JP4081262B2 - 水素発生方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を触媒の存在下で加水分解して水素ガスを発生させる際に、迅速に水素ガスの発生を停止させることができる水素発生方法及びそれに好適に用いられる水素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を水素吸蔵合金のような触媒に接触させて水素を発生させる方法は既に知られている(特開2001−19401号公報)。このような方法において、発生水素ガスの量を所望に応じ増減したり、緊急時に水素ガスの発生を停止させるには、通常、回分式では機械的に触媒体を取出したり、浸漬する方法が、また連続式、循環式では金属水素錯化合物のアルカリ水溶液の供給量を増減する方法が行われている。
【0003】
しかしながら、触媒体を取出したり、浸漬する操作を繰り返し行うには、その都度煩雑な作業を必要とするし、またアルカリ水溶液の供給量を増減するためにバルブの開閉を行う場合、触媒層の抵抗によりアルカリ水溶液の流入、排出にタイムラグを生じ応答性が悪く、特に緊急時の水素ガス発生の停止には対応できないという問題があった。
【0004】
本発明者は、このような問題を解決するために、種々研究を重ね、先に、触媒層を設けた反応帯域に、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を供給し、これを触媒と接触させて水素ガスを発生させるに当り、反応帯域からの水素ガスの取出量とともに、該アルカリ水溶液の反応帯域への供給量又は反応帯域からの排出量或いはその両方を増減して、反応帯域内の圧力を変化させ、該アルカリ水溶液の水位を上昇又は下降させることにより触媒層と該アルカリ水溶液との接触部分を調節して、応答性よく、水素ガスの発生量を制御する方法を提案した。
【0005】
そして、一般には、水素ガスの発生が活発になるほど、その制御が困難になるが、上記の方法によると、水素ガス量を減少させたり、水素ガスの発生を停止する場合、系内を閉鎖して系内の増大する圧力を利用して、アルカリ水溶液と触媒との接触面積を減少させるため、水素ガスの発生が活発になるほど圧力が高くなり、応答性がよくなる結果、水素ガスの発生量の制御が容易になるという利点がある。
【0006】
しかしながら、この方法においても、アルカリ水溶液の供給量や水素ガス取出量の調節はバルブ操作に頼らざるを得ないため、水素ガスの発生を停止させる必要があるとき、操作開始と停止終了との間にタイムラグを生じ、緊急事態において対応に遅れを伴うのを免れない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を触媒と接触して加水分解させることにより、水素ガスを発生させる際に、簡単な装置を用い、容易かつ安全に水素ガス発生量を制御することができ、かつ水素ガスの発生を緊急に停止させる必要を生じたとき、応答性よく迅速に停止させることができる方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液と触媒とを接触させて水素ガスを発生させる方法において、緊急時に水素ガスの発生を迅速に停止させる手段について種々検討を重ねた結果、密閉した水素発生帯域の下部に触媒体層を固定し、その上部に空間部を設け、正常時は触媒体層が浸漬する位置まで該アルカリ水溶液を満たして両者を接触させておき、緊急時には、水素発生帯域の上下を逆転して、該アルカリ水溶液を元の空間部に移動させて触媒体層との接触を遮断することにより、その目的を達成しうることを見出し、その知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を触媒体と接触させて水素ガスを発生させる方法において、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を含む原料貯蔵帯域と、下部を触媒体層とし上部を空間部に形成した水素発生帯域とを上下に隔離した状態で配置し、水素ガス発生時には、上方の原料貯蔵帯域から金属水素錯化合物のアルカリ水溶液の調整された量を下方の水素発生帯域に供給し、触媒体との接触面積に応じて所望量の水素ガスを発生させ、水素ガス発生の減量又は停止時には、原料貯蔵帯域と水素発生帯域とを上下逆転して水素発生帯域の触媒体と金属水素錯化合物のアルカリ水溶液との間の接触面積を減少又は接触を遮断させ、水素ガスの発生を減量又は停止させることを特徴とする水素発生方法、及び側面中央部付近において上下方向に回転自在に軸支された筒状又は球状密閉容器1と、その内部に収容された中央部に設けられた空間部2を介して上下に対向して配置されたほぼ同形の原料貯蔵器3及び触媒体8を底部に固定して収蔵した水素発生器4とから構成され、原料貯蔵器3には原料供給口5を、水素発生器4には水素ガス取出口6及び水素ガス放出口7をそれぞれ付設し、かつ中央空間部には、仕切バルブ9及び自動減圧バルブ11を介して原料貯蔵器3と水素発生器4とを連結する管路10,12を配設したことを特徴とする水素発生装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液と、それを加水分解するための触媒体とを用いる必要がある。
この金属水素錯化合物としては、例えば一般式
MIMIIIH4-nRn (I)
又は
MII(MIIIH4-nRn)2 (II)
(式中のnは0又は1〜3の整数)
で表わされる化合物を挙げることができる。
【0011】
これらの式中のMIはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどであり、MIIはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又は亜鉛であり、MIIIはホウ素、アルミニウム又はガリウムである。
【0012】
また、Rは例えば、エチル基、ブチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n‐プロポキシ基、iso‐プロポキシ基、n‐ブトキシ基、iso‐ブトキシ基、sec‐ブトキシ基、tert‐ブトキシ基、2‐メトキシエトキシ基、2‐エトキシメトキシ基などのようなアルコキシル基又はアセトキシ基、プロピオニルオキシ基のようなアシルオキシ基である。
【0013】
したがって、一般式(I)で表わされる金属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、トリメトキシ水素化ホウ素ナトリウムNaBH(OCH3)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムNaBH(OCOCH3)3、水素化トリエチルホウ素リチウムLi(C2H5)3BH、水素化トリ‐s‐ブチルホウ素リチウムLi(s‐C4H9)3BH、水素化トリブチルホウ素リチウムLi(n‐C4H9)3BH、水素化トリ‐s‐ブチルホウ素カリウムK(s‐C4H9)3BH、トリメトキシ水素化アルミニウムリチウムLiAlH(OCH3)3、モノエトキシ水素化アルミニウムリチウムLiAlH3(OC2H5)、トリ‐tert‐ブトキシ水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2‐メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムなどを挙げることができる。また、一般式(II)で表わされる金属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素亜鉛Zn(BH4)2、水素化ホウ素カルシウムCa(BH4)2、テトラメトキシ水素化ホウ素亜鉛Zn[B(OCH3)2H2]2、ヘキサエトキシ水素化ホウ素カルシウムCa[B(OC2H5)3H]2などを挙げることができる。これらの金属水素錯化合物は公知であり、選択的水素化用試薬として市販されている。
【0014】
一般に、これらの金属水素錯化合物のnが1〜3のもの、すなわち水素原子の一部がアルキル基、アルコキシル基又はアシルオキシ基で置換されたものは、置換されていないものに比べ反応性が低いので、水素の発生量を減少させる方に制御する場合にこれを用いることができる。
【0015】
本発明方法においては、一般式(I)又は(II)で表わされる金属水素錯化合物を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの金属水素錯化合物は、水と接触すると、反応式
MIMIIIH4-nRn + 2H2O → (4−n)H2 + MIMIIIO2 + nRH
又は
MII(MIIIH4-nRn)2 + 4H2O → 2(4−n)H2 + MIIMIII 2O4+ 2nRH
(式中のMI、MII、MIII、R及びnは前記と同じ意味をもつ)
に従って反応し、水素を発生する。
【0016】
そして、この際の水素発生量は、金属水素錯化合物自体が分解して発生する水素の量と水が分解して発生する水素の量との和になるので、水素の発生効率は非常に高くなり、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いた場合には10.9重量%に達する。
しかも、このようにして得られる水素は、不純分を含まない高純度のものであるというメリットがある。
【0017】
本発明方法においては、これらの金属水素錯化合物を安定な状態で取り扱うためにアルカリ水溶液に溶解した溶液として用いることが必要である。このアルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような第四アルキルアンモニウム化合物などが用いられる。
【0018】
これらのアルカリは少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%の濃度の水溶液として用いられる。この濃度の上限は、アルカリの飽和濃度であるが、あまり高濃度にすると金属水素錯化合物が溶解しにくくなるので、30質量%以下の範囲で選択するのが好ましい。
例えば、水酸化ナトリウムの場合は8〜30質量%、水酸化カリウムの場合は10〜25質量%の範囲の濃度において金属水素錯化合物をよく溶解し、しかも水素の発生が認められない。
【0019】
この際の金属水素錯化合物の濃度は高ければ高いほどその体積当りの水素発生量が多くなるので有利である。アルカリ性媒質に対する金属水素錯化合物の溶解度は温度の関数として変化し、高温下と低温下とでは著しい差があるため、飽和溶解度まで金属水素錯化合物を溶解した溶液は、周囲温度の変化により晶析現象を起こすが、このように金属水素錯化合物の一部が析出している溶液であっても本発明方法においては、特に支障はない。
なお、10質量%水酸化ナトリウム水溶液100g中におけるNaBH4の溶解度は61g、10質量%水酸化カリウム水溶液100g中におけるKBH4の溶解度は15gである。
このようにして調製された金属水素錯化合物含有アルカリ水溶液は非常に安定であって長時間貯蔵しても水素を発生することがない。
【0020】
この金属水素錯化合物含有アルカリ水溶液には、所望に応じ、メチルアルコールやエチルアルコールのようなアルコールやジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコールのような水混和性溶剤を添加することもできる。
【0021】
次に、上記の金属水素錯化合物含有アルカリ水溶液と接触させて水素ガスを発生させるために用いられる水素発生用触媒としては、例えばニッケル、コバルト、ジルコニウム、ロジウム、白金、パラジウム、銀、金など水素発生用触媒として公知のものが用いられる。
【0022】
また、この水素発生用触媒としては、いわゆる水素吸蔵合金を用いることもできる。このような水素吸蔵合金としては、例えばMg2Ni合金、Mg2NiとMgとの共晶合金のようなMg2Ni系合金やZrNi2系合金やTiNi2系合金などのラベス相系AB2型合金、TiFe系合金のようなAB型合金、LaNi5系合金のようなAB5型合金、TiV2系合金のようなBCC型合金の中から任意に選ぶことができる
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
また、この水素発生用触媒は、フッ化処理することにより、その性能を著しく高めることができる。このフッ化処理は、例えば金属又は合金をフッ化剤含有水溶液中に浸せきし、フッ化処理された表面をもつ金属又は合金を形成させることによって行われる。
【0024】
上記フッ化剤含有水溶液としては、通常、フッ素イオンとアルカリイオンを含む水溶液が用いられ、これは、例えばフッ化アルカリを0.2〜20質量%程度の濃度で含有する水溶液に、フッ化水素を加えて、pHを2.0〜6.5程度に調整することにより調製することができる。この際用いるフッ化アルカリとしては特に制限はなく、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウムなどの水に対して易溶性のものが好ましく、特にフッ化カリウムが好適である。これらのフッ化アルカリは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
フッ化剤含有水溶液中のフッ化アルカリの好ましい濃度は、フッ化ナトリウムの場合0.3〜3質量%、フッ化カリウムの場合0.5〜5質量%、フッ化アンモニウムの場合0.5〜8質量%の範囲である。フッ化アルカリの濃度が、上記範囲よりも低いとフッ化処理表面の形成に長時間を要し、実用的でないし、上記範囲より高いと十分な厚さのフッ化処理表面が形成されにくいため、安定化効果が不十分となる。
【0026】
また、このフッ化剤含有水溶液のpHが2.0未満では金属又は合金表面における金属フッ化反応が急速に進行するため、均質なフッ化処理表面が形成されにくいし、6.5を超えると金属フッ化反応速度が遅くなり、十分な厚さのフッ化処理表面が形成されない。適度な金属フッ化反応速度を有し、均質で十分な厚さでフッ化処理表面を形成させる点から、このpHの好ましい範囲は4.5〜6.0の範囲である。上記pH範囲に調整するのに必要なフッ化水素の量は、通常、フッ化アルカリ1モルに対し、フッ化ナトリウムの場合1〜3モル、フッ化カリウムの場合0.2〜3モル、フッ化アンモニウムの場合0.2〜1モルの範囲である。
【0027】
前記フッ化剤含有水溶液を用いて、金属又は合金にフッ化処理表面を形成させるには、このフッ化剤含有水溶液中に、金属又は合金を浸せきし、通常、常圧下で0〜80℃程度、好ましくは30〜60℃の範囲の温度において、その表面に十分な厚さ、すなわち0.01〜1μm程度のフッ化処理表面が形成されるまで保持する。これに要する時間は1〜60分間程度である。
【0028】
本発明においては、前記した水素発生用の触媒体は、連通孔をもつ多孔質ブロックに成形して用いるのが好ましいが、所望ならば、ロッド状、板状、多孔板状、網状などに成形して用いることができる。多孔質ブロックの形状としては、角柱状、円柱状、半球状など任意の形状を選ぶことができるが、緊急停止の際、接触しているアルカリ水溶液が速やかに脱離できるように、上下方向の抵抗が小さいものがよい。
【0029】
次に、添付図面により本発明方法及び装置をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明装置の1例を示す略解断面図であって、装置本体は、円筒状密閉容器1で構成され、その内部には中央部の空間部2を隔てて、上方に原料貯蔵器3、下方に水素発生器4が配置されている。この例においては装置本体は円筒状密閉容器に構成されているが、これは角筒状密閉容器又は球状密閉容器にも構成することができる。
上方の原料貯蔵器3は、耐アルカリ性材料、例えば硬質プラスチックやステンレス鋼のような耐食性金属又は合金で作られ、頂部に原料供給口5が設けられている。
【0030】
他方、水素発生器4は、耐圧性材料、例えば高強度のプラスチック、金属、合金で作られ、側部に水素ガス取出口6、底部に水素ガス放出口7が設けられ、その内部には、底部において触媒体8が水素発生器4の高さの約1/2以下の位置に保持されて、固定されている。
この原料貯蔵器3と水素発生器4とは、中央の空間部2に付設された、仕切バルブ9を備えた管路10及び自動減圧バルブ11を備えた側管12を介して相互に連結している。
そして、容器本体1は、その側面中央部付近において、上下方向に回転しうるように回転軸13によって軸支されている。
【0031】
この装置を用いて水素を発生させるには、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を、原料供給口5から原料貯蔵器3の中へ充填し、原料供給口5を閉じる。
この際のアルカリ水溶液は、あらかじめ調製したものを用いてもよいし、また原料貯蔵器3の中へアルカリと水と金属水素錯化合物の計算量を導入し、その場で調製してもよい。
【0032】
次いで、仕切バルブ9を開き、管路10を通して原料貯蔵器3から、水素ガス取出口6及び水素ガス放出口7を閉じた水素発生器4の中へアルカリ水溶液を供給し、液面が触媒体8の適当な高さに達したときに仕切バルブ9を閉じ、水素ガス取出口6を開く。水素ガス発生量が定常状態に達したならば、水素ガス取出口6の調節バルブ(図示せず)の開度を適宜調整して、一定量の水素ガスを継続的に取り出す。もしも、水素ガス発生量を増加させたい場合には、仕切バルブ9を開き、適量のアルカリ水溶液を水素発生器4内へ追加的に供給すればよい。
【0033】
図2は、水素ガス発生量を減少させたり、又は水素ガス発生を停止させる場合の状態を示す略解断面図であって、図1の装置を回転軸13を中心に上下に逆転させ、上方に水素発生器4が、下方に原料貯蔵器3が位置するように操作した状態が示されている。すなわち、この図において、水素発生器4の内部に収容されている触媒体8と接触する液面は、図1の場合よりも低くなっているため、水素ガス発生量は減少する。
【0034】
そして、緊急時に水素ガスの発生を完全に停止させる場合には、触媒体8とアルカリ水溶液が完全に接触しなくなるまで、仕切バルブ9を開いて、アルカリ水溶液を原料貯蔵器3に逆流させ、また水素ガス放出口7を開いて残留水素ガスを放出させる。
【0035】
また、仕切バルブ9には、自動減圧バルブ11が併設されているため、水素発生器4内部の圧力が一定以上になると、これが作動してアルカリ水溶液が原料貯蔵器3に放出されると同時に、水素発生器4内の圧力により迅速に触媒体8に接触している液面が低下して水素ガス発生量を減少させることにより、安全性が確保されている。
【0036】
さらに、装置の安全性を高めるために、水素ガス取出口6及び水素ガス放出口7には、逆火防止装置を取り付けることもできる。
なお、図1及び図2中の14は、回転軸の受け枠であり、15は原料供給口5又は水素ガス取出口6及び水素ガス放出口7を保護するための保護カバーである。
【0037】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0038】
実施例1
(1) 水素発生装置
厚さ2mmのステンレス鋼板を用い、図1に示す構造の円筒体(直径160mm、高さ950mm)を形成し、その側面中央部を回転軸で軸支し、容器本体1とした。
次いで、容器本体1の上部を、ステンレス鋼により円錐形下面をもつ直径160mm、高さ400mmの短円筒に形成して原料貯蔵器3とし、頂部に開閉バルブ付き原料供給口(直径50mm)5を設けた。
また、容器本体1の下部にステンレス鋼により、円錐形上面をもつ直径160mm、高さ400mmの短円筒を形成し、中央空間部(直径160mm、高さ150mm)2を隔てて、原料貯蔵器3と対称の位置に対向して配置し、水素発生器4とした。この水素発生器4には、底面に調節バルブ付き水素ガス放出口(直径20mm)7を、また側面に調節バルブ付き水素ガス取出口(直径10mm)6を設けた。
【0039】
別に、空隙率90%で連通孔をもつ円柱状ニッケル発泡体(直径160mm、高さ100mm)を5分割したブロックを形成し、その表面をフッ化処理及び還元処理したコバルトで被覆した触媒体8を製造し、これを下方部分に最小高さ50mmの循環領域を設けて水素発生器4の底部に固定した。そして、この触媒体8の各ブロック内部には、液温調整用シーズヒータを埋入し、かつ各ブロック側面には火傷止めテープを巻き付けた。
中央空間部2内には、原料貯蔵器3と水素発生器4とを連結するための仕切バルブ(サイズ1/2B)9を備えたパイプ(均圧配管3/8B)10を配設し、またこのパイプの側管として自動減圧バルブ11を備えたパイプ12を設けた。また、これらバルブ周辺に温度調整用シーズヒータを配設した。
【0040】
(2) 水素ガスの発生
原料貯蔵器3の中へ、原料供給口5から水5400gを注入し、次いで水酸化ナトリウム粉末600gを加え、容器本体1を前後に揺動させて混合し、アルカリ水溶液を調製したのち、このアルカリ水溶液に、原料供給口5を介してホウ水素化ナトリウム(NaBH4)粉末180gを加え、前記と同様にして本体を揺動して混合し、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液Aを調製した。
【0041】
次いで、水素発生装置を図1の状態に維持し、仕切バルブ9を開いて水素発生器4中へアルカリ水溶液A´3リットルを供給したのち、仕切バルブ9を閉じ、水素ガス取出口6を開けて、系内のガスを十分に置換した。この際の水素ガスの発生量は200リットル/時であった。
30分後に、仕切バルブ9を再び開き、アルカリ水溶液A´をさらに3リットル水素発生器4に供給したのち、仕切バルブ9を閉じた。これにより水素ガス発生量は400リットル/時に増大した。
【0042】
さらに、15分後、水素発生装置を回転軸を中心に上下逆転させて図2の状態とし、仕切バルブ9を開き、水素発生器4中のアルカリ水溶液A3リットルを原料貯蔵器3に戻すとともに、水素ガス取出口6を閉じ、水素ガス放出口7を開いたところ、水素ガス発生量は200リットル/時に減量した。
【0043】
次に、仕切バルブ9を開き、水素発生器4より原料貯蔵器3にアルカリ水溶液A´の残液3リットルを全部移動させた。この場合、系内圧力は3000mm水柱に上昇したが、自動減圧バルブ11は5000mm水柱に調整されているため、作動しなかった。
このようにして、従来の水溶液ヘッドによる排出の場合に比べ約5倍の速さでアルカリ水溶液が排出され、水素ガスの発生の緊急停止が行われた。
この例における経過時間と水素ガス発生量の関係をグラフとして図3に示す。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を触媒の存在下で加水分解して水素ガスを発生させる方法において、水素ガス発生量の増減や、緊急停止などの制御を行う場合、応答性よく、迅速に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明装置の1例を示す略解断面図
【図2】 図1の装置を上下に逆転させた状態を示す略解断面図。
【図3】 本発明の実施例における経過時間と水素ガス発生量の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 容器本体
2 空間部
3 原料貯蔵器
4 水素発生器
5 原料供給口
6 水素ガス取出口
7 水素ガス放出口
8 触媒体
9 仕切バルブ
10,12 管路
11 自動減圧バルブ
13 回転軸
14 回転軸受け枠
15 保護カバー
A,A´アルカリ水溶液
Claims (3)
- 金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を触媒体と接触させて水素ガスを発生させる方法において、金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を含む原料貯蔵帯域と、下部を触媒体層とし上部を空間部に形成した水素発生帯域とを上下に隔離した状態で配置し、水素ガス発生時には、上方の原料貯蔵帯域から金属水素錯化合物のアルカリ水溶液の調整された量を下方の水素発生帯域に供給し、触媒体との接触面積に応じて所望量の水素ガスを発生させ、水素ガス発生の減量又は停止時には、原料貯蔵帯域と水素発生帯域とを上下逆転して水素発生帯域の触媒体と金属水素錯化合物のアルカリ水溶液との間の接触面積を減少又は接触を遮断させ、水素ガスの発生を減量又は停止させることを特徴とする水素発生方法。
- 水素ガス発生時において、原料貯蔵帯域から必要量の金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を水素発生帯域に、その中の触媒体と所定の接触面積が保たれるまで供給後、供給を停止し、水素ガス発生量を増加させる場合には、さらに追加的に金属水素錯化合物のアルカリ水溶液を供給し、触媒体との接触面積を増大させる請求項1記載の水素発生方法。
- 側面中央部付近において上下方向に回転自在に軸支された筒状又は球状密閉容器(1)と、その内部に収容された中央部に設けられた空間部(2)を介して上下に対向して配置されたほぼ同形の原料貯蔵器(3)及び触媒体(8)を底部に固定して収蔵した水素発生器(4)とから構成され、原料貯蔵器(3)には原料供給口(5)を、水素発生器(4)には水素ガス取出口(6)及び水素ガス放出口(7)をそれぞれ付設し、かつ中央空間部には、仕切バルブ(9)及び自動減圧バルブ(11)を介して原料貯蔵器(3)と水素発生器(4)とを連結する管路(10,12)を配設したことを特徴とする水素発生装置。
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