JP4081334B2 - 外装材固定金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、外装材固定金具に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、外装材の経年変化等による伸縮状態においても、左右どちらかに偏って移動せず、両端のシーリングの応力が均等になる位置で静止して、シーリング切れやクラッキングを防止することのできる新しい外装材固定金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の外装材固定金具による建築物への外装材の固定取付けには、通常、図4の正面図(A)および側断面図(B)、そして図5の斜視図に例示したような外装材固定金具(1)が用いられており、この外装材固定金具(1)は、ベース板部(10)と、係止固定するための上部係止部(11A)および下部係止部(11B)を有する外装材係止部(11)、並びにベース板部(10)に配設されている留め穴(12)を備えている。このような外装材固定金具(1)は、その施工時には、図6の側断面図に示したように、外装材固定金具(1)のベース板部(10)上部に配設された留め穴(12)から、留め具(2)を建築物の胴縁(5)等に打ち込み固定している。そして、上部係止部(11A)には外装材(4A)の下端が、また下部係止部(11B)には外装材(4B)の上端が係止されるようにしている。
【0003】
また一方、外装材の建築物外壁面への取付け固定については、たとえば、縦張り用外装材の側縁、つまり縦縁での施工上の寸法変動等に対応するために、図7で示したような、外装材の縦縁を係止する係止ツメ(51)を有し、左右方向に、つまり図中の矢印方向にスライド可能とした取付け金具(5)が知られている(特許文献1)。また、中空部を有する外装材を取付ける際に、外観性や施工性を向上させるために、図8に示したように、中空外装材(6)の中空孔(61)に軸材(7)を挿入し、この軸材(7)の端部を、上下端に設けた支持金具(8)の長穴(81)に挿入して中空外装材(6)の左右スライドが可能であるようにした取付け構造も提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−273988号公報
【特許文献2】
特開2000−160806号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来一般的な前記の外装材固定金具(1)を用いた施工構造の場合には、たとえば経年により、外装材が収縮等により変化すると、外装材が左右どちらかの一方に偏って移動し、移動した方向とは反対側のシーリングが切れるという問題があった。
【0006】
このような問題点は、外装材が左右どちらか一方に移動することなく、外装材の左右両端に配設されるシーリングの応力がバランスをとれるように左右にスライド可能とすることにより解消されるものと考えられる。しかしながら、従来では、前記のとおりの左右スライドを可能とした取付け金具(5)および支持金具(8)を用いた構造は知られていても、このような問題解決のための手段は実現されていないのが実情である。
【0007】
このことは、取付け金具(5)の場合には縦張り外装材の側縁(縦縁)を左右スライド可能に支持しているだけであって、取付け金具(5)外装材の荷重を支えるものではなく、施工時の寸法調節等が主目的とされているからである。また、支持金具(8)の構造では、中空外装材(6)と軸材(7)を用いるという特殊なものであって、しかも非常に複雑な構造を採用しており、この構造においても、外装材の荷重を支えつつ、中空外装材(6)以外の通常の外装材の取付け固定において左右スライド可能としていないからである。
【0008】
そこでこの出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、従来の問題点を解消し、横張り外装材であってもその荷重を支持する共に、外装材の経年変化等による伸縮状態においても、外装材が左右どちらかに偏って移動したりせず、その両端のシーリングの応力が均等になる位置で静止して、シーリング切れやクラッキングを防止することができる新しい外装材固定金具を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、建築物外壁面に外装材を取付け固定する外装材固定金具であって、外壁面に固定されるベース板部と、上部と下部が別体とされた、外装材の実部を係止する係止部を備え、この係止部は、ベース板部に当接する垂直部とこれに立設されている係止片部を有し、垂直部もしくはベース板部には、両者を連結する支持部材が挿入されて垂直部が左右スライド可能とされる横方向の長孔が備えられ、係止部の上部と下部がベース板部に対して独立して左右にスライド可能とされていることを特徴とする外装材固定金具を提供する。
【0010】
またこの出願の発明は、上記の発明について、第2には係止部は、外装材下端部の実部を係止して外装材の荷重を支えることを特徴とする前記第1の外装材固定金具を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
【0012】
添付した図面は、この出願の発明の実施の形態について例示したものであるが、図面に沿って説明すると、まず、図1(A)(B)は、この出願の発明の外装材固定金具を模式的に示した正面図と側断面図であり、図2は斜視図である。この例に示したように、この出願の発明では、外装材固定金具(1)は、建築物外壁面に固定するための土台となるベース板部(10)を有し、このベース板部(10)には、これを留め具(2)によって外壁面に固定するための留め穴(12)が配設されている。また外装材固定金具(1)には、ベース板部(10)と別体とされた係止部(11)が備えられている。図1および図2の例においては、この係止部(11)は、上部外装材の下端部を係止する上部係止部(11A)と、下部外装材の上端部を係止する下部係止部(11B)との2部材によって構成されている。もちろん、これらは2部材ではなく、施工場所や施工状態によっては上部係止部(11A)および下部係止部(11B)のいずれかを有するものであってもよいし、上部係止部(11A)および下部係止部(11B)が一体として構成されていてもよい。
【0013】
より実際的に好適なものとしては、いずれかの場合でもっても、上部係止部(11A)によって外装材の荷重が支えられているものとする。
【0014】
そして、この図1および図2の例では、係止部(11)では、上部係止部(11A)および下部係止部(11B)の各々において、前記のベース板部(10)に当接する垂直部(111)とこれに立設されている係止片部(112)を有し、垂直部(111)には、ベース板部(10)より挿入される支持部材(9)を介して垂直部(111)が左右スライド可能とされる横方向の長孔(113)が備えられている。支持部材(9)は、たとえばベース板部(10)に一端が位置固定されたピン構造を有するものとして、垂直部(111)がスライド可能とされてベース板部(10)に連結された構造を形成する。
【0015】
そして、この出願の発明においては、以上の例とは異なって、支持部材(9)は、その一端が垂直部(111)に位置固定され、これが挿入される長孔(113)がベース板部(10)に配設されている構成とすることもできる。
【0016】
図1および図2の例では、上部係止部(11A)および下部係止部(11B)は、各々独立してスライド可能とされている。外装材の性状が施工状態によっては、両者は一体としてスライド可能としてもよい。ただし、個々の外装材の伸縮に対応するとの観点からでは、独立してスライド可能とすることが有効である。もちろん、前記のとおり施工場所や施工状態によっては、上部係止部(11A)および下部係止部(11B)のいずれかのみを外装材固定金具(1)が有していてもよい。
【0017】
図3は、上記の外装材固定金具(1)を用いた施工例を模式的に示した断面図である。固定取付け方法は、基本的には従来の外装材固定金具の場合と同様である。ただし、この出願の発明では、ベース板部(10)に対して係止部(11)が左右スライド可能とされている。すなわち、たとえば図1、図2および図3のように、長孔(113)に挿通された係止部連結用留め具である支持部材(9)でベース板部(10)に対して、係止部(11)が、左右にスライド可能とされている。
【0018】
たとえば、以上例示したとおりのこの出願の発明においては、外装材固定金具(1)は、ベース板部(10)に対して、係止部(11)がスライド可能とされていることによって、外装材(4A、4B)の荷重を支える構造であっても、外装材(4A、4B)の経年変化等による伸縮で、左右どちらかの方向に偏って移動することはなく、その両端のシーリングの応力が均等にある位置で静止させることができる。このため、シーリング切れやクラッキングを抑止することが可能となる。そして、係止部(11)は外装材の上端部または下端部の少なくともいずれかの実部を係止するものであってよく、外装材(4A、4B)の施工場所や施工状態に応じて、たとえば上下に外装材(4A、4B)が配置される場合には、係止部(11)を各々別体としての上部係止部(11A)および下部係止部(11B)として構成し、各々が独立して左右にスライド可能とすることができる。これによって、上下の外装材(4A、4B)の各々の異なる伸縮の状態やその度合い的確に対応することができる。
【0019】
さらに、この出願の発明において、前記のとおりの長孔(113)と支持部材(9)とによるスライド可能な構造とすることで、比較的簡単な部材構成によってその施工も従来と同様にして簡便に前記のとおりの所期の目的、効果が実現されることになる。
【0020】
もちろん、この出願の発明は以上の例示に限られることはなく、外装材固定金具(1)の素材を金属等とすることや、外装材として無機質板とすること等をはじめとして、外装固定金具(1)の大きさ等のその細部の形態において様々に可能であることは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、横張り外装材であっても、その荷重を支持する共に、外装材の経年変化等による伸縮状態においても、外装材が左右どちらかに偏って移動したりせず、両端のシーリングの応力が均等になる位置で静止し、シーリング切れやクラッキングを防止することができる新しい外装材固定金具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明である、外装固定金具の構造を例示した。(A)は、正面図であり、(B)は側断面図である。
【図2】図1で例示した外装固定金具の斜視図である。
【図3】図1および2で例示した外装固定金具を用いた施工例の側断面図である。
【図4】従来の外装固定金具の構造を例示した図であり、(A)はその正面図、(B)は側断面図である。
【図5】図4における斜視図である。
【図6】図4および5の外装固定金具を用いた施工例を示した側断面図である。
【図7】従来の外装材固定金具の例を示した斜視図である。
【図8】従来の外装材固定金具の別の例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 外装材固定金具
10 ベース板部
11 外装材係止部
11A 上部係止部
11B 下部係止部
111 垂直部
112 係止片部
113 長孔
12 留め穴
2 留め具
3 胴縁
4A、4B 外装材
5 取付け金具
51 係止ツメ
6 中空外装材
61 中空孔
7 軸材
8 支持金具
81 長穴
9 支持部材
Claims (2)
- 建築物外壁面に外装材を取付け固定する外装材固定金具であって、外壁面に固定されるベース板部と、上部と下部が別体とされた、外装材の実部を係止する係止部を備え、この係止部は、ベース板部に当接する垂直部とこれに立設されている係止片部を有し、垂直部もしくはベース板部には、両者を連結する支持部材が挿入されて垂直部が左右スライド可能とされる横方向の長孔が備えられ、係止部の上部と下部がベース板部に対して独立して左右にスライド可能とされていることを特徴とする外装材固定金具。
- 係止部は、外装材下端部の実部を係止して外装材の荷重を支えることを特徴とする請求項1の外装材固定金具。
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