏液検知電極5aの始端側に、第1受信芯線10の一端側は導体6を介して他方の漏液検知電極6aの始端側に、それぞれ、接続され、第2受信芯線11は漏液検知帯1に対して無接続とされている。
【0021】
この実施の形態では、漏液検知帯1自身あるいは漏液検知帯1から漏液検出器3までの配線の断線を検出できるようにするために、漏液検知帯1の一対の漏液検知電極5a,6aの終端側には、終端素子としてのツェナーダイオード50が双方向に接続されており、漏液検出器3は、漏液を検出する漏液検出モードと断線を検出する断線検出モードとの二つの検出モードを備えている。
【0022】
漏液検出器3は、漏液を検出するための漏液検出モードでは、所定周期毎(例えば135ms)に図中で簡略的に示される漏液検出用信号としての所定電圧の矩形波信号S1を送信する一方、断線を検出するための断線検出モードでは、断線検出用信号として前記矩形波信号S1よりも電圧レベルの高い矩形信号S5を送信するための送信端子12と、信号を受信するための第1、第2受信端子13,14とを備えるとともに、内部には送信端子12から信号S1,S5を送信する信号送信部と、両受信端子13,14で受信された信号S2,S3の状態から漏液状態および断線状態を検出する信号受信部とを備えている。この信号送信部と信号受信部とは後述する。なお、信号受信部において前記両受信端子13,14側はそれぞれ信号受信部の入力部となる。
【0023】
こうした漏液検出器3の送信端子12は送信芯線9の他端側に、第1および第2受信端子13,14は第1および第2受信芯線10,11の他端側に、それぞれ、接続される。
【0024】
漏液検出器3は、その動作全体を司るマイクロコンピュータ15と、マイクロコンピュータ15から出力される信号S1,S5を増幅出力するドライバ16とを有する。マイクロコンピュータ15単独であるいはドライバ16を含めて信号送信部が構成される。
【0025】
この実施の形態の漏液検出器3は、漏液検出モードでは、マイクロコンピュータ15は、漏液検知帯1の一方の漏液検知電極5aに、漏液検出用信号として前記双方向に接続されたツェナーダイオード50によって遮断される上述の所定電圧V(例えば5V)の矩形波信号S1を送信するとともに、他方の漏液検知電極5aからの出力を受信し、矩形波信号S1に対応する信号が受信されたときには、漏液であると判断するものである。
【0026】
また、断線検出モードでは、マイクロコンピュータ15は、漏液検知帯1の一方の漏液検知電極5aに、断線検出用信号として前記双方向に接続されたツェナーダイオードを通過する電圧レベルの高い(例えば10V)矩形信号S5を送信するとともに、後述のようにして他方の漏液検知電極5aからの出力を受信し、矩形信号S5に対応する信号が受信されなかったときには、断線であると判断するものである。
【0027】
つまり、漏液検出モードでは、一対の漏液検知電極5a,6aの終端間に双方向に接続されたツェナーダイオード50で遮断される、すなわち、漏液検知電極5a,6aと漏液検出器3との間で閉ループを形成することなく、漏液検出用信号を用いて漏液を検出する一方、断線検出モードでは、ツェナーダイオード50を通過する、すなわち、漏液検知電極5a,6aと漏液検出器3との間で閉ループを形成して断線検出用信号を用いて断線を検出するものであり、各検出モードによって漏液および断線をそれぞれ検出することができる。
【0028】
この実施の形態では、マイクロコンピュータ15は、電源投入時に、先ず、断線検出モードとして断線を検出し、その後は、漏液検出モードとして所定の時間間隔、例えば7秒毎に断線検出モードに切り換えるようにしている。
【0029】
また、断線が検出されたときには、表示LEDを点滅させて報知するとともに、出力端子から対応する出力を与えるものである。
【0030】
さらに、この実施の形態では、一旦断線が検出されると、電源が再投入されるまでは、接触不良などでたとえ断線が復旧したとしても断線検出状態を継続するものである。
【0031】
なお、ツェナーダイオード50は、終端端子台51に収納されており、その端子部に、漏液検知帯1の漏液検知電極5a,6aを接続するように構成されている。
【0032】
絶縁被覆内で一対の導体が対向して容量導体となっている漏液検知帯1は、その使用態様が電源ケーブル等の他の信号ケーブルと隣接して敷設されることが殆どである。そのために漏液検知帯1には他のケーブルからの信号等が電気的なノイズ成分となって侵入しやすく、また空中を伝播する輻射ノイズ成分も侵入しやすい。そのうえ漏液検出器3においてもまた、純度の高い液体を検出する場合では超高感度でなければならないために検出精度がノイズ成分の影響を非常に受けやすい。その一方で、このような漏液検知帯1は、漏液検出器3の設置箇所とか漏液発生箇所によっては漏液検出器までの距離が長く敷設されることが多い。以上のような理由により漏液検知帯1はその敷設長が長くなると、内部の導体間に漏液検出に影響を及ぼす電気的なノイズ成分が検出信号に重畳されやすくなり、漏液検出器3側における漏液検出の誤動作の要因となる。
【0033】
そこで、この実施の形態では、漏液検出器3から漏液検出箇所までの敷設長が長くなっても電気的なノイズ成分に影響されることなく漏液検出を高精度で行えるように次のように構成している。
【0034】
漏液検出器3は、複数のブリッジ抵抗として互いに直列に接続されて両受信端子13,14間に並列に接続された第1および第2ブリッジ抵抗16,17と、複数の分圧抵抗として電圧Vの電源とグランドとの間に互いに直列に接続されかつその接続中点が両ブリッジ抵抗16,17の接続中点23に接続される第1および第2分圧抵抗18,19とを有する。漏液検出器3はまた、第1受信端子13の受信信号S2を増幅する差動増幅器20と、第2受信端子14の受信信号S3を増幅する差動増幅器21と、この差動増幅器20,21それぞれの出力を増幅する差動増幅器22とを有している。なお、マイクロコンピュータ15単独、あるいは前記各抵抗、差動増幅器を含めて信号受信部が構成される。差動増幅器22の両入力部(−)(+)は、それぞれ、差動増幅器20,21の出力部に抵抗24,25を介して接続されている。また差動増幅器22の入力部(+)は抵抗26を介して接地されている。差動増幅器22の入力部(−)と出力部は抵抗27で接続されている。28〜31は抵抗である。
【0035】
ここで、平衡3芯ケーブル2の各芯線9〜11間には分布容量C01〜C03が存在する。これら分布容量C01,C02,C03は互いに等しい。また、第1、第2ブリッジ抵抗16,17の抵抗値は互いに等しい。また分圧抵抗18,19の抵抗値も互いに等しい。漏液検知帯4から漏液検出箇所に配置される漏液検出器3までの間は平衡3芯ケーブル2で引き回されるので、平衡3芯ケーブル2の敷設距離は長くなるが、漏液検知帯4そのものの敷設距離は短くて済み、したがって、漏液検知帯4内の両導体5,6間の分布容量は無視される程度に小さい。また、平衡3芯ケーブル2内の前記分布容量によってノイズ成分は両受信端子13,14それぞれに対し同相同レベルで入力されるようになっている。図中では信号S3でそのノイズ成分が簡略的に示されている。
【0036】
今、漏液検出モードにおいて、漏液検出用の信号S1が送信端子12を介して平衡3芯ケーブル2の送信芯線9内を通り、漏液検知帯1の一方の導体5に入力される。このとき、漏液検知箇所に漏液の発生が無いときは、漏液検知帯1において対向する漏液検知電極5a,6a間が短絡されていない。したがって、この場合は、信号S1は、他方の漏液検知電極6aにあらわれず、漏液検出器3の両受信端子13,14それぞれの信号S2,S3はノイズ成分のみとなる。このノイズ成分は、平衡3芯ケーブル2に隣接配置されている他の信号ケーブルからのノイズ成分、あるいは空中からの輻射ノイズ成分などであるが、これらノイズ成分は平衡3芯ケーブル内の前記容量関係によって同相状態で各受信端子13,14それぞれにあらわれる。なお、図中では信号S3はそのノイズ成分で簡略的に示されている。信号S2は簡略的に信号S1に対応する信号成分とノイズ成分とが重畳されて示されているが、両漏液検知電極5a,6a間が短絡していないから、このときの信号S2は信号S3と同じノイズ成分だけとなる。
【0037】
したがって、各受信端子13,14に対応する各差動増幅器20,21それぞれの入力部に入力される信号S2,S3は同相ノイズ成分のみであるから、差動増幅器20,21それぞれで増幅されたノイズ成分は次段の差動増幅器22で相殺除去される結果、差動増幅器22は、ノイズ成分に影響されることなく漏液していないことを示す信号S4を出力することができる。なお、図中の信号S4は次に述べる両漏液検知電極5a,6a間が短絡したときの信号状態である。
【0038】
一方、漏液検知箇所に漏液が発生して漏液検知電極5a,6a間が短絡されると、漏液検出用の信号S1は、平衡3芯ケーブル2の送信芯線9、漏液検知帯1の導体5、漏液検知電極5a、6a、導体6、平衡3芯ケーブルの受信芯線10を通り、漏液検出器3の第1受信端子13に入力される。
【0039】
一方、ノイズ成分は、前記と同様、平衡3芯ケーブル2内の前記容量C01〜C03の関係で第1受信端子13と第2受信端子14とにそれぞれ同相で入力される。したがって、差動増幅器20にはノイズ成分が重畳した図中で示される信号S2が入力されて増幅され、差動増幅器21には図中で示されるノイズ成分のみの信号S3が入力されて増幅される。そして、差動増幅器22では前記両差動増幅器20,21それぞれの出力信号を差動増幅すると、ノイズ成分が相殺除去されて漏液の検知に対応した図中で示される信号S4のみが差動増幅器22からは出力される。
【0040】
したがって、マイクロコンピュータ15は、漏液検出モードにおいて、差動増幅器22の出力信号S4から、漏液検知電極5a,6a間が漏液によって短絡していると検出する。
【0041】
一方、漏液検知帯1の一方の漏液検知電極5aには、漏液検出モードでは、漏液検出用信号として矩形波信号S1による所定電圧V(例えば5V)が印加される。このとき、この漏液検知電極5aにのみ電圧が印加されると、この漏液検知電極5aが電蝕されてしまう。そこで、この電蝕を防止するために本実施の形態では、分圧抵抗18,19の接続中点の電圧は前記矩形波信号S1の電圧の中間電圧V/2(2.5V)として、この2.5Vの電圧が第1受信端子13に印加されるようにしている。
【0042】
そのため両漏液検知電極5a,6a間が短絡された場合、矩形波信号S1が5Vのときは一方の漏液検知電極5aの電位は5Vであるが、他方の漏液検知電極6aの電位は2,5Vである。したがって、両漏液検知電極5a,6a間の電位差は2.5Vであって一方の漏液検知電極5aには他方の漏液検知電極6aより相対的に2.5Vだけ高い正の電圧が印加され、また、矩形波信号S1が0Vのときは一方の漏液検知電極5aの電位は0Vであるが、他方の漏液検知電極6aの電位は2.5Vである。したがって、両漏液検知電極5a,6a間の電位差は2.5Vであって、他方の漏液検知電極6aには一方の漏液検知電極5aの電位より相対的に2.5Vだけ高い正の電圧が印加される。そのため、結局、両漏液検知電極5a,6a間には正負に変化する交流電圧が印加されることとなって前記電蝕が防止される。
【0043】
なお、上述の実施の形態においては、差動増幅器20に入力される信号のレベルと、差動増幅器21に入力される信号のレベルとが等しくなるようにそれぞれの信号をスライスする手段を各差動増幅器20,21の前段側に配備することでノイズ成分のレベルが不揃いであってもこのスライスによって揃うことにより、ノイズ成分の完全な除去が可能となる。また、このようにスライスすることで高電圧のノイズ成分で差動増幅器20,21が破損されることを防止できる。また、両受信端子13,14それぞれに不均衡に高周波ノイズ成分が印加される場合は高周波ノイズ除去フィルタを設けても構わない。
【0044】
また、本実施の形態ではブリッジ抵抗16,17と平衡3芯ケーブル2内の前記分布容量C01〜C03とでブリッジ回路が構成されているので、第1受信端子13に入力される信号S3のレベルが低くても、漏液検知を高感度で行うことができる。
【0045】
なお、上述の実施の形態においては、漏液検知電極5a,6aは漏液検知帯1内で構成されているため、送信芯線9、受信芯線10は漏液検知電極5a,6aそれぞれに間接に接続されているが、これに限定されるものではなく、漏液検知電極5a,6aそのものが漏液検知箇所に対向配置され、送信芯線9、受信芯線10が直接、漏液検知電極5a,6aに接続されても構わない。なお、前記間接には、平衡3芯ケーブル2と漏液検知帯1との間に中継端子台を介して接続されるものも含む。
【0046】
なお、上述の実施の形態においては、差動増幅器20,21を用いたが、これらを省略し、両受信端子13,14を直接、差動増幅器22に接続してもノイズ成分の相殺除去が可能である。
【0047】
上述の実施の形態では、終端素子として、ツェナーダイオードを用いたけれども、本発明の他の実施の形態として、終端素子としてコンデンサを設け、両漏液検知電極5a,6a間に印加される交流電圧の周波数を異ならせた漏液検出用信号と断線検出用信号とを用いて漏液および断線を検出するようにしてもよい。例えば、1マイクロファラッドのコンデンサを終端素子とし、漏液検出用信号の周波数を7.5Hz、断線検出用信号の周波数を、1kHzとしてもよい。
【0048】
上述の実施の形態では、漏液検出器3は、二つの信号受信部13,14を有してノイズ成分を相殺除去するようにしたけれども、本発明の他の実施の形態として、図2に示されるように、一つの信号受信部13だけで構成してもよく、さらに、漏液検出用信号の送信回路52とその受信回路53を設けるとともに、断線検出用信号の送信回路54およびその受信回路55設け、さらに、漏液検出モードでは、漏液検知電極5a,6aに前記漏液検出用信号の送信回路52とその受信回路53とをそれぞれ接続し、断線検出モードでは、断線検出用信号の送信回路54およびその受信回路55を切り換え接続する切り換え回路56を設けるようにしてもよい。なお、図2において、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付しており、配線ケーブルとして平衡2芯ケーブル2aを用いている。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、漏液検出用信号は遮断し、断線検出用信号は通過させる終端素子によって一対の漏液検知電極の終端側を接続したので、漏液検出モードでは、漏液検出用信号を一方の漏液検知電極に送信して他方の漏液検知電極の出力を受信することよって漏液を検出することができ、また、断線検出モードでは、断線検出用信号を一方の漏液検知電極に送信して他方の漏液検知電極の出力を受信することよって断線を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る漏液検出システムの回路図
【図2】本発明の他の実施の形態に係る漏液検出システムの回路図
【符号の説明】
1 漏液検知帯
2 平衡3芯ケーブル
3 漏液検出器
5a,6a 漏液検知電極
9 送信芯線
10 第1受信芯線
11 第2受信芯線
12 送信端子
13 第1受信端子
14 第2受信端子
50 ツェナーダイオード
Claims (4)
- 一対の漏液検知電極の終端側が終端素子を介して接続された前記両漏液検知電極の始端側が接続されるものであって、
一方の漏液検知電極に前記終端素子で遮断される漏液検出用信号を送信するとともに、他方の漏液検知電極からの信号を受信して漏液を検出する漏液検出モードと、一方の漏液検知電極に前記終端素子を通過する断線検出用信号を送信するとともに、他方の漏液検知電極からの信号を受信して断線を検出する断線検出モードとを備え、
さらに、前記一方の漏液検知電極に前記漏液検出用信号および前記断線検出用信号を送信する信号送信部と、他方の漏液検知電極からの信号を受信する第1信号受信部と、第2信号受信部とを備え、
前記両漏液検知電極の前記始端側が、配線用ケーブルを介して接続されるものであり、
該配線用ケーブル内の複数の芯線のうちの1つの芯線(送信芯線)の一端側が前記信号送信部に接続されるとともに、前記送信芯線の他端側が一方の漏液検知電極の始端側に接続され、
前記複数の芯線のうちの別の芯線(第1受信芯線)の一端側が前記第1信号受信部に接続されるとともに、前記第1受信芯線の他端側が他方の漏液検知電極の始端側に接続され、
前記複数の芯線のうち残りの芯線(第2受信芯線)の一端側が前記第2信号受信部に接続されるとともに、前記第2受信芯線の他端側が前記両漏液検知電極のいずれに対しても無接続とされ、
前記両受信芯線それぞれの一端側より前記両信号受信部に個別に入力されたときの各ノイズ成分が、前記各芯線間の浮遊容量により同相状態となるようにしたことを特徴とする漏液検出器。 - 前記終端素子が、ツェナーダイオードである請求項1記載の漏液検出器。
- 前記漏液検出モードを、所定の時間間隔で前記断線検出モードに切り換える請求項1または2記載の漏液検出器。
- 一対の漏液検知電極を有して漏液検知箇所に配置される漏液センサと、前記一対の漏液検知電極の終端側を接続する終端素子と、前記一対の漏液検知電極の始端側が接続される請求項1ないし3のいずれかに記載の漏液検出器とを備えることを特徴とする漏液検出システム。
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JP2000046934A JP4081954B2 (ja) | 2000-02-24 | 2000-02-24 | 漏液検出器および漏液検出システム |
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Publications (2)
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